議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第352回(令和2年12月)定例県議会
代表質問
あしだ賀津美県議
[質問項目]
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1. 令和3年度当初予算編成について
質問と答弁のダイジェスト
[芦田県議]県では必要な財源を確保したうえで、ポストコロナ社会を見据え、県地域創生戦略の地域プロジェクトや兵庫2030年の展望の具体化に向けたリーディングプロジェクトなど、すこやか兵庫の実現に向けた取組を進めるとしており、特に情報化・デジタル化を支える情報基盤の整備・強化、分散型社会の要請や地方回帰の機運を捉えた地域創生の加速化、起業・創業の活性化による本県産業の新たな強みの創造に重点をおいて新規施策を検討するとされている。
気になるのはシーリングの強化や経費削減の具体的な実現方法だ。予算要求基準を見ると、多くの既存事業が含まれる一般事業枠では80~95%の範囲内というシーリング枠が設定されている。県財政当局としては、各部局に対して事業の内容を精査してスクラップ・アンド・ビルドを徹底することを求めていると思うが、行財政改革下の過去の事例を見ると補助金等が機械的にカットされたといったケースが散見されていたように思う。生活困窮者、高齢者、児童、心身障がい者等に対して行っている様々な支援に要する福祉的経費はもちろんだが、シーリング対象となっている、一般事業枠においても医療、福祉、土木、教育、子育て、雇用等の県民生活に直結する事業については、安易に削減することなく、必要な額を確保する必要がある。
コロナ化では、本県経済の厳しい状況が続いており、弱者へのしわ寄せが大きく、そういった人たちを支援する県の役割は一層重要になっている。そこで、令和3年度当初予算編成にあたっては、SDGs「持続可能な開発目標」の誰ひとり取り残さないとの理念に基づき、大幅な税収減の下でも県民生活に直結する事業について水準を低下させることなく、選択と集中によって事業の再構築に取り組んでほしい。どのように編成していくのか。[井戸知事]基本方針では行財政運営方針に基づく選択と集中に取り組んでいくことはもとより、緊急、臨時的な対応としてシーリングの強化や事業の抜本的な見直しを行い、スクラップ・アンド・ビルドを徹底することにしている。
「シーリング」は、施設維持費や政策的経費など一般事業枠に属する経費に対して、一定の削減と事業のスクラップ・アンド・ビルドを促すことを目的としている。ただ、削減額の2分の1相当については新規事業の財源に活用することにした。
事業の見直しにあたっては、一律・機械的な削減とならないよう、事業目標の達成状況や費用
対効果の点検・評価はもとより、社会情勢や県民ニーズの変化、国・市町・民間との役割分担なども個別に精査、吟味し県民生活への影響についても見極めていく。
これから予算編成作業が本格化していくが、スクラップ・アンド・ビルドにより生み出された財源をポストコロナ社会を見据えた先駆的・先進的な施策や県民生活が直面する喫緊の課題に対応する施策に振り向けるなど、すこやか兵庫の実現に向け、県民が将来への希望を持てる社会の創造に挑戦することが出来る予算の編成をしていく。 -
2. ポストコロナ時代の自律分散型社会を目指す地域創生戦略の見直しについて
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. コロナ禍における芸術文化への継続的な支援について
質問と答弁のダイジェスト
[芦田県議]県では、令和2年度6月補正予算で芸術文化公演の再開に向けた緊急支援として「地方創生臨時交付金」から2億円が充てられた。これは収容人数100人規模以上で、感染拡大予防を遵守して芸術文化公演等を実施する場合の施設使用料2分の1相当額を支援し、芸術文化活動の再開を推進するものだ。
それ以外にも、芸術文化活動の経歴を有する個人・団体を対象とした「芸術文化活動機会促進動画配信事業」、個人・団体で概ね50歳未満で県域文化団体等からの推薦を受けたものを対象とした「ひょうごアーティスト動画配信事業」、県民芸術劇場登録団体の優れた舞台芸術を在宅で鑑賞してもらえるよう無料動画を掲載・発信し、舞台芸術鑑賞のPR映像の機会を提供する「県民芸術劇場動画配信事業」といった事業を実施していただいた。
県は芸術文化に強い関心を持ち、スマートで面白い人材の育成や振興を行い、コロナ禍でも国の交付金を活用しながら支援がなされてきたところだが、まだ終息の兆しが見えない中で、引き続き、発表の場の確保、県内各地でのリサイタルやロビーコンサートへの出演、さらには動画の配信など幅広い活動への支援の継続が求められる。
財政環境が厳しい中では、ふるさと納税により財源を確保し、基金の創設による支援も考えられる。コロナ禍で芸術文化の重要性が改めて認識されていることを考えれば、県民の多くの理解が得られるのではないか。埼玉県芸術文化振興財団事業本部長を務められ、現在公益財団法人東松山文化まちづくり公社理事長の石田義明さんの「文化芸術の力で危機を乗り越える」という文章の中に、次のような一説を見つけた。
「新型コロナの感染拡大によって、日本各地で他人への思いやりのなさに起因する事象や信じられない誹謗中傷が起きた。いろいろな立場の誰かを想像する気持ちがなくなった。それを子どもの時から心と身体にしみこませることが出来るのは芸術である」。私もそう思います。佐渡裕さんは「音楽は心のビタミン」とおっしゃっている。ビタミンがなくては健康な体は維持できない。芸術文化の灯を消してはならない。
そこで、現在行われている芸術文化への様々な支援について事業の延長も含め、引き続き支援にどのように取り組むのか。所見を伺う。[井戸知事]第1に活動の継続支援のため「ひょうごアーティスト動画配信事業」などご指摘の3事業により、102団体、88個人に対し無観客で行う公演や展示等支援し、「がんばろうひょうご!つながろうアート」として広く動画配信を行っている。芸術文化協会のホームページで配信している。
第2に、活動の再開を支援するため、劇場等の施設使用料2分の1を助成する「再開緊急支援事業」では、約1,300件の公演等を支援するとともに、市町や団体の要望等も踏まえ、12月末までの対象期限を2月末まで延長する。さらにロビーコンサートやリサイタルの開催など新進・若手アーティストの公演等も幅広く支援している。
