議会質問(代表・一般)

第370回(令和7年2月)定例県議会

越田浩矢県議
[質問項目]
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1. 県政改革推進における財政フレームについて
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]来年度予算において、県政改革の推進として、①県立大学授業料等無償化基金の創設、②県債管理基金の積み戻し、③ひょうご農林機構の債務整理の実施、④企業庁進度調整地を県有環境林として取得することの4つの取り組みを掲げています。
県立大学の無償化は、2月補正予算で50億円の県立大学授業料等無償化基金を創設した上で、今後は各年度の決算剰余金を活用して基金を積み増し、安定的に財源を確保していくことを目指すとしています。しかし、県税収入が来年度において過去最高の見込みであるからといって、今後も安定的に剰余金が発生するとは限らず、一定規模の基金が積み上がるまでは安定財源の確保にはならないと考えます。
また②の県債管理基金の積み戻しについては、分収造林事業と地域整備事業の1,214億円にのぼる債務の抜本的な処理を、まず県債管理基金から1,214億円を充当した上で、穴のあいた県債管理基金に積み戻す財源として、行革債を毎年120億円ずつ10年間にわたり発行し、その債務を30年で償還することを計画しています。
このような対応は、別の借金返済用に積立てていた貯金を取り崩し、その穴埋めを10年にわたって行革債発行という別の借金で賄い、その返済を30年以上にわたって繰り延べるという工夫によって財源を生み出す荒手の財政処理で、まさに綱渡りといえるような対策となっています。
行革債の償還のピーク時においては、年間約40億円以上を返済に充てる必要があり、財政上大きな負担となります。
このような県政改革推進により財政運営指標は、実質公債費比率の3か年平均が来年度の見込みで19.8%と18%を超えることとなり、新規県債の発行に国の許可がいる「許可団体」となります。その後の3か年平均は21.5%〜23.6%の間を推移し、新庁舎整備費用想定の影響を含めると実質公債費比率でさらに年0.2〜0.3%程度のプラス要因であり、国の早期健全化基準の25%はなんとか下回りますが、今後、景気悪化に伴う県税収入の減少、金利上昇のリスク等を踏まえると、非常に危うい財政運営と言わざるを得ない状況と言えます。
このような不確実なリスクが顕在化して不測の事態が発生した場合に、県の投資事業をはじめ、様々な事業の舵取りをどうしていくのか、また財政フレームを維持するための財政運営のあり方をどのように考えているのかについて、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]将来世代に課題を先送りせず未来志向で解決に取り組むとの姿勢の下、今回見直した財政フレームにおきましては、債務処理に伴う県民生活への影響をできる限り低減する観点から、地方財政制度上採りうるあらゆる手法を活用することを基本としました。
ご指摘の県立大学授業料等無償化については、当面の財源として、新たな基金に50億円を積み立てる。これに加えまして、来年度以降は、近年20~30億円程度の歳出不用が生じていることも踏まえまして、決算剰余等を活用した積増しを行っていきます。これらにより、基金の機能である財源の年度間調整を通じて、他の事業費を圧迫することのないよう、制度の安定的な運営を行って参ります。
次に、債務処理のため多額の取崩しを余儀なくされている県債管理基金は早期に積戻しを行う必要があります。しかし、その財源捻出のため大幅な歳出抑制を行うことは、当該年度の県民にのみ負担を強いることになり適切ではないと思っております。このため、世代間の負担の公平性確保という機能を持つ地方債を活用し、計画的に積戻しを行いたいと考えております。
また、今後、財政フレームに反映することとなる新庁舎整備においても、有利な財源の積極的な活用等により、本県実負担額の低減に努めて参ります
一方、本県の財政状況は未だ厳しく、社会経済情勢の先行きも不透明であるため、引き続き、新たな財源確保や選択と集中の徹底などの改革を着実に進め、毎年度の収支均衡を目指して参ります。なお、今後、大幅な景気悪化等が生じる場合は、歳入歳出全般にわたる更なる見直しも必要となる可能性もありますが、財政基金の計画的な積み増しにより不測の事態に備えつつ、緊張感を持って適切な財政運営に努めて参ります。
[越田県議]今回、県政改革方針に基づき、1,200億円もの債務処理に取り掛かろうとしているが、これまでも、兵庫県は、震災関連の多額の債務により、財政が非常に厳しいということで、各方面に対して、思うように事業ができない部分があるんだという説明もされてきているかと思っております。そうしたうえで、今回新たにさらなる1,200億円もの多額の債務をしっかり処理しようと、スタートされる訳でありますけど、しっかり将来世代も含めて、30年償還という形で、行革債を発行して、繰り延べていこうという対策を取られる訳ですけども、やはり、県民に対する説明というところにおいては、もっと分かりやすく説明していく必要があると思いますし、どうしてこういう事態に至ったのかということについても、県民の皆様に理解をしていただいたうえで、これだけの債務返還があるから、兵庫県の財政は非常に厳しいのだという理解を得る努力が必要だと思っております。
ともすれば、財政上の問題というものは、中々とっつきにくい話題でもありますし、理解していただくには、ハードルが高いということも、理解するんですけれども、やはりそこは、分かりやすい説明に努めていただき、特に、今回取り組む分収造林事業又は地域整備事業の多額の債務のような長期的な、超長期な事業のリスク管理がうまくいっていないというような側面もあるいうふうに意識しておりまして、その辺の事業の今後のあり方・反省も踏まえて、事業に取り組んでいくべきなのか、といったことなども、県民に対してしっかり説明していく必要があるのではないでしょうか。
これまでの経緯、今後の財政運営のあり方を県民に分かりやすく説明していく点において、どのようなご所見をお持ちであるか、お聞かせいただきたいと思います。[齋藤知事]今回、分収造林事業と地域整備事業、これが一番大きな財政フレームの中でのポイントになるかと思います。議員ご指摘の通り、1,200億円を超える債務の処理、これを資金ショート等が間近に迫る中で、また一方で、利子の負担というものも大きくなる中で、一定の処理をしていくということが、大事だということで、これは県議会の特別委員会の皆様にも、しっかりご議論いただきながら、一定の方向性を県政改革として、お示しするということができたことは、大変ありがたいと思っており、大きな一つの1歩であると思っております。
財政の世界の話は、県民の皆様には分かりにくい面もあるかと思います。将来に課題を先送りすることなく、やっていくということが大事だという点、そして、事業執行にあたっても、分収造林事業・地域整備事業ともに、大きな課題やリスクがある中で、このまま進めていっていいのかという思いも、多くの職員の皆さんが少なからず持っていた。それを、今回きちっと処理をすることによって、森林の公益性とか過去の事業の意義とか、今後のあり方というものも踏まてたうえで、仕事ができるという面もあります。
そういったことも踏まえまして、県民の皆様に広報媒体をはじめ、あらゆる機会を通じてしっかりと議論の経過も含めて、伝えていくことが大事だというように思いますので、それはこれからしっかり努力していきたいというふうに考えています。[越田県議]今後も、県庁舎の再整備、県立大学の無償化にかかる財源も基金を積み立てて安定化させていこうという取組も含めて、非常に多額の財源を必要とする事業も今後控えております。だからこそ、財政運営のあり方というものは、丁寧に県民の方に説明をしていただきながら、納得をしていただいて、理解をしていただいて、丁寧に進めていく必要があるかと思っておりますので、その点、要望とさせていただきます。 -
2. 県政を推進するための知事のリーダーシップについて
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]「県政を推進するための知事のリーダーシップについて」です。
今、兵庫県内の世論は、齋藤知事をめぐり分断と言える状況に陥っています。この背景には、憶測やデマによる情報の拡散が大きく影響しており、主に知事の評価に関する正反対の情報のどちらを信じているのかによって世論が割れ、ネット上のSNS等では、齋藤知事を支持する側と、支持しない側の間で誹謗中傷が行われ、冷静な議論というよりは感情的な対立が先鋭化している状況にあると言えます。知事の再選後、公職選挙法違反の疑惑の件も加わり、分断による混乱状態が収まることなく続いており、百条委員会の委員や県職員等に対する誹謗中傷が今現在も続いていることは由々しき事態であります。
知事は、昨年の失職前の会見において何度も、職員や議員等とのコミュニケーション不足を反省する発言をされています。その中で次のような趣旨の発言があります。
「日々の業務をできるだけ効率的に行う主義で、レクチャーの時間をあまり長くしたくないと思っていたが、例えば、課長や担当の方の政策案に対する思いや、どうしてこういうことを考えたのかを、より丁寧に聞くことも、これから対話の中で心掛けていきたいと考えている」
「大事なのは、日々の業務を通じた信頼関係をしっかり構築していくことが、これから私にとっての最大の責任だと考えています。」
つまりコミュニケーションをしっかり図って、相手の思いや考えを受け止め、信頼関係を構築することの重要性を何度も会見で述べています。
今、様々な意見が取り巻いている中でも、県政を前に進めていくためには、リーダーシップを発揮していくことが今強く齋藤知事に求められています。そのためには、県民の様々な意見を知事自身が詳細に把握し、受け止めた上で、齋藤知事が自らの思いを噛み砕いて県民に対して真摯に語りかけ、理解を得る最大限の努力が求められています。
様々な指摘を謙虚に受け止めた上で、兵庫県のリーダーとして、県民に対する共感、いたわりの姿勢をもって率直に考えや思いを語っていくことが求められていると考えますが、知事のご所見をお伺いします。[齋藤知事]知事就任以降、県民の様々な意見や思いに耳を傾け、若者・Z世代応援パッケージなどの各種施策につなげてまいりました。先の選挙では、こうした施策に対する県民の皆様の多くの評価を得まして、引き続き県政を進めて欲しいという声を受けたというところでございます。
県政に対する様々な意見、ご指摘があるかと思いますけれども、大切なのは、県民の要請に応える施策をしっかりと実行するということでございます。県議会はもとより、市や町、団体、そして県民の皆様と、様々な機会を通じて幅広く意見をかわし、課題や改善点なども真摯に受け止めながら、県民本位の施策の形成・推進を図ってまいります。
対話の場の設定のほか、各種広報媒体や講演などを通じて、私がめざす県政の姿、施策に込めた思いなどを丁寧に伝えることで、県政に対するご理解を深めていただけるように努めてまいります。
ご指摘のSNSにつきましては、誹謗中傷等により自分と異なる考えをもつ人を傷つける行為等は決して許されるものでなく、SNS利用のリテラシー向上に向けた啓発を今回上程させていただいています補正予算等を活用し、強化をしてまいります。[越田県議]知事は先ほどご答弁の中で、政策についてしっかりと県民の理解を得ていくことが重要である旨のご答弁があったかと思うのですけど、現状の分断の状態というのは、政策の賛成反対によって分断が起こっているわけではないという風に理解をしております。やはり、この今回の文書問題に端を発してですね、違法なのかどうなのかということも含めて様々な見方、また、この文書問題を通じて、いろんな真偽不明の情報がネット上にあふれて、そういったことの理解が、人によって違うということで、誹謗中傷合戦みたいなことも、一部では起こっているという風に認識をしております。
そういった点におきまして、知事自身がですね、この政策ではないところの部分で県内世論が分断している現状をどのようにとらえられておって、どういう風にすれば、知事のリーダーシップとしてどういう風に行動すれば、融和が図れるのかという点について、再度お伺いをさせていただきます。[齋藤知事]SNS上における誹謗中傷や真偽不明の情報を故意に発信するということなどは、決して許されないということでございます。先般の選挙においても県民の皆様からは文書問題の対応というものも大事な一方で、やはり県の政策をしっかり前に進めていってほしいという大きな声もいただいたということも事実でございます。
SNS上には様々な意見そして、異なる考えが交わされているということはあると
思います。それが政策に関して、そして適切な指摘や意見の交わし合いならいいにしても、それを超えて誹謗中傷などというのは、他人を傷つけることになると思いますので。それは決してすべきでないという思いはしっかりこれからも伝えていきたいという風には思っております。
一方で色々な場面で県民の皆さまと直接リアルの世界でお会いする場も多いのですけど、多くの県民の皆様から、しっかりいい施策や子どもたちへの投資、県立高校への投資であったりとか、大学の無償化もそうですけど、そういった政策を齋藤知事しっかり前に進めていってほしいと、だから、落ち着いた環境を早くもたらせるようにしてほしいなという声もありますので。やはり県民の皆様のリアルな声はしっかり県政をこれは落ち着いた環境で進めていくということが県民の皆様が本当に求めておられることだという風に思いますので。そういう風になるように私自身もまずは、政策をしっかり前に進めていくということをやりつつ、SNS上の誹謗中傷の防止とかそういったこともしっかりとやっていきたいと考えております。[越田県議]政策を進めることが第一であることは、疑いないことですし、政策実現のための議論というのは我々もしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。ただ、やはり今の兵庫県内の世論の分断というのは見過ごせない状況にあるという風に認識しております。知事としてですね、正反対の思いをもっている、両方の気持ちを理解していただくことがまずは第一歩ではないかなと思っております。それぞれの気持ち、考え、思いに、正反対の思いにそれぞれ寄り添ったうえで、しっかりと知事のお言葉でですね、そうでない部分があるのであれば融和に向けて、もっとこうしましょう、ああしましょうということを、リーダーシップを発揮してご発言いただくことが非常に大事ではないかなという風に思っておりますので、その点お願いしておきたいなと思っております。 -
3. インターネット上の人権侵害防止条例制定と実効性ある対策について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]「インターネット上の人権侵害防止条例制定と実効性ある対策について」です。
先ほどの質問においても触れた、兵庫県における県内世論の深刻な分断は、インターネットのSNS上で、誹謗中傷や真偽不明の情報が拡散されたことが大きく影響していると考えられ、兵庫県としてこの問題に真正面から取組み、断固として人権擁護する姿勢を明確に示すとともに、実効性のある対策を講じていく必要があると考えます。
昨年、プロバイダ責任制限法が一部改正され、情報流通プラットフォーム対処法に名称が変更となり、本年5月までに施行が予定されています。改正内容としては誹謗中傷等のインターネット上の違法・有害情報に対処するために、大規模プラットフォーム事業者に対し、
①対応の迅速化と②運用状況の透明化に係る措置が義務付けられます。これにより削除申請の負担が軽減され、ネット上の誹謗中傷の情報削除が迅速になされることが期待されます。
しかし、現在の兵庫県で起こっているネット上の誹謗中傷への対処はまったなしの状況であり、従来から進めてきた啓発事業やインターネットモニタリング事業、弁護士による専門相談事業を更に充実させるとともに、「誰も取り残さない安全安心な兵庫」を実現するため、全国の中でも人権擁護の先進県を目指し、人権侵害防止条例を制定するとともに、具体的に人権を守り、人の命を守ることができる具体的な対策を展開していくことが非常に重要であると考えます。
2月補正予算において、ネットの人権侵害防止等に向けた啓発や相談事業に1,000万円を計上していますが、SNS利用時において「本当にこの情報は正しいのか?」ということを立ち止まって確認する「メディアリテラシー」を身につけることや、誹謗中傷が刑事罰や民事罰に問われること、匿名の発信であっても技術的に投稿の発信者は特定されることなど、啓発の内容を様々な角度で明確にして、その効果を最大化すべく、世代等のターゲットに応じた展開や、効果検証のあり方等を踏まえ、どのように啓発に取り組もうとしているのでしょうか。
