議会報告

  • 松尾 智美
    第366回(令和6年2月)定例県議会 一般質問(松尾智美県議)

    ≪質問項目≫
    1,「救急安心センター事業♯7119」の全県展開について
    2,自転車用ヘルメット購入応援事業について
    3,プレコンセプションケアの推進について
    4,姫路の宿泊需要拡大に向けた取組について
    5,豊かな海に向けたカキ殻の有効活用について
    6,国道250号線広畑地区の4車線化の整備促進について
    7,交差点名標識の点検と更新について



    ≪質問と答弁のダイジェスト≫

    1,「救急安心センター事業♯7119」の全県展開について

    (松尾県議) 消防白書の資料によると、兵庫県内の2022年の救急出動件数は32万3,440件で前年より4万8,620件増加している。出動したうち、病院への搬送が不要だった方と病院へ搬送したうち軽症だった方を合わせると約半数を占めるという。
    総務省消防庁は、ケガや病気で救急車を呼んだ方がいいか迷った際の、電話相談「救急安心センター事業♯7119」を全国展開するため、各都道府県に導入を促しており、1月現在で全国24地域、都道府県単位では東京、大阪、奈良、京都等、18都市が実施している。
    一方、本県では「子ども医療電話相談♯8000」は、2005年6月に県内全域で導入し「子どものケガや病気で心配なとき、何度も相談した。本当に助かった」との、声をよくお聞きする。しかし、大人の「救急安心センター♯7119」については、全県ではなく、2017年に増え続ける救急車の出動要請を抑えるため、神戸市にはじめて導入され、2019年から芦屋市も参入、24時間365日、看護師等が対応し緊急性が高い場合は、そのまま119番につなぐ。本年1月には、姫路市も導入を開始したところである。
    神戸市地域医療課によると、2018~21年は、年9万~10万件対応し、22年には約13万と、相談件数はさらに多くなっている。一方で、同市が市民を対象にインターネットで実施した♯7119の認知度アンケートでは、開設から5カ月後67.8%、5年後68.3%と、認知度はほぼ変わらず、対応件数は増えているのに認知度が上がっていないとの課題もある。番号だけでなく、なぜ必要か、どんな時に利用するかを伝える動画配信など、周知を強化しているが、対象が神戸市・芦屋市・姫路市の3市に限られ、利用できない隣接自治体の住民らに配慮して広く宣伝しにくい事情もある。
    緊急性を感じたときは、迷わず119だが、迷ったとき、不安な時、落ち着いて相談することができる♯7119があることで、県民は安心し、不要な出動、それに掛かる出費も減らすことができる。また、兵庫を訪れた国内外の方でも、わかりやすく利用していただくためにも、県内全域で展開し、迷ったときは♯7119との、認識を広く周知することが、救急車の適正利用、持続可能な救急医療の構築につながるのではないか。
    さらに、今後は本県でも高齢化の進展等により救急需要は増大すると予想される。県内の「救急安心センター事業♯7119」に係る検討状況と今後の方向性について所見を伺う。

    (遠藤防災監)県では、県下消防長会からの要望を受けて、昨年6月、危機管理部や保健医療部、県下の消防長会の職員等で構成する研究会を設置し、♯7119の全県展開のあり方について、都府県の実施状況等も参考にしつつ調査研究を行っている。これまでのところ、全市町と県が実施主体となり、既存の神戸市等3市の事業を拡大する方向で議論している。
    来年度、県内市町に対して♯7119事業への参加意向を確認した上で、県・市町で構成する協議会の設置など適切な実施体制をどうしていくのか、あるいは費用負担のあり方をどう整理するのかといった課題について、PR方法も含めて検討し、全市町の一斉導入をめざしていく。



    3,プレコンセプションケアの推進について

    (松尾県議) 働く女性が増える一方で、晩婚化などで不妊に悩む方が多くなっている。その対策の一つが「妊娠前からのケア」であるプレコンである。「プレ」は前もって、「コンセプション」は妊娠を意味しており、思春期以降の若い男女が身体について、適正な時期に適切な知識・情報を得て、自分たちの生活や健康に向き合うことである。それによって、女性やカップルがより健康になること、健やかな赤ちゃんを授かるチャンスを増やすことを目的にしている。
    また、将来における妊娠希望の有無にかかわらず、仕事や結婚など、ライフプランを立てる上でも、プレコンの取組は大切である。そして、健康を支えるご家族、行政や教育機関、あるいは男女ともに仕事と育児を両立できるよう事業者の方などにも、ぜひ知っていただきたい。また、プレコンが必要な時期は、小学校高学年から40歳半ばまでといわれている。
    先日、淡路のある中学校で「プレコンセプションケア命の教育」の授業を見させていただいた。こころとからだの変化や性についての知識だけではなく、科学や法律に基づいて「命はどこから始まるのか」「3億分の1の確率で生まれてきたキセキ、みんな愛されて生まれてきた」「妊娠したいと思った時のために、自分の体を大切にしてほしい。同じように相手のことも知って、お互い尊重することが大事だよ」と命に寄り添い、命の誕生に携わる助産師が、専門職の視点を踏まえ、温かい授業を行われていた。
    講義を受けた生徒からは「一つしかない命を大切に。自分も相手も大切にして生きていけるようにしたい」等々、感想があがっていたと聞いている。生徒たちが命の重さや大切さを心に留められていることに、意義の深さを感じた。また、姫路・西播磨中心に活動している助産師の方からは、「学校の先生も伝え方に苦労しているところ、いつもの先生とは違う講師がすることで、児童生徒の受け止め方も変わる」といわれていた。
    県内の子どもたち一人ひとりが将来望む人生に必要な知識を得て、備えられるように学校教育と連携して、段階的にプレコンの教育を取り入れていくことは非常に重要だと考える。
    斎藤知事が若者・Z世代支援パッケージの1つの柱として、不妊治療支援の中にプレコンセプションケアを推進するとされたことは、素晴らしいと思う。そこでこれからどのように進めていくのかを伺う。