一方、ポストコロナ社会に向けた課題も見えてきた。デジタル革新の加速と本物の価値に対する欲求への対応である。
このため、まずICT(情報通信技術)を活用し、リモートによる芸術文化の担い手の育成や芸術文化活動動画配信の充実などに取り組んでいく。これらは地域偏在の是正にもつながる。
2つに、本物の芸術文化にふれ感動する機会を提供するため、県内各地でのアウトリーチ活動やリサイタル等の芸術文化活動を展開する。加えて、広く芸術家の個人や団体が芸術文化活動を行う場合の会場の確保等への支援も積極的に行う。厳しい財政環境も踏まえ、ご指摘のふるさと納税の活用に向け、ひょうごの芸術文化を応援してもらえる事業としての検討も行っていく。 -
4. 認知症対策の大幅な強化について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. 不妊・不育に悩む夫婦の健やかな妊娠出産のための支援について
質問と答弁のダイジェスト
[芦田県議]県ではすでに高額な不妊治療の経済的な負担軽減を図るため独自の制度を創設しているほか、不育症治療支援についても市町とともに共同支援事業を推進するなど地道な取組を推進してきた。薮本健康福祉部長からは、特定不妊治療による分娩率は約25%、不育症妊娠成功率は80%であり、健やかな妊娠出産のみならず、少子化対策にも大きな意義があるとされ、事業開始から16年間における不妊治療の対象者は、延べ81,630組で2万人の出生に繋がった。また、不育症治療支援については、延べ138人に助成し100人を超える出生があったことが紹介され、県の支援に効果があったことを確認できた。
国では菅新政権が発足し、我々公明党が長年にわたり要望してきた特定不妊治療についての保険適用について言及いただき、その実現に向けた取組を加速化する動きが始まったことは、支援の対象となる夫婦家族にとっても朗報で、SDGsの精神にも重なる重要な取組であり高く評価する。
決算特別委員会では、国の動向を注視しつつ、本県単独制度の今後のあり方についての見解とあわせて、不妊治療の検査について夫の検査を促進する意味からもインセンティブを考慮した検査費用を助成する新たな支援の仕組みについて検討するとの答弁があった。部長からの前向きな答弁に感謝申し上げるが、晩婚化の傾向が続いている中にあって、夫婦全体の5.5組に1組が不妊の検査や治療を経験し、いまや生まれてくる赤ちゃんの16人に1人が体外受精や顕微鏡受精による出生となっており現実を踏まえ、より踏み込んだ不妊治療、不育症への支援が必要と考える。
少子化対策は、本県にとっても地域創生の観点からも重要課題であり、何よりも不妊、不育で悩んでいる夫婦が健やかな妊娠出産を迎えることが出来るよう支援を拡充していただきたいと思うが、所見を。[金澤副知事]特定不妊治療については、これまでから所得制限を撤廃すること、あるいは保険適用について国へ要望を行ってきた。このたび、国では令和3年度の保険適用を目指して、当面の対応として、まず所得制限を撤廃する、そして1回あたりの助成額を30万円に増額する、さらに助成回数制限を現在は通算6回だが、これを子ども一人につき最大6回に、今年度中に拡充する方向で検討されている。また不育症についても、検査費用の助成など新たな支援制度の創設が検討されていると聞いている。
不妊は男性・女性いずれも原因である可能性があるといわれている。男女と早期の治療開始が妊娠率の向上につながるが、夫の理解不足や晩婚化などによって治療開始が遅れることが、経済的負担とあわせて大きな課題となっている。こうした問題意識から県の方では、夫婦そろって受診し、検査を受けた場合になんらかの支援の仕組みも検討している。
これらの仕組みを含めて、不妊治療の県単独事業のあり方については、国の支援制度の拡充に向けた動向を注視して、これに対応する形で適切に対応していく。[芦田県議(再質問)]今後、不妊治療の保険適用も視野に入れ、県では不妊治療の指定医療機関が30医療機関存在していることは承知しているが丹波、但馬地域、淡路など地域偏在が生じているのではないかと懸念しているが見解を伺う。
[井戸知事]まず、医療機関の偏在の問題だが、これはもともと医療機関自身が偏在しているところなので、その条件を前提にしながらできるだけ医療機会の均等を目指してどんなことができるかさらに検討させていただければと思っている。
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6. 国の「GоTоトラベルキャンペーン」の本県経済への波及効果と本県の「Welcome tо Hyоgоキャンペーン」の取組について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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7. 新規就農を促進する新たな施策展開について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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8. SDGsを基軸に据えた環境施策の今後の取組について
質問と答弁のダイジェスト
[芦田県議]第5次兵庫県環境基本計画では、大きな5つの柱として、低炭素、自然共生、資源循環、安全・快適、地域力と分類して取組を行っているが、中でもカーボンニュートラルの達成に向けては「地域力」を発揮すること、すなわち県民、地域団体、事業者等の地域のあらゆる主体が、よりよい環境づくりに向けて協働することが必要であり、県民一人ひとりの意識向上が重要だ。
県民に地球温暖化防止、カーボンニュートラルに真剣に取り組んでもらうためには、地球温暖化の施行に伴って異常気象のリスクがさらに高まると県民に気づいてもらうことが必要であり、環境問題への関心を高め「我々一人ひとりの行動が地球環境を変えていくのだ」との地球市民への意識改革のための取組が必要不可欠になる。
