議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第349回(令和2年6月)定例県議会
代表質問
越田浩矢県議
[質問項目]
-
1. 危機管理対応時における知事のリーダーシップについて
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]新型コロナウイルス感染症への対応について、大阪府の吉村知事知事との対比で井戸知事の手腕やリーダーシップに注目した兵庫県民からは、知事の発言や対応方針等が一部ネットを中心に厳しい批判の声が高まる状況が見受けられた。しかし、兵庫県はクラスター対策の着実な実施や、医療体制を適切に整えながら感染者の自宅待機を一切実施することなく、地道に適切な対応を積み上げ、大阪府よりも早い段階での感染の抑え込みを実現できた。
ところが、こうした実績にも関わらず、私や我が会派議員が接する方々の声を聞いている限り、現時点でも井戸知事への批判的な意見を持っている方がいる。新型コロナウイルスという未知の感染症と手探りで戦う危機管理対応時においては、今後とも知事がリーダーシップを発揮して県民の協力のもと団結して感染拡大防止対策を遂行することが必要である。
そのためには、県民への正確な情報提供・真摯なコミュニケーションが必須だ。特に今後発生が危惧される第2波の感染拡大局面には、感染状況や医療体制の余力、検査の状況等について正確な情報提供を行うと共に、課題も詳らかにし、状況が悪くなった場合の対処方針等を率直に語り、県民の不安を解消する情報発信に努めると共に、より多くの県民にその情報が伝わるように工夫し努力することが重要になる。
さらに京阪神エリアでは、本来は統一的な基準により対策を打ち出していく方が効果的であり、特に大阪府や京都府の各知事とは十分に連携した上での対応が必要だったと感じている。
そこで、これまでの井戸知事の県民に対するリーダーシップの発揮や県民への情報発信のあり方について自らどう評価し、また今後の危機管理下においてどのように取り組んでいくのか。[井戸知事]3月1日の患者発生後ただちに、県対策本部を開催し状況把握や分析を行い、医療・検査体制の構築、中小企業支援のほか、外出自粛や休業要請など多様な課題の対処方針を決定してきた。
本県の場合、他県と異なり、対処方針を示し対策の全体像を県民に明らかにしながら、事態の推移に応じ改訂していった。決定した方針は、本部会議後、速やかに記者会見を行い知事自ら発信するとともに、テレビやラジオ、広報誌などあらゆる媒体を活用し、県民の理解と協力を求めて繰り返し呼び掛けた。また、県ホームページに緊急時用トップページを開設し、感染状況をグラフを用いて毎日公表するなど、正確にわかりやすく発信した。
同一交流圏の京都、大阪、兵庫3府県の連携については、関西広域連合での10年にわたる実績とつながりを活かし、外出自粛、休業要請の対象や時期の整合を図った。また「関西・外出しない宣言」「関西・GWも外出しない宣言」など関西圏全体として取り組んだ。
このような着実な取組により、県内の新規感染者は昨日まで26日間連続で発生しておらず、重症患者用病床から軽症・無症状者用の宿泊施設を含めた医療体制は第一波の実績を踏まえて、順次強化するシナリオにより対応できるなど、感染拡大防止と医療体制の充実を実現している。 -
2. 感染拡大予防と社会経済活動の両立について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]県が緊急事態宣言対象区域からの解除に伴い示した方針は「感染拡大防止を基本としつつ社会経済にも配慮するため」、「一部の施設を除き、休業要請を解除する」としつつ、「不要不急の外出の自粛に努めること」を県民に求めることになった。 ちなみに大阪府では、休業要請の解除とともに感染予防に努めながら、積極的に外出することを奨励するメッセージを発信している。また本県では休業要請解除を受け、発表された対処方針に事業活動への支援等の項目に観光振興を付け加え、県内を中心とした観光振興支援を打ち出している。
