議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第373回(令和7年12月)定例県議会

小泉弘喜県議
[質問項目]
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1. 令和8年度予算編成方針について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]齋藤県政、2期目に入り、2度目の予算編成であります。県民がいきいきと暮らし、
活躍できる兵庫づくりの実現のため、力強く県政を前進されることを期待いたしまして、
質問させていただきます。
県では、不安定な世界情勢や長引く物価高騰により、家計や中小企業は勿論、
農業や漁業など幅広い産業に引き続き深刻な影響を与え、予断を許さない状況が続いています。
また予想を上回るスピードで進む少子高齢化や人口減少を見据え、公共サービスを将来にわたって持続可能なものとするため、働き方改革の実現、更なるDX化の推進や脱炭素の取組拡大により、
持続的な地域社会・経済の構築を目指さなければなりません。
さらには、南海トラフ地震への備えや、激甚化・頻発化する自然災害への対応を
強化するためにも、デジタル技術の活用等、防災・減災対策の高度化が求められています。
また発災より 30 年を迎えた阪神・淡路大震災をはじめ、過去の災害での課題や経験を
踏まえた教訓の継承や防災対策の推進を引き続き強化する必要があります。
県では、令和8年度予算編成において、「選択と集中」を徹底し、「スクラップ・アンド・ビルド」を図るため、重点政策枠を継続・拡充し、一般事業枠では経常的経費と政策的経費を
15%ずつ削減するとしています。その一般事業枠のシーリングで生じる財源を活用し、
部長マネジメント枠を令和 7 年度当初予算同額の10億円とし、新規・拡充事業を展開する
方針です。
他にもかねてより、知事が力を入れている『若者・Z 世代応援パッケージ枠』や
『兵庫サステナブル事業枠』、そして『地域創生枠』では令和7年度当初予算より1億円増額し、
合計6億円とする方針を打ち出しています。
また県民局・県民センター事業の地域躍動推進費の地域創生枠は、万博のレガシーを活用した
地域活性化に資する事業等に取り組み、地域創生を力強く推進するため、
令和7年度当初予算の1億円を拡充し、1.5億円に増額する方針です。
特にこの県民局・県民センター事業では、地域に根差した、県民に対しよりきめ細かな事業が
展開できるため、さらなる増額も必要ではないかと考えます。
他方で「選択と集中」、「スクラップ・アンド・ビルド」を図ることで、県民にとっては
外されては困る、スクラップされては困る事業が出てきます。
特にこれまで我が会派が力を入れてきた、障がい者や高齢者を含む福祉・医療関連や道路等の
維持管理など、県民からの要望が多い事業等が選択から外れ、スクラップされるではないかと
心配をしています。「選択と集中」、「スクラップ・アンド・ビルド」をするにしても、
しっかりと議会とも議論を重ね、県民に対し、丁寧に説明をしていただきたいと思います。
また、長引く物価高騰に適切に対応した当初予算編成であるべきだと考えます。
そこで国の政策動向や地方財政対策にも留意しながら、どのように県民に直接届く政策を
充実するための令和8年度予算編成をしようとされているのか、ご所見をお伺いします。[齋藤知事]米国の関税措置の影響の顕在化、昨今の市場における金利上昇の影響などが懸念され、
多額の県債残高を抱える本県にとっては、一層厳しい財政環境が見込まれます。
こうした中にあっても、すべての県民が希望をもっていきいきと暮らし、活躍できる
兵庫づくりを、さらに進めていかなければなりません。
新年度の予算編成においては、令和7年度当初予算と同様に重点施策枠を設定しました。
本県の財政状況を踏まえると、単純に予算額を増額することは難しいため、
スクラップとビルドにより、効果的な施策展開のためのブラッシュアップを図っていくことが
基本と考えております。
また、本庁・県民局とも、地域創生枠を拡充し、フィールドパビリオンなど万博のレガシーを
活用して、より一層、地域創生に取り組んで参ります。
年内には国において令和8年度地方財政体制が示される予定であります。これを踏まえ、
厳しい財政環境にあっても「躍動する兵庫」の実現に向けて、力強く前へ施策を進めていく。[小泉議員]現状をみながらしっかりと予算をつけていかれると思いますが、とにかく選択と集中、
スクラップ&ビルド、これは大事なことだと思います。それはわかっていますが、
県民の中には選択されなかったことで苦しまれる方もいらっしゃる。
そこはしっかり丁寧に県民のみなさんに説明していってほしいということと、
その前に我々と議論をしていただきたいと思う。 -
2. 物価・エネルギー高騰に対する緊急対策について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]本年 10 月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で前年同月比 3.0%上昇と高止まりが
続いています。
しかし、統計以上に深刻なのは県民の実感です。私たちのもとには
「食費を切り詰めても追いつかない」「暖房を我慢している」といった切実な声が
日々寄せられています。
特に食料品や光熱費の高騰は、年金生活者や子育て世帯の家計を直撃しており、
一刻の猶予もない状況です。
現在開会中の臨時国会では、政府が補正予算案で「重点支援地方交付金」を大幅に拡充する
方針を示しています。本県にとって、実効性ある対策を加速させる絶好の機会であり、
この財源を最大限活用すべきです。
我が会派の要望で実現した「はばタン Pay+」は、県民の皆様から高い評価をいただきました。
しかし、本年9月補正予算で実施した「はばタンPay+」に関しては、
長期化する物価高騰の影響が特に大きい子育て世帯を応援するため、
子育て応援枠が追加販売されました。
一方、高齢者や年金生活者などに対する特別な支援は実施されていません。
物価高は全県民共通の苦しみです。政府方針が正式決定され次第、
速やかに対象を全県民へ拡大すること。あわせて、「はばタン Pay+」のプレミアム率を
上げることにより、更なる支援の拡充を図るべきです。
エネルギー価格対策も急務です。国の電気・ガス料金支援に加え、本県独自のLP ガス料金
負担軽減策の継続・強化が不可欠です。また、医療、介護、保育、教育などの公共性の高い
施設は、光熱費高騰により経営が極めて厳しく、サービス維持すら危ぶまれています。
実際、県内の複数の福祉施設や私立学校等からも「このままでは事業継続が困難だ」とのお声も
届いています。
国の交付金推奨メニューにもこれら施設への支援が明記されており、
本県として積極的に取り組むべきです。
他にも、これまでに物価高騰対策として、地域公共交通・トラック等への支援や、
本年1月にも公明党から「物価高騰対策と県民の安心・安全の確保対策に関する知事への緊急要望」として申入れた、幼稚園等に対する施設整備等への支援の拡充など、
取り組むべき課題はたくさんあります。
前回を上回る物価高騰の現状を踏まえ、支援の継続はもとより、支援額の増額が県民のくらしを
支えるためには不可欠です。
併せて、早急な対応が必要となるため、先般、国の令和7年総合経済対策も閣議決定された中、
「重点支援地方交付金」等を活用し、県として補正予算をどのように組み、実行するのか、
ご所見をお伺いいたします。[齋藤知事]長期化する物価高騰等に対応するため、県民生活や事業活動を下支えする対策を速やかに
講じる必要があります。
こうした中、国においては、先般「強い経済」を実現する「総合経済対策」を補正予算案に
閣議決定するとともに、自治体に対し可能な限り年内での予算化を要請しています。
最優先で取り組むべき物価高騰対策として重点支援地方交付金の拡充が示されるなど、
積極的な経済対策が講じられたことは大変心強く感じております。国の早期予算化の要請を
踏まえ、本県においても、交付金を最大限活用した補正予算を編成し、今定例会中に提案すべく検討を進めております。
具体的な対策として、「はばタン Pay+」については、交付金の増額を踏まえ、
議員にもご指摘をいただきましたニーズの高い一般枠の販売を検討しているところです。
その他、家庭用LPガス利用者や特別高圧電力を利用する事業者等の負担軽減、
医療分野や介護分野等への支援として、国で新たに創設される制度に加えまして、
交付金を活用した福祉施設等への支援も検討してまいりたいと考えています。[小泉議員]はばタン Pay、LP ガス、福祉施設...具体例を出させていただいたが、
本当に様々盛り込ましていただいた。
本当にお困りの方々がたくさんいらっしゃるということを知事はじめ、
みなさんご存じだとは思いますけれども、我々も直接お声を聞かせてもらっているところがある。
一つひとつ丁寧にしっかりと交付金を活用していっていただき、
この先、来週、本定例会で補正予算案を出していただくということなので、
しっかり議論させていただいて、県民のみなさんにとってよい議論ができるように取り組んで参りたいと思う。 -
3. 高騰教育への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]県立大学の授業料等無償化は、無償化が適用される学生とそうでない学生との不平等性について
対策を講じるべきであることを会派として代表質問・予算決算総括質疑、会派予算要望など
度あるごとに知事に訴えて参りました。
知事が県立大学の授業料等無償化は「若者・Z 世代応援支援策のキーになる施策」と
おっしゃっている通り、知事の思いが詰まった核となる施策であると理解しますが、
同じ兵庫県民で県内の他大学等に通う学生にも何らかの支援策を講じて不公平感を
解消することは重要な視点であると考えます。
また、奨学金返済支援制度が県立大以外の学生への支援策であるとの答弁をされていますが、
奨学金返済支援を受けるには就職先となる対象企業数が学生数と比較しても少なく、
学生である時に受けられる支援策であるべきです。今の物価高に配慮した対策も重要です。
例えば、入学時に準備するパソコンや教科書等の購入費の補助など何らかの支援を
講じることができるように「入学祝い金」等の制度創設を考えるべきではないでしょうか。
その財源には、来年度から国が高等学校の授業料無償化を進めることで不要となる、
これまで「私立高等学校等生徒授業料軽減補助」として県単独で支援してきた
事業予算(約6億円程度)の活用も検討できると考えます。
また、単年度支援ではなく長期的な支援に向けて、「県立大学授業料等無償化基金」を広く
学生支援に活用できる基金へと改正するなどの検討も必要ではないでしょうか。
さらに、それらの支給にあたっては、支給対象が多く、また申請も煩雑になることが
想定されるため、はばタン PAY+に「新入生応援枠」等を新設するなど、
既存の制度を活用し、幅広く活用できるようなことも考えられます。
県立大学の授業料等無償化は、他大学に通う県内在住大学生にとっては非常に不公平感のある
支援策です。県内大学に就学する県内在住者への入学祝い金等の制度創設など、新たな支援策が必要だと考えますがご所見を伺います。[服部副知事]高等教育の支援についてお答えいたします。
本来、大学等における高等教育支援は、国レベルの支援が行われるべきであり、
本県では、県立大学の無償化が国の議論の先鞭となるよう、関係省庁へ積極的に
要請しているところでございます。
11 月 26 日の全国知事会議におきましても、授業料等無償化を含む、高等教育の費用負担軽減の
さらなる充実を国に求めるよう、知事から発言したところでございます。
同日、取りまとめられた提言は、今後全国知事会から文部科学省に提出される予定となっております。
県立大学の無償化制度は、来年度の完成を予定しており、入学時点から対象となった学生も
まだ生じていないといった状況にありますため、まずは志願者数や県内就職率などの動向を
分析し、本制度の成果について検証してまいります。
公平性の観点から、他大学の学生への支援が必要といったご意見は十分承知しておりまして、
ご提案いただいた内容も含めまして、どういった対応が可能か、財源面、制度面から、
若者・Z世代応援パッケージ全体の枠組みの中で、検討していきたいと考えております。
なお、ご指摘のありました無償化基金の使途につきましては、幅広く若者支援に拡充すべき、
とのご意見があることは承知しておりますが、まずは、無償化事業を安定的に実施するための
基金として活用していくこととしてございますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。[小泉議員]高等教育の支援ということで、国の方でするということが大前提というところもお話いただき、
国の方にも要請していただいているということではありますけれども、
国がいつやるのかというところも含めてですね、それまでに、
やはり困ってらっしゃる方々もいらっしゃるし、やはり不公平感、不平等感を
感じていらっしゃる学生、また保護者の方もいらっしゃるということを、
