≪質問項目≫
1,防災対策について (1)女性の視点を防災対策に取り入れることについて (2)ひょうご防災リーダー養成講座について 2,パートナーシップ制度の創設について
3,特別支援学校における地域交流についいて
4,県民まちなみ緑化事業における継続的な緑化活動への支援について
5,孤独・孤立対策推進法の施行に向けた県の取組状況について
≪質問と答弁のダイジェスト≫
1,防災対策について
(1)女性の視点を防災対策に取り入れることについて
(麻田県議) 2022年末時点の内閣府の備蓄品に関する調査を紹介する。乳幼児品では粉ミルクまたは液体ミルクの備蓄が72.5%であるのに対し、生後半年頃から必要となる離乳食は全国の自治体の14.3%、乳幼児の湯沸かし器具や煮沸鍋などは11.6%と乳幼児等の備蓄品の確保が進んでいない状況である。
また、過去の震災では避難所での女性特有の様々な課題に直面した。例えば、男性の目が気になり、下着を干すことができなくて困った。着替える場所がなく、布団の中で着替えた。レイプや児童虐待などの事件が発生していたので、怖くて夜はトイレに行けなかったなどである。
その背景と要因の一つに、防災対策において、女性のニーズや視点が反映されにくい体制であることが考えられる。政府は、地方防災会議の女性委員登用率を2020年30%を目標にしていたが、2025年まで延長した。なお、本県の女性委員登用率は、令和4年度に4名増加し20.7%と全国平均の19.2%より上回っているが、政府の目標には到達していない。また、令和5年度における防災・危機管理部門の女性県職員の配置状況は、18.1%、女性管理職は0である。さらに、県内の自治体に目を向けると、災害に対応する防災・危機管理部門に所属する女性職員が1人もいない市町は全体の58.5%となっている。
言うまでもなく、地震はいつ起こるかわからない。何度も災害を経験し、その都度対策を講じているが、女性の視点を取り入れられる防災体制づくりと、女性や乳幼児等に配慮した災害支援を直ちに進めることが必要だと考える。例えば、県が率先して女性の視点を取り入れた避難所管理運営指針等の策定や備蓄品選定を進めることで、市町の対策にも一定の反映ができるのではないか。
県はこのたびの能登半島地震に伴い支援本部を設置している。被災地からのニーズ把握・情報収集を踏まえ、女性の視点を防災対策に取り入れることについて、どのようにとらえ、対策を講じていくのか。
(斎藤知事) 県及び市町の防災関係職員、そして地域防災会議への女性の参画を現在以上に高めていく。今回の能登半島地震に伴い、被災地支援においても、県内から女性職員を派遣し、避難所運営支援等で女性の避難者からきめ細かなニーズを聞き取ることができた。
災害対策として、県では女性や乳幼児向けの備蓄物資、例えば生理用品や液体ミルク。そういったものが重要なので、引き続き物資の確保と共に、昨年9月には離乳食等乳幼児用品を専門的に扱う事業者と初めて災害時における物資提供の協定を締結し、今後防災訓練等にも参加していただく。
県の避難所運営指針に女性等への配慮として、ご指摘いただいた更衣室・授乳室の確保や女性職員による女性用品の配布等を定めている。さらに、地域防災と女性に関する防災リーダー講座での学習や男女共同参画センターでのセミナー等、これからも人材育成に努める。
(麻田県議コメント) 県も女性委員の登用を4名増加ということで名簿を拝見したが、当て職が多い中、女性の意見を取り入れることに配慮いただいていると思うが、引き続きお願いしたい。能登半島地震を踏まえて、公明党女性局の方に声があがっている中で1つ紹介したい。断水になり、哺乳瓶を洗うことができないという事例がある。インナーバックというビニール袋のようなものを哺乳瓶に入れることで哺乳瓶を洗う必要がなくなる。ほかの自治体では哺乳瓶用インナーバックをすでに防災備蓄品として揃えている自治体がある。このような具体例も含めて公明党女性局の声が上がってきており、女性が入ることで視点が広がる。
2,パートナーシップ制度の創設について
(麻田県議) 県は、令和6年4月よりパートナーシップ制度の創設を予定している。県内市町へ実施したアンケートの回答結果では、本制度の導入により期待される効果として、性的マイノリティへの社会的な理解が進む、当事者の精神的苦痛や不安が軽減され安心感につながる等があげられている。
当事者の日常生活の困りごととして、パートナーが入院の際の手続きや付き添いを拒否される。公営住宅の入居申込みでは、同居者は親族に限られる。パートナーの子どもとの関係を理解してもらえないなど様々な場面で拒絶され、社会から認められていないと感じている。生きづらさを抱え、不安が顕在化している。