緊急事態宣言解除後において、事業者の感染対策を推進するための時間や県内の感染状況を確認しつつ、段階的に経済活動の回復を目指していく意向と推察するが、県民には不要不急の外出自粛を求めつつ、営業の再開や県内観光の支援をするというのでは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものであり、県民や事業者は困惑するのではないか。観光業や飲食業をはじめ県内サービス産業踏破大きなダメージを受けている。一日も早く客さんに戻ってもらい以前の日常を取り戻すため全力で感染予防対策などに取り組まれている。
新型コロナウイルスとの戦いは、治療薬やワクチンが開発され普及するまで2年から3年といった長期間に及ぶ可能性も指摘される中、兵庫の広大で多様な地域性や産業特性に基づき、一律に不要不急の外出の自粛を求めるのではなく、感染拡大予防と社会経済活動の両立の実現に向けた具体的な行動指針を明示し、県民や事業者にわかりやすく発信していくことが不可欠ではないか。[井戸知事]本県では、緊急事態宣言発令後、県民への外出自粛要請、事業者への休業要請などを行ったが、新規陽性者数の減少に伴い、段階的に制限を緩和してきた。事業者による感染防止対策を前提に、5月16日からは感染者の発生していない地域などに対する休業要請を、また緊急事態宣言解除後の5月23日からは、クラスター発生施設等を除く施設の休業要請を解除した。6月1日からは、外出自粛に「努める」と表現を緩和したほか、すべての施設に対する休業要請を解除した。
一方、東京都や北九州市のように宣言解除後も新規陽性者が多数発生している地域があり、「次なる波」の発生も懸念されることから、県民の安全安心を第一に考え、引き続き県内外の状況も踏まえつつ、段階的な移動制限の緩和を検討する。
これらの取組を実効あるものにするためには、県民の理解と協力が不可欠であり、ご指摘のとおりその趣旨をわかりやすく発信することが重要である。これまで、決定した方針や県民・事業者へのメッセージについては、知事自らが記者会見等で発信するとともに、特設ページを設けた県ホームページなど様々な媒体を通じて分かりやすく発信しており、さらなる充実を図る。 -
3. 高齢者に対する特殊詐欺防止対策の強化について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
4. 新型コロナウイルスへの医療・相談対応の総括と今後の医療崩壊を防ぐ取組について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]医療・相談対応について課題が浮かび上がっている。我々のところにも多くの相談が寄せられた、PCR検査をなかなか受けさせてもらえないという声がある。発熱があって帰国者・接触者相談センターに検査を希望したり、かかりつけ医からPCR検査の必要性ありと診断されても検査を受けられないケースや、複数の病院を受診してやっと検査を受けられたケースなどがあり、検査受診の可否基準に対する納得性が低く、検査が受けられない場合にはもっと丁寧な説明が必要ではなかったのか。
次にいくつかの病院でクラスターが発生し、医療従事者が感染したことによってその地域の医療体制がひっ迫する事態が発生した。こうした院内感染の発生原因を分析し、必要な予防策等を検討・準備しておく必要がある。また、新型コロナウイルス感染者の治療に携わった医療従事者が極めて過酷な状況が長期化した中で、肉体的・精神的な負担がどうであったのか、モチベーションやストレスのマネジメントを適切に実施できていたのか検証も必要ではないか。
さらに医療崩壊を防ぐために、ICUやECМOのキャパシティをその時に必要とする重症患者の数が上回らないようにすることや病床をコロナウイルスの患者が塞ぐことによってほかの医療が行き届かなくならないようにすることなどが重要だが、こうした点において問題はなかったのか気になるところである。
