≪質問項目≫
1、SNSを活用した「こころちゃっと」を始めとした女性への支援について
2、済生会兵庫県病院と三田市民病院の統合について
3、0~2歳児の子育てへの支援の充実について
4、私達自身の暮らしを見直し、行動を変えていくための「うちエコ診断」の推進について
5、ポストコロナを見据えた神戸電鉄粟生線の存続支援について
6、県警察における女性が活躍できる職場づくりについて
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1、SNSを活用した「こころちゃっと」を始めとした女性への支援について
(芦田県議)県議会公明党・県民会議では、本年4月知事への緊急要望を行った際に、コロナ禍で不安を抱える女性への支援として、地域女性活躍推進交付金を活用し、女性用品の提供も含めたつながりサポート型女性相談支援事業の新展開を強く要望させていただいたほか、委員会をはじめ様々な機会を通じて支援の必要性を訴えてきた。
その結果、6月補正予算には新事業として、コロナ禍で孤独や孤立により不安や困難をかかえる女性を支援するためNPO等と連携し、Web等を活用した相談支援事業や居場所づくり等を実施する1、500万円の予算が計上された。
このことに関する6月定例会代表質問での我が会派の天野議員の質問に対して「『つながりサポート型女性相談支援事業』を実施すること、NPO等のノウハウやネットワークを活用し、電話では相談しにくい人のためのSNS相談を行うこと、来所が難しい人へのWebも活用した居場所づくりなどを行うこと、必要な人には女性用品の提供も行っていく」との答弁があった。
また、相談員のスキル向上に向けた研修の実施や、連携推進員の配置による生活困窮、家庭内暴力、自殺などに対応する支援機関や市町などとの連携を強化するとの答弁でもあった。この事業は6月補正予算で実施されることとなったが、SNSを活用した女性の孤独・孤立への支援はポストコロナ時代においても重要であり、来年度以降も恒久的な予算化も必要である。先日会派代表で視察に伺った、県が11月から事業展開しているSNSを活用した無料相談窓口「こころちゃっと」及び女性同士が悩みを共有できる「CoCoカフェ」の開設、生理用品の無料配布など現在の取組状況と成果、課題について伺う。あわせて来年度の実施に向けた恒久的な予算化についても所見を伺う。
(齋藤知事)「こころチャット」には、約60件もの相談が寄せられ、相談内容については仕事や人間関係、将来への不安など多岐にわたっている。女性相談員が個々の状況に応じてアドバイス、それから専門機関へのつなぎも行っている。また、悩みを持つ女性同士が、様々な形で悩みを共有するということも大事な取り組みであり、ZOOMの画面で語り合っていただく、「CoCoカフェ」を、これまで2回、11月に開催させていただいた。参加者は日頃出せなかった思いを伝えあって共感し、励まし合う姿も見られたということだった。
また、女性用品の提供については、男女共同参画センターや労働局と連携して、マザーズハローワークで行わせていただいているほか、最近、アルバイト収入が減って、大変苦しい状況にある女子大学生も増えておられるので、大学や専修学校などでも、12月中には開始する予定である。
見えてきた課題としては、SNSの取組は、これまでは電話での取り組みが多かったが、最近はSNSの方が増えて来てはいるが、相談はしやすいという一方で、受け手側の相談員にとっては、電話でのやり取りとなったら、雰囲気でやり取りできるが、文字で、特にチャットでの場合には、文言で相手の心情がどうなのかということと、こちらからの返信についても、かなり気を配りながらおこなうということでそれなりのスキルが要求されるという声もいただいている。また、そもそもこういった制度があるということ自体を周知し、アクセスしていただくということ自体を、しっかりやっていかなければならない。
今後も相談員のスキル向上や女性の方々がよく利用されるスーパーなどとも連携し広報に努める。