また、相談事業においては、単にネット上に書込まれた誹謗中傷発言の削除手続きについてだけではなく、誹謗中傷されている人が、大勢から攻撃されているような気持ちになり、孤独感や疎外感の中で、過剰な警戒心や不安感、恐怖心に苛まれている場合の心のケアも含めた相談体制の充実も必要であると考えますが、どのように取り組まれるのでしょうか。
来年度の条例が目指すもの及び啓発・相談事業の展開についてどのように取り組んでいこうとされるのか、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]インターネット上の人権侵害への対応は、誹謗中傷等は決して許されないことを深く認識してもらうための啓発、被害者の支援の両輪で進める必要があり、このたび提案した補正予算案において、対策を強化して参りたいと考えております。
啓発では、たとえ顔が見えなくてもルールやモラルを意識した正しい利用をするということ、インターネットでの誹謗中傷は匿名であっても特定され、民事上刑事上の責任が問われることがあるということなどを、主要駅のデジタルサイネージや大型ビジョンなどを活用して、幅広い層に繰り返し呼びかけるとともに、SNS利用者をターゲットに、プッシュ型のSNS広告を配信する他、教育委員会・県警など関係機関と連携し、ネットリテラシーの向上のための啓発キャンペーンを実施して参ります。
被害者支援につきましては、平日に実施している弁護士による無料相談窓口を休日にも拡充するよう県弁護士会との調整を進めております。心が傷つきケアが必要な場合には、こころの健康相談窓口につなぐなど、関係機関との連携を密にし、被害者の気持ちに寄り添った支援に取り組んで参ります。
現在検討を進めている条例は、インターネット上の人権侵害を許さない社会の実現を、県と県民がともに目指すために制定するものでございます。誰もが被害者にも加害者にもならない、すべての人の人権が尊重される寛容な社会づくりを進めて参ります。[越田県議]もう1点再質問させていただきたいと思いますが、インターネット上の人権侵害の防止条例を制定して実効性ある対策を打っていこうということで、啓発とか、相談体制を強化するということでありますけれども、これはどのような形で条例の内容が決まってくるのかということもあろうかと思いますが、しっかり実際に効果が上がるのかどうかというのを見極めていただきたいなというふうに思っております。
相談については、弁護士の相談をしっかり強化するというようなお話もあり、心のケアについては既存の窓口を使ったらいいじゃないかというお考えもあるのかもしれませんけれども、しっかりワンストップでやっぱり対応していくことも大事だと思っておりますし、誹謗中傷そのものが減っていくっていうことも大事だと思っております。
その点で、実効性ある対策かどうかというのを見極めていくことが重要ではないかなと思っておりますが、その辺の効果検証も含めて、このネット上の誹謗中傷を防いでいくということの取り組みについて、当局としてどうやって効果検証しながら進めようとされるのかについて1点再質問させていただきます。[齋藤知事]お答えします。SNS上での誹謗中傷・真偽不明の情報の拡散配布というものは決して許されるものではないというふうにも考えております。兵庫県では、現在国の法施行、情報流通プラットフォーム対処法の施行も見据えながら、有識者の皆様による条例制定に向けた議論を今進めているというところです。午前中にも質問にお答えしましたが、この問題は表現の自由の観点、そして、委員の方からも意見がありましたけども、個人への誹謗中傷等は個人間での解決が原則であるということ、そして行政が事実関係をひとつひとつ確認していくのは難しいといった意見もありまして、どういったところができるかということはしっかり議論を慎重に進めながらやっていくということが大事だというふうに考えています。
一方で国の方はプラットフォーム対処法の中で、個人間の誹謗中傷については、プロバイダーの大規模事業者に一定の措置を義務づけるという議論もありますので、そういったところを見据えた検討が必要だというふうに考えています。
その意味で兵庫県としても今の議論を進めながら、議員ご指摘の成果指標、どういった形で効果を測定できるのかといった面、これはなかなか難しい面もありますけども、そこも含めて議論ができればいいというふうに思っています。[越田県議]個人対個人の間に、行政が介入するのは難しいと当然理解しますけれども、やっぱり個人対個人の誹謗中傷が起こらないような取り組みは県として当然すべきだと思っておりますので、その点の効果をしっかり検証できるような形で、しっかり施策を進めていただきたいなということを要望させていただきます。 -
4. 高齢者のための特殊詐欺対策について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]「高齢者のための特殊詐欺対策について」です。
コロナ禍以降、特に高齢者を狙う特殊詐欺は年々増加しています。令和5年度県民意識調査では、体感治安が良いと答えた人の割合が前年度70.3%から64.5%と5%も低下しており、令和6年の特殊詐欺被害の認知件数は1,445件と対前年221件の増加となっています。
私たち公明党議員団はこれまでも特殊詐欺対策の強化、特に被害にあいやすい高齢者のための対策について提案をしてきました。
県警察においては、注意喚起のための広報活動や、コンビニエンスストアや金融機関等と連携した水際対策のほか、SNS上などのインターネットを活用した啓発の強化をはじめ、県警本部に特殊詐欺特別捜査隊を設置するなどあらゆる対策を講じ、取組を強力に進めています。
令和5年度補正予算および今年度に繰越した予算で、家の電話にかかってくる特殊詐欺被害防止に絶大な効果があるといわれている自動録音機能付電話機の購入費に対する補助事業として、高齢者世帯を対象に13万台分の電話機購入費と普及啓発事業費をあわせた総額16億35百万円を予算計上し、これまでの普及事業とあわせて県内高齢者の大半に行き渡ることを目指して事業を実施してきましたが、補助実績としては約2.4万台と目標の20%に届かない状況にとどまっています。
本定例会に提出されている2月補正予算案において、自動録音装置を確実に普及させるための取組みとして、現状設置されている電話機に外付けの自動録音機を無償で配付する事業予算を計上し、警察官等による高齢者への制度の案内を行なった上で、機器の送付、設置のサポートも含めた設置推進事業を計画しています。本事業による自動録音装置の普及促進の取組みについて、具体的にどのように高齢者に本事業を理解してもらい、安心して設置のサポートまで受け入れてもらえるようにするのかという点は、警察官を語る詐欺や強盗事件が発生している昨今において大きな課題です。また、今年度目指していた13万台の目標に対して、来年度の事業規模が3,000台分となっている点は、被害拡大を防ぐ点からは、普及促進のスピードが落ちることになります。県内の62万世帯の高齢者世帯が安心して暮らせるよう、徹底した対策をスピーディに進めていただきたいと考えますが、これらの課題への対応を含め、自動録音装置の普及に向けた当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]増加する特殊詐欺被害を防止するため、今年度、全県一丸となって取組を進めてまいりましたが、令和6年は認知件数、被害金額ともに過去最多となり、その結果を大変重く受け止めております。
電話機の補助につきましては、13万台という予算を確保の上で、様々な手段で広報を行なさせていただきましたが、申請は約2万4千件という風に留まっております。高齢者のスマホの所有等が拡大し、固定電話の利用者が減少する中で、一定の需要には対応できたとは思っております。
しかしながら、「申請手続や機器設置、機能設定のハードルが高い」「使い慣れた機器の方が良い」といったご意見もいただいております。今回、現在使用されている電話機に繋ぐだけで利用できる自動録音装置の外付けのものの無償配付を行わさせていただくことにしました。
配付に際しては、被害リスクの高い世帯に確実に行き届くよう、警察の戸別訪問や自治会等を通じた案内など、プッシュ型で進めるとともに、設置サポートを関係団体に要請していきたいと考えています。併せて、無償の国際電話着信休止サービスなどの防犯対策も積極的に促してまいります。
一方で、SNS型投資・ロマンス詐欺等が急増するなど、詐欺の手口は非常に多様化しています。最新の手口や対策についても正しい知識を身につけていただき「詐欺かもしれない」という意識を持つことが重要でございます。詐欺被害を「他人事」ではなく「自分事」として考えてもらえる啓発を県警、市町、地域団体とともに確実に推進し、県民の皆様の安全・安心を確保してまいりたいと考えております。[越田県議]特殊詐欺対策で、自動録音装置の普及を図っていこうということで、今年度13万台分を一気にやろうというところで取り組んでこられて、実際、申請は2万4千台ということで、2割も届いていないということなんですけれども、それが、来年度事業としては3千台ということで、一気にこの台数としては減りすぎではないかという風にも見えるところがあるんですけれども、この点は13万台分を一気に目指していた割に3千台にしたっていうところの理由なりお考えなりを確認したいと思いますので、ご所見をお願いいたします。[木村県民生活部長]外付け録音機能装置の予算措置を考えているところですけれども、今回は被害リスクの高い一人暮らしの高齢者ですとか、あと全国の警察が特殊詐欺等の捜査で押収しました名簿に記載されている方、こういった方をまず重点的にプッシュ型で取り付けを訴えていこうという風に思っております。
今の予算の中でできるだけ多くの自動録音装置を購入しまして、もし足りない場合はその時点で検討して参りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。[越田県議]警察の方で犯人側の名簿を入手してそれに基づいてやるということで、高い効果が見込めるんだと思うんですけれども、今回は外付けのみを補助するということではあるんですけれども、人によっては申請もしなくて取り付けて設定までしてくれるんだったら、新規の新しい電話機でもいいんじゃないかっていう人もいらっしゃるのかなということも踏まえますと、その辺は柔軟に、今回違う角度での取り組みをされますので、今回の取り組みの結果を踏まえて、いろいろ検証していただいて、従来の反省も踏まえて、どうしていくのが良いのかというのは、トライアンドエラーで見直しをかけていただいて、できるだけ早期に普及の実現していただきたいなということをお願いをいたします。 -
5. 防災・減災対策の見える化および更なる対策について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]「防災・減災対策の見える化および更なる対策について」です。
本年は阪神・淡路大震災から30年となる節目の年を迎えました。震災を経験し「創造的復興」を果たしてきた本県は、「防災先進県」として防災・減災対策に精力的に取り組んできました。
県では、国の被害想定を踏まえM9クラスの最大級の地震・津波にも対応できるハード・ソフト両面にわたる総合的な対策である「南海トラフ地震・津波対策アクションプログラム」を策定し、対策事業の進捗状況と今後の取組を公表し、必要に応じて対策や指標などの追加、見直しを行いながら取り組んでいます。
防災・減災対策で、最も優先して重点的に取り組むべきは、地震や津波による災害直接死をまずは防ぐことです。アクションプログラムの実施により見込む効果は、津波の浸水面積や建物全壊棟数は約3分の1に減少させるとともに、死者数は約2.91万人から約400人へと、劇的に減少させるとしており、これを必ず実現しなければなりません。
また、昨年発生した能登半島地震では、「災害関連死」が約300人に上り、直接的な災害死(228人)を上回る状況となっています。災害関連死を防ぐ為、現在、国において災害関連法制に「福祉」の視点を取り入れ、地方公共団体の長などの責務に避難所内外での被災者への福祉サービスの提供や、救助活動に福祉サービスの提供を加えるなどの災害対策基本法の改正が議論されており、県においても「災害関連死」の対策を強化する必要があります。
更に、行政としての防災・減災対策だけなく、県民一人一人の防災意識の向上とともに、具体的に自らの命を守る対策や、地域において要援護者支援等の共助の行動を促進させていかなければなりません。
「防災・減災対策」をアクションプログラムに基づいて推進していくうえで、最も重要な命を守る対策の進捗状況が、現状どのようなレベルにあるのかを見える化しつつ、課題や足りない点について県民と情報を共有するとともに、災害関連死を防ぐための取組や、県民の防災意識向上を図りながら、官民一体で防災・減災対策を進めていくことが重要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]県では、南海トラフ地震・津波対策アクションプログラムのなかで、成果指標を定めたハード・ソフトの両面にわたる対策を推進し、その進捗状況を毎年度公表しており、達成もしくは概ね達成された指標につきましては、最新のもので84%となっております。
一方で、例えば、防災訓練の実施や避難行動要支援者への支援など、目標を下回っている指標もございます。こうした指標につきましては市町との個別ヒアリングにより課題を共有しておりますが、県民の防災意識向上に向けて、視覚的にもさらにわかりやすい表記に努めてまいりたいと考えております。
熊本地震や能登半島地震では大きな課題となりました災害関連死につきまして、専門人材等が迅速に被災地に入って、発災直後から良好な避難生活環境を確保するということが重要であると考えております。
このため、令和7年度におきましては、スフィア基準も踏まえた避難所管理運営指針等の見直しを行うとともに、備蓄物資の充実等避難所での生活環境の改善に向けた取り組みをさらに進めてまいります。また、協定の締結や訓練等を通じ、保健・医療・福祉等の民間を含む関係機関との連携体制についてもさらに強化をしてまいります。
アクションプログラムにおきましては、住宅の耐震化や家具の固定率等をはじめとする災害死に直接影響する指標に加え、災害派遣精神医療チーム数など、関連死とも関係する被災生活の改善につながる指標を定めておりますが、引き続き、県民の意識を高めるとともに、災害による死者数を減少させるための対策を進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
[越田県議]再質問させていただきます。防災・減災対策についてであります。このアクションプログラムをしっかり実現した成果として、死者数の想定を約2.91万人から400人、本当に劇的に減らすんだということが数字として示されておるんですけども、現状今まで進めてこられたアクションプログラムの推進によって、2.91万人が今現在どれぐらいの削減まで到達しているのかということと、最終的なこの400人という目標に向けて何が障害となっているか、どういった点が課題として残っているのかというところが、お示しできる情報があるんであれば、お答えいただきたいと思います。[池田防災監]お答えさせていただきます。2.9万人の最新の状況につきましては、まだ国の方で被害想定の見直しを実施しているところでありまして、今年度末には発表になるものというふうに考えております。
一方で、ハード面に対する対策につきましては、午前中の副知事からの答弁もございましたが、福良港での港湾防波堤等の整備、これは進捗をしているところでございますが、一方でソフト面、いわゆるマイ避難カードの整備であったりといったような県民の防災意識に基づく対策、各それぞれの家庭における対応、こういったところが非常に課題になっているというふうに認識しているところでございます。
また、ご指摘いただきました災害関連死に関連するようなところにつきましても、まだまだ地域防災力の強化を含めて取り組みが必要と認識しておりまして、今後新たな被害想定が出まして、県としましても被害想定の見直しに併せて、このあたりについても検討してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。[越田県議]コメントをさせていただきますが、県民の意識向上というのはすごくベースとして大事ではないかと思ってます。
兵庫県は阪神・淡路大震災を経験して、非常に行政としての対策は他府県に比べても優れている対策をしていただいていると思っておりますし、防災先進県としてですね、他所でやっていないことにも取り組んでいただいていると理解しておりけれども、やっぱり災害の死者数を減らすっていうのは、県民の意識が高くないとですね、いくら行政の対策が進んでいるからといって確実に減らすことはできないのではないかなというふうに思っておりますので、一体となった対策としてどういう状況にあるのかとか、どんな課題があるのかってことをしっかりと県民と共有することは徹底していただきたいなというふうに思っております。
