議会質問(代表・一般)

第372回(令和7年9月)定例県議

竹尾ともえ県議
[質問項目]
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1. 県立西宮総合医療センター(仮称)が果たすべき役割について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編により新たに整備される
「県立西宮総合医療センター(仮称)」が、来年7月に開院すると先日発表されました。
開院まで1年を切り、新病院に対する地域の期待も日に日に高まっています。
現在の県市病院は、いずれもがん診療連携拠点病院等の県の指定を受けており、
新病院も引き続きがん診療の拠点として役割を果たすことが求められます。
近年、がん治療の進歩により、患者と社会との接点が増えたことで、
患者の外見変化に対する悩み・苦しみは大きくなっています。治療によって異なりますが、
肌や爪に変化が起きたり、髪の毛やまゆ毛・まつ毛が抜けたりすることもあります。
がんやがん治療によって外見が変化しても、その人らしく社会生活が送れるよう、
患者を支えるケアのことを「アピアランス(外見)ケア」と言います。
国も第4期がん対策推進基本計画において、拠点病院等を中心としたアピアランスケアに係る
相談支援・情報提供体制の構築を、取り組むべき施策とするなど、医療機関におけるアピアランスケアの充実が求められています。
新病院でもアピアランスケアに取り組む必要があると考えます。
しかしながら、日々多忙な医療従事者のみでは、患者一人ひとりに対するきめ細かなアピアランスケアの提供には限界があります。医師・看護師・薬剤師・保健師・心理士などの医療専門職に加え、理美容師やネイリストなどの外見ケアの専門職が連携した「アピアランスケアチーム」としてケアを提供することで、患者のQOL、生活の質の向上が期待されます。
また、アピアランスケアの一つであるリンパ浮腫についても、県内には専門的な治療を実施できる医療機関が少ないなど、多くの課題がある状況です。
現在、西宮市立中央病院では、乳がんや子宮がん、前立腺がん等の治療でリンパ節を切除した
患者を対象に「リンパ浮腫外来」が設けられています。ここでは、専門の研修を修了した看護師が、スキンケア、弾性包帯・着衣による圧迫療法、リンパドレナージ、運動療法などを組み合わせた専門的なケアを提供しており、患者の生活の質の向上に大きく貢献しています。
こうした中、リンパ浮腫に苦しむ患者から、新病院でもリンパ浮腫外来の継続・拡充を
強く求める声が寄せられており、2025年 2月には、患者団体である兵庫リンパ浮腫患者の会から、県病院局長に対して要望書が提出されています。
そこで、以上を踏まえ、市立中央病院が提供しているリンパ浮腫外来の機能継承や、アピアランスケアの提供も含め、西宮総合医療センターが開院後に地域で果たすべき役割をどのように
担っていくのか、当局の所見を伺います。
[杉村病院事業管理者]令和8年7月に開院予定である県立西宮総合医療センター(仮称)は、
引き続きがん診療連携拠点病院の役割を担い、がんの集学的治療やゲノム医療など地域から
必要とされるがん医療を提供していきます。
このため、新病院では、がん患者が地域社会で安心して治療・生活できるよう、
がんの診断から治療、社会的・心理的サポートまでを包括的に提供するオンコロジーセンターを
新たに設置いたします。
がん患者のQOLを向上するアピアランスケアについては、このセンターで提供する予定で
あります。
また、がん専門看護師等による相談機能を充実するほか、民間事業者と連携した
医療用ウィッグの展示や試着などにより、がん患者・家族のニーズに応じた支援に
取り組んでまいります。
現在、西宮市立中央病院で設置しているリンパ浮腫外来については継続を求める声が多いこと
を踏まえ、新病院全体の外来診療計画のなかで、継続設置に向けた検討を進めているところです。
新病院の開院まで1年を切りました。新病院では、救急医療やがん医療等の高度急性期医療を
更に充実すると共に、両病院が担ってきた機能を新病院に継承・充実し、
基幹病院として地域から求められる医療を引き続き提供してまいります。[竹尾県議]アピアランスサポート体制をしっかり取り組んでいただきますようにということと、
リンパ浮腫に関しましては、会派の里見議員が6月議会で代表質問もされました。
県のがん対策推進計画に記載していただくことで、県の指定している
がん診療拠点病院のリンパ浮腫外来の設置の拡充が広がり、また西宮の新病院にも
拠点となるという構図をしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。 -
2. 重度の医療的ケア児者向け短期入所の充実について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]先日、24時間体制で医療的ケアが必要な「18トリソミー(エドワード症候群)」という
難病を抱えるお子さんを育てておられる保護者の方から話を伺いました。
18 トリソミーは、ダウン症に次いで頻度の高い染色体異常であり、重い合併症を伴い、
身体の多くの部位に異常や重度の発達障害を引き起こす疾患です。
妊娠中から症状が重いことが多く、約 70%が流産・死産となり、
出生後も1歳までの生存率は10〜30%と報告されています。
近年では医療技術や新生児集中治療の進歩、治療方針の多様化により、積極的な治療によって
退院し、在宅で生活されるケースも増えてきています。
そのご家庭では、保護者の方が医療職の経験を持ち、家族全体で献身的な介護と
医療的ケアを続けてこられた結果、お子さんは現在では成人を迎えられています。
同様の疾患を持つご家族の会では、日々の体験を共有し、希望を与える存在として
注目されていると伺いました。
しかしながら、短期入所の受け入れ先を探す中で、西宮市、三田市、姫路市、加西市など
県内の複数の施設に申し込まれたものの、事前診療すら受けられず、非常に困難な状況に
直面されています。
本来であれば、相談支援事業所が調整を担い、ご家族の負担を軽減すべきところですが、
現実にはご家族が一つ一つの施設に直接連絡を取ってお願いするという状況です。
現在は、障害福祉系の施設ではなく、医療系のレスパイト施設である病院に申請中とのことです。
大阪府では、在宅で生活されている医療的ケアが必要な重症心身障害児者が、
身近な医療機関で医療型短期入所(ショートステイ)を利用できるよう、
一定の要件を満たす医療機関に対して補助金を交付する「医療型短期入所支援強化事業」が
実施されています。
一方、兵庫県では、平成30年度から「医療的ケア児等医療提供体制確保事業」
令和元年度から「重症心身障害児向け通所支援・居宅訪問型児童発達支援事業所整備促進事業」
が実施されていますが、地域偏在、ベッド数の限界、年齢制限、病院により受け入れ可能な
状態に差があるなど、課題は多く、現状の受け入れ体制は十分とは言えません。
この課題は、ご家族のレスパイト支援にも直結する重要な問題です。
そこで、兵庫県内における短期入所事業所の整備状況、重度の医療的ケアが必要な方々の
受け入れ体制の現状と課題について検証し、重度医療的ケア児者の短期入所の
さらなる充実・強化に向けた取組を実施する必要があると考えますが、当局の所見を伺います。[齋藤知事]公明党議員団の竹尾ともえ議員のご質問にお答えをいたします。
重度の医療的ケア児向け短期入所の充実についてお答えをいたします。
現在、県内の医療型短期入所事業所は、医療型障害児の入所施設、
そして医療機関、さらに介護老人保健施設など 21 か所を指定させていただいております。
また、18 歳未満の重症心身障害児が短期入所サービスを円滑に利用できるように
医療的ケア児等医療提供体制確保事業として、短期入所事業所のうち4か所が輪番制により
常時2床の空床を確保する体制で運用しております。
しかしながら、指定されている事業所のほとんどが、空床型という、ベッドに空きのある場合に
のみ利用できる形態で、県事業として常時2床を確保しているだけでは、
利用したいときに入所できないというケースが生じております。
また、年齢や症状など受入が可能な条件等に違いがございまして、議員ご指摘のとおり、
電話をかけた段階で断られるケースがあるなど、運用体制に課題があるというふうには
認識しております。
指定事業所に伺いますと「病院が満床で当面受け入れができない」であったりとか
「待機者の解消見込みが立たず、新規の受入れは当面中止している」といった声が聞こえます。
こうした状況を踏まえまして、県としては、まず、新たな短期入所事業所の指定に向けて
医療機関等に働きかけていくとともに、現在の運営体制にどのような課題があり、ま
た改善が図れるのか、空床確保の増床ができるかなど、短期入所事業所等とも連携しながら、
改めて利用者目線で調査検討してまいりたいと考えております。
今後とも、重症心身障害児者やその家族が安心して在宅生活等が継続できるような
環境整備に取り組んでまいります。[竹尾県議]医療的ケア児者向けの短期入所の件、知事から答弁いただきました。ありがとうございます。
私もご家族にお会いさせていただいて、最後、お母様が言われたことが、
「1ヶ月に1日でもいいんです」と。2ヶ月に1日でもいいから、外で外食をして、
そして、いつも我慢させて寂しい思いをしている健常児の長女さんの方を見て、
長女の話をゆっくり聞いてあげたいんだ。
切なる願いっていうことでね、もう本当にこれは私も胸が痛くなったんですけれども、
やはりヤングケアラーという問題もあります。やはりご家族のレスパイトケアがすごい必要なものでございます。
県の支援が行き届いていないところの支援ということですので、
しっかりと早期に進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。 -
3. 職員が働きやすい環境整備について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]若者に選ばれる兵庫県を目指す上で、職員が安心して働ける環境づくりは不可欠です。
県では令和5年2月に、「新しい働き方推進プラン」を策定しました。このプランでは、
①柔軟で多様な働き方の推進
②休暇・休業制度の活用促進
③超過勤務の縮減
④ICT を活用した業務改革の推進
⑤職員の意識改革・職場風土の醸成
の5つの施策を掲げ、職員が働きやすい環境を整えることで、組織のパフォーマンスを最大化し、
県民本位で質の高い行政サービスの実現を目指すとされています。
また、プランの推進体制として、今後県政を担う若手職員の意見を積極的に取り入れながら、
全庁一丸となってPDCAサイクルを構築し、「新しい働き方推進委員会」を核とした
取組を進めるとされています。幹部職員をはじめ、全職員が“我が事”として
主体的に取り組む姿勢が求められています。
しかしながら、私は「若者に選ばれる兵庫県」、「職員が働きやすい環境づくり」を実現するためには、何よりも昨年の文書問題以降、議会や特別委員会でも議論されてきた
「パワーハラスメント対策」を、県がしっかりと前に進めることが重要であると考えます。
近年の若い世代は、働きやすさやメンタルヘルスを重視する傾向が強く、
ハラスメント防止の取組が整備された職場は、魅力的で選ばれる職場となります。
パワーハラスメントには、暴行・傷害といった身体的な攻撃、脅迫・屈辱・暴言
といった精神的な攻撃に限らず、私的領域への過度な干渉といった個の侵害など、
周囲から気づかれにくい陰湿な行為も含まれており、加害者・被害者双方が
無自覚である場合も少なくありません。また、被害を認識していても、
訴えることを諦めてしまう職員も多く存在すると考えられます。
セクシャルハラスメントや、妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントも同様に、
時代とともに認識を深めることが防止への第一歩であり、リーダー自らが発信することが
極めて重要です。
近年では、首長や議員によるパワハラ事案が報道で取り上げられることも増え、
全国的に条例の制定も進んでいます。兵庫県では令和2年8月に「ハラスメント防止指針」
を策定し、令和4年に改定されていますが、昨年の文書問題以降、
改定は行われておりませんでした。
今年5月に、知事や幹部職員が研修を受講されたことは確認しておりますが、改革や強化へ
の具体的な取組が見えづらい状況です。
そこで、昨年の文書問題以降、県はパワーハラスメント防止対策をどのように強化し、
若者に選ばれる兵庫県を目指す上で、職員の定着率向上に結びつけていくのか、当局の所見を伺います。[有田総務部長]職員が能力を最大限に発揮し、質の高い行政サービスを提供していくためには、
ハラスメントのない職場環境をつくっていくことが大切であると認識をしております。
県では、これまでから、「兵庫県ハラスメント防止指針」を策定いたしまして、役職段階ごとに