今一度お伝えをさせていただいて、様々基金のことは難しいというお話も
されていましたけれども、議論は何度やってもいいと思いますので、
しっかりと前に進められるように、我々も訴え続けてまいりたいというふうに思いますので、
また今後ともよろしくお願いいたします。 -
4. 知事の県民への説明責任について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]文書問題をきっかけに、県政の混乱が生じました。県民の分断も未だ続いています。
百条委員会や第三者委員会の調査報告書を踏まえ、内部通報制度の見直しや、
組織マネジメント力向上研修の実施、物品受領ルールの明確化、データ管理の徹底などに
取り組んできましたが、知事会見や知事の視察等の現場で、デモ的な行為が、知
事再選後1年が経過しても継続して行われている事態は異常な状況ではないでしょうか。
その要因としては、文書問題に関する様々な疑義について、知事から納得できる十分な
説明責任が果たされていないことがあると考えます。
知事は文書問題に関する質問等に対して「適切、適正、適法に対応した」という発言を
何度も繰り返していますが、その発言だけでは、公益通報者保護法に反していないことや、
利益相反する立場で第三者委員会の報告書の内容を受容しないこと等の説明としては
不十分ではないでしょうか。
兵庫県のトップリーダーである知事という職責において、文書問題だけでなく、
県政推進においても同様に、知事の説明は、全ての県民が理解できるよう、かみ砕いて、
々な角度から説明を尽くしていく姿勢が求められます。
その点、引き続き誠実に努力していただきたいと思います。
文書問題を含め、兵庫県は全国からも注目されています。だからこそ、
知事はじめ職員の皆さん、そして我々議員がしっかりと議論を重ね、今後も魅力あふれる
兵庫県を目指していかなければならない。こうした思い中で、以下、お聞きします。
知事として、未だに収束しない文書問題、県民の分断状況について、現状の認識を伺うとともに、その解消に向けて具体的に何に取り組み、どのような兵庫県を目指すのかご所見を伺います。[齋藤知事]県議会や定例記者会見の場におきまして、文書問題等に関連した様々なご指摘、
ご意見があるということについては、真摯に受け止めさせていただいております。
引き続き、県政の運営などについてご理解いただけるよう努めて参りたいと考えております。
昨年 11 月の知事選におきましては、県民の皆様から、行財政改革を含めまして、
政策を前に進めて実現してほしいという強いご負託をいただきました。1年経過いたしましたが、この間も、県民生活に繋がる予算、条例などを適切にご議決いただいておりまして、
県政運営が、政策を含めまして着実に推進できているということにつきまして、
県議会や県民の皆様には改めて感謝申し上げたいと思っております。
現在、国の経済対策を踏まえた補正予算、そして、来年度予算についても、議会側からの
先般以来の申し入れ、そして、躍動カフェなど県民の皆さま、現場からいただいた課題などを
踏まえて、職員と一緒になって検討を進めております。
百条委員会や第三者委員会の報告については、真摯に受け止めております。
その上で、風通しの良い職場づくりのための研修、公益通報についての制度周知や情報管理の徹底などを行っており、引き続き、改善すべきところは改善していくという姿勢で
取り組んでまいります。[小泉議員]知事の県民への説明責任についての部分で再質問させていただきます。
ちょっと、私も質問の中で、文書問題、県民の分断状況について、そして現状の認識を
伺うとともに、その解消に向けて具体的に何に取り組みというところでお聞かせいただいて
おりました。
そこに対してはまたお聞きしたいと思います。
そこに対してお聞きするんですけれども、このような質問をさせていただいている思い等を、
ちょっとお話しさせていただきたいんですけれども、私が今、尼崎選出ですけれども、
尼崎市の方で支援者の方だとか、また様々なところでお話を伺いしていく中で、
やはりお聞きするのが、知事がどういう人なのかがわからないと。
何が正しいのか、何が間違っているのかというところもわからない。
一部、この SNS 等でですね、分断が今起こっているかなと思うんですけれども、
各々の方の正義の中でいろいろ話をされているので、その各々の中で、応援をされる方、
そうでない方とか、様々な分断、そういったところもあるとは思うんですけども、
実際、私がリアルでお話をお聞かせいただく方々はですね、そういう方ももちろん
いらっしゃいますけれども、多くの方は、何が正しいのかがわからないんだということを
やはりおっしゃる方がいらっしゃいます。私もそのうちの一人なのかと思います。
しっかりと説明をしていただくことで、県民の皆さんにしっかりと理解をしていただいて、
判断をしていただくということがやっぱり大事なのかなというふうに思います。
そのために我々公明党は常日頃で、この文書問題が始まってからずっとですね、
政策で判断しますということで、しっかりとそこでの議論をさせていただいてまいりました。
説明責任という部分で言えば、ちょっと話が前後して申し訳ないんですが、
政策のことは、県民の皆様に、我々議員であっても、噛み砕いてわかりやすく
ご説明することっていうことは可能です。
やはり県民の皆様のために、しっかりと議論を重ねてやってきていることですので、
噛み砕いてお話しすることができますけれども、やはりこの文章問題を含めですね、
知事の中でのご本人のこと、知事し分からないことは、我々代わりには説明できないです。
しかも、憶測が入ってしまうと、それこそ良くないと思いますので、しっかりとそういうところはご説明いただきたいというふうに思うんですけれども。
すみません、質問の再質問の方に戻りますが、どのような兵庫県を目指しますか
というところでは、躍動する兵庫ということで、様々なお話しいただきました
けれども、その解消に向けて、具体的に何に取り組みますかというところは、
今のところどういったことを考えていらっしゃるのか、もう一度お聞きしたいと思います。[齋藤知事]まず文書問題につきましては、これは百条委員会、そして第三者委員会などでも、
私自身も出席させていただいて、議員の皆様とのやり取りなども公開でさせていただいております。その中で、それから、その後の会見などでもですね、この議会の場でも、様々な質問に対する
回答については、自分として答えさせていただくことを答えさせていただいたというところです。
それはもちろん受け手の側からすると、十分でない、十分であるという様々なご指摘はあろうか
と思いますけども、私としては、自分なりに説明できる限りで答えさせていただいている
というところでございますので、その点は、多くの県民の皆さんにもご理解いただけるように、
これからも努めていきたいというふうに考えております。
先般の 11 月の選挙の中で、やはり県民の皆さんが大きくご期待いただいているところは、
議員もご指摘いただいた、やっぱり政策の実現というところですので、
私としては、これまでの一年間、議員の皆様には、政策に関して、予算や条例について、
本当に真摯に議論にご協力いただきまして、成立、可決いただいたということを
感謝申し上げたいというふうに思いますし、県民の皆さんからの大きなご期待がある
政策実現に向けて、これからもしっかりやっていくということが、
県側、知事側と議会側の車の両輪として、県民の皆さんから大きく期待いただいている
という面であるというふうに思いますので、それをこれからもしっかりと着実に
推進していくということが、県政にとって大事だということで、それをしていくことが
私は県民の皆さんが一丸となって、兵庫県を前に進めていくということにつながる
というふうに考えています。[小泉議員]今お話しいただいた内容ですね、報道されたり、また SNS で流れていく中では、
様々カットされていたりだとか、様々あると思いますので、全てが伝わっていない部分も
あるのかもしれないですけれども、やはり、そういうことも踏まえた上で、
しっかりと県民の皆様に知っていただく、本来であれば定例者会見だとか、
そういった多くのところに見てやっていただけるといいんですけれども、
なかなかそういうのも見れない、なかなか感じれない方もいらっしゃるかもしれませんし、
そこはもう我々が話をしていくとかっていうところもあるんですけれども、しっかりと、
やはりこの今の状況、この分断を招いているという状況も、分断の状況があるということは、
もうご理解いただいていると思いますので、とにかく躍動する兵庫ということで、
しっかりとそこに目指して、今お話しいただいた内容をしっかりとやっていただけるように、
さらに具体案も含めた上でですね、県政を前に進めていけるようにですね、
我々はしっかりと政策の部分で、知事の提案されたその事業等のその政策、
いいところはいいと、さらに我々としてはこういうところも必要だ、
今もさせていただいておりますけども、そういった中で議論をしっかりと深めていく中で、
県民により良い政策を実現できるように、我々も一生懸命頑張ってまいりたいというふうに
思いますので、よろしくお願い致します。
とにかく県民の皆様にわかりやすい説明をしていただきたいというふうに思いますので、
何卒よろしくお願いを申し上げます。 -
5. 新庁舎整備等について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]新たな計画では、従前計画より整備面積を約30%削減し、設計費や建設工事費、
既存建物の除却費等で約 650 億円の整備事業費を見込んでいることなどが発表されました。
今後も物価高騰等で整備費が上がる可能性が高く、県民には丁寧で正確な情報を
発信していただきたいと思います。
一方、報道でもありましたが、耐震性の問題で建て替えが必要な1・2号館の解体により、
民間ビルに約 1,800 人の県職員が移動する予定と聞いています。
教育委員会は、既に先行移転しているところですが、その他部局も令和8年度以降、
順次、民間ビル等への移転が始まります。官房機能を有する部局は概ね、
3号館や生田庁舎等近隣の県有施設に移転することになってはいるものの、
防災面や各部局の連携や議会との連携等の多くの懸念点があります。
防災面に関しては、災害等の緊急時、どのような体制で県民の命を守るための
防災・災害拠点を構築していくのか、また、各部局・職員同士が離れていることにより
連携がうまくいかなくなれば、県民サービスの悪化やこれまで以上に行政の縦割りが
進むのではないかとの不安があります。
さらには、各地に移転した先で被災した場合には、職員等の安否確認など、
安全の確保と本庁との連携をどのようにするのか想定しておかなければなりません。
また平時においても、各部局の横の連携や議会との連携の際、直接的なコミュニケーションを図ることは減少し、オンライン等での対応が増加することが想定されます。
現状でも先行して移転している教育委員会と議会との調整は対面で行うケースが
多く見られますが、オンラインを活用する場合には、専用の部屋等のスペースが
必要であると考えます。さらに、対面での調整を行う場合には、移動手段やそこに係る時間等、
考慮していかなければなりません。
そこで防災面に関して、災害時にどのような問題が発生することを想定し、
県民・職員等の安全のための対策を講じるのか。また平時において、今後、約 10年間、
この状態が続くであろうことから、職員間や議会との連携等の課題をどのように解決するのか。
当局のご所見をお伺いします。[齋藤知事]新庁舎整備までの間、耐震性が不足する県庁1号館・2号館等で勤務する職員の
早期の安全確保の観点から、暫定的に3号館等の既存庁舎や民間ビルへ移転することとしております。民間ビルについては、現在、物件を絞り込んだ上で、ビルオーナー側と交渉を行っている
途上であるため、今後、契約状況を踏まえながら、暫定的な本庁舎再編の全体像を
お示ししてまいります。
これまで、災害時の対応はもとより、平時も、様々な部局間連携や議会との協議・調整等は、対面を原則として行ってきましたが、暫定的な本庁舎再編時には、
部局間で物理的な距離が生じることになります。県庁舎のあり方等に関する検討会でも、
「暫定移転を契機として、業務効率化・働き方改革を推進すべき」との意見もいただいており、
オンライン等も活用した円滑な業務体制を構築する必要がございます。
そのため、現在、全ての部局で構成する庁舎移転に係るワーキングチームを立ち上げ、
例えば、庁内協議、公文書管理、予算編成作業等、60 項目を超える移転に係る
諸課題について方針を決めながら、移転準備を進めていきます。
議会との連携や議論についても対面実施の重要性も考慮しつつ、今後、個別の
レクチャー等様々な場面におけるオンライン等での対応の実施も含め、この点については
議会側ともしっかりと議論を行いながら運営に努めてまいります。
災害時においては、引き続き災害対策センターを中核として対応いたします。
現在、分散する関係部局から、連絡調整要員の収容スペースや分散先との情報連携体制の
整備について協議を進めており、暫定移転の各段階に応じた BCP、各種要綱・マニュアル等を
都度、改定していきます。さらに分散時を想定した実践的な訓練を行うなど、
