≪質問項目≫
1、県庁における働き方改革と県庁舎再整備の考え方について
2、物価高騰に苦しむ一般家庭や中小事業者等の支援について
3、新たなスポーツ振興について
4、新型コロナウイルス感染症再拡大と次なる感染症危機への備えについて
5、帯状疱疹ワクチン接種補助について
6、中小企業のDX化の支援について
7、新規就農者の確保について
8、私立高校の授業料無償化について
9、不登校児童生徒に対する支援について (1)ひょうご不登校対策プロジェクトについて (2)県内公立小中学校におけるスクールカウンセラーの増員について
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1、県庁における働き方改革と県庁舎再整備の考え方について
(小泉県議) 診断結果が出ていた1号館を含め、1・2号館の取り扱いについて、3月29日の記者会見で知事は「安全性の観点からいったん撤去、令和7年度から退去し、新たな働き方を進める。出勤率4割、そしてリモートワーク、ペーパーレスも含めて徹底的に導入する。その中でも、最低限この規模の庁舎が必要ということになれば、どのような新しい庁舎が必要かを考えていく」と述べられた。
また、出勤率4割の目標設定の根拠として、知事は会見で「コロナ禍では出勤率約4割で業務を行っていた。テレワーク、またペーパーレスかつフリーアドレスで職場の仕組みやオフィス環境を変えていく。そうすると出勤率4割は可能だ」と述べられた。県では、令和5年2月に「新しい働き方推進プラン」を策定し、本年6月5日から来年の2月27日にかけて、出勤率4割程度を想定した上で、生田庁舎を活用して各部局単位1か月交代で業務を行い、新しい働き方モデルオフィスが開始されているが、不安や課題がある。
まず、県民サービスの低下である。窓口業務は県庁1・2・3号館で行うとしているが、単純に県庁にいる職員が減っている分、県民に対して迅速的かつ丁寧に対応ができないのではないか。
次に職員間のコミュニケーションや業務の進捗管理に支障を来たすのではないか。そして、これはコロナ禍で我々も経験したが、議員との連携が円滑にできないのではないか。県民からの相談に対して、迅速に対応するためには、しっかりと職員と議員との連携が重要である。新しい働き方モデルオフィスの実施期間中においても、この不安や課題への対策を講じていただきたい。
また、挑戦するのなら知事も会見で言われていたが出勤率4割はおそらく、県レベルの自治体では初になると思うので、全国の模範となるような兵庫県の働き方改革を目指してほしい。こうした期待も含めて、出勤率4割が実現できるのか、また、知事は「出勤率4割を目標として、施行と調整をしていく。その中で出勤率を下げられれば下げ、難しいことが出てくれば新庁舎の整備の検討に繋がる」と述べられているが、改めて県庁における働き方改革と県庁舎再整備の考え方について所見を伺う。
(斎藤知事)自治体では全国初となる出勤率4割を目標とし、職員と共に新しい働き方にチャレンジしていきたい。議員の先生方へのレクチャー等についても、適切に対応していきたい。一方で、文化庁が京都に移転した時に、東京の議員会館のレクについて、対面でレクをしにきてほしいという要望があり、わざわざ新幹線で行ったというケースがあるように報道された。これからは、相談しながらではあるが、働き方改革の中で、レクチャーなどについても対面以外の方法を、今電話でもさせていただいているが、オンラインでレクチャーや説明なども取り入れさせていただきながら、よりよい方法を追求していきたい。
現行規模の庁舎の建て替えは700億円を超えるもとの案、今の時点であれば1000億円を超えていた。これは県民の理解を得るのは難しいと考えているので、いったん立ち止まってという形にした。今後、新しい働き方を追求して、執務スペースそのものをダウンサイジングしていくことが大事であると考えている。
(小泉県議(再質問))ただ、県民ファーストで県民の困り事などを第一に考えていかなければならない、といった時のマンパワーというか、人がその場に必要ではないかと考えたりもする。いまモデルオフィスをしている中で、できなかった場合のことも考えているとは思うが、そのことも踏まえて、どのように検証し、モデルオフィスとして、また今の実情の中で細かく見ていこうとしているのか。県民へのサービスの低下が起こらないようなモデルオフィスの活用の仕方などをもう一度教えてほしい。