おこなっております研修において、ハラスメント防止のための意識の徹底を図っているほか、
ハラスメントに係る相談先を複数設けまして、職員が相談しやすい相談先や相談方法を
選択できる環境を整備してまいりました。
また、職員間のコミュニケーションの指針となります「HYOGO コミュニケーションポリシー」を策定いたしまして、
良好なチームワークを維持しながら生産性の高い業務遂行の実現を推進するなど、
全庁挙げてハラスメント防止対策に取り組んでいるところでございます。
なお、ハラスメント防止指針の対象となります、「職員」に特別職が含まれるか不明確であるという
課題がありましたが、今般の文書問題を受けまして、指針の改定を行いまして、
特別職も指針の対象であるということを明確化いたしております。
また、幹部職員がハラスメントに対する関心や理解を深めて、率先してハラスメントのない職場づくりを進めていくということが重要であると考えておりまして、
今年度、新たに知事、副知事、部長等、幹部職員を対象といたしました
「風通しの良い職場づくりのための幹部職員研修」を実施させていただきました。
今後は、この研修の効果を持続・向上させることが必要であると考えておりまして、
一過性の取組みで終わらずに、来年度以降も継続して実施することとしております。
これらハラスメント防止に向けた取組みにつきましては、県のホームページに掲載をしたり、
公務員を志望する方に対する職員ガイダンスで説明をするなど、
対外的、積極的にPRをすることで、新たな人材確保につなげていきたいと考えております。
引き続き、知事はじめ幹部職員を中心に、全職員が一丸となって、職員一人ひとりが
安心して能力を発揮できる職場環境づくりに向けた取組を進めていくことで、
職員の定着の向上にも努めて参りたいと考えております。
[竹尾県議]先ほど総務部長からご丁寧な答弁をいただいたところでございますが、議員がハラスメントをした
場合ということになりますと、この令和7年の6月に、兵庫県議会政治倫理に関する
条例というのができまして、第3条の2番に人権を侵害する行為をしてはならないという
条例が定められているということで、そういった場合はしっかりと、公の場で審議されるか
どうか議長の提案がされて、審議されるということになります。
職員のハラスメント防止指針を作っていただいているということで、これ9月2日に
私も担当課とレクをさせていただきまして、特別職を入れていただけるというのが
9月 22 日ということで、数日前に決定したという
ことを聞いて、しっかり私の要望も聞いていただいたんだなと思っております。
幹部職員の研修もしてくださったということですけれども、
例えば、ハラスメントの苦情相談の手続きになると、相談者が所属長や人事管理課、職員相談、
人事課ということで、職員の部の中で相談をする。その職員の部が、
その方に、事実があれば助言・注意・指導、人事異動、懲戒処分をする。
そして最後、相談者への調査とか指導結果を報告するというのもこれすべて、
職員の中でするということだと思います。
今回、特別職の方もちゃんと指針の中に入れましたと言っていただきましたけれども、
例えば、特別職の方がそういう行為になったときは、どのような形でしっかりと透明化、
防止が図られる体制ができるのでしょうか。質問いたします。[有田総務部長]特別職がハラスメントをしたという疑いがあったような場合、また、相談があった場合に、
どういった形でそれを解決していくかというご質問だと思いますけれども、
現状、様々な形での相談を受け付けており、相談する側の方が選べるような体制を
今整えている状況でございます。直接の上司であったり、人事課に直行メールを送って
いただいたり、どういった形でその方が相談しやすいのか、
一番やりやすい方法になっているかということをまずは、確認させていただいた上で、
相談しやすいということで、それぞれの方の一番思っていることが伝えやすいところ、まずそれを確保させていただこうと務めているところでございます。
いただいた相談を、どういった形で今後、消化をしていくかにつきましては、
今時点でも、様々な形での相談が受け付けられるということを、
今後改めて広げていきたいと思っております。直接のラインでは、
なかなかそういった対象が判断しにくいこともあるかと思いますので、
そういったときには、別のラインの方でも相談をすることも考える必要があると思っております。
そういった点につきましては、今後、個別の事情に応じて対応を考える必要があると考えております。
いずれにしても、今後こういった点が出てきたときには、それぞれの事象に応じた形で
検討させていただきたい、対応させていただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。[竹尾県議]ありがとうございました。やはり、若者に選ばれる兵庫県という、しっかりイメージを
持っていただきたいと思います。大切なのは、組織内でハラスメント防止や対応策について
しっかり議論をして、そしてルールを作ることだと思います。
また、条例は議会のチェックなど外部の視点も入ることになりますので、
また今後、そういったことも検討に入れながら、ハラスメント防止対策を
進めていただきたいと思いますで、よろしくお願いいたします。 -
4. 女性活躍社会の構築に向けた就労支援について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]国においては現在、「第6次男女共同参画基本計画に当たっての基本的な考え方(素案)」
が取りまとめられ、兵庫県においても、現行計画である
「ひょうご男女いきいきプラン2025」の成果や課題、社会情勢の変化等を踏まえ、
次期計画である「ひょうご男女いきいきプラン 2030(仮称)」の策定について、検討が進められております。
現行計画の主な成果として、「女性の活躍と兵庫への定着の推進」においては、
本庁部局長相当職の女性比率が令和7年4月時点で目標の10%を上回る 16.8%であり、「男性の家庭・地域への参画と働き方の見直し」においては、男性県職員の2週間以上育児休業取得率が
令和6年度時点で目標の 85%を上回る86.8%など、県庁内における取組については、
一定の成果を上げていると評価できます。
しかしながら、依然として大きな課題も残されています。指導的地位に占める女性の割合は
各分野で上昇しているものの、民間等における女性管理職の比率については、
依然として低水準であり、目標を下回っているなど、意思決定の場への女性の参画は不十分です。
また、若年女性の県外転出も深刻な課題です。特に20~24歳の女性の転出数は全国で最も多く、
令和6年度には2,685人が県外へ転出しています。
女性に限らず、若年層の転出超過傾向が続いており、就職等を契機に首都圏などへ
流出する傾向が顕著です。さらに、女性の就業形態にも課題があります。
兵庫県では、20~64歳の女性の就業率は上昇している一方で、
正規雇用比率は25~29歳で59.6%をピークに急激に低下しており、
男性とは大きく異なる就業構造となっています。
全国的な傾向としても、第1子出産を機に女性有職者の約3割が退職しており、
出産・育児と就業の両立が困難であることが背景にあります。
この影響は女性に偏って現れており、非正規雇用者の増加にもつながっています。
そこで、県としてこうした課題をどのように捉え、どのような施策を講じて、
女性の県内就職の促進や出産後の就労継続の支援を図っていくのか。
女性が安心して働き続けられる環境の整備は、地域の活力維持にも直結する重要な課題であり、
早期の検討と具体的な対応が求められます。当局の所見を伺います。[齋藤知事]「ひょうご男女いきいきプラン2025」に基づく取組により、県内でも女性活躍の取組は
着実に進んでまいりましたが、女性の管理職比率や若年女性の県内定着、
正規雇用比率といった点では、議員ご指摘のとおり、なお課題がございます。
女性が結婚・出産後も希望する仕事を家庭と両立しながら継続し、活躍できる職場環境を
つくるとともに、県内企業などの魅力を発信し、若年女性の県内就職につなげていく
取組が必要であると考えております。
両立支援に向けては、女性活躍や多様な働き方等に積極的に取り組む企業を
「ミモザ企業」として認定しております。
また、男女共同参画センターにおきまして、女性の定着や管理職登用を促進する
セミナーや企業トップ向けの研修、女性活躍推進専門員による企業訪問支援といった
取組も実施しております。
女性を含む若者の県内定着に向けては、県内企業の魅力を伝えるためのインターンシップや
合同就職説明会、奨学金返済支援制度など、さまざまな取り組みを進めておりますが、
あわせて県内に女性が活躍できる環境があることを PR することも大事であると考えております。ミモザ企業について、学生との交流会の開催や、奨学金返済支援制度における
支援期間の延長要件の一つとするなどとしております。
現在、次期プランの策定を進めておりますが、女性がいきいきと活躍し、
安心して働き続けられる兵庫の実現に向け、現行プランの課題にしっかりと対応
したものとなるよう、引き続き議論をしてまいります。
[竹尾県議]若い女性が流出するというのが、今後も兵庫県にも大きな課題として明確に残っておりますので、
そういった女性の就労支援など、若い女性に兵庫県に残っていただける、
選んでいただけるような兵庫県づくりを、しっかり進めていただきたいと思いますので
よろしくお願いいたします。 -
5. インクルーシブな学校運営モデルについて
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]共生社会とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、
積極的に参加・貢献していくことができる社会です。
それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に
認め合える全員参加型の社会です。
共生社会の形成に向けて、学校教育は、障害のある子どもの自立と社会参加を目指した
取組を含め、重要な役割を果たすことが求められており、そのためにも、
インクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進が必要とされています。
先月、多様な子どもがともに学ぶインクルーシブな学校・地域をめざす市民団体
「どんな子も暮らしやすい西宮を考える会」主催で行われた
「高校をどうする?みんなで話そう会」に参加しました。
義務教育ではなくなる「高校」について様々な立場の方が議論する中で、同会が、
一昨年、高校入試から学校生活を考える調査「どう思いますか?ひょうごの高校入試」
と題してWEBアンケート調査を行った結果報告があり、
「多様な子がともに進学できるよう、他府県では近年、入試改革や障害のある子の
ためのコース設置などが進んでいる。専門家や教員・生徒保護者などからなる
検討委員会を設置して高校や高校入試の在り方を再考してほしい」などの
提案が紹介されました。
どんな子も高校生活は、就労・進学など人生を左右する大切な時期であり、
受け皿となる学校の拡充や運営をどのようにしていくのかが重要です。
国においては、令和4年9月9日の障害者権利委員会における勧告の趣旨を踏まえ、
障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り同じ場で共に学ぶための
環境の整備をはじめ、よりインクルーシブで、多様な教育的ニーズに柔軟に対応し、
障害のある児童生徒の学びの場の連続性を高めるため、
特別支援学校を含めた2校以上の学校を一体的に運営するインクルーシブな
学校運営モデルの創設が提唱されています。
兵庫県では、平成23年から高等学校の校舎を活用した、特別支援学校の分教室を
3校開設したり、平成24年には、阪神昆陽特別支援学校を阪神昆陽高等学校と
同じ敷地内に設置したりして、交流及び共同学習を発展的に進める学校として、
インクルーシブな学校運営モデルの構築を進めてきました。
令和6年3月には、「兵庫県特別支援教育第四次推進計画」を策定し、多様性を認め合い、
包摂性のある共生社会の実現に向け、インクルーシブ教育システムを一層推進していく
とともに、昨年度、「インクルーシブな学校運営モデル研究協議会」を新たに設置し、
令和7年3月に提言がとりまとめられたと伺っています。
そこで、今後、兵庫県では、高等学校と特別支援学校のインクルーシブな学校運営
モデルの構築に向け、環境整備等のハード面と教育課程の編成等のソフト面の両面で、
どのように推進していくのか、当局の所見を伺います。[藤原教育長]県では、国の方針も踏まえ、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り
共に過ごす条件整備と、そして、一人一人の教育的ニーズに応じた多様な学びの場の整備、
これを両輪としたインクルーシブな教育システムを推進している。
