1、在宅で生活する医療的ケアが必要な障がい者への支援について
(岸本県議)
県では、平成30年度より、医療機関を活用した「医療的ケア児等医療提供体制確保事業」を実施し、医療的ケアを必要とする障がい児者の受入施設の拡大を図っているが、地元の障がい者の保護者からは「週末等の利用したいときにベッドが空いていない」などといった意見を聞いている。こうしたショートステイ(短期入所)の課題だけでなく、親等の保護者自身の高齢化も進む中、親自身が介護を受ける状況になったときや、親亡き後、我が子はどうして生きていけばいいのか、という切実で深刻な問題も抱えている。
後者については、9月定例会において我が会派のしの木議員からも「障がい者に対する親亡き後の取組」について質問があり、知事から「医療的ケアが必要な重度の障がい者でも安心して生活できるよう、県独自の施策として、『医療シエナ型グループホーム』の助成事業を創設した」という趣旨の答弁を頂いた。
医療的ケアが必要な障がい者にとって、このような手厚い支援が確保された「住まいの場」が提供されることに大きな期待を寄せているところだが、「医療支援型グループホーム」は、いつ頃、どこにできて、そこではどのような人に対してどのようなサービスが提供される予定であるのか、また、医療的ケアが必要な障がい児者へのショートステイ(短期入所)の更なる充実について、どう考えているのか。このような在宅で生活する医療的ケアが必要な障がい者への支援について所見を。
(入江福祉部長)
障がい者の重度高齢者や親亡き後を見据え、本県独自施策として新たに展開した「医療支援型グループホーム」については、県立加古川医療センターの隣接地に令和2年度秋に開設を定員20床で予定している。このグループホームでは、人工呼吸器等の使用やたんの吸引、経管栄養など医療的ケアが必要な障がい者に看護師が24時間体制で対応するほか、併設する生活介護サービスや短期入所施設5床において、在宅の重度障がい者への支援を行うこととしている。こうした手厚い支援が可能なグループホームが今後、県下各圏域で整備されるよう引き続き支援していく。
また、医療的ケア児者の在宅介護を行う保護者の介護負担を軽減する短期入所事業者については、現在、専用病床型が8施設で利用定員49人、空床利用型の医療機関が5機関、介護老人保健施設が8施設のみとなっている。稼働率についても専門人材の確保や採算性の低さ等から低調な施設が多くなっている。
このため、県では昨年度から播磨地域と神戸地域の医療機関の空床を毎日各1床確保する県独自の取組を開始し、病院間で差があるものの、利用率6割を超える病院もあるなど一定の成果があったと認識している。しかしながら、小児科に対象者が限られているほか、週末や夏休みなど利用希望時期が重なり、ニーズに十分対応しきれていない面もあることから 内科等成人の診療科への拡充、週末等需要超過期の受入枠拡大、併設型施設の空床の活用策など、さらに使いやすい制度の検討を進めていく。
在宅重度障がい者への支援は、高齢化が進む中、今後ますます切実さが増すと認識しているところで、来年度改訂予定の「ひょうご障害者福祉計画」において、最重点項目として検討するなど重度障がい者の方も安心して暮らせるユニバーサル社会の実現に向けた取組を進めていきたい。 内科等成人の診療科への拡充、週末等需要超過期の受入枠拡大、併設型施設の空床の活用策など、さらに使いやすい制度の検討を進めていく。
2、「障害児者リハビリテーションセンター」で展開される「兵庫モデル」の推進について
(岸本県議)
我が会派が切望してきた「障害児者リハビリテーションセンター」が、来年2月に開設される。設置場所も交通の便が良い阪神尼崎駅の近隣ということで、地元だけでなく、全県域の障がい者の方から「うちの子は対象になるのか」「受診するにはどうしたらいいのか」など、開設を待ちきれない多くの期待の声を聞いている。
また、障がい児者のリハビリテーションは、日常の生活リハビリも重要との「県東部における障害児者リハビリテーションセンター医療のあり方検討会」の提言を踏まえ、地域の訪問看護ステーションを活用した訪問リハビリを取り入れた「兵庫モデル」が実践されると聞いており、障がい者目線の新しい取組として、これへの期待も大変大きいと思う。