(斎藤知事)今、やりながら検証している。もう一点は、これから各部の業務を洗い出していくことが大事。基礎的自治体の市町村と違って県なので、どこまで県民に直接のサービスが本庁としてどこまであるのかというところだ。今回の取組は本庁機能の4割出勤化を目指すという形になるので、様々な出先機関での直接のサービスは引き続き対面でやっていく。
その上で、DXやペーパーレス、デジタル化をどのように入れていくかが大事な視点。そこが事業者にとってもメリットが生じるのであれば、やっていきたい。それがサービスの向上になるということにもつながる可能性もある。
(小泉県議コメント)とにかく県民のための県庁であり、われわれ議員であるということであるので、そこに向かって邁進してほしい。
2、物価高騰に苦しむ一般家庭や中小事業者等への支援について
(小泉県議) 私ども公明党はガソリン代を1リットル168円以上に上昇しないように抑えて、月々の補助上限額を調整しながら9月末まで実施。あわせて、一般家庭向けに1月から9月までの電気代を1kWh当たり7円の補助、都市ガス代を1㎡あたり30円の補助等を推進した。また、新型コロナ対策のための2020年度に創設された地方創生臨時交付金は、昨年から物価高対策にも使えるようになり、予算も上積みされた。
同交付金の活用方法は地域によってさまざまで、生活困窮者や子育て世帯向けの給付金、学校給食費の負担軽減、省エネ家電購入費への補助、プレミアム付き商品券の発行といった生活者支援のほか、介護・保育施設などへの支援金、農林水産業や観光業など地場産業への補助金など、地域の実情に応じた施策に使われている。本定例会にも地方創生臨時交付金を財源の一部とした6月補正予算案が上程されている。
我が会派では3月20日にエネルギー価格高騰・物価高騰対策に関する知事への緊急要望として、食料品等の物価高騰に苦しむ一般家庭や中小事業者等を支援するため、はばタンPay等の電子クーポンや高齢者にも使いやすい紙媒体によるプレミアム付き商品券発行事業やLPガスを利用している一般家庭への負担軽減の実施を要望した。
実質賃金の上昇が長引く物価高騰に追い付かない状況に生活者や中小事業者等は不安な日々を送っている。今回の補正予算案には、一般家庭や中小事業者等への支援策が盛り込まれているが、これまでの対策との違いやポイントについて所見を伺う。
(斎藤知事)国が措置した臨時交付金を活用し今回補正予算として編成した。特に重点を置いたのが、県民の家計支援である。県民と話したりすると、卵や牛乳など様々なものが高くなって家計が厳しいという声がある。以前、はばタンPayは飲食店で使える形として行ったが、今回の補正予算ではそれに加えて県内のスーパーなど小売店等で幅広く使えるキャンペーンにした。プレミアム率についても、25%をベースにし家計負担の大きい子育て世帯向けには50%のプレミアム率を設定し、県民生活を下支えさせていただきたい。
また、プロパンガスやLPガスの利用世帯が県内で50万世帯ほどあるが、ここが国の激変緩和策の対象外となっており、電気やガスは国の激変緩和策の対象になっているが、LPガスは対象外となっている。これについても今回の補正予算で利用料金を軽減させていただくという対応をさせていただく。それ以外にも学校給食費の増額分への支援や社会福祉施設、学校、医療機関等への一時支援金を通じて、できるだけ利用者負担の増加を抑制し、県民生活の安定化を図っていきたい。
また、経営環境が悪化している中小事業者等への支援も強化する。国支援の対象外となる特別高圧電力を受電する中小企業等に対して新たな負担軽減対策を実施する。また、新事業として「デジタル化・省人化推進枠」を新設し、燃料油価格の高騰に加え、原材料高に苦しむ水産加工事業者を支援していきたい。
6、中小企業のDX化の支援について
(小泉県議) 本県は98.9%の中小事業所で構成されているが、中小企業庁がまとめた「2023年度版 中小企業白書・小規模企業白書」では、物価高騰、深刻な人手不足など経営環境が引き続き厳しい状況であると記されている。また、明年はいわゆる「物流の2024年問題」との社会問題も待ち受け、さらに中小企業にとっては経営者の高齢化も深刻である。
あるホテルの経営者からは「部屋は空いているのだが、従業員やアルバイトの人員を確保できない。インバウンドも戻っているのに、宿泊予約を受けることができず残念だ」との落胆の言葉や、あるタクシー会社からは「タクシーの台数は十分あるが、ドライバー不足で運行台数を激減せざるをえない」との悲痛な声も聞いている。