(芦田県議コメント)「こころチャット」で今知事が言われたような人間関係、あるいは将来の不安、仕事の悩み諸々、こういったことをお聞かせいただき、それからまた「CoCoカフェ」でいろいろテーマを作って居場所づくりに反映できるような、相乗効果が発揮できるような取り組みを進めてほしい。
2、済生会兵庫県病院と三田市民病院の統合について
(芦田県議)平成28年10月に策定された「兵庫県地域医療構想」では、神戸市北区は三田市や西宮市北部とも密接な関連があるため、さらなる協力・連携が必要であると明記され、具体的な施策として、神戸市と隣接する他圏域と十分に連携した医療体制の確保の推進が提起された。そこで、神戸市北区に隣接する三田市民病院と済生会兵庫県病院によって令和元年11月に「北神・三田急性期医療連携会議」が設置され、神戸市も参加して当該地域の急性期医療の連携のあり方について検討が行われてきたと承知している。
また、その会議において済生会病院が単独で今後も急性期医療を維持・継続することは困難との報告があり、これを受け両病院の再編統合も視野に入れ、当該地域の急性期医療を確保するための方策を検討する委員会が本年6月に設置され、これまで3回にわたり検討会を重ねてこられた。地域住民にとっても重要な課題であり強い関心をもたれていることから住民への説明会も実施されたと伺った。
これまでの検討委員会での議論を踏まえ、急性期医療確保策についての報告がなされるとのことだが、新たな統合再編による急性期医療確保に向けた方策については、地域住民への説明、意見聴取なども含め理解と協力、また、兵庫県として検討委員会の意見を踏まえたうえで適切な支援が講じられるよう取組も進めていくことを強く要望する。
統合再編後も統合病院が、現在済生会病院が果たしている急性期医療の役割が維持でき、また、統合病院が今回の新型コロナのような感染症対策という役割も果たしていただく必要がある。更には、北神地域は災害時に新神戸トンネルが通行できなくなることも考えると、災害時の医療提供も重要な役割りと考える。そこで、今後、済生会病院が果たしている役割りの維持や新たな課題への対応を含め、両病院の統合再編推進にどのように取り組むのか。
(齋藤知事)現在「北神・三田地域の急性期医療の確保に関する検討委員会」において、三田市民病院との再編統合も見据えて、新興感染症対応や災害医療をはじめとして、地域の急性期医療を将来にわたって維持・充実させるための方策を検討していただいている。その中で、両病院及び地域の現状と課題、地域に必要な医療機能をふまえて、急性期医療確保方策として現状維持でやるのか、それとも機能分担・連携するのか、さらには再編統合するのかということが比較検討されている状況で、来年3月には報告がまとめられる予定である。なお県では、両病院からの依頼に基づき、病院局の経験があるOBを両病院に派遣し経営改善や病院機能の検討を支援している。
医療機関の機能分担・統合再編を行う場合には、地域医療構想調整会議で協議させていただくことになる。この協議にあたって、県では地域に必要な医療提供体制が確保できるよう、医療需要に関わる現状や将来推計のデータを提供させていただくなど、議論の活性化に向けた支援をさせていただくとともに、もしその場での合意が得られた場合には、合意を踏まえて国による助言や支援が受けられる「重点支援区域」の選定に向けた申請や、医療介護推進基金を活用した病院整備に対する財政的な支援等も行っている。
両病院についても検討委員会の報告を踏まえて、関係者が再編統合などを行うこととし、神戸・阪神、両圏域の地域医療構想調整会議において合意を得られたならば県としても、これまでと同様積極的に支援を行っていきたい。
(芦田県議コメント)北神・三田地域の急性期医療について、将来にわたって維持・充実させるための方策、それが大前提にあるものと考えている。県からも委員として検討委員会にご参加いただいていると聞いている。ぜひとも、前向きなご協議、ご検討があり、国への支援、要望も含め、新たな感染症対策、あるいは災害時の医療、そして急性期医療の確保、そういったことができるような整備を進めていただきたい。
4、私達自身の暮らしを見直し、行動を変えていくための「うちエコ診断」の推進について
