兵庫県議会公明党・県民会議

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2019/12/25 Up

遠隔集中治療支援のこれからの可能性を考察
  定例の研修会で中西(株)T−ICU代表取締役が講演


 県議会公明党・県民会議の定例の研修会が、12月17日県庁内で行われ、(株)T−ICU代表取締役社長で医師の中西智之氏が「救急・集中治療における当社の取組と県への期待」をテーマに講演しました。


 中西氏は同社の遠隔集中治療支援のシステムで、同社と契約した病院などと重篤患者の情報を共有。常駐しているICU(集中治療)専門医が患者の情報を見ながら、現場の医師らに触診、状態確認をしてもらいアドバイスするなどの事業を展開しています。


 また、ICUとは重症患者を24時間体制で診療し、集中的に治療することで、先進技術が備わった集中治療専門の治療室のことです。集中治療専門医は、救急治療後等の重症患者に対し適切な治療方針を決定し、その領域の専門医へ方針を説明し治療の全体を管理する役目を担っています。

 講演の中で中西氏はまず、救急搬送後、応急処置が行われ、容態がいったん安定した患者や、大きな手術を受けたあとの患者など重症患者の予後を管理する集中治療室は、全国で1,100室あり、そのうち集中治療専門医が在籍しているのが約300室であることを説明。その理由の一つとして日本に約32万人いる医師の中で、集中治療専門医は0.5%で約1,600人と数が少ないなど、国内の集中治療の現状について話しました。

 次にT−ICU(遠隔集中治療支援システム)について、遠隔地から集中医療医や専門医が現場の医師や看護師から提供された情報をもとに、24時間アドバイスを実施することで、現場の医師や看護師の負担を軽減するシステムであることを述べ、「集中治療医は遠隔地にいながらにして、カルテの病歴とバイタル情報を中心に診療方針の検討が可能となった。遠隔集中治療支援システムは、集中治療医を新たに雇うコストよりもはるかに安いコストで専門医によるサポートが可能となる」と今後ますます活用が望まれるサービスであることを強調しました。
 また、「アメリカでは1990年代後半から遠隔集中治療支援システムの導入が始まり、現在ではICUの2割の病床が導入している。
その結果、医療費の削減
▼重症患者の死CU死亡率が11.7%低下
▼患者のICU滞在平均日数が0.63に減少といった顕著な実績を上げている」
とアメリカでの導入状況とそれに伴う利点を解説。一方、日本での実態に関しては「国内では集中治療専門医の不足による現場の負担増が大きな課題となっており、厚生労働省は医療現場の働き方改革の一環として、2019年度にTele-ICU体制整備事業に5億円の予算をつけている」と語りました。

さらに、遠隔集中治療のメリットとして
▼飛行機や客船等の中で、旅行者が具合が悪くなった場合、乗務員や同乗していた医師とコミュニケーションをとって対応することが可能になる
▼日本から世界のあらゆる場所にサポートすることができると話しました。
さらに中西氏は
@夜間救急時の早急な対応
A主治医以外の医師が対応しなければならない時
Bドクターヘリを頼むかどうか判断に迷ったときに的確なアドバイスができる
C医師のセカンドオピニオンになれる
−などを訴えました。

 次に自治体が遠隔集中治療のネットワーク導入を考えている事例を紹介。横浜市は集中治療専門医の不足による市立病院の負担増の解消や医療の質の向上、現場の働き方改革を視野に入れて、横浜市立大学が2020年度に計画している同大学付属病院を中心に4病院で一元的にICUを監視・サポートする実証事業を支援していくことを解説しました。

 講演後の質疑では、各県議から県内の集中治療専門医の現状と今後のあり方や同社と大学病院等との連携、離島医療での遠隔集中治療システムの活用などについて意見交換しました。最後に中西氏は「国内の医療機関への普及率は低く、まだまだ、一般の方にも認識されていない。遠隔集中治療に診療報酬がないということも今後の課題で、実証によるデータの蓄積を着実に進めていきたい。その上で皆さんにさまざまな形で応援してほしい」と公明党に対して大きな期待を寄せました。


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