議会報告

  • 伊藤 勝正
    第366回(令和6年2月)定例県議会 代表質問(伊藤勝正県議)

    ≪質問項目≫
    1,各世代を意識した令和6年度当初予算について
    2,阪神・淡路大震災30年に向けた取組について
    3,高等教育の支援のあり方について
    4,奨学金返済支援事業の拡充について
    5,大阪湾流域別下水道整備総合計画の改定について
    6,帯状疱疹ワクチン接種補助について
    7,不登校対策について



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1,各世代を意識した令和6年度当初予算について

    (伊藤県議) この令和6年度当初予算について、12月定例会のわが会派の代表質問に対し知事は「まずは若者・Z世代支援を重点に置いてまいりたい」と表明され、県立大学の授業料等無償化、奨学金の返済支援、不妊治療の充実などを掲げられた。これらの若者・Z世代への重点支援は、各々の施策について様々な意見はあるものの、概ねインパクトと好感を持って受け止められており、わが会派としても評価するとともに、事業効果が最大限発揮されることを切に願う。ただ、こうした重点化施策、差別化戦略は、国の制度化や後発組の出現が想定されるため、事業のブラッシュアップや新たな目玉施策を不断に打ち出していく必要がある。
    一方で、厳しい行財政運営について知事は「過去から引き継がれた財政的な問題を将来に積み残さないということも、攻めの県政の一つだと思っているので、分収造林業、地域整備事業会計について、課題解決を目指していきたい」と決意を述べられている。厳しい財政状況下ではさらなるスクラップアンドビルドが不可欠となり、若者・Z世代への重点施策を推進すれば、他の世代への支援策に影響を及ぼすはずである。また、若者世代への重点化は、言い換えれば、若者が多く居住する都市部地域への予算の重点化という見方もできる。このように世代間や地域間の分断、格差を生んでしまわないかと懸念する。
    知事は先の定例会で「高齢者の安全・安心な暮らしをお守りするということも大変大事な点」と述べられた。若者・Z世代への重点支援は、人口の転出超過に歯止めがかからない本県としては、大変重要な施策だが、厳しい財政状況を理由に若者・Z世代以外の世代の予算が過度に削減されることがあってはならない。若者世代に絞った施策であったとしても、結果的に全世代の「躍動」に結び付くよう、全ての世代を意識した、誰も取り残さない予算編成が求められる。いかに各世代をも意識した令和6年度当初予算をされたのか所見を伺う。

    (斎藤知事)歳入歳出両面で見直しする一方で、未来への投資は躊躇せず、個の可能性を拡げ、これからの兵庫を支える若い世代を重点的に応援するとの思いを込めて編成した。具体的には、高等教育の負担軽減や留学支援、不妊治療支援、子育て世帯への住宅政策など、幅広い分野で若い世代を直接応援する施策を展開し、若者の県内定着を進め、兵庫の成長・発展に繋げていく。
    議員ご指摘の通り、高齢者を含めてあらゆる世代の方々、あらゆる立場の方々への施策もしっかりとやっていくことが大事だ。高齢者の安全安心対策としては、近年深刻な特殊詐欺被害や自転車事故、ヘルメットへの対応はもとより、50歳以上にはなるが、帯状疱疹など感染症等対策や介護サービスなどの充実を図る。また、防犯カメラ設置補助事業の継続や横断歩道の線引き直しなど、地域の安全安心の確保にも取り組んでいく。
    誰も取り残されない社会の実現に向け、不登校対策やヤングケアラーや児童養護施設を卒業されるケアリーバーへの支援、ユニバーサルツーリズムの推進、パートナーシップ制度の運用など、年齢、性別、障がいの有無などに関わらず、一人ひとりの個性を大事にし、自分らしく生きられる社会づくりを進める。活躍の場が広がる兵庫づくりにも力を入れる。ひょうごフィールドパビリオンの磨き上げや中小企業のSDGsの取組支援の強化、有機農業の拡大、社会基盤道路インフラ設備の強化など、地域の魅力を高める施策を展開する。改革実行の中で県民一人ひとりが輝く希望と安心に満ちた躍動する兵庫の実現を目指す。

