議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第351回(令和2年9月)定例県議会
代表質問
坪井謙治県議
[質問項目]
-
1. 新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた今後の財政運営について
質問と答弁のダイジェスト
[坪井県議]これまでに行った補正予算の財源のほとんどは、地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金が活用され、実質的な県の財政負担は限定的と聞いているが、その一方で県税収入の落ち込みは深刻になる。日本全体で4~6月のGDPは戦後最悪の落ち込みとなり、海外の状況をみても当面V字回復するとは考えにくい状況にあり、本県の経済状況も同じではないかと思われる。
短期的には、不急の事業の実施の見送りや経費の節減などによって、今年度の当初予算を柔軟に見直していく必要がある。さらに、中長期的な本県財政への影響を分析し、令和元年度から10年間を計画期間とする「兵庫県行財政運営方針」について「3年ごとを目途」とした文言にこだわらず、新型コロナ対策と財政完全化を両立させるための見直しが必要であり、様々な事業に対しても必要性や優先度を考えながら大胆な見直しが必要である。
また、こうした行財政運営の見直し等については、県民の皆様に対してわかりやすく説明し、理解を求めることが必要だ。そのことがひいては厳しい状況に置かれた県財政と予算の見直しへの理解と支持にもつながるものと考える。そこで、今年度の当初予算については事業の見直しや経費の節減などをどのように進めていくのか。そして、今後「行財政運営方針」や様々な事業の見直しをいつ、どのように進めていくのか。さらに、それらについてどのように県民に周知していくのか。[井戸知事]令和2年度の県税収入は、コロナ禍による消費の低迷や景気の悪化により、法人関係税や地方消費税を中心に現時点で当初予算に比べ約1,000億円を超える減収が見込まれる。さらに、来年度の税収は、現在の財政フレーム上の見込みと比較して約2,000億円減となる可能性があり、このうち交付税による財政調整の対象外となる留保財源が約500億円不足するため、新年度の予算編成は大変厳しいものになると認識している。
今年度の減収に対しては、減収補填債や調整債などを活用するが、現行の減収補填制度で対象外とされている地方消費税などについては対象とするよう国に強く要望している。加えて、自らの対策として中止や延期が見込まれる事業を減額するほか、基本的な維持費を除く行政経費の節減にも取り組む。
来年度に向けては国に対し、リーマンショック時の交付税の別枠加算を超える措置など、地方一般財源総額の確保を要請し、特に留保財源の大幅な減少について特例的な地方債の創設などを求めていく。また、行財政運営方針についても令和3年度当初予算の編成と並行して財政フレームを見直し、事務事業の見直しをはじめ行財政構造改革時にもまして英知を結集し行財政全般にわたる対策を徹底し新年度から反映する。
県民への周知・広報にあたっては厳しい財政状況と事業等への見直しへの理解と支持が得られるよう、引き続きていねいでわかりやすい資料作成、発信に取り組むとともに県ホームページやSNS、県民だよりひょうごなど県民の目にふれやすい媒体を積極的に活用する。 -
2. 県行政のデジタル化を大胆に進める体制構築について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
3. 感染拡大のための「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」と「兵庫県新型コロナ追跡システム」の普及拡大について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
4. 新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い深刻な打撃を受けている地域医療への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[坪井県議]毎年10月ころから季節性インフルエンザの流行が始まるといわれている。季節性インフルエンザは毎年、国内で約1000万人が観戦し、県では1日8,600人程度の診療体制が必要だという試算もある。新型コロナ感染症がおさまる見通しもたたない中で、同時流行に備えた体制の整備が必要です。
しかし、地域医療の担い手である医療機関の経営は、新型コロナ感染症の影響の長期化に伴い、深刻な打撃を受けている。新型コロナ患者を受け入れている医療機関は、ベッドを空けていることによって収入が減少しているだけでなく、感染防止に必要な設備や消毒などの経費がかさんでいる。一方で、新型コロナ患者を受け入れていない医療機関においても、新型コロナの感染を恐れた「受診控え」などによって患者が減少し、経営が悪化している。厚労省によれば5月に全国の医療機関を受診した患者数は、前年同月から2割以上も減少しているとのことだ。その結果、日本病院会などが全国の病院を対象に行った調査では、新型コロナ患者を受け入れている病院の8割以上、全体でも6割以上が赤字に陥っているという調査結果が出ている。