そのために全世界で展開され、日本でも認知率が上昇しているSDGsを活用すべきである。まず、県民に対して県が環境分野における各施策においてSDGsに取り組むと宣言し、ホームページ等でPRする必要がある。そして、SDGsには17の目標があるが、その目標の下にはたとえば「12 つくる責任 つかう責任」には「生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」、「14 海の豊かさを守ろう」には「あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」といった環境関連の様々なターゲットが設けられている。それらの目標やターゲットを教育や施策に取り入れることによって、県民一人ひとりが取り組もうとしている環境の取組がSDGsに関係していると改めて認識することができ、より一層その取組を進めようと思うのではないか。
株式会社電通マクロミルインサイトの2020年「SDGsに関する生活者調査」によると生活者のSDGs認知率は29.1%と2019年より13.1ポイント上昇し大きく増加している。また、学生などの若い世代の認知率が45.1%と高い認知率になっており、SDGsへの関心が高まっている。県民の意識改革のためには、関心が高まっているSDGsを基軸に据えた環境施策が有効である。
そこで県が環境分野でSDGsに取り組むことを宣言するとともにホームページ等でPRした上で、SDGsを基軸に据えた環境施策をどのように行っていくのか。[井戸知事]環境の取組は持続可能な社会の実現を目指すものであり、SDGsと理念を共有しながら、経済・社会の諸課題の解決につなげていかねばならない。
本県の環境の保全と創造に関する取り組みの指針である「第5次兵庫県環境基本計画」でも、SDGsの「達成に向けて積極的に取り組む」ことをうたっている。環境の5つの柱や個々の施策についてもSDGsの17目標との関連性を明示しており、その推進を通じて理念を具体化していくことにしている。
たとえば、再生可能エネルギーの導入拡大やCO2排出の少ないライフスタイルへの転換などの取組を通じてSDGsの目標13「気候変動への対処」はもちろんだが、目標7「持続可能なエネルギー」や目標11「持続可能な都市」の実現に資している。レジ袋の削減をはじめとする3Rの取組や「クリーンアップひょうごキャンペーン」などを通じて、目標12「持続可能な消費と生産」の実現などにつないでいる。 さらに、個々の取組段階でも県民・団体・事業者など関係するステークホルダーへわかりやすく普及啓発を行っていくことが大切だと考えている。
そのために、たとえば今年度中から展開しているフードドライブ運動では、スーパー各社に対して、SDGsに貢献することを共有して取組を促している。たとえば、目標12「持続可能な消費と生産」、目標3「健康的な生活・福祉」、目標1「貧困の撲滅」等の達成に貢献するということにつながる。県民に対しても運動に参加する意義としてアピールしていく。
SDGsへの積極的な姿勢は基本計画でも明らかにしているが、より明確になるよう、ホームページの活用など分かりやすい発信も強化する。また、SNSや啓発ポスターなども活用して、SDGsとの関係を「見える化」しながら、県民一人ひとりの意識改革を促し「恵み豊かなふるさとひょうご」の確かな姿を発信していきたい。 -
9. 頻発・激甚化する豪雨に対する洪水・土砂災害対策について
質問と答弁のダイジェスト
[芦田県議]各地で多様な災リスクに囲まれる中、県ではいわゆる国土強靭化基本法に基づき、令和2年3月に「兵庫県強靭化計画」を改訂し基本目標として①人命の保護を最大限図ること②県及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること③県民の財産及び公共施設にかかわる被害を最小化すること④迅速に復旧復興することの4つを掲げ、関連施策の推進に努めるとしている。
そして内容としては「本県の強靭化を損なう原因をあらゆる側面から検討し、長期的な観点から計画的に取り組む」としており「想定される被害や地域の状況に応じて、防災施設の整備等のハード対策と訓練・防災教育等のソフト対策を適切に組み合わせ、効果的に施策を推進する」としている。そのためにはまずは必要なハード対策がどれだけなされているのかということが大前提となる。
そこで、県では線状降水帯や台風等によって頻発・激甚化する豪雨がもたらす洪水・土砂災害に対して、その被害を最小限に抑えるためにどのようなハード対策が必要だと考えるのか。そして、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」等によってどの程度の整備がすすめられたのか、その進捗状況と今後、どのように財源を確保し、優先順位をつけて整備していこうとしているのか。[荒木副知事]県民緑税による災害に強い森づくりを推進。さらに、国の3か年緊急対策を活用して特別の予算措置による短期間での防災事業も集中的に実施している。具体には、武庫川等15河川で河床掘削等を前倒し実施した。また、通常予算では実施できなかった河川の樹木伐採を淡河川等41カ所で実施するなど108カ所で洪水対策を完了させた。
また、神戸市の鈴蘭台北町等18カ所で砂防堰堤事業の前倒しを着手するなど、94カ所での土砂災害対策をスピードアップしている。
しかし、近年の頻発・激甚化する豪雨に備えるためには、実施しなければならない事業量は膨大なものがある。このため、今年度「河川対策アクションプログラム」を策定し、河川整備計画に基づく河川改修、既存ダムの有効活用、中上流部の局所的な治水対策、超過洪水に備えた堤防の強化、堆積土砂の撤去等に積極的に取り組むこととしている。特に人口や資産が集中し、氾濫をすると膨大な被害が発生する河川の事前防災対策を重点化していく。具体には、武庫川では河川整備計画の前倒しに加え、千苅ダムの治水活用や堤防強化等を実施していく。今年度、山地防災・土砂災害対策計画を見直し、特に危険度が高く人家の多い箇所、社会福祉施設、緊急輸送道路等がある箇所を優先して整備をしていく。そして早期効果を出していく。
一般質問
島山清史県議
[質問項目]
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1. 県行政のデジタル化に向けた組織整備等について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]本年9月定例会の我が会派の代表質問で、坪井議員より県行政のデジタル化を進める体制構築について質問したところ、知事からは「組織面では、例えば政策立案部門や事務改革部門と、情報部門の統合など専門組織の設置を検討するほか、その推進役として、ICTの豊富な知識とマネジメント力・行動力のある外部人材の登用も検討していく」と答弁され、知事の意気込みを感じところだ。この機になんとしてもスピード感を持って、実際に機能する組織構築に向けて取り組んでいただきたい。
