議会報告

  • 坪井 謙治
    第360回(令和4年12月)定例県議会 一般質問(坪井謙治議員)

    ≪質問項目≫
    1、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る支援について
    2、生活困窮者の自立支援について
    3、有機農業の推進について
    4、犯罪被害者等への支援について
    5、伊丹空港の利活用について
    6、2025年大阪・関西万博に向けた「清酒発祥の地 伊丹」の観光振興、観光PRについて



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1、市立伊丹病院と近畿中央病院の統合再編に係る支援について

    (坪井県議)市立伊丹病院においても、持続可能な医療提供体制の構築に向けて、経営の効率化や再編・ネットワーク化等の取り組みが積極的に進められている。令和2年4月に、地域医療構想における阪神北準圏域が抱える課題等へ対応していくため、伊丹市と公立学校共済組合の間で「市立伊丹病院と公立学校共済組合近畿中央病院の統合に関する基本協定」が締結され、統合新病院の令和7年度中の開院を目指して、様々な取り組みが進められていることは、これまでも取り上げさせていただいた。
    しかしながら、伊丹市における統合新病院の整備工事は、令和4年1月に、工事契約に係る入札公告を実施したが、再び不調という想定外の結果を受けて、整備スケジュールの見直しとさらなる財政負担を余儀なくされている。
    この度重なる入札不調の原因は、コロナ禍の長期化に伴うサプライチェーンの停滞や、ウクライナ危機によるエネルギーコストや輸送コストの上昇、および急激な円安の進行など、世界規模で高まる不確実性の影響等を色濃く受け、建設資材費等が高騰したことなどが要因であると分析されている。
    このような中、兵庫県において実施されている「医療機関再編統合等推進事業」だが、昨年度において補助額の産出方法の見直しを行って頂き、大幅な財政支援の拡充をしていただいた。病院整備事業の実情は、その見直しを大きく上回る建設コストの上昇に見舞われており、これまでの常識を上回る水準で事業費の上積みをしなければ、事業を前に進めることができない状況になっている。
    また、国による病院事業債(特別分)の交付税措置についてだが、全体事業費の40%が措置されるということで、病院整備事業に大きな影響を与える財政支援措置となっている。上限となる基準単価が設定されており、基準単価を超える事業費に対しては交付税措置がなされない。
    総務省においては昨今の事業費の動向を踏まえ、令和4年度より平米36万円の基準単価を40万円にまで引き上げられたが、現状の建設物価情勢においては、とても平米単価40万円では公立病院を建設することはできない。当然のことながら伊丹市で予定されている統合新病院整備事業の工事費も、建築資材の高騰等により平米単価40万円を大きく上回っている。
    阪神北準圏域での高度急性期・急性期医療及び救急体制を強化し、地域医療の基幹病院として機能を早期に確保する必要があるが、現下の資材高騰等により計画的な整備が危ぶまれる状況を踏まえ、県地域医療構想の実現に資する、伊丹市における統合新病院の整備事業を円滑に進めるためには、県における財政支援の拡充とともに、国による病院事業債(特別分)の交付税措置単価のさらなる引き上げを要望することが必要である。県の見解を伺う。

    (山下保健医療部長)統合される新病院については、再編統合に伴う施設整備補助に加えて、高度急性期医療の提供に必要な設備整備等への支援も決定するなど、積極的に支援している。また、再編統合等に伴う、施設整備補助については、昨年度、1病床当たり550万円から900万円に大幅に単価の見直しを行った。
    物価高騰の社会情勢が不安定な中ではあるが、両病院の再編統合において、同補助金を有効に活用していただきながら、統合新病院の整備を進めていただきたいと考えている。また、病院事業債については、物価高騰を踏まえ本県としても地方交付税措置の対象となる建築単価の上限の引き上げを国に要望しているところである。
    引き続き、限られた医療資源を有効に活用し、住民が住み慣れた地域で適切で必要な医療がうけられるよう両病院を始めとした地域医療体制の整備を支援していく。



    3、有機農業の推進について

    (坪井県議)有機農業には1,良質な土を造り栄養不足や病中害を防ぎながら、農産物の生産性と品質を確保するための技術的ノウハウ、2,一般的な農法と比べて多く投入が必要となる労働力の確保、3,土づくりなどに必要な資材の確保、4,有機JAS認証を取得する場合は手数や経費の負担、などのハードルがあり、担い手不足が深刻化する中取組困難な農業者が多い。
    県には、農業者がこれらのハードルを乗り越えるための支援が望まれるが、有機農業の取組を推進する上では、販路の確保やブランド化も重要だ。コウノトリ育むお米で有名な豊岡では、有機農業面積が着実に拡大しているが、それを後押ししている取組の一つが流通・販売の拡大に向けた取組である。具体的には、豊岡市が中心となり生産者やJAとともに、地元はもとより首都圏・京阪神・沖縄のスーパーなどで消費者・実需者の意向調査を行ったり、また、海外への販路開拓を目指してアメリカ・香港などでも意向調査・PR活動を展開している。 販路の確保のためには、どの地域でどのような有機農産物が求められるのかを把握するため、こうした消費者・実需者の意向調査を踏まえた販促活動が重要である。さらに、学校給食も販路として可能性がある。学校給食における有機農産物の提供が拡大すれば、有機農産物の継続的な需要を確保できるとともに、有機農産物の普及啓発にもつながる。
    また、「環境に配慮した食糧生産」と「食の安全」を実現する上では「兵庫県認証食品」の普及拡大を行っているが、有機農業の拡大のためには、有機農産物に絞ったブランド化も必要ではないか。有機農業を推進するためには、販路の確保、学校給食での利用促進、ブランド化など多様な支援策の更なる拡充が必要である。見解を伺う。