新型コロナ患者を受け入れる医療機関への支援として、感染防御のための施設整備の支援に加え、空床補償や運営支援などを実施しており、評価するところだが、それ以外の感染防止に取り組みながら地域で医療提供を続けている医療機関に対しても、一層の財政支援が必要である。今後、発熱患者などの診療や検査を進めていく体制の整備のためにも、医療機関の経営の安定は欠かせない。
新型コロナ感染症対策に万全を尽くすのはもちろんだが、他の病気の患者も必要とする地域医療を守るために、今後どのような支援を行っていくのか。[井戸知事]新型コロナウイルス感染症患者に対応する医療機関は、通常を上回る看護師の配置や院内感染防止対策など大きな経営負担が生じるため、県は空床確保や設備整備等について支援している。一方、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない医療機関についても、感染を恐れた受診控えによる患者減少により経営が悪化している。
そのため、県では救急・周産期・小児医療機関などで感染の疑いのある患者が受診した場合に必要な診療が行えるよう、簡易陰圧装置や空気清浄機の整備など、院内感染防止対策への支援を行っている。また、兵庫県医療信用組合などが取扱金融機関に指定している県の中小企業融資制度で、売上減少など一定の要件を満たす場合に3年間無利子、保証料全額を免除する「新型コロナウイルス感染症対応資金」等を創設した。加えて、一定額まで無利子・無担保の福祉医療紀行が行う融資制度を周知するなど、医療機関の資金繰りの支援も行ってきた。
さらに、インフルエンザ流行期への備えとして国が行う①「診療・検査医療機関」で実際の受診者数が想定受診者数を下回る場合にその差を体制確保料として行う支援や②救急医療機関等が9月以降に実施する院内感染防止対策を対象とする支援などを医療機関等に周知し、積極的な活用を促進していく。また、過度な受診控えが健康に及ぼす影響も懸念されることから、医師会等関係機関と連携し、適切にかかりつけ医等への受診や健診を行うよう啓発に努める。 -
5. 「認知症対策ひょうごモデル」の全県展開について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
6. 重度障がい者に対する訪問看護療養費の助成拡大について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
7. 厳しい経営状況にある中小企業等への経営支援について
質問と答弁のダイジェスト
[坪井県議]新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの企業が悪影響を受けている。内閣府が9月に公表した4月から6月期の国内総生産は、年率換算では28.1%減となっており、成長率のマイナス幅は比較が可能な1980年以降で最大で、事実上、戦後最悪の落ち込みとなっている。新型コロナ感染症が国内経済に与えた打撃の大きさが浮き彫りとなった。
こうした記録的なマイナスに陥った最大の要因は、GDPの半分以上を占める個人消費が、前期比7.9%減に落ち込んだことであり、それは国の緊急事態宣言の下の外出自粛や営業休止が広がり、レジャーや外食をはじめ幅広い分野で支出が抑えられたことによる。 こうした状況を受け、国は緊急経済対策として大幅な売り上げ減に見舞われた中小企業などに対して、持続化給付金や雇用調整助成金の特例措置、家賃支援給付金など、矢継ぎ早に支援策を打った。県においても、中小企業などの資金繰りを支援するための融資制度や、県の休業要請に応じた事業者に対して支援金を支給するなど、様々な支援策を打っているところだ。こうした支援策によって、事業継続の見込みができ、本当に助かったとの声を聞いている。
その一方で、対象条件に満たず支援から漏れ厳しい経営状況にあえぐ中小企業などもあり、支援策の対象要件の緩和や新たな支援策を求める声が届いている。感染拡大が落ち着きを見せているとはいえ、冬に向けて再拡大する可能性を考えれば、今後も厳しい経営環境は続く。中小企業などの事業継続を第一に考えれば、必要な支援策をためらわずに打っていかなければならない。
効果的な対策を打っていくためには数値などに基づいて状況を把握することが必要だが、県では県内中小企業の経営環境をどのように把握しているのか。そして、これまでの支援対象から漏れた企業も含めて厳しい経営状況にある中小企業などに対して、今後の感染再拡大も見据えた事業を継続していくための経営支援が必要である。これをどのように取り組むのか。[井戸知事]新型コロナによる需要減少したの資金繰り支援のため、本県では3年間無利子・保証料不要の融資、休業支援金、事業再開支援金など緊急対策を講じてきた。今回、融資枠を1兆円から1兆3千億円に引き上げて万全を期す。また、国は持続化給付金、家賃給付金等を用意し、前者だけでも県内給付額は推定で1千7百億円を超える。
