≪質問項目≫
1、公共交通のバリアフリー化の促進について
2、はりま姫路総合医療センターのフルオープンについて
3、県立病院での看護師の安定的な確保に向けた処遇改善について
4、学校問題サポートチームの活用について
5、不登校児童生徒への支援について
6、今後の信号機の整備等について
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1、公共交通のバリアフリー化の促進について
(天野県議) 地元の姫路市では、鉄道やバス等の公共交通ネットワークにより、地域間の交流・連携を図るまちづくりを目指しており、今後、鉄道駅の役割がますます重要となってくる。しかし、姫路市内にある31の鉄道駅の中には、バリアフリー化されていない駅、アクセス道路が狭い駅、違法駐車がある駅など、まだまだ課題の多い駅がたくさんある。その中でJR京口駅の駅舎やその周辺道路、JR東姫路駅より新県立病院(県立はりま姫路総合医療センター)への経路、アクリエひめじ周辺通路等について、階段やエレベーター、歩道等のバリアフリーの整備状況について市民から多くの要望を聞いている。
京口駅周辺には県立姫路東高等学校をはじめ、淳心学院・賢明女子学院・県立歴史博物館・市立美術館・城内図書館・姫路医療センターなどがあり、近年建設された県立はりま姫路総合医療センターや姫路市文化コンベンションセンターアクリエひめじも徒歩圏内にある。
そして何よりも住民が要望されている理由は、駅周辺には多くの団地があり、住民が高齢化してJR京口駅を利用したいが、バリアフリー化されていないため、利用しづらいためである。以前から要望してきたがその声は大きくなっている。
国土交通省では、新たなバリアフリー化の整備目標の達成に向けて、令和3年5月閣議決定された、第2次交通政策基本計画において示された方向性を踏まえ、令和3年12月に、鉄道駅のバリアフリー化により受益するすべての利用者に薄く広く負担していただく制度である、鉄道駅バリアフリー料金制度が創設されている。本料金制度では、鉄道事業者が路線ごとに活用の有無を判断し、活用する場合は利用者から収受した料金をホームドアやエレべーターなどのバリアフリー設備の整備(設置、改良、更新、維持管理等)に充てられることとなっている。
鉄道駅バリアフリー料金制度が創設されるとともに、1日平均乗降客数3千人以上の駅のバリアフリー化は令和4年度で完了するが、3千人未満の駅でも周辺に病院や社会福祉施設などがある駅等は早急に着手する必要がある。そこで、JR播但線京口駅や、その他の料金制度を活用しない3千人未満駅のバリアフリー化の促進について制度の拡充など当局の考えを伺う。
(斎藤知事)JR京口駅は、3千人未満の駅であるものの高齢者や子育て世帯の利用が3千人以上駅と同程度である。現行の支援対象であるため、鉄道事業者にエレベーター設置を要望してきたが、まだ事業実施には至っていない。しかし、市がバリアフリー基本構想を令和4年3月に改訂し、当駅を重点的に整備すべき施設としたことを受けて、現在は鉄道事業者も優先して整備が必要な駅と位置付けている。
県では、来年度から料金制度を活用しない路線の未整備駅については、現行の支援を継続するとともに、支援対象に病院や社会福祉施設等の最寄り駅も追加していく。さらにJR京口駅のようなバリアフリー基本構想に位置付けられた駅は、鉄道事業者の費用負担が0となるよう補助率を拡充することから、早期着手に向けて鉄道事業者と協議を行うと共に、国に対して予算確保を働きかけていく。
2、はりま姫路総合医療センターのフルオープンについて
(天野県議) はりま姫路総合医療センターは昨年5月、34科640床で開院し、現在4月に向けて736床でのフルオープンの準備が進められている。計画が発表された当時、私は公明党姫路市議団として市内の中核病院を廻って勉強会を開催した。その際にいただいた、新しい病院を設置するにあたっての要望で印象深かったのは「医師確保も含め人材の確保のためには、交通の便の良い場所で建設すること」と「子育てしやすい職場環境を整えてもらいたい」というものだった。
また、昨年11月には、はりま姫路総合医療センターのフルオープンに向け、公明党姫路総支部として中播磨・西播磨の公明党のネットワークの中で、同センターのリーディングホスピタルとしての機能をフルに生かし、播磨地域の医療連携体制を考えるための勉強会と院内視察を実施した。