具体例を上げたが、これら以外も含め、新型コロナの医療・相談対応について、うまくいった点、改善すべき課題等をどのように総括し、第2波の感染拡大時に向け、医療・相談体制の充実や医療崩壊を防ぐための対策をどのように準備していくのか。[井戸知事]PCR検査については国の「相談・受診の目安」である熱や咳の症状等の状況を踏まえ、重症化リスクなど優先順位を考慮し、医師の総合的な判断で実施すると共に、クラスターからの二次感染を防止するため、濃厚接触者のうち無症状者に対しても検査を実施してきた。
今後は国の「相談・受診の目安」の見直しや県民ニーズも充分に踏まえ、症状のないすべての濃厚接触者に対して検査を行うなど、対象者を拡大すると共に、問い合わせ等に対しても、より一層丁寧に説明し県民の理解が得られるよう努める。一方、県内で複数の院内感染の発生があったが、新型コロナウイルス感染症対策協議会の委員をはじめ、感染症に関する専門家の派遣による実地指導や厚生労働省クラスター対策班の意見を踏まえて作成された「院内感染対策チェックリスト」を活用し、院内感染防止対策を推進してきた。
いろいろな経過はあったが、感染症指定医療機関、救急病院、接触者外来をはじめとする医療機関との連携、保健所のネットワーク、新型コロナウイルス入院コーディネートセンター(CCC-hyоgо)の入院調整や関係団体と連携して24時間相談事業も行ってきた。
入院医療体制については、他の疾患の医療提供とのバランスも考慮し、現在は最低200床を維持するなど感染症対応の病床体制を見直すとともに、患者の動向等を踏まえ段階的に病床数を増加するシナリオを用意し機動的に対応していく。 -
5. 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金支給について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]国の補正予算案に計上されている全額国庫負担の慰労金支給基準に基づき、本県でもこのたびの補正予算で、新型コロナウイルス感染症の第1波に直接対応した、医療従事者や社会福祉施設等職員へ慰労金を支給することとした。その至急対象は、医療従事者については感染患者等を受け入れた医療機関で、直接患者に接した人に20万円、それ以外の人に10万円、社会福祉施設は患者が発生したクラスター等となった施設の職員や応援職員を対象に、20万円を支給するとしている。本県では、社会福祉施設に国の基準である介護施設、障害福祉施設に加えて児童福祉施設等も対象に含めたことは大いに評価できる。
国の補正予算案ではさらに、直接感染者を受け入れることがなかった医療機関、患者が発生しなかった介護・障害福祉事務所を対象に、患者や利用者と接する医療従事者、介護・障害福祉従事者や職員を対象に5万円の慰労金を給付するとしているが、本県では国の慰労金支給基準が現状では不明確であることを踏まえ、5万円の慰労金の支給を今回の補正予算に計上しなかった。
是非とも国の具体的な支給要件や支給方法、時期等が確定した段階で、本県における5万円の慰労金給付を早急に実施できるようにしてほしい。国の第2次補正予算案の報道で本事業が明らかになって以降、介護等の現場で働く方々から期待と喜びの声をたくさんいただいている。直接的に感染者に関わることがなかった方々であっても、身体接触が必須となる業務が多く、自らの感染リスクだけでなく、高齢者や基礎疾患のある患者や利用者に感染させてしまった場合に、命を奪うことに繋がりかねない恐怖やストレスを抱えながら、仕事に対する使命感で自らを奮い立たせて頑張っているといったお話をたくさん伺っている。こうしたご苦労に報いる慰労金として支給していくべきである。
その一方で、今回の新型コロナをきっかけに、看護師や介護の現場等で働く方が離職されるケースが増えているとのお話も聞いている。こうした流れを食い止めて、国や県として幅広く医療従事者や介護・障害福祉分野で働く方々に慰労する気持ちを示すとともに、次に第2波、第3波の感染拡大時においてこうした方々の力を結集し団結するための事業にしていかなければならない。慰労金支給事業についての所見を伺う。[井戸知事]慰労金については、国の交付金の制度趣旨や支給対象者の範囲等、いまだ不明な点も多いことから、今回の補正予算案では、感染が発生した施設等で対応に当たった職員等に対して支給することとした。感染者の対応に当っていない職員等に対しても一律5万円の慰労金を支払うことについては、緊急事態宣言下で他にも事業の継続をお願いし、感染リスクを抱えながら暮らしを支えていただいた方々がいることも考慮すると慎重に考えるべきである。
