議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第369回(令和6年12月)定例県議会
代表質問
小泉弘喜県議
[質問項目]
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1. 信頼回復と公平公正な組織運営に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]「信頼回復と公平公正な組織運営に向けた取組について」お伺いします。
さきの知事選挙において、齋藤知事は公約の中で「3つの約束」をされています。
まず1つ目は、『文書問題の真相究明と改善策の徹底』として、
「百条委や第三者機関の調査に真摯に協力」、「公益通報窓口の外部化」、
「ハラスメントのない組織風土づくり」、そして「物品受領の厳格なルールづくり」
を掲げられています。文書問題を発端とした様々な課題に対して、真摯に向き合い、
よりよい県政を構築するため、全力を尽くされると受け止めております。
次に2つ目、『県民の皆さまはじめ県職員や県議会との信頼関係の再構築』として、
「職員1人1人との対話の徹底によるコミュニケーション強化」と
「県議会各会派との対話や丁寧な合意形成」を掲げられていますが、
県民・県職員・県議会との信頼関係の再構築はもとより、県下41市町に対しても、
より高度な行政上の信頼関係の再構築が求められます。
最後3つ目は『未来に向けた県政改革を止めない』として、
「既得権益やしがらみから脱し、行財政改革を更に進め、県民に直接届く政策の充実」を
掲げられております。
我が公明党は「大衆とともに」との立党精神を胸に、日々、県民目線で、
県民お一人お一人に届く政策の実現を目指し、声をカタチにするため、チカラを注いでまいり
ました。齋藤知事には今後、この「3つの約束」に取り組まれる中で、我々とも議論を深め、
何よりも県民のために県政を前進させることにご尽力いただきたいと願っております。
さて、さきの知事選挙に当選をされてから、約3週間が経ちます。知事が掲げられた
「3つの約束」の内、「信頼関係の再構築」について、特に「職員1人1 人との対話の徹底によるコミュニケーション強化」に関しては、日頃の仕事の中で意識、心がけをすれば、すぐに実行に移すことが可能であり、特に気にかけていらっしゃる部分ではないかと思うのですが、
齋藤知事はこの3週間で職員とのコミュニケーション強化のために、どのような思いをもって、
形として実行に移されたのか、また、県民・県職員・県議会・県下41市町の首長との信頼回復の
ため、具体的にどうされるのか、お伺いします。
併せて、今後、よりよい県政を構築するためにも、透明性を確保した公平公
正な県庁の組織運営が大事であり、齋藤知事はその具体策について、今後どの
ように進められるのか、お伺いします。
[齋藤知事]県民サービスの提供は県庁組織が一つのチームとして行うものであり、
職員の皆さんとの対話を重ね、皆で思いを共有して推進することが大切であるという風に
考えております。
このため、日々の庁内協議に際して、それぞれの立場で汗を流す職員への感謝の気持ちを
大切にしながら、しっかりと意見を交わすことを心掛けております。
今後、本庁の幹部や中堅、若手職員のみならず、県民局・県民センターなど地方機関の
職員とも積極的にコミュニケーションを重ねていきたいと考えております。
また、新たな取組として、本庁の部長級以上の職員が定期的に集い、
部局横断でブレーンストーミング等を行う場の設置も検討しております。
県議会の皆様とは、先般、当初予算編成の申し入れにあたり意見交換をさしていただき、
市や町の首長さんとも、就任直後に懇話会を開き、地域課題等について話し合いを
させていただきました。
今後も様々な機会を通じて、対話や議論をしっかりと行わせていただきたいと考えております。
そして、県民の皆様とは、基本姿勢である「県民ボトムアップ型県政」のもと、
各種団体を含め幅広い層との対話の機会を設け、意見を汲み取って施策に
反映していきたいと思っております。
こうした取組を通じ、信頼関係を構築しながら、ワンチームで、
オール兵庫で「躍動する兵庫」の実現を目指して参ります。
[小泉県議]職員の方々との、この3週間での知事の思いのこの部分ですね、どういうことを県職員の方に思い、どういったことを実行してきたのか、この3週間で心がけてこられたこととか、
もしお答えいただける部分があるのであれば、先ほど、そこの部分に関しては
少しなかったのかなと思ったので、もう一度聞かせていただきたいと思います。[齋藤知事]約50日間私は不在にしておりました。その間、服部副知事はじめですね、
職員のみなさまにおかれては、県政をしっかり支えていただいたということを、
改めて感謝申し上げたいという風に思っています。
今やはり、来年度の予算編成であったりとか、今回の補正予算含めて、
重要施策の協議が今毎日のように続いておりまして、そこでやはり日々業務の中で、
職員の皆さんの考えをしっかり聞いて、自分の考えも伝えながら、
いい施策を作っていくために議論をしたりとか、やっていくということが
今取り組んでいるところですので、改めて職員のみなさんしっかりいろんな施策、
先ほども出ましたけど、有機農業であったりとか、新たな産業施策について、
非常にしっかり考えていただいておりますので、そういった意見をしっかり聞きながら、
来年度の予算に向けて、今議論を注力しているところですので、
これからもしっかりやっていきたいという風に思っております。
[小泉県議]おっしゃったとおりでありますし、県職員のみなさんがおひとりおひとり、
知事の思いをしっかりと感じてくださるような状況になるのが一番かなと思いますので、
そこにご尽力されていると思います。
大変お忙しい中ではあると思いますけれども、これからも先、ご尽力いただきたいな
という風に思っておりますので、こちら要望ではございますけれども、
よろしくお願いいたします。
また、本当に県民の皆さんもそうですし、また県議会我々ともそうです。
それから41市町の首長さんも、また、関係団体の方も含めましてですけど、
やはり信頼関係をしっかり築いていくことで、また県職員の方がしっかりとこの、
先ほども他の議員からの質問でもおっしゃっていましたけど、職員はやはり原動力
だということで、一人ではなかなかこの政策もできないということもおっしゃっていました。
しっかりとそこも含めてですね、我々県議会ともまた様々なところともですね、
しっかりと信頼関係の回復していただいて、しっかりと県政を前に進めていきたい
という風に思いますので、またよろしくお願いを申し上げます。
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2. 県庁舎再整備について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]県庁舎1号館・2号館等の耐震性が低いと判明し、令和元年6月「県庁舎等再整備基本構想」が
策定され、県庁舎再整備事業に着手しました。
3年前の知事選挙において、「新しい働き方を踏まえ県庁再整備構想を見直し。周辺エリアの
活性化へ」との公約を掲げた齋藤知事が当選され、公約通り、令和4年3月に県庁再整備事業を
一旦凍結。令和5年2月には「新しい働き方推進プラン」を策定し、施策の5本柱の
「柔軟で多様な働き方の推進」のため、新しい働き方モデルオフィスとして、
出勤率4割を目指した取組を約1年間実施されました。
今年8月2日に「第1回県庁舎のあり方等に関する検討会」が開催され、幅広い観点から検討し、同月29日には「第1回新しい働き方部会」で出勤率4割を目指した、新しい働き方モデルオフィス繁忙期における検証結果や、令和5年度職員満足度アンケートについて議論、9月6日には
「第1回にぎわいづくり部会」において、県庁舎周辺地域の整備等について議論がされています。今後も第2回、3回と検討会と部会が開催される予定です。
一方、この検討会でも議論されていますが、近年の激甚災害の頻発化に備え、新たな県庁舎再整備計画では、県全体の災害対策の「司令塔」としての防災機能強化が求められています。
兵庫県庁 BCP 改定アドバイザリー会議の報告を踏まえ、大規模災害に対しても被災により限られた人的資源で、業務を迅速かつ的確に対応できるような庁舎の構造や機能の整備を要します。
また、阪神・淡路大震災での経験を活かし、防災対応力を持ち合わせた県庁舎の建設に向け、
スピード感を持って進めること、併せて、能登半島地震での石川県庁での被災者の受け入れ等の
対応も参考に、本県における BCP の実効性を担保できる県庁舎でなければなりません。
そこで、知事は公約に「防災機能や働き方改革を志向したコンパクトな県庁舎再整備-事業費1000億円を実質半分程度へ-」と掲げられていますが、物価高騰によるコスト増加には配慮しつつ、コスト論中心に判断するのではなく、防災の観点も含め、その機能性と費用対効果にも留意が必要と考えますが、ご所見をお伺いします[齋藤知事]30年前に阪神・淡路大震災を経験した兵庫県でございます。
今後発生する大規模災害時に県民の生命とくらしを守るため、
迅速かつ的確に災害対応が実施できる体制の構築が必要であり、
そのために必要な県庁機能等のあり方を検討していく必要がある。
現在、能登半島地震の災害対応等を反映した県庁BCPの改定作業を進めており、
専門家からは、「東日本大震災時に全職員を参集しても膨大な災害対応業務等に対応できなかった経験を踏まえ、応援職員も含め勤務可能な庁舎スペースが必要」等、
庁舎整備に係るご意見をいただいている。
また、県議会や有識者会議のメンバー等からも災害対応に必要な庁舎機能や職員の働き方、
元町地域のにぎわいづくりの観点等から、庁舎整備にかかる意見をいただいており、
新庁舎整備は必要との共通認識ができつつあると考えている。
一方で、県の財政状況が厳しい中、従前計画では建設費の高騰等により事業費は
1,000億円を超えると大幅に上振れすると試算している。
そのため、災害対応拠点としての必要な機能に加え、職員の新しい働き方にも意を用いた
執務スペースは確保しつつ、庁舎機能の共有化による延床面積の合理化、
整備手法の工夫による有利な財源の活用等により、本県の実質負担を相当程度
抑制していきたいと考えている。基本構想を策定する中で、必要な機能の確保と
大幅なコスト削減を両立させる手法について検討し、県議会のご意見も踏まえながら
スピード感をもって取り組んでいきたいと考えている。
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3. 高等教育への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]国では、令和5年12月22日に「こども未来戦略」が閣議決定され、コロナ禍の3年間で
婚姻件数の約9万組が減少し、未婚者の結婚希望や希望こども数も大幅に低下・減少していることから、少子化対策を強化するため、令和6年度から3年間の集中的な取組において、
「加速化プラン」として、できる限り前倒しをするとされております。
また公明党は、令和4年11月に「子育て応援トータルプラン」を取りまとめ、
令和5年3月28日に当時の岸田総理大臣に申し入れを行い、経済的支援の強化として、
大学等の高等教育の無償化の対象範囲についても拡大することを目指し、先行して多子世帯や
理工農系学部を対象に中間所得層まで拡大することを要望しています。
そして、「こども未来戦略」の中に、公明党の主張が反映され、
令和7年度から、扶養の子どもが3人以上の多子世帯に対して、扶養の子どもが2人以下になる
まで全員が対象、また所得制限なしで大学などの入学金・授業料の無償化が実施される予定です。
現在、兵庫県では若者・Z世代応援パッケージとして若者世代を直接応援しています。
その中で「学びやすい兵庫」を目指し、高等教育の負担軽減に取り組んでいます。兵庫県立大学、芸術文化観光専門職大学において、県内在住者の入学金・授業料を学部、大学院ともに、
所得に関わらず無償化するもので、今年度から段階的に実施されております。
昨年度の2月定例会で当時の伊藤幹事長から、「我が会派としては、高等教育への支援が必要
であると要望をしており、一定評価をしているところですが、県立大学以外に通う学生、
奨学金を利用していない学生の学費負担に苦しんでいる家庭もある。」と質問いたしました。
多くの家庭では親世代が学費を負担しており、不公平感を感じられている方も少なくありません。
先の答弁の中で知事は「県として学びやすい兵庫をはじめとする取組をしっかりする中で、
県内の大学、国公立、私立問わず、連携をしっかりやっていくということが大変大事であり、
魅力ある学校づくり、そして学生さんたちが安全・安心に学べる環境づくりに向けて、
これからしっかり連携をしながら、考えていきたい。」と仰っております。
県立大学の無償化は進めつつ、例えば、従来の国の修学支援制度による給付型奨学金に対し
県独自に所得制限の上限を拡充したり、大学等の入学時に必要な初期費用等に使える補助制度の
導入等、あらゆる角度から、より多くの県内大学生等が対象となり、
実際に学費負担をする親世代等に対しても支援を行うことが必要と考えます。
そこで、今後の高等教育への支援について、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]県立大学授業料の無償化は、兵庫の若者が安心して希望する教育を受ける仕組みづくりのために、また、国の議論の先鞭となるべく、県がまずできることとして実施させていただきました。