そのような中で、国では、インクルーシブな学校運営モデル事業の実証研究を
進めているが、これはまさに本県が先導的に取り組んでいる高校と特別支援学校間での
併設型及び分教室型のインクルーシブな学校運営をモデルとしたものである。
国や他県からも多くの視察がある。
この取組を更に充実させるために、昨年度設置した
「インクルーシブな学校運営モデル研究協議会」からは、
一つには既存分教室の充実と新たな設置、そして、二つには高校との併設又は
隣接による新たな高等特別支援学校の設置等の提言を頂いている。
この提言を踏まえ、まずハード面では、高校に分教室がない東播磨地域への分教室の設置、
また、高等特別支援学校がない中播磨地域への高校との併設型の高等特別支援学校の設置。
さらには、既存の分教室での教育内容の充実を踏まえた設備等の整備を検討していく。
今年度策定予定の「県立特別支援学校整備推進計画」に位置付けていきたいと考えている。
また、ソフト面では、現在、阪神特別支援学校の分教室がある武庫荘総合高等学校において、
カリキュラム・マネージャーを配置し、高校の特色を活かした発展的な交流や
共同学習を取り入れた教育課程の編成に向けた検討を進めている。
なお、障害のある生徒の高校受検については、不合理な取扱いのないよう中学校の
校長と十分な協議をした上で、障害の程度に応じた特別措置、いわゆる合理的配慮を
しっかりと行っている。選抜制度の改善については、毎年開催する選抜対策委員会や
中高連絡協議会において、関係者からの意見を聴取しておりまして、
引き続き、障害の有無に関わらず学びたいことが学べる学校が選択できるよう、
そのような環境づくりに向けた研究もしていく。
今後とも、インクルーシブな学校運営の充実に向け取り組んでいく。
[竹尾県議]障害のある子どもたちが高校で学べる枠の拡充や質の向上も大事である。
阪神特別支援学校分教室では、カリキュラム・マネージャーが就いており、
人的支援も必要である。障害のある子どもたち、多様な子どもたちがしっかり学び合えるような体制をお願いする。 -
6. ストーカー被害防止に向けた体制強化について
質問と答弁のダイジェスト
[竹尾県議]先日、神奈川県警は、川崎市で発生したストーカー事案に対する対応について、
検証結果を公表しました。
神奈川県警の検証報告書では、ストーカー被害の相談対応、行方不明後の捜査への切り替え、
署長の指揮体制、署員への指導など、いずれも危険性・切迫性の認識が甘く、
緊張感を欠いた対応が問題点として指摘されました。
親族からの度重なる要望にもかかわらず、犯罪被害を視野に入れた捜査に
切り替えなかったことは、極めて深刻な課題です。
この検証結果を受け、警察庁は9月4日付で、都道府県警に対し、ストーカー事案の
司令塔となる幹部の配置を通達し、生活安全部門と刑事部門が一体となって
人身安全関連事案を管理する体制の確立を求めました。
また、重大事案に発展する恐れがある場合には、警察本部長への確実な報告体制の構築も
指示されています。さらに、警察庁は幹部や現場対応の警察官の役割に応じた
マニュアルを作成し、全国に周知する方針を示しています。
法整備の面でも、ストーカー規制法の改正により、警察の職権で加害者に警告できる
制度の導入が検討されています。
警察庁長官は「基本から逸脱する不十分、不適切な点があった。このようなことは
二度とあってはならない」と述べ、全国の警察本部長に対して再発防止に向けた
指導を強化しました。神奈川県警では、捜査一課に人身安全関連事案を専門に扱う係を
新設し、人員の増強と対応マニュアルの整備を進めていると聞いています。
そこで、兵庫県警においても、ストーカー被害の防止に向けた取組が強く求められている中、
現在の対応状況と今後の方針について、どのように進めていくのか、当局の所見を伺います。[小西警察本部長]ストーカー事案につきましては、事態が急変して殺人等の重大事件に発展するおそれが
高いことから、県警察としても、組織の総力を挙げて対処にあたっております。
令和6年中のストーカー規制法違反での検挙件数は138件で全国第2位、
ストーカー事案における刑法等での検挙件数は170件で、
これは全国第1位というところでございます。
ストーカー事案にかかる対応につきましては、事案を認知した段階から
警察本部と警察署が緊密に連携して、事案の危険性・切迫性を慎重に判断し、
被害者等の安全確保を最優先に、積極的な検挙措置を講じているほか、
検挙に至らない場合でも、ストーカー規制法に基づく禁止命令や警告を実施しております。
保護対策については、被害者やその関係者に対して、事案の危険性を丁寧に説明し、
シェルターやホテル等の避難場所への避難を促しますほか、
被害者等から通報があった場合に迅速に対応して被害防止を図る「110 番通報登録制度」
の活用、通報機能付きGPS端末の貸与、定期的に被害者等の現況確認を行う
「安心コール」などの施策を実施しております。
県警察としてはストーカー事案に対し、引き続き、警察本部と警察署が連携をして対応し、
被害者等の安全確保に万全を期してまいる所存です。[竹尾県議]先ほど言っていただいたように、被害者がしっかりシェルターだったりで
保護していただけるそういうところも大事だと思います。
しかし、立命館大学の廣井教授がおっしゃっておりますが、ストーカー加害
者は、依存性と攻撃性の両方を持っており、双方に対応するため、警察と医療
機関の協働が効果的だということです。
そういう意味でも、暴力や殺人まで及ぶおそれがあるハイリスクストーカーは
治療を受けないことが多い。医療機関を受診できるよう行政がしっかりと促す仕組みも
必要だと言われておりますので、県警としましては、しっかりと、一番加害者の
側にいるので、そういった事案が多いと思いますので、そういった判断が重要だと思います。
しっかりと県警が医療機関とも協働で、北海道はそのような条件反射制御法という
治療法を編み出してすごく効果を出している先進事例もありますので、よろしくお願い致します。

麻田寿美県議
[質問項目]
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1. 「手話は言語である」社会の実現に向けた兵庫県の施策推進について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]本年は、手話の価値が改めて問われ、社会的に注目される年となりました。国においては
「手話施策推進法」が施行され、手話を使用する方々の権利保障と社会的理解の促進が、
法的に位置づけられたことは大きな前進であります。また、東京で開催される
デフリンピックは、聴覚障害者の文化とスポーツの祭典として、国内外から大きな注目を
集めており、手話の価値と可能性を広く社会に示す絶好の機会となっています。
こうした全国的な動きの中で、兵庫県としても、手話の普及と手話を使う人々の社会参加を
さらに推進していく責務があると考えます。これまで本県では、意思疎通支援事業の
実施や手話講座の開催など、手話に関する取組を積極的に進めてこられました。
全国に先駆けた施策も多く、障害者のコミュニケーション支援において
一定の成果を上げてきたことは高く評価されます。
しかしながら、現場の声に耳を傾けると、なお多くの課題が残されていることも事実であります。たとえば、医療機関や災害時の避難所においては、手話通訳者が常設で配置されていない
ケースが多く、緊急時に情報が届かないという不安が寄せられています。
命に関わる場面で、言語による情報保障が十分でないことは、極めて深刻な問題です。
また、教育現場においても、手話を第一言語とする児童生徒への言語獲得支援が
制度的に十分とは言えず、学習環境の整備が求められています。さらに、手話通訳者の
人材育成についても、若年層の担い手不足が深刻であり、多くの通訳者が非常勤で
働いている現状では、安定した雇用やキャリア形成の仕組みが整っておらず、
長期的な人材確保に課題を残しています。
こうした現状を踏まえ、兵庫県としては、手話を使用する県民が安心して暮らせる
環境を整備するため、より実効性のある施策の展開が必要です。具体的には、
医療・教育・行政の各分野における手話通訳者の常設配置、手話を第一言語とする
児童への教育支援体制の強化、通訳者の育成支援と雇用安定化、
そして県民への啓発活動の充実などが挙げられます。
国の法施行とデフリンピックという好機を活かし、兵庫県がこれまで全国に先駆けて
取り組んできた障害者の意思疎通支援の実績を、さらに一歩前進させるべき時期に
来ていると強く感じております。「手話は言語である」という認識のもと、
誰もが言語の壁に阻まれることなく、安心して暮らせる社会の実現に向けて、
兵庫県としてさらなる施策の展開を強く求めるものであります。
そこでお伺いします。今後、兵庫県として手話言語施策をどのように推進されるのか。
また、「手話は言語である」との理念の浸透、人材育成、学校教育への導入、県民への啓発、
関係機関との連携強化について、どのように取り組まれるのか、当局のご所見をお伺いいたします。
[岡田福祉部長]県では、耳の聞こえない・聞こえにくい方を支援するため、
平成17年に県立聴覚障害者情報センターを開設し、兵庫県聴覚障害者協会と連携しながら
手話等の普及促進に取り組んでおります。
具体的には、未就学児の親子向け手話教室や、小学生から大学生を対象とした
手話講座を開催しますとともに、企業、団体、施設等への出前講座や看護職や
福祉職を対象に専門用語までを学ぶことができる手話研修を開催するなど普及に努めております。
また、各市町における手話通訳派遣事業が円滑に利用できるよう、
手話通訳者を養成するレベル別研修を開催しているほか、遠隔手話通訳などのサービスを
提供しております。
理念の浸透に向け、ひょうご・ユニバーサルデイ等のイベント時に、
手話が言語であることの啓発活動を行うほか、毎年9月23日の手話言語の国際デーには、
人と防災未来センターや明石海峡大橋など県内約100の建物やランドマークを
ブルーでライトアップするなど、県民に発信をしています。
引き続き、こうした各種講座や啓発活動等により広く県民に普及・浸透を図りながら、
様々な場面での活躍が期待できる手話通訳者の養成研修の拡充等を検討してまいります。
また教育現場においても手話講師の派遣など体制整備を支援してまいります。
今後とも、市町や兵庫県聴覚障害者協会など関係団体等と連携しながら、手話言語施策を
推進してまいります。[麻田県議]手話についてですが、前向きな取組をさらに進めていただいているという答弁で安心しました。
また、先日も県内でブルーライトアップということで、私も地元で拝見させていただきながら、
齋藤知事が掲げられる「誰も置き去りにしない、取り残さない」
というところが一歩でも二歩でも進んでいることも実感しつつ、
さらにという思いで質問させていただきました。
最後に、齋藤知事、手話の普及をどうかよろしくお願いいたします。
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2. ヤングケアラー支援の充実と地域間格差の是正について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]兵庫県では、全国に先駆けて令和4年2月に「兵庫県ケアラー・ヤングケアラー支援推進方策」
を策定し、同年 6 月には専門の相談窓口を開設。電話・メール・LINE による
相談対応を開始し、ヤングケアラーや若者ケアラーの早期発見と支援につなげる
体制を整えてきました。令和 7 年度からは、心理専門職による「メンタルサポートデスク」の
設置や、民間介護事業者との連携によるレスパイト支援、就労訓練、奨学金返還支援など、
官民連携による包括的な支援も始まっており、全国でも注目される先進的な支援が
進められています。
こうした支援体制の整備は着実に進んでいる一方で、ヤングケアラーが自らの状況を
「当たり前」と捉えてしまい、支援につながりにくいという課題が依然として残っています。
本人や家族に自覚がないケースや、相談することへの不安・抵抗感から孤立を深めてしまう
事例も少なくありません。兵庫県の相談窓口では、LINE を通じた継続的なやり取りが
有効なツールとなっている一方で、相談者の多くは18歳以上の若者ケアラーであり、
特に小中高生への支援の届きにくさが浮き彫りになっています。
また、支援の担い手としては市町の役割が非常に大きく、自治体ごとの支援体制や
取組にばらつきがあることも課題です。地域によって支援が届きにくい状況が生じることは、
公平性の観点からも看過できず、早急に改善すべき重要な課題であると考えます。
県では令和6年10月に「ヤングケアラー・若者ケアラー支援ガイドブック」
を作成し、市町担当者向けに多機関連携の手法や支援体制の構築を促していますが、
今後はさらに、県が主導して市町の支援体制を底上げするための人材育成や情報共有の
仕組みづくり、地域間連携の促進、そして学校や地域団体との協働による早期発見の
