≪質問項目≫
1、妊娠期を含めた0~2歳児を持つ子育て家庭への支援の充実について
2、不妊治療のペア検査助成事業の現状と改善策について
3、再入院率を低下させるリハビリ専門職の養成支援について
4、ギャンブル等依存症対策のさらなる推進について
5、大阪・関西万博の有効活用について
6、尼崎の森中央緑地の民間活力による賑わい創出について
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1、妊娠期を含めた0~2歳児を持つ子育て家庭への支援の充実について
(谷井県議)私は子育て世帯への支援、特に0~2歳児を持つ家庭への支援が大変重要だと考えている。0~2歳児については、虐待の死亡事例の7割以上占めている、また、保育料無償化の対象が住民税非課税世帯に限定されていることもあり、子どもを保育所や認定こども園等に通わせていない家庭も多く、孤立している家庭もあるなど支援が手薄になっていると感じている。
今回の国の第二次補正予算では、0から2歳児を含めた妊娠期間からの切れ目ない支援を充実させるため、妊娠・出産・育児用品の購入や家事・育児サービスの利用など経済的負担の軽減を目指す「出産・子育て応援交付金事業」が盛り込まれている。具体的には、妊娠時に5万円、出産時に5万円、合計10万円相当の支援を行うとしている。
妊娠・出産・子育てに悩みを抱えていたり、家事支援が必要な世帯に対しては、伴走型で気軽に相談でき、必要な時に必要な支援が受けられる体制の整備が求められている。私は特に家事・育児に孤立感や不安、負担を抱える家庭を対象に相談支援や家事支援等の生活支援を行う事業が不可欠だと考えている。
こうした事業の主体となるのは市町であることは承知しているが、県としても市町任せにするのではなく、先進事例の共有など広域的な立場から事業を実施する市町を積極的に支え市町間のバラツキを軽減していく必要がある。また、すでに地域で子育て支援等に携わっている団体や企業、NPO等の地域資源を有効活用することで支援体制を強化することも必要である。
そこで、少子化を克服し、子どもを生み育てやすい兵庫県を構築していくため、妊娠期を含めた0~2歳児を持つ子育て家庭に、必要な時に必要な支援が受けられる体制をどのように整えていくのか。
(生安福祉部長)県では、出産前後の女性に対し、保健師等が訪問などにより相談を行う産前・産後サポート事業や心身のケアを行う産後ケア事業の他、親子が気軽に集い交流する地域子育て支援拠点事業等の充実に努めている。
特に孤独感を感じやすい在宅育児家庭に対しては、県独自事業として乳幼児の育児や遊び等を学ぶ親子の体験活動等の場を設ける乳幼児子育て応援事業や電話やLINEなどで気軽に相談でき、必要に応じて保険師等の専門家を派遣するアウトリーチ型在宅育児相談事業等を実施している。
ご指摘の伴走型の生活支援事業は、この6月に改正された児童福祉法で令和6年度から市町が取り組む事業として位置付けられた。県としても重要な事業と認識している。このため、市町との会議の場等で事業実施を強く働きかけるとともに、先進事例を収集して情報提供を行う。併せて、法施行前に事業着手する意向を持っている市町への支援や訪問支援員への研修も検討したい。
(谷井県議コメント)伴走型ということで非常に言われている、質問の中でもいいましたが、なかなか保育園・幼稚園に入れられていないそういう家庭の方が、虐待などいろいろな悩みを持っている。どうしても今、孤立化している方が多いということが大きな問題だと思っているので、市町任せではなくしっかりとやっていただきたい。来年度以降も継続して党を挙げて国の来年度予算にもしっかり盛り込んでいくと、10年ぐらいの計画でしっかり作り上げていくという、これも国の大きなメッセージとして公明党挙げてやっているので、これは福祉部に今日は質問したが、保健医療部とも連携するようなところもたくさんあると思う。県としてもそういう体制整備を図っていただきたい。
2、不妊治療のペア検査助成事業の現状と改善策について
(谷井県議)兵庫県では、不妊治療を夫婦で向き合って取り組みやすくするために、不妊治療の入り口となる検査を夫婦で受けた場合に、費用を助成して早期に効果的な不妊治療へつなげる「不妊治療ペア検査事業」を我々公明党の要望を受けて、令和3年度から市町への補助事業として実施され、現在では24の市町で取り組まれている。