    (伊藤県議コメント)若者Z世代重点といいつつ、各世代を意識したいろいろな施策、予算に反映していただけると思うが、限られた財源のなかで一つの施策が一つの効果だけでなく、多くの世代、多くの地域に波及するような効果が出る事業を取捨選択していただかなくてはならない。



    2,阪神・淡路大震災30年に向けた取組について

    (伊藤県議) 今回の能登半島地震をはじめ、全国各地で大規模災害が続いているが、明年は、大阪・関西万博の開催年であり、阪神・淡路大震災から30年となる大きな節目を迎える。単に震災前の状態に戻すのではなく、ハード、ソフト両面における強靭な地域づくりを行うという「創造的復興」を掲げ、復興に取り組み、壊滅的な被害を乗り越えた30年間であったと思う。一方で、東日本大震災を機に創設された復興特別税を基本にした国による全面的な財政支援は、阪神・淡路大震災当時にはなかったため、未だに約1、800億円の震災関連県債残高を抱えていることも事実である。
    阪神・淡路大震災以降、各地で発生する大規模災害において「創造的復興」という言葉が継続的に復興政策の中で使われてきた。「創造的復興」とは、発生当時の貝原知事が打ち出した概念で「単に震災前の状態に戻すのではなく、より良い社会、21世紀の成熟社会にふさわしい復興を成し遂げる」というもの。2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で採択された国連文書である「災害リスク削減のための仙台枠組み」にも「ビルド・バック・ベター」と英語で記載されるなど、世界の防災計画、防災の世界での世界標準の言葉となっているが、復興事業には持続可能な地域とすることが欠かせない条件である。その意味で、阪神・淡路大震災からの創造的復興が、人口減少社会や超高齢化社会を迎える中で有効な手段であったか、持続可能なものであったかなど検証も必要ではないか。
    我が県では、明年「創造的復興」をテーマに大規模災害に見舞われた東北など国内被災地の知事と、トルコ、ウクライナの海外の被災自治体・関係機関等を交え意見交換する「創造的復興サミット」が開催される予定である。阪神・淡路大震災からの30年間の復興過程において様々な苦難を乗り越え、経験し、関西広域連合でも防災行政をけん引してきた本県の知事として、どのような意見交換、提言の場になると考えているのか。また、国内外の多くの参加者に兵庫の魅力を感じてもらう貴重な場にもなると思うが、どのようなおもてなしを考えているのか。

    (斎藤知事)震災からの復旧・復興の過程においては、県民との協働のもと、本県では5年、10年のタイミングで復興の検証を行うと共に、東日本大震災や熊本地震の経験を活かした教訓を踏まえた検証を、震災20年、25年にも実施して、手引書や冊子にまとめてきた。絶えず震災の経験と教訓を次世代に検証し、持続可能な災害に強い地域社会づくりにつなげていく姿勢が、これからも大事であると思うので、継承していく。
    30年の節目に神戸で、万博の機会に開催を予定している創造的復興サミット。国内外の被災地の知事や首長、海外の自治体や関係者、民間や子どもたち、多くの人が一堂に会し、創造的復興の理念、成果・課題を共有し、次なる災害への対応について議論する場としていきたい。
    大事なのは、災害を知らない若い世代や地域に向けて、その経験と教訓をつなぐ、それを兵庫宣言として発信したい。そして創造的復興のコンセプトを、今石川県を中心に国内でも大きな被災地の復興があるが、石川県も創造的復興をコンセプトに取り入れるという動きが出てきている。世界各地で大規模災害などの直面する関係者と共有し、安全で安心な社会づくりに向けた貢献をするということが、本県の使命である。
    そのようなサミットなどの時に、来県される方が多くいるので、人と防災未来センターの視察はもとより、防災関連も含めたひょうごフィールドパビリオンに来ていただき、県全体でおもてなしをする、兵庫県と神戸市、経済界をはじめ、県内全体でオール兵庫で、おもてなしをしていくという場づくりを来年度からスタートしていきたい。