体制強化が求められます。
これらの取組により、ヤングケアラーが安心して相談できる環境の整備、支援の「気づき」を
促す啓発活動の充実、そして地域全体で支える仕組みの構築が進み、
孤立の防止と自立支援の促進につながると考えます。
そこでお伺いします。 兵庫県として、ヤングケアラー支援のさらなる充実に向けて、
今後どのような対策を講じていくのか。 また、支援の届きにくい層へのアウトリーチや、
学校・地域・民間との連携強化に加え、市町間の支援格差を是正するための取組について、
当局のご所見をお伺いいたします。[齋藤知事]昨年6月のヤングケアラー支援の法制化に伴い、支援の届きにくい18歳未満の
ヤングケアラーへの支援は、市町が実態把握から包括的かつ計画的な支援を
担うことが明確化されました。
県ではこれまで、市町への支援として、相談窓口のコーディネーターが技術的助言を
行うほか、取組促進を図るための支援ガイドブックの作成や、
支援体制・事例検討に関する研修などを実施してきました。
今後は、ご指摘の、市町により取組にばらつきが生じているといったことも踏まえ、
市町と連携しながら取組みを充実していきます。
具体的には、これまでの取組みを継続しながら、市町調整会議において、
学校等の関係機関を通じた実態把握や支援につなぐ仕組みづくりを推進するとともに、
市町職員等を対象に研修を開催し、相談窓口の運営方法や先進事例の共有等を行います。
また、必要に応じて市町への個別ヒアリングを実施し、学校をはじめ福祉や医療等の
関係者が顔の見える関係を築きながら支援体制を構築するよう助言・アドバイスするなど、
体制整備を丁寧にフォローしていきます。
こうした取組を踏まえ、支援団体との情報交換会や、市町や関係団体で構成する
ヤングケアラーに関する推進委員会において、支援施策や連携方策等を検証しながら、
新たな施策に繋げていきます。
今後とも、市町、関係機関、支援団体と連携し、実効性のある全県的な
ヤングケアラーの支援体制を充実・強化を図って参ります。[麻田県議]知事から市町間の支援格差のばらつきのことも課題として挙げられ、
また県として市町へのコーディネーターの役割であるとか、研修会など具体的に
説明していただきました。
ヤングケアラーの課題ですが、福祉と教育・学校現場との連携をしていかなければ、
子どものしんどさに気づけないということを現場の方々と話していて、
また、私も福祉現場で働いていた経験もあり、そのように感じたところです。
支援の格差というところは、それぞれの支援員のマンパワーの差や、また多様なケースも
ありますので、ただいま説明いただいたように、横連携や研修において、
しっかりとそうした子ども達を見つけて、支援につなげ、そして自立できるように
結び付けていただきたいと思っております。
さらなる拡充ということでしたので、どうぞよろしくお願いしま
す。
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3. エリアマネジメントによる空き家再生と担い手育成に向けた支援について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]総務省の調査では2023年時点で、全国の空き家は900万戸と過去最多を記録しています。
兵庫県内でも38万7千戸、そのうち使用見込みのない空き家が17万3千戸にのぼり、
全国で東京・大阪に次ぐ第3位で、大変驚いています。
近年、空き家に関する話題を聞く機会も多く、特集番組も放送されています。
県内各地で空き家が増加していると実感を持っているところです。特に地方部の住宅では、
相続するはずの子どもたちが進学や就職で都市部に転居し、両親の逝去後に空き家に
なるケースが多く、このような空き家は、売買や賃貸などの利活用も進んでいません。
このような使用見込みのないままの空き家は今後もさらに増加することが懸念されています。
空き家の放置は景観や治安の悪化を招き、地域の衰退にもつながるため、速やかな活用が望まれます。
県はこれまで空き家対策として、空き家予防の手引き配布や改修費補助、
空き家活用特区制度など様々な施策を実施しています。地元の川西市でも空き家対策
ナビゲーターの養成を通じて地域ぐるみの予防活動を進めており、私もその一員として
活動しているところです。しかし一方で新築住宅の供給もあり、更なる効果的な取組が
必要であると考えます。
また県では今年度から、新たな対策として「エリアマネジメントによる空き家再生」に
着手し、空き家の利活用に向けた担い手の育成と支援に取り組んでいます。
8月30日にはキックオフとしてシンポジウムが開催され、私も公明党の猪名川町議会議員と
稲美町議会議員とともに参加しました。シンポジウムでは、空き家を地域資源として捉え、
リノベーションを通じて収益確保と地域活性化を実現したたつの市と佐賀市の
紹介がありました。
その他にも県内には、先進的な地域づくりに取り組む事例として
丹波篠山市の丸山集落があります。現地では、住民や関係者が地域ぐるみで
多様な活動を展開しており、観光客の受け入れや移住者の増加に伴い、
まちの姿にも着実な変化が見られます。こうした状況について、現地で直接
お話を伺ってまいりました。このような事例が県内各地に広がることを大いに期待しています。
地域でまちの将来像を考え共有し、空き家活用をまちづくりとして捉え
官民が協力して取り組むことが重要だと考えますが、県が今年度から取り組んでいる
「エリアマネジメントによる空き家再生」について、
今後、その担い手をどのように育成し、またその取組を自立・自走させるため、
どのような支援を行う予定なのか、当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]県では、平成25年度に空き家活用支援事業を創設しました。
令和4年度には規制緩和も盛り込んだ空き家活用特区条例を制定させていただく等、
空き家の活用を促進することで地域の活性化に取り組んでまいりました。
今年度からは、新たに、特定の地域において、民間事業者が主体となっていただいて、
空き家をリノベーションし、戦略的・連鎖的に再生・活用することで、
収益を得ながら地域の課題解決や価値向上に繋げていく、図っていく
「エリアマネジメントによる空き家再生」事業をスタートさせていただいております。
先月8月末に開催した麻田議員もご出席いただきましたシンポジウムを契機に、
12月から2月にかけて、人材発掘や資金調達などの専門知識に加えまして、
地域住民や行政と連携しながら企画を立案し、実行するスキルを学ぶ実践的な
現地研修を開催し、担い手の育成を図っていきたいと考えております。
来年度には、エリアマネジメントに取り組む団体に対しまして、
いわゆる信用力を高めるための県の認定制度を創設させていただきます。
エリアマネジメントを取り組んでいらっしゃる先行団体においては、やはり資金調達
といったところが苦労されているという話を聞いておりますので、そういった金融機関との
やり取りもしやすくするための認定制度を創設いたします。
加えまして、団体の運営を軌道に乗せ、自立・自走させるために、地域の将来ビジョンの
作成等への支援や、空き家再生の資金調達に対して、ふるさと納税、
ガバメントクラウドファンディング方式等を活用した資金の支援というものも
検討していきたいと考えています。
今後も、民間事業者や市や町と連携を図り、空き家の活用による地域活性化に
しっかりと取り組んでまいります。[麻田県議]先ほどの答弁の中におきまして、このエリアマネジメントの取組でございますが、
まちの現場の中でエリアマネジメントの担い手を育成して新たなまちづくりを
考えていくとか、現場でしっかり考えていきながら、空き家についても
利活用しながら、収益も得ながら、という新しい発想で、
ほんとに先日シンポジウムに伺ったときに、こういう事が1か所でも2か所でも
県内で広がればいいなと大いに期待しているのですが
ただ、やはり市町の行政担当者とも連携する必要もあるかなと思います。
現時点で、市町の行政担当者との連携であるとか、あるいは市町の行政担当者が
しっかりこのエリアマネジメントを理解していただいているか、
そのあたりを質問させてください。
[松浦まちづくり部長]事務的なお話でございますので、まちづくり部の方でお答えさせていただきます。
まず1点目は、8月30日に実施させていただきましたシンポジウムで
ございますが、だいたい160名ほどの参加者がおられました。
そのうち約3分の1は行政の方でして、市町の職員も多数おられたということでございます。
そして、シンポジウムの後、実践塾、現場研修に向けましても、
やはり地域で活動されている方を紹介いただくということで、県としても市町へ働きかけ、
ご協力いただいています。今後、新たにそういう団体を作っていくということに
なりましたら、立上げ支援などにつきましても、市町のご協力をいただきたい
ということで、今、担当者が市町に出向き、色々説明をさせていただいている
ところでございます。よろしくお願いいたします。[麻田県議]市町との連携しっかりよろしくお願いいたします。実は私、地元の町の方に、
町会議員も一緒に出向いていましたので連携しているんですが、
なかなか行政担当者がまだエリアマネジメントをよくご存じないところが1点。
あと、先ほどご答弁いただきましたように、シンポジウムもほんとに160名ということで
たくさんの方が来ておられましたが、まだまだ知りたいという方もおられますので、
今度の実践塾やプレスクールも含めて、定員が決まっているかと思いますが、
定員の枠から超えられた方についても、情報共有であるとか、何かしら手立てを
考えていただければ
と思っておりますので、コメントでありますが、よろしくお願いいたします。 -
4. 災害時における人とペットの共生環境の整備について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]令和6年1月に発生した能登半島地震では、避難所生活の長期化に伴い、多
くの飼い主がペットと共に避難しました。しかし、避難所内でペットと同じ室内
で過ごす「同室避難」や生活スペースは異なるが同じ避難所で生活する「同伴避難」はほとんど実現されず、車中泊や自宅敷地内での避難を選ぶ方が多く見られ
ました。避難所に空きがあっても利用されないケースもあり、飼い主とペットが
離れ離れになることへの不安や、飼育環境の整備不足など、災害時におけるペッ
トとの共生の課題が改めて浮き彫りになりました。
兵庫県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成25年に「避難所管理運
営指針」を改定し、ペットとともに安全な場所まで避難する「ペット同行避難」
が行えることを前提に避難所で生活する場合の留意点を示しています。しかし、
県内41市町のうち、ペットと同伴可能な避難所をホームページ等で公表してい
るのは10市にとどまり、自治体間で対応にばらつきがあります。また、ペット
の飼育ルールが避難所運営者の判断に委ねられているケースも多く、事前の調
整や住民への周知が十分とは言えません。ペットを同伴した避難の体制整備に
は、行政だけでなく地域住民の理解と協力が不可欠であり、平時からの啓発と訓
練が重要です。
さらに、避難所環境の整備について、避難者本人に対しては、国際的な人道支
援の最低基準である「スフィア基準」に基づいた対応が求められ、令和6年内閣
府が改定した避難所ガイドラインでは、1人あたり3.5㎡の居住スペースや、20
人に 1 基のトイレの整備など、具体的な数値目標が示されました。ペットには
このような基準はありませんが、ペット受け入れに係る避難所ごとの実態把握を進めるとともに、ペットと同伴避難が可能な空間の確保や衛生面にも配慮した整備が求められます。
そこで県として、今年度予定されている避難所管理運営指針の改定にあたり、避難者に
対するスフィア基準に基づいた避難所環境の整備とともに「ペット同伴避難」を明記し、
飼い主とペットがともに避難所で生活できる環境を整備する方針を明確に打ち出すべきです。
避難所ごとの受け入れ可否の明示や県民への周知と訓練の実施によって、災害時における
飼い主とペットの安全確保、避難所での混乱の防止につながり、人とペットが共に安心して
避難できる環境の整備が進むものと考えます。「ペット同伴避難」について当局のご所見をお伺いいたします。
[唐津危機管理部長]私からは、災害時における人とペットの共生環境の整備についてお答えをさせていただきます。
災害時に飼い主とペットが避難行動を適切に行えるよう、ペットとの共生環境を整えることは
重要であると認識しております。
県の地域防災計画では、避難所においてペットの適切な飼育が行われるよう市町が
必要な措置を講ずること、そして、避難所管理運営指針では、被災者のペット飼育場所の確保、
飼育者の届出や糞尿等の対応等ペットと共に避難生活を行う際、同伴避難を行う際の留意点を
明記しております。