各事業に要件はあるものの全体を見ると、影響を被った事業者の多くg既に利用されていると考えており、日銀短観の中小企業資金繰りDIをみると、全国的に悪化する中にあって本県は最も良好な数値を示している。大災害にも似た情勢のなか、今後は、これら緊急対策による事業継承の下支え、言わば安心を提供することと並行し、中小事業者が今後に望みを持てる取組がかかせない。将来を拓く前向きなチャレンジへの応援として、すでに講じた飲食店のテイクアウト等新展開支援としてのがんばるお店お宿応援事業に加え、今回、地域企業のデジタル活用支援事業で追加支援する。
さらに、希望をつなぐという点では、個人消費や設備投資といった需要回復が待ったなしの課題だ。県中小企業家同友会の調査でも、コロナ禍の影響のトップは「需要減少」であり、その意味でGоTоキャンペーンは、トラベルのみならず、今後のイート、イベント、商店街と合わせ、消費拡大が需要増につながることを期待している。
その状況を見定めつつ、今後、需要回復策の国への要請を続けるとともに、県としてもサプライチェーン対策に強化や中小企業のデジタル化、販路開拓の支援など、ウイズコロナを前提としたビジネスモデルへのシフトに向けて、二の矢、三の矢を機動的に検討する。 -
8. 「Withコロナ時代」における観光振興を見据えた県民の県内観光の促進ついて
質問と答弁のダイジェスト
[坪井県議]県では新型コロナで打撃を受けた県内の観光産業の早期回復を図るため「Welcоme Tо Hyоgоキャンペーン」を行っている。特に「ひょうごで泊まろうおトク割引」は好評で、有馬温泉では8月の宿泊客は2割程度増え、淡路島内では三密の回避のため、いつもの7割の部屋数であったとはいえ、満室が続いたと聞いている。あわせて温泉地に宿泊した方を対象にお土産店などで利用できる「おみやげ購入券」については、期限の9月22日までに食博施設に45万枚配布済みでこちらも好評だったと聞いている。このような対策の効果を見ると、県による観光振興が必要かつ重要であることを改めて痛感した。
今後はさらに様々なキャンペーンを打ち出すべきであり、また、宿泊は無理でも日帰りなら行けるとういう県民を対象とした取組を行う必要yがある。例えば、国では「Gо Tо Eatキャンペーン」が実施される予定だが、それに合わせて日帰り観光であっても「おみやげ購入券」「観光地食事券」のような、気軽に使えるクーポン券を発行することや、クーポン券とツーリズムバス事業をセットにするなど、県民の日帰り観光を促進する支援が必要だ。
また、観光スポットの魅力に気付いてもらうためには、広報・PR事業を拡充することが必要である。Instagramでハッシュタグを活用した「グッとくる ひょうごフォトコンテスト2020」には、現時点で5,000枚を超える写真の応募があるそうだが、多くの方に見ていただけるSNSを駆使した広報にも力を入れていくことも重要である。
そこで、これからの秋冬の観光シーズン、さらには「With コロナ時代」における観光振興を見据え、県内観光を促進するために、どのように取り組んでいくのか。[井戸知事]我が国の観光消費額28兆円の8割は国内旅行が占める。中でも本県は9割が日帰り、宿泊の場合も4割を県内・近隣府県客が占めている。本県観光需要の回復に向けては、まず、県内や近隣地域からの誘客を中心に加速することが重要だ。このため来月からは、三密を回避しつつ近場の自然を楽しむマイクロツーリズムをターゲットに、秋冬版「あいたい兵庫キャンペーン」を開始する。
日帰り対策としては。県民等の県内周遊を促すため、2千円相当のお土産をセットにした五国交流バスツアーの造成を支援している。県民交流バス事業の拡充とあいまって、団体旅行が徐々に増えている。さらなる、利用を促進するため、感染対策を見え化する「安心旅プロモーション」の対象を、宿泊施設だけではなく観光バスにも拡大する。
10月1日からは、観光施設・飲食店等で使えるGоTоTravel地域共通クーポンの配布がスタート。10月末にはGоTоEat食事券の発行もはじまることから、日帰り観光の回復基調を確かなものとしたい。
宿泊対策では、温泉地宿泊者向けおみやげ購入券の第二弾「兵庫五国の名湯に泊まろうキャンペーン」を実施し、GоTо Travelとの相乗効果を狙う。スキーシーズンを迎える12月からは、スキー場周辺地域の平日宿泊割引を実施する。
誘客に際しては「あいたい兵庫キャンペーン」のガイドブックを主要駅等に配架し、観光本部ホームページ「ひょうごナビ」で広報する。また、現在、開催中のInstagramフォトコンテストの優秀作品を、観光本部のポスターやホームページで活用する。1万人以上のフォロワーを持つ応募者も複数いるため本県観光事業への継続的な参画を働きかけ、SNS広報の強化を図る。
さらにはこれらの取組が一過性のものとならないよう、Withコロナ時代における新たな旅スタイルの定着、兵庫五国の魅力のブラッシュアップを通じたリピーターの創出につなげたい。 -
9. 広い県土と五国で異なる地域性を踏まえた本県独自の新型コロナウイルス感染症対策にかかるガイドラインについて
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
伊藤勝正県議
[質問項目]
-
