≪質問項目≫
1、移住や就職等による県内転入を促進する施策について
(1)カムバックセンター等における移住促進の取組について (2)兵庫で働く人材の確保に向けた取組について 2、男性の家事・育児等に対する意識改革の推進について
3、ヤングケアラーへの支援強化について
4、低出生体重児と保護者に対する支援について
5、3回目のワクチン接種率向上に向けた取組について
6、多部制高校のニーズに合わせた募集定員割合の見直しについて
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1、移住や就職等による県内転入を促進する施策について
(1)カムバックセンター等における移住促進の取組について
(小泉県議)2021年の兵庫県の転出超過数の状況は、20歳代の新卒時の就職に伴う東京圏や大阪府への転出が目立つ。そのかわりに30歳代、40歳代の子育て世代は転入超過しており、その世代の子どもの10歳代も増加している。また、全国的にも東京都の転入超過数がコロナ禍前から比べて、約9割減となり東京への一極集中にも変化が出て来ている。
就職などで夢や希望を持って、兵庫県を離れる20歳代の方に関しては最大限の応援をし、なおかつここ兵庫県にも夢や希望を持って、定着してもらえる、また来てもらえるような政策が必要である。
そこで県が兵庫への移住を促進するため、神戸市にある「カムバックひょうごセンター」をはじめ、東京の「ひょうご移住プラザ」、また新しく大阪府で「大阪サテライト」を開設し、ひょうごで暮らす!体験キャンペーンとして県が所有する4施設で、2泊以上最長1カ月のお試し移住を実施し、多自然地域で魅力的なワーケーションスポットとしての紹介をはじめ、移住や就職に関する相談をワンストップで実施している。
一方で、20歳代の転出超過を鑑みても、もっと手軽に兵庫の魅力をわかっていただくため、例えば「カムバックセンター」の情報をはじめ、兵庫県が運営する移住ポータルサイトの「夢かなうひょうご」や関係人口増を目指しながら、移住・就職を考えていただけるように「ひょうごe―県民制度」を活用し、またSNS等で大々的に発信し、周知できるように広報力を上げるべきである。そのためにはアドバイザーを含め、専門家とも連携し、またご協力いただき、兵庫の魅力を発信していくべきではないかと考える。
例えば地方移住への関心が9割がたある方は自ら「カムバックセンター」に来られるかもしれない。7割8割の方はネットで調べられるかもしれない。5割の方はネットやSNS等を見ているときにフッと出てきた兵庫県移住の見出しやシェアされた記事を見られるかもしれない。さまざま縁もあるかと思う。
ただ全国的に地方移住への関心が高い、このタイミングで「カムバックセンター」等をフル活用し、産業労働部との連携も含め、移住・就職での転入超過を目指し、兵庫の魅力をさらに発信できるような取組で県内転入を促進するべきではないか、所見を伺う。
(梶本企画部長)まず、ターゲット層の関心を高めるため、兵庫の魅力を伝える情報発信を強化する。具体には、若い世代の登録が増えた「兵庫e―県民制度」の配信コンテンツを見直し、若年の女性や子育て世代のブロガー等の参画を得て、同世代の視点から兵庫の暮らし、あるいは働き方の魅力を発信していく。また、県移住ポータルサイトの「夢かなうひょうご」に掲載の移住情報を、Facebook等のSNSを活用して拡散を図る他、移住者の暮らしや仕事のリアルを紹介する動画を作成し、YouTubeのターゲティング広告等を展開している。
次に移住に関心のある層には、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな移住支援を実施する。カムバック東京センターでは、従来から行ってきた移住・就労のワンストップ相談に加えて、今年度は新たに関係部局との連携のもとに若者・ファミリー層を対象とした移住イベントを開催。住まいや暮らし、企業、就労など幅広い情報提供と相談に応じていく。
さらに、兵庫への移住を具体的に検討されている方には、お試し移住やワーケーション滞在を促して、兵庫での暮らしの具体的なイメージづくりや細かな心配事の解消へとつないでいきたい。
2、男性の家事・育児等に対する意識改革の推進について
(小泉県議)令和2年の12月定例会で県職員における男性の育児休業等の促進について、私から質問をしたが、令和7年度末には県男性職員の「育児休業」取得率を希望者の100%、対象者全体の30%とする目標が掲げられており、令和3年度は希望者の100%が取得し、対象者全体の取得率が24.6%という状況だ。
また「配偶者の出産補助休暇」は、対象者100%の取得目標に対して、令和3年度では99.2%が取得、「男性の育児参加のための休暇」は対象者100%の取得目標に対して令和3年度では95.8%が取得している。現在、県では男性が家事・育児にしっかりと参加する社会づくりに向けた、企業や事業所等による子育て支援の取り組みを推進するため、子育てと仕事の両立を支援や子育て家庭を応援する企業・職域団体等と県が協定を締結し、協働して少子化対策に取り組み、令和4年3月末には1,448社38団体と締結している。
