≪質問項目≫
1、三田市民病院と済生会兵庫県病院の統合について
2、女子学生の県内就職促進について
3、女性特有のがん対策について
4、有機農業への経営支援について
5、暴力団対立抗争の現状と対策について
6、幼稚園送迎バス事故防止について
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1、三田市民病院と済生会兵庫病院の統合について
(あしだ県議)令和3年6月に北神・三田地域急性期医療の確保に関する検討委員会が設置され、両病院の現状や課題、北神・三田地域の現状と課題、北神・三田地域における必要な医療機能、急性期医療確保方策など専門的な見地、医療現場や利用者の立場などさまざまな観点から検討協議が行われた結果、令和4年3月、検討委員会より「北神・三田地域においては、必要な急性期医療を将来にわたって提供していくためには両病院の再編統合が最も望ましい」との報告書が答申され、新病院の病床数については400床から450床、建設現場は両病院の中間地点が望ましいとされた。
これを受けて、済生会・三田市・神戸市の三者で慎重に協議を重ねた結果、三田市民病院との統合を図り新病院を建設して、当該地域の急性期医療を目指す方向性について基本的な部分で合意に達したと伺った。
三田市民病院と済生会兵庫県病院統合再編に向けた取り組みが三田市、済生会、神戸市の三者の役割分担のもと進められていく中で、整備費や運営費負担割合、必要な病床数の確保、新病院の整備候補地と交通アクセスの利便性、救急医療をはじめ、小児・周産期医療、災害時医療、新興感染症への対応など医療提供体制の充実強化も求められている。
これらの医療機能、医療提供体制を整備するには、国による財政的な支援が不可欠だ。県はどのような支援を検討しているのか。また、済生会兵庫県病院の跡地利用も重要であると考えるが、検討委員会での議論も踏まえて見解を伺う。
(山下保健医療部長)9月20日に統合に向けた基本構想案が三田市から示された。基本構想案では、450床程度の新病院が検討されており、医師の確保や施設の老朽化等の共通の課題がある両病院を統合整備し、地域の急性期医療の充実をめざしているというものになっている。
県では、これまでも地域医療構想の実現に向けた病院の統合再編に際しては、地域医療構想調整会議においての議論を踏まえ、国の助言や支援が受けられる重点支援区域の選定に向けた申請や、医療介護推進基金を活用した、病院整備に対する財政支援などを行ってきた。新病院についても、これら基金を活用した医療機関再編統合等の支援事業補助金の対象となることが見込まれることから、県としても補助金申請に向けた助言等必要な支援を行っていく。
病院の跡地活用については、後医療をどのようにするかなども含めて検討している段階であると聞いている。地域医療体制の強化に向けた取組を支援していく。
2、女子学生の県内就職促進について
(あしだ県議)コロナ前の調査では、関西エリアの大学を卒業している女性の割合は比較的に高いが、その就職先については、東京への流出が多い傾向があるとの報道があったが、2020年から2021年の2年間で兵庫県の20代女性は、東京へ約3,200人の転出超過に、大阪へ約4,500人の転出超過となっており、むしろ東京より大阪への流出が加速化している。
一方で、本県においても大学や短大、学校等数多くの学術機関を有しており、他府県からも多くの女子学生が来られている。神戸学院大学では、佐藤雅美学長のリーダーシップの下で学校内に男女共同参画推進委員会が設置され、本年、現代社会学部教授をご退職された清原桂子男女共同参画推進室長が中心となり、男女共同参画推進計画が策定された。次世代のための男女共同参画教育、キャリア形成支援、仕事と子育ての両立、ワーク・ライフ・バランスなど多岐にわたる内容が網羅されており、大変感銘した。
中でも、神戸学院大学の原点である私立森裁縫女学校の創立の理念や森わさ先生の志を継承し優れた功績を挙げられた方々への表彰の創設や活躍する卒業生セミナー、活躍する女性セミナー等の開催については、次世代を担うロールモデル創出に向けた取組として期待も高まっていくと思う。
このように大学等で学んだ経験を活かすとともに、県内での就職活動に大いに繋げていってほしいと思う。兵庫県においても、兵庫を担う多様な人材の活躍を推進するため、女子学生が主体となって企画する企業研究やフォーラムの実施により、就職活動を始める前段階からの女性のキャリアプラン形成を支援したり、ものづくり分野への女性就業を推進することにより多様な産業職種における女性の活躍の促進などご努力いただいていることに感謝するところだが、今後、人口減少、少子高齢化の進展による労働力不足、県内企業の人手不足が深刻化している中、未来の担い手である若者の県内就職の定着、中でも女子学生への県内就職の促進に向け、県内の団体や企業等と連携し実効性のある取り組みを進めて欲しい。
例えば、県内の大学等のうち、女子学生を対象にアンケート調査を行い、女子学生の希望する業種、職種、就労場所や就労に関する優先順位のほか、東京、大阪での就労を希望する理由など具体的な分析を踏まえ、県内企業との合同面接会や研修会等の実施を図るなど県内企業への就職率アップにつながる推進方策などについて見解を伺う。