そのうえで、こんな課題があるんだったら自分でもっとこういう行動をしないといけないんだなということ、県民の意識を高めるような取り組みに結び付けていただきたいと思いますし、意識調査等でもですね、防災意識の向上というのを数値的に図りながらですね、どこまで防災力向上、意識向上が図れているのかっていうのを見える化しながらやっていただきたいということを要望させていただきます。 -
6. 帯状疱疹ワクチン接種補助事業の継続について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]「帯状疱疹ワクチン接種補助事業について」です。
県では県民の健康福祉の向上とニーズに応える形で、令和6年度に限り、市町の助成事業に対する補助事業を実施しています。所得制限はなく、対象者は満50歳以上、生ワクチン、不活化ワクチンとも1回限り、県の補助額は上限2,000円で、今年度は県内40市町が助成事業を実施しています。
この度、国では帯状疱疹ワクチンの安全性や有効性など、科学的にも定期接種化が妥当という方針が示され、本年4月1日より、全国で定期接種が開始されます。
対象は、①令和7年度内に65歳を迎える方、②60~64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害があり日常生活がほとんど不可能な方、③令和7年度から令和11年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳となる方も対象となります。ちなみに100歳以上の方については、令和7年度に限り全員対象となります。
県が行ってきた今年度の補助事業では50歳以上の方を対象としていますが、国の定期接種では対象外となっています。日本の疫学調査を基に年齢層別、帯状疱疹発症率を係数とした、神戸市における帯状疱疹の年間罹患者数の推計は令和6年1月1日現在で50歳代は2,070人であり、70歳代の2,528人に次いで多くの方が50歳代でも発症し、さらには帯状疱疹後神経痛に移行するケースもあることから、定期接種対象外となる方に空白期間が生じないよう対策が必要と考え、公明党会派として12月の定例会や本年1月21日の知事への緊急要望で訴えてまいりました。
来年度予算において、市町の帯状疱疹ワクチン接種助成事業の支援を1年限り継続することとなりましたが、50代をはじめとする定期接種対象外となる人に対する帯状疱疹のリスクやワクチンの有効性を周知徹底するとともに、市町においても可能な限り助成事業の継続を促していくことが重要と考えますが、帯状疱疹ワクチン接種補助事業について当局のご所見をお伺いします。[服部副知事]帯状疱疹は、疼痛を伴う水疱が帯状に出現し、時に後遺症として強い神経痛が持続する皮膚疾患です。県ホームページにおいて、帯状疱疹に関する正しい知識を周知するとともに、令和6年度に限り50歳以上の方を対象として、帯状疱疹ワクチン接種費助成を行う市町に対し、補助を行っております。
一方、ご指摘の通り、国において議論されてきた帯状疱疹ワクチンの定期接種化にきましては、最も有効性が高い接種方法として、65歳を対象とした定期接種を、令和7年4月より開始する方針が示されたところであります。
県では、定期接種化後の市町補助のあり方について、2度にわたり市町に意向調査を実施した結果、円滑に接種体制を移行していくために、令和7年度限りの暫定措置を行うことといたしました。
具体的には、来年度は、現行制度での補助対象者の内、5年間の国の経過措置期間内には定期接種対象とならない方、つまり、年齢50歳から60歳までの方を対象に、任意接種の費用助成を行う市町に補助を実施することといたしました。
今後も早期受診・早期治療と同様に、ワクチン接種も重症化予防や後遺症軽減に有用であることを周知徹底いたしますとともに、任意接種と定期接種という2つの接種制度が混在することによる混乱が生じることなく、ワクチンの接種希望者が適切に接種を受けられるよう、市町や関係団体と連携しながら定期接種への円滑な移行を進めてまいります。[越田県議]帯状疱疹ワクチン接種補助事業につきましては、今年度も継続していただけるということで、公明党として要望させていただいたことを実現できますので、ありがたく思っておりますけれども、やはり、この病気に対する理解が非常に重要ではないかなと思っております。今年度1年限りで実施していただいて、知っていただいて、想定以上に接種していただいているように聞いておりますので、帯状疱疹の怖さとか、治療が遅くなると後遺症が残るというのも含めて、病気のことをしっかりこの50代の方に認識をしていただいて、せっかく1年間経過措置として実施していただく事業でありますので、多くの50代の方が接種できるように周知に努めていただきたいということを要望させていただきます。 -
7. 5歳児健診にともなう発達障がい児の療育について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]「5歳児健診にともなう発達障がい児の療育について」です。
発達障がいは、脳の機能に原因があるとされる自閉スペクトラム症(ASD)や学習障がい(LD)、注意欠如・多動症(ADHD)などの総称とされていますが、集団行動になじめない、あるいは不登校・ひきこもりにつながるといったケースも多くあります。小学校入学前の早い段階で発達障がいを把握して適切な支援を受けることが重要で、こども家庭庁は5歳児健診の早期の全国展開を目指し、昨年度より実施自治体に健診費用の補助をしています。
今年度は健診費用補助額の引き上げや継続した支援体制を整備するために保健師や心理士などへの研修費用を支援するなどの強化が行われています。
しかし、5歳児健診は自治体の任意であり、国の調査では令和6年8月時点で全国の自治体のうち15%しか実施していない状況です。中核市などは人口が多いことから、国のマニュアル通りに健診するには、協力機関などの体制整備が困難であるとお聞きしています。また、国から県の役割として「地域におけるこどもの発達相談と家族支援の機能強化事業」等、身近な地域でこどもと家族のニーズに応じて、保健、医療、福祉、教育の各分野が連携して支援を行う体制の充実及び強化が求められています。
5歳児健診実施に当たり、県として福祉分野・医療分野における地域のフォローアップ体制整備が重要です。県は「兵庫県立こども発達支援センター」や、ひょうご発達障害者支援センター「クローバー」の高砂市にあるセンターと5つのブランチを運営していますが、5歳児健診により発達障がいの可能性が発見された子どもの相談や適切な支援に結びつける必要があります。
発達障がいが早く見つかれば、家庭はもちろん学校でも当事者に配慮したサポートが可能になりスムーズに学校生活をスタートさせる上で、5歳児健診の役割は大きいと言えます。
県内全市町の5歳児健診実施を見据え、健診後の受け皿として県の相談・療育体制整備を早期に構築する必要がありますが、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]発達障害児への療育につきましては、県では、市町の取組を専門的にバックアップする体制を構築するとともに、支援の受け皿である児童発達支援事業所や放課後等デイサービスについて、市町計画に基づき指定を行い、適切な運営を支援しております。
一つには、ひょうご発達障害者支援センターを運営し、市町からの依頼に応じて関係機関と連携して適切な療育につなげていくほか、市町での発達障害児者に関する会議や地域自立支援協議会等に参画するとともに、市町や児童発達支援事業所の職員等へのスキルアップ研修を実施しております。
二つには、全県的な早期療育拠点でございます、こども発達支援センターを運営し、市町では対応困難な児童に診療と療育を一体的に提供し、年間延べ4,000件を超える診療を行っているほか、遠方で来所が困難な市町の保健センター等において出張での発達健康相談も実施しております。
5歳児健診の拡大には、基本的には両センターを中心に対応し、状況を踏まえながら、市町の相談体制の充実を支援していくということが大事だと思います。併せて、発達障害に対応できる医療従事者が不足しているということから、その解消に向け実施している研修の事業などにもこれからも取り組んでまいります。
今後とも、市町や地域の保健、福祉、子育て、教育、医療などの関係者が連携しながら、発達障害児の相談・療育体制の構築を行ってまいります。
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8. 農林水産業の物価高騰対策について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]物価高騰から県内の農林水産業を守る緊急支援策について、お伺いいたします。
近年の物価高騰が、農林水産業者の経営を大きく圧迫しています。特に肥料や飼料の価格上昇は、農業や畜産業の生産を不安定にし、多くの従事者は苦境に立たされています。令和4年以降、肥料の価格が急騰し、水田では経営費のおよそ1割を占めるまでになりました。施設園芸や畑作においては、さらに高い負担がのしかかり、ある農家からは「肥料代が2倍になって収益が圧迫されている」という切実な声が聞こえます。また、燃油の価格も上昇し、施設園芸ではハウス内の温度等を調整するための光熱費が負担となっています。こうした費用負担の増大は、営農規模の縮小や離農を検討せざるを得ない事態にもつながりかねません。
また、畜産経営体では生産費の半分程度を飼料費が占めますが、飼料原料を主に海外からの輸入に頼る中で、円安等に伴い飼料価格が高止まり、収益が大幅に低下していることから、輸入への依存度を下げるために自給飼料の増産が急がれています。加えて、燃油の高騰は漁業にとっても深刻で、A重油などの価格上昇が続く中、施設園芸と同様に燃料コストを抑える対策が待ったなしの状況です。
一方で、農林水産業が今後も安定して成長していくためには、高付加価値化や省エネルギー型の農業・漁業への転換が不可欠です。施設園芸における再生可能エネルギーの導入や、燃費性能を高めた漁船の活用など、新技術への支援が望まれています。
さらに、高付加価値化を進めることで収益向上が期待できます。地域ブランドの確立や、農産品・水産品の加工・直販の強化によって付加価値を高めれば、原材料価格の影響を減らすことができるでしょう。こうした取り組みを積極的に支援することは、県内の農林水産業の活性化だけでなく、食料供給の安定や地方創生にも大きく寄与します。
以上のように、物価高騰という厳しい逆風下においては、緊急的な経費削減対策と、将来的な経営基盤の強化が同時に求められます。今まさに県内農林水産事業者を守り、持続的に発展させるために、県としてはどのような対策を展開していくのか、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]農林漁業者が持続的に経営発展していくためには、物価高騰時の経営悪化に対応する緊急的な対策と、情勢変化の影響を受けにくい生産体制の構築、経営基盤の強化など中長期的な視点に立った対策が必要と考えております。
緊急的な対策としては、今年度の補正予算を活用し、輸入飼料価格の高騰により経営状況が厳しい畜産事業者に対しまして一時支援金を支給するとともに、耕畜連携の取組に必要な施設・機器の整備、燃油や資材などの価格高騰への対応として、省エネルギー型の施設園芸や漁船への転換・導入を支援することとしております。
持続可能な農林漁業の発展に向けた中長期的な経営基盤の対策強化としては、生産性向上に向けたスマート化、地域資源の循環につながる環境創造型農業の推進、高温や病害に強い新品種の開発・普及拡大など生産力を強化してまいります。あわせて、農林漁業者と食品関連事業者が連携した新たな商品・サービスの開発支援をはじめ、魅力発信や認知度向上によるブランド化の推進により、生産者の所得向上を図ってまいります。
都市と農村の距離が近いのが兵庫県の立地の特色で、強みでございます。県産農林水産物の購入機会の拡大や食育を進めるとともに、生産現場での交流などを通じて、本県の農林水産業への県民の理解促進を図り、生産と消費のつながりをしっかりと強化してまいりたいと考えております。

松尾智美県議
[質問項目]
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1. 不妊治療をとりまく環境整備について
質問と答弁のダイジェスト
(1)プレコンセプションケアの推進について
[松尾県議]本県では、若者・Z世代応援パッケージの柱として「子どもを産み育てやすい兵庫」を掲げ、不妊治療支援の強化等に取り組んでいます。その不妊治療支援の一環として、若い世代が、将来の妊娠や出産の希望を含む自分たちのライフプランを考え、日々の生活や健康に向き合うための第一歩として、「プレコンセプションケア(以下「プレコン」)」を推進し、正しい知識の啓発のため今年度から事業が展開されています。
まず、県内の高校生及び大学生を対象に、希望する学校へ助産師等を派遣する出前講座の実施。また、プレコンの情報などをまとめたポータルサイトが開設され、プレコン啓発のショート動画がSNS広告などでも発信されております。さらにはプレコンをわかりやすくまとめたタブロイド紙を作成し、各学校に配布・配信されたところです。
昨年2月の定例会一般質問において、私は、県内の子どもたち一人ひとりが将来望む人生に必要な知識を得て、備えられるように学校教育と連携して、段階的にプレコンの教育を取り入れていくこと、県内の全ての学校、大学等で助産師等外部講師による授業が実施できるような仕組みにしていっていただきたいとお願いしました。
プレコン啓発の応援サイトでは、高校生以上と小中学生用、それぞれ段階的にコンテンツを作成している点は学校教育との連携を進めるうえでは効果が期待できます。これらを教育現場でどのように活用してもらうかが今後の課題ではないでしょうか。
今年度、開始された出前講座に関しては、すべての学生が受講できるよう県内高校約210校を3年間で1回は実施するとした目標が設定されていますが、今年度は大学を含めて44校の実施見込みと聞いています。
まだまだプレコンの認知度は高いとは言えません。出前講座に関しても、まずは受講を希望する学校を増やし、より多くの学生が受講できるように積極的な周知、啓発が必要だと考えます。更なるプレコンセプションケアの推進に向けて、どのように取り組んでいくのか当局のご所見を伺います。[齋藤知事]プレコンセプションケアいわゆるプレコンにつきましては、健康や生殖に関する知識に基づいて自分たちの将来を考える重要なもので、不妊治療の当事者などからも「もっと早く知りたかった」という切実な声を伺っています。
議員から先般の一般質問などにおいて、プレコンについて、学生を含めた子どもたちが若いうちから知る大切さをかねてより提言いただいていました。今年度から実施している高校等への出前講座のアンケート結果でも、「将来や自分の人生を見つめる機会になった」という生徒が9割を超えていることから、将来のからだの変化に備え自らの健康と向き合うプレコンは、妊娠希望の有無にかかわらずすべての人において重要であると認識しています。
そのため県では、昨年12月に医師監修のもとプレコンに関する情報をわかりやすくまとめたポータルサイトを開設し、自由に閲覧可能な啓発動画やタブロイド紙も掲載させていただいています。
アクセス件数も1カ月半で7,500件を超えると好評であると伺っており、県内企業から「社内でプレコンの啓発に使いたい」という声や、市町の担当者から「教育現場での活用を進めたい」との声もいただいています。
引き続き、市町の担当者とも連携して教育現場に働きかけ、出前講座や啓発動画等の周知・活用を推進するとともに、今後は、新社会人などにも企業向けにアプローチすることで、社会全体でプレコンセプションケアの機運醸成を図ってまいりたいと考えています。[松尾県議]プレコンセプションケアについて、より早い段階から意識していくためのさまざまなコンテンツを作成いただき認知度が高まることを期待しています。
私は生徒へのプレコンセプションケアの出前講座を行っていただくことに重きを置いています。
将来に備えることだけではなく、いのちの大切さや自分自身を大切にすることを伝える授業と考えているためです。
その中で今、高校生や大学生に出前講座をされていますが、ぜひ3年間に1回でも実施ができるように進めていただきたい。