そのためにも、専門組織は部局横断的に権限と予算をセットに即戦力となる外部人材はもとより、内部からも改革意欲にあふれる人材を結集するとともに、デジタル行政の内製化を図るために、例えば職員採用も技官として情報技術の採用枠「デジタル総合職(仮称)」を新設するなど検討してみてはどうか。
来年度は大幅な収入減が見込まれることから、難しい予算編成になると思われるが、デジタル化の進展を図ることは、地域間競争に勝ち抜くためにも必要不可欠であり、スピード感が重要である。来年4月の組織編成に向け、組織整備及び外部人材登用に向けた現在の検討状況、今後の方向性について伺う。[井戸知事]本県の組織のあり方については、他府県の事例も参考にしつつ、新しい組織を設置し各部から人と権限の集中が可能かどうか、デジタル部門を一定程度増員し組織統合等で組織を強化するのか、デジタル部門を一括集中せず、デジタルによる事務改革部門とビッグデータ・AIを活用したスマートシティ等新政策を立案するセクションに二分し、両者の統括官としてCIOを置くか等、様々な視点から検討を加えている。
ご提案の専門職採用には、マネージャーや実務リーダーとなるまでに時間を要するという課題もある。当面幹部・所属長クラスや班長クラスに即戦力の人材を登用すべく、人気、常勤・非常勤の別、神戸市等が実施している人材紹介会社の活用、あるいは情報コンサルタント会社等からの出向・派遣などを検討していく。 -
2. 分散型社会の要請や地方回帰の機運を捉えた地域創生の加速化について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]新型コロナウイルス感染症の影響で、移動の規模が縮小するなかで、兵庫県の転出超過が拡大していることを踏まえ、新たな対策を考える必要もある。国は、今年の7月に地方創生の方向性と施策をまとめた2020年「まち・ひと・しごと創生基本方針」を閣議決定した。ただでさえ少子高齢化と人口減少が著しい地方が、感染症克服と経済活性化の両立をどう進めるか、基本方針ではこの点を最も重視している。
施策の柱は○自治体独自の感染症対策などを支援する「地方創生臨時交付金」の活用、○地域と継続的なつながりを保つ「関係人口」の創出〇結婚・出産・子育てしやすい地域環境の整備などですが、特に注目したいのは、地方への移住・定着を促す「リモートワーク」の推進を掲げたことだ。代表的な例が、職場以外の場所で仕事をするテレワークである。
先日、産業労働常任委員会の管内調査で新温泉町商工会や湯村温泉観光協会の代表の方々と意見交換させていただいた。そこで、移住相談などが例年に比べ大幅に増加しているこの機を捉え「ワーケーション特区」に指定してもらい、素晴らしい自然環境の中で温泉と食事を楽しみながら仕事できる、湯村スタイルを発信したいとの意気込みを語られていた。
感染拡大後に実施された内閣府の調査によると、全国で3割以上の人がテレワークを経験したと答えており、コロナ禍を通じてそのメリットが見直されている。また、コロナ禍の経験から本社機能を東京から地方へ移す企業が出始め、変化の兆しが生じている。人材派遣大手のパソナグループは東京にある本社から経営企画や人事などの機能を兵庫県の淡路島に段階的に移し、本社社員約1,200人の移動に向けて動き出している。
分散型社会を実現するため、この機を逃してはならない。県下各地でリモートワーク拠点を創設したり、パソナの事例をモデルに本県が本社機能の受け皿となり得ることをアピールしたりするなど、地方回帰の機運を捉えた地方創生の加速化を図る必要があると考えるが所見を。[井戸知事]全県に張り巡らされた兵庫情報ハイウェイにより、新温泉町や佐用町でも均一料金で高速通信が可能と本県ではされている。そのため、テレワーク志向の産業立地に最適である。今年度中には、兵庫情報ハイウェイを東京まで拡張するスーパーハイウェイを整備する。これにより、東日本全体が均一料金で利用できるようになる。この基盤を最大限に活かさなければならない。
首都圏でのIT企業などの情報収集・誘致体制も充実させていく。事務所、事業所まで支援対象を拡大し、法人事業税の減免割合を増大した産業立地条例の活用や幅広い誘致策、五国の豊かな生活文化を発信していく。先日、新温泉町で実施したワーケーションファムトリップでは、「東京から鳥取空港経由なら新温泉町は意外と近い、松葉ガニや神戸ビーフの故郷とは知らなかった、古民家等空き家のオフィス用改修支援制度も整っている、他地域からの人の受入に積極的である」などの声が上がっていた。さらに、招へい者と加工グループとの間で食材の取引が始まるなど、地域の活性化に繋がる関係も構築でき想定外の効果もあった。このような取組を西播磨や丹波などでも実施し、ワーケーション適地兵庫を首都圏にPRしていく。
また、パソナの本社移転表明依頼、首都圏からの企業移転、移住の問い合わせが増加してきている淡路では、島内三市と県民局で産業やオフィス用地のみならず住宅、教育など生活環境も含めた相談窓口の整備を行っていく。 -
3. 性暴力・性犯罪加害者に対する再犯抑止策について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]性犯罪を繰り返す加害者の家族から、カウンセリングや治療を受けさせたいが窓口がどこにあるか分からないとの相談を受けた。県内に窓口は見つからず、大阪府には性犯罪で刑事処分を受けた人の相談窓口があったり、福岡県では今年の5月に性暴力の加害者や自身の性的な問題行動に悩む人を対象とする窓口を開設している。