しかしながら令和3年度の実績では県下19の市町で33件の利用にとどまっており、実績のない市町が11にも上っている。予算では、1、0000件の申請を想定されていたことを考えると、33件の利用実績はあまりに少なく、所得制限が夫婦合算で400万未満となっていることが大きな弊害になっているのではないか。
一方、国の特定不妊治療費助成制度には所得制限はない。そのことを考慮すれば、県の制度も同様に所得制限は撤廃すべきである。また、対象者が、一カ月以内に男女そろって検査を受けた夫婦と要件が厳しくなっている。男女そろって受診したくても諸事情により一カ月以内の受診が難しい場合もあることから期間も延長すべきである。
この事業は、未来への投資であり大変有益な事業であると、私は強く期待している。そしてなによりも、不妊で悩んでおられるご夫婦に、兵庫県はどの都道府県よりも支援していることをアピールしていただきたい。そこで、これまでの現状をどのように捉えておられるのか、また申請者数の増加を目指すためにも所得制限を撤廃するなど、より使いがっての良い制度に改正すべきではないか。所見を伺う。
(斎藤知事)実は私も不妊治療を行った。新潟で夫婦で受診したときに、男性不妊という原因があることを初めて知った。夫婦で同じタイミングで受診されることが、お互いの理解、一緒に進めていく意味でも大事なことだと思っている。
費用助成制度をしているが、ご指摘の通り利用実績は低いという状況になっている。原因はいろいろあると思うが、議員ご指摘の所得制度がどうあるべきかということ、撤廃も含めてですね。それから、夫婦間の受診期間を延長する、一緒ではなく、間をあけてもよいとする等、不妊治療を希望する方が特に最近は共働きというケースも多いので、さらに利用しやすい制度への見直しを検討することが必要ではないかと考えている。
加えて、男性不妊についての理解促進も不可欠であり、今年10月には私も参加した「不妊治療促進のための県民シンポジウム」を開催して、男性不妊に対する県民の理解の促進を図った。今後もホームページ、SNS、街頭スクリーンでの呼びかけ等、様々な方法を活用するとともに、不妊治療を実施する医療機関の協力を得るということも大事である。例えば、私も経験したが、クリニックに行くと産科と不妊治療をする方が同じ待合スペースになっていて、不妊治療されている方の隣におなかの大きなお母さんがいて、そういう状況は精神的に負担がある。待合スペースの改善ということをシンポジウムで話した際、参加されていた先生もなるほどと仰っていた。そういった医療機関のきめ細やかな工夫ということも県としてしっかり提案していくということが必要だと思っている。
そういうことも含め不妊治療への理解が広がるよう啓発を進めていきたい。子どもを持ちたいと願う方が安心して不妊治療や子育てに取り組めるよう体制整備をすすめていきたい。
(谷井県議コメント・要望)知事から前向きな答弁をいただき、もっと使い勝手のよい制度にかわることを期待している。知事自らの体験を語っていただき、知事が実感されているとおりと思うし、そういうご夫婦は兵庫県から応援されていると感じる。
知事は待合室の話までしていただいた。知事の実感は県民にも同じ思いであると思う。国が不妊治療の所得制限を撤廃したということは、メッセージ性がある。国が生みたいとおもっている人を応援しようというメッセージがこもっていると思う。特に年収合算で400万円以下の家庭で、これから子育てはハードルが高い。収入があって見込める人でないと不妊治療はできないと思うので、所得制限は乖離していると思う。知事から前向きな答弁をいただいたので、ぜひともよりよい制度に変えていただきたい。医療機関についても、女性は産婦人科で見てもらえるが、男性の受入がすくないと聞いている。そういう医療機関への働きかけも、保険適用となったので、この機会に増やしていただきたい。
3、再入院率を低下させるリハビリ専門職の養成支援について
(谷井県議)リハビリテーションは、脳卒中や骨折、関節症から心疾患、呼吸器疾患などの内部疾患への適切な対応が重要になってきている。その理由としては、入院中の運動不足によるフレイルの進行がADLの低下を引き起こし、体調を崩すことで退院直後の再入院が増加しているからである。