国においても、来年度からの多世帯の所得制限撤廃の方針が示されるなど、負担軽減の流れは着実に広がってきております。その流れをさらに加速化させるために、県立大学の無償化を着実に完成させるとともに、国制度の要件緩和や拡充を希望する県民の声や思いをあらゆる機会を通じて国に届けていきたいと考えております。
一方で、より多くの学生を対象にすべきとのご意見もいただいていることは承知しております。
今回の選挙におきまして、高等教育への支援など、若者・Z世代を直接支援する施策の
必要性を訴えており、多くの若者を初めとする県民の期待は大変大きいと実感をしております。
今後の高等教育の支援については、財源が限られた中ではありますけれども、
県全体の若者支援の枠組みの中で、国の動き、若者を取り巻く社会情勢も踏まえ、
しっかりと議論を行っていきたいと考えております。
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4. 巨大地震等の防災対策の強化について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]本年 1 月に発生した能登半島地震では、避難所への水や食料、物資の搬入が遅れた要因として、
半島で道路が寸断されるなどした地理的要因もありますが、被災地を把握するシステムが
機能しなかったことも指摘されています。
地域防災計画において、事前の被害想定の甘さがあったこと、地震発生直後に被災状況の把握が
スムーズにできなかったことが初動対応の遅れに繋がったのではないかという有識者の意見もありました。
本県では、5月に「能登半島地震を踏まえたひょうご災害対策検討会」が発足し、石川県での
現地調査も行われ、顕在化した課題に対して8つの分野で対応策が検討されています。
能登半島地震で明らかになった課題については兵庫県の防災対策を考えるうえでも大変重要です。
また、8月には宮崎県日向灘を震源とする地震が発生し、気象庁は初めて、
茨城県から沖縄県までの29都府県、707市町村を対象に、南海トラフ地震臨時情報の
「巨大地震注意」を発表しました。
「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された時や、
地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価した時等に発表され、
想定震源域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード 8.0 以上の
地震が発生したと評価した場合は「巨大地震警戒」、想定震源域及びその周辺に
おいてモーメントマグニチュード 7.0 以上の地震が発生したと評価した場合は
「巨大地震注意」となります。
8月8日から15日までの1週間、自身の行動や準備等の対応の難しさや不安を感じた県民も
多かったのではないでしょうか。
さらにこの臨時情報自体の内容も浸透しておらず、平時からの周知が必要です。
本県において、情報提供や支援体制は十分であったのか。県民に過度な不安を与えずに
適切な情報発信ができたのか検証が必要であり、県が各市町の状況を把握し、
支援体制を構築する必要があると考えます。
南海トラフ地震が、30 年以内に発生する確率が高まっており、今後も、
南海トラフ地震臨時情報が発表されることが予想されるなか、市町との連携や体制整備と
県民への対応について検討が必要です。
一方、国では、石破総理大臣が「人命最優先の防災立国を早急に構築することが
求められている」と強調し、令和8年度中の「防災庁」設置に向けて、
11月1日に内閣官房に準備室を発足しました。先日、我が会派は国への要望活動を行い、
早速、防災庁の創設と兵庫県内への防災庁の拠点整備を要望したところです。
本県は、来年1月17日に阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えますが、
震災の記憶を風化させることなく県民の防災意識のさらなる向上に努めるとともに、
本県における防災対策を見直し、強化していく必要があると考えます。
そこで、県は能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報発令から得た課題を踏まえ、
いつ発生するかわからない巨大地震等に対し、今後どのように防災対策の強化されるのか、
当局のご所見をお伺いします[池田防災監]県では5月に、能登半島地震を踏まえた災害対策検討会を設置いたしまして、
被災地の迅速かつ正確な状況の把握や応援・受援体制の強化等、今回の能登半島地震を
通じ顕在化した様々な課題に対する対応策の検討を行っているところでございます。
その結果につきましては今年度中に取りまとめ、各種防災訓練や防災計画等の改定、
さらには来年度予算への反映等につなげていきたいと考えております。
南海トラフ地震臨時情報につきましては、県民等への日頃からの備えの呼びかけの他、
発表時の市町との情報共有や対応手順の確認に努めてまいりました。
今回の臨時情報におきましても、発表後直ちに対応体制をとりまして、各種手段を通じて、
県民に向けメッセージを発信したところでございます。また翌日には知事と各市町長との
情報共有会議を開催し、緊密な連携を図らせていただきました。
現在、各市町からの意見も踏まえながら、災害対策検討会においても議論を
進めているところでありまして、臨時情報の仕組みの事前周知の徹底、発表時の市町との
情報通信体制の強化、市町間の応援体制等の具体的対応策について、
また県民へのわかりやすい情報発信等について、国の検証結果も踏まえつつ具体化し、
南海トラフ地震への備えとして充実を図っていきたいと考えております。
今後とも、阪神・淡路を始めとする震災の教訓を踏まえ、県民の更なる防災意識の
向上に取り組みますとともに、国・県・市町及び民間を含む関係機関との連携の強化、
地域防災力の強化等、防災対策の一層の充実に努めてまいります。
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5. 防犯カメラの設置推進のあり方について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]防犯カメラ設置補助事業は我が会派の強い要望で実現し、創設から14年が経過しました。
この間、県及び市町事業で、令和5年度末までに15,000箇所以上の防犯カメラが設置され、
各種捜査のほか、犯罪の抑止力としても機能し、今や地域の安全・安心に欠かせない
設備となっています。
こうした防犯カメラが一定レベル普及し、県民のコンセンサスも得られてきている一方で、
新たな課題や社会情勢の変化も生じてきています。
そうした課題やニーズ、状況の変化に応じて現行の防犯カメラ設置補助事業について、
制度を見直す時期に来ているのではないかと考えます。
現行制度の課題の一つとしては、防犯カメラの設置状況に地域間格差が進んでいることです。
補助対象が自治会や防犯活動グループ等となっており、防犯活動を行う団体がある地域では
補助事業を活用した防犯カメラの設置が進んでいる一方で、
受け皿となる組織が存在しない地域では、全く防犯カメラが設置できていないところもあります。
もう一つの課題として、老朽化した防犯カメラの更新です。現行制度では更新費用は
補助対象になりません。一般的に防犯カメラの耐用年数は5年から 10年と言われています。
制度開始から14年が経過しますが、平成30年度までに設置した防犯カメラは約3,000台です。
その中には老朽化した防犯カメラも多く、更新も補助対象にしてほしいと地域からも
強い要望があります。
一方で、市町が防犯上など必要と判断した箇所に直営で設置している防犯カメラも
増えてきています。特に神戸市や加古川市、伊丹市では市直営で防犯カメラ設置し、
積極的な活用がなされています。加古川市では画像情報も一元管理していることから、
かなり効率的で効果的な防犯対策が実行されています。
自治会等の地域での防犯活動は非常に大切であり、地域への支援は引き続き重要ですが、
警察等と協力し、防犯上必要な箇所に行政が設置し、一元的に管理することも効率的かつ
効果的で有効と考えます。
こうした取り組みを進める、また進めようとする市町に対しての補助などを通じて
後押しすることも検討すべきではないでしょうか。
今日、県民にとって、防犯カメラは地域の安全安心に必要なインフラとなってきており、
引き続き、県としても県下の安全網を維持拡大していく必要があると考えます。
そこで、これら現状の課題や情勢の変化を、当局はどのようにとらえ、
今後の防犯カメラ設置補助事業について、どのように展開していこうと考えているのか、
当局のご所見をお伺いします。
[齋藤知事]最近、闇バイトで集められた実行犯による強盗事件が相次いでいる。
こうした犯罪を抑止するため、防犯カメラ設置の必要性が高まっており、
今年実施したまちづくり防犯グループのアンケートでも、防犯カメラの設置を進めて
欲しいとの意見を多くお聞きしている。
これまで、県内では市町独自設置を含め、15,000箇所以上で防犯カメラを設置してきたが、
例えば、加古川市のように、痛ましい事件を契機として、市が主体となり
多くの見守りカメラを設置している市町がある一方、
市町域で100台未満と設置が進んでいない市町も多くある状況である。
このため、県補助事業の対象となる地域団体等の有無にかかわらず、
市町が主体となって、犯罪多発エリアなど防犯上必要な場所に、
計画的に防犯カメラの設置が進められるよう、しっかりと連携してまいりたい。
まずは、県警との連携を強化し、防犯カメラの設置が必要な地域を市町と共有するとともに、
設置が進んでいない市町に対して、体制面や運用面での課題をお聞きするなど、
どのような支援ができるのか検討を進め、県民の安全・安心を守っていく。
なお、これまでに設置されたカメラの更新については、
人通りの変化など地域の状況や住民の意見を踏まえて、
市町自らの判断で行うことがより適切であると考えている。
[小泉県議]防犯カメラについてですが、闇バイトのお話もいただきましたので
ご理解はいただいていると思います。
市町が主体で、また連携もしていくという話ですが、県警ともしっかり連携をしていく
というふうにご答弁いただきました。
警察予算の方で設置した全国の防犯カメラの状況が、
今年度の令和6年の6月末現在で29 都道府県の 222 地区で2246台ということです。
先日、警察常任委員会の方で熊本県の方にも行かせていただきましたけれど、
熊本県の方で設置をしている街頭を防犯カメラというところでも、
60台県警の方で設置をしていただいているということでした。
県警の県予算を増やすというところも含めて、県警との連携というのはどういう形で、
現状として具体的に考えられていることがあれば教えてください。
[木村県民生活部長]県警との連携へのご質問でございますが、警察からの設置場所の候補の提案ですとか、
そういったことを市町の方と県警と、そして県の方で一緒になりまして、
まずはこの場所にやはり防犯カメラをつけた方がいいというような場所について
連携を進めていきながら、設置箇所のここにはいるというような所を、
まずは話をしていきながら進めていきたいと今のところは考えておりますので、
よろしくお願い致します。[小泉県議]本当に防犯カメラを安全安心のために設置していただきたいというふうに思います。 -
6. 帯状疱疹ワクチン接種費補助事業の拡充について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]次の質問は「帯状疱疹ワクチン接種費補助事業の拡充について」です。
私たち公明党議員団は、県民から帯状疱疹の症状のつらさや発症リスクへの
不安のお声を直接お聞きしてきました。帯状疱疹ワクチンは任意接種で保険適
用がなく、生ワクチンは約8,000円で1回接種、不活化ワクチンは約20,000円
で2回接種が必要であり高額な負担となるため、我が会派は、令和4年度から
本会議等で度々質問し、帯状疱疹予防ワクチン接種助成制度の創設について要
望を重ねてきました。
また、昨年10月に兵庫県町村会から「令和6年度兵庫県予算及び施策に関す
る要望」の中で「帯状疱疹ワクチン予防接種に対する県独自の補助金制度の創
設」が求められていました。
県では令和6年度予算に限り、市町の助成事業に対する補助事業を実施しま
した。対象者は満 50 歳以上、生ワクチン、不活化ワクチンとも1回限りとし、
県の補助は2,000円が上限です。
今年度、県内では40市町が助成事業を実施しています。未実施の1市におい
ても、来年度も県の補助事業が継続されるのであれば実施する意向と聞いてい
ます。県下41市町が大変前向きになっていただいている事業であり、継続して
いくべきだと考えます。
併せて、現在実施されている40市町の助成額を見てみると、生ワクチンと不
活化ワクチンともに、1回4,000円の自治体もあれば、生ワクチンが4,000円、
不活化ワクチンが10,000円×2回で上限を設け、接種費用の1/2を助成して
いる自治体もあります。生ワクチンは、概ね半額の助成がされている一方で、
不活化ワクチンは半額にも満たない助成額の自治体もあり、その差が大きく生
じています。この差をなくすためにも、県は補助額の拡充をするべきだと考え
ます。
現在、国では帯状疱疹ワクチンの安全性や有効性など、科学的にも定期接種化が妥当と