こうした期待が大きい分、障がい者の訪問リハビリを行える訪問看護ステーションが県下にどれくらいあるのか、今後どのように対応していくのか気にかかるところである。また、先日、障がい者の方々との意見交換会の中で、重度の肢体障がいのお子さんを持つ保護者の方から「兵庫県では、訪問看護ステーションが実施する訪問リハビリは原則3割負担となるため『兵庫モデル』で推奨する訪問リハビリを受けるには、1回あたり3000円程度の自己負担が生じることになり、経済的なことを考えると利用したくても利用できない」という不安の声を伺った。
私が調べたところ、訪問看護ステーションの訪問リハビリも医療機関で受けるリハビリ同様、補助制度を持つ府県が多く、「兵庫モデル」といいながら、例えば近隣府県にお住いの障がい者の方が、同センターを受診し、地元の訪問看護ステーションを利用した場合の方が、兵庫県民の方より「兵庫モデル」の恩恵を受けやすいという矛盾も生じます。
こうした課題を解消し、県内の障がい者の方が真に利用しやすいセンターの開設と、「兵庫モデル」の推進を目指すべきであると考えるが所見を伺う。
(井戸知事)
この「兵庫モデル」の推進には、地域の訪問看護ステーションの参画が必要不可欠。昨年度、阪神地域の訪問看護ステーション199事業所に対して、アンケート調査を実施したところ、脳性麻痺患者等への訪問リハビリ実施事業所数は1~2割に止まっていた。現在未実施の事業者でも、6割以上が人材養成等の要件が整えば今後対応したいとの回答があった。このため、今年度より理学療法士会に委託し、脳性まひ患者等の基本的知識やリハビリ手法を学ぶ研修会を県内訪問看護ステーションのPT、OT、ST等を対象に実施している。2回80人ほどの受講予定があった。「兵庫モデル」への参画事業所の増加をこのように図っていく。
ご指摘の利用者負担については、肢体不自由による身体障がい者手帳1級かつ療育手帳A判定をお持ちの方が訪問看護ステーションを利用した場合の自己負担は、1割となるがこれは個別の助成制度を受けて適用しているからではあるが、その他の方については、センターでリハビリを受けた場合と訪問看護ステーション等による訪問リハビリを受けた場合とで自己負担額が大きく異なる。
これは、訪問看護ステーション等による訪問リハビリは福祉医療の対象外となっているからであるが、遠方にお住まいの方や定期的な通院が困難な方の経済的負担がより大きくなり、リハビリ継続が困難になるとともに、兵庫もっるの推進にも使用を来すと考えられる。本県が目指す県内の脳性まひ等肢体不自由のある方が子どもから大人まで一貫したリハビリを身近な地域で計測的に受ける態勢の構築に向け、自己負担の在り方について検討していく。 内科等成人の診療科への拡充、週末等需要超過期の受入枠拡大、併設型施設の空床の活用策など、さらに使いやすい制度の検討を進めていく。
3、但馬牛の生産基盤の強化について
(岸本県議)
以前より私はあらゆる場面を通じて、繁殖雌牛の増頭対策や肥育農家の支援などを訴えていますが、新温泉町でアパート方式の牛舎がスタートしたとはいえ、まだまだ目標頭数に達していないのが現状だ。
新規参入したいという意欲ある人も少なからずおられるが、補助金の制約等でイニシャルコストなどが確保できず、参入できないケースも見受けられる。そのような相談には親身になって聞いていただきたいと思う。
先日、20年近く中国への日本産牛肉の輸出が禁止されていることをめぐり、日中両政府は輸出の再開に必要な安全性に関する協定に署名し、早ければ来年にも輸出が再開される見通しであると報道された。今後、世界での和牛需要は間違いなく増えてくる。
そのような状況の中、県内では今年度に入り、姫路市にある「和牛マスター食肉センター」が、米国をはじめ香港、EU等への牛肉の輸出認定施設となり、さらなる神戸ビーフの輸出拡大が期待される。
こうした課題をまた、私の地元にある、加古川食肉センターではマカオ・タイ・ベトナムに輸出していますが、現施設では欧米等の輸出基準を満たせないため、輸出できないのが現状だ。解消し、県内の障がい者の方が真に利用しやすいセンターの開設と、「兵庫モデル」の推進を目指すべきであると考えるが所見を伺う。