一年目は、周知が急だったこともあるのか、少ないように思いますが、来年度再来年度に向けてどのように強化していくのでしょうか。[山下保健医療部長]議員ご指摘のとおりプレコンセプションケアは妊娠するしないにかかわらず、不妊に限らず、人生設計にとても重要であり、若いときから教育が必要であると認識しています。しかし、若いときからの教育は各年代に応じた教育をしていく必要があります。そのために具体的には、いのちのドアに委託して保健師などにいのちの大切さを各年代に応じた講義をお願いしているのが実情であります。ほかにもタブロイド紙を作成し、各学校に配布したり、ポータルサイトで小中学生向けあるいは高校生以上向けと年代を分けてよりターゲットを絞って発信しています。そのなかで出前講座を活用したいといった教育現場からの声を十分拾い上げながら進めてまいります。[松尾県議]出前講座について、9割近い学生が将来のことを考えることができたなどの良い感想を持っていたと伺いました。ぜひすべての子どもたちに受けていただきたいと思います。
特に助産師等の外部講師の話を聞く機会が重要だと思います。自分自身の命の大切さや他人への思いやり、また性感染症や予期せぬ妊娠についても自分の体をいたわっていくことも含めて自分の命と向き合える大切な授業だと思いますのでより進めていただきたいと思います。(2)不妊治療と仕事の両立に向けた県内企業への支援について
[松尾県議]不妊治療と仕事の両立に向けた県内企業への支援についてです。
若年層の人材の確保定着を持続するためには、事業者側がプレコンの知識を理解し、ワーク・ライフ・バランスを実現できる環境を整備していることが大変重要です。
産休育休制度は、広く浸透し取得しやすい環境が整いつつありますが、不妊治療に関しては、まだまだ職場で言い出しにくい人も多いようです。治療には時間や費用がかかり、心身への負担も大きいため、仕事との両立が困難となり、雇用形態の変更や離職を選択する方も少なくありません。県が県内企業に実施したアンケートでも、不妊治療を行った経験がある従業員のうち、不妊治療をやめたり、離職や転職、雇用や勤務の形態をかえるなど、仕事と両立できない人は約6人に1人との結果でした。
企業の方、特に中小企業の方にお伺いすると、不妊治療に関しては、従業員が何に困っていて、どのような制度や支援が必要なのかがわからない。また、プライバシーなどをどのように配慮するかなどの課題が多く、企業規模が小さくなればなるほど、十分な対応ができていないのが現状だそうです。また企業における従業員の不妊治療支援は、国としても推奨している取組で、厚生労働省の両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)などもありますが、認知度は低く、うまく活用できていない企業が多いようです。
従業員の望まない離職を防ぎ、働きながら不妊治療を続けることができるよう、多くの職場で支援制度が整うことが望まれます。とくに、積極的に取り組む企業や事業者については、認定制度や表彰制度などで応援していくことも効果的だとも考えます。
企業における不妊治療等と仕事の両立支援を推進するため、県としてどのように支援していくのか当局の見解をお伺いします。[原田産業労働部長]不妊治療を受ける方は増加傾向でございますが、仕事との両立には、治療や精神面の負担、職場の理解等に課題があると認識しております。
昨年7月に県が実施しましたアンケート、また不妊治療支援検討会の意見からは、企業側の不妊治療の実態への認識不足、支援メニューや相談窓口の少なさ、体制整備のノウハウ不足、そういったものが浮き彫りとなりまして、特に中小企業でその傾向が顕著な事が分かりました。
ひょうご仕事と生活センターでは、以前から従業員の事情に応じた多様で柔軟な働き方によるワーク・ライフ・バランス推進のため、研修や相談、先進的な企業の認定・表彰により、企業を支援してまいりました。その一環としまして不妊治療に対しても今年度、地域セミナーを開催し、県内企業の機運醸成に努めてきたところです。
来年度は全県フォーラムの開催、研修動画の配信など、より積極的に不妊治療への普及啓発を図ってまいります。更に、専門家・当事者団体と連携した新たな企業への相談体制を構築してまいります。休暇や柔軟な勤務体系等の制度設計、相談しやすい職場づくり、該当する補助金案内そういったものの助言により、不妊治療に理解ある企業を拡大させまして、ワーク・ライフ・バランスを始め各種認定・表彰企業の輩出につなげていきたいと考えております。
6月には、不妊治療支援に係る条例の上程を予定しております。これを契機として支援を着実に進めることで、子どもを産み育てやすく、働きやすい兵庫の実現に向け取り組んでまいります。不妊治療を受ける方は増加傾向でございますが、仕事との両立には、治療や精神面の負担、職場の理解等に課題があると認識しております。
昨年7月に県が実施しましたアンケート、また不妊治療支援検討会の意見からは、企業側の不妊治療の実態への認識不足、支援メニューや相談窓口の少なさ、体制整備のノウハウ不足、そういったものが浮き彫りとなりまして、特に中小企業でその傾向が顕著な事が分かりました。
ひょうご仕事と生活センターでは、以前から従業員の事情に応じた多様で柔軟な働き方によるワーク・ライフ・バランス推進のため、研修や相談、先進的な企業の認定・表彰により、企業を支援してまいりました。その一環としまして不妊治療に対しても今年度、地域セミナーを開催し、県内企業の機運醸成に努めてきたところです。
来年度は全県フォーラムの開催、研修動画の配信など、より積極的に不妊治療への普及啓発を図ってまいります。更に、専門家・当事者団体と連携した新たな企業への相談体制を構築してまいります。休暇や柔軟な勤務体系等の制度設計、相談しやすい職場づくり、該当する補助金案内そういったものの助言により、不妊治療に理解ある企業を拡大させまして、ワーク・ライフ・バランスを始め各種認定・表彰企業の輩出につなげていきたいと考えております。
6月には、不妊治療支援に係る条例の上程を予定しております。これを契機として支援を着実に進めることで、子どもを産み育てやすく、働きやすい兵庫の実現に向け取り組んでまいります。 -
2. 強度行動障害を有する方が安心して暮らすための支援について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]本県における強度行動障害を有する方への支援についてお伺いします。
障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、施設や病院からの地域移行が推進されていますが、実際には受け入れ先不足や専門的支援ができる人材の不足が大きな課題となっています。特に強度行動障害を有する方に対しては、適切な環境調整や専門的な支援が求められています。
強度行動障害とは、自分自身や、周りの人を傷つける、物を壊す、食べられないものを食べる、多動など本人の健康を損ねる行動や、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が著しく高い頻度で起こる状態のことです。そのため、特別に配慮された支援が必要になり、家族と一緒に暮らすことも難しく、受け入れてくれる施設もなかなか見つかりません。
兵庫県内では、強度行動障害のある人は約3,000人とも推計されています。
強度行動障害はもともとの障害のことではなく、重度・最重度の知的障害や、自閉症の特徴が強い人に多いとされ、コミュニケーションをとることが苦手なことや、感覚の過敏性などの障害特性が環境にうまく合っていないことが、当事者にとって嫌悪感や不信感を高め、行動障害をより強いものにしてしまいます。強度行動障害は本人が困っているサインであり、「合理的配慮が必要な人」として理解され、適切な支援を受けることにより状態が緩和するとも言われています。特に思春期には行動障害が強くなる傾向があるため、早期から周囲の理解と適切な対応が必要です。
一方で、その見極めや対応の難しさから事業所での受け入れを拒まれるケースも多く、家族への負担が深刻化しています。先日も、数人の当事者のご家族とお会いする機会がありましたが、それぞれの方の年齢や特性は違いますが、施設も生活介護事業所も対応しきれないと受け入れを断られ、どこを頼っていいかわからないと、各々が不安や悲痛な思いを抱えておられました。
さらに厚生労働省の調査において、施設従事者等から虐待を受けた障害者の約半数が行動障害のある方であることが示されるなど、虐待を受けるリスクが高いことも明らかになっています。適切で専門的な支援を受けることができるよう、強度行動障害を有する方が、安心して暮らせる環境づくりが急がれます。
そこで本県では、これまで支援者養成研修や強度行動障害スーパーバイザー養成事業などを実施し、専門人材を育成していますが、今後どのように取り組んでいくのかご所見を伺います。[岡田福祉部長]強度行動障害を有する方への支援体制を構築するには、個々の特性に応じた関わり方や環境の整備など、適切な支援を継続するための専門的な人材の確保・育成が重要でございます。
そのため、県では、強度行動障害に関する基本的な支援方法を学ぶ「支援者養成研修」を実施しております。今年度は、定員を昨年度の1.5倍となります約530人に増員いたしております。また、令和4年度から、各地域の核となる広域的支援人材を3か年をかけて養成いたします「スーパーバイザー養成事業」を実施しておりまして、今年度末に初となりますスーパーバイザーが10名程度誕生する予定でございます。さらに、状態の悪化した強度行動障害を有する方を専門的入所施設で集中的に支援を行います「地域生活支援事業」の際にも、後半の約1か月間、元の所属施設の職員に対する実習研修を行うなど、支援人材の育成を進めているところでございます。
来年度からは、順次、各地域ごとに養成されますこのスーパーバイザーを、集中的支援の必要な施設に派遣いたしますが、その際に施設の職員へ指導・助言を行うなど、強度行動障害に対応できる人材を更に育成してまいります。
また、スーパーバイザーの派遣調整や、関係機関や市町への助言、さらには支援人材に係るネットワークを構築するための強度行動障害の専門的人材、こういったものを新たに配置するなど、支援体制の構築にも取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。[松尾県議]今年度、初めてスーパーバイザーが10名輩出されるということと、また、ネットワークを広げるために専門人材を配置するということで、本当に親御さんからお話を聞くと、本当に辛い時に助けを求める余裕すらなかったとおっしゃっていました。本当に平時からサポートする体制が整うことを願っております。 -
3. 救急安心センター事業(#7119)の全県展開に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]救急安心センター事業(#7119)の全県展開に向けた取組についてお伺いいたします。
昨年2月の定例会一般質問で早期の全県展開についての必要性を提起させていただき、その後、研究会にて全県展開について検討がすすめられてきました。その結果、令和7年度から全県展開を目指して事業化されるとのことで大変期待しています。よりよい形でスタートしていただきたいとの観点から質問させていただきます。
昨年末から今年にかけてはインフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、コロナ等、さまざまな感染症が蔓延した状況化で、年末年始は救急や民間病院への受診も集中しました。ある民間医療機関の医院長は、「年末の患者の増加を鑑みて、急遽、開院日を増やし患者を受け入れた。その際、どのような経緯で当病院を受診されたか聞くと、多くの患者が#7119に相談しており、救急車ではなく受診可能な医療機関を紹介されていた。昨年1月から姫路市で開設された#7119の効果を一定感じた。」と話されていました。それでも、元日から5日まで連続して、ひょうご防災ネットでは姫路市消防局から救急件数が急増している。119番通報をする前に、本当に救急車が必要な状態かどうか、今一度考えるよう、救急車の適正利用について呼び掛けるメールが届きました。救急現場が逼迫していることが伝わってきました。
県下でも同じような状況を解消するためには、できるだけ早期に全県展開されるとともに、いかに県民に認知され、活用していただけるかが非常に重要になってきます。また同時に、本当に救急車が必要な時にはためらわず119番通報することの大切さも伝えていかなければなりません。
全県展開となると対象が広域となることで、各地域の病院情報などをリアルに提供できるのか、掛けたのにつながらないなどの予測できる課題については、これまで実施してきた県内3市の現状も含め、検証されていると思います。また、すでに全国では31都府県が全域展開していることからも、各地の取組を参考にしながら効果的に進めていただきたいと思います。
まずは開設とともに、短期間で一人でも多くの方の認知度向上にむけて、どのように効率的に周知・啓発していくかが重要です。本県での事業展開に向けた体制整備、市町や関係機関との連携など、具体的にどのように事業展開をしていくのかお伺いいたします。[齋藤知事]この救急安心センター事業(#7119)は、高齢化の進展等で増加する救急需要に対しまして、限られた医療資源で県民を守らせていただくために有益な取組であるというふうに考えております。
現時点で大半の市や町から参画をされるという旨の回答を得ております。県と参画市町による協議会を設置をさせていただいて現在実施していただいている神戸・そして芦屋・さらには姫路ですね、3市の事業を拡大する方向で来年度のできるだけ早期に実施をしたいと、開始をしたいというふうに考えております。
なお、現時点で明確な結論が出ていないいくつかの市町に対しては、個別に参画を働きかけ、全市町の参画を目指していきたいと思います。
参画市町の消防及び保健医療部局とも連携し、病院など医療関係機関に対し運営への協力依頼を行い、円滑な事業開始に向けた準備を進めてまいります。
県民の皆さんへの事業の周知・啓発が大変大事になってきます。より効果的なものになるよう、現在実施している3市や他府県の取組も参考にしまして、県などの広報紙、防災アプリなどSNS等も活用し、高齢者にも配慮した丁寧かつ積極的なPR活動を行っていきたいと考えております。
今後とも、人生100年時代に向け、県民の皆さんの安全・安心の確保に向けた必要な救急医療体制の充実・強化を図ってまいります。 -
4. 廃食油を「SAF」に活かす資源循環の取組について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]家庭の廃食油を「SAF」に活かす資源循環の取組について伺います。
本県では、令和6年1月に社会情勢や環境問題の変化に適切に対応するため「兵庫県資源循環推進計画」を策定し、「資源循環・脱炭素・自然共生社会」を目指し、製造・流通・消費等の各段階で資源循環の促進に取り組んでいます。
その中でも、プラスチック資源循環を具体的に取り組むため「ひょうごプラスチック資源循環コンソーシアム」により観光やスポーツ等の異分野業種、市町、リサイクラー等と連携し、官民連携による資源循環の取組が進められています。
「ボトルtoボトル」と呼ばれる使用済ペットボトルの水平リサイクルの促進では、県内市町で回収されたPETボトルのうち容器包装リサイクル協会を通じてリサイクルされるものの9割以上が姫路市内の工場で再生されるなど、県内での資源循環の輪が確立してきています。
2050年頃の持続可能な社会への実現に向けて、プラスチック資源循環、食品ロス削減、サステナブルファッションの展開等を進めることにより、これまで以上に県民の意識の醸成と日常生活への落とし込みが重要と考えます。
近年では廃食油が注目されています。従来、廃食油は石けんやバイオディーゼル燃料に再生されてきましたが「持続可能な航空燃料(SAF)」の原料として需要が高まっています。SAFは従来のジェット燃料に比べ、製造から利用までのCO2排出量を最大8割削減できると推計されており、日本政府も2030年までに国内航空会社の燃料の10%をSAFに置き換える方針を示しています。国内でも急ピッチでSAFの安定供給に向けた体制の構築が進み、大阪堺市内に今春、日本初となるSAFの大規模生産プラントの供用が開始されます。
廃食油については、全国油脂事業協同組合連合会の推計によると、飲食店等の事業者から排出される廃食油年間約39万トンのうち約9割が回収・資源化されていますが、家庭からの回収率は1割未満で、家庭から排出される廃食油年間約10万トンのうち自治体により回収・資源化されているのは約4000トンに過ぎません。家庭から出る廃食油の回収方法が課題となっています。
実際、家庭での廃食油の処分に困る県民も多く、先行自治体の取組を知った方からは「資源として回収されるなら協力したい。」「身近に回収場所を設置してほしい。」との声も寄せられていることから、県として廃食油を資源循環させる仕組みを構築することで、ごみの焼却量やCO2排出量の削減とSAFへの活用を通じて環境意識の向上や地域活性化にも貢献できると考えます。