性犯罪者は刑務所内では再犯防止プログラムを受けるが、出所後は継続的な取り組みが行われていないことが、再犯率低下につながっていないのではないか。性暴力・性犯罪は心身に多大なダメージを与え、その被害者個人の人格と尊厳を著しく侵害する行為だ。刑法犯認知件数は減少傾向にあるが、女性や子どもが対象となる犯罪は高止まりしている。 こうした性暴力・性犯罪の加害者や自身の性的行動に悩む人を対象とした、相談窓口の開設や性犯罪リスクの高い刑務所出所者等に対する出所後の継続的な支援が必要ではないか。[松森県民生活部長]県では性犯罪を含む再犯防止対策として「再犯防止関係機関連絡会議」を設置し、国や県、市町の関係機関や更生保護団体等が連携して出所者等に対する就労や住宅、福祉等の継続的な支援を行っている。なお、性依存症対策としては、その他の依存症と同様に県精神保健福祉センター内のひょうご・こうべ依存症対策センターで、本人や家族からの相談対応や医療機関の紹介を実施している。また、相談窓口については、大阪府では月1件程度、福岡県では月6件程度の実績となっている。今後国の動向や他府県の取組の成果などを踏まえ、「関係機関連絡会議」の場を活用して、更なる再犯抑止のため出所者等への継続的な支援の充実を図っていく。 -
4. コロナ禍における女性、子どもの命を守る取組について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]新型コロナウイルス感染症の間接的な影響としては、自殺が挙げられる。コロナに起因するものとは言い切れないが、全国で7月以降4カ月連続で前年同月より増加しており、10月は暫定値ながら前年同月よりも約4割も多い2,158人に達している。こうしたトレンドは兵庫県も例外ではない。
なかでも、女性と子どもの自殺が目立ってきていることは大変憂慮すべきことだ。女性の自殺は10月は852人で前年同月より約8割も増えている。その理由について、厚生労働省の依頼で自殺対策の調査研究を行っている「いのち支える自殺対策推進センター」は、非正規雇用が多い女性はコロナ禍による失業などで経済的に困窮しやすいことに加え、家庭にいる時間が増えたため、DVや育児の悩み、介護疲れなどの問題が深刻化した可能性を指摘している。兵庫県でのDV相談件数は年々増加し、令和元年度は19,171件の相談があった。
また、全国で子どもの自殺が増えていることも看過できない。特に8月には高校生の自殺が過去5年間で最も多くなっており深刻な状況だ。その要因としてコロナ禍における学習環境の急変などが背景にあるとみられている。
兵庫県ではこれまでも、女性や子どもの悩みに対して相談窓口を設置し、様々な媒体を活用しながら啓発を行ってきたが、更なる強化が必要である。また、さらなる経済的支援も必要ではないかと考える。県下自治体の中には、ひとり親家庭への追加支援をする動きがあります。県下の状況を速やかに把握し、真に困っている方への直接的な支援も必要である。
そこで、コロナ禍における女性、子どもの自殺の現状をまずは調査するとともに、自殺に追い込まれることのないように、こうした方々の命をどのように守っていくのか。[入江福祉部長]ご指摘の現状の調査については、自殺統計に加えて精神保健福祉センターやいのちと心のサポートダイヤルに寄せられる相談内容から年齢・性別によるリスク要因を把握・分析し、支援に活用している。また、こころのケアセンターにおいて、新型コロナウイルス感染症がもたらす心理的影響とその対策に関する調査研究を進めている。一方で、相談者の悩みや不安を解消することで自殺を抑制できると考えている。
まず、女性への対応については「悩みのほっとライン」や「女性のための悩み相談」の相談窓口のほか、経済的な基盤が脆弱な母子家庭などひとり親家庭については、兵庫県弁護士会に委託している「経済問題等心の悩み法律相談」の相談時間を補正予算等により拡充し、労働問題や離婚等の解決に向けた手続きの助言を行っている。加えて、今後、ひとり親臨時特別給付金が国の方で再支給が検討され、経済的支援を行っていく。
次に、子どもへの対応については、従来から「自殺予防に生かせる教育プログラム」を授業等で活用しているほか、「LINE無料電話相談」あるいは「ひょうごっ子悩み相談」などのSNSや電話を用いた相談窓口を設置し、孤独の解消や支援機関へのつなぎや見守りを行っている。加えて、市町の実態に応じて心のケア支援員を新たに配置するとともに、スクールカウンセラーの相談時間を拡充するなど、こころのケアを行っている。 -
5. 子宮頸がん発症状況とHPVワクチン接種率の現状について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]厚生労働省は令和2年10月9日付けでHPV感染症にかかる定期摂取の対象者等への通知について、対象者への情報提供に消極的であった姿勢を修正し、HPVワクチン接種の判断材料となる有効性・安全性に関する情報と摂取を希望した場合の円滑な摂取を促す情報提供を図るよう都道府県に対して通知している。
県下でも、対象者に個別に説明資料等を送付している姫路市の事例があり、その他県下の市町でもこうした取組を推進すべきである。現下の課題としては、現状や判断材料となる正確な情報が対象者や保護者に伝わっていないこと、また、ワクチン接種に対する公費助成があるにもかかわらず、知らない保護者が増えており、公費助成には対象年齢期間があり知らずに逃しているケースがある。
県下の子宮頸がん発症状況について、どのように考えているのか。また、現状についてどのように考え、どのような対策が必要と考えているのか。[藪本健康福祉部長]本県の子宮頸がん罹患者は平成27年が488名、28年が495名、29年が474名とここ数年は400人台後半で推移している。HPVワクチンについては、平成25年4月に定期摂取化されたが、ワクチンとの因果関係を否定できない重篤な副反応が報告され、同年6月から現在まで、定期摂取の位置づけは変わらないものの、国においては「接種の積極的な勧奨とならないよう留意すること」との姿勢が維持されている。
この間、平成30年10月に行われた国の調査では「HPVワクチンの接種についてわからないことが多いため摂取への判断ができない」と考えている方が4割を超える等、国民への情報が十分行き届いていないことも明らかとなっている。
そのため、県では子宮頸がんの原因の50から70%を防ぐといわれている、このワクチンの有効性や摂取部位の痛みや腫れなどの副反応を含めた安全性に関する正確な情報等について、国が作成したリーフレットも活用して、県のホームページで周知している。
ワクチンに関する個別通知については、県内では令和元年度に3市町が実施、また令和2年度、今年度は30市町が実施または予定している。個別実施した市町では、接種者が前年度に比べて増加するなどワクチン接種率向上への効果が見て取れる状況となっている。