方針が示され、議論が進められていますが、実施時期や対象年齢等については決定していません。
国での定期接種化が決定し、開始されるまでの間、県は補助の空白期間が生じない
対策を行うとともに、県民の費用負担の軽減のため、補助額の更なる拡充が必要だと考えます。
また、国の定期接種化の基準の中で対象年齢等、現行の補助制度の条件に満たない場合は、
補助事業の継続についても必要であると考えますが、当局のご所見をお伺います。[服部副知事]帯状疱疹ワクチン接種費補助事業は、物価高騰対策の一環で、
市町助成事業に対して補助する形で、令和6年度に実施しているものでございます。
制度設計は、議員ご指摘のとおり対象年齢は満50歳以上とし、
限られた財源のなか生ワクチン、不活化ワクチンともに1回限り2千円の
補助額の上限を設けましたが、接種を希望するより多くの県民の皆様に
ご利用いただけるよう、所得制限は設定せずに実施しているところでございます。
10月末現在で40市町が取り組みを進めており、助成実績は約2万2千人となっております。
市町の担当者からは、「予想を上回る市民の反応があった」という声が聞かれ、
当初見込んでいた3万人を超えることは確実な状況となってございます。
一方、国のほうでは、現在、厚生科学審議会におきまして、
帯状疱疹ワクチンの定期接種化の議論が本格化しておりまして、
科学的知見を基に対象年齢などの検討がなされているところでございます。
県補助の来年度の実施につきましては、今年度の枠組みを基本としつつ、
年内には市町に方向性をお示しできるよう検討を進めているところでございます。
なお、定期接種化後の県独自支援につきましては、国の動向を注視しつつ、
他の定期予防接種との公平性等の観点から、実施の有無も含めて研究してまいりたいと
考えてございます。
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7. 不妊治療対策の拡充について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]晩婚化や晩産化の進行に伴い、加齢による妊娠率の低下が少子化の原因の一つとしても
大きな課題として指摘されています。
不妊を心配している夫婦は夫婦全体の約2.6組に1組にのぼり、
不妊治療の需要はますます高まっています。
さらに、女性活躍が進む現代において、出産年齢の上昇に伴い、
自然妊娠の可能性が低下する一方、不妊治療技術の進歩により、
妊娠の可能性を高める選択肢が広がっています。
公明党は20年以上にわたり、不妊治療の保険適用の実現を訴え、国において、
令和4年度より、人工授精や体外受精の保険適用を実現しました。
兵庫県においても、我が会派が国の保険適用に先んじて、不妊治療の入口として重要な
不妊検査を夫婦で受診する場合の費用助成を要望し、
令和3年度から「不妊治療ペア検査助成事業」を開始。
令和5年度からは、我が会派の強い要望により、所得制限の撤廃と夫婦の受診間隔を
3ヶ月に延長することができました。
助成件数は令和4年度の23件から、令和5年度には645件と大幅に増加し、
県民のニーズに応える結果となりました。
さらに、国の保険適用の対象外となる先進医療を必要とする声も多く、
兵庫県では令和6年度より「若者・Z世代応援パッケージ」の一環として不妊治療支援の
強化を行っています。
その中で、保険適用外の先進医療に対して、胚移植1回あたり3万円の助成を実施し、
高度な治療を必要とする方々の負担軽減を図るとともに、通院交通費の一部を補助することで、
治療に伴う費用のさらなる軽減と地域格差の解消に取り組んでいます。
しかしながら、これらの支援策は県内医療機関に限定されており、地域内に対応する
医療機関のない但馬地域、西播磨地域、淡路地域では一定の配慮がなされているものの、
若年期から県外で治療を継続しているなど、通いなれた医療機関での治療を希望する方でも、
県外医療機関での治療であることから補助対象外であり、依然として経済的負担が
大きい状況にある方からの制度拡充への要望が多くあります。
このため、県外の医療機関でも支援を受けられるよう、柔軟な対応が求められると考えます。
そこで、妊娠を希望する家庭が治療を断念せず、希望に応じた医療を選択できる環境整備を
さらに進める必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]不妊治療支援については、昨年度に不妊治療支援検討会を立ち上げまして、
様々な取組を進めてまいりました。今後は当事者が更に利用しやすいように、
支援策の充実、強化を図る必要があると考えております。
本年7月から運用を開始した先進医療費及び通院交通費の助成事業では、
既に1,200件を超える申請がございます。当事者の方などからは「負担が軽減されて助かった」「ぜひ継続してほしい」等の事業をご評価いただく言葉もいただいております。
しかしながら一方では、議員もご指摘のとおり県外で働きながら治療されている方や
県境にお住いの方には、診療時間や交通事情などから隣接の府県での治療をされている
というケースもございます。
現在は、助成対象外である大阪や京都などの「県外隣接医療機関への通院も認めてほしい」
という声も少なからずいただいております。
加えまして、先進医療は医療機関ごとに実施できる内容が異なるということから、
当事者が希望する不妊治療をより柔軟に選択できる環境を提供することが肝要でございます。
このため、対象となる医療機関の拡充について検討していきたいと考えております。
不妊治療支援のための環境整備については、経済的負担の軽減と仕事と治療の両立支援、
そして推進の枠組みとしての条例制定など重層的な取組を進めていくことが必要である
と思います。
引き続き当事者の方々のご意見などに寄り添って、誰もが安心して妊娠、出産
そして子育てができる兵庫の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
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8. 物価高騰対策について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]政府は来年の1月から3月に再度、電気ガス代の補助を実施することを経済対策に
盛り込んだとの報道がありました。
これまで、我が会派は国の電気ガス代の割引にLPガスが含まれていないため、
要望等を行い、県では一般家庭のLPガスの割引を国の電気ガス代の割引時期に合わせて
実施してきました。
本年の9月補正予算でも、「はばタンPay+第4弾」と併せて、一般家庭のLPガスの
割引を実施しています。
一方、我が会派の麻田議員が9月定例会で、「昨年は社会福祉施設、医療機関、
あるいは私立学校などに対しても様々な物価高騰対策ということで施策を講じて
いただいている。状況を見ながら事業の展開を強く要望する。」と本年9月補正では
除外されましたが、令和5年12月補正で実施した事業についても要望しました。
他にも燃料油価格高騰に対する公共交通等事業者への支援、飼料価格高騰に対する
畜産業者への支援等、県民生活の安定化に向けた支援や県内事業者の経済活動への
支援を実施しており、今後、早い段階で同様の支援を講じるべきと考えます。
また新たに、例えば、令和4年8月に京都府では物価高騰の影響を受ける子育て世代への
支援として、「子どもが絵本などに触れる機会を持ってもらい、健やかな成長につなげてほしい」と0歳~6歳までの未就学児1人あたりに5千円の図書カードの配布を所得制限なしで
実施しており、子育て世代への支援としても大変重要だと考えます。
さらに、兵庫県が実施している「はばタン Pay+第4弾」の終了後、第5弾を
すぐに実施できるよう検討し、年度末から年度をまたいで利用できるようにする。
併せて、第1弾・2弾で実施していたプレミアム率 50%の子育て応援枠を復活させる
ことも大変有効かと考えます。
一方、「はばタンPay+」について、スマホをお持ちでない方、特に高齢者の方から、
紙の商品券はないのか?不公平ではないか?とのお声を聞きます。行政のデジタル化に
詳しい専門家によると、「デジタルをうまく使えない人に向けては、紙でQRコードを
打ち出してレジで読むようにするとか、いろいろなやり方がある。『デジタル一択』
みたいな方向になりがちだが、デジタルでやりたい人、使えない人、
両方の人が使えるようにしていく」と語られています。
県民に直接届く政策、県民一人一人が躍動するためにも、このような支援の
あり方も重要だと考えます。
そこで、長引く物価高騰に苦しむ県民を幅広く支援する観点から、
今後、どのような物価高騰対策を講じるのか、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]長期化する物価高騰、燃料油価格の高騰等に対応するため、県民生活や事業活動を
下支えする対策を講じる必要があります。
このため、先般閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」
を踏まえ、本県としても、緊急対策として補正予算(案)を編成し、
今定例会中に提案すべく検討を進めています。
具体的には、国の「重点支援地方交付金」を活用し、家庭用LPガス利用者・特別高圧電力を
利用する中小企業などに対する支援の継続、それに加え、昨年度も実施した光熱費や
食材費等の高騰の影響を受けている高齢者施設や保育所、私立学校、医療機関のほか、
飼料価格の高騰に苦しむ畜産事業者、燃料油価格高騰の影響を受ける公共交通等事業者への
一時支援金など、まずは生活者・事業者に緊急的に支援を届ける施策を検討しています。
また、現在募集中の「はばタンPay+第4弾」が大変好評を博しており、
予定を上回る申し込みがある可能性があることから、
その対応も検討していかなければならないと考えています。
また、ご指摘の新たな子育て世代への支援や、「はばタンPay+第5弾」の実施による年度末、
そして新年度の家計応援については、国交付金の配分額も勘案しながら
第4弾延長するのかどうかも含め検討していきたいと考えています。
なお、QRコード読取方式の導入などデジタルと紙媒体の併用については、
費用面や取扱店舗が限定されるなどの課題も多く、他自治体の事例も
注視していきたいと考えています。
物価高騰に苦しむ県民生活や事業活動を守り抜くため、必要な対策を検討し、
早急に取りまとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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9. フリースクール等へ通う児童生徒への経済的支援について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]これまで我が会派は、不登校対策に力を入れ、今年度は校内サポートルーム
の設置促進のため不登校児童生徒支援員の配置や、
大学生が不登校児童生徒の学習支援などをする「ハートフレンド人材バンク」の創設等、
様々な取組を実現してきました。
不登校児童生徒数が過去最多を更新するなか、多くの児童生徒がフリースクール等の
民間施設に通っています。
本年10月、民間の調査で子どもが不登校になった保護者の約5人に1人が離職を
余儀なくされたとの発表がありました。
子どもの学びを支えるために、保護者が退職や転職、働き方の変更を迫られ、
気分の落ち込みなど精神的にも負担があると調査の結果が出ています。
フリースクール等を利用するためには、全国平均で入会金が約53,000円、
利用料は約33,000円かかります。現在、民間施設に通う家庭への経済的支援の実施状況は、
全国では8都県、県内市町では尼崎市等3市町で実施しています。
他県の例として、富山県では、所得制限なしでフリースクール等の利用料金の半分、
上限月15,000円を保護者へ支給する「フリースクール等の通所支援事業」が開始されました。
この事業により、経済的負担の軽減の他に、県が公に支援することで、
安心して民間施設に通所でき、家庭と学校の連携が取りやすくなったこと、
民間施設と学校との情報交換もしやすくなったとの報告があります。
県が率先して取り組むことの効果は大いにあると考えます。
ひょうご不登校対策推進協議会においても、経済的支援を求める意見が提出されています。
あわせて昨年12月の本会議において、島山議員の代表質問で知事に経済的支援に
対する質問をし、齋藤知事は「フリースクール、これは民間でやられているもので、
学費も比較的かかるという実情もあると思いますので、県がどの辺を、
まずは来年度から対応していくのかということをしっかり教育委員会と連携しながら
考えていきたい」と答弁され、また決算特別委員会では、
教育長から「県教育委員会としては、フリースクールなど民間施設に通う家庭への経済的支援は、まさに教育機会確保法の基本方針に基づく不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保に
繋がるものであり、具体的な経済的支援について検討している。」と答弁をいただいたところです。
そこで、過去最多を更新している不登校児童生徒とそのご家族のためにも、
早急に対応すべきと考えますが、フリースクールに通う不登校児童生徒に対する経済的支援
について、具体的にどのような検討がされ、対策を講じようと考えているのか、
当局のご所見をお伺いします。[藤原教育長]昨年度の不登校児童生徒数が過去最多を更新する中で、