食肉事業者からは、神戸ビーフの輸出拡大のための衛生対策の向上、さらには働きながら食肉技術が学べる食肉学校機能を備えたセンターへの再整備を望む声を聞いている。食肉事業者は、今後ますます拡大が見込まれる神戸ビーフ需要に応えるための準備を行っているが、但馬牛の生産基盤が強化され、神戸ビーフの供給量が増えないことにはその需要に応えることができない。
そこで、国内外での神戸ビーフの需要に応えるための、今後の但馬牛の生産基盤の強化対策を伺う。
(井戸知事)
まず、繁殖雌牛の導入やアパート方式を含めた牛舎の整備を進めている。続いて、子牛の生産期間を短縮する妊娠牛の導入を行っている。3つに、肥育素牛の増産を図る乳用牛等への受精卵移植などを支援してきた。その結果、平成30年度末の繁殖雌牛は13,482頭と前年から324頭増え、ここ3年連続で増加してきているが、さらなる取組が必要である。
今年度から、企業参入や畜産農家の規模拡大をきめ細やかに支援する総合窓口として「畜産参入支援センター」を畜産課内に設置し、市町などと連携して施設用地の紹介や初期投資の軽減を図る助成の相談を実施している。
このような中、日米貿易協定によるアメリカへの輸出の低関税枠の拡大、200トンから最大65,000トンまでの拡大や約20年ぶりとなる中国への日本産牛肉の輸出解禁の動きは、今後の神戸ビーフの需要拡大に大きな追い風となる。
これを受け、先週閣議決定された和牛の増頭支援を行う国の経済対策を積極的に活用し、但馬牛の増頭を図り神戸ビーフの安定供給にさらに取り組んでいく。あわせて、安定供給に食肉センターは不可欠である。加古川食肉センターを含め、その役割や機能のあり方について市町や食肉事業者などとさらに検討を進めていく。
4、東播磨港の機能強化について
(岸本県議)
加古川市に工場立地の問い合わせは多くあるものの、適地はないといっている。最近の企業立地では、新しい工場を建設した上で古い工場を取り壊し、土地を売却することが多いため、新たな工場を立地したり工場を拡張するための用地がなければ東播磨地域の工場・企業の空洞化が進んでいくのではないかと憂慮している。
さらに企業にとって国際競争力を強化するためには、原料を入手しやすく、製品を安価に輸出するための港湾機能の強化が必要だが、東播磨港の加古川・高砂地区の公共岸壁は-5.5mが最深であり、、近年の大型船舶の寄港に対応できていない。東播磨地域の各企業も浚渫を行うなど、岸壁環境の改善を図っているが、抜本的な解決とはなっておらず、大型船舶が利用できない状況が続いており、別の港で積み替えを行っている企業も多いのが現実である。
姫路港では、平成15年に-14m岸壁が1バースながら強要され、それまでの最大船型15,000GT(グロストン)級から30,000GT級の寄港が可能となり、新たな企業立地が薄みつつあると聞いている。さらに、来年は阪神・淡路大震災から25年を迎え、南海トラフ地震の危険性が高まる中、大規模災害時に支援物資の集積などの防災機能を備えることが可能な耐震岸壁も二見地区に1バースしかない。
今後の東播磨地域の発展のためには、東播磨港の臨海部に展開する企業が経済活動を拡大・発展できるように企業地先で埋め立てを展開し、企業用地を確保するとともに、国際競争力を高めるために、昨年の取り扱い貨物量が年間約3,600トン、神戸港に次ぐ取り扱い貨物量を誇る重要港湾・東播磨港にふさわしい大水深岸壁の整備が必要であると思う。所見を伺う。
(濱県土整備部長)
新たな企業用地の確保や港湾施設の整備を進め、港湾機能の効果を図るためには、長期的視点での港湾全体のあり方を検討し、必要な施設等を港湾計画に位置付けなければならない。
このためには
①将来の企業立地の動向
②既存企業を含めて貨物需要
③背後圏の道路ネットワークなどを把握したうえで
①新たな埋立
②大水深岸壁も含め必要な岸壁や防波堤
③臨港道路などについて、平時に加え災害時の利用も念頭に置いた適切な規模や配置の整理が必要である。
今後の港湾計画の改定に向けて、来年度企業ニーズを把握するためのヒアリングを行う。
引き続き、東播磨地域の産業と経済活動を支え地域創生をさらに推進するため、港湾機能強化に取り組んでいく。