こうした課題の解決に向け、AIの活用やDX化の支援をより強固に推進する具体的な伴奏型の支援によって、労働生産性を高めていくことが大切である。本年3月に発表された「ひょうご経済・雇用戦略(2023~2027年度)」の「9つの重点プロジェクト」には「DX等による生産性の向上」「経営の持続性向上」が示されている。所管課に確認したところ、2021年度以降の県内における「相談企業数」は計355件と県内企業のニーズの高さが伺える。その一方で「実装に結び付いた件数」は21件で、継続支援を受けている243件についても相談が実装に至るよう期待されるところだ。
また、昨年3月の「兵庫県県内雇用状況調査 集計結果報告書」では、県内起業約1、000社への「DXについて」のアンケートに対して、DXに取り組んでいる割合は、わずか18%で、わが県は中小企業のDX化にたいして、のびしろが大いにある。
知事が掲げる「躍動する兵庫」の実現にためには、中小企業の持続可能な経営が不可欠と考えるが、中小企業のDX化を進める具体的な伴奏型支援について所見を伺う。
(斎藤知事)デジタル技術の活用による労働生産性の向上が大事であると考えている。製造現場などでのDXの導入推進、さらにはリスキリングを含めたDX人材育成の両面を進めていく必要がある。兵庫県はものづくりのGDPに占める割合が30%前後と非常に高いものづくり県であるので、現場レベルで具体的な助言をしていくことが大事である。そこで新産業創造研究機構や県内スマートものづくりセンターに相談窓口を設けて、伴走型の支援をこれからも行っていく。
令和3年度以降の相談のうち、意欲的な企業にはDXの専門家を派遣し、実装に向けて提案を行うことにより、様々な導入成果が創出されている。また、企業にとってはDX人材の社内育成が急務となっているので、基本的な研修メニューに加えて、オーダーメイド型の研修の他、兵庫工業会や県内大学と連携しリカレント教育に取り組むなど多様なプログラムで人材育成を支援していく。
人材確保、DXによる省人化というのが、特に製造業、観光業において急務となっているので、人手不足をどのように解決していくかについての総合的な対策を取りまとめるために、県で対策会議を立ち上げる。そこで企業とともに人手不足問題を解決するための取組をまとめていく。
8、私立高校の授業料無償会について
(小泉県議) 国の少子化対策の一環として取り組まれている「教育費無償化」は2019年から実施された「幼児教育の無償化」、そして2020年4月に行われた高等学校等就学支援金制度の改正により、年収590万円未満世帯の私立高等学校授業料の実質無償化が実現し、さらに高等教育の修学支援新制度が2020年に創設され、対象者・金額ともに大幅な拡充がなされている。この「3つの教育無償化」は公明党が結党以来、半世紀にわたって目指してきた「すべての人に教育の光」として訴え推進し公明党の悲願が実現したものである。
また、今年度より兵庫県も私立高等学校等生徒授業料軽減補助制度は、私ども公明党が予算委員会等で要望してきたが、年収590万円未満世帯の授業料実質無償化として、県平均授業料44万円までの補助上限を引き上げ、また「多子世帯加算の創設」年収910万円未満の多子世帯(子ども3人以上)に対し、1人あたり1万円の支給が実施され、制度の拡充がなされたところである。
しかしながら、これまでの代表質問や予算申し入れでも要望してきたように年収590万円以上730万円未満世帯の国と県の支給額は218、800円、年収730万円以上910万円未満世帯の国と県の支給額は168、800円となっており、所得のわずかな差によって世帯の授業料負担に大きな差が生じるという課題は残っている。また、女性活躍推進時代に高校生を育てる大半の家庭が共働き世帯となっており、兵庫県において年収590万円未満に該当する世帯は40%程度と聞いている。
そこで、年収590万円超の世帯こそ授業料軽減の拡充が必要ではないかと考えるが、私立高校の「授業料軽減額拡充」そして「完全無償化」にむけた今後の取組について伺う。
(斎藤知事)ご指摘のとおり、今年度からは年収910万円未満の多子世帯に対する加算を本県として初めて行った。年収590万円を超える世帯への授業料軽減制度の拡充、完全無償化に向けたさらなる支援については、多額の公費負担が発生する。県としては、引き続き行財政改革をやっていきながら、安定した学校運営と教育の質の向上に資する支援、さらには授業料の負担軽減を図るというバランスが重要だと思っている。私学教育の充実についてどのような支援ができるのか、引き続き行財政改革を進めつつ、財政状況との兼ね合いをみながら、できることから進めていきたい。