県ではHPVワクチンの接種については、積極的な勧奨の再開の是非が判断されるまでは、正確な情報を周知し接種希望者等がワクチン接種の効果等を検討・判断できるよう努める。また、子宮頸がん検診についても、居住市町以外、例えば大学や職場等のある市町でも受診できるよう関係機関との協議を進めるなど対策を強化していく。 -
6. 保育現場における歯科口腔保健対策の推進について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]本年9月30日、岡山大学大学院歯科薬学総合研究科(歯科)の森田学教授と岡山大学病院予防歯科の横井彩委員らのグループは、1歳半で保育所へ向かう幼児は、日中、母親の養育を受ける幼児と比べて、3歳になるまでに、むし歯になるリスクが1.55倍であることを明らかにした。母親の養育を受ける幼児は保育所へ通う幼児と比べて、おやつの回数が少なかったり、毎日の歯磨き習慣が身についていたりする幼児が多いことが原因としてあげられている。
「1歳半は第一の(むし歯の)感染の窓」と言われていることから、これまで兵庫県下の各市町では、幼児期の早期から健診を実施しているが、今回の岡山大学が実施したような疫学的な調査はされていないと聞いている。
これまで待機児童対策として保育所数は右肩上がりで増えており、県下でも同じような状況にあるのであれば、早急に対応する必要があるのではないか。まずはこうした実態調査と保育現場の実態をきちんと把握する必要があるのではないか。
私が保育現場で聞き取ったところでは、幼児自ら歯磨きをすることが難しい3歳までの幼児に対して、必ずしも保育時間内に保育士が歯磨きを実施しているとは限らないようだ。したがって、帰宅後に親が歯磨きをしなければ、まったく歯磨きしないことになる。
まずは県下の状況を調査すると共に、乳幼児の母子保健対策を担う市町において、歯科衛生士を活用した保育現場での歯科口腔保健対策の強化が重要であると考えるが所見を伺う。[藪本健康福祉部長]県では、妊娠期において産科と歯科との連携による妊婦歯科健診や歯科保健指導を推進している。また、乳幼児期においては、市町で口腔機能の発達を促すため、歯の成長段階に応じた離乳食の作り方や与え方の指導、また、むし歯予防として、歯みがき指導やフッ化物塗布を推進している。これらの取組の結果、昨年度のむし歯の有病率は、平成20年度と比べて、1歳半では1.8%から0.8%、3歳では20.2%から10.0%とそれぞれ半減している。
一方、乳幼児期の歯磨き習慣や食習慣は、歯の健康と密接な関係があるにもかかわらず、保育現場での歯みがき指導やおやつの与え方などの状況については、十分把握できていない。今後は、保育現場におけるこれらの実態把握を行い、その結果も踏まえ、例えば、保育所等での歯科衛生士による歯みがきや食事指導、また、生活習慣とむし歯予防の啓発リーフレットの作成、さらに、乳幼児歯科健診時の健康指導など、市町や保育現場での歯科口腔保健対策に取り組んでいく。 -
7. 特別支援学校体育館における空調設備の整備について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]阪神間でこやの里特別支援学校、阪神特別支援学校、芦屋特別支援学校の過大過密状態が続いており、これから続くウィズコロナの時代で、広い屋内空間で遊ぶことができる体育館で、空調設備の早急な整備を進める必要がある。さらに、これらの体育館の中には避難所に指定されているところもあり、そうした観点からも整備が急がれる。
県立の特別支援学校は総じて、築年時の古いものも多い。県では学校施設の老朽化対策を推進するにあたり、県立学校施設管理計画を策定し、学校施設の長寿命化改修などを行っている。その中で、既存施設に空調整備を施すことは可能である。ただ、この計画では、県立高校と特別支援学校を同列に、建築年数及び耐震化実施状況を考慮して、長寿命化改修を行うものとされていることである。特別支援学校を優先的に改修するなんらかのアドバンテージがあってもいいのではないか。
県下の市立の特別支援学校が体育館に空調設備を備えていることを考えれば、いままさに整備しようとしている、川西市の阪神北地域新設特別支援学校(仮称)は標準装備とすべきであると考える。また、既存の特別支援学校の体育館でも、早期に空調設備を整備するべきであると考えるが所見を。[西上教育長]特別な財源がないので使用頻度等を考慮し、段階的に進めざるをえない。まずは普通教室への整備を進め、平成30年度に完了した。次に特別教室への整備は約140億円かかるので、夏場でも窓を閉め切って授業を行う音楽教室や室内温度が高くなる調理室など、優先順位の高い5室から整備をしている。特別支援学校は令和元年度にこの5室は完了している。体育館への空調整備は、やはり全ての特別教室の整備完了後とならざるを得ない。その際には、市町避難所に指定されている特別支援学校から優先的に整備していきたい。
川西市に新設する特別支援学校については、特別教室・体育館も含めて空調を整備することとしている。今後とも、優先順位を考慮しながら計画的に整備していく。[島山県議コメント]特別教室では、狭い空間で密になってしまう。体育館のような広い部屋で夏場でも活動できるようにしてほしいという現場教員からの切なる声である。今後、新しく整備する学校には空調を整備するということだが、できるだけ早く特別支援学校を優先的に整備してほしい。
一般質問
小泉弘喜県議
[質問項目]
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1. 県職員における男性の育児休業の促進について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]県では、男女共同参画社会づくりの取組をより効果的に行うため、まず県自らが男女共同参画のモデル職場となるよう「第1次男女共同参画兵庫県率先行動計画―ひょうごアクション8-」を平成15年5月に策定し、現在は平成30年度~令和2年度までの第6次の取組を進めている。アクション8では男性の育児に関して「男性の育児休業」、「配偶者の出産補助休暇」、「男性の育児参加のための休暇」が数値目標を定めた上で盛り込まれている。