ハード・ソフト両面の準備を進めてまいります。[小泉議員]ほんとうに心配しかない状況でございます。職員のみなさまが県庁から離れられるということが、
私は初めてですので、しっかりとそこは不安な部分も個人としてはあります。
そういった中で、今まで普通にやってきたことができなくなるといことがやはりあります。
それが県民のみなさまへのサービス低下等々に繋がらないようにしなくちゃいけないという
強い思いの中で一生懸命我々も頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 -
6. 自転車利用者の交通安全対策について
質問と答弁のダイジェスト
(1)道路交通法改正に伴う「青切符」適用の周知徹底について
[小泉議員]令和 8 年 4 月から、16 歳以上の自転車利用者の交通違反に対して交通反則切符、
いわゆる青切符が適用されることになります。この制度に関しては、我が会派としても
これまで繰り返し、あらゆる場で問題提起を行い、県としての周知や安全教育の強化を
求めてまいりました。
県内の自転車事故は、令和 6 年中が 3,870 件と人身事故全体の 約 4 分の 1(24.9%) を
占めています。自転車の安全利用促進委員会の調べによると、中高生の通学時の
自転車事故のうち中高生が乗車する自転車側が加害者となる割合が全国に比べて高く、
中学生で 約 40.7%、高校生で 35.1% であることから、若年層の事故防止対策は喫緊の課題です。
加えて、今回の交通反則通告制度導入により、16 歳以上は軽微な違反でも3,000〜12,000 円程度の反則金が必要となりますが、大多数の高校生は自分の力で反則金を納付できない可能性が
あります。
また、同制度は、従来の赤切符を用いた刑事手続きに伴う違反者の時間的・手続き的な負担を
軽減するとともに、交通ルールの遵守を徹底するために導入されたものですが、
反則金を納付しなければこれまでと同様に刑事手続に移行する場合もあります。
自転車の違反が、進学や就職にも影響し得る重大な問題へ発展しかねないという点は、
保護者を含めて十分に理解されていないのが現状であり、学校教育現場や家庭とも連携し、
法改正の内容とリスクを丁寧に周知することが必須です。
また、青切符の対象となる違反行為が113種類もあり、若者だけに限らず、全世代に対して、
道路交通法改正に伴うルール変更、違反の種類等について周知徹底をしなければなりません。
知事部局や学校、市町、自治会、自転車販売店等の民間企業などとも連携した、
地域全体での取組により、交通事故防止につなげる必要があると考えますが、
今後どのように周知徹底していくのか、ご所見をお伺いします。[兵庫県警察本部長]県警察では、改正法の内容を含めました自転車等の交通ルール等の周知を図りますため、
分かりやすい啓発動画やチラシ等の作成に努めており、これらを活用して、
街頭における自転車利用者への直接の周知に加えまして、自転車販売店等関連企業と協働した
啓発活動を推進するとともに、SNSへの投稿や県警ウェブサイトに改正法の特設ページを
開設するなど、あらゆる広報媒体を活用して、幅広い世代に対する情報発信を
行っているところです。
特に、若者世代に関しては、小・中学校や高校に出向いて開催している交通安全教室のほか、
「事前学習」「効果測定」及び「実践行動」の3ステージからなる兵庫県警察自転車
セーフティプロジェクト高校生編通称「高校生チャリプロ」等により自転車の交通ルール等の
周知を図る一元的な取組を行っております。
また、教育委員会等と連携し、「学校と家庭をつなぐ連絡アプリ」等を活用することにより、
保護者の方や教職員に関しても「青切符」適用開始について情報発信を行っているところ。
今後とも、関係機関・団体と連携しつつ、こうした取組を着実に推進し、「青切符」を含む
自転車の交通ルール等の更なる周知と自転車安全利用意識の高揚を図って参ります。[小泉議員]本当に県民の皆さんから様々な心配な声を伺っています。
私は、10~30 名程度の細かい単位で、地域の方々と懇談する機会が多いのですが、
「自転車の青切符はどうなるのか。」という声をよく聞いています。
特に、尼崎市は自転車利用者が大変多い状況であるので、関心が高いです。
例えば、普通自転車等及び歩行者等専用の道路標識についてよく分からないという声も多く、
道路標識自体の意味も分かりにくいところもあり、私の周りの方々は理解されていない方が
多くいるというのが現実であります。
私がお会いする方々には一人一人に説明をしておりますが、やはり、県警察や知事部局、
教育委員会で協力をしていただきながら、県民への周知徹底を図っていただきたいと
思いますので、よろしくお願いいたします。(2)道路交通法改正を契機とした自転車安全対策について
[小泉議員]令和 5 年 4 月から、自転車利用時のヘルメット着用が全年齢で努力義務化されました。
これは、自転車事故の死因の過半が頭部損傷であり、未着用の場合の死亡・重傷リスクが
約 1.7 倍に上ることから、国が全国一律に安全確保の基準として示したものです。
こうした中、本県では、令和 5 年度から 6 年度にかけて「ヘルメット購入応援事業」を
展開しました。申請 87,617 件、給付個数 124,734 個、給付額4億 5,689万 4 千円と
大きな反響があり、県民ニーズの高さが明らかとなりました。
しかしながらこの様な安全対策を講じたにもかかわらず、令和 7 年9月末現在、
本県のヘルメット着用率は 9.8%に留まり、全国平均 21.2%を大きく下回る状況です。
自転車乗車中の死者の損傷部位のうち頭部が 53.1%を占めており、頭部保護の重要性は
言うまでもありません。
特に高校生の着用率が低く、県内で令和 6 年中は、高校生が被害者となる自転車登下校中の
死亡事故 1 件、重傷事故14件と重大事故が相次ぎ、県内 16 校で
「自転車安全利用モデル校事業」が進められ、生徒主体でヘルメット着用デーの設定や
啓発動画制作など、安全対策の強化が展開されています。それでも、依然として
高校生のヘルメット着用率は低く、着用しない理由には、
「努力義務だから」「みんな被っていないから」「髪型が崩れる」などが大半を占めており、
こうした高校生の意見も考慮した上で、これまでのモデル校事業等の検証を行い、
今後の着用促進に向けた取組が必要です。
また、中学生の部活動地域移行が本格化し、登下校に加えて部活動先への移動も
自転車で行う生徒が増えてくると見込まれる中、中学生の子どもを持つ保護者からは
「ヘルメット購入応援事業を復活してほしい」との声が急増しています。
以上を踏まえ、子どもから高齢者まで、全世代の命を守るため、ヘルメット購入応援事業を
全世代対象に拡大して、再実施すべきと考えます。
また、令和 8 年 4 月からは、道路交通法の改正により、高校生を含め、16 歳以上を対象に
青切符が適用されます。
この道路交通法改正を契機に令和 8 年度におけるヘルメット購入応援事業の再実施を含め、
高校生をはじめとした、県民のヘルメット着用促進のための施策、そして県民の命を守るための
安全対策をどのように行われるのか、当局のご所見を伺います。[齋藤知事]ヘルメット着用促進をはじめとする自転車利用者の安全対策は重要な課題であると認識しており、これまでも「『ストップ・ザ・交通事故』県民運動」の重点項目に掲げ、
街頭キャンぺーンやポスター・チラシ、県ホームページ、関係機関のネットワーク等を通じた
情報発信等に積極的に取り組んできました。
ヘルメット着用促進については、特に高校生年代で議員のご指摘の通り事故による負傷者の割合が高い一方で着用率が低いことを踏まえ、今年度、高校生年代向けに「自転車安全利用モデル校」
事業を実施しました。
来年4月の改正道路交通法の施行に向けては、ポスター、チラシや、専門学校と連携して作成した啓発動画の SNS 発信等により交通法規の周知に取り組んでまいります。
ご指摘いただいたヘルメット購入応援事業の再実施については、
先般、令和5年度に実施をさせていただいたが一定の財政規模がかかるということから
容易でないというふうに考えていますが引き続き、今年度のモデル校事業の実施結果を
踏まえまして、より効果的なヘルメット着用促進に取り組んでまいります。
今後とも、警察・市町・教育機関・民間企業と連携し、県民が安全に自転車を利用できるよう
取り組んでまいります。[小泉議員]2つ目、道路交通法改正を契機とした自転車安全対策についてであるが、ヘルメットを皆さん
本当に喜んでいただいているところであるが、なかなか着用率が上がらないという部分は
やはりある。これは現実である。
そうした中で、高校生が事故に遭うことも多く、しかもヘルメットをかぶっていないがゆえの
重大事故が多数あるということである。
愛媛県でニュースにもなったことがあるが、お父様がお子様を亡くされた方の動画も拝見した。
愛媛県では着用率が全国 1 位ということで、しっかり対策されているのであるが、
高校生に上がったときにお父さんと一緒に子供が自転車を買いに行って、
その時に子供の方から「ヘルメットどうだろう?」と言ってきたのに、
その時のお金と命を比べるわけではなく「今お金がないから」ということで断ってしまって、
その後事故に遭って亡くなられたという動画であった。
やはり命とお金は比べられるものではない。そういったところも含めて、お一人お一人ご家庭で
というのももちろんあるが、しっかりこのヘルメット事業をしていくことで救われる命もあるのではないかと考える。
また、高校生の中で、先ほど質問中にも入れたが「髪型が崩れる」というお話もあった。
実際、私も自転車によく乗って、ヘルメットをかぶるが、髪の毛に3本線がよく入ったりする。
そういったところで、整髪料などをしっかりと、高校生も含めてしていくのも大事なのではないかと考えるので、その辺もよろしくお願いする。 -
7. 感震ブレーカー設置促進について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]南海トラフ地震防災対策推進基本計画は、地震・津波による被害の大幅な軽減や社会機能の
早期回復等に向けた基本方針や施策目標を定めたもので、国において、本年7月に
中央防災会議で変更されたところです。今回の変更は、特に能登半島地震で明らかになった、
孤立、通信途絶、避難所環境といった多くの課題を反映し、より実効性のある対策が
打ち出されました。
また、阪神・淡路大震災をきっかけに注目された「通電火災」など電気に起因する
「電気火災」への対策も明記されています。
「通電火災」は、大災害の発生の度に問題提起されてきましたが、
未だに対策が十分ではありません。「通電火災」を含む「電気火災」は、阪神・淡路大震災や
東日本大震災で、原因が特定された火災の半数以上を占めています。また、能登半島地震の際に
輪島朝市で発生した住宅や店舗約 240 棟が焼損する大規模市街地火災の原因では、
電気が起因している可能性が考えられるとの調査結果が出されています。
特に木造家屋密集地での大規模火災を防ぐには、強い揺れを感知すると自動的に電気を
遮断する「感震ブレーカー」の設置を地域全体で取り入れることが重要となります。
内閣府が 2025 年3月に公表した南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ報告書説明資料において、「感震ブレーカー」の設置を 100%に高めることで火災による死者は半数以下になる
という推計も出されております。
国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画では、著しく危険な密集市街地の未解消地区を
有する地方公共団体のうち、感電ブレーカー設置計画で定めた目標を達成した
団体の割合を 2030 年までに 100%にするとありますが、昨年度時点で、感震ブレーカーの
設置支援を県下では2市が行っているものの、実績はほぼ皆無です。
全国的には都道府県では 10 件、市区町村では 200 件余り設置支援に取り組んでおり、
今後は各自治体で、購入・設置への費用助成への取組が進むと考えられます。
また、2026 年度から国において、国が指定した著しく危険な密集市街地 15 市区を対象に
設置補助制度を検討しており、その支援対象に県内では神戸市が選定されております。
阪神・淡路大震災発生から 30 年、本県は「防災先進県」として県独自の復興基金の創設など、
全国に先駆けて復旧・復興の仕組みを構築してきました。「感震ブレーカー」を
県内全域で普及させることは、県民の安心・安全を促し、命を守る取組として
有効ではないでしょうか。「感震ブレーカー」の設置促進・補助制度等の創設について
早期に実施するべきではないかと思いますが当局のご所
見をお伺いいたします。(
[池田防災監]感震ブレーカーは、阪神・淡路大震災以降の課題であります、通電火災などを防止する
有効な手段の1つとして認識をしているところであります。
国は、先月閣議決定をいたしました補正予算案におきまして、著しく危険な密集市街地等を
有する自治体が、その地域に居住する方々の感震ブレーカーの導入・取り付けを
計画的に支援する場合に、財政的支援を行うことを打ち出しており、議員ご指摘の通り、