子供たち一人一人の状況に応じたきめ細かな対応が必要である。
そのためにも多様な居場所の確保と保護者等への支援が重要であると考えている。
フリースクールなど民間施設等で活動した不登校児童生徒数は、
令和5年度621人で、この5年間で約3倍に増加している。
民間施設に通う家庭への経済的支援は喫緊の課題となっており、
本県のひょうご不登校対策全県推進協議会やフリースクールとの意見交換会からも
強い要望を伺っている。
また、先月開催をいたしましたひょうご不登校対策推進委員会では、
委員からは「同じ施設に通ってくる児童生徒の居住地によって経済的支援に
差があるのは不公平であり、支援を始めた市町があるのであれば、早急に全市町で展開すべき」との意見も出されている。
ご指摘の8都県の経済的支援の実施状況については、施設利用料や授業料、
交通費や実習費等を対象として、概ね月額1万円から1万5千円程度を上限に支援をしている。
また県下の3市町においても、例えば尼崎市ですと上限1万円、明石市でも上限1万円など、
概ね他県と同様の支援状況となっている。更に、県下の未実施の市町からも、
県と市町の協働事業としての予算化を望む団体が多い状況にある。
このため県教育委員会としては、このように先行している他県や県下市町の
先ほど紹介した支援の内容を十分踏まえながら、施設利用料等への経済的支援について
検討しているところである。
今後本格化する令和7年度当初予算編成過程の中で、しっかりと予算協議していく。
今後とも、多様なニーズに応じた不登校対策を総合的に推進していく。
一般質問
菅雄史県議
[質問項目]
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1. 災害時の高齢者等要配慮者に対する支援の連携強化について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]災害時、高齢化の進展を踏まえた支援として、国の防災基本計画で
福祉的支援の強化が追加されたことに伴う連携体制の充実についてお伺いします。
年始に石川県能登半島地方を震源とする(M)7.6、最大震度 7 を観測する
令和6 年能登半島地震が発生しました。
さらにその被害の爪痕が残る中で、9月には豪雨災害も発生し、
甚大な被害を及ぼしました。
被災されたすべての皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに
1 日も早い被災地の復旧復興を心よりお祈り申し上げます。
また、4 月には、豊後水道沖、愛媛、高知などの四国地方で統計開始以来、
初めて震度6弱を観測した地震が発生。8月には日向灘を震源とする(M)7.1の地震が発生し、
気象庁は初めてとなる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表し、
県内の21市3町も対象となりました。
以前より公表されている通り、南海トラフ地震発生の可能性が高まっており、
改めて日頃からの災害に対する備えが大切であります。
6 月に政府の中央防災会議は災害対応の基礎となる「防災基本計画」を修正しました。
今回の能登半島地震で高齢者や要配慮者が数多く被災したことを踏まえ、
災害応急対策に「福祉的な支援」の必要性が明記されました。
高齢者ら要配慮者などの災害時対応を巡り、避難所等での不自由な環境下で
生活が不活発となり、災害関連死に至る危険性が高まることから、避難所での
住環境を整えたり、体を動かすよう助言したりするなどの支援が行われてきた一方、
理学療法士などのリハビリ専門職は法令などで位置づけられていませんでした。
今回の「防災基本計画」の修正において、保健医療福祉に係る支援者として
「日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)」などのリハビリ専門職の役割が
明確となりさらには災害派遣精神医療チーム(DPAT)や災害支援ナースの充実強化、
日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)との連携などを国や都道府県に
求める内容となっています。
国は、大規模災害が発生した場合に、こうした保健医療福祉活動チームの派遣調整や
情報連携等の総合調整を行うための本部を設置するよう求めており、
本県でも能登半島地震を踏まえたひょうご災害対策検討会において、
保健医療福祉調整本部の体制の充実が議論されています。
以上で指摘したような今回の国の防災基本計画の修正等を踏まえ、県として
今後どのように大規模災害時における高齢者等要配慮者に対する支援について、
保健・医療・福祉の連携強化をどのように進めていくのかについて、
当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]今年1月の能登半島地震では、多くの高齢者が長期間の避難を余儀なくされ、
直接死を上回る災害関連死が発生したことから、改めて、保健・医療・福祉が連携し、
切れ目のない持続的な高齢者支援の重要性が浮き彫りとなりました。
このため、県では、11月に地域防災計画を修正し、福祉的支援の充実に向けた記載を
追加するとともに、現在開催している検討会で、分野横断的かつ長期的な支援体制の
構築についても検討を進めています。
能登半島地震におきましては、県職員等で構成する保健師チーム等の派遣に加えまして、
福祉的支援として、福祉施設職員などで構成する災害派遣福祉チーム「兵庫DWAT」を
初めて派遣いたしました。避難所の巡回などにより、相談指導や日常生活の支援を
実施していただきました。
今後も引き続き、県社会福祉協議会等とも連携し、支援活動の拡大に向けた
人材育成等を推進してまいります。
大規模災害発生時に保健・医療・福祉の調整を図るためには、災害対策本部の
内部組織として保健医療福祉調整本部を設置し、災害派遣医療チーム(DMAT)、
そして災害派遣福祉チーム(DWAT)、災害派遣精神医療チーム(DPAT)等の
保健医療福祉活動チームと、福祉部と保健医療部の各課が連携し、派遣調整や
情報連携など総合的な調整を行うことが重要でございます。
今後も、保健医療福祉活動チームとの更なる連携をすすめるとともに、
職員の研修や訓練への積極的な参加など、大規模災害時における体制構築に
引き続き努めてまいります。
[菅県議コメント]特に今回、リハビリの専門職の役割が明確になったことが一番のポイントでして。
とにかく能登半島では、高齢者率が非常に高い中で、
避難所生活が本当に長かったということで。県内の首長さんとお話しする中で、
特に但馬のほうだったと思うんですけれど、能登で起きた状況というのはまさしく、
兵庫県の高齢化が進んでいるところで起きても全く同じ状況だと。避難所生活が長引く中で
高齢者の方が体を悪くして、関連死につながっていくということは、
国としても大きな課題だということでの修正でございますので、
各所がしっかり連携をとっていただき、例えば各機関との災害時対応の協定を
しっかりと結んでいって。派遣した際どこが費用負担するんだとか、
そこはやはり協定を結んでおかないと。
今回はじめてDMATが能登に行っていただきましたが、
協定を結んでしっかりとやれば、迅速に対応できるのではないかなと思いますので、
今後もよろしく申し上げます。 -
2. 災害発生時における視覚障がい者等への情報伝達について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]災害発生時、特に視覚障がい者や小さな文字が読めない高齢者にとって、
現在地の状況や避難先を自身で把握した上で安全に避難することは非常に
困難であります。
情報入手は音声が頼りであり、例えば、音声読み上げソフト等を活用し
「ひょうご防災アプリ」の通知内容を確認することができたとしても、
現在地点からどのように避難すべきかなど、
障がい者等にとっては安易なことでなはく、健常者との情報格差は非常に大きく、南海トラフ巨大地震などにも備え、視覚障がい者等への支援に向けた早期の対策が必要です。
本年4月より改正障害者差別解消法に基づき、「事業者」においても障がい者に
対する合理的配慮の提供を義務化しています。
また行政機関などに関しては2016年から合理的配慮が義務付けられており、
障がい者を守る法的義務への対応は我が県においても喫緊の課題であります。
このような法律的な根拠により現在、JAVIS(日本視覚障がい情報普及支援協会)が開発し、
文字情報を音声化した「ユニボイス」と呼ばれる2次元コード(音声コード)は、
我が県含み全国自治体の印刷物や、「ねんきん定期便」、
「水道料金の検針票」、「国民健康保険医療費のお知らせ」などに導入され、
「音声コード」は今や生活のインフラの役割を担っております。
一方、水防法において、浸水想定区域にある市区町村は、住民や滞在者への周知を
目的としてハザードマップの配布といった必要な措置を講じる義務があります。
2021年、国土交通省が実施したアンケートでは、障がい等の特性に応じた
ハザードマップの作成は各自治体において進んでいない実態が明らかとなっております。
ハザードマップは、現在地と周辺のリスクの規模や範囲が色分けされて平面に
表現された地図であり、視覚障がい者等にとってその情報の活用が難しく、
視覚障がい者団体などからの要望を受け、「耳で聴くハザードマップ」が開発され、
富山県、熊本県などの都道府県や、福岡市などの政令指定都市での導入が進んでおります。
「耳で聴くハザードマップ」は音声コードの文字情報を自動音声で読み上げる無料の
スマートフォンアプリ「Uni-Voice Blind」(ユニボイスブラインド)を利用し、
アプリはGPSにより現在地を特定。その場所と周辺の洪水・津波・高潮・土砂災害の
リスク情報、避難所までのルート、警報・注意報・防災ハンドブックの内容を
聴くことができ、外国語にも対応しています。現在地の危険度や避難場所がすぐに
分かるので、健常者にとっても非常に有効であると言えます。
このような事例も参考にしながら、今後県として、災害発生時における視覚障がい者
等への対策についてどのように健常者との情報格差の解消を進めていくのか。
当局のご所見をお伺い致します。[危機管理部長]災害発生時における視覚障がい者等への情報伝達についてお答えさせていただきます。
大規模災害におきましては、高齢者や障がい者の死亡率が高く、
特に東日本大震災の津波被害におきましては、逃げ遅れ等がその一因となったと
言われております。
南海トラフ地震の脅威が迫る中、同じ悲しみを繰り返さないためにも、
これらの要配慮者の命を守る取り組みの推進が重要となってまいります。
視覚障がい者等へは、市町が発令したします避難情報が音声で伝達されることが
必要でありまして、各市町に対しまして、防災行政無線による放送や
拡声器によります呼びかけ等の多様な手段による情報伝達を促しております。
そのうえで、避難にあたりまして支援が必要となる障がい者等に対しましては、
個別避難計画の整備によりまして、確実に避難ができるよう、
各種研修や助成事業等に取り組んでおります。
また、視覚障がい者等がデジタル機器を利用して防災含めて様々な情報を取得できるよう、
ICTサポートボランティアの養成研修や、ICT相談にも取り組んでいるところで
ございます。
ご指摘の耳で聴くハザードマップでございますが、視覚障がい者向けに開発された
アプリで、だれでも容易に操作ができ、わかりやすく防災情報を提供できることから、
県内市町や他府県の取組み、さらには、国の動向も注視しながら研究していきたいと
考えております。
今後も能登半島地震を踏まえた検討会の報告・成果の反映を含めまして、
要配慮者対策に取組み、誰一人取り残さない安全安心な兵庫の実現を目指して
参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
[菅県議コメント]先ほど、耳で聴くハザードマップというものを伝えさしていただきまして、
これは視覚障がい者の当事者の声を反映して開発されたものでございまして、
別の視点で、視覚障がい者の方のスマホの普及率というのが、
2割ぐらいしかスマホを使われてないということでございます。
もうその時点で視覚障がいの方はまさに、情報格差、情報社会において
取り残されている状況でございます。
この音声コードまたユニボイスブラインドというものはですね、
スマートフォン普及にも繋がってくるものであるので今回取り上げさせていただきました。
先ほど部長も言われました、ユニバーサル社会づくりを進める意味ではですね、
しっかりと検証していただいて、この災害時の情報格差の解消を
進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、
次の質問に移りたいと思います。
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3. 鉄道の第4種踏切の解消に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]次の質問は、県内に残る鉄道の「第 4 種踏切」の解消に向けた
取組についてお伺いします。
本年4月、群馬県高崎市の上信電鉄の踏切で9歳の女児が電車にはねられて
亡くなるという痛ましい事故が起きましたが、現場の踏切は遮断機と警報機が
ともに設置されていない、いわゆる「第4種踏切」です。
事故を受けて、群馬県は2029年度末までに「第4種踏切」を可能な限り「廃止」、
