1、訪問看護師・訪問介護員安全確保・離職防止対策事業の推進について
(柴田県議)
厚労省によると近年、介護現場では利用者や家族等による介護職員への身体的暴力や精神的暴力、セクシャルハラスメントなどが少なからず発生していることが調査で明らかになっているとのことである。
こうした状況を、以前から我が公明党・県民会議議員団は現場の声として受け止めており、本会議や重要政策提言の場で状況改善のための施策の実現を強く主張してきた。その結果、本県では平成29年度から「訪問看護師・訪問介護員安全確保・離職防止対策事業」の導入が実現した。この事業は、訪問看護師・訪問介護員の安全確保・離職防止を図るため、利用者からの暴力行為などが原因となる2人以上の訪問が必要なケースで、利用者及び家族等の同意が得られず、介護報酬上の2人訪問加算が適用できない場合に、加算相当額の一部を補助するほか、職員のメンタルヘルス対策、事業所管理者の対応能力向上等を推進するというものだ。
しかしながら、利用者等の同意が得られない場合の2人訪問費用補助について、平成29年度においては、神戸市と西宮市の登録はあったものの、実績はなかった。平成30年度においては、11市町の登録があり、神戸市と西宮市で補助実績があったが、いずれも1事業所ずつに留まっている。
これは、市町の事業への理解不足や事業所への説明不足が要因と考えられるが、市町3分の1、県3分の1、事業者3分の1という負担割合が、利用が拡大しない要因のひとつとも考えられる。ある事業者からは「安全確保・離職防止という面では、介護職員や事業者のためという事業のように思えるが、実際は労働をしているのにお金を払うという矛盾を感じてしまう」との意見もお聞きした。
地域包括ケアシステムの構築を推進していく上で、訪問看護師・訪問介護員の活躍は今後ますます重要となってくる。そのためにも、この負担割合のあり方も含め、事業者が利用しやすい制度にするなど、現場の負担感を和らげることが大切である。本事業の利用拡大により、訪問看護師や訪問介護員の働きやすい職場づくりと離職防止の確実な進展が期待できる。
そこで、訪問看護師・訪問介護員安全確保・離職防止対策事業の推進について、どのように取り組んでいくのか。
(井戸知事)
県としては、平成29年度に全国に先駆けて「暴力等対策マニュアル」を作成し、関係機関へ配布した。また、HPへの掲載により周知するとともに、毎年、事業所の管理者等を対象に研修会を開催している。また、国制度の2人訪問は、利用者負担の増加を伴うため、利用者の同意が得られないことがあるので、訪問看護師等の安全対策として県独自の2人訪問の補助制度を創設した。
この補助制度については、市町等への働きかけにより、今年度の実施市町は昨年度から5市町多い、16市町となったが来年度に向け、実施を検討する市町もあるので、事業の実施主体は徐々に充実してきている。
2人訪問の補助制度の実績が少ない理由として、市町、事業所及び介護支援専門員にヒヤリングを行ったところ、まず「ハラスメント」についての事業所や職員の理解が十分でないという点が挙げられる。続いて2人訪問の補助内容についての事業所の理解が充分進んでいないなどの2つの点が挙げられている。
このため、介護サービス利用にあたって中心的な役割を担う介護支援専門員等を含めて、広く事業の周知を図っていく。2つに、事業所におけるハラスメント対策の取組の現状や、2人訪問の補助制度利用に当っての課題等を調査した上で、雇用管理として実施するハラスメント対策の重要性について事業所の理解を深めていきたい。
2、卸売市場の活性化対策について
(柴田県議)
卸売市場を取り巻く環境は激変しており、昨年6月、国では食品流通の多様化が進む中、新たな需要の開拓や付加価値の向上につなげていくことを目的に、卸売市場法の一部を改正したところである。
その内容は、卸売市場開設について農林水産大臣や知事の許認可制から認定制への移行、中央卸売市場の開設者制限の緩和、地方卸売市場の手続きの法制化や施設の規模要件の廃止などで、大幅な変更となっている。
改正法に基づく認定申請の受付が、今年12月に開始されることから、県内の各卸売市場でも準備が進められている。法施行後は、全国の卸売市場において、第三者販売や直荷引きなどの取引ルールを、各市場の実状に応じて取り決めることが可能になる。私の地元の姫路市中央卸売市場においても、新制度に円滑に移行するため取引ルールづくりや業務規程改正など、姫路市が中心となって事務作業を進めていると聞いている。
