議会報告

  • 谷井 いさお
    第363回(令和5年6月)定例県議会 一般質問(谷井いさお議員)

    ≪質問項目≫
    1、自転車ヘルメット購入費補助制度の創設について
    2、性犯罪被害者支援機関等の協定締結について
    3、不適切保育の防止策の強化について
    4、緊急小口資金特別貸付における償還困難者への対応について
    5、尼崎臨海部の整備と尼崎フェニックス事業用地への企業誘致について
    6、暴力団事務所の新設防止策について



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、自転車ヘルメット購入費補助制度の創設について

    (谷井県議) 令和5年4月1日から改正道路交通法の施行により、児童または幼児を保護する責任のある人の遵守事項とされていた自転車乗車用ヘルメットの着用努力義務は自転車を利用する全ての人の遵守事項となった。
    この法律の改正にあたっては国の「第11次交通安全基本計画」において、全年齢層のヘルメット着用を促すべきと明記されたこと、幼児や児童のヘルメット着用が徐々に進んでいるものの、その他の世代では着用が進んでいないことが要因とのことである。
    警察庁が本年4月に公表したヘルメットの着用実態調査では、降雪の少ない地域を選定して13都道府県を対象としているものの、兵庫県は最低で1.9%の着用率であったとの報道があった。令和4年中の兵庫県内の自転車事故に関してみると、自転車利用中の交通事故で負傷または亡くなられた方(4、072人)のうち、頭部に致命傷を負われた方は12人と半数以上を占めている。
    我が会派が提案した、全国で初めて自転車事故賠償責任保険の加入義務を条例で定めた県として、自転車の安全利用についても先進的な取り組みを期待されている。私の地元尼崎市において自転車専用道路の整備など安全環境を進める活動の中で、市民からヘルメット購入に際し負担が軽減できるなら購入したいという声を多くの方から伺っている。
    そこで、ヘルメットの着用が努力義務化されたことを受け、ヘルメットの着用率を上げるためのインセンティブとして、兵庫県として早期にヘルメットの購入費補助制度を創設すべきではないか。所見を伺う。

    (井ノ本県民生活部長)県では県警や関係団体・自転車販売店等と連携して、あらゆる機会を利用し、対面による啓発キャンペーンを行い、県民に交通事故から頭部を守る重要性とヘルメットの着用促進を働き掛けている。また、転倒時の頭部への衝撃度を示す動画のSNS配信や、県内関係団体、45、000人に対して、自転車事故状況等をメールで配信し、注意喚起を図っている。5月の自転車月間では「ヘルメット着用努力義務化と自転車保険加入促進」の啓発ポスターを作成し、県下の自転車販売店約931店舗に配布し、普及啓発を図っている。
    ご指摘の購入費補助制度については、先行している他府県の取組状況や着用率の変化、県内市町の取組状況、企業との連携・協力を含めて調査し、ヘルメット着用促進に向けた効果的な方法について検討していく。

    (谷井県議コメント)あまり言いたくない残念なことだが、私の先輩がこの5月に自転車事故で亡くなられた。頭部を打たれて、ヘルメットを着用していたらどうだったかと思うとその必要性を身をもって体験した。努力義務になったということで、たくさんの方から後押しをしてくれるような補助事業をぜひつくって欲しいとの声が寄せられている。
    先程保険の話もしもしたが、多くの方がパンフレットを欲しいとのことで配らせていただき、多くの方に入っていただいた覚えがあり、安全に対する関心の高さを感じた。わたしもヘルメットをかぶると、信号をちゃんと守ろうとか、当たり前だがより緊張感を持って走ろうという気持ちになるのでいいことだと思っている。そういった悩んでいる方の後押しになる、そういう制度を是非とも作っていただきたい。子どもたちにも被ってもらえるように、そういうのは補助制度があれば勧めやすいと思うし、できればモデル校も募って検証し、課題なども出してもらい進めていけるような後押しをしていただきたいことを教育委員会にもお願いしたいと思う。