もしくは警報機と遮断機のある「第一種踏切」へ「転換」する方針を示しました。
国土交通省も、関東運輸局と関係自治体、鉄道事業者などでつくる協議会を開催し、
全国の「第 4 種踏切」の統廃合や遮断機と警報機の設置を進め安全対策を進めていく
方針を示しております。
国土交通省が公表した、令和 5 年度「鉄軌道輸送の安全に関わる情報」によりますと、
全国に存在する 3 万 2,371 カ所ある踏切のうち、「第 4 種踏切」は
年々減少しつつありますが、地方を中心に2,367カ所存在。
我が兵庫県下では52ヵ所あると見られ「第4種踏切」がある路線は、神戸電鉄が
36 カ所と最も多く、その他にはJR播但線や北条鉄道などいずれも列車本
数が少ない単線区間に多くあります。
「第4種踏切」は、遮断機と警報機がある「第1種踏切」に比べ事故の発生率が高く、
全国では、過去10年間で「第4種踏切」で起きた事故は257件に上り、
58人の命が失われています。
踏切事故件数は、立体交差化や統廃合による踏切道数の減少や「第 1 種踏切道」への
改良等、踏切保安設備の整備等により年々減少していますが、全国的には
対応がなかなか進んでいない状況であります。
「第 4 種踏切」は農耕者の通行や生活道路、通学路になっている場所も多く、
廃止について地元住民の理解が得にくいという事情や、「第1種踏切」への改良は、
1 カ所につき数千万と多額の改修費用が必用なため、鉄道事業者にとっては
負担が大きく事業者単独で進めるには難しい状況であります。
群馬県は、29年度末までには「第4種踏切ゼロ」を目指し、県と市町村が一斉に
対策を進めており、9月末現在、閉鎖完了、閉鎖予定は18、第1種化予定が5カ所、
残り51カ所も住民との協議を継続中で29年度末までに「第4種踏切ゼロ」に向けて
推進しております。
我が県においても鉄道事業者と市町村(道路管理者)との調整や、
第 4 種踏切の対策方針を作成し、1 日も早く県民生活の安全、安心に関する
取組を進めるべきではないかと思いますが、当局のご所見を伺います。[土木部長]第4種踏切の解消に向けては、鉄道事業者や市町と連携し取り組んでいるものの、
①遮断機と警報機のある第1種踏切は数千万円と多額の費用を要すること、
②廃止は住民合意を得ることが困難なことから実現には至っておりません。
現在は、安全確保のため、鉄道事業者による注意喚起看板の設置や、踏切手前で
警笛を鳴らすなどの対策を推進するとともに、国・県・市町・鉄道事業者で構成する
「兵庫県踏切道改良協議会合同会議」におきまして、事故防止のための情報共有を
図っているところでございます。
さらに県では、群馬県での死亡事故を受け、鉄道事業者と市町に対し、
より一層の安全対策と沿線住民への啓発を依頼し、現地を調査するなど、
踏切毎の対策方針の作成に向け、関係者と調整を進めているところでございます。
引き続き、鉄道事業者と市町に対し、第4種踏切の1種化や廃止に向けた地元調整を
進めるよう働きかけて参ります。
また1種化や廃止が難しい場合は、当面の対策として、手動で開閉できる
簡易で安価な踏切ゲート設置の検討を促して参ります。
今後も県民生活の安全安心を確保するため、鉄道事業者や沿線市町と連携し、
第4種踏切の解消や安全対策に取り組んで参ります。
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4. 近代土木遺産 湊川隧道などの活用による建設業の人材確保について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]国登録有形文化財に登録され、貴重な近代土木遺産である「湊川隧道」をはじめとする
インフラ施設について、土木技術を学ぶ場として活用することで、
今後の人手不足に悩む建設業の人材確保に繋げられないかお伺い致します。
約100 年の歴史を誇る「湊川隧道」は、湊川の付替えによって
1901年(明治34 年)に築造され、日本初の近代河川トンネルとして、
当時の高度な土木技術で作られた貴重な歴史的価値を有する土木遺産であります。
河川トンネルとしては当時世界最大規模であり、トンネルが作られる前の湊川は
天井川であった為、開港場の神戸と古くから続く港町の兵庫を分断し、
東西交通の障害になっており、川沿いに幾度となく洪水被害をもたらしました。
このため湊川の付け替え、そして標高 85m の会下山をくり抜きトンネルで
水を流す河川トンネルとして造られました。
トンネルの規模は約600m、幅約 7.3m、高さ約 7.6m であり、煉瓦覆工に堅積み
と呼ばれる技法を用い、覆工背面には裏込めが密に施されトンネルの安定性に
大きく寄与しております。
現代のような建設機材がない時代に、ツルハシやノミ等を用いて手堀りで作業され、
河床面に切石(花崗岩)を敷き詰める洗堀・摩耗対策や、壁面に水抜きを設置する
湧水対策など、当時の最高レベルの技術が集積されたものです。
阪神・淡路大震災で被災した新湊川の河川改修事業により 2000 年(平成 12年)に
新湊川トンネルが完成したことで、「湊川隧道」は河川トンネルとしての役目を
終えましたが、河川を付替えるという当時の地域社会の情勢や歴史的経緯、
トンネル施工技術、その土木構造物としての価値が評価され保存されました。
2011年には土木学会選奨土木遺産に認定され、2019年には国登録有形文化財に
登録されております。
現在、建設業においては、働き方改革関連法による影響のほか、業界全体の慢性的な
人手不足が叫ばれて久しく、国を挙げて人手不足解消に向けた対策が進められています。
「湊川隧道」などの近代土木遺産の歴史や時代背景を学ぶことや、県管理の
インフラ施設などに接し社会基盤整備を担った先人の土木技術を学ぶことは、
人手不足に悩む建設業への関心を高めるものであります。
そこで、今後、県内小学生、中高校生を対象とした現場見学会の場として
「湊川隧道」などのインフラ施設の活用の機会を増やし、SNS なども活用しながら
若者・Z 世代への発信を進めて建設業の人材確保に取組んで頂きたいと思いますが、
当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]建設業が地域の守り手として、将来にわたり持続的に役割を担っていただくためには、
「インフラ施設の活用」と「建設業界全体のイメージアップ」を通じて
人材確保に取組むことが重要であると考えております。
インフラ施設の活用については、今年度、城崎大橋や引原ダム、尼ロック等を対象に
現場見学会を55回、出前講座を33回、インフラツアーを7回実施しております。
近代土木遺産の湊川隧道では、土木の日の通り抜けイベント等で約6千人を受入れ、
そのうち小中高等学校で220人の参加がございました。
見学会では、湊川の付替えや隧道の構造を紹介する等、
土木技術を学ぶ内容としております。
このような取組もありまして、来春採用予定の県土木職員の中には、
過去の見学会等を機に入庁を目指した学生もおりまして、
今後も余部鉄橋等の県内各地の近代土木遺産等を巡るインフラツアーの実施等、
更なる活用に取組んでいきたいと思っております。
建設業界全体のイメージアップにつきましては、県・業界・教育関係者等から成る
「兵庫県建設業育成魅力アップ協議会」を通じて魅力発信に取組んでおります。
具体的には、若手や女性技術者の活躍を新聞紙面や動画により情報発信しております。
本庁土木部と土木事務所が今年の9月から若者向けに建設業の魅力を伝えるため、
インスタグラムで工事の様子やインフラ施設の整備効果、
イベント情報等を幅広く投稿しておりまして、引続き様々な切り口で
内容を充実させていただきます。
今後とも、インフラ施設を現場見学会等で活用するとともに、
各種媒体での情報発信により、建設業の人材確保に取組んで参ります。
[菅県議コメント]知事からご答弁いただきました隧道のお話ですけども、
インフラの発信をしっかりやっていただきたいのと先週末、地元の県立工業高校の
先生とお話する機会がございました。
県のほうも学校に予算をつけていただいているんですけども、
工業高校も昔は土木科、電気科、機械科とか3つぐらいだったんですけど、
情報とかデザインとか建築とか7つぐらいに増えたので予算を3分割していたのを
7分割しないといけなくなり、非常にそのあたり苦心していて、
どちらかというとОA、情報、パソコンとかは充実しているけど、
逆に機械科や土木科が、実習する時の鉄くず、鉄の端材等が全然なくて、
OBとかが寄付していただくなど、非常に苦心している。
工業高校は特色がありますし、昔と状況が変わっていますのでそういった部分の
フォローとかをしっかりやっていただきながら、
情報発信をしていただきたいと思いますので
ちょっと現場のお話をさせていただきました。 -
5. 外国人介護人材の受入れ、確保について
質問と答弁のダイジェスト
[菅議員]次の質問は、国の従来の技能実習制度に代わり、新たな外国人材受入れ制度である
「育成就労制度」が間もなく始まる中で、県の今後の外国人介護人材のさらなる受入れ、
確保、施策についてお伺いします。
現在、未曾有とも呼ばれる介護分野の人材不足は深刻であり、厚生労働省の
「職業安定業務統計」が示した23年度の訪問介護員の有効求人倍率は14.14倍。
2040 年に必要とされる介護労働者は 272 万人と推計され、毎年約 3~6 万人の新たな人材が
介護分野には必要であり人材確保は喫緊の課題であります。
さらに、国際的に人材獲得競争が激しくなる中で外国人から見ての日本、
そして我が兵庫県内で働き先として魅力ある環境を整えていく施策が重要であります。
国においては、6 月の通常国会で、従来の技能実習制度に代わる就労を通じた
人材の育成・確保を目的とする外国人材の受け入れの新制度「育成就労制度」の創設に
向けた改正入管難民法などが成立し、新制度は2027年にも施行されます。
「育成就労制度」では、受け入れる外国人材を 3 年間で一定の知識・技能が必要な
「特定技能1号」の水準にまで育成することを目指し、「1号」を取得すれば、
さらに最長 5 年間、日本で働くことができます。
介護の分野においては、その間に、介護福祉士の資格を取得すれば在留資格の
更新に制限がなくなり、家族の帯同や事実上の永住も可能となり、
外国人にとっては日本でのキャリアアップの道筋が分かりやすくなるのではないか
と考えられます。
また、近年、県内で「特定技能 1 号」の在留資格を持った外国人介護人材が
増加傾向にあります。
我が県では外国人介護人材の受入れ、確保においては、
10 月に公民連携による外国人介護人材の育成、活躍に向けた取組に関する
連携協定を締結し、即戦力として期待の高い特定技能の外国人介護人材の確保及び
育成に独自のルートで先駆的に取り組む県内の社会福祉法人等と連携した取組を
推進して頂いております。
しかしながら外国人介護人材の受入れスキームのない県内事業者にとっては
費用負担なども含めまだまだハードルは高いのが現状であります。
なお、神戸市でも現在、産官学連携による外国人介護人材の受入れが行われており、
市内大学での留学生受け入れから在留資格「特定技能 1 号」の取得支援や
市内介護施設等への就職、日常生活等に連携して取り組み、外国人介護人材の確保、
定着を図っており、全国的にも注目されていると聞いております。
国の「育成就労制度」の創設や神戸市の取組など外国人介護人材の確保に向けた
様々な動きがある中で、
県として今後の外国人の介護人材のさらなる受入れ、確保、施策について
どのように取り組んでいくのか当局のご所見をお伺いします。
[福祉部長]高齢化の進展により介護需要が増大する中、介護人材の確保のため、外国人介護人材の定着・促進の取り組みは非常に重要です。
県では、平成30年4月に、兵庫県社会福祉協議会を実施主体とする
「ひょうご外国人介護実習支援センター」を開設し、
技能実習生の受入業務を行っているほか、令和3年度から特定技能制度の登録支援機関として、
外国人介護人材の受入れを促進しています。
技能実習制度については、ご指摘のとおり転籍の制限など課題があり、
令和9年度以降、「育成就労制度」へ移行することとなっております。
今後、国の動きを注視しながら制度移行後も円滑に受入れが進むように適切に
対応していきたいと考えております。
定着の促進については、同支援センターに実習生の仕事や日常生活に関する
相談窓口を開設するとともに、日本語や介護技術の研修の実施、
永住が可能となる介護福祉士の資格取得を支援しています。
さらに、本年10月より、先ほどご指摘もありましたが、
一定の専門性・技能を有する特定技能外国人の受け入れに先駆的に取り組んでいる
社会福祉法人等と連携協定を3者と締結し、費用負担に配慮しつつ
県内事業所へ外国人介護人材を提供する仕組みを構築しました。
来年1月に外国人受入れ促進セミナーを開催し、この仕組みを更に周知させていただき、
また、外国人の受入れの手続き等の説明もさせていただき、
マッチングに繋げていきたいと考えております。
今後とも、県内事業所や市町とも連携しながら、
外国人介護人材の受入れ・定着を推進してまいります。
[菅県議コメント]外国人介護人材の受入れと確保ですが、現場の介護施設に直接お伺いしますと、
事業者にとっても費用負担が非常に大きいということで、
継続性が非常に壁になっております。
今回、先駆的に取り組んでおられる社会福祉法人と連携協定が結ばれて、
これがさらに大きく、具体的にいうと予算もしっかりついて進めていければと思います。
また、先ほど部長からお話のありました
「ひょうご外国人介護実習センター」について、