神戸市の一部もそこに含まれているところでございます。
一方、県内の他の地域におきましても、木造建物などが密集をし、延焼の危険性が高い地域が
依然存在をしているところでございまして、感震ブレーカーの設置について、
進めていくことが必要であると考えております。
このため、県におきましては、火災危険度や市街地密集度が高く、県防災街区整備方針において、防災再開発促進地区に位置付けられた地域などでの早急な防災、減災対策として感震ブレーカーの設置を進めていくため、県として財政的支援を行い、市町の取り組みを後押しすることを
検討をしております。
引き続き、国の動向を注視しつつ、速やかに県として支援策を具体化をいたしまして、
市町や関係団体と連携をしながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。 -
8. 不登校児童生徒に対する支援体制強化について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉議員]近年、全国的に不登校児童生徒の数は増加の一途をたどっており、
令和6年度には全国の公立小中学校で約 34 万4千人、在籍者の 3.92%に達しました。
兵庫県の不登校児童生徒数は、前年度を下回っているものの、約1万5千人、在籍者の 3.94%と
なっています。
こうした中、兵庫県では「ひょうご不登校対策プロジェクト」のもと、
校内サポートルームへの不登校児童生徒支援員の配置や、大学生ボランティア「ハートフレンド」の活用など、支援体制の強化が進められています。不登校児童生徒支援員は、
中学校では全校配置、小学校では2校に1人配置しており、不登校児童生徒支援員の存在は、
子どもたちにとって安心できる居場所の確保や、継続的な関係性の構築に大きな効果を
発揮しており、実際に登校につながったケースも報告されています。
令和 5 年度の調査では、学校内外で相談・指導を受けた児童生徒の割合は93.6%、
令和6年度は 96.3%となり、以前に比べ支援が行き届くようになっています。
これは、不登校児童生徒支援員をはじめとする多様な支援者の関わりが、
子どもたちの変化を促す力となっていることの証左です。校内サポートルームにいる
不登校児童生徒支援員の存在は非常に重要なものであり、全校に配置とすべきであると考えます。
また、児童生徒の背景や希望など情報共有が学校と支援員で十分に行われていなかったり、
支援員が児童生徒への対応でどうしていいか分からず孤立してしまったりすることがないように、学校への働きかけや支援員の児童生徒を支える能力の向上が必要だと感じています。
そこで、支援体制の強化として、不登校児童生徒支援員の小学校全校配置を早期に行い、
さらなる支援の質の向上をすべきと考えますが、ご所見をお伺い致します。[藤原教育長]令和6年度からの支援員の配置支援をしているが、この結果、今年度は、神戸市を除く
中学校の配置率が 97.6%、小学校では 58.7%まで配置が進んでおり、
教員や支援員へのアンケートでも、生徒への支援に効果が出ているという
肯定的な回答をいただいている。
また、丁寧な生徒への支援や支援員を孤立させない、そのためにも、教育事務所単位での
地区研修会や、市町単位での研修会を行っている。
また、昨年度末には、「校内サポートルーム運営上の留意点」を実践事例集として
とりまとめており、校内サポートルームの運営が円滑に進むよう周知をしている。
令和5年度からスタートした「ひょうご不登校対策プロジェクト」、これにより、
令和6年度の不登校児童生徒数は、過去 10 年間で初めて前年度を下回っている。
一方で、不登校児童生徒の割合は、中学校では減少しているが、小学校では依然増加傾向が続き、低年齢化も進んでいる。この度の議員からのご指摘とともに、
市町教育委員会からも小学校全校への支援員の配置拡充に向けた強い要望もあるので、
令和8年度当初予算編成過程の中で、小学校での全校配置、このことを視野に入れて、
支援員配置支援の拡充を検討して参りたいと考えている。

伊藤勝正県議
[質問項目]
-
1. ドローン利活用の促進について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]平成 31 年度、次世代産業の創出や、安全安心な暮らしの実現などを目的に、県と神戸市
が連携してドローンを活用し、その効果を示すことで中小企業を中心に民間分野での普及を
促そうと、「ドローン先行的利活用事業」がスタートし、当初予算に8,600万円が計上
され、以降、令和5年度までの5年間、事業展開されました。ところがその後、令和6年度
にドローンの利活用事業の予算は廃止され、「空飛ぶクルマ」に軸足を移して施策展開が図
られており、令和7年度には「空飛ぶクルマ実装促進事業」に7,537万円の予算が計上
されています。
ドローンは防災、農業等の特定分野では普及が進んでいますが、「有人地帯での目視外飛
行」、いわゆるレベル4飛行は未だ実証段階であり、普及に向けた行政の後押しが期待され
る中、本県におけるドローンの取り組みは後退した印象を拭えません。
確かに「空飛ぶクルマ」は社会経済の多方面にわたる効果が期待され、将来に夢を与える
数少ない事業テーマではありますが、普及までには様々な課題が存在し、現段階では大企業
中心の開発段階と言え、県内中小企業の参画や社会実装にはもう少し時間が必要な状況です。
一方、ドローンは、空飛ぶクルマよりも普及へのハードルは低く、空飛ぶクルマの実現に
向けた連携協定を県と締結した株式会社スカイドライブがドローン事業も行っているよう
に、ドローンと空飛ぶクルマは技術的にも産業的にも近接しており、ドローンの利活用が進
むことは、空飛ぶクルマの社会実装や産業化にもつながるものと考えます。
現在、県は、公益財団法人新産業創造研究機構「NIRO」が令和6年度に自主的に立ち
上げた「ドローン利活用プラットフォーム」にサポートという形で参加しているとのことで
すが、長引く物価高騰、人手不足により苦境に立っている中小企業や人口減少が進む過疎地
に対して即効性のある支援となるドローンの利活用事業を再び実施すべきではないでしょ
うか。県がドローンの利活用事業を廃止された理由と、ドローンの利活用に向けた県の今後
の取組について、所見を伺います。[小林産業労働部長]私からはドローン利活用の促進について、お答えいたします。
人口減少・超高齢化が加速する中、限られた人員で公共・民間サービスを維持
向上するために、ドローン利活用は省人化・高度化の有効な手段と認識をしてお
ります。
令和元年度から5年間 51 件の実証を集中的に支援してきた結果、鉄道の線路
直上点検や屋外広告物点検等がビジネス化されるなど、着実な成果を上げてま
いりました。この間、ドローン産業の国内市場規模は3倍増の4千億円規模に大
きく成長をしております。国の「空の産業革命に向けたロードマップ 2024」で
もドローンは社会実装が柱に据えられ、民間主導の社会実装を後押しするフェ
ーズへ変化したと考えております。
これらの情勢変化を踏まえ、持続可能な支援体制への移行を目指し、令和6年
度にNIRO主体の「ドローン利活用プラットフォーム」を立ち上げました。現
在、会員数は立ち上げ期から倍増となる 200 近くまで増えており、会員間同士
での新サービス実施に向けた主体的な取組が進むとともに、県も実証フィール
ドの提供を行っているところでございます。
近年、スタートアップのドローンによる公共インフラ老朽対策や民間団体指
揮のドローンによる被災地活動等、行政が民間へ発注する形で、公共サービスで
導入する局面に入っております。本県においても日本郵便と連携し、中山間地域
での配送実装に向けた取組を続けているところでございます。
今後も、NIROとの連携を一層強化し、民間分野ではドローン事業者と県内
企業のマッチングを促進するとともに、県としては消防防災など危機管理分野
での利活用を進めるなど、地域課題解決に直結する取組を推進してまいります。[伊藤議員]ドローン利活用の促進について、ちょっと私の質問で聞き方が悪かったのか
廃止の理由がちょっと言及されてなかったのかなと思うのと、
あと私空飛ぶクルマの事業を否定しているわけでは全然ないので、誤解のないようにしていた
だきたいんですけども、今後、ドローンの利活用の事業として、予算を取って推
進していかれるという予定もないんでしょうか。質問します。[小林産業労働部長]お答えいたします。廃止の理由、少し漠然とした表現で申し訳ございませんで
した。先ほど答弁の中で申し上げました、フェーズ転換、これから社会実装を民
間の活用をしっかり後押しするという意味で、個別の補助事業というようなや
り方よりも、よりネットワーク形成型、活用したい事業者、そしてそこに実証フ
ィールドを提供する行政、そして技術的な支援をする大学と、産学官の連携基盤
となるプラットフォーム型の支援へと転換したというふうに考えておりますの
で、必ずしも廃止というのが、当たるかどうかというのは、少しはっきり申し上
げにくいんですが、補助事業としては廃止をしたということでございます。
ただ、県のドローン利活用事業を全く手を引いたということではなくて、より
直接的に、答弁の中でも少し重複してしまいますが申し上げたとおり、防災分野
であるとか、またあるいは例えば、国際フロンティア産業メッセなどで、マッチ
ングをする際に、実際に実証事例としてマッチングしたんですが、県の土木と、
民間のドローン活用企業をマッチングして、ダムの土砂対策、堆積の事例を実証
していくと、そういった活動も続けております。ですので、補助事業としては、
おっしゃられたように廃止をいたしました。引き続きこのネットワーク型、プラ
ットフォーム型での支援に力を入れていきたいということでございます。よろ
しくお願いいたします。[伊藤議員](兵庫県は)プラットフォームに参画、サポートという形で参画をね、NIRO
のプラットフォームにされているので、ここには大阪もね、参画されているので、
これ確か平成 31 年度当初は、ドローン先進県を目指すんだっていう勢いでやら
れていたと思って、私はわくわくした記憶があるんですが、ちょっとそういうト
ーンからすると、トーンダウンなのかなと思いますので。まだこの予算のことに
ついては、また後ほど議論をしていきたいと思います。 -
2. 震災の教訓を活かした対策について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]本年 30 年の節目を迎えました阪神・淡路大震災。あの震災からボランティア活動の輪が
広がった一方、防災・減災においては多くの課題を突き付けられました。家屋倒壊による多
くの犠牲からは木造住宅の耐震化の必要性を、また、大規模地震直後の復電火災による広範
囲の火災からは木造密集地域の大規模火災リスクと復電火災防止策の必要性を学びました。
木造住宅の耐震化については、平成 12 年度から全国に先駆けて旧耐震基準の住宅の
耐震診断に対して支援(簡易耐震診断事業)するとともに、
平成 15 年度からは住宅の耐震改修工事に対する支援制度(ひょうご住まいの耐震化促進事業)を
創設し、一般的な耐震改修の補助に加え、耐震シェルターや防災ベッドの設置など様々な補助メニューを用意、さらには、令和 6 年度からは雪の多い地域を対象に補助金の加算を行うなど
現実的な対策の充実を図ってきました。
復電火災防止策については、先日のわが会派の小泉議員の代表質問でも訴えた通り、感震
ブレーカーの設置促進を早急に図っていただきたいですが、あわせて、先日、大分市佐賀関
で発生した大規模火災を目の当たりにし、改めて密集市街地の危険性も再認識しましたので、
密集市街地の解消も促進していただきたいと考えます。10 年前の 6 月定例会一般質問で密
集市街地の防災対策について『要対策箇所を抱える市町や地域住民のみで完結することは極
めて困難、成功事例を生かしながら、期限を決めて合意形成が図られやすい環境整備支援や、
少なくとも計画策定期限だけでも明確にする県独自ルールづくりなどを進めるべきではな
いか』と問題提起、様々ご検討いただいた結果、その翌年 3 月に「密集市街地整備マニュア
ル」が策定され、密集市街地解消の機運が高まると期待されましたが、各市町における密集
市街地対策は進んだでしょうか。
県では、密集市街地整備法に基づく防災街区整備方針において、災害危険度の高い地域の
うち、早期に防災街区整備事業などの事業を行っていく地区を「防災再開発促進地区」に、
また、防災再開発促進地区の予備軍として県独自に「課題地域」も設けるなど安全・安心な
市街地形成に取り組んでおられますが、地球温暖化による異常気象の激甚化や各地で増加し
ている空き家問題などを踏まえたマニュアル等の改定も進め、今こそ、これまで以上に本県
が先行して市町とともに密集市街地解消に取り組むべきと考えるが、所見を伺います。[齋藤知事]県では密集市街地の防災機能の確保を図るため、これまで防災街区整備方針
に防災再開発促進地区や課題地域を位置付け、アドバイザー派遣や市町が行う
密集対策事業等への国費確保に取り組んでまいりました。
また、平成28年に「兵庫県密集市街地整備マニュアル」を策定し、以降、明石
市大蔵地区での密集対策事業や所有者による自主的な建替えの進捗などにより、