1. 県内観光の推進強化について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]近年、インバウンドでは大阪や京都に大差をつけられているが、国内旅行に限っていえば、訪問率は大阪や京都とほぼ同じで善戦しているが、観光庁の宿泊旅行統計調査によると宿泊者数ではやはり大阪に2倍以上離されていることから、コロナ禍において他府県でも本県のWelcоme tо Hyоgоキャンペーンと同等の支援事業が展開されていれば、宿泊を伴う経済効果の高い誘客にはつながらないのでは、と危惧している。いま耐えておられる観光関連事業者には、より即効性のある経済効果が高い施策を早急に展開する必要がある。
ある観光関係事業者に伺うと、3世代の家族客は消費額も大きい傾向になるが、高齢者が感染を恐れて外出を控えているため、今年は激減しているとのことだった。経済効果の高い3世代ファミリーが安心して楽しめる観光メニューの提案や、食のブランド「淡路島」推進協議会が発行しているフリーペーパー「淡路島じゃらん」のようにフルーツやスイーツを中心にした情報提供により、ファミリーの中で訪問先決定に発言力のある助成や子どもにインパクトのある情報発信を増やすなど、さらに工夫すべきである。ふるさと納税返礼品に宿泊セットを用意するのも良いと思う。また、その観光関係事業者がいうには、近畿各地の学校の今年度の修学旅行は沖縄、北海道、東京といった遠方を避け、関西圏に目的地を変更する学校が多いとのことだった。文部科学省の調査によればコロナ禍にあっても7割の学校が修学旅行を実施予定としており、貴重な団体客でもあることから、カウンターパートで融通しあうなど早急に取り組んでいく必要がある。冬から春の実施分ならまだ間に合うと思う。
観光産業の回復は、多くの産業の経済・雇用の回復をもたらし、地域の経済全体にとって非常に高い経済回復効果を期待することができることから、経済効果が高くかつ即効性のある施策を重点的に取組んでいく必要がある。当局の所見を伺う。[井戸知事]民間の調査によると、家族旅行の行き先選びは基本的にご主人ではなく、奥様と子どもが鍵となっている。このため、女性や若い人を念頭に、秋冬版「あいたい兵庫キャンペーン」では、グルメ・アミューズメント情報に強みを持つ出版社と協働したドライブガイドを発行する。三密を避けたい家族層に人気の、自然や絶景を楽しく観光スポットを公式観光サイトHyоGоナビ、SNS等で発信する。また、観光地や温泉を持つ県内市町では、ふるさと納税返礼品にご指摘のあった宿泊券を活用するなど、独自の取組を行っているところもある。このようなことをしっかりと発信していくことが重要だ。
団体旅行対策としては、必ず宿泊を伴い、需要喚起効果が高いのは修学旅行。したがって修学旅行の誘致に努力していきたいと思うが、今年は夏休みや冬休みの期間が厳しいものがあるので、日帰りも含めて対応する必要がある。コロナ禍の近隣志向も踏まえ、教育旅行に使える体験メニューや体験施設などの情報提供に力を入れていく。
さらに、個人、団体を含めた宿泊客を対象におみやげ購入券を発行する「兵庫五国の名湯に泊まろうキャンペーン」をWelcоme tо Hyоgо第2弾として実施し、旅先での消費喚起の上乗せも図っていく。コロナ禍であっても、平田オリザさんが総監督をされた豊岡演劇祭は全国から多くの方を集め大成功を収めた。周辺宿泊施設も満員の盛況であった。このように特色をもった定期イベントの定着を図ることの効果にも着目して新機軸を検討していきたい。[伊藤県議コメント]県内観光について調査結果と同様、決定権は女性にあると思う。先程の若い方の消費金額が少ないという話は私もそう思っていたが、娘が行きたいといった場所にいくと、たくさんの若い方がそんなにお金を出して、これを食べるの、飲むのといったことにお金を使っているので、そうした調査結果も参考にしながら若い方のお金を使う感覚は我々と全く違うといった認識で考えないといけない。 -
2. データに基づいた豊かな海づくり施策について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]調査・研究が様々な形で進められ、国でも改正瀬戸内海環境保全特別措置法が成立し、県でも昨年の条例改正により、瀬戸内海の海域での良好な水質を保全し、豊かな生態系を確保するうえで望ましい海域の栄養塩濃度を水質目標として設定し、その目標達成のために環境基準を達成しつつ向上や下水処理場の栄養塩供給量を増やすなど、具体的な実効性が期待される取組が進められることとなった。
こうした取組に加え、漁業関係者は漁船で専用器具を引き海底に沈んだ栄養分を攪拌する海底耕耘を行ったり、栄養豊かな地底の泥を海に流すことで養殖ノリの色落ちを防ぐ効果があるとされるため池のかいぼりに参加したりするなど、長年にわたり全国トップクラスの活動を実施している。これらの活動は本業以外の時間と労力を割いて行われており、豊かな瀬戸内海を取り戻すためとはいえ、頭が下がる思いである。このような努力の結果が最大の効果を生むためにも、効率的かつ効果の上がる取組のあり方を調査・研究に基づくデータで示していくべきである。
コロナ禍において唾液の飛散状況をスーパーコンピュータ富岳によるシミュレーションで検証されている報道があったが、これは豊かな瀬戸内海づくりの各種取組にも活かせる。しかし、適正な栄養塩供給量をシミュレーションするためには、陸域や海底などからの栄養塩の供給量に加え、降雨量や日照時間、風向・風力などの気象データ、様々な海洋生物による消費量など膨大なデータが必要となる。ぜひとも富岳でシミュレーション解析ができるくらいになるほど、様々なデータの調査収集を進めてほしい。