「男性の育児休業」では、取得率を希望者の100%、対象者全体の5%程度とする目標が掲げられており、令和元年度は希望者の100%が取得するとともに、対象者全体の取得率が12.1%で目標達成。「配偶者の出産補助休暇」は、対象者100%取得目標に対して、令和元年度100%が取得し、目標達成。「男性の育児参加のための休暇」は、対象者100%取得目標に対して、令和元年度88.7%が取得し、目標未達成でした。
この中で、私が問題と考えるのは「男性の育児休業」の対象者の希望者が目標を超えているとはいえ、対象者全体の12.1%と低すぎる点と育休等をとっているだけになっていないかという点である。いま社会では、児童虐待や母親の産後うつが問題になっている。私は男性が家事・育児にしっかりと参加することは、共働きが増え核家族世帯を取り巻く環境が大きく変化している現代社会において、産前・産後の母親を守ることにつながり、虐待や産後うつ等の防止にもなるのではないかと考えている。
男性が家事・育児にしっかりと参加する社会づくりのためには、まずは県が率先して県男性職員の育児休業等の取得に取り組み、事業者の模範となる必要がある。
現在、次期アクション8の策定中と聞いているが、その中の「男性の育児休業」の数値目標を上げ、それを実現するための職場環境の整備とともに、育休等取得中に男性が家事・育児にしっかり取り組めるための男性の意識の改革をどのように進めていくのか。[井戸知事]今年度からは、人事評価のワーク・ライフ・バランスの項目に育児等の取組を加えている。また、「子育てプラン」については本人の記入後、上司の確認を義務付ける方法に変更した。上司がより積極的に部下の育児休業・休暇の利用を促進できるようにするためである。そして、家事・育児の分担について夫婦で検討してもらうために「家族ミーティングシート」を新たに作成することとしている。これらにより、積極的に家事・育児に参画する意識の向上を図っている。
現行の「ひょうごアクション8」であるが、今年度までであるので育児休業の取得率の目標については、すでに達成していることとなっているのでというのは、ご質問の中でも触れて頂いたが目標数値は対象者全体の5%程度、令和元年度で対象者全体の12.1%に達しているので、当然見直さなければならない。これまでの取り組みや国の動向等を踏まえて、来年度からの次期計画において、現行の数値を上回る新たな数値目標を設定していく。加えて、職員への制度周知や研修を通じて、対象職員のみならず上司も含め、家事・育児への参画意識を高めていく。
ただ課題が一つあって、育児休業は無休で給料の支給対象にはなっていない。互助会などの支援を含めながら。これらの課題も検討する必要がある。 -
2. 虐待や産後うつを防ぐための産前・産後ケアの拡充について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]令和元年度、県内のこども家庭センターに寄せられた児童虐待相談件数は8,308件、市町の9,900件とあわせると、18,208件にもなる。虐待の増加については様々な原因が考えられるが、私は出産する母親の産前・産後ケアをしっかりとすることが、予防策の1つとなると考えている。その産前・産後ケアを担う専門家として、家事・育児など母親サポート、家事サポート、育児サポートの3本柱で保健師や助産師等の手が届かないところまでサポートができ母親を支え、寄り添う産後出ドゥーラがいる。本年2月定例会で私は「産後ケアについて」質問し、育児の孤立化が進んでいる結果、産後うつになったり、虐待をする母親が増えてきているのではないかと問題提起した。
そして「産後ドゥーラが産後うつ防止や児童虐待防止のために大きな役割を果たしている」と紹介し、健康福祉部長から産後ドゥーラは、出産直後の母親を支える人材であり、少子化対策、産後うつや児童虐待防止に一定の役割を果たすのではないかと考えている、との答弁をいただいた。
児童虐待を取り上げた「凍りついた瞳2020」という本の中で「決して悪い親が虐待するのではなく、DV・貧困・孤立等により養育に困っている親が虐待に至ってしまっている、というとらえ方が求められる」とあり、また同書には「近年の核家族世帯を取り巻く環境が変化(血縁・地縁の希薄化、質的変化)したことが問題であるということだろう」と書かれている。
社会環境の大きな変化に対して、地域、行政等が協力し、母親の孤立化を防ぐことが虐待や産後うつを減らすことにつながる。昨年法定化された産後ケア事業では、助産師等の看護職が中心となり、母親の身体的回復や心理的な安定を促進するとともに、母子の愛着形成を促すとしているが、そのためには指導・助言だけではなく、母親に寄り添ったサポートの充実が必要である。産後ドゥーラなどによる産前・産後サポートはその1つの、しかし重要な取組である。
県内市町では産前・産後サポート事業を展開しているが、産前からしっかりと母親との人間関係を築くことができ産前・産後から母親に寄り添える、そういった産前・産後の切れ目のないケアが必要であり、虐待や産後うつを防ぐためにはさらに拡充させることが求められるが所見を伺う。[藪本健康福祉部長]県では市町の取り組みをさらに推進するため、事業の実施状況調査により実施を把握し、母子保健担当者会議で取り組み事例等について情報提供、また妊産婦支援にあたっての課題の共有と対策を検討するため、市町、産科医療機関等の関係者が参画する会議の開催、また、母子保健・医療の関係者を対象にして、出産前後の母親のメンタルヘルスケアについての研修を実施している。児童虐待の一つの背景として、核家族世帯の増加や血縁・地縁の希薄化など、社会環境の変化も指摘されている。産前・産後を通じて保健師や助産師などの専門職と母親とのしっかりとした人間関係を気づくことも必要である。このため、妊産婦がこれら専門職との信頼関係のもと、自身をもって出産・育児に向き合えるよう、「産前・産後サポート事業」とか「産後ケア事業」で、同じ助産師が継続して妊産婦を担当し、相談に加えて心身のケア、育児サポート等きめ細かな支援ができるよう新たな仕組みづくりについて、検討していく。 -