    2、性犯罪被害者支援機関等の協定締結について

    (谷井県議) 本県では「兵庫県再犯防止推進計画」の策定を進めているが、犯罪者が社会の責任ある一員として復帰できるよう支援することは、再犯者率が高い現状を踏まえると、安全安心なまちづくりにもつながる。その一方で、思いもよらず犯罪に巻き込まれ、その被害に苦しむ方々を支援することも極めて重要ではないか。
    中でも、性犯罪被害は「魂の殺人」と言われるほど、被害に遭った人の心も体も傷つけるものであり、絶対に許しがたい犯罪である。県内の刑法犯認知件数は戦後最多だった平成14年以降減少を続けていたが、令和4年には20年ぶりに増加に転じ、特に性犯罪認知件数は300件から400件台で推移しており、令和4年は対前年比8%増(386件、+28件)となり、全国で5番目に多い状況となっている。
    本県ではこれまでに(公社)兵庫被害者支援センターとの連携により、ひょうご性被害ケアセンター「よりそい」を設置し、電話相談等を実施している。また、NPO法人「性暴力被害者支援センター・ひょうご」と連携し、医療従事者向けの研修等を実施している。「よりそい」に寄せられた電話相談は、令和3年度は680件であったのが、令和4年度には920件となり、性犯罪被害のおそれがある事案が増えているとも考えられる。
    性暴力を防止するとともに、性被害に遭った方を支援するためには、市町、教育委員会及び県警本部、産婦人科学会などの関係機関と連携して取り組むことが不可欠である。本県では、令和5年4月1日に施行された「犯罪被害者等の権利利益の保護等を図るための施策の推進に関する条例」に基づき、犯罪被害者等への支援施策をまとめた計画を策定するとともに、総合相談窓口を設置する予定である。これを機に、関係機関がさらに連携を深め、一体となって性犯罪等の被害者に寄り添う体制を構築するためにも、協定を締結すべきではないか。

    (井ノ本県民生活部長) 県ではご指摘の「よりそい」や「性暴力被害者支援センター・ひょうご」と連携して電話相談をはじめ、心理・法律の専門家による助言、病院への同行など、個々の状況に応じた直接的な支援を行っている。さらに、県内82医療機関で被害直後の治療や検査を行える体制を整備し、円滑な運用に向けて毎年度医療従事者向けの研修を行っている。
    また、被害の潜在化を防ぐため、県内の学校に赴き被害時の対応等を伝える出前授業も開催している。今年度は新たに県・市教育委員会と連携して、神戸市立学校の教頭・校園長向けの研修を実施する他、県立学校への周知啓発を行うこととしている。
    被害者の心身の負担軽減や潜在化防止のためには、教育委員会を含め関係機関との連携強化が不可欠であり、協定締結は有効な手法である。今後、「犯罪被害者等の権利利益の保護等を図るための施策の推進に関する条例」や他府県での締結状況などを踏まえて協定の範囲や内容等について検討していく。

    (谷井県議コメント) 海外では5歳ぐらいから性教育をしっかりやって、よいタッチと悪いタッチがあること、それに対して嫌だということをはっきり言える、大人に言えることを教育しているようで、性教育が大事だということで、教育委員会、警察、いざという時には産婦人科学会等の医療機関との連携について、より一層きちんとした体制を組み、役割り分担も明記し、しっかりやるのだということを兵庫県として発信していただきたい。



    4、緊急小口資金等特別貸付における償還困難者への対応について

    (谷井県議) 本県では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による収入の減少や失業等により生活に困窮する世帯を対象とした一時的な資金の緊急貸付を行う緊急小口資金等特例貸付について、県社会福祉協議会が実施主体となり、令和2年3月から令和4年9月まで申請を受け付け、県全体で201、705件、総額805億6、900万円の貸付が実施された。
    緊急小口資金等は、早い方で令和5年1月から償還の時期を迎えているが、コロナ禍の影響や物価高騰で生活に困窮し、償還ができない方も多くおられるのではないか。償還が困難となった方への対応として、同じく1月から住民税非課税世帯は償還免除が行われているが、制度を知らず免除申請をしていないために償還免除とならない方がないよう、適切に免除手続きを進めていく必要がある。
    免除要件については、現在、住民税非課税世帯等に限られていたが、公明党が返済免除の対象拡大を厚労省に粘り強く訴えた結果、猶予を経ても返済が困難な理由が解消されない方や、就労や増収、家計改善などによる生活再建が見込めない方も新たに免除が可能となったことから、より丁寧な対応が求められている。そこで、緊急小口資金等特例貸付における償還困難者への対応について、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺う。

    (生安福祉部長) 緊急小口資金等特例貸付の償還困難者について、実施主体である県社会福祉協議会のコールセンターで償還免除等の相談に応じている。非課税世帯については、もれなく免除申請を行うよう、課税決定時期の6月にあわせて、全借受人に申請案内を郵送し、その上で免除申請のなかった借受人に対しては償還開始の案内を郵送する機会を捉え、改めて免除申請を案内している。
    また、課税世帯についても、病気や失業等により償還困難となった世帯は、県社協が償還を猶予するとともに、自立相談支援機関と連携して生活再建に向けた継続的支援を行い、なお生活状況が改善せず償還の見込みがない世帯には当該支援機関の意見書に基づき免除できる仕組みを先月から構築している。
    さらに市町社会福祉協議会に担当職員を配置し、各地域でケースの状況に応じて就労や家計改善等の生活再建に向けた助言を行うなど、きめ細かな相談支援を行っていく。