さらに、行業者の方々が積極的に取り組まれている海底耕耘についても、モニタリング調査に基づいて、より効果的な方法を提示することや、これまでに整備された漁礁なども海底映像やデータを示し、分かりやすく整備した効果を示していくことが重要である。
このように今後、データや科学的根拠に基づいた取組をいかに展開し水産業の振興を図るのか。[井戸知事]基本的な考えに基づき、豊かな海の再生を着実に進めていかなければならない。そのために①イカナゴ以外の魚介類の適正な栄養塩環境を解明していくこと②海底耕うんの効果的な実施方法を確立していくこと③効率的な栄養塩供給対策を進めることなどの、課題解決に取り組んでいかなければならない。
水産技術センターでは、魚介類の餌として重要な動物プランクトンの発生状況や分布などの調査をさらに進め、栄養塩がプランクトンの増減に及ぼす影響を定量的に解析して、豊富な餌を生み出す栄養塩環境の解明に取り組んできているし、これからも取り組んでいく。
また、海底の生物生息環境を改善するため、昨年度の補正予算で海底耕うん事業を新たに創設したが、今後は、耕うん後の底質の改善状況を調査して、耕うんの速度や深さなど、より効果的な実施方法を検討していく。
さらに、①陸域からの栄養塩流入量と海域の濃度との相関に関するデータの改正②海底の泥を食べて栄養塩に分解するナマコ等の適正な放流手法の調査・加えて③水中ドローンによる漁礁周辺の魚の生息状況や構造物の状態などの調査も併せて進めていく。 -
3. 特定外来生物の水草「ナガエツルノゲイトウ」駆除について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
4. 既存ストック等を活用した渋滞対策について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]私の地元明石市と神戸市西区、垂水区を結ぶ国道2号、175号、県道の神戸明石線、大久保稲美加古川線では、朝夕のラッシュ時間帯を中心に激しい渋滞が発生している区間が点在しており、一部区間で拡幅事業等が進められているが、その事業効果の発現には相当な時間と予算を要することから、既存の都市計画道路の事業もあわせて検討し、通過交通量を分散させるなどの即効性のある広域的な対策と地域間交流の円滑化による地域活性化を関係自治体や道路事業者が連携して取り組んでいく必要があると考える。加えて、事業費については財政状況が厳しい中での整備となることから極力コストを抑える手法の導入も必要である。
たとえば、明石市では第二神明道路の明石サービスエリアへのスマートインターチェンジの設置や神戸西バイパスの工事用道路の活用により、大久保IC、玉津ICへの車両集中が分散し、周辺地域のアクセス向上、渋滞解消、地域活性化が期待されている。これらは既存のインフラや進行中の事業を活用することで最小限のコストで渋滞解消を図ることができ、結果、周辺地域活性化にもつながる。また、地域間をまたぐ都市計画道路、たとえば明石市大久保地域と神戸市西区玉津地域を一本で結ぶ、明石市の「江井ヶ島松陰新田線」と神戸市の「玉津大久保線」の整備は、両市の国道、県道の渋滞区間の削減と両地域の活性化、生活道路の安全確保に寄与することからも期待も大きいが両市に関連する事業であることから、県が積極的に事業化に向けて関係者の調整や支援を行うことが必要である。
このように明石市から神戸市西部の渋滞区間解消と地域活性化には、明石市・神戸市。道路事業者との連携はもちろんのこと、該当周辺地域を俯瞰的に見て、個別の事業や計画の事業効果が最大化できるよう、県がリーダーシップを発揮して関係者を調整し、渋滞対策と地域活性化を推進していくべきではないか。所見を伺う。 -
5. 鉄道駅舎バリアフリー化の更なる推進について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
6. 今日的課題を踏まえた県立がんセンターの基本設計について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]来年度からは重要な基本設計および実施設計が予定されているが、現下のコロナ禍で見えてきた課題も整理しつつ、感染症拡大期や災害発生時にあっても、がん患者に安心して医療を受けていただくための機能を他の病院にもまして強化し、整備していく必要がある。
たとえば、コロナ患者の受け入れにより手術や治療の延期をした感染症指定医療機関などのがん患者を受け入れる病床や機能を確保するとともに、一般的にコロナ重症化率が高いと捉えられているがん患者が安心して受診いただける治療環境の整備や、感染拡大期にあってもつらい治療に耐え不安に包まれている入院患者への面会や最期のときを家族と過ごせる緩和ケア環境の整備などを検討し、基本設計に盛り込んでおくべきである。加えて以前から要望しているアピアランス対応スペースの整備は、がん患者、民間企業、医療美容師と連携してハードソフト両面にわたる整備を望む。