県内ではすでに17の市町がパートナーシップ制度を導入しているが、運用開始時期を含め、内容にも差がある。例えば、記載できる家族のこと、あるいは事実婚を含めるかなど、制度内容も一律ではない。つまり、すでに導入している市町での行政サービスとの整合性、また重複申請への対応などの課題が生じてくる。一方で未導入の市町においては理解が得られているのか懸念される。
今回、県としてリーダーシップを発揮し、本制度を創設することは評価しているところではあるが、各自治体間の連携や相互利用など一つずつ対策を講じ、パブリックコメントでの意見などにも丁寧に対応していただきたいと考える。さらに、先行した17市町以上の施策として、例えば県がパートナーシップ制度で証明された職員に対し扶養手当の支給対象とするなどの運用の拡充が必要だと考える。
県として多様性を認める姿勢は、社会的にも影響が大きく、波及効果がある。LGBTQ等性的マイノリティへの理解の輪の広がりは、多様性を尊重する共生社会づくりである。
そこで県がパートナーシップ制度を導入することの意義について、県当局の見解を伺う。
(斎藤知事) この制度は、性的マイノリティのカップルなどが抱える日常生活での困りごと、例えば病院での面会や公営住宅の入居、保育園の送り迎えなど、そういったことを解消するほか、当事者の不安の解消も目的にしているものである。県制度の導入により、当事者の居住市町に関わらず、制度が利用できるという公平性、安心感、ひいては県民だれもが安心して暮らせる環境づくりにつなげていく。 一方で、制度の有無、制度内容の違いにより利用できる行政サービスなどが市町により異なっている。これから大事なのは、4月に導入した後、県、そして市町が連携して、制度の相互利用を図ることで、利便性向上、そして利用できる行政サービスの充実をさらに図り、深めていく、高めていくことが大事である。近隣府県との広域連携も進めて、転居に伴う手続きの簡素化なども、利用者の負担軽減にとって大事である。その他にも、オンラインの申請をするなど、配慮しながら精度を進めていきたい。
ご指摘の県職員の制度利用者への対応について、県においても制度利用者に対して扶養手当の支給対象とする方向で検討を進めていく。現在県制度については、素案を本年1月に公表し、パブリックコメントで500件を超えるご意見をいただいた。賛成意見が7割を超える一方で、制度の内容に対する様々な反対も含めた意見もある。ご意見に対する県の考えを丁寧にホームページなどで公開、そして整理し4月1日からの運用開始に向けて準備していく。
3,特別支援学校における地域交流について
(麻田県議) 県内の特別支援学校に児童・生徒数は右肩上がりに増加している。伊丹市・宝塚市・川西市・猪名川町・西宮市の一部地域の知的障がいの児童・生徒を対象とする県立こやの里特別支援学校でも、平成25年度には315名であった在籍者数が令和5年度には455名と、直近10年間で140名増加している。
そのような中、令和6年4月に私の地元の川西市丸山台に県立川西カリヨンの丘特別支援学校が開校する。当該地域は、高齢者の多い住宅地である。県教育委員会は、新校舎の建設以前より地域住民に対して説明会を複数回実施し、地域との関係性を尊重してきた。地元住民からは、近隣に公立の小学校があることからも、建設車両の通行ルートや開校後に通学バスルート、また教職員の通勤による自動車往来の増加など諸問題について危惧する声もあったが、地元住民の不安な声や意見に耳を傾け、対策を講じていただいた。住民を代表し感謝申し上げる。その新校舎に、昨年12月15日、私は猪名川町議会議員と共に新校舎を訪れ見学させていただいた。学校長からは、11月に地域住民を対象に校舎の見学会と説明会を開催した際のお話を伺った。その学校見学会・説明会には、学校側の予想以上に多い、178名の住民の方が参加されたとのこと。それだけ地域で多くの方が関心を寄せられている。
そのような中、本県ではこれまでも特別支援学校に在籍する児童生徒等の自立や社会参加を支援するため、地域との交流活動や自然体験活動、社会体験活動の充実を図っている。来年度はさらに地元住民や小・中・高等学校の児童・生徒を招いて、絆を深める交流活動を実施することが予定されている。特に川西カリヨンの丘特別支援学校は、これから始めて地域との交流を進めていくことになるが、地域住民と一緒に取り組む姿勢が大切であると考える。
地域住民と特別支援学校の児童・生徒が交流する機会が増えれば、子どもたちの自立と社会参加の促進につながる。住民にとっても、特別支援学校を身近に感じられる機会となり、障がい者理解につながり、地域共生社会の実現に向けた一歩となる。