そこで、資源循環の推進における県の役割を踏まえ、3空港を持つ本県での廃食油のSAFへの活用に向けた取組について当局のご所見をお伺いいたします。[菅 環境部長]家庭の廃食油をSAFに活かす資源循環の取組についてお答えいたします。
現在、家庭の廃食油は、大半がごみとして焼却されておるため、SAFへの再生利用は、ごみの減量及びCO2排出量削減の観点から重要であると考えております。
SAFの導入には、廃食油の回収、製造、供給の仕組みが必要となります。製造・供給につきましては、日本初の製造施設が本年4月から堺市で稼働予定でございます。このため、廃食油の回収・運搬が今後の課題となってまいります。
家庭の廃食油回収の先進的な取組といたしましては、神戸市が昨年10月から来年3月までの間、神戸空港や区役所に拠点を設けて実証実験を実施しております。
県では、これら先進事例も参考にしながら、来年度から空港周辺自治体、小売店及びリサイクラーと連携しまして、廃食油の店頭回収実証実験を行い、効率的・効果的な回収方法のモデルを構築いたします。さらに、市町それぞれの実情に応じた廃食油の回収システムとなるよう市町を支援してまいります。
暮らしに根差した資源循環として取り組んでおります食品トレーや衣服のリサイクルなどに加えまして、廃食油の再生利用につきましても市町、事業者と連携して県民の機運醸成を図ってまいります。[松尾県議]資源循環に関しては、これからモデル事業として廃食油の回収をしていくということですが、ぜひそのスケールメリットを生かしてより県民の身近なところで回収できるスポットなどを開設していただくような取組をより進めていただきたいと思います。 -
5. 商店街の活性化対策について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]商店街の活性化対策について質問します。
近年、多くの商店街ではインターネット通販の普及等により来街者が減少していることに加え、店主の高齢化や後継者不足の影響もあり、商店街の店舗数が減少傾向にあります。少しでも活力を取り戻そうと県内でも多くの商店街で、工夫をこらした集客イベントの実施や販売促進に向けた取組が行われています。
私の地元、姫路市内でも、様々な工夫がされています。最近では、みゆき通り商店街では、通りに描かれたトリックアートを写真に撮って、インスタグラムで投稿すると商品券が当たる企画が開催されるなど、親子で楽しんでいらっしゃる方の姿も多く見られました。
また、中小企業庁の令和3年度「商店街実態調査」によると、来街者数が前回調査と比較して「増加・維持」した兵庫県内の商店街では、最も大きな要因として「集客イベント等の実施」が挙げられています。集客のためのイベント実施は商店街活性化のための手段として有効であると期待されます。
一方で、同調査で「空き店舗を抱える商店街」は約7割、「今後、空き店舗は増加すると考える商店街」は約半数にのぼると回答しています。
このまま空き店舗が増えれば、これまで地域の賑わい創出に貢献してきた商店街のイベントの規模が縮小していくことも考えられますし、そもそもイベントを実施する体力が失われて中止につながるだけでなく、空き店舗の増加による防犯上の課題や商店街全体のイメージ低下を招く恐れもあります。
県では、これまでから商店街活性化のための大規模イベントなど高額となる活動に対して支援してきましたが、県内には大きなイベント等を実施できない商店街も数多くあります。商店街は地域経済にとって重要であり、その振興は地域での生活の維持を支え、地域の活性化に直結します。
そのため、商店街の賑わいを取り戻すためには、商店街の規模や需要に応じた支援や、増加する空き店舗への対策が喫緊の課題と考えますが、商店街の活性化に向けた具体的な支援策をどのように展開していくのか、当局のご所見を伺います。[原田産業労働部長]本県調査によると、この10年間で商店街加盟店舗数は約3割減少しており、商店街の魅力向上は、重要課題と認識している。
このため、県では、商店街集客に繋がるイベントを支援する「商店街ファンづくり応援事業」や、空き店舗対策として「商店街若者・女性新規出店チャレンジ応援事業」を展開してきた。例えば、姫路市内においても、デジタルスタンプラリー実施や公式マスコット作成、築320年の米蔵の改装によるカフェ開業を支援してきた事例がある。
一方、コロナ禍で休止したイベントが再開できない、商店主の高齢化により大規模イベント実施が難しいという実態もある。また、空き店舗へ出店が進まない要因として、市場ニーズ把握や経営ノウハウが不足しており出店に躊躇する事業者が多いことがあげられる。
このため、来年度に向け、イベント支援では、補助対象経費の下限を要件緩和することにより、小規模なイベント支援を可能にするとともに、コロナ禍で休止していたイベント再開も促す。また、空き店舗対策では、期間限定のお試し出店となるチャレンジショップに対する補助制度を創設し、新規出店を目指す若者や移住者が起業する第一歩として活用いただける仕組みづくりを進めていく。
今後も、商店街や関係団体から丁寧に話を伺い、小さな成功体験を一つひとつ積み上げていくことで、商店街のやる気を高め、新たな盛り上がりを目指すという好循環を後押ししていく。 -
6. 質の高い教育の確保について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]質の高い教員の確保について質問します。
本県における教員採用選考試験の応募者数は令和元年度には6,149人(応募倍率7.2)であったのに対し、令和7年度は応募者数4,471人(応募倍率4.2)と年々減少しています。また、採用数自体は全国的に高止まりする中、合格者のうち既卒者の割合は若干の減少傾向にあります。
このような中、本県では公立学校教員採用候補者選考試験において新しい取組として、文部科学省が提示した試験の早期化・複数回実施等についての方向性を踏まえ、令和6年度実施の選考試験から1次試験の実施日を1週間前倒しするとともに、出願資格を大学3年生等に拡大し、1次試験の受験を可能としました。また、令和7年度実施の選考試験では、公立学校の教諭、養護教諭・栄養教諭を対象に1次試験の免除や、県内で常勤の臨時講師として3年の勤務経験がある者に対して1次試験のうち一般教養試験の免除が実施されます。さらに、新卒者へ対しては、児童生徒支援活動に参加経験があり「ハートフレンド人材バンク」に登録している大学生等に対しての加点制度が新設されました。
これまで、公明党の天野議員が中心となり、不登校対策の推進として、不登校児童生徒への支援には教員を目指す大学生等が関ることが有効だと訴え、ハートフレンド人材バンクの創設につながりました。また、そこに関わる大学生等が将来的に教員として活躍できるような制度の必要性を提言してきましたが、この度の試験制度改正は大きな第一歩だと思います。
教員の未配置が全国的に拡大する中、本県公立学校においても、昨年度5月1日時点が164人、今年度が205人と拡大しています。その要因としては、教員のなり手自体の減少や、育休取得が浸透したことなどにより臨時講師の需要の増加など複数の要因が重なっています。また、臨時講師として教職に就くと、採用試験の勉強をする時間も確保できないとの理由から、臨時講師への登録も躊躇する人も多いと聞きます。臨時講師としてキャリアを積むことで1次試験の一部が免除される制度は、教員の未配置解消にもつながる可能性があると期待されます。
教員の確保は喫緊の課題ですが、同時に教員の質の確保も欠かせません。今後、1次試験を免除することで2次試験ではこれまで以上に人物評価など厳格な選考が求められ、教員の質の向上に向けての工夫が必要だと考えます。
この度の採用選考試験の改正内容も踏まえ、どのように教員数と質のバランスを取り、教員の確保に取り組むのか、当局の見解を伺います。[藤原教育長]本県の教員採用試験の応募者については、全国的な傾向と同様に、既卒者を中心に年々減少傾向にあります。このため、教員志望者を増やすとともに、質の高い多様な人材を安定的に確保するため、毎年度、採用試験の工夫・改善に取り組むほか、本県教員の魅力を発信するPR動画等も活用しまして、教員の確保に取り組んでおります。
令和7年度の採用試験では、まず、既卒者対策として、特に学校現場で実践経験のある即戦力の確保に向けまして、現職教員や臨時講師を対象に1次試験の全部または一部を免除して参ります。次に、学生段階から学校支援に取り組み教職への意欲が高い新卒者の確保に向けまして、ご指摘のとおり、児童生徒支援活動に参加経験や、ハートフレンド人材バンクに登録している大学生等への加点を新設しました。更に、専門性のある多様な人材を確保するため、特別免許状の授与を前提とした特別選考におきまして、民間企業等経験者に加えまして、博士号所有者も新たに対象としたところであります。これらはいずれも、正規教員の量の確保とともに質の向上にも繋がるものと考えております。
次に、2次試験におきましては、これまでから、1次試験免除者も含めまして、まず模擬授業により教科等の専門性や実践力を評価したうえで、人物評価のための個人面接におきまして、意欲や積極性、将来性等に加えまして、教育課題への認識や対応力などを適切に見極め、総合的に本県教員としての適性を備えた人物を採用しております。さらに、採用後は、初任者研修等の年次研修やICT活用能力・特別支援教育等の教育課題に対応した専門研修など、それぞれのキャリアステージに応じた研修を行いまして、資質・能力の向上を図っております。
今後とも、採用試験の工夫・改善に取り組み、質の高い多様な人材を安定的に確保して参りますのでよろしくお願いします。

里見孝枝県議
[質問項目]
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1. 県内製造事業者等への適切な価格転嫁に向けた支援について
質問と答弁のダイジェスト
[里見県議]県内製造事業者等への適切な価格転嫁に向けた支援について質問します。
現在の物価高は、多くの県民のくらしを圧迫する要因の1つです。その打開策として重要なのが、物価上昇とともに賃金を上昇させることです。とりわけ本県では製造業に従事する方が多いことから、適切な価格転嫁によって企業の収益を安定させることは、自営業者を含む労働者の賃上げにつながる可能性が大いにあると考えます。
しかし、そのためには製造業における受注者側が、発注者側に対してコスト増分を正当に転嫁できる環境を整え、十分な利潤と賃上げの原資を確保できるようにすることが不可欠です。適切な価格転嫁が実現すれば、中小企業の経営が安定し、そこで働く人々の賃上げが進むことで県民生活も安定するという好循環を生み出すことができるはずです。県内の雇用の大半を支える製造業者等が元気にならなければ、県民生活全体の持続的な発展は望めません。
一方で、県内の中小企業、とりわけ製造業者の皆様からは、原材料費やエネルギー費、さらには人件費などが高騰しているものの、取引先となる発注企業との価格交渉がままならず、十分な価格転嫁ができずに苦慮しているという声をお聞きしています。中小企業庁が実施している「価格交渉促進月間フォローアップ調査」によると、全国的に見ても価格交渉を希望しながら実現できなかった企業が依然として一割近く存在し、必要性を感じながらも取引停止などを恐れて交渉そのものを断念している事例も確認されています。これはまさに、下請けの立場が弱いがゆえに、正当なコスト増分を相応に転嫁できず、企業努力だけでは吸収しきれない負担を強いられている現状が浮き彫りになっているものです。
また、受注企業側で原価計算やコスト管理の手法が十分に確立されていないことも価格転嫁が進まない一因として指摘されます。例えば、労務費の算定やエネルギーコストの積算を正確に示すことができず、「実際にどれだけコストが増加しているのか」を発注企業に理解してもらえないまま、価格交渉のテーブルにすらつけないといった事態も想定されます。実際、県内の事業者からは「十分な資料が用意できず、交渉が空振りに終わった」という声も聞こえてまいります。
こうした意見や課題は、先日の「兵庫県政労使会議」においても、解決すべき重要なテーマとして示されました。そこで、県としては、まず県内下請け企業の価格転嫁に関する実態をしっかり把握し、分析することが急務ではないでしょうか。県民のくらしを守り、賃上げを実現していくためにも、適切な価格転嫁は不可欠だと考えます。県内製造事業者等の適切な価格転嫁に向けた支援について、今後どのように取り組んでいかれるのか、当局のご所見をお伺いいたします。[齋藤知事]本県経済は、昨年33年ぶりの高水準の賃上げが実現するなど、停滞から成長への大きな局面を迎えております。このような中、持続可能な賃上げには、その原資にもなる収益確保のための適切な価格転嫁が非常に重要と認識しております。
県ではこれまで、国とともに、下請取引における発注者と受注者の共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言の推進や、下請かけこみ寺などの相談窓口等により価格転嫁の取組を進めてまいりました。
しかしながら、原材料費の高騰など、中小企業を取り巻く環境は依然厳しく、十分な価格転嫁が進んでいるとは言い難いという状況でございます。社会全体でこれまで以上に機運を高め、取組を強化する必要がございます。
そこで、今月5日には、政労使で共同メッセージを発出いたしました。オール兵庫で賃上げや適切な価格転嫁の取組を機運醸成してまいります。今後は、新たに推進員を配置し、相談体制を拡充するほか、企業へのアンケート調査で実態把握や課題分析を進め、その解決に向けて専門家が伴走支援を行うということをやってまいります。さらに、セミナーを開催し、発注企業には価格転嫁に応じる重要性を、受注企業には交渉のためのコスト計算と価格設定等のレクチャーをするなど、企業の取組を後押ししてまいります。
こうした取組により、中小企業の持続可能な経営を実現する適切な価格転嫁を推進し、経済の好循環を加速化させていきます。[里見県議]県内製造業における支援ですが、価格転嫁を支援するようにオール兵庫で取組んでいただける、しかも伴走型で支援していくということですが、中小企業の方がこの相談にたどり着くということが重要だと考えます。窓口の周知が必要だと思いますし、平日9時から5時という行政的な窓口ではなく、広い窓口が必要だと思いますが、今の時点で決まっていること等ございましたら、教えていただきたく思います。[齋藤知事]企業業績は、大きな方向性でいくと良い方向に向かっているということではありますが、ただそれは、大企業を中心に県内企業もそうですが、業績が好調な状況で、今後やはり中小、地場産業にすそ野を広げていくのが大事だと思います。その一つの大きな柱がやはり価格転嫁、適正な価格で販売していくということ。これは市場に対して直接もそうですし、発注、受注関係の中でも先ほど答弁申し上げたとおり発注者側、受注者側がそれぞれ適正の価格で交渉していくことが大事だと思います。
そういったところを先ほど申し上げましたいろんな機会を通じて、単価設定であったり原価の算出をきちっと根拠をもって算出して、それを発注者側に伝えていくということなど、なかなかどうしていいかわからないと困っておられる経営者の方もおられると思いますので、そういった機会を増やしていきたいと思います。そのなかで、議員からお話ございました相談窓口が平日のみでいいのかどうか、といった課題も確かにその通りでございますので、どういったことができるのかということを考えていきたいと思います。
[里見県議]答弁ありがとうございます。30年間労務費が変わらなかったというお声もお聞きしたところです。選択肢を知らないと価格交渉ができない、また知っていてできないというのは大きな違いがあると思いますので、周知の方もよろしくお願いしたいと思います。 -
2. 神戸空港国際化を契機としたインバウンド誘客強化について
質問と答弁のダイジェスト
[里見県議]神戸空港国際化を契機としたインバウンド誘客強化について質問します。
本年4月、神戸空港には韓国や台湾、中国などから国際チャーター便が就航し、同時期には大阪・関西万博も開幕いたします。まさに本県にとって、国内外の観光客を呼び込む絶好のチャンスが到来すると言えます。
本県のインバウンド誘客を一段と加速させるために、まず取り組むべきことは「デジタルプロモーションのさらなる強化」であると考えます。
今年度、本県が取り組んでいるデジタルプロモーションでは、OTA(オンライン旅行代理店)における広告配信や、兵庫特集、観光のモデルルートなどを広く世界に向けて発信をしています。この事業が功を奏したのか、実際に県内外国人延べ宿泊者数が増加しました。さらなる効果を高めるには、この事業を単年度ではなく、複数年度にわたり実施し、検証を踏まえ、ブラッシュアップしていくことが必要不可欠であると強く思います。