    (斎藤知事)不妊治療支援検討会の中間報告においても、医療機関や不妊治療当事者への実態調査を踏まえ、プレコンセプションケアの推進が必要であると提言された。
    令和6年度から高校生、大学生を対象に助産師等を講師として派遣する出前講座を高校、大学でそれぞれ実施していきたい。妊娠・出産、身体の知識、それらを含め自身が望む将来設計などについて考えていく機会を広げていきたい。
    また、周知について、啓発動画を作成すると共に、2月1日から不妊治療応援サイトを県で開設した。またSNSなどを活用し、若い世代への情報発信を強化する。啓発リーフレットやポスターも作成し、幅広く周知していく。
    さらに、仕事と治療との両立が大事であるため、県内の中小企業を含めた企業の経営者や管理職にとっても理解を促すことが大事である。こういったセミナーを開催していくため、官民連携が重要で、特に民間の保険会社において、医療関係の特約で不妊治療の対外受精などに給付されるサービスが増えてきている。しかし、それを知らない若いお母さん世代も多いため、知る機会を設けることも大事である。長く続けていくために不妊治療に特化した全国初の条例制定に向けた検討に着手していく。

    (松尾県議コメント)出産するのは女性だが、男性が正しい知識を持っておくことは大事である。結婚するしない、また妊娠を希望するしないも含めて、いろいろな選択肢があるが、その選択をする前に知ることで、選択できることが増えてくる。プレコンセプションケアが当たり前になるように推進していきたい。また、高校生や大学生への出前講座実施にあたり、助産師等専門職の方に担って頂けるということで命の誕生に係る方のことばの重みもあるかと思う。県内すべての高校や大学で実施できるような仕組みづくりをしていただきたい。



    4,姫路の宿泊需要拡大に向けた取組について

    (松尾県議) 官公庁は、昨年の訪日外国人観光客による支出が5兆2,923億円となり、過去最高を記録したと発表した。訪日客数はコロナ禍前2019年の約8割まで回復し、円安の影響もあり、より多くのお金が使われるようになっている。訪日客の消費拡大を加速させるうえで重要な指標となる1人当たりの平均宿泊日数が、2019年の8.8泊から10.2泊に増加した。宿泊数の増加の背景には、長期滞在を促す「体験型」観光が広がっていることがある。
    一方でインバウンドとして関西国際空港を利用された観光客の9割が、京都と大阪に流れており、「兵庫を選んでもらうこと」と「訪日客の延べ宿泊者数を増やす」ことが、本県の観光課題である。延べ宿泊数を増やすことは、姫路にとっても大きな課題だが、特に平日の宿泊客を増やすことが重要なカギを握っている。
    そうした中、姫路市では2022年12月11日から本年3月にかけて、姫路城世界遺産登録30周年記念事業を展開し、文化振興・地域活性化を図るイベントや市内周遊型ナイトツアー、SDGs体験型プログラムを様々開催し、国内外の観光客の誘客に取り組んでいる。
    その効果もあり、今年度の姫路城の外国人入場者数が、過去最多の40万人台にのるペースで進んでいる。姫路城外国語ガイド協会によると、以前はアジア圏の観光客が多かったが、昨年上半期では欧米からの観光客が約6割を占めているようだ。さらに、高い経済効果が期待できるMICEについても、2021年9月に完成した姫路市文化コンベンションセンター「アクリエひめじ」を活かした誘致活動を展開し、昨年は国際会議が7件、本年6月には日本初となる「世界銀行の防災国際会議」の開催が予定されるなどポテンシャルを発揮している。
    また、国内客の平日宿泊に繋がるワーケーションにも取り組み始めている。具体的には、姫路北部でハーブの香りに由来する癒し効果を通じて、心身の健康を感じながら充実して過ごしていただく、ハーバルヘルスツーリズムを発展させた姫路独自の「ハーバルワーケーション」等を推進している。2025年に開催される大阪・関西万博や瀬戸内海国際芸術祭など、国内外の観光客を取り込める絶好の機会が控えているが、宿泊客を増やすためにインバウンドの獲得やMICEの誘致、ワーケーションなどにどのように取り組むのか。