また、地域との交流が深まることで、日中に「もしも」の災害が発生した時の共助、助け合いがスムーズにできるのではないか。新設の川西カリヨンの丘特別支援学校はもとより、全ての県立特別支援学校において、地域との交流をさらに深める取組を進めてほしいと考えるが見解を伺う。
(藤原教育長) 県立川西カリヨンの丘と特別支援学校開校に向けては、川西市のご支援、議員ご指摘のあったとおり地域の方のご理解とご協力に感謝申し上げる。開校に備え、県立こやの里特別支援学校の分教室の子どもたちが当該地域の生活道路の落ち葉の清掃を行うなど、地域への参画も始めており地域との交流が今後とも推進されることを期待している。
特別支援学校では、副籍により地域とのつながりを維持・継続し深める居住地校交流を推進しており、今年度から県内全域で展開している。あわせて地域での販売学習、高齢者施設への訪問等、校外へ出かける交流活動も積極的に進めている。
来年度は、新たに制定する「ひょうご教育の日(仮称)」にあわせ、県立特別支援学校「絆」プロジェクトを実施する。高齢者も取り組みやすいパラスポーツ体験会や校内カフェの開催、秋祭り等の地域行事や地域合同防災訓練への参加等、各学校が地域の特色やニーズに応じた相互交流を行い、絆を深める取組をさらに推進していく。
県立川西カリヨンの丘特別支援学校の開校とともに、この4月から兵庫県特別支援教育第四次推進計画もスタートする。地域との交流・連携を一層推進し、特別支援教育への理解促進と共生社会の実現を図っていく。
5,孤独・孤立対策推進法の施行に向けた県の取組状況について
(麻田県議) 公明党は、これまで党内に社会的孤立対策本部を立ち上げ孤独・孤立策について国の中でもリードしてきた。2021年2月には関係省庁連絡会議を設置し、実態把握と対策の検討を進めることを政府に緊急提言している。そして国会質疑においても「関係省庁が連携して、しっかり対応する体制を検討する」との政府答弁を引き出し、内閣官房で孤独・孤立対策担当室の新設が実現した経緯がある。その後も、党として実態調査や提言などを行い、政府の取組を推進している。
各自治体やNPO等の団体では、生活困窮者等支援、フードバンク支援、住まいの支援、ひきこもり支援、自殺防止対策等の様々な支援、多様なニーズに応じた対応を行っている。しかし、孤独・孤立の状態にある人らは、生活困窮などの困り事や悩みがあっても、自ら助けを求めることができずに、追い詰められてしまうケースも少なくない。その悩みも様々な要素が複合的にからみ合っていることもある。まずは孤独・孤立にある人が、相談窓口や支援者につながるための体制づくりが必要だが、自治体間による差も見られる。また、NPO等の団体においては運営基盤が弱く、支援者への支援も必要である。
孤独・孤立対策推進法の施行にあたり、地方自治体は国とともに当事者支援団体等との連携・協働体制を構築することが求められている・そこで、県においては市町やNPO等の関係者による地域に根差した支援活動が広がるとともに、相乗効果が発揮できるよう、孤独・孤立対策の取組をどのように進めようとしているのか。
(生安福祉部長) 県では市町や当事者支援団体等と連携して、生活困窮世帯への食品配布等に取り組むフードサポートネットの推進、オンラインでの居場所の設置等によるひきこもり支援対策、ゲートキーパーや24時間電話相談体制による自殺防止対策など、課題ごとに孤独・孤立状態にある方への支援を進めていく。
これらに加えて、孤独・孤立対策の推進には福祉に限らず、分野横断的な取組が必要なことから、来年度新たに、庁内関係部局に有識者を加えた連携推進会議を立ち上げ、各分野の孤独・孤立に関する現状や課題を共有し、取組方策を検討していく。また、市町、社会福祉協議会、専門職団体、NPO等の支援団体が参画する公民連携のプラットフォームの立ち上げに向けた調整なども進めていく。 あわせて、市町の孤独・孤立対策や支援団体の活動実態等を調査するとともに、市町との会議において調査で把握した課題や支援ニーズ等を共有し、支援体制の整備を働きかける。
(麻田県議(再質問)) 孤独・孤立対策については、答弁からはこれからというように受けとれたが。
(生安福祉部長) 地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームのことを指摘されていると思うが、この事業は継続的なものではないということもあり、本県として広域的自治体として、市町との連携や広域調整も視野においたプラットフォームを形成していかなければならないということもあり、来年度しっかり議論し、実効性のあるプラットフォームを策定したいと考えている。