さらに、就航予定国・地域の特性を踏まえた個別の誘客策が必要です。韓国や台湾、中国など、近隣アジア圏からは短期・頻回の旅行需要のほか、ビジネスや家族旅行など多様な目的での訪日が増加しているとの調査結果もあります。県内には有馬温泉など日本を代表する古湯が点在しており、さらに、私の地元である伊丹市をはじめとする日本酒文化は、海外でも高い関心を集めています。こうした多彩な観光資源を掛け合わせ、「温泉+日本酒」「温泉+ゴルフ」「酒蔵見学+姫路城観光」のように、五国それぞれの魅力を融合した周遊ルートを提案していくことが肝要です。
本県は、近畿の中でも国際的な知名度が劣っており、訪問率や宿泊日数の点でも周辺府県に後れを取っているのが現状です。また、中山間地域を含む各地では、観光産業が担う役割は非常に大きく、宿泊、飲食、土産物店、交通など、多様な産業と結びつきながら裾野の広い雇用を生み出す基盤となっています。観光消費を県内全域へ循環させ、地域活性化につなげていくその入り口となるのが、インバウンド誘客の強化だと考えます。
また、少子化等により縮小傾向にある国内需要だけでは、今後の観光業界全体の成長は望めません。本県としては、国際チャーター便就航や万博開催という千載一遇の好機を逃さず、国内外の旅行者に「兵庫に行きたい。」「また行きたい。」と思わせる独自の魅力を、あらゆる角度から発信していくことが不可欠です。
以上を踏まえ、神戸空港国際化を契機としたインバウンド誘客強化について、当局のご所見をお伺いいたします。[原田産業労働部長]インバウンド誘客を促進する上で、まずは本県の海外での認知度の向上が欠かせません。そこで、今年度から取組んでいますデジタルマーケティング施策では、海外メディアやSNS、海外OTAなど様々な手法で本県の多彩な魅力をPRし、兵庫の認知度向上を図って参りました。
この結果ですけども、事業開始直後から県観光サイトの閲覧数が大幅に増加した他、宿泊事業者からはOTA経由の予約が増えたとの声が多数上がるなど、発信強化の成果が少しずつ現れ始めています。
この効果を一過性のものとせず、神戸空港国際化で更に拡大するインバウンド需要を定着させていくために、継続的に情報を届け続けることが不可欠であると考えています。今年度の実施結果を検証し内容の改善を図るとともに、海外有力メディアへの記事掲載、県観光サイトのリニューアルそういったことによりまして情報発信力を強化し、海外へのアプローチを一層加速させて参ります。
加えまして、神戸空港と結ばれる就航先に向けましては、多彩な観光資源を掛け合わせた県内周遊ツアーを企画・販売するほか、旅行会社を招聘したファムトリップの実施、インフルエンサーを活用したSNSプロモーションそういったことによりまして誘客促進策を展開して参ります。
引き続き、大阪・関西万博や神戸空港国際化を契機に増加が見込まれます外国人観光客を県内各地へ誘客するため、ターゲットの嗜好や傾向を踏まえまして効果的な情報発信に取り組んで参ります。[里見県議]神戸空港国際化、大阪・関西万博を最大限活用してインバウンド誘客を進めてもらいたい。特にOTAプロモーションを長期的な戦略で継続的に実施してもらいたい。韓国、台湾、中国といった近隣アジア旅行者向けのプロモーションも大切。これらのインバウンド事業の成功が、将来的には私の地元の伊丹空港の国際化にもつながるかもしれないと期待している。引き続きご支援をお願いする -
3. 建設インフラDXの推進について
質問と答弁のダイジェスト
[里見県議]兵庫県における建設インフラDXの推進について質問いたします。
本県においても、建設業においてICT建機を使った工事などデジタル技術を活用したDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、インフラの整備や維持管理が進められています。
本年、建設常任委員会の調査において、オンラインで建設現場と土木事務所間でやりとりできる遠隔臨場の標準化やDXルームの導入が進む現場を視察し、県と建設業者が一体となってDXを推進することが、生産性向上の鍵であると強く認識しました。
しかし、現状ではデジタル技術の導入状況には、建設業者間で格差があります。
一部の建設業者はICT技術を外注し、自社でDXに取り組まない選択をしているケースもあります。しかし、ICT活用工事や遠隔臨場の標準化が進む中で、DXによる生産性向上に取り組まない建設業者は競争力を失い、衰退する可能性が高いと考えます。
DX推進には、技術面だけでなく、機運醸成や情報交換の場の整備が不可欠です。デジタル技術に前向きな建設業者が増えている一方で、情報共有の場が不足し、建設業者間の連携や知見の共有が進みにくい状況もあります。
こうした課題に対応するため、県ではDX推進のための研修や経営者向けセミナーを実施し、意識改革を図っていると伺っています。
さらに、兵庫県建設業協会では「ひょうご建設ディレクターズフォーラム(KDF)」を設立し、建設ディレクターの活用による業務効率化が進められています。建設ディレクターは、施工書類やデータの作成、ICT業務を担うことで現場技術者の負担を軽減し、労働時間削減にも貢献できる役割を担っています。こうした動きも含め、DXを推進する環境は整いつつありますが、建設業者間のデジタル技術導入の格差や、建設業者が継続的にデジタル技術を活用できる仕組みづくりが依然として課題です。
デジタル技術の導入に消極的な建設業者に対しての意識改革や、研修やセミナーの工夫なども必要ですし、DX推進には発注者である県と受注者である建設業者の双方の取組が重要であると考えますが、県としてどのように両者の連携を促進し、建設業の生産性向上のためのDXを推進していくのか、当局のご所見をお伺いします。[上田土木部長]生産年齢人口が減少していく中、インフラの整備・維持管理を担う建設業の生産性の向上には、県と建設業者が協力して、DXを推進することが不可欠でございます。具体的には、DX人材の育成、ICT活用の環境整備、建設業者間の情報共有に連携して取組んでまいります。
DX人材の育成では、県が業者向けにICT活用工事の実施手順や簡易なモデルによる3次元設計データ作成方法の講習を実施しております。さらに建設業協会との意見交換を踏まえ、来年度は実践的なモデルにレベルアップするなど、双方が連携して技術力向上に努めてまいります。
ICT活用の環境整備では、県監督員の移動時間削減とそれに伴う建設業者の待機時間削減に有効な遠隔臨場を昨年10月から本格実施しております。県では多可事業所をモデルに視認性の良い大型モニター等を設置したDXルームを整備し、受発注者間の協議をスムーズに行う取組を進めており、来年度以降もこれらの取組を拡充してまいります。
建設業者間の情報共有では、建設業協会の会報を通じ、DXの意義や建設ディレクター活用など会員の取組事例を発信しております。県でも経営者セミナーでICTの効果等を周知しており、来年度は更に先進的取組事例の共有を進める等、DX推進の機運醸成を図ってまいります。
今後とも、将来にわたってインフラの整備、維持管理を持続できるよう、受発注者間で連携し、生産性向上に取組んでまいります。[里見県議]細分化してしっかり研修をされていくというご答弁でございました。
また、DXルームを拡充してくというお話でもございました。見させていただきますと、大変静かなところで、また大きな画面で直接遠隔臨場を確認できることは、大変有効だなという風に感じました。
ぜひ県下でしっかりと広めて頂きたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 -
4. 学校給食おける県産有機農産物の利用拡大について
質問と答弁のダイジェスト
[里見県議]学校給食における県産有機農産物の利用拡大について質問します。
県では、県産有機農産物の活用促進を目的とした「県産有機農産物学校給食活用促進事業」を実施しており、令和6年度には養父市の但馬有機の会養父支部が本事業を活用され、伊丹市の中学生を対象にオーガニック給食が実施されました。具体的には、養父市の有機農産物生産者から伊丹市の学校給食への食材供給が実現しました。また、この事業では、有機農業と環境配慮の取組に関する出前講座をあわせた「食農教育」を行うことにより、有機農業への理解を深める取組が進められています。
この伊丹市での取組につながった背景には、県内で有機農業等に積極的に取り組む団体等が有機農産物について県内生産者と共に学び、関係性を築いたことが大きく寄与しています。そこで構築されたネットワークを伊丹市と結びつけたことが事業の実施にもつながり、生産者とのスムーズな連携が可能となったと考えられます。都市部の学校においてもオーガニック給食を体験できたことで、生徒へ有機農業への理解促進とともに学校側でも利用拡大への意欲が高まるなど非常に有意義な事業であったと聞いております。
伊丹市だけでなく、こうした有機農産物の供給に向けた有効な繋がりが他の市町にも広がっていると伺っています。しかしながら、都市部の学校給食においては県産有機農産物の安定的な利用に向けて、まずは生産者とのマッチングが大きな課題です。現状では、生産者と学校を結ぶ明確なマッチング窓口がなく、各市町が独自に対応せざるを得ない状況であり、その実現に向けたハードルが高いのが現状です。このような課題を解決するためには、生産者と学校給食関係者を直接つなぐ仕組みを整備することが不可欠と考えます。
県では学校給食への有機農産物を含めた県産食材の供給拡大を支援するために、学校給食アドバイザーの派遣による支援も行っていますが、有機農産物の供給体制はまだまだ構築できていません。
加えて、有機農産物の流通体制の確立も重要な課題です。学校給食向けの流通モデルや供給を促進する枠組みを構築するために、有機農産物の利用拡大等に取り組む団体などの協力も得ながら生産者と市町や学校等との連携を支援することも有効な手段の一つと考えられます。
そこで、学校給食における県産有機農産物の利用拡大に向けてどのように取り組んでいくのか、当局のご所見をお伺いします。[守本農林水産部長]有機農産物を学校給食に活用して、将来世代に環境負荷軽減などの有機農産物の価値を伝えていくことは、有機農産物の需要拡大につながり、有機農業を広げていく上で重要であります。
県では、これまで学校給食アドバイザーを派遣し、有機農産物への給食関係者の理解促進を図るとともに、生産者による食材提供を伴う食育活動を支援し、生産者と給食関係者との関係構築を促してきました。こうした中、特にオーガニックビレッジに取り組む市町を中心に、学校での有機給食が広がりつつあります。
一方で、都市部では、給食食材としてのニーズがあっても地元産での取組は困難であります。今後、産地での生産量の拡大はもとより、有機農産物活用の支援団体とも連携し、県内生産者と給食関係者がつながりを作り、使用品目をしぼる、有機農業の日など特定の行事に合わせて実施など小さいことから工夫して実施していくことが大事です。
このため、県も給食関係者の相談に積極的に応じ、生産者情報の収集・提供や課題に応じたアドバイザー派遣に努め、さらに県産有機農産物の流通ルートや食材調達のコーディネート体制のモデル構築を進め、都市部での利用環境作りにも取り組みます。併せて、食農教育を充実し、その価値の理解促進に努めていきます。
今後、都市部においても有機給食の実施・拡大を進め、より多くの子どもが有機農産物や地域農業に触れる機会を創出していきます。[里見県議]都市部の学校において県産の有機農産物食する機会を増やすためには、オーガニック給食が有効だと伊丹市で実感しました。同時に食農教育が子供たちにしっかりはいっていたことも実感しました。
答弁では生産者と学校とのコーディネートや工夫して取り組むとあったので期待したいが、マッチングや流通には課題が多いです。顔と顔が見える関係を構築している市民団体を地域のアドバイザーとして使って頂きたいです。小回りのきく柔軟な対応が都市部のオーガニック給食を進めるものと考えています。 -
5. 児童養護施設等での養育に係る費用の負担について
質問と答弁のダイジェスト
[里見県議]児童養護施設等での養育に係る費用の負担についてです。
県では、児童福祉法第56条及び児童福祉法による費用の徴収要領に基づき、児童養護施設等に入所した子どもの扶養義務者から、養育に必要な費用の全部又は一部を負担させています。
これには、扶養義務者の経済状況や家庭状況によって、負担金の減額、免除、支払いの猶予が設けられており、一律に負担するということにはなってはいません。しかし、そもそも児童養護施設は、保護者のない児童や虐待されている児童、その他養護を要する児童を養護するための施設であり、保護者のいる、いないに関わらず、子どもの身の安全や命を守る、また子どもの健全な生育に資するための施設であり、入所のための垣根は可能な限り低くしなければなりません。入所に必要な費用負担が課題となることで、保護者が入所を躊躇するようなことになれば、子どもに危害が及ぼされないとも限りません。このような事態は本末転倒と言わざるをえません。
また、様々な理由により、保護者が費用の支払いを滞らせており、県こども家庭センター(児童相談所)等の職員が徴収に時間を割かなければならないという事態が生じています。センター等の職員は、限られた人数で、複雑化する虐待事案に向き合わなければならないにもかかわらず、ノウハウや経験の乏しい徴収業務に時間を割くのでなく、もっと子どものために時間を使ってほしいと思います。センター等の職員からも「徴収業務が大変なんです。」という声も聴いております。
そこで、児童養護施設等が子どもの命の砦として、子育てに行き詰った保護者の駆け込み寺として存分に機能を発揮するため、また、センター等の職員の事務負担を軽減し、子ども達の安全安心のための職務に専念できるよう、養育に必要な費用の免除等を更に拡大すべきであると考えますが、当局のご所見をお伺いします。[岡田福祉部長]児童養護施設への入所に要する生活諸費、教育費、医療費等を含む措置費は、国の措置費制度に基づき、保護者の負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を保護者が負担しています。
負担金は、扶養義務者の負担能力に応じて徴収するものであり、基本的には負担可能な金額ですが、保護者によっては、支払いを拒むケースもあり、その費用徴収や督促業務を担当するこども家庭センター職員の業務負担となっています。
特に、虐待等により保護者の意に反して施設入所している場合の費用徴収は、個々のケース毎に、減免や免除の認定を行っており、職員は精神的にも業務量的にも大きな負担となっています。
議員ご指摘の免除等の拡大は、扶養義務者から徴収する法律の趣旨からすぐさま対応することは難しいですが、今後、これまで減免・免除の認定をした事例や考え方等を整理したガイドラインを作成し業務を平準化しますとともに、各こども家庭センター毎に、徴収困難事案の情報共有に係る会議を開催するなど、担当者に過度な負担が生じないよう配慮工夫していきます。
今後とも、職員の負担軽減等を図りながら、子ども達の安全・安心のため、より職務に専念できるよう取り組んでいきます。[里見県議]児童養護施設での養育にかかる費用について、近年、保護者が我が子を愛せないという、愛着障害が増えていると実感します。また、そのような背景の中で児童虐待対応件数が急増していると思います。
県こども家庭センター(児童相談所)で保護者に対する費用徴収を行うことは、大変なことが起こっていると感じる次第です。
しっかりと県こども家庭センターの職員が子どもに向き合っていただき、家庭環境で傷ついた子どもたちに寄り添って、職務に専念していただきたいと願っています。
また、答弁の中ではガイドラインも作成するということで、一概にすぐに免除ということにはならないかもしれませんが、児童養護施設での養育に必要な費用に関して、子どもが保護されにくいというようなことにはならないように、子どもたちの健やかな成長を第一に考えた施策の実現をよろしくお願いいたします。 -
6. 幼児教育施設に対する物価高騰対策について
質問と答弁のダイジェスト
[里見県議]幼児教育施設に対する物価高騰対策について質問します。
公明党は、結婚、妊娠、出産から子どもが社会に巣立つまで、切れ目のない支援を実現する「子育て応援トータルプラン」を発表し、子育て支援の充実を図ってきました。特に、子どもたちが自己肯定感を育み、将来の学習や社会参加の基礎を築くうえで欠かせない幼児教育の重要性を強く推進しています。さらに、子どもたちが安心して成長できる環境を整えるため、幼児教育施設への支援強化は不可欠です。一方で、幼稚園は規模が小さく、資金力が乏しいところも多くあり、現状の長引く物価高騰の中で園の運営負担が増加し、教育環境の維持・向上に苦慮している園が増えているのではないかと危惧しております。