(齋藤知事)県では、令和元年度から県内の大学、企業と連携し女子学生が企業や地域の課題研究を行う「わたしのキャリア研究会」事業を実施している。事業に参加した当初は「希望する業界が分からない」が57.9パーセント、「希望就職地域も未定」が66.3%と職種や勤務地について、明確な就職観をまだもっていない学生が多いという状況である。これが、1年間の活動後には、県内企業に就職を希望する学生は約3割に増加し、県内企業のインターンシップに参加希望の学生も86.7%となるなど、県内就職の促進に一定の効果を挙げられている。
近年は、企業の採用活動が早期化しており、大学1・2年生から県内企業を知り、将来を考えてもらう機会をつくっていくことが大事である。このため、1・2年生対象のインターンシップを充実させるほか、神戸経済同友会とも連携して、企業経営者と女子学生が直接対話していただける機会を設けるなど、社風や経営者の人柄を知ってもらうことを通じて県内企業への関心を高めてもらう取り組みもスタートさせていきたい。
兵庫県でも、先日県庁で県職員のインターンシップを行ったが、学生さんは兵庫県で公務員になるということに対して、非常に意欲を持っている方も多かった。そういった意味でも、我々はワーク・ライフ・バランスや女性が活躍できる企業を広げていく必要がある。特にSDGsに対する取り組みに対しての関心が高いため、県内で県庁も県内企業も取り組みを進めている。県内で就職しようという学生さんを増やす意味でも、しっかりとSDGsを進めていくということが重要である。
これから首都圏の女子学生に向けても、みなと銀行の協力を得て、オンラインを活用した県内企業の女性社員との交流会など、UJIターンにも力を入れていきたい。
(あしだ県議コメント)本会議や委員会などで特に県外に出て行ってしまう女性に県内で就職していただき、移住も含めて定住し、この地で出産していただくという、結婚・出産・子育てがしやすいまちづくりを提案してきた。
先程、知事からは「わたキャリ」のお話があったが、まだ緒についたばかりの取り組みだが、一年間でかなりの効果があったというお話だった。こういった取組をさらに、アンケート調査などで様々な声を抽出していただき、引き続き充実させていってほしい。
3、女性特有のがん対策について
(あしだ県議)県では、受診率の低い市町に対して受診率向上計画の策定支援、がん検診と特定検診のセット検診の促進、積極的な取り組みを行う市町に対し国保調整交付金の重点配分、検診受診に積極的な企業との協定締結、県民向けセミナーの開催、無料クーポン券の配布事業の継続、コール・リコールの実施、レディース検診や休日・夜間の検診、健康保険組合等を通じた職域保険の被扶養者への受診拡大、乳がん・子宮頸がん検診車の配備、大学・短大などの協力のもと、女子学生への受診勧奨の実施などあらゆる取り組みを市町、関係機関とともに推進してきた。
今回改めて女性特有のがん対策について質問した理由は、あらゆる方策を推進しつつも検診受診率の目標値の50%には届いていないという現状と合わせて、新型コロナウイルス感染症による検診受診控え等の影響も考慮すると、さらなる受診率向上の取り組みが必要ではないかと感じたためである。
そこで、女性特有のがん対策の兵庫県におけるこれまでの取り組みを踏まえ、今後、検診受診率の向上や精密検査受診率の目標達成に向け、市町や各関係機関との連携はもとより、企業における検診受診の拡大や検査体制の充実を図ることが急務と考えるが、どのように進めていくつもりか考えを伺う。
(齋藤知事)受診率向上のために有効とされるコール・リコールや休日・夜間検診の実施等の取組を推進してきた。コロナ禍で受診控えが指摘されているが、検査機関では換気や消毒など感染対策の徹底を行い、安心して受診できる体制確保に努めている。また、がん検診は不要不急の外出ではないということ。また、定期的な受診が必要であることの周知をこれからも図っていきたいと考えている。
今後これらの取組に加えて、SNSなど多様な媒体を活用した有効な啓発対応を検討していく。また、受診率向上には職域における受診促進も大事である。県では、これまで中小企業向けの検診費用の助成事業を行っており、これが大変好評である。さらに、利便性向上との声もあるので、これまでひょうご事業改善レビューを行ってきたが、そこでの専門家の意見も参考にして、この助成事業のオンライン化による手続きの簡素化を検討するなど、企業の方が一層利用しやすいようにしていきたい、受診率50%の目標達成に向けた取組を進めていく。
4、有機農業への経営支援について
(あしだ県議)令和3年5月、みどりの食糧システム戦略では、2050年までに目指す姿、戦略的な取組の方向性として、有機農業の取組の拡大について、2050年までにオーガニック市場を拡大しつつ、耕地面積に占める有機農業取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大。2040年までに主要品目について農業者の多くが取り組める次世代有機農業技術を確立するとのことである。
