議会報告

  • 小泉 弘喜
    第352回(令和2年12月)定例県議会 一般質問(小泉弘喜議員)

    ≪質問項目≫
    1、県職員における男性の育児休業の促進について
    2、虐待や産後うつを防ぐための産前・産後ケアの拡充について
    3、発達障がい児の保護者に対する支援について
    4、県営住宅入居の承継に関する要件緩和について
    5、多様な学びの場としての多部制高校の充実について
    6、ICTを活用した新しい教育の展開について
    7、スマートフォンアプリ対応の信号機設置の推進について

    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、県職員における男性の育児休業の促進について

    (小泉県議) 県では、男女共同参画社会づくりの取組をより効果的に行うため、まず県自らが男女共同参画のモデル職場となるよう「第1次男女共同参画兵庫県率先行動計画―ひょうごアクション8-」を平成15年5月に策定し、現在は平成30年度~令和2年度までの第6次の取組を進めている。アクション8では男性の育児に関して「男性の育児休業」、「配偶者の出産補助休暇」、「男性の育児参加のための休暇」が数値目標を定めた上で盛り込まれている。
    「男性の育児休業」では、取得率を希望者の100%、対象者全体の5%程度とする目標が掲げられており、令和元年度は希望者の100%が取得するとともに、対象者全体の取得率が12.1%で目標達成。「配偶者の出産補助休暇」は、対象者100%取得目標に対して、令和元年度100%が取得し、目標達成。「男性の育児参加のための休暇」は、対象者100%取得目標に対して、令和元年度88.7%が取得し、目標未達成でした。
    この中で、私が問題と考えるのは「男性の育児休業」の対象者の希望者が目標を超えているとはいえ、対象者全体の12.1%と低すぎる点と育休等をとっているだけになっていないかという点である。いま社会では、児童虐待や母親の産後うつが問題になっている。私は男性が家事・育児にしっかりと参加することは、共働きが増え核家族世帯を取り巻く環境が大きく変化している現代社会において、産前・産後の母親を守ることにつながり、虐待や産後うつ等の防止にもなるのではないかと考えている。
    男性が家事・育児にしっかりと参加する社会づくりのためには、まずは県が率先して県男性職員の育児休業等の取得に取り組み、事業者の模範となる必要がある。
    現在、次期アクション8の策定中と聞いているが、その中の「男性の育児休業」の数値目標を上げ、それを実現するための職場環境の整備とともに、育休等取得中に男性が家事・育児にしっかり取り組めるための男性の意識の改革をどのように進めていくのか。

    (井戸知事) 今年度からは、人事評価のワーク・ライフ・バランスの項目に育児等の取組を加えている。また、「子育てプラン」については本人の記入後、上司の確認を義務付ける方法に変更した。上司がより積極的に部下の育児休業・休暇の利用を促進できるようにするためである。そして、家事・育児の分担について夫婦で検討してもらうために「家族ミーティングシート」を新たに作成することとしている。これらにより、積極的に家事・育児に参画する意識の向上を図っている。
    現行の「ひょうごアクション8」であるが、今年度までであるので育児休業の取得率の目標については、すでに達成していることとなっているのでというのは、ご質問の中でも触れて頂いたが目標数値は対象者全体の5%程度、令和元年度で対象者全体の12.1%に達しているので、当然見直さなければならない。これまでの取り組みや国の動向等を踏まえて、来年度からの次期計画において、現行の数値を上回る新たな数値目標を設定していく。加えて、職員への制度周知や研修を通じて、対象職員のみならず上司も含め、家事・育児への参画意識を高めていく。
    ただ課題が一つあって、育児休業は無休で給料の支給対象にはなっていない。互助会などの支援を含めながら。これらの課題も検討する必要がある。