実際にどこまで現場の方に人材供給まで繋がっていけるのかを検証しながら、
提案ですが、実績のある民間にもっと入っていただいて、
業務委託も含めてやっていくことも検討として入れていただければと思っております。 -
6. 自転車の道路交通法改正について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]警察庁の統計によると近年、交通事故の件数が減少する一方、
全事故に占める自転車が関わる割合は、2割を超え、令和3年以降増加しております。
兵庫県におきましても、自転車関係事故件数は年々減少しているものの、
令和元年以降、全人身事故の25%前後で推移しております。
県下では、令和5年中の自転車が関係する交通事故 4.184 件のうち、
自転車対車両の交通事故が3.771 件(90.1%)と最も多くなっており、
同じく令和5年中、自転車乗用中の死
者数は高齢者の方9名を含み13名と、県民の自転車運転の安全意識向上は、
交通事故情勢全体にも大きく影響する、喫緊の課題であります。
全国的に、自転車が歩行者と衝突し、死亡や重傷につながる重大事故も
発生している状況を踏まえ、今年5月に改正道路交通法が成立。
11月1日より改正道路交通法が一部施行となり携帯電話を使用しながら
自転車を運転する「ながら運転」の罰則が強化され、「酒気帯び運転」についても
罰則が新設されました。
改正前の道交法でも自転車は、信号無視、酒酔い運転、一時停止違反などが
禁止されていましたが、改正道交法では「ながらスマホ」が
禁止事項として明記され、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金へと
厳格化されました。
「酒気帯び運転」についてはこれまでも禁止事項であったものの
罰則の対象外でしたが、
改正法では新たに3年以下の懲役、または50万円以下の罰金を科すとしたほか、
自転車や酒の提供者なども新たに罰則の対象としました。
自転車は免許が不要で、身近な移動手段として、県民生活に根付く一方、
安全運転が軽視されがちであり、罰則の強化で、危険運転を減らしていくのと同時に、
安全意識を高める取り組みが重要であります。
改正道交法では令和8年5月までに、交通違反を反則金の対象とする「青切符」を
自転車に導入し、信号無視や一時不停止など明白で定型的な違反を反則行為の
対象とすることとなるほか、
16 歳以上に適用されるため、通学で自転車を利用する高校生らも対象となることから、
オンライン講習なども活用しながら学校や地域の連携による講習を受けられる
環境づくりが求められております。
一方で令和5年4月に努力義務化となった自転車乗車用ヘルメットの本県の着用率は
警察庁の公表した調査結果では全国平均を大きく下回る7.7%であり、
県民への自転車運転の安全意識のさらなる啓発が求められております。
県警察として、今後の自転車の安全対策を推進する上で、学校と連携した
安全講習会の開催や改正道路交通法の周知について、
どのように取組を強化していくのか当局のご所見を伺います。[県警本部長]この度の道路交通法の一部改正法の施行を受け、県警察では、
街頭における自転車利用者への直接の周知に加えて、自転車販売店や携帯電話販売店、
酒類提供飲食店などの店舗に対する周知やポスターの掲示、啓発チラシの備え付けなど、
事業者と協働した取組を推進するとともに、啓発動画を作成してSNSへ投稿するなど、
幅広く情報発信を行っているところ。
また、学校と連携した交通安全教育としては、従来から学校を訪問して積極的に
交通安全教育を行っていますがこれに加えて、令和2年度から教育委員会と連携して
実施している高校生向けの「兵庫県警察自転車セーフティープロジェクト」
これは学校単位で参加していただいているものですが、タブレット等を活用した
交通ルールの学習やミニテストを行っており、
本年からは、これを小・中学校にも拡大して実施している。
県警察では、引き続き、関係機関と連携して、道路交通法の改正内容の周知、
特に児童生徒に対する自転車のルールの浸透を図るほか、
自転車乗車用ヘルメット着用の啓発活動を積極的に行い、
社会全体の自転車安全利用意識の高揚を図っていく。
[菅県議コメント]自転車への対策については、御答弁のとおり、引き続き進めていただきたい。
改正道路交通法の中で、「モペット」と呼ばれるモーターで自走する
ペダル付き電動バイクがよく走っているのですが、
運転免許が必要な原動機付自転車やバイクに相当すると明記され、
いわゆる電動アシスト自転車とそっくりで、
私が素人目に見ても分からないものの、明らかに違反となるものです。
こういったペダル付き電動バイクについて、
知らずに乗っている方もいますので、それも含めて周知していただきたいと思います。
次に、自動車教習所との連携についてです。
我々が運転免許を取得したときは、今回のように道路交通法が
改正されていなかったのですが、教習所で若い方が運転免許を取るときに、
自転車の安全教育に関する啓蒙活動について、
警察と教習所が連携して、教習の課程の中に入れていただければと思います。
一般質問
大塚公彦県議
[質問項目]
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1. 県民の命を守る災害時の情報連携と防災アプリの改善について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]私は16歳のとき、芦屋市で阪神・淡路大震災に被災しました。
一瞬にして変わり果てた街並み。寸断された道路やライフライン。
何より、無数の尊い命が
奪われた記憶は、生涯消し去ることはできません。
あのとき、情報がもっと早く、もっと的確に届いていれば、
救われた命があったかもしれない。
私の防災対策への思いは、この自身の体験が原動力です。
兵庫県は、これまで全国に先駆けて防災対策を進めてきました。
その象徴のひとつが「フェニックス防災システム」です。
このシステムは、被害予測や迅速な情報共有を可能にし、
発災直後の円滑かつ迅速な初動対応を実現するために構築されたものです。
フェニックス防災システムは、震度分布や建物被害、人的被害の予測、
映像情報の集約など、全国的にも評価される機能を有しています。
しかし、災害の激甚化、頻発化が進む中、さらに強固な体制が必要です。
現在、国が推進している新総合防災情報システム(SOBO-WEB)との連携が進めば、
国と県の情報共有がより強化され、市町・消防や防災関係機関等に迅速かつ
的確な支援策や情報を提供できると期待しますが、
今後、県は国との連携をどのように進めていくのでしょうか。
その方針をお伺いいたします。
また、その情報を的確に県民の皆様に伝えることが、何より重要だと考えます。
そこで大切なのが、ひょうご防災アプリです。このアプリは、
阪神・淡路大震災の経験を基に、県民が災害時に必要な情報を取得し、
迅速な行動ができるよう設計されています。
しかし、私は防災先進県である兵庫として、さらに高みを目指すべきと考えます。
現在のアプリには、通信が遮断された場合に利用できるオフライン機能が
充実していません。
避難所情報やハザードマップ、備蓄品リストなど、災害時に必要な情報を
事前にダウンロードし、オフラインで確認できる仕組みが求められます。
また、デザイン性や操作性の面で、大阪府や他県のアプリと比較して改良の余地が
あることも事実です。
たとえば、警戒レベルの色分けや、世代別の利用者に配慮した
インターフェースを導入することで、直感的に利用できるアプリを目指すべきです。
さらに、防災意識を日常から高めるための新機能も必要です。備蓄品リストや
防災ツール機能を通じて、家庭での準備を後押しする仕組みを追加することで、
県民の安全を守る一助となるでしょう。
私は、災害時の困難を肌で経験した者として、県民一人ひとりに寄り添い、
より良い防災システムを提供することが県の使命だと考えています。
明年の1月17日は、阪神・淡路大震災から30年の大きな節目です。
また、今後、南海トラフ地震などの発災に備えることも大切です。
今後、ひょうご防災アプリをどのように進化させ、県民の安全と安心に寄与するのか、
具体的な取組をお伺いいたします。[危機管理部長]県民が災害時に適切な防災行動を取るためには、
迅速かつ正確な行政からの情報提供が重要であります。
国の新総合防災情報システムにつきましては、国、自治体、
関係機関の情報共有を目的として整備され、今年度から運用を開始しております。
県では国と連携しながら、関係機関で災害対応を行う際に必要となる情報の
共有等におきましてさらに有用となるシステムの構築を目指しまして、
今後県・市町と県内防災機関を結ぶフェニックス防災システムと
国システムとの連結を図ります。
併せまして、フェニックス防災システムにおきまして市町の避難判断支援等の
機能拡充につきましても予定しております。
次に、令和元年5月から運用開始しておりますひょうご防災ネットアプリ
についてでございますが、県及び全市町が参画いたしました、
県民に対する避難情報を中心とした情報提供ツールでございまして、
現在40万を超えますダウンロードを得ております。
今後もより一層の普及を図るとともに、県民への情報提供を充実させるため
、ユーザーのニーズの把握や他の自治体の防災アプリ、
事前防災ですとか防災学習機能あるいは備蓄チェックリスト等がありますけれども、
そういったものを参考にしながら、ご指摘のオフライン機能や
コンテンツの充実のほか、デザインや色の工夫等、利便性の向上に努めて参ります。
引き続き、災害時において県民が必要とする情報提供の一層の充実を図るため、
防災情報システムの高度化や防災ネットアプリの機能向上など、
不断の改善を行って参りますのでどうぞよろしくお願いいたします。
-
2. 「温泉ツーリズム」を軸としたインバウンド誘客について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]兵庫県は、歴史と文化に根ざした豊かな観光資源の宝庫です。
中でも、〝温泉〟は、国内外からの観光客にとって非常に魅力的な
観光資源の一つです。
私の地元、神戸市北区の有馬温泉も 1300 年以上の歴史を持ち、
「日本三古湯」の一つとして人気も絶大です。
しかし、大変残念なことに、兵庫県のインバウンド観光客数は、観光庁の
2023 年訪日外国人消費動向調査によりますと、訪問率では
大阪府 39.6%、京都府29.8%、奈良県7.8%に対し、
兵庫県は5.9%と近隣府県と大きな差がついています。
また、兵庫県の平均宿泊日数は 1.7 泊と短く、1 人あたりの旅行消費単価も
28,532 円と低い水準です。
これは、県内の観光地が「日帰り」に適していると認識されているからです。
また、兵庫県は大阪や京都に比べて国際的な認知度が低く、
観光地が広範囲に点在しているため効率的な観光が難しいと思われているようです。
こうした課題解決にむけ、県は「ひょうご新観光戦略(2023-2027 年度)」を策定され、
私も大きな期待を寄せていますが、加えて、私は、温泉ツーリズムを軸とした
新たなインバウンド戦略を提案したいと思います。
明2025年は、大阪・関西万博の開催と、神戸空港への国際チャーター便の就航という
千載一遇の好機です。万博開催時、訪日外国人観光客の増加を関西空港だけで
賄うことが難しいと予測されています。
そのため、神戸空港は新たな受け入れ拠点として期待されており、
温泉地を巡る観光ルートの整備は兵庫県全体のインバウンドを強化する
有効な手段となります。
明年ほど、兵庫県にとって、大きなチャンスはないと考えます。
また、温泉は、その地域の自然環境や歴史、文化を反映しており、リピーターが
期待できます。
例えば、浴衣を羽織っての有馬温泉の「金の湯」「銀の湯」巡り、
城崎温泉の「外湯めぐり」などは、外国人観光客にとって、他にはない、
日本文化を体験できる非常に優れた観光資源であると聞きます。
よって、一度訪れた観光客がリピーターに、
また、口コミによる新たな訪問者の誘致が期待できます。
さらに、温泉ツーリズムは、単なる観光以上の価値を提供する可能性を秘めています。
例えば、地元の食文化や伝統的な手工芸、自然景観と組み合わせた
体験型プログラムを開発することで、温泉地でのさらなる宿泊が促進され、
滞在期間の長期化や経済効果にも大きく寄与すると考えます。
こうした提案を踏まえ、兵庫県では今後、温泉を中心としたインバウンド誘客に
どのように取り組むのか、当局のご所見をお伺いいたします。[齋藤知事]温泉や旅館は、日本独自の文化を体験できるコンテンツとしてインバウンドにも
人気が高い状況です。その中でも、有馬温泉などの県下各地の多彩な温泉地は、
京都や大阪にない本県の強みと捉えております。
一方、本県のインバウンド観光は、議員ご指摘の通り、滞在期間の長期化、
そして高付加価値旅行者の誘客が急務でございます。温泉地への誘客プロモーションは、
インバウンド誘客を強化する上で欠かせないものとなっております。
そのため本県では、例えば湯村の湯がき体験、城崎や有馬のまち歩きなどを
フィールドパビリオンに認定しているほか、温泉地での能楽鑑賞やお座敷遊び等、
特別な体験ができるコンテンツの造成を行うなど、高付加価値旅行者を
はじめとしたインバウンドの誘客に積極的に取り組んでおります。
また、今年度から実施しておりますデジタルプロモーションでは、
OTA サイト上で紹介する全てのモデルルートに温泉地を組み込んでおりまして、