令和6年能登半島地震におきましては、具体的なペット避難の方法や、飼い主に対します
災害時の対応の周知不足等によりまして、避難所等でペットの受け入れが
できなかったというような問題が生じました。
県では、スフィア基準に基づきましたより一層の避難所環境の整備といったものを
推進するとともに、ペットとの共生につきましても県民や職員の意識向上を図る必要が
あると考えております。
このため、平時よりひょうご防災ネット等を通じました県民の意識醸成を図るとともに、
毎年実施をしております県・市町合同防災訓練におきまして、住民や関係機関も参加する
ペット同伴避難訓練を行っております。
また、今年度は環境省とともに、ペット同伴避難を想定いたしました図上訓練を
実施することでその実効性と職員の能力向上にも努めてまいります。
なお、議員からご指摘のありました同室避難につきましても、
今年度改定を予定しております新たな指針におきまして、他の避難者への配慮、
あるいは衛生面、鳴声等の対策も含めまして先進事例として紹介したいと考えております。
今後とも、各種媒体を通じました県民に対します普及啓発、市町によります
避難所のペットの受け入れ体制の整備や、受け入れ可否等の積極的な情報発信を通じまして、
人とペットが共に安心して避難できる避難所の環境整備に努めて、取り組んでまいります。 -
5. 特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の被害防止に向けた動画活用とSNS 広告の導入について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]兵庫県ではこれまで、主に固定電話を利用した「還付金詐欺」やニセ警察官を騙る
「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺に対して、外付録音機の無償配布や、
県ホームページでの広報啓発、市町・金融機関・コンビニエンスストアとの連携など、
地域ぐるみの対策を講じられてきました。
しかしながら、近年では「SNS型投資・ロマンス詐欺」も急増しています。
兵庫県内における2025年上半期の認知件数は455件、被害額は約50億5,000万円にのぼり、
認知件数は全国ワースト4位という深刻な状況です。被害は高齢者に限らず、
現役世代にも広がるなど幅広い世代に広がりをみせており、
インターネットバンキングや暗号資産を利用した送金が主流となっています。
詐欺の手口は次々に変化し、歯止めがかからない状況の中で、県民を守るためには、
これまで以上に踏み込んだ対策が必要です。例えば、こうした新たな手口に対しては、
従来の対策に加え、インターネット上での注意喚起が不可欠です。
特に若年層や現役世代に対しては、チラシや講演会だけでなく、
YouTube やInstagram、TikTok などの SNS 広告を活用した広報手法が有効ではないかと
考えます。
また、兵庫県警においても、特殊詐欺の被害防止に向けて動画を活用した啓発を
進めており、「実録音声」や「寸劇形式」のコンテンツを通じて、県民に対する
注意喚起を図っています。兵庫県警の公式ホームページでも、
こうした注意喚起動画が配信されており、視覚的・感情的に訴える手法として有効です。
今後は、再生数や視聴者層の分析を踏まえた広報戦略の強化が期待されるところです。
そこで兵庫県警察として、特殊詐欺及び SNS 型投資・ロマンス詐欺の被害防止に向けて、
今後どのような対策を講じていくのか。また、兵庫県警の動画活用の取組や
ホームページでの配信状況も踏まえ、再生数や視聴者層の分析を活かした広報戦略の強化、
さらにはYouTube などの SNS 広告を活用した広報手法の導入について、
どのように検討されているのか、当局のご所見をお伺いいたします。
[小西警察本部長]特殊詐欺の認知件数・被害額は、ともに過去最多を記録した昨年を上回るペースで
増加し、SNS型投資・ロマンス詐欺についても高水準で被害が発生するなど
深刻な状態が続いてございます。
県警察では、国際電話の利用休止サービス促進等の「固定電話スリーガード作戦」や
金融機関やコンビニエンスストア等と連携したATM対策のほか、
県に新設された特殊詐欺等対策課と連携した外付録音機の無償配付事業などに
取り組んでおります。
最近、被害が急増している要因について、「ニセ警察詐欺」の被害が高齢者のみならず、
全世代に拡大していることが一因と考えられますことから、
この手口を周知するため、実際の被害の状況を示す画像や肉声を編集した動画を製作し、
県警ホームページやひょうご防犯ネット+に掲載しているほか、
Xやインスタグラム等の公式SNSによる情報発信も行ってございます。
特に、SNSによる広報啓発は、再生数が大きく訴求効果に影響いたしますため、
多くのフォロワーを持つ民間企業等のご協力を得てリポストを依頼するなどの
連携を行っております。
今後は、これらの取組に加えて、SNS広告を活用した広報を検討するなど、
一層効果的な広報啓発に努めてまいります。
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6. 高校生の自転車通学におけるヘルメット着用率向上と制度的支援の 強化について
質問と答弁のダイジェスト
(1)県立高校生の自転車通学時におけるヘルメット着用率の向上に向けた制 度的対応について
[麻田県議]令和5年4月の道路交通法改正により、自転車利用者全員に対してヘルメット着用が
努力義務化されました。しかしながら、警察庁による最新の調査では兵庫県の着用率は
令和7年6月時点で 9.8%と、全国平均の 21.2%を大きく下回っており、
全国ワースト5位という状況です。
特に高校生の着用率は全国的にも低く、令和5年自転車の安全利用促進委員会調べによれば、
通学時の自転車事故時における中学生のヘルメット着用率は約70%であるのに対し、
高校生は10.7%にとどまっているとの結果が示されています。
これは、義務教育である中学校では通学時の着用が原則進められている
一方、高校では法令上の努力義務にとどまり、学校側も「促す」程度の対応にとどまっている
ことが一因と考えられます。
兵庫県内でも、部活動の地域展開の動きに伴い、自転車通学を選択する
中学生・高校生が増加傾向にあります。通学距離が長くなることで事故リスクも高まり、
実際に高校生の自転車事故による死傷者の割合は、他の年代に比べて突出している
との報告もあります。
さらに、ヘルメット着用の有無による事故時の傷害の差は明確です。
内閣府の令和 5 年版交通安全白書によれば、ヘルメット非着用時の致死率は着用時の
約2.4 倍に達しており、死亡者の約 95%がヘルメットを着用していなかったこと
が示されています。頭部損傷が致命傷となるケースが多く、
特に高校生年代においては、命を守るためにも着用の必要性が極めて高いと言えます。
こうした中、他県ではより踏み込んだ着用促進策が講じられています。愛媛県では
校則による義務化を徹底し、着用率は全国1位の約69%。東京都では教育
委員会が、全ての都立高校において、自転車通学の際は必ずヘルメットの着用を求めるとし、
約7割の高校で自転車通学許可の条件に加えられていると聞きます。
大分県や鳥取県では、通学許可の条件としてヘルメット着用を義務付け、
福岡県では警察と連携した啓発イベントや校長会議での着用促進要請など、
教育現場と地域が一体となった取組が進められています。
また、高知県では新入生に対してヘルメットの所有を義務付ける制度も導入されており、
着用率向上に向けた制度設計が具体化されています。
兵庫県ではこれまで、交通安全教室の開催や啓発動画の制作など、
着用促進に向けた取組を進めてきましたが、着用率の向上には至っていません。
今後は他県の先進事例や事故時の傷害差の実態を踏まえ、
より実効性のある施策が求められます。
県立高校生の自転車通学時におけるヘルメット着用率の向上に向けた制 度的対応について
どのように思われますか。[藤原教育長]県教育委員会では、これまでから交通安全教育を推進するために、教職員等を対象とした
全県講習会や合同会議等を開催し、自転車を利用する際の安全運転やヘルメット着用の
重要性について繰り返し周知している。
昨年の10月には、令和7年度から、各学校の自転車通学許可要件に
「ヘルメットの着用に努めること」を追記するよう通知をし、県立学校長協会や
生徒指導協議会等で徹底している。また、知事部局で実施の「自転車安全利用モデル校事業」には、県立高校等16校が参加している状況である。
校則については、基本的には各学校の教育目標の実現に向けて、児童生徒や保護者等との
共通理解を図りながら、個々の学校で主体的に定めていくものであるので、
校則により一律に義務化するのではなく、法律の趣旨を踏まえて、
生徒が主体的・自発的に着用し、自らの命を守る行動がとれるよう警察や知事部局とも
連携した活動に持続的に取り組んでいくことが重要であると考えている。
特に来年4月から交通反則通告制度、いわゆる青切符制度が 16 歳以上に適応されることを
踏まえ、各県立学校の交通安全担当者等を対象として、来月の16日には警察や知事部局等と
連携をした「兵庫県交通安全講習会」を新たに開催する。
全県立高校、全市立高校に参加いただく。交通事故の現状や改正道路交通法、
自転車保険の加入に加え、自転車安全利用モデル校の好事例を紹介し、改めて、
ヘルメット着用の普及など各学校における安全教育の周知・徹底を図っていく。
今後は、今年度の取組の成果や他府県の啓発等の状況も参考にしながら、関係機関が
連携可能な推進内容を検討し、交通安全教育の充実とヘルメット着用の促進を図っていく。
(2)高校生のヘルメット着用促進に向けた購入支援制度の導入と官民連 携について
[麻田県議]高校生の着用促進に向けては、経済的な負担軽減も重要です。県としてヘルメットの
購入支援制度の導入や、企業や団体との官民連携によるヘルメット着用促進について、
どのように考えているのか、ご所見を伺います。[田中県民生活部長]自転車事故による頭部への負傷は死亡や重傷につながりやすいことから、
ヘルメットの着用促進は重要な課題と認識している。
県では、令和5年4月のヘルメット着用努力義務化を契機に集中的に着用促進を図るため、
国の臨時交付金を財源に、ヘルメット購入費用を4千円を上限に支援する
「ヘルメット購入応援事業」を実施した。
しかし昨年も、県内で自転車通学中の高校生が被害者となる死亡事故が1件、
重傷事故が14件生じており、前年より増加している。一方で高校生の死傷者の
ヘルメット着用率は 4.6%と、他の年代と比べても極めて低く、高校生の着用促進が課題。
警察庁が実施したアンケートによると、高校生がヘルメットを被らない理由は
「あくまで努力義務」が最も多く、「他の人が被っていない」がこれに続くことから、
皆で一斉に被るように生徒・学校を挙げて取り組むことが重要と考えている。
そのため今年度からは、生徒主体で着用率向上や交通ルール周知に取り組む高校を
「自転車安全利用モデル校」に指定し、ヘルメット等を無償配付する事業を実施している。
配付するヘルメット等は連携協定を締結している企業から提供を受けるなど、
官民連携により実施している。
本県の厳しい財政状況の中で、高校生に対するヘルメット購入費用への支援を実施する
ことは簡単ではないが、効率的かつ効果的に着用率向上促進できるよう、
教育機関等の関係機関、民間企業などとも連携を深めながら取り組んでいきたい。
[麻田県議]ヘルメットの着用率に関して、教育委員会と知事部局でしっかり連携していただきながら、
重症者も出ているという実態ですので、よろしくお願いします

島山清史県議
[質問項目]
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1. 物価高で苦しむ県民の生活を守るための財政支援について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]長引く物価高騰によって食料品や生活必需品の価格は上がり続けていますが、賃金の伸びが追いつかず、
購入できる物やサービスが減り、生活水準が実質的に低下しています。神戸市のエンゲル係数は過去最高水準に達しました。
「給料は増えないのに、食費や光熱費ばかりが膨らんでいく。」そうした声を、私たちは日々現場で耳にしています。
一方で、本県の令和6年度決算では県税収入が過去最高の9,735億円を記録し、後年度精算を除いた実質収支も
58億円の黒字を確保しました。県の貯金ともいえる財政基金の残高も145億円に達しています。条例上、その黒字の半分以上は基金に積み立て、残りは一般財源や他の基金に積み立てられています。
知事は200億円の基金積立を公約として掲げられ、先日もご自身のSNS「X」を更新され、
引き続き、「200億円達成を目指す」とされていましたが、一方で、「災害や緊急事態に県民や中小企業を迅速に支援する―そのための財源確保が、真の危機管理」とXで言われています。