木下院長は快く受けてくださり、有意義な視察となった。その中で院長から開院後の状況で課題となっているのは、フル稼働しているMRIの増設、患者さんが使用できるWi―Fi通信の完備、医師養成のための研修医の増員であることを伺った。早速、斎藤知事にも視察・研修したことと要望を伝え、知事からは「できることから検討していきたい」と言って頂いた。
今後、しっかり機能させるためには、医師・看護師等の確保や具体の運用方法などハード・ソフト面の充実が最も重要である。4月に向けた準備の進捗状況を伺う。
(杉村病院事業管理者) 現在、院内でワーキングを立ち上げ、新たな人員の確保や医療機器の整備、診療科ごとの病床配分など多岐にわたる課題整理を行ったうえで、順次対応を図っている。人員確保については、臨床研修医の増員など医師確保を進めていくほか、業務量の増加に対応できるよう看護師や医療技術職の確保にも努めている。医療機器については、МRIの増設や新たに病棟に超音波診断装置を設置するなど医療機器の充実も図る。また、患者の療養環境の向上につなげるため、Wi―Fi整備も進めている。
フルオープンを機に「はり姫」の使命である、播磨姫路圏域での中核的な役割を果たす病院としてスタートラインに立つことができる。県域の医療機関とも綿密に対話を重ね、役割分担と連携強化の方策を検討していく。
3、県立病院での看護師の安定的な確保に向けた処遇改善について
(天野県議) 病院局では、医師や看護師の安定的な確保に向けて取り組みを進められている。私は入院した時も、医師や看護師の方々は精神的に負担のかかる中で、昼夜を問わず患者の治療やケアを担っておられたので、働きやすい環境づくりを更に進めていただきたい。
そのような中、看護師の方からお手紙をいただいた。内容は「現在、育児休業中で今後、子どもが1歳になるため、復帰したいと思っているが、夜勤をしないといけないことが大きな妨げとなっている。院内に保育園があり、夜間も見てくれているが、子どもの精神面を考えると、知らない方と寝るよりも自宅の慣れた環境で私又は夫と一緒に寝てあげたいという想いがある。実際のところ、子どもの育児のことや夫が仕事終わりに保育園に行き、夜間の育児をして次の日に保育園へ送り仕事にいくことなどを考えると、仕事復帰が難しく転職も考えている。
夫の仕事の状況に関係なく、小学3年生くらいまでは夜勤の免除を選択できるようにしてもらえることで、早い段階から仕事復帰ができ職場に貢献できる。そうしてもらえると、私だけでなく、多くの育児休業スタッフも仕事復帰しやすくなり、働きやすい環境になると思う。県としても子育てをしながら働ける環境づくりに取り組んでいただけると助かる」といった内容であった
このかたに限らず、同じような悩みを抱える看護師も多くおられると思うので、人員を十分配置するとともに、多様な勤務形態の整備や育児支援制度の充実・利用促進など、魅力ある職場環境づくりをさらに推進する必要がある。
そこで、看護師にとって働きやすい環境づくりなど、看護師の安定的な確保に向けたさらなる処遇改善にどのように取り組むのか所見を。
(杉村病院事業管理者) これまで働きやすい環境づくりに意を用いてきた。具体的には、勤務形態において夜間の出勤回数の減少や休暇の取得促進につながる2交代制勤務の導入に続き、昨年度からは、希望する職員が一定夜間勤務だけを行うことで、他の職員の負担軽減につながる夜勤専従勤務をとりいれた。配偶者が深夜に小学校就学前の子を養育することができない場合には、育休法に基づく夜勤免除制度も設けている。
また、給与面では、夜間の看護業務に対する特殊勤務手当を段階的に拡充するなど処遇改善に努めている。一方で、病棟看護師の配置数は、診療報酬上の基準を踏まえ、夜勤体制を基本として、患者の重症度や業務量を勘案して決定しており、それを超える配置は大きな経営上の負担となることはご理解いただきたい。これまでに導入した制度の効果検証を行い、必要な見直しを行うと共に、個々の職員の状況や職場実態を踏まえたきめ細かな制度運用に努めていく。
5、不登校児童生徒への支援について