また、「男性の子育て応援カフェ」や「お父さん応援フォーラム」の開催、家事への参画促進として、家族が家庭運営について話し合う機会を提供するための、家事の役割分担の見直しを考えるツールの作成とキャンペーンを実施する、共家事(トモカジ)促進事業が展開される。
昨年度は「ゆる家事大作戦」として、子育て中の共働き世帯や高齢者世帯、単身赴任世帯等、各家庭で家事を負担と感じる人が増加しているため、家事負担を軽減するための工夫やヒントを発信している。この「ゆる家事大作戦」を男性が家事を担うきっかけとするとともに、現在ホームページの内容にある家事支援サービス等の内容に加え、育児支援では県の福祉等の行政サービスや民間とも連携し、ホームヘルパーやベビーシッター、産後ドゥーラ等の幅広い情報を多くの方に知っていただくべきだと考える。
そこで、育児・介護休業法が改正される中で、男性が育休等取得中、また普段から家事・育児にしっかり取り組めるための家事・育児等に対する意識改革の推進を今後、どのように進めていくのか。
(齋藤知事)県では、昨年策定した、ひょうご男女いきいきプランの中でも、男性の家事育児の増加を一つの項目として取り上げている。数字上はやはり少ないが、通勤など日常生活をしていると、朝の場面ではお父さんが自転車で前と後ろにお子さんを乗せて、保育園に一生懸命走って送り届けたり、ゴミ出しなどもするということで、すごくスタンダードとして広がっているということは実際にある。
けれども、それでも女性と比べると育児や家事に携わる時間はすくなくなっているということで、こういったことを更に理解を深めていくことは大事である。そういった意味で、男性向けのセミナーや企業への出前講座のほか、ご指摘いただいた「ゆる家事大作戦」ということで、男性の方々のさらなる一歩を引き出すということが大事だと思っている。今年度さらに内容を充実させて、各家庭で家事分担について話し合えるようなチェックシートなどの仕掛けづくりも提供していきたい。
男性の育児休業取得に向けた法改正については、男性のそういった取組を加速化させるという一つの好機。県としても男女共同参画センターなどを通じて支援を行っていく。また、女性活躍推進に向けた認定制度というものも今年創設するが、男性の育休取得率などを見える化して、企業の前向きな取り組みを促していきたい。
また、トップ自らがリーダーシップを発揮して、超勤時間の削減や在宅勤務の促進など、働き方改革をしていくことも大事である。県庁の方でもいろいろ改善し、令和3年の超勤時間について大幅に削減させていただいた。こういった形で経済界、それ以外の団体がしっかり連携してやっていくことが大事で県職員に対してもしっかり進めていくことが大事である。
4、低出生体重児と保護者に対する支援について
(小泉県議)全国的に出生数は低下傾向にあり、兵庫県でも令和2年に36,953人と約50年前の約9万人の出生数に対し、減少を続けている。しかし、出生数に占める低出生体重児の割合は令和2年では3,407人で9.2%、平成15年以降、9.1%以上で約1割となっている。
1,500g未満で生まれた赤ちゃんとその保護者のため、母子手帳に書く場所がない新生児期や乳幼児期の医療情報の書き込み、産後ケアや保健師の家庭訪問・乳児健診等にも活用できるなどの手帳「リトルベビーハンドブック」を作成し、運用している自治体が2022年4月現在で、8県6市ある。ちなみに関西で運用しているのは尼崎市のみである。ただし、今年度作成予定の自治体のなかに京都府、今年度検討予定に滋賀県が入っており、関西でも運用される傾向にある。さらに先日、6月1日の大阪府議会定例会において、公明党議員からのリトルベビーハンドブックについての質問に対して、吉村大阪府知事は今年度中に作成・運用ができるようにする旨の答弁があった。
現在、兵庫県では「養育支援ネット」という、養育上支援を必要とする家庭を早期に把握しフォローしていくために、医療機関等と地域保健が連携し、早期から子育てを支援する母子保健医療情報提供システムを整備しており、対象者には未熟児も含まれる。教育支援ネットでは、医療機関等が保護者又は妊産婦の同意を得て、その情報を市町に提供し、市町や健康福祉事務所が家庭訪問指導を行う。医療的ケア等も必要とする未熟児もおり、様々な分野の専門家や関係機関と連携し、きめ細かな保護者への支援については評価する。
一方で、低出生体重児を持つ保護者の方の心に寄り添った、リトルベビーハンドブックのような支援も必要であり、現在、リトルベビーハンドブックを運用している自治体を調べてみると、ホームページでダウンロードができるようになっているところも多く、対象者の方に広くご利用いただけるようになっている。