私立幼稚園向けには、国において「私立幼稚園施設整備費補助制度」が整備されています。具体的には、内部改修工事について1件あたり200万円以上の事業を対象とし、トイレの乾式化や手洗い場の設置・改修工事、空き教室等への空調設備の新設など、衛生環境の改善を目的とした園舎改修が支援され、補助率1/3で実施されています。
しかしながら、国の補助制度には、200万円の下限が設けられているため、ちょっとした設備の交換や取り付け工事は対象となりません。もとより、200万円以上の設備投資が困難な小規模幼稚園にとっては、現行の補助金制度の活用が難しいのが実情です。こうした課題を受け、幼児教育の現場から寄せられたご意見を反映し、我が会派では去る1月21日に、幼稚園等における緊急修繕等への支援を含む物価高騰対策について、当局へ緊急要望を行いました。その結果もあって、私立幼稚園等に対する支援事業が2月補正予算案として本定例会に上程されたと認識しております。
物価高騰に苦しむ幼稚園運営の一助となる支援であるため、実施にあたっては、現場のニーズを十分に踏まえた制度設計が求められます。そこで、この度の補助制度が円滑に活用できるよう事業を進めていただきたいと考えますが、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]幼児教育の現場は、少子化の中でも大事なポイントである。
幼稚園の頃から教育を受けさせたいという保護者のニーズは強いと考える。そのような中でも子どもたちの安全安心の確保が優先課題である。特に近年は、猛暑による熱中症やインフルエンザ等の感染症、施設への不審者の侵入を防止することの必要性など、様々な対策が現場では急務となっている。
一方、経営者側と意見交換したときに私自身が聞いたことであるが、少子化に伴い園児数が減少する中で、物価高騰の影響もあり、通常の園運営で、小規模な修繕をすることが経営的に難しくなっているという声があった。子どもたちの体調管理のためにクーラーを設置したり、外部からの不審者の侵入を防止するために防犯カメラを導入したり、安全安心対策に積極的に取り組む必要がありつつも、経営的に難しいという話がある。
そういった状況に対応するため、今回、国の経済対策の重点支援地方交付金を活用し、200万円以上で1/3を補助する国制度の対象外となる、200万円以下の修繕や備品整備の投資をしたいという声を反映し、新たな補助制度を創設することとした。
県内には、県が所管する私立幼稚園、幼稚園型認定こども園が約170箇所あるので、1箇所当たり100万円を補助額の上限とし、1/2を補助する。そして、エアコン、水飲み場、床や手すり、防犯カメラなど、園児が普段接するような部分の安全安心対策をしっかりやっていただきたいと考えている。
事業実施に当たっては、現場のニーズを的確に捉え、簡素な制度設計により、できるだけ迅速な対応を図り、緊急的に整備を進め、幼児教育の環境充実に取り組んでいきたい。
今後も、少子化の時代ではあるが、兵庫の未来を担う全ての子どもたちが健やかに成長できるような社会環境づくり、幼稚園づくりに積極的に取り組んでいく。

島山清史県議
[質問項目]
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1. 不登校児童生徒に対する経済的支援について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]不登校児童生徒に対する経済的支援について、初めて本会議で取り上げたのは令和3年12月です。その契機となったのは、不登校中学生を抱える保護者から「中学校に行ければ授業料もいらんのに、フリースクールだと月3万円もかかる。義務教育は無償のはずなのに。」という経済的不安を訴える声でした。保護者のお気持ちはよく理解できます。なぜなら、教育機会確保法の成立等を踏まえて発出された、文科省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」では「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があるとして、フリースクールや家庭などの学校以外の場所も多様な学びの場として、きちんと位置付けられているからです。こうしたフリースクールなどの民間施設の運営や授業料などの保護者への経済的支援は課題とされたままになっています。
令和3年以降、私は毎年議会でも取り上げるなど機会ある度に経済的支援を要望してきましたが、県当局からは「国に要望している」の一点張りでした。国の制度化が待たれるところですが、増え続ける不登校生徒の現状を考えると待ったなしです。
昨年の決算特別委員会の総括質疑で改めて要望したなかで、初めて教育長から経済的支援について検討するとの答弁があり、令和7年度予算案で具体化されました。内容はフリースクール等民間施設に通う不登校児童生徒の家庭に対して民間施設での授業料等を補助する市町を応援するもので、上限月額1万円で市町と2分の1ずつ負担するものです。
大きく舵を切られた教育委員会に深く敬意を表します。不登校児童生徒を抱える保護者に寄り添った対応で大きな朗報になると思います。
しかし、今回、事業の対象市町から神戸市が除かれていることから、神戸市内の家庭から大きな不安の声が上がっています。今のところ神戸市が独自で制度化する見込みがなく、行政側の都合で分断が起こる可能性があります。こうした問題が起きている背景に神戸市教育委員会と県教育委員会で教育行政に対する見解の相違がみられるようです。
兵庫県教育委員会は神戸市を除外した理由として平成29年度から教育行政に関する権限移譲がなされ市独自の教育施策が展開できるようになった為としています。しかし、神戸市教育委員会は、平成29年度の権限委譲は教職員の人件費負担に関わることであり、この度の制度は教職員の人件費とは直接関係がなく、神戸市民を対象外とする理由には当たらないとの見解を聞いています。この両者の見解を聞く限り、私個人の理解では神戸市の見解に分があるように思います。
いずれにせよ、この問題を解決していただき、神戸市内の対象家庭にも支援が行き届くよう、神戸市内選出の県議会議員として強く望むところです。
そこで、県がこの制度創設に至った考え方や先ほど述べた問題点、また現時点での実施見込みの市町の状況を踏まえ、どのように進めていこうとするのか所見を伺います。[藤原教育長]ひょうご不登校対策プロジェクトのもとに市町と連携をしながら、子供たち一人一人のニーズに応じた多様な居場所の確保に努めている。
ご指摘のフリースクール等民間施設への支援については、教育機会確保法の趣旨を踏まえると、本来は国が支援すべきものであるが、これまでの要望にも関わらず実現に至っていないという状況である。この間、フリースクール等民間施設で活動した児童生徒数は、令和5年度までの5年間に約3倍に増加し、今後も増加が見込まれ家庭への経済的支援は喫緊の課題となっている。更に、今年度からは県下の3市町、尼崎、明石、稲美町が先行して実施している状況である。このため、これまでの県議会のご要望も踏まえ、今年度に入り、不登校対策プロジェクト全県推進協議会や市町とも精力的に意見交換を重ね、この度予算化をすることとした。
県独自の調査によれば、令和7年度実施予定の市町が11市町となっている。一方で、現時点では対象の児童生徒がなく予算化していない市町も多いという状況にあり、引き続き、協働事業としての予算はしっかりと確保していきたいと考えている。なお、神戸市については、平成29年度から学級編制基準や教職員定数等の決定権限及びその給与負担に係る税財源が県から政令市へ移譲されたことによって、義務教育に係る全ての権限が移譲されたこととなる。これにより神戸市の権限による人員配置により地域や学校の特色、課題に応じた教育施策が展開できる環境が整っている。この度の教育機会確保法を踏まえた対応についても、これは同様であると認識をしている。このような状況も踏まえて、既に神戸市では、今年度から全小中学校への校内サポートルーム支援員の市独自による配置や、来年度からは公設公営のフリースクールである学びの多様化学校「みらいポート」の設置、これも市単独でされる等、不登校施策が展開をされている。今回のフリースクール等への支援についても、神戸市の庁内でも議論されたものと聞いているので、今後、神戸市において事業化されることを期待をしたいと考えている。
今後とも、県施策について丁寧に情報提供しながら、神戸市とも情報共有し、引き続きひょうご不登校対策の充実を図っていく。[島山県議]まずは、都道府県でフリースクールに対する経済的な支援は、福岡県や茨城県で行っていると思うが、都道府県で家庭に対する経済的支援を行うのは、私の調べた限りでは、全国で初めてではないかと思っている。そういう意味では画期的な取組に本当に大きく舵をきられた教育委員会に対して敬意を表したいが、1点、神戸市の問題である。先程教育長から、義務教育に関する権限は全て神戸市ということであるが、私が調べた限りでは、この不登校児童生徒に対する経済的支援は、いわゆる教育行政の中にはめられている。まだ、国としても制度化されていないということを考えると、例えば、兵庫県独自で行われている兵庫型「体験教育」のトライやる・ウィーク等も兵庫県が一定の財源措置をしていると聞いている。経済的な支援で言うと、不登校ではないが、はばタンペイも経済的支援という意味合いでは、神戸市の人も支援していると考えられる。その様な線引きの中で、県としてもう一歩、これだけ素晴らしい取組をしていて、こういう問題がないように県がリードして取組を進めてもらいたい。もう一度、ご見解をもらいたい。[藤原教育長]今回の事業は、義務教育の確保を図るという法律の趣旨を踏まえて、国、地方公共団体が取り組むべきことについて法律の13条に規定してある。本来は、義務教育の確保として、義務教育を司る教育委員会がやるべきものではないかというのが法律の趣旨と理解している。一方で、兵庫型「体験教育」は、義務教育の場面で行っているが、法律の趣旨というよりは、本県の特色ある心の豊かさ、豊かな心の教育を推進するために、全県展開しているものである。平成29年度に移譲が行われ、住民税2%が移され交付税がどうなるのかといった時に、財源は一定確保されるということで、神戸市からの要望も踏まえ継続をしている。このような本県独自の取組として、全県展開すべきものは、一緒に相談しながら、連携して行うべきである。既に道徳教育や情報教育、幼児教育も一緒に行っている。今回は、やはり法律の趣旨を踏まえた義務教育を司る立場の教育委員会が実施すべきものであると考えており、権限のある神戸市が、自市の権限として、やるべきではないかとの整理をして、昨年末から、神戸市とも情報共有しながら、行っているところである。先程申し上げたが、神戸市の庁内でも議論はされたということで、今後の事業化を、ぜひ期待をさせてもらいたい。[島山県議]先ほどお話ししたことは、兵庫県独自で、国が認めている制度ではまだない。不登校の経済的支援も兵庫県独自の良い制度を作ったので、分断が起きないよう神戸市ともしっかり協議してもらい進めてもらいたいということを強く要望する。 -
2. スポーツによる地域・経済の活性化について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]スポーツ庁はスポーツを通じた地域・経済活性化のためには、スポーツ産業の活性化、スポーツ環境の充実、そしてスポーツ人口の拡大がつながっていく好循環が重要とし、スポーツツーリズムや、多数の参加者・観衆が見込めるスポーツイベントの開催、大規模な大会やスポーツ合宿の誘致等のスポーツを核とした地域活性化に向けた取組を推進しています。こうしたスポーツツーリズムや地域活性化に向けて取組を推進する担い手として、国は平成29年に策定された第2期スポーツ基本計画から地域のスポーツコミッションの設立を後押ししてきました。
県は来年度予算案でようやくHYOGOスポーツコミッション (仮称)の設立準備に向けて取り組むとされました。これまで本会議などで設立の必要性を訴えてきましたので大いに期待するところです。
スポーツコミッションは、地方公共団体、スポーツ団体、民間企業など多様なステークホルダーを巻き込んだ官民連携による枠組みづくりが重要ですが、先進自治体の話ではその調整が大変で首長の明確なビジョンと戦略が重要であると伺っています。そのため、設立に向けた知事のリーダーシップが問われることになります。
先行する他の都道府県では観光や交流人口の拡大などで成果を上げ、大きな経済効果をもたらしています。会派の勉強会で講演いただいた大阪体育大学の原田宗彦学長も、兵庫県には未活用のスポーツ資源が多く存在することから、スポーツコミッションの早期設立に期待を寄せられていました。
これまで再三申し上げていますが、現行のスポーツ推進計画の早急な見直しについて質問します。スポーツコミッションを設立して地域・経済の活性化を図ろうとする一方で、現計画ではスポーツコミッションを進めていくうえで、柱となるスポーツツーリズムや地域創生の観点が大きな軸として掲げられておらず、国の第3期スポーツ基本計画が描くビジョンにアップデートする必要があると思います。スポーツ推進計画は県行政の基本的な計画であり、議会との透明性のある運営が必要です。新たな柱を立て、総合的なスポーツ行政を進めるためには、まずはしっかりとした計画が必要であり、個別施策の進行は望ましくありません。昨年3月7日にHYOGOスポーツ新展開検討委員会から提案された「HYOGOスポーツエコシステム」を盛り込むなどした計画に改正すべきです。この点は昨年の決算総括質疑でも、県の姿勢を糾したところです。コミッションの設立も踏まえ、現行のスポーツ推進計画について早急に改正し、スポーツによる地域・経済の活性化を進めていくべきと考えますが当局のご所見を伺います。[木村県民生活部長]本県のスポーツ施策は、10年間のマスタープランとして令和3年度に策定しました兵庫県スポーツ推進計画に基づき、年度ごとに具体的な施策を盛り込んだ実施計画を定め取組を進めております。
今年度の実施計画には、昨年示されたHYOGOスポーツ新展開検討委員会の提案の中から、プロスポーツクラブや企業との連携による事業を盛り込み、一定の成果を上げております。また来年度は、スポーツによるさらなる地域活性化を図るため、公民一体で取り組むスポーツコミッションの設立を目指し、関係者とともに検討を進めることとしております。
こうした取組を進めるなかで、現行の推進計画には、スポーツツーリズムの推進や地域コミュニティの形成・強化等の記載は一定あるものの、議員ご指摘のとおり、「スポーツを通じた地域活性化」といった近年大きく注目されているスポーツの持つ価値については十分反映ができてはおりません。そのため、来月兵庫県スポーツ推進審議会に諮問し、HYOGOスポーツエコシステムの内容も盛り込んだ計画に来年度中に改訂するための議論を進めていくこととしております。
国の動向も注視しつつ、県のスポーツ施策の方向性を明確に示し、兵庫のスポーツの持つ力を最大限生かせるようしっかりと取り組んでまいります。
[島山県議]再三申し上げて参りましたスポーツ推進計画の見直しについて、再質問する内容として2点あります。まず、このスポーツ行政を知事部局に移管したのが令和5年です。現行のスポーツ推進計画をその時なぜ見直さなかったのか、教育委員会から知事部局に移すタイミング、これが、最初の見直しのタイミングだったと思います。
それまでの、現行のスポーツ推進計画は令和4年に策定されており、移管する前年に改定され、そのときは教育委員会で策定されました。令和5年に知事部局に移された際、なぜ見直しに着手しなかったのか。もう一つのタイミングとして令和5年10月に、「HYOGOスポーツ新展開」がありました。これを立ち上げたときになぜ見直しがなかったのかお伺いしたいです。
先ほど言いましたこのスポーツ推進計画というのは、県行政の大事な基本的な計画です。もうひとつ申し上げると、現行のスポーツ推進計画の内容は、現在知事がされようとしていることに、マッチしていません。マッチしてない中で、個別施策を推進してるという現状があります。まず、それをなぜしなかったのかという理由が、昨年の総括質疑でも答弁いただかなかったので、お伺いいたします。。[木村県民生活部長]計画をなぜ改定しなかったかということですが、令和4年に、スタートしました推進計画については、一定程度スポーツツーリズムの推進や地域コミュニティの関係のことについても触れており、計画はマスタープランとして、年度ごとに実施計画を立てるということにしておりましたので、その段階では、改定はしないということに決めたものと聞いております。[島山県議]先ほど言いました、この計画は大変大事な基本計画ですね。スポーツ行政全般をつかさどる基本計画の中の大きな柱にですね、載っていない。再質問させていただきます。現行のですね、スポーツ推進計画ですね、皆さんぱっと記憶にないかもしれませので、触れさしていただきますと、現行のスポーツ推進計画ではですね、重点項目として、スポーツをする子供の増加と体力の向上、成人のスポーツ実施者の増加、競技力レベルの向上、障害のある人のスポーツ参加者の増加、手軽に参加できるスポーツ環境の整備。施策目標が、こどもユーススポーツの推進、生涯スポーツの推進、競技スポーツの推進、障害者スポーツの推進っていうことですね。