48地区あった防災再開発促進地区等は、今年度末で41地区となります。
一方、先般の大分市佐賀関での火災により、改めて密集市街地の危険性が注目
されており、市町と連携した密集市街地解消への取組を一層進めていく必要が
あると認識しております。
このため、佐賀関をはじめとする密集市街地での大規模火災を踏まえ、空き家
の建替えや除却の推進手法、防災機能を備えた緑地の整備手法などの延焼防止
対策、また、火災発生防止に向けた安全対策など、まちづくり部や防災部局等が
連携し、マニュアルの充実・改定を行ってまいります。さらに、今年度から国に
おいて進められている密集対策の検討状況なども注視してまいります。
今後とも、密集対策事業等への国費確保に努めるとともに、改定するマニュアル
を活用し市町に取組を促すなど、県が率先して、さらなる密集市街地の解消に取
り組んでまいります。[伊藤議員]やっぱり消防との連携とか意見交換が非常に大事だと思います。やっぱり消
火活動ができないというような状態になってしまうこの密集市街地の問題、こ
れを消防の立場からどういうふうにしたらいいのか、先ほど知事から延焼防止
対策という話がありましたけど、これやっぱり市としっかり連携しないと出て
こない意見がたくさんありますので、どうかその連携をお願いしたいと思いま
す。 -
3. 流況改善による豊かな海の実現について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]豊かな海の実現のために本県では、海の栄養塩類(窒素、リン)の下限目標値を設定した
全国初の条例制定、下水道処理施設における季節別の栄養塩類管理運転、漁業者が行う海底
耕うんや施肥など取組を進めてきましたが、残念ながらイカナゴやタコなど主要水産物の漁
獲量は激減しており、海の栄養不足(貧栄養化)は本県のみならず隣接府県でも深刻な問題
となってきていることから、特定地域のみの対策には限界があるのではないかと危惧してい
る。
特に近年の播磨灘における貧栄養化は、海への栄養塩類供給が激減したことに加え、比較
的栄養豊かな大阪湾奥の海流が埋め立て等の人工物に遮られて回流しなくなり、栄養が広範
囲に拡散されなくなったことが原因の一つとの指摘もあります。このような栄養塩類の減
少・偏在等の影響を広域的に調査するためには、関係府県にまたがる広い海域の海流や栄養
状態が埋め立て等の人工物の影響をどのように受けているか、どのような対策で大阪湾奥の
流況が改善するのかをスパコンによるAIを活用したシミュレーションで検証していくべ
きと考えます。その調査結果に基づき、具体的な潮流改善や大阪湾奥の栄養豊富な海水を沖
合へ、ほかの海域へ導くなどの技術的な対策などの調査・研究・対策を具体的に早急に進め
ていくべきと考えます。
そのような中、県では令和4年度から大阪大学に委託し、「富岳」を活用した
調査研究を進めるとともに、広域的な取組として、「瀬戸内海環境保全知事・市長会議」を通じて、大阪湾奥の栄養塩類の偏在対策等について、関係省庁へ提案を行ってきています。
3 年前の令和4年 11 月に私の地元・明石市で開催された「第 41 回全国豊かな海づくり大
会兵庫大会~御食国ひょうご~」では、天皇陛下から「この大会を契機として、海や漁業へ
の理解と関心がさらに深まり、豊かな海づくりの輪が、ここ兵庫県から全国に広がっていく
ことを願う」とのおことばを賜りました。奇しくも明年の 11 月には大阪府で第 45 回全国豊
かな海づくり大会「魚庭(なにわ)の海おおさか大会」が開催されます。まさに、豊かな海
づくりの輪を隣接府県に広げ、単独府県だけでは解決不可能な課題解決に向き合っていく重
要性を発信していく絶好のタイミングと考えます。
そこで、この大会を契機に、例えば大阪府・大阪市と連絡協議会を立ち上げ、課題解決に
向けた協議の場を設けることや、提案活動以外の更なる広域的な取組を進めていくべきと考
えますが、所見を伺います。[齋藤知事]本県は令和4年 11 月の全国豊かな海づくり大会兵庫大会の開催に先立ち、関
係府県に先駆けて栄養塩類管理計画を策定いたしました。以降、3県で策定され
るとともに、国も昨年3月に大阪湾流域別下水道整備総合計画基本方針を改定
し、窒素目標負荷量を大きく引き上げるなど、豊かな海づくりの輪は着実に広が
っていると認識しております。
また、大阪湾では、国土交通省近畿地方整備局等の関係省庁や、兵庫県、大阪
府を含む関係府県市、ここには大阪市も含まれております、の各部局から構成さ
れる「大阪湾再生推進会議」が設置されており、この推進会議が令和6年度に策定した
「大阪湾再生行動計画(第3期)」には、「栄養塩類偏在対策の推進」への
取組が新たに位置づけをされております。
今後、大阪湾流域別下水道整備総合計画の改定により湾奥部を含む大阪湾へ
の窒素供給量の増加が見込まれることから、この推進会議等において、大阪湾の
栄養塩類の偏在対策について協議を働きかけていきたいと考えております。
引き続き、全国豊かな海づくり大会の開催を来年度に控える大阪府をはじめ、
関係機関と連携し、豊かで美しいひょうごの海を実現してまいります。[伊藤議員]先ほどご紹介いただきました、大阪湾再生推進会議も存じ上げております。県
からは土木部が参画をされていると思いますけれども、具体的な議論がなかな
かされていない印象でございますので、どうかこの流況改善のために、特に例え
ば人工物がどういう影響しているかということに特化した議論というのが、今
までは水質等にはフォーカスが当たっていましたが、なかなかされていなかっ
たのではないかと思いますので、今後そのような議論が具体的にされるように、
しっかりリードしていっていただきたいと思います。 -
4. 漁場におけるタコ釣りの疑似餌対策について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]明石市沖はタコ釣りで有名なポイントで知られ、毎年多くの釣り人が訪れますが、近年、
タコ釣りなどに使われるエビなどの形をしたプラスチック製の鉛の重りや鋭い針が付いた
疑似餌が、海底のタコを釣る時に釣り針が海底のタコつぼや障害物に引っかかり、糸が切れ
てそのまま海に残される海底ゴミが問題となっています。タコ釣りと同じ海域で行われるタ
コつぼ漁は、漁船のローラーを使って一気にタコつぼを引き揚げるため、ロープなどに絡ま
った疑似餌が高速で飛んできて、漁師がけがをする事故が頻発しています。釣りの経験があ
る方ならわかると思いますが、この「根がかり」は海底付近の魚を狙う際には避けられず、
やむを得ないと考えますが、けがを誘発するとなると何らかの対策は必要と考えます。
釣り具メーカーでは、漁業関係者からの根掛かりしにくい疑似餌の開発の要請により、針
にかかった獲物が外れにくいように加工した針の「返し」をなくすことにより根がかりを最
小限にできる製品を増やすよう努力されています。
また、釣り船などの遊漁船の団体は、使用するタコエギは2個付けまで、全周囲に針があ
るタコエギは使用禁止とするなどのルールを決め対策をとっていただいています。
明石市漁業組合連合会(市漁連)では、明石沖の海底に放置されたタコ釣り用の疑似餌の
回収作業に取り組んでおり、4年前からは毎年1万個程度を漁師が回収し、1 個当たり 50
円で市漁連が引き取り処分しています。引き取り・処分費用は明石市予算、県補助金(国補
助金を明石市へ間接補助)及び釣り団体等からの助成で賄っておりますが、回収いただいて
いる漁師さんの肌感覚からすると「引き取り予算を増やせばもっと回収個数が増える」との
こと。海底に放置された疑似餌は漁師らがけがをする危険があるのみならず、海洋ごみにな
り、生態系への影響も懸念されます。漁師の皆さんが釣具販売関係者、遊漁船関係者などと
連携して様々取り組んでおられますが、この問題は明石市のみの問題ではありません。漁師
や遊漁船関係者などが取り組む疑似餌対策に県も積極的に関与していくべきと考えますが、
所見を伺います。[守本農林水産部長]議員ご指摘のとおり、遊漁者の釣りによって海底に根がかりし、放置された疑
似餌は漁業者の作業上、大変危険で深刻な課題と認識しております。また、これ
らの疑似餌は、回収後にプラスチックと鉛に分ける必要がございます。漁業者の
作業の安全面や負担軽減のため、疑似餌の放置を抑制する対策が不可欠である
というふうに考えております。
このため、県では疑似餌の回収に係る運搬・処分に対して支援を行いますととも
に、放置の抑制に対しまして、関係者間の調整を行い、疑似餌の形状や個数の制
限、またマダコの採捕期間の制限などの独自ルール策定を支援してきて参りま
した。採捕期間の制限が概ね守られる等、徐々にその効果も表れつつございます
が、一層の普及啓発を図るなど関係者で取組を強化していく必要がございます。
このため今後、漁業者や遊漁船業者と連携し、フィッシングショーなど大規模
なイベントでの啓発、またそうした機会に釣り人が疑似餌を回収できる器具の
PRですとか、漁業取締船「はやたか」によりますプレジャーボートに対する普
及啓発の強化も行って参ります。加えましてマダコの資源状況の変化も踏まえ
まして、来年度から採捕期間を1ヶ月間短縮します。また時間帯も短縮をする。
こういったことによりましてルール変更の周知徹底を図って参ります。
将来にわたり、地域の特産物であるマダコを県民に安定して届けますため、
県も漁業者、遊漁船業者等と連携し疑似餌対策に積極的に取り組み操業の安全確
保と水産業の持続的発展を図って参ります。[伊藤議員]メーカーさんもすごくがんばってくれています。県としても、例えば生分解性
プラスチックの開発企業が県内にもあります。こういう企業と疑似餌の開発を
共同でするとかそういったところでも支援できるのではないかなと思いますの
で、検討いただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 -
5. 県立がんセンター建替整備に合わせた機能強化検討について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]本年 5 月の起工式で工事がスタート、令和 9 年秋ごろに工事を終え、令和 9 年度末頃開院
の予定で工事が順調に進捗していますが、新築される新病院は現病院敷地北側の旧県立明石
西公園跡地に移転、現病院は新病院開院後に解体されることから現病院解体後の跡地活用に
ついて様々な議論や期待がありますので、その一部を紹介します。
一つは、がんセンター敷地内への明石市民病院の移転です。地元の明石市においては、令
和7年 6 月に「明石市民病院の再整備に係る基本方針」が策定され、老朽化の著しい明石市
民病院の移転新築による再整備の手法が決定され、県立がんセンター跡地を建替え移転候補
地として今後、県と協議を行うとされました。明石市民病院が隣接することにより、高額な
先進医療機器の共同利用や患者、医療従事者の往来が可能となるなど両病院の連携が強化さ
れることによる医療の質の向上が図られ、結果、経営面でも相乗効果が期待できます。また、
両病院の特性を生かした教育が可能となり、医療従事者の育成や人材輩出の拠点となり、地
域医療の活性化、体制強化も期待できることから、跡地への受け入れは一考に値すると考え
ます。
もう一つは、県立粒子線センターの重粒子線治療のがんセンターでの継続です。粒子線医
療センターは開設から 20 年以上が経過し、治療施設が老朽化していることに加え、経営状
況も厳しさを増してきたことから、令和 9 年度末までに現地施設での治療を停止することと
されましたが、あり方検討委員会からも「兵庫県が培ってきた粒子線の知見が損なわれるこ
とは兵庫県にとって大きな損失」、また「民間事業者等との連携や、その連携に向けて県が
提供できる支援策についてあらゆる可能性を排除せず、県内で重粒子線治療が継続できる方
策を検討いただくことを願う」と期待されています。また、本年 6 月~8 月に実施されたパ
ブコメでも『大阪重粒子センターは、大阪国際がんセンターに併設されており、経営も順調
と聞く。兵庫県もがんセンター横に設置してはどうか?』との意見が寄せられています。
このように、県立がんセンターの建替えにあわせて出てきた期待も踏まえ、新病院の診療
機能充実と経営力強化、地域医療体制強化などに資する可能性については幅広く検討してい
くべきと考えますが、先ほど紹介した明石市民病院の移転等について現時点での可能性と検
討状況について、当局の所見を伺います。[杉村病院事業管理者]がんセンターは、ゲノム医療など最先端のがん医療の継続的な提供に向け着
実に整備を進めております。建替えにより生じる跡地については、がん診療連携
拠点病院との隣接により、患者の状況に応じた最適な医療体制が構築できる活
用方策が望ましいと考えております。
その一つとして、仮に、総合病院が隣接整備された場合には、合併症患者への
診療機能の強化、高度医療機器等の共同利用等による経営の効率化、医師や看護
師等の人事交流による組織の活性化や人材育成など、様々な面で相乗効果が期
待できると考えております。
このような中、本年6月に明石市が策定した基本方針において、明石市民病院
の移転先候補としてがんセンター跡地が示されたところです。がんセンターと