ある調査では回復期リハビリテーション病棟をもつ神戸市内医療施設で心疾患患者に対する運動療法に取り組んでいる施設は、18施設中3施設で17%しかなかった。このように、心疾患、呼吸器疾患など内部疾患の患者が増加しているにも関わらず内部疾患患者に対するリハビリを行うことができるリハビリ専門職の人材が不足していると伺っている。
内部疾患患者に対するリハビリの充実は、再入院のリスクを低減させるとともに、フレイル予防にも大変効果があり、社会保障費総額を軽減できる効果も期待されている。そのためにも心疾患、呼吸器疾患など内部疾患の患者に対応できるリハビリ専門職を育成・確保するための研修などについて、県としても積極的に支援するべきである。
そこで、内部疾患の患者に対応できるリハビリ専門職の人材育成並びに人材確保について所見を伺う。
(山下保健医療部長)県では、高齢者社会の進展に対応する地域包括ケアシステムの実現のため、医療と介護の連携を進めるとともに、医師、看護師をはじめ様々な職種における医療人材の確保を図っている。内部疾患患者のリハビリに対応できる理学療法士等のセラピストが、どれぐらいの方がどの分野で活躍しているのか、個々の詳細なデータまでは把握していないが、内部疾患患者へのリハビリテーションは、心疾患や呼吸器疾患の患者を受け入れている多くの急性期病院では早期退院に向けた取組として進められている。一方、回復期病院では一定のニーズはあるが、人材不足等もあり運動器リハビリテーションと比べて、十分には実施されていない。 近年、高齢化により、脳卒中や心疾患、高血圧など複数の疾患を抱える患者が増加しており、ご指摘のとおり内部疾患患者に対応できるリハビリ専門職の確保により、再入院のリスクの低下やフレイル予防など効果が期待できるものと考えている。
県でも循環器や呼吸器など内部疾患患者のリハビリに対応できる人材の育成は重要と考えており、関係団体からの要望も踏まえ、支援策について検討している。引き続き、再入院率を低下させ、また患者のQOLを向上させるためにも、関係団体とも協力し医療と介護の連携強化や円滑な在宅医療への移行体制の確立などを進めていく。
(谷井県議コメント)PTの方がどのくらいおられるか把握できていないということなので、ぜひ調査していただきたい。理学療法士の方からお聞きすると内部疾患系の研修などは取り組んでいる都道府県はほとんどないということなので実現できれば全国初となる。さらにいうと医療機関の方にも保険点数の問題などがあるともう。患者さんのことを思えば内部疾患の方にもしっかりリハビリができるような体制を確立していく、訪問看護ステーションの中でも、これは国の制度の問題もあるようだが、そういう方が活躍できないところもあるように聞いているので、現状を把握して国に要望していってほしい。
5、大阪・関西万博の有効活用について
(谷井県議)先日、大阪・関西万博にあわせて、大阪周辺でも大規模なイベントや国際会議などを開催すれば、経済波及効果額を示す生産誘発額が3,900億円あり、上振れするという試算を大阪のシンクタンクがまとめたとの報道があった。
このシンクタンクによると、兵庫県への経済波及効果は万博を通常通り開催した場合で745億円、拡張万博を行った場合は1,238億円みこまれるとのこと。この上振れ分は関西全体をパビリオンに見立て、万博に合わせて大規模なイベントや国際会議、中小企業が工場内部を公開する「オープンファクトリー」などを行い、宿泊数の増加などによる効果としているが、県で進めようとしているフィールドパビリオンにも通じるものがある。
想定される国内来場者は約2、470万人、海外来場者が約350万人で、国内来場者の内訳は近畿圏内が約1,559万人、近畿圏買いが約911万人となっている。近畿県外からの来場者の一部は、神戸空港や新神戸駅、あるいはパーク&バスライド駐車場、いわゆる会場外駐車場の整備が予定されている尼崎を中継して訪れることも想定される。さらに、JR尼崎駅や阪神尼崎駅など尼崎市の主要駅に万博会場までのシャトルバスを走らせることによって、より多くの来場者が尼崎を中継して訪れていただけることになる。