    (伊藤県議コメント)最近発災直後の職員の方の行動を書物で読んだり、職員のOBの方から聞いたりする機会があった。すさまじい毎日を送っておられたと思う。これを伝えていかないといけない。まさに能登半島で起きていることに活かせることばかりであると思ってお聞きしていた。そういう意味で全国、全世界に発信すると同時に、県庁内でも30年前の職員は頑張っておられたということも情報共有してほしい。



    4,奨学金返済支援事業の拡充について

    (伊藤県議) 本県が行ったアンケート調査では、奨学金の「平均借入総額」は、約310万円。「平均返済期間」は約14年。また、「奨学金の返済が卒業後の就職先の選択に影響する」と答えた学生は、約82%だった。また、奨学金の返済は「結婚」、「持ち家の購入」、「子どもを持つこと」、「子育て」について約94%が影響すると答えている。つまり、300万円を超える奨学金返済の負担は極めて大きく、就職、結婚、子育てに影響が出ると考える学生が圧倒的多数を占めているが、同制度を利用する企業に就職した従業員からは、「企業選択の要因になった」あるいは「福利厚生を重視した会社は社員を大切に思っている」といった声があり、兵庫県での人生設計を描く若者に好影響を与えていると思われる。
    また、企業からは「求人応募が増えた」「早期離職が減少するなど、若手人材の定着に効果があった」との喜びの声が寄せられ、企業側の満足度も非常に高い制度であることがうかがえる。
    新制度案は「最大補助期間」を現行の最大5年から、最大17年に大幅拡充、補助総額の拡大、対象年齢の引き上げ、ワーク・ライフ・バランスや女性活躍に取り組む企業への推進など、他都道府県の奨学金返済支援制度を超え、中小企業の人手不足解消が大いに期待される。
    他方、先の対策会議では期待と評価の声が多数である一方、「県民の立場から言うと、実はあまり知られていないのが実情」、「制度の周知徹底がより一層望まれる」との意見もあった。現在、本制度を利用する企業は、製造業などが中心で、観光業や深刻な人手不足といわれる運輸・物流関係などの企業が少ない印象である。ゆえに、本制度の周知のあり方には改善と工夫の余地が多分にある。
    知事は、今後5年間でこの制度の導入企業1、000社、利用者3、000人を目指したいと発表され、企業負担分を各市町が負担することも期待していると言及されている。こうした目標や展望も踏まえ、あらためて本制度の拡充についての意義や具体的な取組、また、参加企業数や人手不足が顕著な業種への拡大などを含めた周知のあり方について所見を伺う。

    (斎藤知事)今回、人材検討の会議の中で議論した結果、まずは今年度から負担割合を県3分の2、企業3分の1のなかで制度の拡充を従業員負担をゼロとするよう、今年度実施した。前年度同期比で30%プラスの申請が今増えているところだ。一方で県が実施した調査では、実際の借入額、返済期間が15年程度300万ということで、現行の支援制度は5年90万なので、そこの乖離があるということで、やはり拡充してほしいという意見が企業などからもあった。そこで、予算案のなかでは、まずは対象年齢を30歳未満から40歳未満に緩和すると、これは新卒だけじゃなくて、Uターン人材、転職人材を確保するためにも、40歳未満までふやして拡充するということが大事だという意見があった。それから、5年間最大の補助期間を最大17年まで延長するという拡充を行うと、そして最大300数万円の支援をするということを考えている。これによって、大事なのが、若者の経済的負担の軽減をしていくということが一点。そして企業にとっては人材確保のみならず、定着に繋がっていくということが期待される。それで三つ目は、ミモザ企業とかSDGsの認定を受けていただくことで、若い世代に選ばれる企業の裾野を広げていくという議員ご指摘の一つの政策で、三つの効果を生み出していくようなことを狙っている。問題はご指摘の周知である。まだまだ周知が不足しているので、経済団体などを通じて企業への案内、PRをやっていく。さらに大学生、これは県内の大学のみならず首都圏をはじめとする他府県、とりわけ首都圏と大阪が中心となる。そういったところへの周知、PRが大事であるため、来年度以降行っていく。

    (伊藤県議コメント)自身の頃に比べると額的にも倍以上になっているので、まず周知徹底していただき、つかっていただく学生や企業をふやしていくことである。なにより、社員が定着してくれるのが大きいと思う。UIターンにもつながる取組の一つではないかと思う。知事も言われていたが、一つの施策で、たくさんの効果を生むと思うので、周知徹底をお願いしたい。