(芦田県議)気候変動の原因となっている温室効果ガスは『2020年版環境白書』によると、消費ベースで見た排出量の内訳、住居が17%、食が12%、移動が12%、消費財が10%、レジャーが5%、サービスが5%となっており、国民一人ひとりの衣食住や移動といったライフスタイルに起因する温室効果ガスが我が国全体の排出量の約6割を占めるとされており、国や自治体、事業者だけの問題ではなく私達自身が自分の暮らしを見直し、行動を変えていくことが必要である。
家計関連の排出量を減らすため、国の補正予算案に個々人のライフスタイルの変革を促すポイント制度として、約100億円計上する方針を固めたとの報道があった。この取組は、脱炭素型の持続可能な社会づくりの一環として個人の日常における環境に配慮した行動にインセンティブを付与する仕組みであり、グリーンライフ・ポイントと称して食、住まい、循環、衣類、移動の5分野を想定し、企業や自治体等に対して必要な企画、開発、調整等の費用を補助するとしている。
一方、「兵庫県地球温暖化対策推進計画」では、「暮らしの中での省エネや資源循環」として、「賢い選択(COOL CHOICE)の推進」、「温室効果ガス排出の少ないライフスタイルへの転換」、「3Rの徹底」、「プラスチックごみ対策」、「食品ロス削減」、「衣料品リサイクルの推進」の6つがあげられている。
そのうちの「温室効果ガス排出の少ないライフスタイルへの転換」では、「うちエコ診断」の推進があげられている。「うちエコ診断士」が環境省の「うちエコ診断ソフト」を用いて行う診断であり、「うちエコ診断士」が受診過程とのコミュニケーションを通じて、ご家庭のエネルギー対策・地球温暖化対策を診断し、ご家庭に合わせたオーダーメイドの対策を提案するものである。生活を変えていくためには、このような地道な取組が必要である。
「うちエコ診断」は現在環境省が推進しているが、そもそもは兵庫県発祥と聞いている。農政環境常任委員会における平成29年度特定テーマ調査研究の調査報告では、うちエコ診断の全県展開やインセンティブ付与などの提言もなされていたが、うちエコ診断が兵庫発であることをもっと情報発信し、普及させていく必要がある。そこで、兵庫県における「うちエコ診断」の現状と課題、更なる普及のための今後の取り組みについて所見を伺う。
(遠藤環境部長)これまでの県内の診断実績としては、累計で11,000件以上に上っている。各家庭の状況に合った省エネ提案をもとに、太陽光発電の設置や高効率給湯器への買い替えなどの対策を実際にとっていただいた家庭では、光熱費の軽減はもとより、約3割のCo2削減につながるなど一定の効果を上げている。
県では、太陽光発電や蓄電池などの補助、融資の申請時にも「うちエコ診断」を受診いただいているほか、県内市町では受診の後に電子ポイントを付与するなど、受診のきっかけづくりにも努めていただいている。
課題としては、定量的な評価、分析を行うために診断に約1時間要することやあるいは調査票の記入に手間がかかるということがあげられる。今後さらに普及を図っていくためには、受診者の希望に沿って所要時間の設定やより気軽に診断できる仕組みも必要だと考えている。
このため、コロナ禍ではじめたオンライン診断方式による普及だとか、小学校高学年以上が使う環境学習ツールとして開発したスマホ用の「うちエコキッズ」に関する情報発信なども進めていく。今後は、削減に成功した優良事例などをわかりやすく発信し、兵庫発であることもしっかりPRして「うちエコ診断」のさらなる普及拡大を図り、より良い効果的なCO2削減対策を推進していく。
5、ポストコロナを見据えた神戸電鉄粟生線の存続支援について
(芦田県議)私は平成23年、県会初当選以来、神戸電鉄及び粟生線関係について本会議一般質問、建設常任委員会質問、予算決算特別委員会質問、予算要望などあらゆる機会を通じて質疑質問を繰り返してきた。
中でも、平成24年度から28年度までの5年間、兵庫県がリーダーシップを図り、沿線市とともに乗客が減少し、経営が悪化した神戸電鉄に対し行った総額40億円の無利子貸付による支援は、神戸電鉄の経営力、国の補助金を活用した施設整備への補助とともに経営改善にもつながり評価を致すところである。