    (谷井県議(再質問)) 今回の質問については、免除についてしっかりやってほしいというような趣旨の質問であったが、答弁にあったようにその後の経済的自立というのが一方で大事であると思っている。やはり自立相談支援機関や就労準備支援事業であったり、ハローワークや福祉事務所としっかり連携して、その方をどうサポートしていくかが重要なので、そのあたりの取組について、もう少し教えていただきたい。

    (生安福祉部長) 特に今年度、県社会福祉協議会と連携して、市町社会福祉協議会に償還免除とともに、生活困窮者に対する支援を行う担当職員を新たに配置し、ケースに応じて就労や家計改善などの助言や支援を行っている。また、一番重要なのが各地域にある自立相談支援機関で就労支援や家計改善支援を実施していくということである。県全域にわたって社協と、自立相談支援機関が一体になって生活困窮者の支援をしていくという方向をいま進めている。



    5、尼崎臨海部の整備と尼崎フェニックス事業用地への企業誘致について

    (谷井県議) 尼崎フェニックス事業用地は、利便性の高さから物流関連施設の立地が相次ぐなど、土地需要が高まっており尼崎市臨海部に残された貴重な産業拠点用地である。一方、フェニックス事業用地は、2年後に迫る大阪・関西万博の会場に近いため、万博開催時には、マイカー来訪者のための会場外駐車場に使用されるなど万博を成功させることも重要だが、万博後は尼崎の将来を見据えた尼崎臨海部の整備と、企業誘致をどのように進めるのか大変重要な課題である。
    令和3年3月に公表された尼崎西宮芦屋港長期構想では、輸送の環境負荷の低減を図るためのRORO船ターミナルの整備や東海岸町沖地区と末広地区を結ぶ、東西連絡道路が記載されており、これらの早期整備が必要である。
    また、企業誘致においてはベイエリアへの投資を促進する産業立地条例を最大限に活用して次世代エネルギー産業や先端産業などの企業誘致を行うことで、関連企業を尼崎市内に呼び込むことも期待できる。兵庫県域の大阪湾ベイエリア活性化基本方針に基づき、今後、具体化に向けた取組が進む中、幅広く意見を聞きながら尼崎の将来につながる土地利用を図っていくべきではないか。
    そこで、フェニックス事業用地における万博開催期間中までの利用と、万博終了後の尼崎臨海部の整備及びフェニックス事業用地への企業誘致について、具体的にどのように取り組んでいくのか。

    (斎藤知事) フェニックス事業用地の開発にあたり、万博を契機とする賑わい創出の観点に加え、リモートワークなどコロナ禍を経た業務形態の変化、デジタル技術や脱炭素などの新しい産業の創出、インフレなど今後の経済情勢の見通し、社会情勢の変化等に対応し従来型の工場・物流産業の誘致だけではなく、様々な開発の可能性を見極めていく必要がある。
    このため幅広くサウンディングをしていくことが大事になってくるため、これから金融機関・デベロッパー・イベント事業者・地元市など様々な団体に対するサウンディング調査を実施していきたい。どのようなニーズがあるのかを掘り起こしていく。そのうえで、まずは万博までの期間、ご指摘のとおり空いている土地でもあり、パークアンドライドの会場の拠点もできることから、その期間中にどういったことができるのか、イベントであったりわれわれが狙っている「空飛ぶクルマ」であったり、いろいろなことができるのではないかとのサウンディングと、もう1点が万博後の将来の大阪湾ベイエリアの活性化の実現に向けて、中長期的にどのようなことができるのか、という2つのフェーズでサウンディングをしていきたい。それによって尼崎の森も含めて、あのエリア一体の開発方針を設定していきたい。民間の投資を呼び込んで、できるだけ賑わいや投資が加速されるような枠組みづくりが大事である。
    ご質問があった岸壁や東西連絡道路など港湾施設の整備については、今年度改訂予定である港湾計画の中で、適切に対応していきたい。

    (谷井県議コメント) ベイエリアは可能性がある地域なので知事にいろいろ考えていただいていると思うが、1点、スピード感を持ってやっていただきたい。期待している。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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