しかしながら、直接感染者に対応していない場合であっても、例えば濃厚接触者の対応に当たったことで、他の利用者へのサービス提供の禁止や出勤停止等の負担が発生した職員等については、一定の役割を担ったと評価されるべきとも考えられる。こう考えると、医療関係者や社会福祉施設関係者も対象となるが、現時点では国の実施要領に定められていないので、この実施要領も踏まえながら制度の主旨に即した必要な対応を検討していきたい。 -
6. 県立西宮統合新病院における感染症対応機能の充実・強化について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
7. コロナ禍における公共事業の推進について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を受け、各国政府は出入国制限や外出規制、営業規制を展開しウイルス封じ込めのための対策を実施した。その結果、海外生産拠点からの物資が途絶するというサプライチェーンの棄損が大変深刻な問題となった。
日本政府は、海外生産拠点の分散・再配置を支援する方針を示しており、当面は海外に集中した生産拠点や調達先の分散や国内への生産回帰を促進していかなければならない。本県においても、新規産業立地促進補助を拡充してサプライチェーンの強化・再構築を支援されようとしている。
しかしこれらの取組により、サプライチェーンが再構築されるまでには、かなりの時間が必要になる。そのため、今年度既に公共事業を受注している事業者の方々から「建設資材が確保できないため、工期に間に合わない恐れがある」とか「建設資材が高騰し積算した経費を上回る恐れがある」などの声が多く寄せられている。 新型コロナウイルスの世界的パンデミックという非常事態において、行政は柔軟に対応する必要がある。また、緊急事態宣言したでの経済活動の自粛により、本県経済も大きな打撃をこうむっている。現在は休業要請が解除されたとはいえ、以前のような経済活動レベルに回復するまでには、もうしばらく時間を要すると思われる。そこで3点について伺う。
1点目は、第2波、第3波の危険性も指摘される中、今後の状況も踏まえた上で、工期の延長や契約金額の変更など、柔軟に対応していくべきであること、2点目は建設現場ではいわゆる三密状態になる可能性があり、その対策にかかる工期や費用についても十分に配慮すべきであること、3点目は地域経済の下支えをする意味からも公共事業の早期発注に努めることが必要であると考えるが所見を伺う。[荒木副知事]道路・河川等土木工事の建設資材については、サプライチェーンの棄損による納期の遅れや価格高騰もなく、事業の進ちょくには影響を与えなかった。2月初旬に住宅用トイレなど一部製品の納期の遅れが報道されていたが、現在は概ね回復しており、県営住宅等建築工事についても進捗に影響はなかった。
今後の第2波第3波への対応については、これまで通り作業員の罹患や建設資材の確保が困難な場合、接触機会低減の要請等に応じ、作業員の通勤削減などで工期延長の必要が生じた場合は、契約期間を変更する。また工期延長に伴う借地料や仮設材リース料の増額等にも柔軟に対応する。
3密対策については、現場事務所の換気徹底や作業員相互の間隔の確保の指導はもとより、現場での作業員数の制限による工期延長や現場事務所における非接触型体温計など対策に必要な経費を追加する。
公共事業の発注については、県庁全体では通勤者を7割削減したが、土木事務所棟では感染者の少ない地域は通常体制、その他の地域は5割体制で取り組み、早期発注に努めた。その結果、令和元年度補正予算や2年度当初予算の5月末の契約実績は、昨年度の1・2倍、約320億円を確保した。引き続き早期発注に努め、9月末で元年度補正は9割、2年度予算全体で7割の契約を目指す。 -