広く世界に向けて発信をしております。こういった取組によりまして、
HYOGO の認知度向上はもとより、温泉地での宿泊の前後に周辺の観光地で
日本酒や食を体験するなど、温泉を軸に兵庫の魅力を周遊する旅を提案し、
観光消費の拡大に繋げて参りたいと考えております。
大阪・関西万博、神戸空港の国際化など本県へのインバウンド誘客拡大の
チャンスを活かしまして、温泉と本県の魅力ある観光資源をかけあわせた
プロモーションにより、誘客促進にこれからも取り組んで参ります
-
3. 急性期医療におけるリハビリテーションの推進と拡充について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]急性期医療は、病気やけがの発症直後に集中的な治療を行う重要な段階です。
しかし、現在の急性期医療においては、高齢化の進展に伴い、複数の疾患を併発する
マルチモビディティ患者が増加しており、その対応が課題となっています。
このような患者に対しては、主疾患の治療が優先される一方で、他の疾患への
対応やリハビリテーションが十分に行われていない現状があります。
その結果、患者の身体機能が低下し、要介護状態に陥ったり、
再入院が増加する事態が生じています。
こうした課題を解決するために、急性期医療におけるリハビリテーションは
欠かせない存在であり、患者が早期に身体機能を回復し、
生活の質(QOL)を向上させる鍵であり、再入院の防止や医療費の削減にも
大きく寄与します。
特に、心臓や肺の病気を抱える患者にとっては、リハビリを通じて治療後の合併症を
予防し、回復を早めることが極めて重要です。
現状では支援体制が十分ではありませんが、これを改善し、
患者一人ひとりに合ったきめ細やかなケアを提供することが求められます。
また、急性期医療から在宅医療へスムーズに移行するためにも、
リハビリテーションの充実が必要不可欠です。
こうした中で、兵庫県は全国でも先進的な取組を進めています。
特に、理学療法士会の協力を得ながら、マルチモビディティ患者に対応できる
リハビリ専門職の育成に力を入れています。
令和 5 年度には、理学療法士会の主導により研修会を実施し、
52 施設が参加しました。
参加施設からは「在宅分野でのリハビリの必要性が高まっている」との声が
多く寄せられ、その結果、伝達講習会や勉強会が開催されるなど、
現場での取組が広がっています。また、県立病院ではリハビリ専門職の
計画的な増員が進められ、リハビリ提供体制の強化が図られています。
こうした取組は、理学療法士の専門性と現場での実践力の高さを強く裏付けるものです。
政府は令和6年度の診療報酬改定において、
「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」を新設し、
多職種が連携する体制の整備を推進しています。
この新たな加算を受ける医療機関については、患者の入院後48時間以内に
ADL(日常生活動作)や栄養状態、口腔状態を評価し、個別計画を策定することが
求められるようになります。
これにより、患者の身体機能の低下を防ぎ、回復を促進する仕組みが整いつつあります。
しかし、さらなる高齢化が確実視される中で、リハビリテーションの重要性が
一般社会に十分浸透しているとは言い難く、現場の体制もまだ十分とは言えません。
本県の急性期医療におけるリハビリテーションをさらに推進し、より多くの患者が
その恩恵を受けられるようにするためには、どのような施策が必要でしょうか。
そこで、本県の急性期医療におけるリハビリテーションのさらなる推進と
拡充策について、当局のご所見をお伺いします。[保健医療部長]急性期医療におけますリハビリテーションの推進と拡充について、でございます。
入院生活がきっかけで身体機能や日常生活動作が低下する患者は、
全入院患者の30から40%にも上るとされております。
特に、高齢の患者におきましては、複合疾患を合併します、
いわゆる「マルティモビディティ患者」の割合も高く、入院の原因となった
疾患の治療に加え、日常生活動作の低下の軽減や防止が重要となります。
高齢化の進展に伴い、呼吸・循環器疾患等の内部疾患患者が増加する中で、
本年度の診療報酬改定では、「他職種と連携した日常生活動作を
低下させないための急性期での取組」が評価対象に加わるなど、
急性期リハビリの必要性は高まっているものと承知しております。
また、入院から在宅医療へのスムーズな移行と入院病床の適正な利用の
推進を図るため、令和5年度から、回復期にあるマルティモビディティ患者に
対応できるリハビリ人材の養成研修を支援しているところでございます。
今後、急性期リハビリを推進・拡充していくには、四肢の運動器リハビリだけではなく、
呼吸循環器リハビリも実施できる専門職の育成、
さらに急性期から回復期・在宅期まで切れ目なくリハビリを提供するための
連携強化が必要であると考えております。
現在、県の理学療法士会等からのご意見等も踏まえながら、
急性期リハビリの推進及び拡充に向けた更なる対策を検討しているところでございます。
引き続き、関係者等と連携しながら、誰もが希望する質の高い
リハビリテーションが受けられる体制の構築に向け、取り組みを進めまいります。
[大塚県議]続いて、再質問させていただきます。先ほどのリハの件ですね、
こちらについて再質問させていただきます。切れ目のないリハを
検討するというふうにありましたが、
急性期医療から在宅に対してのこのリハですね、
来年度以降どのようにお考えなのか、今言える範囲で結構ですので、
検討の中身教えていただけますでしょうか。[保健医療部長]議員ご指摘のように、切れ目のないリハビリテーションをどうするか、
これは地域医療構想とかも同じなんですけれども、地域包括ケアということで、
今まで入院した患者が地域で診ましょうということになっていますが、
ここでのやはり引継ぎというか情報の連携がうまくいってないっていうことと、
もう一つは、やはりだんだん就業人数が少なくなってまいりますので、
どういう形でそれを地域全体を広く診れるかとうところが非常に問題になってきます。
本当にプロフェッショナルだけで地域を診れるかという問題が非常にあります。
この辺を含めて今、県の理学療法士会と関係団体から様々な意見を聞いておりまして、
プロフェッショナルプラス地域全体で診れる、
こういう形でできたら地域包括ケアを完結する中でリハビリテーションも
しっかりつなぎたい、こういうふうに考えております。
[大塚県議コメント]ありがとうございます。コメントで終わります。切れ目のない支援、どうかお願いします。 -
4. パラスポーツ振興を支える施設整備と支援体制の強化について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]東京パラリンピックの成功や本年の神戸で開催された
世界パラ陸上競技選手権大会を契機に、障害者と健常者が共にスポーツを
楽しむ環境の整備が求められています。
しかしながら、兵庫県では「ひょうご障害者総合トレーニングセンター(仮称)」の
整備が進まず、県民から不安の声が上がっています。
このため、私は「ハード面の整備」と「ソフト面の振興」という二つの観点から、
同センターの整備計画の推進とパラスポーツの普及促進について質問いたしま
す。
まず、ハード面についてです。
同センターの整備計画は令和 3 年度の着工が予定されていましたが、
埋蔵文化財調査や財政状況の見直しが原因で進展が見られない状況が続いています。
しかし、整備の必要性は、有識者や競技団体、障がい者団体などの関係者からの
意見を踏まえた議論を通じて広く認識されています。
埋蔵文化財の調査も完了している今、まずは整備計画の中核となる拠点
施設の建設を進めるべきだと考えます。
関係団体からも早期の整備実行を求める声が多く寄せられています。
たとえば、アーチェリーの関連団体の皆様は、競技特性を踏まえた安全で
充実した練習環境の整備が急務であると訴えています。
アーチェリーはパラスポーツの中でも特に歴史が長く、
国際的にも普及が進んでおり、障害者と健常者が共にプレーできる
数少ない交流型スポーツですが、現在の県立障害者スポーツ交流館では、
館内の空きスペースを利用して練習を実施するなど利用者には不便を強いられています。
また、兵庫県はこれまで車いすバスケットボールなど、パラスポーツ界で
優 れた選手を輩出してきました。
決して恵まれているとはいえない、現在の県内施設で練習を重ね、
世界に感動を与える選手もいます。今後、パラスポーツの振興を一層推進するため、
関係団体の意見を尊重し、迅速に同センターの整備を進めることを強く求めます。
次に、ソフト面についてです。同センターの整備と並行して、パラスポーツの普及と
振興に向けた取組を強化する必要があります。神戸での世界パラ陸上競技選手権大会は、
多くの県民の皆様のご協力のもとで成功を収めました。
この大会の成功を兵庫県全体のレガシーとして引き継ぎ、パラスポーツのさらなる振興に
つなげることが重要です。
そのためには、競技施設の整備に加え、地域全体での機運醸成が不可欠です。
同センターを拠点に、パラアスリートの育成プログラムの充実や、障害者と健常者が
共に参加できる交流イベントの開催を通じて、誰もが気軽にパラスポーツに
触れられる機会を創出することが求められます。
さらに、地域でのパラスポーツ体験会の開催、学校教育でのパラスポーツの
啓発活動、地元企業・市町との連携を深めるなどの支援体制の強化も検討すべきです。
以上の観点から、兵庫県がパラスポーツの先進県として進むためには、
ハードとソフトの両面からの取組が不可欠です。県民の皆様と共に、パラスポーツの
さらなる振興に向け、当局のご所見をお伺いします。[福祉部長]本年5月に神戸で世界パラ陸上競技選手権大会、
8月にパリパラリンピックが開催されるなどパラスポーツへの関心や
機運が高まっております。
県ではこうしたことを契機に、より一層パラスポーツの普及振興に取り組んでまいります。
ご指摘の、ハード面の障害者総合トレーニングセンターにつきましては、
平成30年の整備計画策定後、多額のランニングコストが見込まれること、
また建設コストの増加等もございまして、令和3年の県政改革方針に基づき、
今一度、民間資金やノウハウを活用し、
より良いサービスをより財政負担を軽減しながらできないかということで
再検討となっているところでございます。
現在、今年度設置をいたしました有識者等によりますユニバーサルな
スポーツ施設検討会におきまして、圏域や市町域におけます
公的・民間を含めましたパラスポーツ施設のあり方等を検討しております。
トレーニングセンターの整備につきましては、今後、その検討会の中で、
公的施設や民間のスポーツ施設とどういった連携ができるかといったことも含めまして、
しっかりと議論をしていきたいと考えております。
ソフト面につきましては、県内企業の協力を得ましてパラアスリートとの交流や
パラスポーツ体験会、また、指導者養成講習会などを開催をしているところでございます。
先月11月には神戸世界パラ陸上のレガシー継承ということで、
神戸市と共同で、パラスポーツ体験会、パラアスリートとの交流、
FUNラン等のイベントを神戸市の北区で開催をいたしました。
今後も企業や市町と連携し、ハード・ソフトの両面から
パラスポーツの普及・振興に取り組んでまいります。
[大塚県議]パラスポーツ振興を支える施設整備について、短く質問し、再質問させていただきます。
ハード面の整備について部長から答弁があったと思います。
その中でちょっと気になったのは、
公共施設や民間スポーツ施設と連携できるかも含めてしっかりと議論したい
との趣旨の答弁があったと思います。
これ検討の中身は民間スポーツ施設との連携でしょうか。
障がい者団体の皆さんが求めているのは、トレセンの整備です。
新しい可能性を探ること自体は悪くありませんが、
この整備計画はむしろですね、後退させることになるのではないかと聞いていて思いました。
わが会派には、多くの団体からこのトレセン整備のご要望がたくさん届いております。
検討会でもこういう話が出ているでしょうし、
当然、皆さんのもとには、その要望が最もたくさんきているのではないかと思いました。
元来の整備計画では、ご答弁の中にもあったとおり、
令和3年に着工だったのです。今検討する、もう一回検討する、
ちょっとびっくりしています。
私はトレセン整備を進めるべきだというふうに聞きました。
ここで再質問させていただきます。
トレセン整備について、部としては進めていく考えがあるのかどうか
単刀直入に答えていただけますでしょうか。お願いします。
[福祉部長]トレーニングセンターの整備につきましては、
検討会の中でしっかりと議論してまいりたいと考えておりますので、
よろしくお願いいたします。[大塚県議]再質問させていただきます。しっかりと検討していく、こ
れはトレセンを作る方向も含めてしっかりと検討するという意味でよろしいでしょうか。
お願いします。[福祉部長]もともとその計画があったということは、私も承知しておりますが、
やはり建設費の問題、そして維持管理費の問題含めてですね、
やっぱりここはしっかりと議論していく必要があるということが、
就任当初からの話だったということでございます。
民間施設との連携でインクルーシブな利用環境、これはもちろん
地域に近いところで障害のある方が既存の施設の中で利用を促進するということも、
これも大変重要な方向性だと思いますので、そういったところとあわせながら、
これから議論していくというところでございますけれども、そういった状況です。