いまはその危機にはないというご判断なのでしょうか。
今この瞬間に苦しむ県民がいる以上、形式的な目標にこだわるのではなく、基金を機動的に活用し、
物価高対策や生活支援に振り向けるべきではないでしょうか。未来のための備えも大切ですが、「県民の今の暮らし」を守ることこそ最優先ではないでしょうか。
いま必要なのは、数字のための積立ではなく、生活を守るための活用です。
例えば、今議会で提案されているはばタンPAY事業は、子育て世代に限定されています。
しかし、実際には年金生活の高齢者や単身世帯など、むしろ物価高の直撃を強く受けている方々が数多くおられます。こうした方々にも光が届くよう、一般枠への拡充を図るべきではないでしょうか
生活者の声に寄り添い、物価高にあっても「安心して暮らせる兵庫」を実現するための支援です。知事のご所見を伺います。
[齋藤知事]ご指摘のとおり、令和6年度の決算におきまして、財政基金の残高は145億円まで回復させることができました。本県の財政規模を踏まえますと、今後も基金の積増しという努力は必要であると考えております。不測の事態への対応力も高まってきたという中で、基金の有する年度間の財源調整機能はもとより、災害や感染症といった緊急時の初動対応等においても、適時適切に果断に活用していくというために、基金の積立というものは引き続き検討していきたいと考えておりますが、今回、58億円の決算剰余で確保した中で、財政基金への新規積立を除く分も含めまして、今年度の年間収支を見極めつつ慎重に検討していきたいと考えております。
一方で、現下の物価高騰は長きにわたり国民生活そして県民生活に影響を及ぼしており、収束の兆しは見えません。こういった中で、全国的かつ継続的な課題について、自治体間の財政力で対策に差が生じてはならないと思いますが、国において重点支援交付金をはじめとする十分な予算措置を図っていただきたいというふうに考えております。
先般の参議院議員選挙においても、物価高対策が主要な争点で、いろいろな候補者が主張されましたが、まだ、国や政党において具体的な動きや実現の兆しがなかなか見えないという状況にあります。
こうした中で、限られた財源での対応ではありましたが、今回の9月補正で食料品価格の高騰など、特に子育て世帯で食料品への支出が多いということもありますので、本来であれば一般枠をさせていただきたいという思いは同じものを持ってはおりましたが、限られた交付金の中での対応ということで、「はばタンPay+」の追加実施をさせていただくこととしました。
今後も物価高騰が続く中、「はばタンPay+」は、これは公明党からもご要望のあった制度拡充を実現させていただいたという面もありますが、実効性や効率性、即効性の観点からも大変効果のある事業だと思いますが、一方で多額の予算が必要となるというものでございます。
是非、より多くの県民の皆さんにこの施策を届けられるように、プレミアム付デジタル券に特化した臨時交付金、それでなくても物価高騰のための地方の独自の財源として使えるような臨時交付金の実現を含めまして、また引き続き、議会のお力も借りながら、国への働きかけを行っていきたいというふうに考えております。[島山県議]このはばタンPayを補正予算でしっかりやっているという姿勢は、我々も要望してきたことから、一定評価するところであります。
ただ、先ほど知事も言われましたし、記者会見でも本当は一般枠を追加して、高齢者の方も含めてあらゆる世帯にやりたいという思いを言われていたのですから、やはり、誰も取り残さない県政という意味では、分断を生みかねないこの子育て世代だけというよりは、一般枠に何とか基金の活用、思い切った対策をすることで知事が本当にこの物価高に対して正面から取り組んでいこうとする姿勢が見えるのではないかという思いを強くしましたので、この質問をさせていただきました。
引き続き、県民の生活、物価高に対して隈なく目を光らせていただき、対策を継続して取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 -
2. 内部管理制度の見直しと全庁的ガバナンス強化について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]自治体における不適切な財務処理や不祥事が相次ぎ、住民の信頼が揺らいだことを背景に、平成29年の地方自治法の改正により、都道府県にかかる「内部統制の整備」を必須とするとともに、その他事務については、各都道府県で追加できることとしています。
この制度改正を受けて、本県をはじめ多くの自治体が「財務に関する事務」を対象に内部統制制度を整備してまいりました。しかしながら、ガバナンスを真に強化するためには、財務にとどまらず、文書管理、情報管理といったその他の行政運営の事務にまでチェックを行き渡らせることの検討が必要ではないでしょうか。
現に、本県においては文書管理問題や情報漏洩問題が発生し、県政への信頼が大きく揺らぎました。これを受け設置された第三者委員会の報告書や文書問題調査特別委員会の調査報告書においても、「文書管理体制の不備」、「公益通報対応の不透明さ」、「幹部関与時におけるチェック機能の不在」、といった課題が指摘されており、現在の制度は、「財務事務」のみであることから、再度、内部管理制度における対象事務の検証を行うべきだと考えます。
また、他の自治体での先進事例に学ぶべき点も多くございます。
神戸市では、令和2年に「内部統制基本方針」を策定し、「財務に関する事務」に加え「文書管理に関する事務」を対象に含め、すべての行政部局で制度を運用し、評価部局を設け、横断的なチェックを実施しています。これらの事例は、財務にとどまらず、文書管理などといった行政全般を対象とし、部署を超えた評価体制を築くことで、ガバナンスを実効的に高める好例であるといえます。
住民に信頼される県政を再構築するためにも、文書問題調査特別委員会等で指摘された課題を真正面から受け止め、教訓を制度の改善に生かしていく取組が不可欠と考えます。
そこで、今回指摘された課題を踏まえ、実効性のあるガバナンスを構築するためにも、現行の内部管理制度の対象範囲を文書管理や情報管理へと拡大するなど現行の対象事務を見直し、リスクを評価し改善する仕組みづくりが必要ではないのでしょうか。検討状況を教えてください。
また、たとえ、直ちに対象事務の範囲を見直すことが難しいとしても、全庁横断的なチェック体制を構築することは速やかにできるのではないでしょうか。
知事ご自身が明確なリーダーシップをもって内部管理制度の見直しに取り組まれるよう、強く求めるものであります。知事のお考えをお聞かせください。[齋藤知事]内部管理制度は、事務上のリスクを事前に評価・コントロールし、適正な事務執行に資するものでございます。本県では、法令上義務づけられている財務事務を対象と現在しております。
財務事務以外のものにつきましては、PDCA等の枠組みを個別に整備し、適切に運用していることから、重なった対応とならないように、制度の対象とはしておりませんが、事務上の重大な不備を把握した場合は、対象事務への追加等を検討するということにしております。
今回改めて、財務以外の事務について運用状況の評価を行ったところ、現時点で重大な不備はないと確認できましたが、今後、把握した場合には、他自治体の事例も研究していきながら、対象事務の追加などについても検討して参りたいと考えております。
また、全部局が参画する内部管理推進委員会におきましても、財務以外の事務が適切に運用されていることを継続的に確認していくこととし、全庁横断的なチェック体制の強化に努めて参ります。
行政を取り巻くリスクが変化する中、内部管理制度を的確に機能させるためには、制度責任者である知事の意識や姿勢を職員と共有しながら組織的に取り組むことが重要でございます。
今後とも、県民の信頼を得られるよう適正な業務執行を一つひとつ積み重ね、全庁的なガバナンス強化を図って参ります。
[島山県議]この問題は、昨年、知事が不在の時の決算委員会でも質疑をさせていただきました。
その時にも神奈川県の事例をあげさせていただきました。神奈川県は、財務事務以外に情報管理や文書に関する事務などを基本方針にあげられていることを指摘させていただきました。その時は、知事がおられなかったので、研究しますとの答弁だったと思います。
その後、内部管理基本方針を見直すにあたっては、知事がトップの内部管理推進会議があるが、昨年の私の質疑以降、知事が就任されて、こういったことも踏まえて、議論されたことがあるのか、議論されたのであれば、どのようなことが議論されたのか再質問させていただきます。[中之薗財務部長]事務的な質問でしたので、私からご答弁申し上げます。昨年度ご質問頂いて、私の方も、他府県の状況をいろいろとつぶさに調査させていただきました。確かに、神奈川県など、財務事務以外の事務について、例えば文書管理などを対象としているところはございました。その取組状況を私共の方で調べさせて頂きました。
本県の取組と比較したところ、さほど大きな取組の差はなかったということで、私共としましては、今直ちに内部管理の方に格上げしてやる必要はなく、重畳的な対応にならないようガイドラインの記載もございますので、現時点ではそうさせて頂いています。今後につきましては、先ほど知事からご答弁させて頂いたとおり、重大な不備があれば、直ちに検討させていただくという風に考えております。[島山県議]知事をトップとした議論はしていないという認識で捉えましたけども、他府県の状況も調べられたということですが、先ほど言いましたとおり、今回、文書管理や情報管理といったことが大きく指摘されている中で、もう一つ言うと、こういう状況の中で、知事がリーダーシップをとって、もう一度チェックがどうなのかということをこの会議でされるべきだということも前回お話させて頂いたところ、それがされていないのは残念ですし、細かい事務的なところは職員の方の負担が増えることもあるかもしれないが、私はこのタイミングで知事自らが方針を見直して、今一度やる必要があるのではないかなと、意見を申し上げまして、次の質問にいかせていただきます。 -
3. 地方創生2.0を踏まえた兵庫モデルの地域創生戦略について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]国は「地方創生1.0」に続き、「地方創生2.0」を打ち出しました。これまでの人口減少・定住促進を主眼とした1.0から、2.0では、デジタル技術活用、関係人口の拡大、地域の「稼ぐ力」の強化、さらにはSDGsと統合した地域づくりへと視点を広げています。
兵庫県でも第三期地域創生戦略が発表されましたが、若者の県外流出、婚姻・出生数の減少、東京一極集中の再加速など、依然として深刻な課題が山積しています。だからこそ、地方創生2.0の理念をどう具現化していくのかが問われています。
まず、注目すべきは「関係人口」の創出・拡大です。関係人口とは、「定住でも観光でもない、地域と多様に関わる人々」とされており、地域にルーツがある者や、ふるさと納税者などが挙げられ、本県においてはひょうごe-県民制度登録者も含まれます。令和2年度に設置された「ひょうご関係人口案内所」は、多自然地域への関わりを促すコーディネートも進行中です。
しかし大切なのは、単に「数」を増やすだけではありません。短期的な交流で終わらせるのではなく、教育や就労、さらには移住・定住につながる「質の高い関係人口」づくりが重要です。その視点を持って施策を構築していくことが求められます。
そこで知事にお伺いいたします。
一点目、地方創生2.0の視点を踏まえ、兵庫県の第三期地域創生戦略において、デジタル技術活用や稼ぐ力強化などの施策を、どのように優先順位づけ・推進されるのか。
二点目、「ひょうご関係人口案内所」など既に取り組まれている施策を、県外若者や都市住民の継続的な関わりにつなげるために、どのように今後の展開を考えておられるのか。
兵庫県は、瀬戸内から日本海まで多様な地域を抱え、都市部と農村部が共存する「縮図の県」と言われます。この兵庫の特性を活かし、地方創生2.0を先導するモデルケースとなることを期待します。
知事の積極的な政策展開について、ご所見をお伺いいたします。[齋藤知事]国の「地方創生2.0」で強調されております“稼げる地方経済の構築”“デジタル技術の徹底活用”“関係人口の拡大”などは、兵庫県の「第三期地域創生戦略」でも重点的に取り組むべき課題として位置づけられております。
地域が稼ぐ力を高めるためには、兵庫県の強みである先端産業や地場産業などのものづくり産業、兵庫の地域資源を活かした観光産業などの強化を図るとともに、農林水産業の生産性向上や高付加価値化にも力を入れてまいります。それらを支えるのがデジタル技術であり、人手不足が深刻化する中、各現場でのDX化やロボットの導入支援などを強化してまいります。