また、がん患者の最後の砦であるがんセンターは災害にあっても病院機能を維持する必要がある。先日発表された浸水ハザードマップによると明石川が氾濫した場合、建設予定地は浸水の恐れはないとされているものの、南側一体の地域は50cm程度の浸水が想定されている。浸水が想定されていない北側にアクセス経路を設けるなど病院自体の浸水対策とあわせて検討しておくべきである。さらに、避難所指定されている最寄りの小学校は最大3mの浸水が想定されており、近隣地域の住民の指定緊急避難場所として駐車場や屋上等を開放することも想定した整備も必要と考える。
このように、感染症拡大期の医療提供や頻発する浸水被害を想定した基本計画について、いかに検討していくのか、また開院までのスケジュールに変更はないのか。[長嶋病院事業管理者]現在、合併症患者に対する地域医療機関との連携方策の検討や、設計業務の手戻りを防ぐため埋蔵文化財の試掘調査を先行実施している。これにより、基本設計及び実施設計の着手は、当初の予定から1年遅れて来年度からとなるが、各部門の業務手順の検討や諸室の必要面積の精査等をあらかじめ行うことで、設計期間の短縮につとめるなど、全体的スケジュールへの影響を最小限にとどめる。
新病院では、感染症指定医療機関等からの紹介患者の受け入れに際して、感染の有無を確認するトリアージ質の充実や、万が一入院患者が感染症に罹った場合に対応できる陰圧個室の整備など、十分な感染症対策を基本設計に盛り込むことにより、がん治療が滞らないようにする。
また、緩和ケア病床の増床等による質の高い緩和ケアの提供、アピアランス支援や治療と仕事の両立支援等のがん相談のワンストップサービスの提供など、がん患者や家族にとって安心して療養生活が送れるよう環境整備を行う。明石川氾濫等による浸水に対しては、従前の南側からのアプローチに加え、浸水想定のない東側からのアプローチを検討している。なお、指定緊急避難場所については、市からの要請に基づいて検討したい。
喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症や頻発する自然災害に十分に備えるなど、がん患者の最後の砦として、県民が安全に安心して最先端のがん治療を受けることが出来る病院となるよう基本設計を行っていく。 -
7. 障害のある子どもへの専門的な指導と地域での学びを両立させる仕組みについて
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
柴田佳伸県議
[質問項目]
-
1. ポストコロナ社会を見据えた関係人口拡大への取組について
質問と答弁のダイジェスト
[柴田県議]新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、都市部から地方への移住に関心を持つ人が増えている。宍粟市では移住に関する問い合わせは、例年の約2.5倍に増えており、子育て世代からの問い合わせもあると伺った。また、同調査によるとテレワーク経験者に「仕事と生活のどちらを重視したいか」と聞いたところ、64.2%の方が「生活を重視するように変化した」と回答し、24.6%の方が地方移住への関心を高めている。
一方で、近年働き方改革の一環としてワーケーションという概念も普及しつつある。ワーケーションとは、アメリカなどで普及している過ごし方で、旅費や交通費などは労働者の負担とし、仕事に従事する者は会社やオフィスを離れてリゾート地などに行き、ビデオ会議への参加や報告書提出などをこなしながら休暇をとるというもの。
国内でも例えば長野県では、一定時間は開設されたワークセンターで仕事をしたりビデオ会議などに出席したりし、それ以外の時間では森林セラピーを受けたり魚釣りや温泉を楽しんだりといったプランを提案している。このワーケーションの動きはポストコロナ社会における新たな生活様式の中での働き方として、さらに広まる可能性を秘めていると思われる。
今後、コロナ禍を踏まえ高まった地方回帰のニーズを取り込もうと、全国各地で人の奪い合いが激化することが予想される。県には空港が3カ所、新幹線の駅が4カ所存在し、道路交通網も充実し、温泉地もありアピールポイントは十分ある。そうした特徴を生かし、他地域と異なる魅力ある斬新な施策を打ち出していく必要がある。また、市町の取組との連動も不可欠である。
そこで、ポストコロナ社会を見据えた、地域に継続的に多様な形でかかわる関係人口拡大への取組について、今後どのように取り組むのか。[井戸知事]今回のコロナ感染症のパンデミックは、世界的に都市集中の危うさを示すとともにテレワークを急速に普及させた。この結果、居住地域が職場に縛られずに自然が豊かで通勤負担が少ない、地方での暮らしが再評価されつつあると言える。本県でも、多自然地域を中心に移住相談が増加傾向にあり、丹波や西播磨地域では手ごろな空き家の在庫がなくなったというような声が聞かれる。
豊岡市では昨年の同時期に比べて4.2倍、丹波篠山市では2.0倍、淡路市では2.2倍というような状況である。また、パソナが本社機能を淡路島に移すと発表されたが、この動きは全国的なニュースとなり一つの流れをつくって欲しいと願っている。
こうした動きを加速化し、地域間競争に勝ち抜くには、ひょうご五国の個性と魅力を大都市圏の住民の方々に発信して、理解していただくことが必要である。本県では、一つに情報ハイウエイを活用して、県下全域でテレワークやワーケーションにも適した環境が整っているので、このことをしっかり伝えていく必要がある。