8. GIGAスクール構想の推進と新しい教育の実践について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
9. 令和2年度実施の高校入試について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
竹尾ともえ県議
[質問項目]
-
1. 医療従事者以外の新型コロナ対策に尽力される方への基金による支援について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]県は医療従事者等を支える基金として「ひょうご新型コロナウイルス対策支援基金」を創設した。この基金には4月27日の開始以来、6月11日までの1ヶ月半で、1,838件、約2億1千万円が集まっている。他の自治体では1億円を超えるような大口の寄付金もあるようだが、この基金ではそのような大口は無く2億円を超える金額が集まっている。
このたびのコロナ禍においては、自粛できず感染拡大の危険な中、介護施設、保育所、放課後児童クラブ、障がい福祉サービス施設・事業所などにおいても多くの方が従事されてこられた。一例をあげると、子育て中の医療従事者の皆様などが自粛できず仕事を続けるために、お子さんを保育所や放課後児童クラブ、放課後等デイサービスなどに預けることは必須になる。保育士さんにコロナ禍の状況をお聞きした。「保育中は抱っこしたり、寝かしつけたり、3密を厳守することは難しく、徹底したアルコール消毒など、小さな子どもなのでとても神経を使っている」と言われていた。感染の危険と隣合わせは保育士、放課後児童支援員など子育て施設の従事者も同じことである。
国の第2次補正予算案の中で、厚労省は「緊急包括支援交付金」に2兆2,370億円を計上し、福祉分野も支援の対象に加えそれを受けて県でも今回の6月補正予算で様々な対策がとられる。医療機関だけでなく、このような福祉施設も対象となったことを喜んでおられる。しかし、このような大規模な支援が第2波の際にもできるのかはわからない。
第2波の感染拡大に備えて、現在主に医療従事者を想定している基金の支援対象をコロナ感染症対策に尽力される介護施設、保育所、放課後児童クラブ、障がい福祉サービス施設・事業所などの社会福祉施設従事者にも拡大してはどうかと考えるが、所見を伺う。[井戸知事]ご指摘の社会福祉施設従事者のほか、救急隊員やごみ収集員など感染の危険や不安と闘いながら業務に尽力されている方々がおられ、これらの方々に感謝と敬意を捧げなくてはならない。
しかし、基金はこれまで医療従事者を中心に、これらの者に対する支援を目的として周知することで、寄附金を募集してきている。したがって、その支援対象を直ちに社会福祉施設従事者等へ拡大することは、この基金の趣旨と取組の経緯、また寄附者の意思を踏まえると難しいのではないかと考えている。しかし、今回のコロナ対策で、具体的に患者対応で活動された方々もご指摘のようにおられるので、これらの方々に対する措置をどうするか別途検討したい。
なお、福祉従事者の勤務環境改善を支援するために、感染の第2波に備え、各施設に飛沫感染防止用のパーテーション等の物品購入や換気設備の設置などに上限50万円を補助するなどしている。 -
2. ひょうご防災リーダーの感染症知識の向上と複合災害時の役割について
質問と答弁のダイジェストはありません。
-
3. 高齢者や障がい者等を守るための「テレビ面会」実施の体制整備について
質問と答弁のダイジェスト
(1)社会福祉施設における体制整備について
[竹尾県議]新型コロナ禍では、社会福祉施設において、入所者は家族らとの面会ができなくなった。2~3か月と長期にわたる面会謝絶は、高齢者・障がい者の皆様にとってもご家族の皆様にとっても精神的負担となり、不安な日々を過ごされたと思う。特に、認知症の高齢者の方は家族と会えなくなり、精神状態が不安定になることもあったとお聞きした。