兵庫県においては、早い段階から環境創造型農業を推進し、有機農業も含め環境創造型農業実施面積の拡大を図るとともに、コウノトリ育む農法の拡大や小規模経営の生産者を中心に有機農業実践者が増加していると伺っている。今回、有機農業について質問したのは、最近神戸市北区に移住され、化学肥料や農薬を使わず有機栽培に取り組まれている就農者や自然農を展開している新規就農者の方から有機栽培についての土づくりや獣害対策、販路確保、有機栽培への理解などさまざまな課題を伺うなど小さな声をお聞きしたからである。
先に述べたが、国では有機農業の拡大に向けた取組を加速していく方向性が示されたところでもあることから、具体的に有機栽培を行っている生産者や消費者等からもさまざまな意見や要望等を聴取し、有機農業の農業者拡大、技術支援、経営安定に向けた取組支援、有機農産物の地産地消、販売促進など有機農業に係る施策を更に推進していくべきであると考えるが見解を伺う。
(萬谷農林水産部長)有機農業で経営する農業者を支援するには、生産対策と共に付加価値を加味した価格で買い支えていただくための流通・消費対策が重要ある。そのため、有機農業生産者や生協等の流通・消費団体などで構成する兵庫県有機農業ネットワーク会議を組織し、情報共有や意見交換をしており、引き続き各方面から意見を伺いながら施策を推進していく。
また、近年のSDGsへの機運の高まりや国がみどりの食糧システム戦略で有機農業の目標面積を示したことは、有機農業推進の追い風となる。
今後、こうした情勢の変化を的確に捉えつつ、より一層有機農業を拡大するためには、生産技術指導から販路の確保まで一貫した支援を行うことや、新規に参入しやすい環境づくりが必要である。このため、農業改良普及センターが先導的農業者と連携して、指導体制の強化を図りながら省力化のためのスマート技術の実証や導入、有機農業の産地づくりから販売まで出口対策までとりくむオーガニックビレッジ宣言を行う市町の拡大、そして県内食品関連事業者量販店とのマッチングなどをより一層進めていく。
6、幼稚園送迎バス事故防止について
(あしだ県議)9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園の通園バスに3歳の幼児が取り残され、熱中症でなくなるという悲惨な事件が発生した。二度とこのような事件事故を発生させることがないよう通園バス等の安全安心な運行体制の構築に向け事業者をはじめ、行政、各関係機関等による検証を進め抜本的な再発防止対策を早急に講じていかなければならない。
国では、このほど、関係府省によるバス送迎にあたっての安全管理の徹底に関する会議が開かれたと伺った。会議では、今後、送迎バスを有する全施設に対する緊急点検を行うとともに、地方自治体による実地調査を開始し、有識者ヒアリング、先進自治体からのヒアリング等も行っていくとのことだが、安全対策の呼びかけに留まらず、特に送迎バスが多い幼稚園での安全管理マニュアルの見直しや登園管理システムの改善、送迎バスの安全装置の導入など、このような事件事故を防ぐための方策を示していくことが急務である。
特に幼稚園の送迎バスへの人感センサー等の安全装置の導入については、ヒューマンエラーによる事件事故を防ぐ意味でも急ぐべきであり、今回の事件を受け、国が補助金を出し全国すべての送迎バスに安全装置を設置する方向で調整を進めているとの報道もあった。
そこで本県でも送迎バス等を運行する事業者に対しては、安全管理マニュアルに基づいた安全運行を徹底していることと存じているが、たび重なる車内取り残し事件事故が発生している中、再発防止に係る具体的な方策について検討するため、事業者をはじめ有識者や業界団体など専門家による検討協議の場の設置や全国に先駆けて国の安全装置設置補助金がはじまるまでの期間に県独自の補助金を創設するなど、幼稚園のバス送迎にあたっての安全管理を推進していくことが必要である。見解を伺う。
(小橋総務部長)再発防止については安全意識の徹底を前提に手順のマニュアル化等意識を確実な行動に繋げる対策と、物理的な装置等排除しきれないヒューマンエラーを致命傷にしない対策の双方が必要である
現在、県所管の私立幼稚園全園を対象に、出欠情報の保護者や教員間での共有、園児をおろす際の複数職員での人数確認、座席点検等、従来から徹底を求めてきた項目の再度の緊急自己点検を依頼している。また、これらの対策をきちんとマニュアル化され実施しているかどうか、年内に実地調査をし、現場での課題や工夫を含めて把握することにしている。
これらの結果については、各園・私立幼稚園協会等の団体と共有して、分析・意見交換をしていく。また、県や協会が実施する全園を対象とした研修会等にも活かしていく。研修については、国の安全管理に関する検討会議において、10月には緊急対策がとりまとめられると聞いているので、その議論の内容であるとか、県が報告を受けているヒヤリ事例といったものの対応等を盛り込むこと、さらに、事故防止の専門家を講師とするなど充実した内容にしていく。
一方で、安全装置の導入促進については、本日国が装置の設置義務の方針を固めたというような報道があった。今後、国の財政支援の動きを注視しながら、県としての対応を速やかに検討していきたい。