市民病院が隣接整備されれば、がん診療機能の強化や経営の効率化等が期待で
きますが、跡地提供や整備条件等の課題もあることを踏まえ、今後、明石市から
の正式要請を受け、話し合いを始めていくこととなります。
なお、令和9年度末までに治療を停止する粒子線医療センターの知見の継承
は重要ですが、現下の県立病院の厳しい経営状況を踏まえますと病院事業単独
での施設整備は現実的ではありません。今後、サウンディング調査を通じ、がん
センター跡地を含め民間事業者等による施設の整備・運営の可能性を探ってい
きたいと考えております。[伊藤議員]がんセンター跡地については、市から要請があると思いますので、しっかりと
協議いただきますようお願いします。
重粒子線治療の継続について、兵庫県が培ってきた知見が損なわれるのは損
失であるという意見には、胸を打たれたので守られる方法を探っていただきた
いと思います。 -
6. 明石港東外港地区の再整備について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]明石港東外港地区には、県が管理する公共ふ頭用地砂利揚場跡、いわゆる砂利揚場があり
ましたが、令和元年度には当該場所で事業を営まれていた多くの関係者のご理解とご協力の
もと砂利揚場は廃止されました。平成 30 年 3 月に策定した「明石港東外港地区再開発計画」
においては、この地区を明石市中心市街地の南端の拠点と位置づけ、明石駅周辺や大蔵海岸
等との回遊性を高めることにより、当該地域のさらなるにぎわいの創出を図ることとされま
した。
当該地区には、その目的を達成するための第一段階として、「明石港東外港地区賑わい創
出事業企画運営業務事業者選定委員会」を設置し、民間事業者4者より提出された企画提案
書についてプレゼンテーションが実施され、審査の結果、当該事業の受託事業者が選定され
ました。受託事業者からは、ドッグラン、ピクニック、バーベキューなど多様な
コンテンツにより日常的に多くの来訪者を見込め、受託事業者が主体的に行うマルシェや
サウナなど、多種多様な自主イベントを定期的に実施する計画とのことでしたので、
明石駅からのアクセスなど懸念材料があるものの、文字通り暫定の賑わい創出につながることを
期待しています。
一方、現在、隣接する明石市役所の建替えが進められており、令和 9 年度の新庁舎棟完成
後は海沿いに位置する現庁舎は解体され、明石市随一の好立地エリアが生まれます。このス
ペースは来庁者用駐車場となる計画で進められているようですが、このエリアと隣接する明
石港東外港地区の県有地と一体利用することにより、賑わい創出効果を最大化できると期待
していただけに残念でなりません。明石市においても、明石駅周辺や大蔵海岸等との回遊性
を高めるための面としての具体的な方策が明確ではないような気がします。本格的に着手す
る令和 11 年度までに、先に紹介した「明石港東外港地区再開発計画」の具現化、現庁舎後
のスペースの活用再検討の可能性や、再開発に対する機運醸成、明石港東外港地区の認知度
向上、当該地への県民の期待やニーズ把握をいかに進めるのか、所見を伺います。[安達技監]明石港東外港地区では、平成 30 年の再開発計画に基づき、中心市街地の南の
拠点を形成し、回遊性を高めて、中心市街地の更なる賑わい創出を目指す取組を、
県・市が連携して進めているところでございます。
本年 9 月には、再開発計画の具現化に向け、県と市で基本協定を締結し、本格
的な再開発と、それまでの暫定利用に、協力して取り組むことを確認いたしまし
た。協定では、県有地約 5ha に加え、市庁舎跡地を含む市有地約 1ha も併せた区
域を対象エリアとしております。
市庁舎跡地を含めた土地等の利活用の具体化につきましては、多数の企業と
意見交換を重ね、今後サウンディング調査も実施し、事業の実現性を高めてまい
ります。
暫定利用は、まさに再開発の機運醸成や東外港地区の認知度向上を図る上で
有効と考えております。バーベキュー、ドッグランなどの多様なコンテンツや、
マルシェをはじめとする各種イベントを展開し、期間中にできるだけ多くの県
民の方々が、当該地区の持つ魅力を体感して頂けるように賑わい創出に取り組
んでまいります。加えて、明石駅周辺や大蔵海岸との回遊性向上にむけて、市と
連携して検討を進めます。
県民の皆様の期待やニーズにつきましては、再開発計画策定時の県民意見を
踏まえつつ、暫定利用時の賑わい創出イベントなど、様々な機会を通じてアンケ
ート調査等を行い、より詳細に把握いたします。
今後とも、県市が連携・協力して地域の魅力を最大限に引き出す再開発の取り組
みを着実に進めてまいります。[伊藤議員]県はやっぱり、市では近視眼的にどうしてもなってしましますから、俯瞰的に
みて、面での活用と言いますか、あそこは明石港から大蔵海岸までほんとに自然
海岸も残った素晴らしいエリアですので、そういった意味で県もしっかりと明
石市のほうにハッパをかけていただきたいと思います。 -
7. 明石~淡路島定期航路に対する支援について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤議員]2010 年 11 月に明石淡路フェリー航路が廃止となり、以降、125CC以下の小型二輪車、
原付の明石~淡路島の交通手段がなくなり、大きな課題となっていたことから、12 年前の 9
月定例会一般質問において、来るべき南海トラフ巨大地震に備えた明石海峡における本州と
淡路島の交通の代替ルートの確保という点からも、125CC以下の原付バイクやミニバイ
ク、自転車等の二輪車が明石海峡を往来できるような交通手段の必要性を訴えました。
その後、運航事業者、淡路市ほか関係者のご尽力により、2015 年 8 月に二輪車を搭載可
能な船舶「まりん・あわじ」が就航し、明石海峡における原付等の小型二輪車の交通手段が
確保されました。この「まりん・あわじ」の就航は、明石海峡における移動手段の選択肢を
増やし、大規模災害時には明石海峡大橋の代替交通確保ともなることから、明石・淡路島の
両地域の県民に利便性と安心をもたらせていると言えます。
「まりん・あわじ」は就航から 10 年が経過し、老朽化も進んでいます。潮流の早い明石
海峡を航行するためのエンジンやスクリューは特殊な部品も多く、過去にもエンジンの故障
で数週間運航できないこともありました。また船舶安全法に基づき定期的に実施される船舶
検査の際にも同様に約 1 か月間にわたり運航停止となります。125cc 以下の小型二輪車や原
付を搭載可能な船舶は「まりん・あわじ」1 隻のみのため、故障や検査で運航できないとい
うことは、数週間、明石海峡における小型二輪車等の交通手段が無くなることを意味します。
陸上の国道や県道でしたら数週間通行止めとなる事態は可能な限り回避されているはずで
す。
現在は、運航事業者が淡路市からの指定管理により1隻のみで綱渡りの運航が続いていま
すが、万が一に備えて代替船舶が必要です。しかしながら、厳しい経営環境の中運航継続し
ている事業者だけでは数億円ともいわれる新造船建造は不可能です。この航路の公共性に鑑
みて運航事業者に対し、国土交通省、関係自治体と連携の上、日々の運航支援とともに代替
船舶建造への支援を検討していくべきと考えるが、所見を伺います。[宇野部長]明石港と淡路島の岩屋港を結ぶ「淡路ジェノバライン」は、通勤・通学や観光の
足として、年間約60万人の人が利用する重要な海上交通である。県では、関係市
と連携して航路維持に取り組んできた。平成22年には明石淡路フェリーが運航を休止し
125cc以下の小型二輪車等が明石海峡を横断できなくなったことから、
国・県・関係市等で協議を重ね、淡路市が国の交付金を活用し「まりん・あわじ」を
整備するなどにより、平成27年に小型二輪車等の交通手段を確保した。
県では、定期旅客船の公共性に鑑み、条例で港湾使用料をその他の船舶より安
価に設定しているほか、令和4年度からは燃料価格高騰の影響を受ける航路事
業者に対し、一時支援金の支給も行ってきた。今後も明石海峡を横断する唯一の
海上交通として、また災害時の代替路としての重要性を踏まえ、事業者への支援
を検討していく。
代替船舶の確保については、小型二輪車等の交通手段を常時維持する上で重
要な課題である。新船建造には多額の費用と時間を要するため、「まりん・あわじ
」の老朽化に伴う更新を含め、船舶所有者である淡路市において検討していく必
要がある。県としては、市の意向を十分に踏まえた上で、有利な事業手法がない
か等、国とともに市の検討をサポートしていく。
今後とも、国や関係市と連携し、航路の維持確保に努めていく。[伊藤議員]厳しい経営環境の中で踏ん張ってくれている事業者にしっかり報いていける
ように、様々な支援・メニューを検討いただきたい。新船舶建造はなかなかハ
ードルが高いが、何らかメニューがないか、国交省とも検討いただきたい。

松尾智美県議
[質問項目]
-
1. 質の高い幼児教育に向けた推進体制の構築について【教育委員会】
質問と答弁のダイジェスト
[松尾議員]0 歳から 5 歳の乳幼児期は、人とふれあい、会話や遊び、さまざまな体験の中で、生活
に必要な能力や態度を身につけていく時期であり、生涯にわたる人格形成の基礎を培う極
めて重要な時期だと認識しています。令和 6 年度の不登校児童生徒数は過去最多の 35 万
人を超え、小学校低学年でも依然として高い水準にあることからも、小学校入学前の乳幼
児期の教育の質の向上と、それを支える推進体制の強化は、全ての子どものウェルビーイ
ング確保のための喫緊の課題です。
質の高い幼児教育のためには、幼稚園教諭・保育士などの専門性の向上とキャリアに応
じた研修の充実が不可欠です。しかし、現在の研修体制には、公立・私立や施設類型によ
る回数や内容の偏りという課題が考えられます。また、子育て家庭の多様化が進み、幼児
教育に対するニーズが複雑化する中で、経験の浅い教職員が困難や悩みを抱えながらも、
先輩からの指導・支援が手薄になるなど、現場で学ぶ機会が減っているという課題も聞か
れます。
これらの課題を解決するためには、設置者や施設類型(幼稚園・保育園・認定こども園
等)に関わらず、共に学び合える研修体制、特に経験の浅い保育士等の困り事や悩みを共
有し、支援できる体制の構築が求められています。
国は、地域全体の質の向上を図るため、「幼児教育センター」の設置や「幼児教育アド
バイザー」の配置による自治体ごとの推進体制の充実を促しており、既に 39 の道府県で
幼児教育センターが設置されています。
本県では、第 4 期「ひょうご教育創造プラン」に基づき、幼保小の連携・接続に不可欠
な「接続期のカリキュラム」の開発・研究や、「幼児教育連携促進事業」による教職員・
関係機関の協議会・研修など、先進的な取組を行い、高い評価を得ていると承知していま
す。
これらの優れた成果を県内全ての施設や小学校に確実に波及させ、質の高い学びを保障
するためには、市町や各施設への巡回支援・指導助言を継続的に行える強固な県全体の推
進体制の構築が重要です。
そこで、本県がこれまでの優れた研究成果を最大限に活かし、さらに幼児教育の質の向
上や幼保小の円滑な接続を促進するため、幼児教育アドバイザーや架け橋期のコーディネ
ーターなどの専門人材の配置や、他の都道府県で設置が進む「幼児教育センター」の設置
も視野に入れた推進体制の強化にどのように取り組まれるのか、当局のご所見を伺います。[藤原教育長]幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な教育である。設置
者や施設類型を問わず、教育の質の向上や小学校教育との円滑な接続の充実を
図ることが求められる。
本県では、現在の取組として、幼児期の教育における質の向上を図るために、
関係課が連携し、一つには、幼児教育関係者が参画をしている全県連携促進協議
会の設置、二つには、施設類型や幼・小を問わず参加できる研修会の開催、また、
保護者や教職員への啓発資料「すくすくひょうごっ子」の配布に加え、5歳児か
ら小学校1年生をつなぐ架け橋期のカリキュラムの改善・充実等に関する研究
等も行っている。これらの取組は、幼児教育センターと同様の役割を担っており、
国からもいろいろな協議会で紹介をされるなど一定の評価を得ている状況であ
る。
一方で、幼児教育のさらなる充実のためには、設置者や施設類型を超えた一体
的な研修への支援や巡回による訪問、専門的な知見や豊富な実践経験を生かし
た助言や援助等、従来の体制では対応が難しかった一体的な支援を行うことが
重要である。このことを本日のご質問でご指摘をいただいているところである。
このため、これまでの取組の成果を生かしつつ、幼児教育の更なる質の充実を
図る本県としての「幼児教育センター」と「幼児教育アドバイザー」の来年度か
らの設置に向け、現在、具体的な検討を進めているところである。
今後とも、幼児教育の質の向上や幼保小接続の全県的な推進に向け、関係課等
と連携を図りながら推進体制の構築に取り組んでいく。[松尾議員]幼児教育の質を高めるために、幼児教育センターや幼児教育アドバイザーの
配置検討を引き続きお願いしたい。いわゆる小1プロブレムと呼ばれる小学校