法改正を契機に新たな取引ルールを策定することにより、東京や大阪など大規模市場の集出荷体制が強化され、県内卸売市場との市場間競争がより激化することも懸念される。また、姫路市中央卸売場は、昭和32年に全国で15番目にできた卸売市場として長年の歴史があり、卸売業者から「従来の市内での第三者販売を行わないなどの取引ルールを大きく変更すると、トラブルにつながるので避けたい」「国や県は卸売市場をどのようにしていきたいのかよくわからない」など、今回の改正に対する不安の声もお聞きしている。
このような状況の中、新制度の下で県内卸売市場が高品質な生鮮食料品等の安定供給を担い、重要な食品流通拠点として継続していくよう市場の活性化を図ることが重要である。そこで、県として卸売市場活性化について今後どのように取り組んでいくのか。
(井戸知事)
今回の法改正は、参入制限や一律の取引ルールを緩和して、市場の活性化を図ろうとするもの。例えば、卸売業者が行う小売店や消費者への第三者販売を認める、仲卸業者が卸売業者を通さない生産者からの直接仕入れなどの取引ルールを、卸売業者、仲卸業者など市場関係者の話し合いの中で定めて、取引することができるようにする、これらのことが期待されている。
県では、市場関係者に制度改正説明会や現地へ出向いた個別相談の実施など制度周知を進めている。引き続き、取引ルールづくりなど円滑な市場運営を指導していく。今後は、施設整備等これまでの支援に加えて、県内産地と連携した新たな取扱品目の開発や卸売業者と仲卸業者が連携した外食産業など新たな顧客獲得も支援して、県内卸売市場の活性化をさらに進め、県民への食糧の安定供給に努めていく。
3、市川周辺地域の道路・河川等の整備について
(1)市川左岸地域の渋滞対策について
(柴田県議)
近年、地元の姫路市ではJR姫路駅を中心とした再開発事業により、市街地中心部は大きく様変わりをしている。また、国道2号も姫路市西部を流れる夢前川の夢前橋から東側は順次、片側2車線として整備され、渋滞が大きく緩和された。さらに現在、幸町東交差点から市川橋西詰交差点までは、街路事業が進められている。
一方、姫路市街地東部においては、南北に流れる市川をまたぐ県道白浜姫路停車場線阿保橋周辺の阿保橋東交差点、阿保橋西詰交差点、国道2号市川橋周辺の一本松交差点、市川橋西詰交差点など、朝夕の通勤ラッシュ時に多くの交差点が渋滞している。
特に阿保橋付近は渋滞する国道2号を避けるための抜け道としてこれまでも渋滞していたが、近年、阿保橋南東部に位置する東阿保、北原、東山地区等の宅地開発が進んだことから、急激な人口増加による交通量の増加で渋滞がこれまで以上にひどくなったと感じている。
東阿保地区の地域住民の方からは「朝の出勤時間帯には阿保橋を通過するのに時間が読めない」と聞いている。加えて、神屋町に姫路市文化コンベンションセンターおよび県立はりま姫路総合医療センター(仮称)の建設も予定されており、これらの交差点がさらに渋滞するのではないかとの不安から早期対策実施に向けた多くの要望が寄せられている。
県道白浜姫路停車場線の阿保橋及び国道2号の市川橋は、姫路市の東部と姫路市中心街を結ぶ住民の日々の暮らしを支える道路の結節点。また、この周辺道路は新病院整備に伴い、救急車などの緊急車両が往来することも見込まれ、今後はますます重要性が増してくる。そこで、これら県道白浜姫路停車場線の阿保橋周辺および国道2号の市川橋周辺の渋滞対策をどのように進めていくのか。
(濱県土整備部長)
県道白浜姫路停車場線阿保橋周辺の渋滞は、橋の西側で阿保橋西詰交差点と阿保橋西詰北交差点が約50mと近接している構造に加え、国道2号市川橋周辺の渋滞を避ける迂回交通が市川の左岸・右岸の道路を南下し、阿保橋周辺に集中することが原因である。
県道の阿保橋西詰北交差点から北川へ阿保中交差点までの約400m区間は、姫路市施行の阿保土地区画整理事業により、令和2年度完成を目途に4車線化が進められている。あわせて、国道2号市川橋西詰交差点から南下しJR姫路駅南へとつながる都市計画道路市川線と南駅前線も整備中である。
これらによって市街地東部から中心部へ向かう交通の円滑化が図られると共に、阿保橋西側の交通を西詰北交差点に集めることで、交差点処理が容易となり渋滞が緩和すると考えている。県としては、市にこれら路線の早期完成を要請していく。
なお、土地区画整理区域内道路の完了には時間を要することから、8月に県・市・警察からなる対策会議を設置し、西詰北交差点への迂回を促す看板の設置等の暫定対策を実施していく。また、国道2号市川橋周辺では、市川橋西詰交差点の渋滞が一本松交差点付近にまで及んでいる。現在、、西詰交差点付近から西側約1kmの区間で4車線化を進めており、西詰交差点西向き流入部も片側2車線と右折レーンを設け、渋滞の緩和を図っていく。
今後、用地買収を進め、令和2年度より順次工事に着手し、社会基盤整備プログラムの後期5カ年の早期完成を目指す。