こういった情報を発信し理解いただくために、4月には有楽町に「ひょうご移住プラザ」を開設し、県内市町と連携したオンライン相談会やお試しツアーなどの情報を提供している。また、ひょうごでの田舎暮らしを手軽に体験してもらうため、但馬長寿の郷などの県有施設や古民家などを活用したお試し移住、あるいはワーケーションの支援を強化していく。この10月には但馬地域において温泉などを活用したワーケーションのあり方を探るため、首都圏の人材を招いたファムトリップを実施することとしている。これらの反応も十分見極めたい。 -
2. 発達障害児の早期発見と早期療育について
質問と答弁のダイジェスト
[柴田県議]発達障害は早期発見し早期療育することがよいということは認識されている。特に広汎性発達障害は、1歳前後でその特徴が目立ちはじめるとされており、その発見の場として1歳6カ月健診と3歳児健診が重要な機会とされている。また、注意欠陥多動性障害などの発達障害は、多くの児童が保育所や幼稚園で集団生活に慣れる5歳ころまでにその特徴が現れるとされており、市町が任意で実施する5歳児発達相談も発達障害を発見する上で重要な役割を果たしている。
一方では、保護者が発達障害との指摘を受け入れようとせず、相談や療育に遅れが生じることがあると聞いている。また、発達障害に対する適切な支援がなされない場合、その特性により生じる問題に周囲が気付かずに無理強い、叱責などを繰り返すことで失敗やつまずきの経験が積み重なり自尊感情の低下等を招き、さらなる適応困難、不登校や引きこもり、反社会的行動等の問題行動が生じることがあるとされている。
発達障害の早期発見の補助的な方法として、ゲイズファインダーというものがある。ゲイズファインダーとは、子供の目線の動きを測定することで、子供の社会性の発達について評価する装置である。子供が動画のどの部分をどのように見ているかをとらえることによって、どんなふうに物を見ているか、何に関心があるかなどを客観的に把握し、子供の発達を理解するうえでの手助けにすることができる。
このゲイズファインダーについては、平成30年度予算特別委員会にて、わが会派の議員が質問しているところだが、その時は「今後は治験結果や大阪府、西宮市の活用状況も参考にしながらスクリーニングの一方法として市町での活用について研究していきたい」との答弁であった。
現在、令和3年度中には医療機器認証取得を目指し治験も進められており、活用への期待が伺われる。ゲイズファインダーは発達障害を認定するものではなく、子どもの興味がどこにあるのか知ることで、円滑な子育てに寄与する。また、医師の診断に客観的で安定した評価が加わり、医師、養育者ともに診断に納得を得られやすくなると考える。
本県として発達障害の診断に非常に時間がかかっている状況を解消するとともに、ゲイズファインダーといった診断ツールを活用するなど、早期発見率を高め、早期療育に繋げていく取組を進めるべきと考えるが所見を。[入江福祉部長]市町乳幼児健診での早期発見に努めるほか、県では発達障害児の治療にかかる全県拠点として、こども発達支援センターを設置して診療と療育の一体的提供、診断等を受ける機会が少ない地域への出張発達健康相談、保健師や保育士等のスキルアップのための研修等を行ってきた。
このほか、早期療育につなぐ重要性から県内どの地域においても一定水準以上の発達障害の診療、対応が可能となるように医師等に対する専門的な研修を県医師会と連携して実施している。ご指摘の視線計測装置「ゲイズファインダー」については、県内では西宮市で導入されているが、健診とは切り離して子どもの様子を確認する道具として活用されていると聞いている。また、大阪府のモデル事業の結果ではゲイズファインダーは発達障害の有無などを判断するものではなく、発達の理解を保護者と共有し、フォローや支援を行うためのツールとされている。
発達障害の診断は短期間でできない。一方で早期発見の補助的方法としてゲイズファインダーを活用することは、現在進められている治験の結果や費用対効果の検証も踏まえて引き続き研究していきたい。 -
3. 聴覚障害者に対する支援の拡充について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
4. 新型コロナウイルス感染症に対する偏見や差別への対処について
質問と答弁のダイジェスト
[柴田県議]新型コロナウイルス感染症に関して感染者、医療従事者、介護従事者やその家族などへのいわれなき誹謗中傷や差別が発生している。誰にも相談することができず悩んでいる方もいると思う。今この時も医療関係者は、コロナ感染の恐怖の中で戦っている。戦っている医療機関の医師や看護師や事務職員にも、子供や孫、そして親がいる。その愛する人たちに、うつすかもしれないという恐怖心や、自分の子供がいじめにあうかもしれないという不安を抱え、医療職という使命の中で戦っている。
また、偏った正義感や嫉妬心、不安感から指摘に取締りや攻撃を行うといった、「自粛警察」といった風潮も見られる。一方、国においては「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」を設置し、対応が協議検討されている。その中でも、以下のような課題が指摘されている。