    (齋藤知事)さらなる拡大には各地域や生産者の実情に応じた多様な出口対策が必要である。このため、市町が主体的になって、学校給食での活用や有機農産物のブランド構築、加工品の開発など地域の適した販路の確保に取り組む、これは国庫事業だが、オーガニックビレッジ事業を、全国で最多の5つの市、豊岡・養父・丹波篠山・丹波・淡路でそれぞれ実施しており、県も技術指導などの形で積極的に支援している。
    学校給食については、価格が高かったり、産地側の供給力、それから学校側の受入ニーズが高くなってきており、市町の実情に応じた支援がこれからも大事だ。現在、市町教育委員会に意向調査を行い、その結果を踏まえて有機農業に詳しいアドバイザーを登録・派遣し、産地とのマッチングや調達支援を通じて有機農産物の利用拡大を促進していきたい。
    また、ブランド化については、有機JAS、それからひょうご安心ブランドの認証取得が大事なポイントになるので、兵庫県認証食品のPRとともに、ブランド化にあわせて需要者のにーずとのマッチングにも取り組んでいきたい。この分野については有事農業の分野というのは少し取り組みがバラバラとしていると感じていたので、一方で今回の議会も先般の議会もそうだが、県民と直接お話していても、有機農業への期待、そしてニーズは高いものがあるので今後の有機農業の展開方策を改めて体系的に議論して検討していくことが大事かと考えたので、今後、環境問題や流通など生産・流通・消費のいろいろな方面から体系的に検討するというのを幅広い専門家、当事者にも入っていただく検討会を早期に立ち上げていきたい。検討会から提案があって議論しながら、その取り組みの中で実現可能なものから順次具体化を図るなど、支援策の充実とともに有機農業をより体系的、多面的に実施していきたい。



    5、伊丹空港の利活用について

    (坪井県議)現在、国内では新型コロナウイルス感染症の感染拡大による行動制限は設けておらず、出入国に係る水際対策も大幅に緩和されたことで、日本を訪れる外国人観光客が増加している。9月18日に開催された第12回関西3空港懇談会では、2025年万博後においても、観光・MICE、国際ビジネス等の振興・育成に取り組みつつ、国内外諸都市との航空ネットワークの拡充に努め、長期的な視点で関西と関西空港の一段の成長を図っていくことが重要であるとの認識のもと、2030年代前半を目途に、関西空港の年間発着回数30万回の実現をめざすことが合意された。
    また、神戸空港については、関西空港・伊丹空港を補完する空港として、国内線の1日当たりの最大発着回数を120回に拡大すること。そして、就航が規制されていた国際線についてもチャーター便は2025年の万博開催時に、また、定期便は2030年前後を基本として1日当たり最大発着回数40回の運用を可能とすることが合意された。
    今回の合意は、3空港の歴史的な経緯を踏まえつつ、コロナ禍で大きなダメージを受けたものの将来的に拡大が見込まれる関西の航空需要に対して、未来志向で3空港のより一層の最適活用につながる合意である。コロナ禍前においては、高校の修学旅行でも海外に行く学校が増えており、ビジネス面でも観光面でも海外に出る事が特別なことではない時代になってきている。
    今後、ウイズコロナ、アフターコロナ時代になれば、拠点空港だけでなく多数の地方空港において国際線の就航が伸展するであろう、そして全国の空港がゲートウエイとしても機能を発揮し、空港周辺地域の活性化に大きな役割を果たす。しかしながら、前回と同様に伊丹空港については、拡大する航空需要や利用者ニーズの変化に合わせて、航空会社が柔軟に就航路線を設定できるようにするための具体的な議論がなされなかったことは残念である。
    一方で今回のとりまとめにおいて、伊丹空港についても2019年の本懇談会のとりまとめに基づき、今後のありかたについて必要な議論を行うことが合意されていることには期待をしている。そこで、伊丹空港の利用者の行動制限緩和後の回復状況が関西空港や神戸空港と比較してどのような状況にあるのかを踏まえ、今後の伊丹空港の利活用を高めるためどのように取り組んでいくのか。