そのような中、三田市の高齢者施設では、「テレビ面会」が実施された。この施設では玄関に設置したパソコン前にはご家族が、フロアに設置したパソコン前には入所者がスタンバイし、画面を通じて顔を見ながらお話ができるというもの。私は、直接会えなくても家族が施設まで来て、テレビ画面越しだが顔を見ながら話すことで、家族の励ましが何よりも入所者の皆様を勇気づけたと思った。
このように高齢者施設や障がい者施設等の社会福祉施設で感染防止対策のために「テレビ面会」実施の体制整備が必要であると感じる。そのために各施設に、Wi―Fiやタブレット端末等整備のための支援を県として行うべきである。我が会派では、コロナ感染拡大の中で知事に対して、社会福祉施設等でのテレビ面会用の装置の整備の促進を申し入れしてきた。
令和2年度6月補正予算では、テレビ面会の体制整備について「新しい生活様式を踏まえた感染拡大防止対策への備え」の「社会福祉施設における感染症防止対策等への支援」として84億6,500万円の中で対応すると聞いているが、1施設あたり他の対策とあわせて上限50万円であり何よりも金額が少ないなどの課題がある。
私は、第2波に備えて兵庫県はどこの都道府県よりもより早期に、高齢者や障がい者などを守るために「テレビ面会」の実施体制の整備を進めてはどうかと思う。このことはコロナ感染症対策だけではなく、インフルエンザなど他の感染症の流行時期にも利用できるため、一時的なものではなく、未来への投資にもつながる。県として今後、社会福祉施設でのテレビ面会の実施体制を普及させるために、実施施設数等どのような目標を持ち、今回の補正予算も含めてどのように取り組んでいくのか。[入江福祉部長]一部の施設で取り組みが始まっているオンライン面会については、面会者からの感染リスクを排除しつつ、入所者とその家族等がお互いの表情や様子をみながら面談することが可能で、非常に有用な取り組みである。すでに取り組みを始めている施設にアンケート調査を実施したところ、多くの施設が既存の通信環境や安価なタブレット、無料のWebアプリ等を上手く活用して、追加費用なく、あるいは比較的低廉な費用で導入していた。
一方、情報機器に詳しい職員を中心に手探りの状態で実施しているところで、具体的なノウハウが不足している状況も見受けられた。このため、今回の補正予算案で1施設あたり50万円を支給して面会用タブレット等の物品購入を支援するほか、実際の導入事例や実施にあたっての留意点等、必要なノウハウの提供を合わせて行うことにより、オンライン面会の導入を希望する全ての施設への迅速かつ円滑な導入を進めていきたい。(2)県立病院における体制整備について
[竹尾県議]小野市にある栄宏会小野病院では、タブレット端末を病室と共有スペースに設置し、予約制で最多1日10組の訪れた家族がテレビ面会を実施。患者や家族の安心感につながり、門脇院長先生の「高齢者が家族に会うことができないのは心苦しかった。テレビ電話を使った人が喜んでいるのを見ると嬉しい」とのコメントが新聞に掲載されていた。
若い人にはスマートフォンなどを利用して自分自身でテレビ面会をされている方も多いと思うが、高齢者でタブレットやスマホを所有していない人や重症化するなどにより使用できない人もおられる。そのような方たちも面会できるように、また、患者と患者家族や医療従事者との間で感染防止対策のためにも「テレビ面会」実施の体制整備が必要ではないか。ICT環境が整っているところでも、感染が拡大しないようテレビ面会ができる体制整備が必要と感じる。そこで、県立病院においても、テレビ面会できる体制を整備するべきではないか。[長嶋病院事業管理者]県立病院では、患者の面会について原則禁止や人数や時間、回数の設定など一定の制限を設けている。これに伴い、患者と患者家族の面会は自身のスマートフォン等で個々に対応していただいているものの、重症患者や高齢患者などの一部では使用が困難なケースがある。そのため、尼崎総合医療センターや丹波医療センターにおいてタブレットを導入し、必要に応じて患者家族との面会に活用している。
また、厳しい面会制限を設けている、こども病院の新生児集中治療室においては、ご家族が自宅にいながら、タブレット画面を通して、新生児の様子が見られるよう検討している。