一方、少子高齢化、モータリゼーションの進展やJR、地下鉄など他の移動手段が増える中、粟生線の利用状況については、平成24年877万人から徐々に減少し、令和元年では784万人まで落ちてしまい、その翌年令和2年はコロナで更に減少し595万人となった。それでも約600万人が利用し、通勤・通学や高齢者の買い物など、必要不可欠な生活路線である。存続に向けた強力な支援が必要だ。
平成29年4月に策定された「神戸電鉄粟生線公共交通網形成計画」では、粟生線の安全で安定した輸送サービスを確保し、利用促進を図るため、行政や交通事業者、地域住民それぞれが役割を果たしていくことの重要性を明記し、駅周辺や駅アクセス性の高い地域の人口増に向けたまちづくりの見直し、既存施設や住宅地等と液を結ぶバスアクセスルートの確保、公共交通の分担率の向上、鉄道とバスの利用しやすいダイヤ調整など様々な利用促進の取組を掲げて取り組んでこられ、一定の成果も見え評価できる。しかし、今後、特にポストコロナ社会を見据えると、在宅勤務やテレワーク、リモートなどオンラインシステムによる社会経済活動の転換は、さらなる利用者の減少、収入の減少につながり歯止めがかからない状況になるのではないかと、懸念している。
「神戸電鉄粟生線地域公共交通網形成計画」が令和3年度末をもって終了することから兵庫県においても、交通事業者、沿線市等と協議を進めていただいているところであると思う。次期計画策定に向けては、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部が改正され、地方公共団体による「地域公共交通計画(マスタープラン)」の作成を努力義務化し、まちづくりと連携した地域公共交通ネットワークの形成と地域における輸送資源を総動員し、持続可能な旅客運輸サービスの提供を確保するとしている。
そのためには、県が主導して神戸電鉄の意見も踏まえながら、神戸市・三木市・小野市の沿線3市とともに、ポストコロナ社会を見据え、持続可能な「地域公共交通計画」を策定する必要がある。また、県はこれまでも国や地元自治体とともに、施設整備や豪雨対策、老朽化対策への支援を行ってきたが、ポストコロナ社会を見据えると、これまで以上の支援が必要である。
新計画策定に向けた沿線3市の合意形成の進捗状況はどうなっているのか。そしてポストコロナを見据え、県として新たな支援策が必要だと考えるが、所見を伺う。
(服部県土整備部長)神戸電鉄は昨年度、コロナ禍により全線で輸送人数が対前年度比で約20%減少し、鉄道事業としては赤字となり、現在もコロナ前と比較して乗客の減少傾向は継続しており、厳しい経営状況となっている。このため、緊急対策として感染拡大防止に配慮した運行に対し、国・県・市が強調して、この2年間で約1億8千万円を支援してきた。
また、これまで沿線3市とともに、無利子貸付や車両更新等に総額約70億円を支援しており、今年度もレール・枕木の交換等の安全輸送設備等への整備に約1億4千万円の支援を行った。地域公共交通計画の策定については、現計画の終了後、空白期間を生じさせないことを第一に考え、次期計画の年度内策定を目指していく。計画策定には、沿線3市の粟生線存続に対する強い意志が重要であり、県はそれをまとめる広域調整の役割を果たす必要があると考えている。
このため、県は11月に協議の場を設定し、沿線3市、神戸電鉄とともに議論を重ねている。この中で粟生線活性化協議会を来年1月に開催するべく調整しており、現在の支援策の継続等を位置付けた時期計画の早期合意形成を目指していく。ポストコロナを見据えた新たな支援策については、神戸電鉄の詳細な経営状況、コロナ禍による生活変容の影響を的確に把握したうえで検討する必要がある。今後、コロナの影響がいつまで及ぶか不透明な部分もあり、検討には時間を要することも見込まれる。このため、次期計画策定後も支援に関する関係者協議は継続することとし、新たな支援策について合意が得られ次第、計画に追加していく。