一つ目は、感染者、濃厚接触者、医療・介護従事者等、さらにはその家族に対する偏見、差別や感染リスクが高いと考えられる業種や事業者への心ない攻撃などが問題となっていることから、これらについての実態把握やこれを踏まえた相談や啓発などが求められていること。二つ目は、感染者等に関する情報が公開された結果、まん延防止に資する範囲を超えて、個人のプライバシーの侵害に当たる恐れがあると指摘されている。
感染者や濃厚接触者が安心して積極的に疫学調査に協力でき、自治体間の情報共有・連携も促進できるような「信頼の連鎖」の構築が必要になっている。県として、コロナ禍でのいわれなき誹謗中傷や差別をなくすため、どのように取り組んでいくのか。[井戸知事]県広報紙や人権ジャーナルきずな、新聞広告など様々な媒体を通して、感染者や医療従事者等に対する人権への配慮と正確な情報に基づく冷静な行動を県民に呼びかけている。また、不安の解消や差別事案への対応を図るため、法務局の人権相談窓口等各種相談窓口を案内するなどの啓発も行う。インターネット・モニタリング事業において、新型コロナウイルスに関連するネット上の悪質な書込みを新たに監視対象に追加し、監視を強化した。
さらに、インターネットを人権啓発に活用する新たな事業「ひょうご・オンライン人権フェア」を開催し、コロナ差別防止を訴える人権メッセージなど多彩な啓発動画等を配信することにより、家庭や職場で人権の大切さを学べる機会の提供をふやしていくなど、幅広い事業に取り組んでいる。
また、この12月の人権週間に実施する「人権のつどい」においては講演、人権ジャーナルきずな1月号においてもコロナ差別を特集するなど、今後も様々な事業において偏見や差別の解消に向けた啓発を行っていく。患者情報の取扱いにおいては、罹患者やその家族のプライバシーを守ることが基本的取扱の原則である。
コロナ対策としてさらなる蔓延防止のために一定の情報を提供いただくことが必要であるが、不必要な情報収集や、公開情報をきちんと整理して提供する。このような注意が不可欠になる。
ご指摘のとおり国のワーキンググループにおける検討状況はしっかりと注視しつつ、県としては粘り強く啓発を継続することが現段階では重要と認識している。 -
5. 漁業者の操業環境整備について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
6. 自然災害への備えについて
質問と答弁のダイジェスト
(1)河川における災害危険情報の発信について
[柴田県議]県では、地域の風水害対策情報としてCGハザードマップを構築し、インターネットを活用して、監視カメラ画像、河川の水位や雨量等の情報を発信している。平成28年9月には、姫路市街を流れる船場川の延末地区で、水門操作をしようとした75歳の男性が川に落ち流され死亡するという痛ましい事故が発生している。船場川のような中小河川では急激に水位が上昇し危険な状況になる場合もあるので、監視カメラのリアルタイムでの映像は、身近な状況を把握する上で非常にUである。ぜひとも監視カメラの設置個所を増やし、こういったところにも監視カメラを設置していただきたい。
一方、発信した情報も伝わらなければ意味がない。普段インターネットを使わない高齢者にも伝わるよう、テレビのデータ放送などでも身近な河川情報を発信することが重要だ。千種川が流れる上郡町は、地上波デジタル放送の難視聴地域ということもあり、ケーブルテレビの加入率は90%以上と聞いている。市町と連携しケーブルテレビで映像発信するということも効果的ではないか。
台風や線状降水帯による河川氾濫や積乱雲による局地的な大雨の災害が頻繁に発している状況で、視覚で確認できる情報発信が重要である。監視カメラ設置数の増加やケーブルテレビでの情報発信など、多様な情報発信のチャンネルを持つべきである。また、そういった河川の情報をどのように入手することができるのか、県民に十分周知することも大切だ。現状と今後の取り組みは。[服部県土整備部長]今年度は河川の増水状況等を視覚的に確認できる河川監視カメラを増設することとして、避難の判断基準となる水位計設置箇所を中心に、134箇所からから約270箇所に倍増させる。このような災害危険情報をより多くの県民に活用してもらうためには、情報発信ツールの多様化と県民への情報入手方法の周知が必要である。
情報発信ツールの多様化では、インターネットを介して河川監視カメラ画像をCGハザードマップでは全箇所、ヤフーでは市川等主要河川の74箇所を配信している。また、インターネットを利用しない方に配慮してNHKのデータ放送での配信や、ご指摘のケーブルテレビでも上郡町等9市町で配信している。今後、今回のカメラ増設に合わせて、さらなる配信の拡大を市町やケーブルテレビ等に働きかけていく。
県民への情報入手方法の周知では、CGハザードマップの利用方法について、毎年梅雨頃、テレビ・新聞等のメディアや県民だよりひょうごでPRしているほか、イオンやローソン等での啓発チラシの配布等にも取り組んでいる。また、これまで県立和田山高校等12校で出前講座を行うなど、若年層から親の世代への普及も図っている。(2)災害時における建設型の応急仮設住宅の供給について