    5,帯状疱疹ワクチン接種補助について

    (伊藤県議) 帯状疱疹の原因は、多くの人が幼少期に感染する水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」であり、水ぼうそうが治った後も生涯にわたって神経に潜伏感染しているウイルスが、加齢や疲労、ストレスなどによって免疫機能が低下することでウイルスが再び目覚め、帯状疱疹として発症する。加齢などによる免疫低下やストレスなどから、50歳代の働き盛りの年齢から発症頻度が増加し、70歳代がピークの疾病で80歳までに3人に1人が発症するといわれている。
    帯状疱疹になると痛みにより、家事ができない、仕事に集中できない、眠れないなど、日常生活に支障をきたすと共に、患者の約10%から20%が後遺症ともいえる帯状疱疹後神経痛に移行するといわれ、その割合も高齢化とともに増加し、50歳以上で2割、80歳以上では3割の方が移行すると報告されている。
    帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹が治癒した後も続くひりひり、チカチカ、ズキズキ、締め付けられる、電気が走る、と表現されるような痛みが生じる。また、合併症としては発熱や頭痛、神経の流れに沿って障害を及ぼすことから、目や耳など感覚器官の神経を傷つけると、視力の低下や難聴などを引き起こす。運動神経を傷つけると、腕が上がらなくなるなどの麻痺や、排尿障害など社会生活に大きな支障をきたす疾患であることから、発症予防のため2016年より使用可能となったのが帯状疱疹ワクチンである。
    全国で助成制度の実施が進み、来年度実施予定自治体数は400を超えると見込まれている中、1月26日に開催の県・市町懇談会において、新規事業として帯状疱疹ワクチン接種への支援が示されたことに対して、大変高く評価している。各市町議会でも評価の声が上がっている。
    長年にわたり訴えてきた補助制度なので、国の定期接種化が実現するまでは、ぜひ継続させてほしいと思うが、令和6年度限りとされていることに対して、随伴事業として帯状疱疹ワクチン接種補助制度を前向きに検討していた市町にどのように説明されたのか、また令和7年度以降は令和6年度の市町の実施状況をふまえ対応を検討、とされている点についても所見を伺う。

    (片山副知事)現在の物価高騰の状況をふまえて、市町がワクチン接種費用の助成を行う場合、令和6年度の単年度事業として、市町への支援制度を創設することとしたところである。市町との調整にあたっては、6年度補正予算で接種者への助成事業を創設する際に、年度当初の4月12日にさかのぼって対象とする場合の取り扱い。次に令和7年度以降の県の対応方針、さらにワクチンの安定供給などについての問い合わせをいただいた。
    れに対しては、市町が6年度途中に制度を創設し年度当初にさかのぼって対象とする場合については、県は市町への支援を行うとの趣旨から年度当初から対象とする。ワクチンについては、メーカーや医薬品卸業協会等と連携し安定供給に努める。さらに、令和7年度以降の対応については、国に定期接種化の要望を行うと共に、市町の助成制度の導入状況やワクチン接種率を踏まえて引き続き検討していく。

    (伊藤県議(再質問))令和7年度以降は6年度の市町の実施状況、ということで導入状況で検討するということであった。制度を作っても、周知に時間がかかったり、令和7年度当初予算でやっていこうと決めれば、令和6年度、年内にいろいろと決める必要があるので、導入状況をふまえたというところを、どのような条件で判断するのか、どのような時期に判断するのか。

    (斎藤知事)国にしっかりと要望を進めていく。その中で令和6年度予算でさせていただくという形にするので、まずは国の動向をみながらとなる。市町がこれから実施していくので、周知しながら県民・市民・町民が受診していただける状況になっているかを上半期に確認し、年内には市町の予算編成があるので、年内には今後の見通しができるように進めるというのが今年、来年度の大きな方針である。状況を踏まえながら、令和7年度の実施についてはそのように検討していきたい

    (伊藤県議コメント)要は上半期の状況を踏まえて年内にということだが、これで的確に判断していただきたい。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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