知事どうですか今やられてる、知事が力を入れていただいている例えばeスポーツ検討委員会立ち上げられましたですね、こういったことは、そういう方向性もビジョンもこの計画にはなってないんですよ。ちょっと話長くなりますけどもこれ我々すごく公明党としてこだわってた施策なんですね。このスポーツ行政を知事部局にですね、移すようにっていうことを、実はですね私も調べたら、私のですね、前任の、須磨区の松本よしひろさんが、平成18年にしてるんです。
そのあとですね。うちのですね、幹事長の岸本団長が、平成25年にしてるんですね、それはそのスポーツにある価値をしっかり県施策の真ん中に据えて、知事としてしっかりリーダーシップを取って欲しいという思いがあったので、そういう形で提案して参りました。もう一度この知事もその時に5年にですねこの知事部局に、戻すときは知事の英断で我々はすごく、会派としては評価したと思うんです。そういった中でも大事な基本計画を見直さなかったということについて、知事はどう考えられてるのか、お伺いいたしたいと思います。[齋藤知事]スポーツ部局の移管については島山議員含めまして、会派の皆様がかねてよりご提案いただいたことを改めてお礼を申し上げます。計画の改定をしなかった理由は先ほど部長が述べたとおりです。
ご指摘のとおり、今後、スポーツコミッションやeスポーツなど、反映されていないものがあるかと思います。そのようなことは、これから議論させていただき、反映できるものはしっかり反映していくようにしたいと思います。スポーツ振興課を移管して2年になりますが、計画の議論や、組織の体制強化も含めてしっかり議論してやっていきたいと思います。
[島山県議]コメントします。
今こういう進め方をしていますが、前県民生活部長にも、このことは再三申し上げました。これは議会軽視ではないかと。議会にしっかり説明せずに、様々な施策が展開されている。スポーツ新展開検討委員会を立ち上げるとき、知事挨拶、座長挨拶にも、基軸となるスポーツ推進計画が一言も触れてない。今やろうとしていることがスポーツ推進計画に載っていないから、しっかり議会にも説明していただく。そういう機会がなかったのは、議会軽視と思います。
このことが知事の1期目の県政の進め方だったと私は総括しています。2期目からは知事の答弁をお伺いするとしっかりやっていただけると思います。
先ほど組織の強化もおっしゃっていただきました。スポーツ行政を幅広い分野を展開する中で、コミッションの話もありました。スポーツ振興課の方には申し訳ないが、混乱しているのではないか。
体制を作って、それぞれの施策をしっかり軸を決めて推進していく体制にしないと、羅列的にいろんな施策が進んでいく。私自身置き去りにされている感じがします。
この1年でしっかり計画を決めていただいて、来年度からは、体制も含めて、知事もスポーツの持つ価値を十分ご認識いただいていると思いますので、しっかり県民にも、我々にも分かる形で、毎年の計画を推進していただく体制にしていただきたいことを要望します。 -
3. 阪神・淡路大震災から30年が経過した本県での避難所のあり方について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]日本は災害大国にもかかわらず、災害が起こるたびに被災者は避難所で厳しい生活を強いられるうえ、避難所の運営主体等の違いから避難所の生活環境に大きな差が生じています。阪神・淡路大震災では、体育館での雑魚寝など不自由な避難所生活が問題となりました。その後、段ボールベッドや間仕切りの導入などにより改善されてきていますが、昨年1月の能登半島地震では、約30年前と同じ光景が数多く見られたと言われ、避難所の設備や食事などの格差を「避難所ガチャ」と揶揄する投稿もSNS上で相次ぎました。阪神・淡路大震災から30年を経過した兵庫県において、あの災害を教訓とした避難所の環境改善に向けた取組はどれくらい進んでいるのでしょうか。
今から7年前の平成30年10月、本会議の一般質問で「避難所のあり方」について質問し、「スフィア基準」に近づける努力が必要ではないかと、避難所の運営マニュアルの見直しを提案しました。
スフィア基準とは、災害や紛争の被災者に対する人道支援活動の最低基準を定めた国際基準であり、『災害や紛争の影響を受けた人びとには尊厳ある生活を営む権利があり、従って、支援を受ける権利がある』との基本理念に基づいています。給水・衛生、食料、避難所、保健医療の4分野にわたり、最低限の基準やその目的、効果が記載されており、主な内容には、▽1人あたりの居住空間は3.5平方メートルを確保すること、▽トイレは発生当初は「50人に1基」、その後は「20人に1基」、男女比は1対3が必要とされること、▽水の平均量を「1人1日最低15リットル」など、基本指標として掲げています。
政府は昨年12月、自治体向けの避難所に関する取組指針・ガイドラインをこのスフィア基準を取り入れた内容に改定しました。
昨年開催された「能登半島地震を踏まえたひょうご災害対策検討会」の委員の発言で「被災者支援について、避難所が誰にとっても安全安⼼に過ごせる場所にするということがなぜできないのかという問題の根底に、⼈権の考え⽅や合理的配慮を提供するという基本的な視点が抜けている」という指摘がありました。まさにその通りだと思います。
昨年11月に 防災対策実行会議の下に設置された「令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループ」から提出された「令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について」の報告書の中で、国の応援組織の充実強化や、被災地のニーズに応じてキッチンカーやトイレトレーラー、ランドリーカー等を迅速に提供するための事前登録制度、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設、全国の自治体における受援計画の作成、訓練などを総合的に進めるとしています。
そこで、阪神・淡路大震災から30年が経過した本県での避難所のあり方について、こうした取組の状況とともに、どのような取組がされ、今後どのように取り組むのかご所見を伺います。[齋藤知事]災害時に避難所が誰にとっても安全安心に過ごせる場所となるよう、積極的に取り組んでいく必要があると認識している。
これまで県では、「避難所管理運営指針」、「トイレ対策の手引」、「感染症に対応した避難所運営ガイドライン」を策定し、各種研修や市町防災力強化連携事業等を通じて、県内市町の避難所運営能力の向上や必要な物資の整備に努めてきた。
来年度、指針については、スフィア基準も踏まえ、プライバシーや女性等にも配慮した具体的な指標も盛り込んだ改定を行う。
更に、在宅避難や広域避難等にも対応できるよう、新たに応援受援の具体的な手順・方法などを記載したマニュアルを作成するとともに、災害対策本部における部局横断での業務の見直しを行う。
避難所運営を担う人材の確保・育成についても、引き続き市町職員や防災リーダーに対する研修や訓練を実施するとともに、国による災害ボランティア団体等の事前登録制度も活用して、NPO等が被災者支援に速やかに参画できる環境も整える。
更に、国の経済対策補正交付金を活用し、トイレカーや簡易トイレ、キッチンセット等の資機材や物資の拡充を図るとともに、官民連携による提供・支援体制の強化を図る。
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4. 障害者芸術の振興について
質問と答弁のダイジェスト
(1)更なる振興のための支援について
[島山県議]障害者の自立と社会参加を促進し、障害者に対する理解を深めるうえで障害者芸術の振興は大変重要です。
兵庫県では、令和2年に「兵庫県障害者アートギャラリー」を開設し、これまで18団体の作品展示を行ってきたほか、昨年度からは、県下各地の公的施設や民間施設等に障害者芸術作品の展示を行う「障害者芸術作品巡回展」を22か所で実施しています。また、障害者アートの展示を希望する民間の店舗等と障害者芸術に取り組む障害福祉事業所とを繋ぎ、展示機会の拡大を図る「ユニバーサルなアートマッチング」も開始するなど、絵画や書道、工芸作品等の展示機会は、ここ数年で大いに拡大しています。このことには敬意を表したいと思います。齊藤知事も障害者アートに関心があると伺っています。
ただ、障害者芸術というのは、こうした絵画や書道等にとどまるものではありません。私からは、さらに新たな取組を提案したいと思います。
神戸を拠点に活動する〈音遊びの会〉という団体があります。障害のある人もない人も一緒に演奏する即興音楽集団で、その舞台では「なんでもあり」と「ありのまま」が溢れており、演奏は基本的に即興で行われ、そのスタイルは千差万別です。メンバー同士や、ゲストアーティストとの出会いのなかで、独自の演目や他に類を見ないユニットが幾つも生み出されるなど、音楽に焦点をあてた多彩な取組が進められており、彼らの活動は映画化もされています。
活動20周年を迎える、この〈音遊びの会〉ですが、現在、活動場所を失う恐れがあり、大変困られています。またメンバーの方から、兵庫県の取組として「展示アートだけでなく、音楽や舞台に対する行政の支援も考えてほしい」との声を頂きました。
令和7年度当初予算案には、「ユニバーサルなミュージックフェア」の開催経費が計上されていますが、障害者の音楽活動に焦点をあてた事業ではないかと期待しているところです。
障害がある人が当たり前に街の暮らしの中にいて、一人ひとりが自由に表現活動を行い、言葉や身体の制約を超えて人の心に響く芸術表現が可能な社会を作りたいと願っています。
そこで「ユニバーサルなミュージックフェア」を始めとして、障害のある方々が取り組む音楽や舞台活動等の発表機会の拡充や継続的な活動を支える支援制度の創設など県としてどのように取り組んでいくお考えなのか当局の所見をお伺いします。[岡田福祉部長]県では障害者の芸術文化活動の振興を図るため、団体からの要望等も踏まえ、障害者作品や活動の成果を発表する機会を拡充して参りました。県立美術館での美術工芸作品公募展や、障害者アートギャラリーにおけます常設展示を初め、昨年度から、議員のご指摘もございました、障害者芸術作品の巡回展を開催するとともに、今年度からは、団体や民間事業者等と連携をし、ユニバーサルなアートマッチングとして、店舗や商店街等での作品展示など展示機会の拡大を進めております。
音楽や舞台活動につきましては、発表の場として、兵庫県障害者芸術文化祭の舞台部門がありまして、今年度は洲本市で合唱等を発表していただきました。
今後はより多くの出演者、来場者を得たいと考えておりまして、広報等、県民への周知にさらに取り組んで参ります。また来年度からは、音楽や舞台活動に取り組む方々の新たな活動成果の発表の場として、ユニバーサルなミュージックフェアを開催いたします。また音楽や舞台活動を含め団体等への支援制度、イベント経費等を設けておりますので、こうしたことも改めて周知をして参ります。
今後とも、音楽や舞台活動などを様々な団体と連携し、継続的に支援できるような支援もしながら、障害者芸術文化活動の振興に取り組んで参ります。(2)「障害者芸術文化活動支援センター」の運営体制の充実について
[島山県議]昨年、令和5年度決算特別委員会においても質問しましたが、そのような事業展開をしていくのであれば、なおのこと県の「障害者芸術文化活動支援センター」の体制が今のままでよいのか、組織運営体制を強化しなければ、事業拡充をしてもよい事業が展開できるのかと危惧するところです。
決算特別委員会でも述べましたが、本県の支援センターはユニバーサル推進課内に設置され、職員2名体制で運営し、監督職として正規職員が1名で県職員が兼務、事業の執行全般や相談対応などは会計年度任用職員1名が対応しています。近隣の京都府、大阪府では府庁の外部に独立した支援センターを設置して、各種事業展開に力を入れておられます。
障害者芸術文化活動に対する支援をさらに充実させるためにも、早期に支援センターの組織運営体制を整える必要があると考えますが、当局の所見を伺います。[岡田福祉部長]県では平成31年4月に、障害者芸術文化活動支援センターを設置し、芸術文化活動に関する相談対応や発表機会の創出、情報発信等、総合的に支援をして参りました。
センターの設置後様々な新規事業に取り組んでおりまして、昨年度は障害者芸術作品の巡回展、今年度はユニバーサルなアートマッチング、また障害児やそのご家族が遠慮なく映画を楽しんでいただける、ユニバーサルな映画鑑賞会を開催しております。また来年度は、ユニバーサルなミュージックフェアを開催する予定でございまして、県民に障害者の芸術文化活動が浸透しつつあると考えているところでございます。
一方で、議員ご指摘もございました、大きなイベントの時などは、ユニバーサル推進課内の職員、或いは他の職員の応援も得ながら、対応をしている状況でございまして、今後事業をさらに継続、発展させていくには、持続可能な安定した組織運営体制が必要不可欠な状況でございます。
このため来年度、障害者芸術文化活動支援センターのあり方検討会を設置いたしまして、他府県の支援センターの設置状況や、活動状況等を情報収集し、専門家からの意見聴取も行いながら、障害者芸術文化活動に取り組む団体への、支援センター業務の委託の可否など、組織運営体制も含めまして、障害者芸術文化活動の支援のあり方について検討をして参ります。[島山県議]センターについて、しっかり組織体制を充実させていただいて、来年度から迎えられるように、是非とも応援をよろしくお願い申し上げます。 -
5. 戦後80年を迎えた、恒久平和に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]ロシアによるウクライナ侵攻や中東やアフリカの一部地域での内戦、北朝鮮やイランの核開発問題など平和を取り巻く世界情勢は緊迫した状況にあります。
そうしたなか、本年は終戦80年の節目を迎えます。この機会に犠牲者に追悼の誠をささげ、戦争体験を次世代に継承し、世界の恒久平和と発展に寄与していくことは、今日をもたらした先人への責務であると考えます。
国では、石破首相が戦後80年談話を発表されるか注目されていますが、平和国家として生きる日本の決意とも言えるこの首相談話に私は注目しています。
兵庫県ではこれまで5年ごとに兵庫県戦没者追悼式が開催されています。この追悼事業は兵庫県における戦争で犠牲になられた10万9,553人に追悼の誠をささげるとともに、戦争の悲惨な体験を伝承することを目的としています。
人口の8割を超える人が戦後生まれです。記憶が次第に薄れつつある今だからこそ、命の尊さ、平和の大切さ、戦争の愚かさを後世に語り継ぎ、再び悲しみの歴史を繰り返さないため、永久に戦争を放棄する不戦の誓いを新たにしていくことが大切です。
そこで、今定例会における令和7年度関係の知事提案で、知事は戦後80年を迎えるにあたっての所信には触れられませんでした。改めて、知事の所信があれば聞かせて頂ければと思います。また、神奈川県の黒岩知事は、戦後80年を迎え課題となっている戦争の記憶と記録の継承に向け、遺族の手記などをデジタル化する考えを発表されていました。本年、戦後80年を迎えるにあたり、県として具体的にどのような取組をされようとしているのか、また、今後の展望や計画について当局のご所見をお伺いします。
[齋藤知事]世界で今なお紛争が絶えない中、戦後80年の節目に、戦没者に追悼の誠を捧げ、戦争の記憶と教訓を次世代へ継承し、恒久平和への誓いを新たにすることの重要性は一層高まっているものと認識しています。
このため、関係団体と連携し、8月には、県戦没者追悼式を、そして10月には、学徒出陣や学徒勤労で戦死をされた若人を追悼する全国唯一の施設である若人の広場におきまして、全国戦没学徒追悼式を開催します。
これらの追悼式では、平和への願いを次世代へ継承していく観点から、若者代表から追悼の言葉を捧げて頂くとともに、追悼式の様子を県公式動画サイトで配信するなど若い世代を含め、広く県民に発信をしていきます。
県遺族会と連携して実施している「平和の語り部事業」を小・中学校等の学校現場でもさらに推進するとともに、県ホームページに掲載している「戦争の記憶と教訓の継承」の紹介事例をさらに充実していきます。
今後とも、議員よりご指摘のありました事例も含めまして、県内外の先進事例を把握・研究し、遺族会等と連携・協働しながら、戦争の記憶と教訓を次世代に継承していきます。