関係人口の拡大については、プラットフォームとして「ひょうご関係人口案内所」を設け、都市部住民と地域とのマッチングを行っております。農作業のボランティアや地域資源を活用した体験ツアーなど多様な取組が進んでおり、登録者数も着実に増加しております。ただ、登録者数の内訳を見ますと、県内の40代・50代が中心となっております。県外在住者や若い人の参画に向け、広報誌・webメディアでのPRや、県内外の大学生が多自然地域で活動するイベントの実施なども取り組んでおります。今後はさらに、訴求力のある専門誌と連携した発信力強化のほか、関係人口の創出をテーマとしたフィールドパビリオンのプログラムも積極的に活かすことで、「参加者」と「受入地域」双方の拡大を図ってまいります。
また、関係人口施策の一つとして位置づけられる「ふるさとひょうご寄附金」は、寄附者の賛同を得られるプロジェクトを支援対象としまして、令和6年度は前年度比で2倍以上となる約11.1億円の支援を得られております。
五国の多彩な魅力や、都市と農村の近接性など、兵庫の強みを生かして、一層の関係人口の拡大に取り組んでまいります。[島山県議]今回、国は地方創生2.0を策定しました。それは地方創生1.0の反省を踏まえたものです。地方創生1.0のときは、ちょうど2014年に増田レポートということで、消滅可能性都市が発表されました。その中で、私の選挙区である神戸市須磨区が、消滅可能性都市になったということで大変ショックを受けた記憶がございます。レポートを受けて、地方創生1.0は、人口減少対策に重きを置いていました。
しかし、今回はその反省を踏まえて、人口減少は現に兵庫県も日本も止められてないという中で、この人口減少対策一辺倒では不十分で、地域の活力を維持できないということで、国は先ほど申し上げたような論点を柱として挙げています。その中で私自身は「稼ぐ力」というところに注目をしています。
人口減少をある程度受け止めつつという中で、大阪大学の元総長の鷲田清一先生が『しんがりの思想 反リーダーシップ論』という本を書かれている。「しんがり」というのは戦の中で退却戦のときに一番敵の近くにいて、味方の安全を確認してから、最後に引き上げる役目であります。当時、私もまだ地域創生に取り組み、地域の活力を活性化し人口を増やしていく考えでありました。そういう中で鷲田先生は、これからは人口減少を是として、退却戦の中でリーダーはその目配りをしながら、地域の活力を維持しながら取り組んでいく、そういうことがこの本に書かれていたと理解しております。
そういった意味では、この人口減少という厳しい現実を真正面に受けとめながら、地域の文化・資源を活かし活力を維持していく。そういう地域創生戦略の具体的な取組に、知事のリーダーシップ、ここでのリーダーシップは、引っ張っていくのではなく、しっかり目配りをして県民住民を守っていく、こういう思想でしっかり取組を進めていただきたいと思います。 -
4. 芸術文化立県の実現に向けた体制改革と第4期芸術文化振興ビジョンについて
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]兵庫県では現在、第4期芸術文化振興ビジョンの策定が進められています。これまでの議論では、伝統文化の継承、人材育成、地域格差の是正、文化観光やインバウンド戦略との連携など、多くの課題が指摘されています。
しかし、その実効性を高めるためには、まず推進体制の整備が不可欠です。県立美術館や博物館など一部の施設は教育委員会の所管に置かれておりますが、文化政策や観光政策と十分に連携できているとは言いがたい現状ではないでしょうか。芸術文化を県政の中核戦略として位置づけるのであれば、知事部局が主導し、教育委員会とも連携しながら総合的に推進できる体制への移行を検討すべきではないでしょうか。
全国的にも、文化・観光・地域振興を一元的に担い、文化芸術をまちづくりや観光に結び付けて成果を上げているところもあります。
また、伝統文化の継承においては、書道がユネスコ文化遺産登録を見込まれるなど大きな機会を迎えています。教育行政との連携を強め、若者世代が実際に鑑賞・体験できる場を拡充することが急務です。
さらに、地域文化の振興についても体制整備が求められます。出石永楽館の活用や旧県民会館閉館後の発表の場不足など、現場からの声に応える施策を展開しなければなりません。文化は地域経済や観光振興の基盤であり、共生社会づくりにも直結する政策分野です。
一方で、現在、福祉部ユニバーサル推進課において、ひょうご障害者芸術文化活動支援センターのあり方について、有識者を交えて議論されています。まさに第4期ビジョン改定に向けて、重点的に取り組もうとされている「誰もがどこでも芸術文化に親しめる環境構築」がこの検討会でも大きなテーマとなっていました。是非とも、あり方検討会の議論成果も第4期ビジョンに反映されるように考えて頂きたいと思います。
以上のことを踏まえ、芸術文化立県の実現に向けた体制改革と第4期芸術文化振興ビジョンについて知事のお考えをお聞かせください。[齋藤知事]阪神・淡路大震災を経験した兵庫県では、芸術文化で人や地域を元気にする社会づくりをめざして「芸術文化立県ひょうご」を掲げ、その指針として芸術文化振興ビジョンを策定して、芸術文化と各分野とが連携した取組を、連携して進めてきた。
具体的な分野間連携の例としては、①芸術文化センターにおけるわくわくオーケストラなど教育分野との連携、②障害者アートギャラリーの開設など福祉分野との連携、③ミュージアムロードによる灘駅周辺の賑わいづくりなど観光分野との連携といった取組が挙げられる。
次期ビジョンの策定に向けても、芸術のみならず福祉、地域活性化など各分野の有識者で構成する委員会を設置して検討を進めている。重点取組として①若者世代の活動支援と担い手育成、②誰もがどこでも芸術文化に親しめる環境整備、③芸術文化資源を活かした地域活力の喚起、等を位置付ける方向で検討しており、今後さらに議論を深めていきたい。
これら施策の展開にあたっては、今年度から知事部局に設置している「文化スポーツ局」が中心となって、庁内の各部局と市町、民間等とが連携することが重要であると考えており、「芸術文化立県ひょうご」のさらなる躍動につなげていきたい。 -
5. 子どもの声が届く県政に向けた権利保障と人権オンブズパーソン制度の必要性について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]いじめ、不登校、児童虐待、そして子どもの自殺。これらは子どもたちの生活の中で、明らかに悪化しつつある実態です。全国では、令和6年、小中高生の自殺者数が529人と、統計のある昭和55年以降で最多を記録しました。兵庫県内では、不登校児童生徒数が4年で約1.8倍に増え、令和5年度1万7,137人に達しています。また、いじめの認知件数も3万3,722件に上り、過去最多との報道です。
虐待についても、県内の児童相談所が令和6年度に受付けた相談件数は9,585件と、過去最多を更新しています。
こうした状況は、「対策が取られてきたが、歯止めがかかっていない」という現実を示してるとも読み取れます。これまでの学校や家庭での相談体制や支援体制の一層の強化が必要ですが、それだけでは、子どもの声が十分に制度に反映され、被害の拡大を防止するブレーキにはなっていないのではないでしょうか。
先日、我が会派は兵庫県弁護士会・子どもの権利基本条例制定プロジェクトチーム座長として、日々子どもの問題の最前線で子どもと向き合って課題解決に取り組まれている坂本知可先生からお話を伺いました。その先生の結論はこの現状を変えるため、兵庫県として「仮称・子どもの権利条例」を制定し、子どもの権利を明確に位置づけ、社会全体の意識改革と子どもの声が反映される社会づくりであり、その柱として、第三者性を持った人権オンブズパーソン制度が不可欠とのことでした。
人権オンブズパーソン制度は子どもの立場に立って、不利益や不正義がないかを調査し、改善を求める「第三者的な立場の相談・調査機関」です。全国で先駆けて導入した川西市では、2024年次にオンブズに寄せられた相談・調整の回数は700回に上り、そのうち子どもとの相談・調整回数が半数以上であり、子どもと直接関わる機会が多かったことが報告されています。相談対応だけでなく、分析を通じて市に対し意見表明や提言を行い、制度改善につなげています。
兵庫県内では川西市をはじめ一部の市町で取組が始まっていますが、県全体としては制度の普及や連携が十分とは言えません。
そこで、まず、若者Z世代の支援に力を入れられている、齋藤知事がリーダーシップをとり、いま直面する子どもの課題解決に向け取り組む必要があると考えますが、知事のご所見を伺います。[齋藤知事]県では、昨年度「ひょうご子ども・子育て未来プラン」を改定し、その中で「子どもの人権を尊重し最善の利益を図る」ということ、「子どもの意見を聴取し尊重すること」を新たな目標に掲げ、子どもの人権を尊重し、保障するための施策の推進を図っています。
子どもの権利保障では、いじめ・不登校、児童虐待・自殺など、議員がご指摘いただいた、近年増加している子どもが抱える悩みに応えていくことも大事ですから、LINE等のSNSや電話などで相談できる窓口の開設や、児童相談所の職員が施設に入所している子ども達に向けて「こどもの権利ノート」を配付したり説明することで子どもの権利を守るほか、子どもからの求めに応じて、所謂意見表明支援員、弁護士を派遣するなど、適切な援助を行っているところです。
子どもへの意見聴取では、子どもの意見を定期的に聴くために、小・中・高校生300名に「こども政策モニター」として登録していただき、福祉や子ども施策に関する意見を聴取し、学識経験者や福祉関係団体、市や町等で構成する「兵庫県子ども・子育て会議」で議論しながら、県政策への反映に努めています。
社会的養育に関わる職員を対象に、子どもの権利や擁護手段に関する研修会を実施するほか、これらの取組への機運醸成をめざして、11月に「こどもまんなかフォーラム」の開催を予定しています。
ご指摘の人権オンブズパーソン制度については、県内では議員のご紹介いただいた川西市など4市が条例を制定しています。県内外の先行事例、そして市町との役割分担などを踏まえ、方策については研究していきたいと考えています。
今後とも、子どもの意見を尊重し、子どもの最善の利益を優先する社会の実現に向け取り組んでいきます。[島山県議]当然兵庫県だけの問題ではなく全国的な問題ですし、色々な数値が過去最高で、要因も様々だと思いますが、現場で本当に厳しい事案に接している弁護士からの意見、現場の生の声は真摯に受け止めて、何らかの形で兵庫県が“こどもファースト”ということを打ち出し、子どもの声をしっかり聴く姿勢を表明する、現状ででも構わないですが、そういう意味では条例化で、やはり知事の思いがしっかりつながった条例づくりを、ぜひ引き続き検討していただきたいということを要望させていただきたいと思います。 -
6. 自然との共生と安全を両立する県立自然公園の魅力発信について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]兵庫県には、瀬戸内から日本海、そして里山から高原に至るまで、多様で豊かな自然環境を有し、11か所の県立自然公園が存在します。こうした豊かな自然公園とあわせ、約580kmにもわたる近畿自然歩道が4ルート、64コースも設定されていることは皆さんご存じでしょうか。この自然歩道は、多彩な自然、各地に点在する史跡や寺院などに代表される地域の歴史資源を帯状に結び、身近に自然や歴史とふれあえるように国が設定した「みち」であります。これらは、県民の憩いと学びの場であるとともに、観光や教育の資源としても大きな可能性を秘めております。まさに、齋藤知事が提案したフィールドパビリオンが目の前に広がっているのではないでしょうか。
しかしながら、その魅力は十分に発揮されているとは言えません。アクセスの不便さ、情報発信の不足、施設の老朽化など、課題は山積しているのが現状です。
他県においては、長野県が自然資源と観光戦略を連動させ、エコツーリズムやデジタル広報を積極的に展開し、自然公園のブランド化に成功しています。本県でも、各自然公園の特色を整理し、動画やSNS、多言語対応による発信強化、さらに学校と連携した体験プログラムの導入を進める必要があると考えます。加えて、バリアフリー化や交通アクセスの改善、休憩施設や案内設備の充実など、誰もが安心して利用できる環境づくりが欠かせません。
一方、安全面の課題として、クマの出没が北海道や東北を中心に、深刻化しています。本県においても、令和6年度にツキノワグマのエサとなるドングリ類が14年ぶりの大凶作となったことから、目撃・痕跡情報は1,128件に上り、人身事故も2件確認されるなど、過去に例のない頻度で発生いたしました。
令和7年度の兵庫県下のドングリ類の豊凶調査では、豊作であるものの、秋には冬眠前のツキノワグマがエサを求めて人里に出没する傾向があるため、警戒が必要となっています。
こうした状況に対し、本県では、先日、「ツキノワグマ対策連絡会議」が立ち上げられるなど対策強化も進められています。自然との共生と安全確保を両立する取組が求められます。
そこで以下、3点お伺いします。