    (杉浦土木部長)伊丹空港の今年10月の利用客数はコロナ禍前、令和元年度の約90%まで回復しているが、すでに関西空港の国内線や神戸空港などは、コロナ禍前と同水準まで回復している。これと比べると回復が遅い状況となっている。
    伊丹空港はまず、この利用客数をコロナ禍まえの水準まで回復させることが必要となっている。このため、利用率の低下が大きい福島、新潟、長崎等の就航先に対し、地元伊丹市とともに、例えばフェスタふくしまなど就航先のイベントでの伊丹便利用の呼びかけ、また、現地の新聞社・商工会議所に対する利用の働きかけを行っている。さらに、今後は就航先の自治体の皆様に兵庫県に来ていただき観光PRを行って頂くような働きかけをしていく。
    2025年大阪・関西万博を控え、拡大する航空需要を取り込むには、国内線の基幹空港である伊丹空港が果たす役割は大きい。今後も、地元自治体等と連携し利活用の促進に努める。



    6,2025年大阪・関西万博に向けた「清酒発祥の地 伊丹」の観光振興、観光PRについて

    (坪井県議)酒造りとともに発展した伊丹郷町をはじめ、伊丹市中心街地には歴史的・文化的資源、経管資源など数多くが集積している。日本三大私設道場のひとつであり、全日本なぎなた連盟の本部として、なぎなたのけいこができる修武館をはじめ、市の都市景観形成建築物に指定されたビアレストランを併設した「白雪ブルワリービレッジ長寿蔵」、国の重要文化財に指定された「旧岡田家住宅・酒蔵」、県指定文化財の「旧石橋家住宅」などは当時の面影を残し、地域のシンボル的景観として多くの人々に親しまれてきた。特に、伊丹郷町周辺については、重点的に景観形成を図る区域に指定しており、その中でも「伊丹酒蔵通リ」は全国規模の平成20年度都市景観大賞「美しいまちなみ優秀賞」も受賞している。
    そのほか、日本三大俳諧コレクションとしても知られる「柿衛文庫」に加え、伊丹郷町館、美術館、工芸センターの4館で構成される「みやのまえ文化の郷」に博物館機能を移し「酒と文化の薫るまち」を基本テーマとした、歴史・文化・芸術の総合的な発信拠点である「市立伊丹ミュージアム」が今年4月に開館し、新たな賑わいが生まれている。さらに平成21年にスタートし、これまで官民連携で27回開催され、毎回、市内外の多くの来街者で盛り上がる日本最大級の「食べ歩き・飲み歩きイベント 伊丹まちなかバル」などの多様なイベントも継続して開催されている。このように伊丹市は数多くの観光コンテンツを有している。
    私は令和4年2月定例会において、2025年大阪・関西万博に向けた伊丹をはじめとする県内への誘客につながるPR強化などについて質問をした。その際、斎藤知事からは、誘客と特産品のプロモーションは一体的に行うことが効果的であること、大阪・関西万博を大きなチャンスととらえ、2023年の兵庫デスティネーションキャンペーンにおける「兵庫テロワール旅」コンテンツのさらなる磨き上げを行い「ひょうごフィールドパビリオン」を通じて、万博の来場者を県内各地への誘客につなげていきたいこと。そのために市や町としっかりと連携していきたいとの答弁もいただいた。
    いよいよ、万博開催に向けた具体的な準備が始まった。2025年日本国際博覧会協会は、大阪・関西万博の想定来場者数を約2、820万人、うち海外からも約350万人と見込まれている。今後、ウイズコロナの時代が特別な事象でなくなっていくのに合わせて、インバウンドもさらに回復していくことが予想され、リピーターが増えることで、より日本の歴史、文化や日本人が当たり前に楽しんでいる生活及びイベントを体験できるサービスへのニーズが拡大すると思う。兵庫県には伊丹空港、関西空港、神戸空港、新幹線やクルーズ船など、様々な交通インフラから訪れることができる。世界的イベントである万博に向け、伊丹市はじめ本県をどのようにPRして誘客しようとしているのか。

    (齋藤知事)今年からデスティネーションキャンペーンが始まっているが、テロワール旅の企画として、私立伊丹ミュージアムでの阪神間の酒や建築の歴史を堪能する体験型の日本遺産ツアーを造成した。9月には全国の旅行者を対象に体験ツアーもやっているので、空港から近いというのもひとつのポイントだから、こういった商品化が期待されると考えている。
    万博に向けても、さらに海外旅行者への発信というものも大事なので、来年度はヨーロッパなどでの旅行博やそういった商談の機会を通じて伊丹をはじめ兵庫の取組をしっかり発信できるようにしていきたい。フィールドパビリオンにも言及いただいたが、SDGsをはじめ、いろいろな取り組みを発信するということだが、伊丹には様々な清酒の発祥や様々なコンテンツがあるので、新しい取り組みに加えて、すでにそういった酒蔵を含めた町づくりの中で、SDGsを含めた持続可能なコンセプトが内在しているということもある。そういったものの掘り起こしを、磨き上げを地元の皆さんと一緒になってやっていくということで万博、その先のワールドマスターズゲームやいろいろな機会で伊丹も含めて兵庫の観光の飛躍につなげていきたい。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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