(天野県議) 兵庫県における2021年度の不登校児童生徒数も、公立小学校で3、643人、公立中学校で7、679人と増加しており。深刻な状況となっている。21年度は新型コロナ感染が急拡大し、小中学校生の感染者数は20年度に比べ急増した。これらによる学校生活の変化も大きく影響したと考えられる。
これまでも県では、欠席が継続している児童生徒への支援、スクールカウンセラー等と連携した校内相談体制の充実などで不登校の未然防止に向けた取組をしているが、不登校児童生徒の個々の状況に応じた支援を充実させるため、学びの多様化の観点から、フリースクール等の民間施設との連携を図ることも大切だと考えており、県では民間施設との意見交換会の開催、「民間施設に関するガイドライン」の活用、研修会等で市町組合教育委員会や学校に活用の周知を図るなどに取り組まれている。
以前、優秀で人格者で生徒に慕われていた先生が「40年ほど勤めた教師生活の中で反省すること」として語られたのは「不登校になった生徒を一人も学校に復帰させることができなかったこと」との自戒の言葉だった。それほど不登校の問題は本人だけでなく、教員・保護者にとっても深刻な問題である。そこで、県では不登校児童生徒を支援するため「ひょうご不登校対策プロジェクト」を新たに構築されているが、不登校児童生徒への支援についてどのように取り組んでいくのかを伺う。
(藤原教育長) まず、不登校に関する県下約50の関係機関が一堂に会した「ひょうご不登校対策推進協議会」を立ち上げる。不登校児童生徒の現状の共有や支援のあり方などを協議し、県全体の取り組みにつなげていく。また、学識経験者や専門機関で構成する「不登校対策推進委員会」を設置し、取り組みの検証と効果的な支援の方向性を検討していく。
次に、地域での連携した取り組みを推進していく。教育事務所単位に「ひょうご不登校対策地域会議」を設置して、学校問題サポートチームを中心とした地域の連携体制の構築、地域の状況に応じた不登校対策を推進していく。 また、不登校担任教員などを対象とした実践研修会も地域ごとで開催していく。各学校においては「不登校対策支援プラン」を作成し、組織的な取り組みを進めると共に、各市町で設置する「不登校対策連絡協議会」において、管内の取り組み状況を共有し、課題や支援のあり方をそれぞれの地域会議、さらには県全体の推進協議会につなげていきたい。
現在「学校の組織的な対応」や「教員向けのQ&A」「実践事例」等を掲載したリーフレットを作成しているところであり、今後、すべての小中学校に配布し、対応策への共通理解を図っていきたい。今後とも、行政、関係機関、学校、そして地域が一体となって不登校対策を総合的に推進していく。
(天野県議(再質問)) プロジェクトチームの表を見せていただき、県全体で取り組むこと、市町の教育委員会が中心として取り組むこと、最先端である学校内で取り組むこととなっているが、これまで、先程も言って頂いた民間の力も借りるという意味での、フリースクールなどのガイドラインもつくって、行っていただいたが、中に入ってしまって、公立だけ、または教育委員会だけになってしまう可能性というものが、だんだん進めていく中で、ないようにフリースクール等の民間施設等にも関わって、広く進めていくんだということの認識もプロジェクトの表の中に書き込むなり、しっかりと表示しておかないとまた固まってしまうのではないか。
(藤原教育長(再答弁)) 県推進会議には関係機関50ほどの機関に参画していただこうと思っている。まさにそこには、県下のフリースクールとの意見交換をしているので、フリースクールの代表の方にももちろん入っていただくし、保護者の方々をはじめ、これまで携わっていただいた方にはすべて入っていただくということで、一丸となった意見交換の場として、課題を共有し、またいろいろな提案がでてくると思うので、それらを次の施策に反映していきたいと思っている。それは、全体の県の会議だけではなく、地域の会議でももちろんフリースクールの方々に入っていただき、共有しながら次なる対策に繋げていきたい。今後もそのことを明記していきたい。
(天野県議コメント) やはり不登校で悩まれている、そして自分の身内や家族で学校に行かなくなったというだけで、仕事が手につかないというようなこともあるので、しっかりと全体で取り組んで、このプロジェクトチームが成功するように願っている。