    (原田産業労働部長)中播磨地域については、平成30年度に5つのホテルが姫路市内に開業し、令和4年度の宿泊客数はコロナ前の令和元年度と比較すると、約4割増加している。今後、さらに姫路の宿泊者数を増やすためには、一つには国内外の観光客の関心を引く情報発信、そしてもう一つはビジネス層の取込が重要となる。
    まず、情報発信としては、ファムトリップによる旅行会社等への宿泊施設やフィールドパビリオンなど体験プログラムの魅力紹介、訪日外国人、WEBマガジン等での姫路城のライトアップなど特別なイベントの情報発信に努める。さらに、姫路ユニバーサルツーリズムセンターとも連携し、高齢者や障害者等、だれもが生きやすいユニバーサルツーリズムの環境づくりを進めていく。
    ビジネス層の取込については、アクリエひめじなどでのMICE誘致とともに、МICE前後のエクスカーションなどに観光コンテンツを組み込むことにより、県内周遊に繋げていきたい。また、平日の需要喚起、長期滞在に繋げるために働きながら旅行先に長期滞在できるワーケーション対応施設を県公式観光サイトで紹介し広く発信している。



    6,国道250号広畑地区の4車線化の整備促進について

    (松尾県議) 私の地元、姫路広畑地区の主要幹線である国道250号は、通称「浜国」と呼ばれ、播磨臨海地域から京阪神方面へ往来する車両が、国道250号を経由して姫路バイパスを利用することで、慢性的な渋滞が発生し、渋滞を避ける車両が周辺地域の脇道や生活道路へ迂回し、地域住民の安全を脅かしている。
    この播磨臨海地域の一角を成す姫路市南西部の臨海部は、鉄鋼や化学産業の製造業等が立地し、我が国の経済の発展に重要な役割りを果たしている。さらに、姫路港国際物流ターミナル整備事業として、広畑地区で令和12年度までの間に、臨海道路広畑線の4車線化や公共岸壁、臨海道路網干沖線の整備などの基盤整備が進んでいる。これにより、本地域におけるものづくり産業の集積と経済発展がさらに促進される見通しだ。
    そのほか、臨海部と国道2号姫路バイパスを南北に直結する県道広畑青山線(夢前川右岸線)は令和7年度の暫定供給開始、姫路市施行の広畑幹線は令和9年度の4車線化完成に向けた整備が進められている。今後は、姫路市南西部から国道2号姫路バイパスへのアクセスは、中地ランプ経由から、姫路西ランプ経由へと交通転換が進むことが予想される。
    これら事業完了後は、益々播磨臨海地域への物流が活発化し、同区間を利用する車両が増え、今以上に地域の日常の安全・安心を脅かす事態が生じるものと思われる。
    これらの状況を未然に防ぐため、姫路市は臨海道路広畑線と接続する市道広畑60号線の4車線化の検討を進めているが、国道250号は2車線しかないため、それだけでは渋滞緩和の根本的な解決には至らない。そこで、県管理の国道250号、吾妻二丁目から正門四丁目の約500m区間の4車線拡幅整備について、昨年、県に対し要望書が私の地元自治会から提出され、また、先日開催された中播磨地域づくり懇話会でも、清元姫路市長から斎藤知事に要望がなされたところである。
    地域住民の生活環境の改善と安全安心を守るため、本事業の積極的な取組を期待するが、当局の認識や検討状況、今後の見通しについて伺う。

    (杉浦土木部長)国道250号が通る播磨臨海地域は、全国屈指のモノづくり拠点で、工場等への材料搬入や製品出荷等の物流は、東西幹線である国道250号が担っている。また、市街地も東西方向に形成されていることから、日常交通も集中している。
    このため、広畑地区付近の国道250号の交通量は、一日当たり約2万台と非常に多く、また車線数も2車線と少なく、さらには交差点も多いことから渋滞が発生している。加えて、周辺で臨港道路広畑線、県道広畑青山線、播磨臨海地域道路等が将来的に整備されるという予定になっている。現時点で、ご指摘の国道250号の吾妻二丁目から正門四丁目の区間について、具体的な事業計画はないが、周辺の渋滞状況を正確に把握する必要があるので、現在、平日・休日の交通量や交差点の渋滞の長さなど、交通実態調査を行っている。
    渋滞解消には、道路の4車線化や交差点への左折・右折レーンの設置等の対策が考えられる。現地の渋滞状況や、姫路市の都市計画道路ネットワークの状況も踏まえて、どのような対応が必要か検討していく。

公明党 兵庫県議会議員団はSDGsを県の政策に反映し、力強く推進していきます。

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