その来場者が尼崎をはじめとする阪神間や県内に泊まっていただき、買い物や食事を楽しんでいただくことができれば大きな経済効果をもたらすこととなる。そのためには、フィールドパビリオンのほか、万博開催に合わせて各種イベントの開催や宿泊割引支援など万博来場者をターゲットに阪神間をはじめ県内に呼び込むための具体的な施策を市町とも連携して実施すべきである。そこで、その来場者による経済効果を、どのように県に波及させる具体的な策を検討しているのか伺う。
(斎藤知事)県全体をパビリオンと見立てた「ひょうごフィールドパビリオン」を展開し、ターゲットに即したプロモーション、万博会場での情報発信等により、多くの来訪者を地域の現場へと誘っていきたい。また、多彩な観光資源ととの組み合わせや交通アクセスの確保等により、県内への周遊や滞在を促し、地域経済への効果を増大させていきたい。万博期間中には、市・町ごとに姉妹都市交流や万博関連イベントの開催を働きかけるほか、尼崎も含めて主要な駅や港湾、空港など多くの来訪者が行き交う、交通の中継点を活用した誘客や情報発信機能の充実についても検討していきたい。
また、万博は国内外とのビジネス交流の場としても注目されている。万博時に開催される「テーマweekプロジェクト」とも連動し、県内各地でシンクロイベントやビジネスミーティング等も展開していく。観光客だけでなく、自治体や企業のキーパーソン等を地域へ呼び込み、地場産品の販路拡大、新規事業の展開など、地域の経済の振興にも繋いでいきたい。
尼崎市においては、フェニックスであったり、パークアンドライド、それから21世紀の森などポテンシャルのある拠点があるので、そういった万博の活力を兵庫の各地に最大限取り込んでいくということが大事である。県、それから尼崎市をはじめ市・町・民間が一体となって取り組んでいくということが大事で、年度内には全県的な推進体制をそういった方々中心に立ち上げていきたいと思うので、そこをプラットホームにして進めていきたい。
6、尼崎の森中央緑地の民間活力による賑わい創出について
(谷井県議)尼崎の森中央緑地は、平成30年度までに供用した第一工区と第二工区では、尼崎スポーツの森利用者や、私が提案して整備された大芝生広場での各種イベントで、毎年50万人以上が訪れる交流拠点となっていることに感謝している。3年後には万博が開催され、ベイエリアや阪神間には多くの集客が見込まれていることから、尼崎の森中央緑地のさらなる賑わい創出の取組が必要である。
現在、整備が進んでいる第三工区では、私の「立地を活かした海に親しむための施設が必要」との庭園に対し、海辺に整備が予定されている芝生広場では、デイキャンプやバーベキュー場等による賑わい創出に向けた利活用が示されたことに感謝している。
但し、他のバーベキュー場との差別化を図るためにも、周りが海であることから魚釣り施設を整備し、釣った魚などをその場で食することができるバーベキュー施設を整備することや地域の特産品を販売するなど地元密着型で運営する施設として、地域の活性化と交流拠点にすることが重要である。
また、サイクリングロードの整備やレンタルサイクルなど「尼っこリンリンロード」との接続も重要と考える。しかしながら、限られた予算の中、人々が集い憩える空間として機能していくため、施設整備や運営、維持管理も含め民間のアイデアと参画が不可欠で、広く民間に意見を聴き、何度も訪れたくなるような魅力的な場所にすべきである。
2025年大阪・関西万博を契機に、人、モノ、投資を呼び込むための「兵庫県域の大阪湾ベイエリア活性化」の議論も進められている。そこで、ベイエリア活性化を踏まえた尼崎の森中央の緑地第三工区における民間活用について、具体的にどのように取り組んでいくつもりかスケジュールも含めて伺う。
(杉浦土木部長)整備中の第三工区のうち整備予定の海辺の芝生広場については、有識者や地元関係団体・企業で構成する「尼崎21世紀の森づくり協議会」において、デイキャンプやバーベキュー場などさらなる利活用方策について提案をいただいている。今後、このような提案を活かしつつ、さらなる賑わいを創出し、大阪湾ベイエリア活性化につなげていくには、ご指摘のとおり民間の知見や手法、ノウハウを最大限に活用していくことが必要である。このため、民間事業者に対するサウンディング調査を行い、投資ニーズや意見、提案を幅広く聴取する。
このサウンディング調査の結果やご提案の「尼っ子リンリンロード」との接続など地域との連携、そして今年度策定予定の「大阪湾ベイエリア活性化基本方針」も踏まえ、来年度整備内容を決定する予定である。