での環境変化等による不安の解消に向けて、子どもや保護者に寄り添った積極
的な支援を求める。 -
2. 立ち上がる力を育むレジリエンス教育に関する施策について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾議員]近年、子どもたちの心に関わるストレスが、これまでにないほど深刻化しています。こ
の状況を事後対応だけで支えることには限界があり、予防教育へ舵を切る必要があると考
えます。その中心となるのが、困難から立ち上がる力「レジリエンス」を育む取組です。
学校現場で子どもたちに携わっていたスクールソーシャルワーカーで社会福祉士の方
からも、次のような切実なお声をいただきました。「自己肯定感が低く、誰にも頼れず一
人で抱え込んでしまう子がいる」「いじめに遭っても、相談する相手がおらず沈黙してし
まうケースがある」「生きる意味を見失い、自分を傷つけてしまうリスクを抱えた子も少
なくない」。こうした“声なき声”は、日常では見えにくく、大人が気づいたときには深
刻化していることもあり、今こそ立ち上がる力を育むことが必要だと訴えられていました。
それらの解決に向けては、教職員や周囲の大人の「子どもの個々の特性の理解」や相談
支援体制の充実が欠かせないことは言うまでもありませんが、加えて、子どもがそのよう
な状況から脱する力を養成していく必要があります。
三重県や福井県でも教育と組み合わせて県全体に広げる取り組みが進んでいます。
先日、先行した取り組みが行われている三重県教育委員会を視察し、現場の取組を伺い
ました。レジリエンス教育の導入においては、元三重県教育長の提案により、皇學館大学
渡邉教授の監修のもと、感情調整やリフレーミングを学ぶレジリエンス教育をモデル校で
導入されていました。
実際に授業の風景を動画で見させていただき、ワークショップの後には生徒達の笑顔が
増え、日常の会話の中にも、「それはリフレーミングだね」「それはレジリエンス力だね」
といった声かけも交わされおり、導入の効果が感じられました。
本県の「第4期ひょうご教育創造プラン」では、「こころ豊かで自立する人づくり」を
掲げています。子どもたちが自分の可能性を認識し、多様な他者を尊重し、社会の変化を
乗り越えるためにも立ち上がる力を育むレジリエンスが土台になります。
だからこそ本県でも、予防教育と心の質を上げるために、今こそ立ち上がる力を育むた
めのレジリエンス教育に関する施策を積極的に導入すべきだと考えます。当局のご所見を
お伺いいたします。[藤原教育長]ご指摘のレジリエンス教育は、単一の能力ではなく、自己効力感や感情コント
ロール、問題解決スキル、社会的支援など複数の心理的要素で構成される力であ
り、学校や地域、家庭など様々な場面での経験を通して培われていく力であると
認識をしている。本県の第4期ひょうご教育創造プランにおいても「育み培う力」
として、失敗や変化を恐れず前向きに受け止め、主体的に他者と協力・協働しな
がら困難や逆境に立ち向かう力を育成していく。このことを掲げており、その実
現に向けて、多様な取組を進めている。
具体的には、全国的にも類のない発達段階に応じて体系化をしている兵庫型
「体験教育」では1小学校の自然学校において、日常では味わえない体験を通し
て、主体的に判断し問題を解決する力を育成している。2また、中学校の「トラ
イやる・ウィーク」では、地域での活動や体験を通して他者と協力・協働をして
社会に参画する態度の育成に繋げている。
また、スクールカウンセラーによる、心理教育プログラムを実施をしており、
児童生徒自らが困難やストレスへの対処法を学ぶ機会を設けている。特に、昨年
度、不登校対策の一環としても、本県独自の「ストレスチェックシート」、これ
を今年度から全県に普及をしているので、それと合わせた教育プログラムの推
進を図っていきたいと考えている。さらに阪神・淡路大震災を経験した本県とし
て、命の大切さや絆、助け合うことの大切さについて、様々な教育活動の場面で
伝え繋いでいる。加えて、レジリエンス教育の醸成には、家庭の役割も大きいと
考えている。特に乳幼児期は人格形成に大事な時期であるので、県が作成した幼
児教育資料に非認知的能力を伸ばす取組を掲載をしているとともに、来年度作
成予定の「家庭教育の手引き」においても、その重要性について広く周知をして
いく。
今後とも、ご紹介の他県の先進事例等も参考にしながら、工夫を重ね、教育活
動全体を通じて、児童生徒の困難や逆境に立ち向かう力、レジリエンスの育成に
努めていく。[松尾議員]非認知的能力の一つであるレジリエンスの力は、社会に出た時にも必要にな
ってくる力である。体系的に、繰り返し学ぶことで、本当に失敗したり困難に直
面したりした時に対応できる力でもあるので、ぜひ研究していただけたらと思
う。 -
3. 視覚障がいのある方への情報提供について
質問と答弁のダイジェスト
(1)「音声コード」の活用推進について
[松尾議員]全ての障がい者が、障がいの有無によって分け隔てられることのない社会を目指し、障
害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が令和4年5月に施行されま
した。
情報アクセシビリティとは、年齢や障害の有無に関わらず、誰でも必要な情報に簡単に
たどりつけ利用できることです。
同法の第 3 条の基本理念では、障害者による情報の取得等の手段について、可能な限り、
その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること。などが定
められています。や音声、拡大文字等によって情報を得ていますが、視覚障がい者のうち点字を使える方は
約 1 割程度だそうで、多くの方が音声を頼りにしています。
本県でも「はい、県議会です。」に、音声コード Uni-Voice(ユニボイス)が印刷され
ていることに気づいていますでしょうか。この音声コードは約 800 字の文字情報やリンク
機能を格納することが可能で、読み上げ装置やスマホのアプリで読み取ることで音声情報
を得られます。自治体に無償で提供される専用ソフトをパソコンにインストールすると、
Word に音声コード作成ボタンが現れます。文字を入力した後にコード作成ボタンを押せ
ば、音声コードがワード文書の右下に自動作成されます。
さらに、印刷物に「切り欠き」と呼ばれる半円の切り込み入れることで、視覚障がい者
の方でも指で触れて場所を特定することができます。このように、音声コードを印刷物に
印刷することで、視覚障がい者でも内容がわかるユニバーサルデザインとなります。
国でも、音声コードの活用が推進され、既に「ねんきん定期便」や水道料金検針票など
に導入され、生活インフラの役割を担いつつあります。
本県では他に「ひょうご人権ジャーナルきずな」に印刷されていますが、その他はあま
り見かけません。さらに県内市町では、姫路市や神戸市など一部をのぞき活用が進んでお
らず、住民に最も身近な市町で情報格差がひらいています。要因として、認知不足やノウ
ハウ不足などが考えられます。また、印刷されていても、切り欠きがないとか、タイトル
のみしか収録されておらず、機能が十分に活かされない事例も聞いております。
誰もが安心して暮らせるユニバーサル社会の実現をめざすひょうごとしては、まず県が
率先してモデルとなり、各部局の印刷物への活用をすすめ、あわせて県内の市町や、企業・
団体への活用方法の周知や研修の開催、また、適切な作成マニュアルの策定など、活用推
進をしていただきたいと考えます。
つきましては、県発行物における音声コードの普及と、市町への活用推進について、当
局のご所見をお伺いいたします。
しかし、今でも、視覚障がい者は、情報の取得や利用に多くの苦労があります。点字[齋藤知事]県では、ユニバーサル社会づくりの実現に向け、職員自らが率先して取
り組むべき具体的行動を示した「ユニバーサル社会づくり兵庫県率先行動
計画」を策定し、全庁を挙げて、取組を推進しています。
音声コードについてもこの計画におきまして、「音声コード・音声読み
上げ機能の付加」を情報配慮の事例として掲げ、印刷物における音声コー
ドの活用を推進しています。
しかしながら、音声コードの活用は、議員ご指摘の「はい、県議会です。」
や「ひょうご人権ジャーナルきずな」のほかに「第2期ひょうご障害者福祉
計画」など、一部の刊行物にとどまっています。また、市町における活用実
績は神戸市や姫路市など13市町に限られています。
今後は、新たに県発行刊行物への活用を促進するためガイドラインを作
成し、各部局所属に配置しているユニバーサル社会づくり推進リーダーへ
の研修会などを通じて、庁内での積極的な活用を働きかけていきます。
さらに、これまでも県から市町・民間へユニバーサルな視点での取組を
広げるため、県の取組事例を公表・紹介しております。引き続き、音声コ
ードの積極的な活用について働きかけていきます。
今後とも、視覚障害者の情報アクセシビリティを改善し、「誰もが、多
様な方法で、理解しやすい情報を手に入れ、交換できる社会の実現」を目
指し、取り組んでいきます。[松尾議員]音声コードをしっかり推進していただけるということで、ありがとうご
ざいます。ぜひ、県内市町、兵庫県中で進めていただきたいと思います。
いろんな取組をされている他府県の事例を見ますと、「ホームページで音声コ
ードはこういうものです」と、県民の皆様にもお知らせしていたり、PDFでお
知らせ・情報がある時も、PDFの中にも音声コードがついており、印刷をする
ときは、「この場所に、こういう切り欠けをパンチであけて配ってくださいね」
と周知しているところもあり、こういう取組をすることで視覚障害者のための
ものだと分かると思いますので、点字ブロックが当たり前にあるように、音声コ
ードが、そういう人のためにあるということを周知できるようにしていただき
たいと思います。(2)耳で聴くハザードマップの導入について
[松尾議員]次に、耳で聴くハザードマップについてでございます。
情報アクセシビリティ法の第 12 条第1項において、国及び地方公共団体は、障害の種
類及び程度に応じて障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得すること
ができるようにするため、体制の整備充実、設備または機器の設置の推進その他の必要な
施策を講ずるものとするとあり、防災及び防犯の情報は、生命、身体、財産に直接関わる
ものであることから、特に重要です。
災害リスクや避難経路を把握するために不可欠なハザードマップは、紙やウェブ上の文
字情報が中心であるため、視覚障がいのある方や、小さい文字が見にくい高齢者の方にと
っては、内容を十分に活用しにくいという課題が指摘されています。
そこで注目されているのが「耳で聴くハザードマップ」です。県が契約すれば、すでに
導入している神戸市を含め県内全域で利用可能になります。先ほどの音声コードを読み取
る「Uni-Voice Blind」というアプリをインストールすれば、県内のどこにいても GPS 機
能を用いて、現在地の警報や注意報をリアルタイムで聞くことができます。
また、各家庭に配布されているハザードマップですが、内容をちゃんと把握できてる人
どれくらいいるでしょうか。さらに、外出先や移動中に災害があったら、その場所のハザ
ードマップをみて、危険度を把握することも簡単ではないと思います。
しかし、この耳で聴くハザードマップであれば、現在地が標高何メートルか、今どのよ
うな危機の状況にあるのか、洪水ハザードマップで最大浸水深が何メートル地点なのかと
いったことを音声で読み上げるだけでなく、最寄りの避難場所まで音声や振動で誘導する
機能も備えており、視覚障がい者のみならず、高齢者にも大変有効です。また、英語、中
国語などの多言語に対応できるため、在住外国人や旅行者にとっても、安心して避難行動
を取れる環境が整います。
実際に視覚障がいのある方にお会いし、耳で聴くハザードマップを導入してる他県で、
活用してる様子を聴き、使いやすさと自分で情報を得られることに感動し、本県での早期
導入を期待するお声を頂戴いたしました。
県では、ひょうご防災ネットを中心に防災に関する様々な情報を発信していますが、現
在のシステムでは読み上げ機能を使っても音声情報として十分に整理されているとは言
えません。「誰も取り残さないひょうご」の実現に向け、この「耳で聴くハザードマップ」
を導入し、防災力の強化を図るべきだと考えますが、当局のご所見をお聞かせください。[唐津危機管理部長]私からは耳で聴くハザードマップの導入につきまして回答させていただきま
す。
南海トラフ地震の脅威が迫る中、障がい者や高齢者等の要配慮者を含めまして、
社会の一人ひとりが安全に避難できる体制の確立が重要でございます。
市町が発令いたします避難情報につきましては、県が策定いたしました「避難
判断ガイドライン」等によりまして、各市町と連携をし防災行政無線による放送
ですとか個別受信機の設置、広報車等によります呼びかけなど、音声によります
多様な手段を使うことによりまして、視覚障がい者を含めまして全ての住民の
方に対しまして速やかに情報を届ける取り組みを行っております。
一方で、早期の避難行動には、平時から自身が生活している地域等での災害リ