3. 発達障がい児の保護者に対する支援について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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4. 県営住宅入居の承継に関する要件緩和について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]これまで県営住宅の入居者の方から承継について様々な声を伺ってきた。その中に、県営住宅の自治会長さんから「仕事をやめ、長年親の介護に従事してこられ、60歳手前にして介護していた親がなくなり、県営住宅を出なくてはいけなくなった方がいる。職探しも大変な中、新しい住居を探すのも大変で県営住宅に残ってもらうことができないか」という相談があった。
その方は県の承継要件に該当しなかったため、結局退去されたが当人含め自治会の皆様も落胆されていた。その時私は、承継の要件にはあてはまらないが、特別な事情がある方に支援の手を差し伸べることはできないのかと痛切に思った。
承継要件が厳格化されたことには理由があり、行政としては新しい要件に基づき適正な判断をされてきたかと思うが、次代は変わり新しい課題が生じており、その課題に対して前向きに取り組んでいかなくてはならないと考える。
本年10月より大阪府では府営住宅の地位継承の要件が見直され「名義人の子又は孫」にも原則1回限り認められることになった。入居者の高齢化など環境が大きく変化していることから制度の見直しが求められていたと伺っているが、兵庫県においても例えば、残された子ども・孫がひきこもりである場合や、障害者手帳は所持していないが福祉、医療など関係機関がやむを得ないと認めた場合など特例として承継できるようにするなど、独自に要件を緩和する方法があるのではないか。
そこで県営住宅入居者の承継の要件緩和の方向性について、どのように考えているのか。[出野上まちづくり部長]退去に際してはすぐに退去をもとめるのではなく、指定管理者が相談に応じながら移転先がみつかるまで、一定期間猶予している。また、仕事がない方や収入が少ない方に対しては市町と連携し生活保護や就労の支援に結び付け、住み替えが円滑に進むよう努めている。
しかしながら、近年入居者の高齢化により例えば新たに介護のために同居した方の件数が、令和元年では平成27年の1・5倍となるなど介護のために同居する親族が増加している。これに伴い残された同居者が医療・福祉・就労の面で自立困難な事情を抱え、退去が難しいケースが増加することも想定される。多様化する個別的要因に対応するため、がん等重い病気やひきこもり状態の方がある場合には医師の診断書、あるいは指定管理者が市町、民生委員等と設置し、入居者情報、課題を共有しそして意見を集約する判定会議などの意見を参考に柔軟に承継を認めていく。[小泉県議(再質問)]6か月の猶予ではなかなか介護していて長年仕事もしていなかった、ご両親の年金で暮らしていた方に関しては、引っ越し費用もそうであるし様々なお金がかかってくる中で、6カ月で充分なのかという判断も難しい。そういった中で相談して決められていくというという答弁をいただいたが、そういった中でどれぐらいまで待ってもらえるのか、なかなか答えづらいとは思うが、私に相談いただいた方で、すぐに出ていってくださいといわれた。1か月もたたずに出ていかれたこともあったので、どのくらい待ってもらえるのかおおよそ教えてもらいたい。[出野上まちづくり部長]退去までの期間は原則として3か月、猶予の期間としては6か月、これまでの事例で申し上げると最大一年猶予したという事例がある。今後は、判定会議なども設けて継続して入居できるということも検討している。 -
5. 多様な学びの場としての多部制高校の充実について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]現在、兵庫県では西宮香風、阪神昆陽、西脇北、飾磨工業と4つの県立の多部制高校が設置されている。令和2年度のⅠ期・Ⅱ期試験の実施状況をみると、夜間の3部では定員に対し、充足率が大幅に満たない状態の学校が3校あり、逆に1部と2部では充足率100%または半数を超えている学校があり、1・2部と3部との間で充足率に大きな差があるのが実態である。
多様な学びの場としての多部制高校のさらなる充実のためには、1部・2部・3部の募集定員の見直しを考える必要があると考える、充足率が大幅に満たない3部は縮小し、その分充足率の高い1部と2部を拡充するべきではないか。
昨年の9月定例会で我が会派のあしだ議員の質問に、教育長は従前の同一学校間の1部から3部間の志願変更、また多部制高校間の志願変更に加え、全日制等、多部制以外の高校との志願変更も可能として選択の拡充を図る、としてうえで昼間部と夜間部の募集定員の見直しについては、来年度予定をしている高等学校のあり方に関する有識者会議の中の検討課題の一つと考えている、との答弁をいただいた。
そこで令和2年度のⅠ期・Ⅱ期試験の結果、また10月入学や志願変更の状況を考慮し、高等学校のあり方に関する有識者会議での議論の進ちょく状況を踏まえた上で、募集定員の見直し等、多部制高校のさらなる充実のために今後どのように取り組むのか。[西上教育長]近年、多部制高校は、大学と同様に単位制をとっており、より柔軟な単位認定や少人数授業等により、自分のペースで学べるとの評価から、従来の想定を超えて、大学進学や専門学校への進学を目指す生徒も多く通う状況となっている。特に、昼間の1部・2部への入学を希望する生徒が増えている。
このような状況を踏まえ、来年度策定を予定している、県立高等学校教育改革第三次実施計画に多部制高校のあり方を盛り込む必要があるとの認識から、現在「ひょうご未来の高校教育あり方検討委員会」において、議論していただいている。委員からは、現在の社会状況における生徒や保護者のニーズを踏まえ、各部ごとの定員見直しは必要であるが、その際には、夜間の3部の希望状況に十分配慮すること等の意見をいただいている。
同委員会からの報告・提言は、12月中旬に予定しているパブリックコメントを経て、3月に受ける予定。その報告・提言を受けた後、具体的な検討に入る。
今後とも、生徒にとって、学びたいことが学べる環境づくりを推進していく。 -
6. ICTを活用した新しい教育の展開について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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7. スマートフォンアプリ対応の信号機設置の推進について
質問と答弁のダイジェストはありません。