そこで誰ひとり取り残さない県政を実現するためにも、リトルベビーハンドブックの作成・運用を含め、低出生体重児と保護者への支援がさらに必要であると考えるが所見を伺う。
(齋藤知事)ご指摘のリトルベビーハンドブックについて、低出生体重児とその保護者を対象に作成されており、医療情報、発達・発育の特徴、発達曲線等を自身で記載して、母子健康手帳とあわせて使用するものである。現在、国においてそういったことに配慮した母子手帳の改定が検討されている。 母子手帳を見たが、ご指摘の通リ、グラフを見たら、1キログラム以上しか発達曲線がなく、体重が少ない方、小さく産まれた方は外れており、今の母子手帳の枠組みではそうなっている。我々も点を打ちながら月数、年数に従って、自分の子どもがどういうところにあるかを確認するが、それから外れた場合の心理的な影響はあると思うので、県としてもしっかりと対応していきたいと考えている。県立こども病院の医師や市町、さらに低出生体重児の保護者などの意見を踏まえながら、県独自のリトルベビーハンドブックの作成について対応していきたい。
5、3回目のワクチン接種率向上に向けた取組について
(小泉県議)県では5月がワクチン接種推進月間ということもあり、様々な取り組みを行ったが、新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種率が5月29日時点で、12歳~19歳が16.6%で全国45位、20歳代が36.3%で45位、30歳代が40.0%で44位、40歳代が49.9%で44位、50歳代が69.0%で41位、全体では55.9%で43位と全国的に比べても低い状況にある。
県では大学生等へのワクチン接種加速に向けた取り組みとして、県内大学等から大規模接種会場への送迎支援等に要する経費支援、巡回送迎バスの運行を検討し、県立大学における接種促進策として、学生の県大規模接種会場等における団体接種や学生への啓発活動を行っている。
併せて、企業や私立大学にもお願いをし、職域接種も含めてワクチン接種の加速に取り組んでいる。しかし、先日、モデルナ社ワクチンによる3回目の追加接種を希望する方が当初の予測より下回り、有効期限を迎え、ワクチン廃棄が各地で進んでいるとの報道があり、兵庫県では約18.780回分と多くのワクチンが廃棄された。
ファイザー製ワクチンと比べて副反応が出やすいとの情報もあり、3回目接種が進まなかったことが一つの要因ではあるかと思うが、若者をはじめとした県民の皆様に改めてワクチンの有効性を訴え、3回目接種を推進していく必要がある。神戸大学大学院医学研究科教授・感染センター長の森康子教授は、医療従事者65名を対象にウイルス粒子に結合して感染を防ぐ作用を示す「中和抗体」を調べ「武漢・デルタ株はコロナワクチンの2回目接種から6か月後に中和抗体が減少し、3回目の接種で高い中和抗体が誘導された。オミクロン株では、2回目接種後でさえもほとんど中和抗体が誘導されなかったが、3回目の接種で高い中和抗体の誘導に成功した。武漢株から遺伝子が離れているが、共通して変異することができない遺伝子が存在するということであり、オミクロン株の流行を抑えるためには、3回目接種は重要。ワクチンを接種したから全く感染しないわけではない。【ワクチン=完全な予防】ではなく、感染しても軽症ですむということにつながる」と3回目ワクチン接種の意義を述べている。
またmRNAワクチンに対するアレルギーがある方等を対象としたノバックスの接種も6月1日から開始され、接種率が向上するかもしれない。また、新型コロナコロナウイルスやそのワクチンに対しての様々な情報が流れている中で、齋藤知事も森教授と共に記者会見され、また動画を活用し、3回目接種の促進に尽力されているが、医学的見地に基づいて情報をわかりやすく県民に伝え、3回目のワクチン接種率向上に取り組むべきだと考えるが所見を伺う。
(山下保健医療部長)県では、3回目接種の効果や重要性について県HP等で周知するとともに対策本部会議では、最新の知見による変異株への効果等の情報を報告するなど、医学的知見に基づいた正しい情報発信を行ってきた。国でも自治体向け説明会で効果等の情報を提供しているほか、首相メッセージにおいて若い方々に接種を呼び掛けている。しかしながら、こうした取組を通じてでも今なお若者の接種率は伸び悩んでおり、国に対しては効果等わかりやすく情報発信するよう要請しており、厚生労働大臣からも、国と自治体が連携した情報発信が重要との回答を得ている。
最近、ワクチン接種がコロナ後遺症に一定の効果が認められたという海外の研究等もある。本県としても今後も最新の知見に基づくワクチン接種の効果等について、神戸大学等との連携をさらに強化し、最新の研究成果や情報の発信を行うと共に、若年層をはじめとした県民に対し接種率の向上に向けた働きかけを強化していく。