    2、虐待や産後うつを防ぐための産前・産後ケアの拡充について

    (小泉県議) 令和元年度、県内のこども家庭センターに寄せられた児童虐待相談件数は8,308件、市町の9,900件とあわせると、18,208件にもなる。虐待の増加については様々な原因が考えられるが、私は出産する母親の産前・産後ケアをしっかりとすることが、予防策の1つとなると考えている。その産前・産後ケアを担う専門家として、家事・育児など母親サポート、家事サポート、育児サポートの3本柱で保健師や助産師等の手が届かないところまでサポートができ母親を支え、寄り添う産後出ドゥーラがいる。本年2月定例会で私は「産後ケアについて」質問し、育児の孤立化が進んでいる結果、産後うつになったり、虐待をする母親が増えてきているのではないかと問題提起した。
    そして「産後ドゥーラが産後うつ防止や児童虐待防止のために大きな役割を果たしている」と紹介し、健康福祉部長から産後ドゥーラは、出産直後の母親を支える人材であり、少子化対策、産後うつや児童虐待防止に一定の役割を果たすのではないかと考えている、との答弁をいただいた。
    児童虐待を取り上げた「凍りついた瞳2020」という本の中で「決して悪い親が虐待するのではなく、DV・貧困・孤立等により養育に困っている親が虐待に至ってしまっている、というとらえ方が求められる」とあり、また同書には「近年の核家族世帯を取り巻く環境が変化(血縁・地縁の希薄化、質的変化)したことが問題であるということだろう」と書かれている。
    社会環境の大きな変化に対して、地域、行政等が協力し、母親の孤立化を防ぐことが虐待や産後うつを減らすことにつながる。昨年法定化された産後ケア事業では、助産師等の看護職が中心となり、母親の身体的回復や心理的な安定を促進するとともに、母子の愛着形成を促すとしているが、そのためには指導・助言だけではなく、母親に寄り添ったサポートの充実が必要である。産後ドゥーラなどによる産前・産後サポートはその1つの、しかし重要な取組である。
    県内市町では産前・産後サポート事業を展開しているが、産前からしっかりと母親との人間関係を築くことができ産前・産後から母親に寄り添える、そういった産前・産後の切れ目のないケアが必要であり、虐待や産後うつを防ぐためにはさらに拡充させることが求められるが所見を伺う。

    (藪本健康福祉部長) 県では市町の取り組みをさらに推進するため、事業の実施状況調査により実施を把握し、母子保健担当者会議で取り組み事例等について情報提供、また妊産婦支援にあたっての課題の共有と対策を検討するため、市町、産科医療機関等の関係者が参画する会議の開催、また、母子保健・医療の関係者を対象にして、出産前後の母親のメンタルヘルスケアについての研修を実施している。児童虐待の一つの背景として、核家族世帯の増加や血縁・地縁の希薄化など、社会環境の変化も指摘されている。産前・産後を通じて保健師や助産師などの専門職と母親とのしっかりとした人間関係を気づくことも必要である。このため、妊産婦がこれら専門職との信頼関係のもと、自身をもって出産・育児に向き合えるよう、「産前・産後サポート事業」とか「産後ケア事業」で、同じ助産師が継続して妊産婦を担当し、相談に加えて心身のケア、育児サポート等きめ細かな支援ができるよう新たな仕組みづくりについて、検討していく。

    4、県営住宅入居の承継に関する要件緩和について

    (小泉県議) これまで県営住宅の入居者の方から承継について様々な声を伺ってきた。その中に、県営住宅の自治会長さんから「仕事をやめ、長年親の介護に従事してこられ、60歳手前にして介護していた親がなくなり、県営住宅を出なくてはいけなくなった方がいる。職探しも大変な中、新しい住居を探すのも大変で県営住宅に残ってもらうことができないか」という相談があった。
    その方は県の承継要件に該当しなかったため、結局退去されたが当人含め自治会の皆様も落胆されていた。その時私は、承継の要件にはあてはまらないが、特別な事情がある方に支援の手を差し伸べることはできないのかと痛切に思った。
    承継要件が厳格化されたことには理由があり、行政としては新しい要件に基づき適正な判断をされてきたかと思うが、次代は変わり新しい課題が生じており、その課題に対して前向きに取り組んでいかなくてはならないと考える。
    本年10月より大阪府では府営住宅の地位継承の要件が見直され「名義人の子又は孫」にも原則1回限り認められることになった。入居者の高齢化など環境が大きく変化していることから制度の見直しが求められていたと伺っているが、兵庫県においても例えば、残された子ども・孫がひきこもりである場合や、障害者手帳は所持していないが福祉、医療など関係機関がやむを得ないと認めた場合など特例として承継できるようにするなど、独自に要件を緩和する方法があるのではないか。
    そこで県営住宅入居者の承継の要件緩和の方向性について、どのように考えているのか。