スクを明確に把握することが不可欠でございます。ハザードマップを多様な方法
で確認できる環境整備が重要となってまいります。
ご指摘の「耳で聴くハザードマップにつきましては、視覚障がい者の方にとり
まして利便性の高いアプリとして開発をされ、音声読み上げ機能を有し、神戸市や
他府県で導入が行われているものと認識をしております。
このような状況を踏まえまして、同アプリの導入に向けましては、利用者の意見
等を聞きながら有用性につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
今後とも災害時のみならず平時からの情報格差の解消に努めていくことで、「誰
も取り残されない安全安心な兵庫」の実現に向けて取り組んでまいりますので
どうぞよろしくお願いします。[松尾議員]耳で聴くハザードマップは、さきほども答弁していただいたように当事者の
方が一緒になって開発されたもので大変使いやすいものになっておりますので
ぜひ早期の導入に向けて検討をよろしくお願いいたします。 -
4. 次世代空モビリティの活用について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾議員]10月に閉幕した2025年大阪・関西万博では、空飛ぶクルマのデモフライトが行わ
れました。実際に空を飛ぶ姿を目の当たりにしたことで、次世代空モビリティ、特に空飛
ぶクルマは、認知度の向上が進み、新たな移動手段としての可能性を多くの人々が実感し
たことと存じます。
本県は、全国的に見てもこの分野で先んじて取り組んでまいりました。具体的には、尼
崎フェニックスにおけるバーティポート(離着陸場)の整備、8月に開催され 5,000 名も
の参加があったデモフライトイベント、さらには「空飛ぶクルマ実装促進事業(補助金)」
を通じた離着陸場候補地の抽出や瀬戸内間の観光ルート作成など、着実な成果を上げてい
ます。
こうした県の先駆的な動きと呼応するように、国においても動きが加速しています。我
が党の国会議員団・経済産業部会も本年8月、経済産業大臣に対し、来年度予算に向けた
重点要望を行いました。その中で「次世代空モビリティの社会実装促進」を明記し、技術
開発支援や環境整備を強く求めており、国を挙げたバックアップ体制が整いつつあります。
こうした流れを受け、本県でも、先月13日に開催された「次世代空モビリティひょう
ご会議」では、万博後を見据えた「兵庫県が目指す将来の姿」が提示されました。ここで
は、商用運航の実現、主に観光分野での活用が目標として掲げられています。
本県には、世界遺産・姫路城や、有馬、城崎といった温泉地など、多様で質の高い観光
コンテンツが存在します。しかし、関西インバウンドの現状を見ると、大阪・京都に比べ
て本県への誘客には課題が残るとも言われています。
だからこそ、国際チャーター便が就航した神戸空港や、インバウンド誘客の進む大阪、
京都から兵庫県内の各地を短時間で結ぶ「空飛ぶクルマ」は、移動そのものを価値ある
体験にかえ、富裕層の誘致や周遊性を高める、まさに観光における「ゲームチェンジャー」
となる可能性を秘めています。また、将来的には、へき地医療や災害時の物資輸送など、
県民の命を守るインフラとしての役割も期待されています。
国の強力な支援という追い風も活かしながら、来年度以降も事業者支援を通じて、国内
でも有数の「空飛ぶクルマ先進地域」としての地位を確立すべきです。
以上を踏まえ、万博でのデモフライトやこれまでの県の取組を通じて、現在、県民や事
業者からはどのような期待や意見が寄せられているのか、また、これまで3年間にわたり
「空飛ぶクルマ実装促進事業」として補助金を出してきましたが、そこから見えてきた課
題を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか。当局のご所見を伺います。[齋藤知事]私からは次世代モビリティの活用についてお答えをいたします。
県はこれまで、県内での社会実装を目指し、有識者・事業者で構成する会議で
の意見交換や、県民を対象としたデモフライト等の機運醸成イベント、県内での
事業化に向けた調査・実証等に取り組んでまいりました。
これらの取組を通して、県民の皆様からは「空飛ぶクルマの関係者の熱意が伝
わった」「飛行する姿に感動した」などの声が聞かれるとともに、県内の観光事
業者からも「全国に先駆け兵庫県から飛んでほしい」との声をいただいており、
期待の高まりを感じております。装に向けた取組が進んでおります。
一方、離着陸場の整備コスト等、本格運行に向けた課題も把握できました。
この夏に改定された国のロードマップでは、「導入初期は 2028 年頃」と再設定
されておりますので、これから実装の本格化に向けた大切な時期だというふう
に考えております。
また、実装初期には主に観光利用が想定され、本県観光戦略でも、空飛ぶクル
マを高付加価値の旅行者獲得に向けたコンテンツの一つと位置づけています。
県の補助事業を契機として、9月には、城崎で市や観光・交通事業者が一体と
なって参画する協議会が設立されました。こういった実装に向けた具体的な取
組は、全国的な先進事例として評価を受けております。
調査・実証等の支援から、今後は県内実装に直結する取組に移行する段階です。
今後は、発着地となる市町と連携しながら、観光施策との一体的な展開に重点を
移し、早期ビジネス化の実現、そしてその先にある議員もご指摘いただいた防災
や医療や地域交通などの地域課題の解決を見据えた取組を進めてまいります。
具体的な事業開発支援の「空飛ぶクルマ実装促進事業」では、神戸や淡路等で
の離着陸場候補地や運航ルートの絞り込み、パイロットや整備士の育成など、実 -
5. 播磨灘の養殖マガキ被害対策について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾議員]兵庫県の重要な水産資源である、養殖マガキの大量死への対応について伺います
播磨灘産の養殖マガキは地域を代表する水産物であり、秋が深まる 11 月頃から出荷が
始まりますが、今年は大量死に見舞われています。 先日、私自身、相生や室津の漁業協
同組合を訪問し、現場の漁業者の方々から直接お話を伺いました。沖合の養殖いかだのマ
ガキは、9 割近くがへい死し、育っているカキはほとんど見当たらず、残りの生育状況も
極めて悪い状況でした。また、本来付着しない異物が大量に付着している異様な現状も目
の当たりにし、言葉を失うほどの被害の深刻さを痛感しました。
漁業者の方から、「例年なら1台の筏(いかだ)から約 15 トン収穫されるが、今シーズ
ンは 1 トンにも届かないと思う。こんなことは今までなかった」「原因が分からなければ、
カキ養殖を続けられるか見通しが立たない」「今後、カキ養殖に欠かせない殻むきなどを
担う季節労働者や外国人労働者の雇用を維持できるかわからない」という、本当に切実な
お声を聴かせていただきました。
水産技術センターの調査によると、この原因は、夏場に高水温が持続したことに加え、
少雨などにより餌となる植物プランクトンが不足するなど、複合的な要因が推測されてい
ますが、まずは播磨灘における被害の全容把握と、より詳しい原因究明が必要であると考
えます。
現場からは、植物プランクトンのサンプリング調査の実施や、水温や塩分など海域の情
報について提供を求める声も多く、水産技術センターの取組や知見の現場への確実なフィ
ードバックが期待されています。
さらに、現在、主要な産地である広島県など、瀬戸内海全域において、養殖マガキの大
量死がみられていることから、水産技術センターが中心となって近隣県や国の研究機関等
と連携し、気候変動下でのカキ養殖のあり方を構築するための、広域連携による原因究明
と対策を進めるべきと考えます。
ついては、今後、持続可能なマガキ養殖に向けて、県と漁業者が連携したマガキの生育
や漁場環境の調査、モニタリング体制を強化すべきだと考えますが、当局のご所見を伺い
ます。[守本農林水産部長]この度の大量へい死の影響で、全ての地区で未だ出荷の見通しを立てること
ができない状況です。
今後、被害の全容把握に向け、漁業者皆様の協力のもと、マガキの死亡状況や
生育状況、生産量等をより詳細に調査いたします。
詳しい原因究明に向けては、県が実施いたします海域環境の情報に加え、漁業
者が実施をする観測情報等も集約して調査精度を高めてまいります。また、観測
期間を養殖期間から一年を通して期間を延ばして実施するなど、漁場環境のモ
ニタリングの強化を検討しております。併せて、これらの情報を漁業者が活用で
きるよう、速やかに漁業者に伝達する効果的な仕組みも検討してまいります。
加えまして、先日、水産庁と関係府県で構成する協議会が設置され、情報の共
有化が開始されました。今後、他県や国等とも連携した体制を構築し、原因究明
や必要な対策の検討を進めてまいります。
こうした取組を漁業者や関係団体とともに迅速かつ着実に進め、安心して事
業が継続できるようしっかり取り組んでまいります。 -
6. がん患者アピアランスサポート事業の所得制限の見直しについて
質問と答弁のダイジェスト
[松尾議員]本県では、がん患者団体やアピアランスケアに取り組む団体からの切実な声を受け、私
たち会派の強い要望により、令和 3 年度から「がん患者アピアランスサポート事業」を市
町協働事業として実現しました。
この事業は、がん患者の皆様の心理的負担を軽減し、就労等の社会参加を促進すること
で、療養生活の質の維持向上を図るものです。外見の変化を補完する医療用ウィッグや乳
房補正具の購入費用の一部を助成しており、令和 6 年度までにウィッグ 4,461 件、補正下
着 666 件、人工乳房 129 件の申請がありました。
利用者からは、「ウィッグのおかげで自信をもって外出や仕事ができた」「費用負担が軽
減され経済的な心配が減った」「乳房全摘による外見の変化が気になったが、普段通りに
過ごせることが、心の支えになり、前向きに治療に臨めた」など、多くの感謝の声が寄せ
られています。
しかし、本事業が抱える大きな課題は、県が設けている所得要件です。前年度の世帯所
得が 400 万円未満という要件があるため、申請できる方が限定されており、所得要件を超
える患者さんからは「見放されたように感じた」という残念な声もいただいています。
この所得要件は、支援本来の目的である社会参加の促進を阻害しています。現在、申請
対象の多くは 70 代となっており、40 代・50 代の子育て世代や現役世代が対象から外れて
しまう実態があります。就労や社会復帰に関する影響が大きい現役世代こそ、アピアラン
スケアの支援が不可欠です。
さらに、この所得要件のために、県内の市町間で格差が生じています。神戸市では、が
ん患者支援の視点から年収要件は必要ないとの考えから、県の要件外となる助成を単独で
実施し、姫路市も現役世代・子育て世代を支援するため、令和 7 年度より所得制限の廃止
を決定しました。その他6市町においても所得制限を撤廃しています。また、神戸市・姫
路市など県内自治体からも所得要件撤廃に関する要望が県に提出されています。
がん治療は経済的な負担が大きい上に、外見の変化による精神的なダメージは、所得の
多寡にかかわらず生じるものです。アピアランスケアは贅沢品ではなく、がん患者の心に
寄り添う支援として、全ての患者に等しく提供されるべきと考えます。
つきましては、所得要件を廃止すること、もしくは対象を広げるために所得要件の引き
上げを強く要望いたします。
これにより、特に現役世代の社会参加を後押しし、がん患者が希望を持って自分らしく
生きるための支援を拡大していただくよう、当局のご所見をお伺いします。[山下保健医療部長]がん患者のアピアランスサポート事業についてでございますが、
がん医療の進歩等によりまして、治療と社会生活の両立を図るがん患者が増加し
ていることから、がん治療に伴う外見変化に対する支援は、がん患者の社
会参加を推進するうえで重要であると認識しております。このため、本県
では、令和3年度からがん治療に伴う外見変貌を補完する補正具の購入費
用の一部助成を市町と協働で行っているところでございます。
限りある財源の中で、ウイッグ等の購入費支援が必要な患者へ確実に届
くように補助事業の制度設計にあたっては、類似する事業も参考とし補助
上限額や所得制限を設けているところでございます。
また、一方近年では、機能性やファッション性に優れた低価格補正具の
商品化に加え、サブスクリプションサービスの提供もあり、アピアランス
ケアを取り巻く環境が変わりつつあるものと理解しております。
このことから、本事業の所得要件の見直しにつきましては、財源の効率
的活用及び社会的公平性確保の観点から、事業実施主体である市町の意向
並びに類似事業や他府県の動向も参考にしながら、研究していく必要があ
ると認識しております。
今後とも様々な関係者と連携し、がん患者が自分らしさを保ちながら社
会に参加できるよう、支援してまいります。[松尾議員]答弁ありがとうございました。県民の安心と未来のために、県民の皆様
の声をこれからも誠実に届け続けて参ります。今日お答えいただいた思い
を必ず未来につなげていただきますようお願いして私の一般質問を終わ
ります。