一方、感染症指定医療機関の県立4病院、尼崎、加古川、丹波、淡路においては、タブレットを使用し、看護師等による患者の体調確認のほか、臨床心理士等による患者のメンタルチェックやサポートなどに活用している。これにより、防護服等の着脱機会の減少による感染防止とともに、医療従事者の負担軽減にもつなげていく。[竹尾県議コメント]今回、コロナ禍で県民の皆様から頂いた小さな声を届けさせていただいた。まずは、テレビ面会の実施について、我が会派も知事に申し入れをさせていただいたが、私が一番言いたいのは、県がテレビ面会の取り組みを実施しているということをしっかりと施設利用者や家族、市町にアピールしていくことが非常に重要である。志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなったときにも感じたが、家族が会えないというのは大変厳しい状況であることを認識していただき、県としてしっかりと取り組みアピールしてほしい。 -
4. コロナ感染症第2波への備えも含めた高齢者の介護予防について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]県内の状況を見ると、介護サービス受給者数22・7万人、そのうち施設入所者数(施設系サービス受給者数)は4・1万人、施設系サービスを受けておられない居住系・在宅サービス受給者が18・6万人という状況である。これだけの数の人が機能低下のリスクに直面している。また、現在介護サービスを受けておられない高齢者の方でも、外出自粛により体力低下等の進行が心配される。コロナ感染症の第2波、第3波のことも考えると、今後2つの対策を早急に講じる必要がある。
1つ目は、介護予防に取り組む高齢者の増加である。緊急事態宣言解除後、日常が戻りつつあるとはいえ、みんなが集まるような介護予防の場へ高齢者は怖がってなかなか行かないのではないか。各市町の介護予防に資する住民主体の「通いの場」の参加者は、コロナ感染症がなかった昨年2019年が164,836人で65歳以上高齢者の約1割という状況だった。今年度はさらに減少し、回復の遅れが予想される。通いの場に参加する高齢者を増やすためには徹底した感染防止策や感染への恐怖感を取り除くための正しい知識啓発、そして参加促進の取組が必要である。
もう1つは第2波への備えで、外出自粛下での介護予防の対策を早急に講じる必要がある。たとえば、外出自粛下でも自宅で見られるように高齢者向けに現在、全国の自治体で唯一、兵庫県が認定している「音楽療法士」など音楽の専門家の動画の配信など工夫してはどうか。そのためには、高齢者が見ることが出来るために環境整備への支援も必要となってくる。そこで高齢者の介護予防に第2波への備えも含め今後どのように取り組んでいくのか。[井戸知事]現在は十分な感染防止安全対策のもとで「通いの場」が再開できるように、感染予防専門家の派遣指導への補助や、再開時の留意点の周知等、市町と「通いの場」設置や再開を支援している。
第2波への備えについても、例えばご指摘の音楽療法を自宅等で受けられるよう、効果的な実施方法を関係者と研究していきたい。国が示したオンライン「通いの場」アプリ等様々な資源の活用も促し、外出自粛中でも介護予防の取り組みが継続されるよう支援していく。
また、本県の「通いの場」参加者は全国で最多である。平成30年度で7,651カ所、参加者16・4万人になっているが、それでも県内高齢者の1割に過ぎない。さらなる充実が必要と考える。今年度は新規に「介護予防・生活支援マッチング事業」を実施することにしている。多様な社会資源である民間事業者・NPO等が「通いの場」を運営支援していただき、活動内容の提案に関わり、魅力の向上を図っていただくことで、介護予防に取り組む高齢者の参加を促進していきたい。 -