第一に、県立自然公園の魅力を国内外に発信し、利用を促進するための戦略を、どのように描かれるのか。
第二に、バリアフリーやアクセス改善など、誰もが安心して自然に親しめる環境整備をどのように進めていくのか。
第三に、現在、県立自然公園内に限らずクマ出没が増加しているが、県立自然公園を訪れる登山者やハイカー等の安全を確保する具体的方策をどのように講じられるのか。
自然の魅力を守り、人々が安心して楽しめる県立自然公園を、次の世代へ継承していくことこそ、持続可能な地域社会の基盤となると確信いたします。知事のお考えをお聞かせください。
[服部副知事]本県は、多様な地形や気候によりまして、地域ごとに特色ある自然環境が形成されており、ご指摘のとおり11の県立自然公園、約580kmの近畿自然歩道が設置されています。
その魅力発信、利用促進につきましては、ブランディングの成功事例として、上山高原の貴重な自然環境を活かしたフィールドパビリオン、砥峰高原のススキ草原での映画やドラマロケ、ブライダルフォトの撮影地利用などが挙げられます。今後は、これらと同等のポテンシャルを有する地域資源の発掘に努め、ホームページやSNSを使った多言語対応による情報発信の強化や、鉄道会社等によるハイキングイベントとの連携、また環境学習プログラムの充実などにより利用促進を図ってまいります。
また、施設の環境整備につきましては、トイレ、標識等公園内施設の一部で災害や老朽化による機能低下が見られますので、国庫補助を活用して整備を行い、来訪者の安全安心を確保してまいります。併せまして、自然公園の拠点となる六甲山ビジターセンターなど交流施設のバリアフリー化の充実、公共交通機関によるアクセス方法のより分かりやすい情報発信の工夫なども行ってまいります。
利用者に対するクマへの注意喚起につきましては、森林動物研究センターと連携した啓発と併せまして、出没の可能性の高い地域において、鈴の携行等注意すべきポイントを解説した注意看板の設置などに取り組んでまいります。
こうした取組と併せ、自然公園を保全する規制を適切に行いながら兵庫五国が織りなす多様で魅力的な自然公園を、次世代へしっかりと継承してまいります。[島山県議]ぜひ、兵庫県が持っているフィールドパビリオンの価値、私自身も先日、三田と篠山の近畿自然歩道を通って自然公園へ行きました。本当に素晴らしい自然と町の史跡がある、素晴らしいコースです。こういうものをフィールドパビリオンとしてしっかりブラッシュアップしていくということが一点。もっとやっていくべき課題があると感じました。
もう一点は、山の中腹に登った時にクマ看板が出てきて危険ということが分かりました。当然、三田の山にクマが出るという認識はなく登ったものですから、事前の準備という意味では、そこの情報発信も課題と認識し、今回の質問の契機に至りました。
ご存じのとおり今登山ブームであり、私の地元の須磨アルプスにもたくさんの登山客が来られます。10月に入ってハイシーズンになるなかで、県民の皆さんが兵庫県の魅力である自然公園、自然歩道を安心してハイキングできるように、そういう体制づくりにしっかりと取り組んでいただきたいなと要望しておきます。 -
7. 高校無償化における県立高等学校の役割と公私のバランス確保について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]令和8年度から、いわゆる「高校無償化」が全面的に拡充され、公立・私立を問わず、所得制限なく授業料相当額が支援される予定です。家庭の経済的負担軽減という観点では大きな前進です。この無償化により、今後、多くの生徒にとって私立高校への進学がより大きな選択肢となるでしょう。
実際に無償化を先行実施している東京都、大阪府の令和7年度の公立高校の入試では、定員割れとなった公立高校が昨年度より増えています。
高校無償化に関する「自由民主党・公明党・日本維新の会の三党合意」のなかでの論点整理でも、「私学シフト」への懸念、公立高校離れや地方公立高校の衰退への対応、さらに専門学科ごとの公私比率の違いを踏まえた計画策定や広域通信制高校に関する課題などが明示されています。都市部に私学が集中する一方、地方では公立が教育機会の最後の砦を担っており、公私の適正な役割分担が必要になってきます。
国は子どもたちの学びの質や機会を保証するためには公立高校への地理的アクセスの確保、人口減少社会に対応した規模の適正化が必要であり、これらを保証する重要な役割を担う公立高校の振興が重要だとしています。今後、国が示す高校教育改革に関するグランドデザイン(仮称)を踏まえ、都道府県では計画(高校教育改革実行計画(仮称)) をつくり、それに基づき、公立高校の施設老朽化対策等を行っていくとされています。
先日、県立高等学校の全日制発展的統合対象校の発表が延期されるとともに県立高校の魅力づくりを進めるために環境整備を推進することを打ち出されました。こうした国の流れに沿ったものだと理解しています。
高校無償化の新しい時代にあっても、「ここで学びたい」と選ばれる県立高校を築くことが重要です。一方で私学では、建学の精神に基づく多様で特色ある学びがあり、全体として教育の厚みを支えています。無償化を契機に私学の強みが発揮されることで、公立と私立が互いに切磋琢磨し、県全体の教育の質を高める好循環を生み出していくことが、教育の公平性と多様性を守る上で不可欠です。大阪府では3年連続定員割れ高校を統廃合の対象としており、この20年あまりで約40校が廃校見込みとも聞いています。これから受験を控える家庭にとって、これからの兵庫県の高校がどうなっていくのか大きな関心事だと思います。
そこで以下二点、お伺いいたします。
第一に、本来は高校教育改革実行計画(仮称)をつくり、それに基づき高校の魅力づくりや老朽化対策などの環境整備を進めていくべきと考えますがその前提として、県民から求められる県立高校の役割を県当局はどのように考えているのか。
第二に、公立と私立が互いに教育の多様性を担い、県全体で教育の質を高め合うために、公私のバランスをどのように確保していかれるのか、当局の見解を伺います。[藤原教育長]広大な県土を有する本県の県立高校は、古くは村立・郡立中学校等から始まり、旧五国の各地域が有する歴史や文化、産業等の魅力を生かしながら、地域住民や企業、市町等との多彩な連携・協働のもとに、魅力と活力ある学校づくりに取り組んできた。
特に、三次にわたる県立高校教育改革実施計画に基づき、多様な学科の新設・改編、発展的統合や学区の再編、入学者選抜制度の改善など、社会情勢や地域の教育ニーズに的確に対応しながら教育改革を進めてきた。まさに、どの地域でも学びたいことが学べる教育環境を保証することが県立高校の大きな役割である。このことが本県の子供達や保護者の公立高校への期待に繋がっており公立高校への進学率は7割を維持しているものと考える。
公立高校の募集定員については、生徒急増・急減期から現在に至るまで、県内国公立中学校卒業者数における公立高校入学者数の割合が概ね一定の水準となるよう定員を設定している。この結果、例えば、生徒の急増期(昭和56年度頃)や急減期(平成元年度以降)での水準68%に対して、令和6年度は67.1%、令和7年度は65.9%と、その範囲内として割合を維持しており、まずは今後もその割合を維持していく。また、毎年度、公立、私立の協調を基本として、県教育委員会と私学代表者で構成される公私協議会幹事会を開催しており、今年度も入学動向等について情報交換を行ったところである。
今後、国から示される予定の高校教育改革に関する基本方針、私学無償化の影響や発展的統合の検証等を踏まえ、本県の第三次実施計画の修正等国が求める実行計画を策定していき、県立高校の更なる魅力づくりと活性化に取り組んでいく。
[島山県議]これからの県立高校の舵取りは難しいと感じている。その中で、公立・私立が互いの良さを発揮し、兵庫県の教育の質が上がるような取組をさらに進めていただきたい。
大阪府と兵庫県は地域性も異なる。また、本県の第三次実施計画は、大阪府のように、定員割れを理由に廃校するという取組ではないと理解している。今後も、受験者に速やかに情報発信していただきたい。
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8. 酷暑対策と防災拠点機能を高める県立学校体育館空調整備について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]近年、夏季の気温上昇は著しく、県立高等学校等の体育館では、授業や部活動中に室温が35度を超えることも珍しくありません。こうした環境下では、熱中症の危険が極めて高く、生徒の健康と安全、そして学習・運動能力の維持に深刻な影響を及ぼします。
令和6年9月の文部科学省の空調設備設置状況調査では、一部の自治体では体育館への空調設置が進んでいるものの、全国平均が高校14%、特別支援学校40.8%。また本県の状況は、高校11%、特別支援学校78%であり、十分とは言いがたい状況です。教育環境の安全確保の観点から、体育館空調整備の計画的かつ早急な推進が求められます。
さらに、体育館は災害時の避難所としても重要な役割を担っています。酷暑や厳冬期の避難生活において、空調設備は単なる快適性の問題ではなく、避難者の生命と健康を守るための必須条件です。特に高齢者や乳幼児、障がい者にとって、空調の有無は避難生活の質と安全性を大きく左右します。
防災拠点としての機能強化には、空調だけでなく、非常用電源や蓄電池、太陽光発電との連携も視野に入れるべきです。これにより停電時でも空調や照明が確保でき、災害対応力が飛躍的に向上します。
兵庫県では令和7年8月の総合教育会議で、県立高等学校・特別支援学校の避難所指定体育館のうち空調未整備の70校における環境改善が急務とされ、学校生活にとって空調設備は必要不可欠であると議論されたところです。この度の9月補正予算でも7校の追加整備案が提出されています。
避難所指定体育館の整備は優先されるべきであって、有利な国の財源が活用できるという財政的な観点からも早急に進めるべきだと考えますが、並行して避難所指定はされていない県立学校29校の整備も進めるべきです。特に体温調整などが難しい生徒が多く通う特別支援学校への整備は優先して取り組むべきではないかと考えます。
現計画が本年度で終了しますが、今後、どのような方針とスキームのもとで避難所指定体育館及びそれ以外の未整備体育館を整備されようとしているのか、合わせて防災機能強化として必要とされる非常用電源等について、どのように考えられているのか当局のお考えをお聞かせください。[藤原教育長]県立学校体育館への空調整備については、まずは、南海トラフ地震への対応を優先し、避難所指定体育館のある特別支援学校全9校のほか、高校は地域バランスを考慮して、政令市3校、中核市各2校、その他の市町各1校の計43校を選定、令和5年度からの3か年計画で集中整備を行っている。今年度末で52校の整備が完了し、避難所指定体育館総数の42%の設置率となる。
一方、現行計画が完了しても、避難所指定のある70校で空調が未整備であることから、まずは今定例会には、来年夏までに整備可能な7校を追加整備する補正予算案を提案している。今後は、残る63校について、来年度から集中的に整備を行う計画を策定し、非常に厳しい財政状況ではあるが、予算の確保に努めていく。併せて、現時点で避難所指定を受けていない学校が29校あるので、有利な国の財源の活用に向け、市町防災部局と避難所指定に向けた協議を行うとともに、ご指摘の特別支援学校の優先整備の検討も行うなど、将来的に全ての体育館への空調整備を目指す。
ご提案の避難所における防災機能の強化については、基本的には県の避難所管理運営指針に基づき各市町において進められるものと考えるが、県立学校での体育館空調設備は、災害時でも稼働可能なプロパンガスヒートポンプ方式を採用し、市町の要望に応じて、炊き出し用のガスコックや非常用電源の接続口を設ける仕様としており、防災拠点としての機能強化を図っているところである。
今後とも、避難所の環境改善と教育環境の充実に向け、計画的に県立学校体育館への空調整備に取り組む。[島山県議]これまで何度か特別支援学校の整備を優先的にすすめていくべきだと意見していたが、今回は前向きに検討しているという理解でよいか。[藤原教育長]特別支援学校については、様々な健康状況の生徒が授業を受けている中で、それぞれの体調を考えた際に、早期に体育館空調を整備することが重要だと考えている。そのうえで、避難所に指定できるのであれば、避難所として指定する、それ以外の場合でも、今後の3か年等で計画を策定していく場合に、前倒し整備を一緒に検討していきたいと思っている。[島山県議]特別支援学校には小学部、中学部があるので、優先的に整備すべきではないかと思っており、前向きに検討してもらえるということで、ありがたく思っている。
体育館空調について、避難所運営時のみに使用できるということではなく、クラブ活動や、日常でも使用できるよう、電気代の問題もあるが、生徒が安心して過ごせるよう配慮していただきたい。