    (出野上まちづくり部長) 退去に際してはすぐに退去をもとめるのではなく、指定管理者が相談に応じながら移転先がみつかるまで、一定期間猶予している。また、仕事がない方や収入が少ない方に対しては市町と連携し生活保護や就労の支援に結び付け、住み替えが円滑に進むよう努めている。
    しかしながら、近年入居者の高齢化により例えば新たに介護のために同居した方の件数が、令和元年では平成27年の1・5倍となるなど介護のために同居する親族が増加している。これに伴い残された同居者が医療・福祉・就労の面で自立困難な事情を抱え、退去が難しいケースが増加することも想定される。多様化する個別的要因に対応するため、がん等重い病気やひきこもり状態の方がある場合には医師の診断書、あるいは指定管理者が市町、民生委員等と設置し、入居者情報、課題を共有しそして意見を集約する判定会議などの意見を参考に柔軟に承継を認めていく。

    (小泉県議(再質問)) 6か月の猶予ではなかなか介護していて長年仕事もしていなかった、ご両親の年金で暮らしていた方に関しては、引っ越し費用もそうであるし様々なお金がかかってくる中で、6カ月で充分なのかという判断も難しい。そういった中で相談して決められていくというという答弁をいただいたが、そういった中でどれぐらいまで待ってもらえるのか、なかなか答えづらいとは思うが、私に相談いただいた方で、すぐに出ていってくださいといわれた。1か月もたたずに出ていかれたこともあったので、どのくらい待ってもらえるのかおおよそ教えてもらいたい。

    (出野上まちづくり部長) 退去までの期間は原則として3か月、猶予の期間としては6か月、これまでの事例で申し上げると最大一年猶予したという事例がある。今後は、判定会議なども設けて継続して入居できるということも検討している。

    5、多様な学びの場としての多部制高校の充実について

    (小泉県議) 現在、兵庫県では西宮香風、阪神昆陽、西脇北、飾磨工業と4つの県立の多部制高校が設置されている。令和2年度のⅠ期・Ⅱ期試験の実施状況をみると、夜間の3部では定員に対し、充足率が大幅に満たない状態の学校が3校あり、逆に1部と2部では充足率100%または半数を超えている学校があり、1・2部と3部との間で充足率に大きな差があるのが実態である。
    多様な学びの場としての多部制高校のさらなる充実のためには、1部・2部・3部の募集定員の見直しを考える必要があると考える、充足率が大幅に満たない3部は縮小し、その分充足率の高い1部と2部を拡充するべきではないか。
    昨年の9月定例会で我が会派のあしだ議員の質問に、教育長は従前の同一学校間の1部から3部間の志願変更、また多部制高校間の志願変更に加え、全日制等、多部制以外の高校との志願変更も可能として選択の拡充を図る、としてうえで昼間部と夜間部の募集定員の見直しについては、来年度予定をしている高等学校のあり方に関する有識者会議の中の検討課題の一つと考えている、との答弁をいただいた。
    そこで令和2年度のⅠ期・Ⅱ期試験の結果、また10月入学や志願変更の状況を考慮し、高等学校のあり方に関する有識者会議での議論の進ちょく状況を踏まえた上で、募集定員の見直し等、多部制高校のさらなる充実のために今後どのように取り組むのか。

    (西上教育長) 近年、多部制高校は、大学と同様に単位制をとっており、より柔軟な単位認定や少人数授業等により、自分のペースで学べるとの評価から、従来の想定を超えて、大学進学や専門学校への進学を目指す生徒も多く通う状況となっている。特に、昼間の1部・2部への入学を希望する生徒が増えている。
    このような状況を踏まえ、来年度策定を予定している、県立高等学校教育改革第三次実施計画に多部制高校のあり方を盛り込む必要があるとの認識から、現在「ひょうご未来の高校教育あり方検討委員会」において、議論していただいている。委員からは、現在の社会状況における生徒や保護者のニーズを踏まえ、各部ごとの定員見直しは必要であるが、その際には、夜間の3部の希望状況に十分配慮すること等の意見をいただいている。
    同委員会からの報告・提言は、12月中旬に予定しているパブリックコメントを経て、3月に受ける予定。その報告・提言を受けた後、具体的な検討に入る。
    今後とも、生徒にとって、学びたいことが学べる環境づくりを推進していく。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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