5. 障がい者のためのテレワークの推進について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]ポストコロナの社会全体の「生活様式」の一つとして、そして、障がい者就労支援の一環としてテレワークの推進が必要だ。健常者の方も感染を防止しながら公共交通機関などを利用しての通勤は大変だが、視覚障がい、肢体不自由、精神障がい、内部障がいなど様々な障がいを持つ方はさらに大変な状況である。
先日お話をお聞きした方は、30年間製造業の会社に勤めていたが、9年前に白血病を患い、移植手術により一命はとりとめたものの抗がん剤の副作用などで筋肉が減る難病を患い、肢体不自由障害2級と認定された。今回のコロナ感染症拡大では、免疫力も低いため在宅でテレワークをされたが、現在、緊急事態宣言も解除され、出社できるようになった。
しかし、会社からは契約社員への雇用形態の変更を提案され、大変悩まれていた。テレワークが通常の雇用形態として認められれば、このような方も正社員のままでいられるのだと思う。
コロナ感染防止の備えとして、障がい者の方へのテレワークの推進をすることによって、引き続き能力を発揮しながら働き続けることが出来る。そのためには、テレワークの環境整備が必要である。
また、就労を続ける視覚障がい者の方からお話を聞くと、以前より仕事の業務に合わせたパソコン業務のスキルアップができる相談窓口の拡充が求められている。県の施策では兵庫県視覚障害者福祉協会が重要な役割を担っており、今年度の当初予算でも視覚障がい者のICT指導者養成研修の充実強化が予算化されているところだが、コロナ感染症第2波への備えはスピード感が重要だ。
神戸市が委託しているNPO法人神戸アイライト協会では、仕事が休みの土曜日の相談業務や仕事に合わせたパソコン業務スキルアップ指導を丁寧にしており、神戸市以外の視覚障がい者の方も多く相談されているとお聞きしている。テレワークを推進するにあたっては、このような休日相談への対応や早期にICT技術の習得やスキルアップができる態勢づくりが求められている。
6月補正予算案ではポストコロナ社会を見据えた兵庫の基盤づくりスマート兵庫基盤の整備として27億8,600万円が計上されているが、残念ながら障がい者のテレワークを推進する事業は入っていないとのことだ。
コロナ感染症の感染再拡大への備えとして、障がい者のためのテレワークの環境整備やICT技術の習得、相談窓口の拡充などについて今後どのように取り組んでいくのか。[入江福祉部長]県においては平成27年度から先駆的にICTを活用した在宅障がい者の就業支援体制構築に取り組んでいる社会福祉法人プロップステーションに対して、ICT技術スキルアップ研修、あるいは発注企業の開拓等に必要な経費を支援することにより、起業と在宅障害者をつなぐ支援体制の構築に寄与している。さらに、今回のコロナ禍で措置された国の緊急経済対策を活用し、就労系障害福祉サービス事業所に対して、タブレット端末導入経費等を補助することにより、在宅就労の裾野の拡大を図っていく予算を計上した。
加えて、視覚や聴覚など情報取得や意思疎通に支援が必要な障害者の社会参加や就労にもICT技術は役立つことから、障害者のパソコン業務のスキルアップを図るため、ご指摘の県視覚障害者福祉協会、それから県の聴覚障害者協会、兵庫盲ろう者友の会とも連携して、パソコン技能講習会の開催やタブレット端末の操作方法などの相談窓口を設置しているところだ。
近年、障害者のICT機器活用等のニーズの高まりや多様化などから、休日・夜間にも講習会や相談対応を行ってきたが、障害者に対しての指導人材の不足などの課題も顕在化したため、今年度から民間のパソコン教室の講師等を対象とした研修を実施する。これにより、障害者がより身近な地域で障害特性に応じたパソコンのマンツーマン指導や相談を土日でも受けられる機会が拡大すると考えている。[竹尾県議コメント]このような取り組みはスピード感を持ってしていただきたい。障害のある方やアイライト協会の方にお聞きすると、やはり会社でのテレビ会議の仕方が分からないという相談が多かったと聞いている。即座に使えないといけないと迫られている状況なので、スピード感を持って対処していただきたい。 -
6. 学習の遅れ解消等に向けた県の支援策について
質問と答弁のダイジェストはありません。