[大塚県議コメント]コメントにします。ありがとうございます。知事の言葉から、
それも含めて検討するというふうに私は受け取りました。
当然、財政面が厳しいことは重々承知していますが、
これは建設というよりは投資、未来に向けた私は投資だと思います。
本当に皆さんこれを待ち望んでおられますし、
やはりこのパラスポーツはじめですねハンデのある方々へユニバーサルツーリズムだとか、
やっぱり知事自体がこういうですねきめ細やかな施策をされました。
ぜひこのトレセンもですね当然財政面もありますが、
ぜひ積極的にポジティブに検討していただきたいと思っております。 -
5. 身体障害者補助犬貸付要綱の見直しについて
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]視覚障害者の方々の自立と社会参加を支えるために、
盲導犬が果たす役割は非常に重要です。
盲導犬は、視覚障害者の生活の質を大きく向上させる存在であり、
日常生活において欠かせないパートナーです。
盲導犬のサポートを通じて、視覚障がい者が安全に自由に移動し、
社会的な活動に積極的に参加できるようになることは、
ユニバーサル社会の実現に向けて大変重要です。
そのために、行政が果たす役割もまた極めて重要です。
盲導犬の貸付事業は、県が率先して実施するべき施策であり、
盲導犬を必要とする方々が安心してその恩恵を受けられるよう、
制度の整備と運用の改善を図っていく必要があります。
先日、盲導犬育成団体の皆様のお話を聞く中で、県の事業に対して感謝の声が多い一方で、
『兵庫県身体障害者補助犬貸付要綱』において、
改善されるべきと感じる点もありました。この改善点につき、
具体的に2点述べさせていただいます。
まず、1点目は、盲導犬の引退時期に関する明確な記述の追加です。
現行の『同要綱』では、盲導犬の返還条件として「引退」が記載されていますが、
その具体的な時期についての規定はありません。
現状では、健康に問題のない犬は老衰や大病になるまで盲導犬としての
役割を続けることになります。他方、動物福祉の観点から、
兵庫盲導犬協会では、盲導犬の引退時期を「年齢10歳」との定めがあるようです。
現状、引退時期の具体的な記載がないため、盲導犬協会とユーザーの間で
トラブルが発生した事案もあり、協会としても非常に憂慮しています。
したがって、盲導犬の引退時期については、協会の主張する盲導犬の健康状態や
年齢などを考慮したうえで、具体的なガイドラインなどを要綱に明記した運用が
行われるべきだと考えます。
2点目は、県外転居時の盲導犬の返還に関する規定の見直しです。
現在の要綱では、ユーザーが県外に転居した場合には盲導犬を返還しなければならない
とされています。
しかし、これは盲導犬を必要とする方の生活環境の変化などを考慮した場合、
現実に即した対応ではありません。
なお、大阪府の要綱ではこのような規定はなく、
よりユーザーファーストの柔軟な運用がなされています。
兵庫県においても、利用者が県外に転居した場合でも、その事情や背景、転居先の
環境などを十分に聞き取り、考慮したうえで
柔軟な対応ができる要綱変更を求めたいと思います。
ユニバーサル社会の実現を目指す上で、盲導犬を必要とする方々が、
自分らしい生活を送るためには、今以上に県がその責任を果たし、
育成団体や利用者の声を最大限に反映した制度設計が求められます。
こうした観点から、補助犬貸付要綱の見直しについて、
当局のご所見をお伺いいたします。[福祉部長]県では、身体障害者の自立と社会参加を促進するため、
平成元年度より、盲導犬の貸付事業を実施しており、
現在、県内で32頭、うち本県貸付分15頭の盲導犬が実働している。
この貸付事業については、県で補助犬貸付要綱を定め、補助犬借受者は県で決定し、
補助犬の育成と引き渡しは兵庫盲導犬協会などへ業務委託する形式で実施している。
引退時期の明確化については、県でも、概ね10歳程度が引退時期と考えるが、
実際に補助犬として何歳まで活動できるかは個体差もあり貸付要綱では
特に規定していない。
しかしながら、引退年齢を10歳と定めている兵庫盲導犬協会と
補助犬借受者との間で引退時期をめぐってトラブルが生じるケースがあることも
承知している。
今後、県として貸付要綱に引退時期の考え方等について規定する方向で検討していく。
県外転居時の返還については、貸付要綱で対象者を県内在住者と規定しているが、
県外に転出した場合でも、借受者が勤務する事業所の所在地が県内にある場合など
返還免除される例外規定がある。
また、災害等で転居がやむを得ない場合などは「知事が特に必要と認めたとき」
に該当するとして返還不要として取り扱っており、
今後とも、個々の事例に応じて柔軟に対応していきたい。
[大塚県議コメント]盲導犬の貸付の引退時期ですが
10歳ということであれば協会の方は喜ばれると思うので、
見直しの検討をお願いしたい。 -
6. 生産性向上を目指したスマート農業技術の活用促進について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]日本の農業は深刻な課題に直面しています。
農業就業者数は年々減少し、基幹的農業従事者の平均年齢は66歳を超えています。
また、農地の分散化や小規模経営が多いことが、効率的な農業経営を阻害しています。
さらに、高齢化により後継者不足が深刻化しており、
地域全体の農業維持が危ぶまれています。
このような課題を解決するためには、
効率化や省力化を図る技術の導入が必要不可欠です。
兵庫県の農業もまた、同様の課題を抱えています。県内では基幹的農業従事者の
平均年齢が70.6歳と全国平均を上回り、
1経営体あたりの平均耕地面積は1.2 ヘクタールで、
全国平均の 3.1 ヘクタールを大きく下回っています。
さらに、遊休農地は令和3年度時点で977ヘクタールに達しており、農地の有効活
用が求められています。
このような状況では、持続可能な農業の確立が大きな課題となっています。
私の地元である神戸市北区では、さらに特有の課題があります。
過疎化や高齢化の影響で担い手不足が深刻で、
地域特産品である酒米「山田錦」や野菜、果樹などの栽培を維持するための
支援が求められています。
また、狭小な棚田や未整備の水路が農作業の効率を阻害し、
イノシシなどによる鳥獣被害が農業者にとって大きな痛手となっています。
これらの課題を克服するには、地域特性に応じたブランド化、
担い手育成、農地整備、鳥獣対策とともに、スマート農業技術の導入も進める必要があります。
本年10月に
「農業の生産性向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律」が施行。
この法律は、農業従事者の減少や高齢化が進む中、日本の食料供給の安定化を図るため、
スマート農業技術の活用を促進するものです。
ドローン、AI、IoT などの先端技術を活用し、
農作業の効率化や高品質な農作物生産のための新たな生産方式の導入を推進するもので、
計画認定制度や税制特例等を設けることにより、技術導入の負担を軽減し、
普及の加速化をめざす仕組みとなっています。
兵庫県でも、こうした課題に対応するため「ひょうごスマート農業推進方針」を掲げ、
ICTやAIを活用した技術実証を進めています。
例えば、土地利用型農業での導入面積を2030 年までに12,000 ヘクタールに、
また、環境制御技術の導入面積を60ヘクタールに拡大する目標を設定し、
さらに「スマート農業技術マッチング推進事業」を通じて、
産地と企業の連携を強化しています。これらの取り組みは、
持続可能な農業の実現に向けた重要なステップとなっており、
大きな期待が寄せられています。
以上を踏まえ、深刻化する農業の課題解決に向け、生産性の向上を目指した
スマート農業技術の活用促進について、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]農業者の減少や高齢化が進む中、農地の有効利用を図り、
省力化など生産性を向上させるためには、地域の実情に応じてスマート農業技術を
積極的に活用していくことが重要でございます。
このため、県独自の技術開発や、実証・実演会の開催、補助事業を活用した
導入支援に加え、スマート技術の開発企業とのマッチングにより、
産地課題に応じた技術の導入を進めております。
この結果、導入面積は、土地利用型農業では8,643ha、施設園芸では28.1haと、
着実に伸びております。今後、技術導入を一層加速するためには、
①低コストで技術を活用できる仕組みづくりや、
②技術を使いこなせる人材の育成、
③スマート農業に対応した環境整備の推進が課題でございます。
新法の認定制度や補助制度の活用による共同利用や農業支援のサービス事業体による
作業受託の推進を図るとともに、研修会などによりスマート農機を活用し
経営向上に繋げる生産者を育成してまいります。
また、地域の実情に応じて、ほ場の大区画化や自動給水栓・情報通信設備の整備など
これからも進めてまいります。
スマート農業の普及による生産性向上を図り、持続可能な農業の実現をめざしてまいります
-
7. 県立高校の発展的統合に伴う新たな課題への対応について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]兵庫県では現在、「県立高等学校教育改革第三次実施計画」を踏まえ、
令和7年度に新しいカリキュラムや特色がある県立高校が6校新設される計画が
進行中です。
神戸市北区でも、神戸北高校と神戸甲北高校との発展的統合により、
新たに北神戸総合高校が誕生します。
同校では、宇宙や気象に関する専門的な理数教育、
AI やデジタル技術を活用した教育、さらに大学等と連携したアントレプレナー教育が
導入される予定で、注目を集めています。
一方で、統合による課題も浮かび上がっています。特に地域や保護者、生徒に対する
説明会や広報活動が十分に行われていないとの指摘があります。
このため、通学可能な学区内の中学校やその生徒、保護者に対し、
新設校の特色や魅力を正しく周知することが急務です。
さらに、新設校に注目が集まる一方で、統合前の両校に対する
心理的ケアや支援策が不足している点も憂慮されます。
例えば、神戸北高校は来年度から新入生を受け入れず、
2年生と3年生のみが通学します。
一方、神戸甲北高校の校舎には、同校の2・3年生と、
新設の北神戸総合高校の1年生が混在することになります。
このような環境では、生徒の部活動や学校行事のあり方、生徒会活動などに
複雑な調整が必要となります。特に部活動では、団体競技が単独参加できず、
他校との合同チームによる活動が不可欠になるため、人手や予算の増加が求められる現状です。
また、存続しない学校に対する地域や関係者への配慮も重要です。
私の地元の神戸北高校では、地元の唐櫃台を中心とした地域の皆様と協力した
地域防災教育活動を実施していると聞きます。
また、卒業生からの学校見学の要望も増加しており、
週末には数十名単位の見学対応が行われています。
さらに、統合校と両校合同の球技大会などの学校行事も検討されており、
マンパワーと財政的な支援が不可欠です。
このように、統合を円滑に進めるためには、人的・財政的支援の強化が急務であり、
統合によって生じる課題に対するきめ細やかな対応が求められます。
以上を踏まえ、新設校の周知活動の強化、統合前後の学校への支援策、
そして地域や関係者への対応などについて、当局のご所見をお伺いします。[教育長]「県立高等学校第三次実施計画」に基づきます6校の発展的統合校が、
来年度開校予定でございます。
改めまして、これまでの学校関係者の皆様のご努力と生徒・保護者や
地域・OBの皆様方のご理解ご協力に感謝を申し上げたいと思います。
それだけに高校生の教育活動をしっかりと支えていかなければならないと考えております。
まず、ご指摘の統合校の周知・広報につきましては、
これまで基本計画や実施計画の公表等に合わせて作成をいたしました生徒や
保護者向けチラシの配付や説明、各学校での学校説明会やオープン・ハイスクール等を
通じた広報を積極的に行っております。
北神戸総合高校では、神戸市立中学校16校での説明会に加えまして、
神戸市北区をはじめといたします神戸市での各区や三田市の会場で
オープン・ハイスクールや学校説明会、シンポジウムなどを今年度計13回開催し、
中学生・保護者を中心に、延べ1300名を超える参加者があったと聞いております。
次に、発展的統合の対象校同士の交流につきましては、
対象校の教職員で構成をいたします「発展的統合校開設準備委員会」で
検討・調整しており、例えば神戸北高校と神戸甲北高校では、
既に合同で地域と連携をいたしました。
唐櫃台の「里山づくり」などの活動を展開しているほか、部活動につきましても、
合同練習を行うとともに合同チームによる大会及びコンクールへの出場などを検討しております。
また、神戸北高校では、卒業生を対象にいたしました
「ホームカミングデー」等の集いも企画・実施されています。
県教育委員会といたしましては、引き続き、準備委員会の機能を継続させて
対象校の連携を図って参りますとともに、
共同活動や地域との交流を推進しております。
「発展的統合校交流支援事業」や「ふるさと貢献・活性化事業」等の予算の
拡充を図りながら予算面で支援をして参ります。
併せまして、教職員の配置の充実にも取り組んで参ります。
今後とも、人的・財政的支援の強化を図りながら地域との連携や関係者への配慮を大切にし、円滑な発展的統合と高校生活の充実に取り組んで参りますので、よろしくお願いいたします。