兵庫県議会公明党・県民会議

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2019/11/25 Up

川脇関西国際大学教授を講師に研修会を開催
  災害が多発する中での防災体制の構築について講演


 県議会公明党・県民会議は定例の研修会を11月19日、県庁内で開催。川脇康生・関西国際大学経営学部教授が「阪神・淡路、東日本大震災の教訓を踏まえた防災体制の構築」をテーマに講演し、これからの防災・減災のあり方について考察しました。


 はじめに、1995年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災について初めて経験した近代都市の直下型大地震で、甚大な被害を受け約6,400人の犠牲者があったことなど概要を確認。震災直後については「救助の主体は、大半以上が近隣住民で約27,000人を救出した。結局近隣の人のみが助け合うことができた。災害の際の助け合いのコミュニティの重要性を認識した」と振り返りました。


 また、「災害発生後の緊急段階(消火活動や救命活動、避難行動など)は近隣の共助による。また、復旧・復興段階の住宅再建、都市計画事業の段階では住民の合意形成や行政等の協議が必要となり、復興における地域コミュニティの役割は不可欠で大きい」と付け加えました。

 その実例として、震災以前から約30年間にわたってまちづくり協議会などを通じて強固なコミュニティができていた長田区真野地区の震災発生後の様子を紹介。「住民同士のつながりができていた。そのため住民や地元企業が協力して震災被害への迅速な対応や復旧・復興にも住民が主体的に取り組めた」と説明しました。

 次に震災からの被災者の生活復興については「震災後、社会基盤整備は国費用で早期に復旧した。住宅については、公営住宅が42,100戸建設され、5年後に仮設住宅も解消。都市計画は長期に及び、経済復興は産業構造の転換が図れず、日本経済の停滞とも相まって長期の足踏み状態が続いた。それによって被災者の生活再建は長期に及んだ」と被災者の生活再建が長期にわたるとともに困難を極めた要因を示しました。

 さらに、生活再建への公的支援に関しては「震災当時、現物支給、私有財産への公費支出ができないという現行制度の原則があった。個々の復旧・復興は自己責任であった。被災者がそれぞれの生活復興に向けて前向きに取り組めるようにする仕組みの必要性があることが分かった」と述べ、その後県は復興基金を設立し、その運用益を用いて住宅、産業、生活、教育などの分野で約3550億円・113のきめ細かな被災者支援事業を実施し、最終的に従来の行政でできない個人財産の形成につながる部分にも踏み込んだことを強調しました。

 また、データをもとに、「義援金が集まったものの分配して支給する金額には限界があり、生活再建への十分な支援となりえなかった。震災後の被災者への兵庫県のさまざまな取り組みや教訓が、のちの被災者生活再建法が生まれたきっかけになった」と本県の取り組みが以後の災害被災者の生活再建への法制度確立の糸口となったことを話しました。

 その後、県は「創造的復興」を掲げ、単に震災前の状態に回復するだけではなく、高齢化が進む中での生活再建や経済復興、また災害に強い安全なまちづくりなど21世紀の成熟社会の諸課題に先導的に対応したことを紹介しました。

 川脇教授は、続いて2011年(平成23年)に起こった東日本大震災における行政対応の限界と教訓について言及。発生後、被災者を守るべき市町の防災センターや役場などが被災して機能できなくなったが、釜石市では地域の過去の津波の経験を生かした防災教育が継続して行われていて、ほとんどの小中学生が避難して助かることができたことを挙げました。

 また、子どもたちの行動に影響を受けて地域の人々の中にも一緒に避難して助かる人が見られたことを取り上げ「津波がきたらそれぞれが自分の命を守るためにまず逃げる、そして周囲の人にも手を差し伸べるという姿勢が身についていた。のちに報告された中でも、『想定を信じるな』『最善を尽くせ』『率先避難者たれ』という津波3原則が大人から子どもまで浸透していた」と釜石の奇跡と呼ばれる実例を振り返りました。

 次に、東日本大震災発生後の行政対応体制の限界事例を示すと共に共助となる集まったボランティアの受入体制の不十分さなどを指摘し、その後、ボランティア団体ごとに個々の活動をしても支援が行き届かないエリアが生じるおそれがあるため物資・情報の交換を行う横の連携として全国規模の連絡組織となるJCN(東日本大震災支援全国ネットワーク)が形成されたことを説明すると共に、阪神・淡路大震災との市民活動を比較し地元事業者を含めた自助・共助・公助の連携の大切さを話しました。。

 続いて、今後30年以内の発生確率は70〜80%と言われている南海トラフ巨大地震について本県への被害想定をデータを使って説明。それによると「死者行方不明32万3000人、全壊棟数238万棟、避難者950万人とされている」とし、被害を大幅軽減するための方策として
@防潮門扉の完全閉鎖
A粘り強い防潮堤等の越流対策
B避難の迅速化
C建物の耐震化
D家具等の店頭・落下防止
E初期消火の実施
―の6項目を挙げました。

 さらに、本県の震災教訓を踏まえた防災体制の強化策に注目し
▼消防団の充実強化や防災リーダーの養成などの防災力強化県民運動の推進
▼個人・地域などが自ら考え主体的に防災減災に取り組む指針としての「新ひょうご防災アトラクション」の策定(平成29年1月)
▼民間団体、事業者等による具体的な防災減災活動の促進などのための「ひょうご防災減災推進条例」の制定(平成29年3月6日施行)
―を大きな成果として評価しました。

 川脇教授は、これまでのことを踏まえながら、今後の防災のあり方の一つとして、災害対策基本法が改正され地区防災計画制度(2014年4月施行)が創設された背景を説明。同制度は、これまでの震災教訓をもとに災害前予防対策として地域の特性を踏まえて居住者らによる計画を策定し、市区町村の地域防災計画に反映することができることを解説。作成された事例として、三重県津市丹生俣地区の土砂災害避難計画をはじめ、宝塚市防災計画作成マニュアルなどを紹介しその特徴などを確認しました。

 最後に「災害が多発する中、自主防災組織の活動の活発化や地域での活動範囲の拡大が見られることやお祭りなどの地縁活動が地域ネットワークの構築につながりそれが地域防災力を強化している。地域に根差している自治会活動などと地域の防災活動をどう連携させていくかが今後の地域での自助・共助による災害対応力の強化にとって重要となる」と述べ、行政中心ではなく、市民が自主的に行っていく防災活動をどう行政が縦割りではないトータルなサポートをしていくかが今後の防災のあり方に大きな意味を持ってくることを訴えました。

 この後の質疑では、各県議から「防災を進める際の外国人県民への支援の仕方は」「各地域での防災計画を作る時の取り組み方は」「地域コミュニティや自治会入っていない人は、どのように地域防災やコミュニティにまきこんでいけばいいのか」といった質問が出され、川脇教授は勤務する大学の学生との取り組みなどを通して、防災イベントの実施やアンケートなどをきっかけにして、まずつながりをつくる大切さなどを具体的にアドバイスしました。


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