議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第374回(令和8年2月)定例県議会

越田浩矢県議
[質問項目]
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1. 財政健全化に向けた運営方針について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]最初の質問は、厳しい財政状況を踏まえた今後の財政運営について伺います。
令和8年度の財政フレームでは、令和10年度までの収支均衡を目指していましたが、金利上昇の影響により、収支不足額は昨年度見込みの160億円から530億円へと、わずか1年で370億円も悪化しました。
さらに、令和7年度決算では実質公債費比率が起債許可基準である18%を超える見通しとなっており、本県財政は極めて厳しい局面にあります。
県は、その要因を震災関連県債等の償還に加え、類似団体に比べ高い水準で投資を行ってきたことにあると分析しています。
今後は、公債費負担適正化計画の策定や投資規模の抑制により財政運営の転換を図るとしつつ、「兵庫の発展に向けた投資との両立」も掲げています。
これらを踏まえ、以下3点について伺います。
第一に、過去の投資水準とリスク認識についてです。県は、平成 20 年代の行革期間中においても類似団体より高い投資水準を維持してきたことを弊害として挙げています。
当時、財政当局はこうした投資が将来の財政に与える影響や金利変動リスクをどのように認識し、その後の財政フレームの管理・コントロールを行ってきたのか伺います。
あわせて、今後の財政フレームの管理手法をどのように見直していくのか所見を伺います。
第二に、今般の財政悪化要因についてです
令和8年度当初予算では、財源不足を補うため財政基金から約130億円を取り崩す方針として
います。
しかし、昨秋の決算特別委員会では、不測の事態に備えて財政基金を200億円を目標に積み増すと説明していました。
わずか半年で積み増しから取り崩しへと方針転換せざるを得ない現状は、財政運営の見通しが十分であったのか疑問が残ります。収支不足額が370億円も悪化した要因は、金利1%の上昇だけによるものなのか、他の要因を含めてどのように分析しているのか伺います。
第三に、財政悪化を踏まえた今後の財政運営についてです。財政健全化と投資の両立を図るためには、限られた財源の中で県民福祉を最大化するための工夫や最適化が不可欠で、さらなる金利上昇にも耐え得る強固な財務体質を構築するための道筋や具体的な財源確保策を示していく必要があると考えます。
令和8年度当初予算の編成あたり、投資事業は、実負担額を令和7年度水準以下に抑える方針が示されていますが、事務事業を含めた全体の財政運営の舵取りにおいてどのような方針により取り組んでいこうとしているのか所見を伺います。[齋藤知事]阪神・淡路大震災の被災県である本県は、行革期間中、通常事業を抑制する一方で、東日本大震災を踏まえた防災減災対策などにも積極的に取り組んできました。
この間は低金利環境が積極的な投資を後押しした側面、また、国土強靱化や緊急防災減災事業債など有利な起債をどんどん活用しようというような判断もあった中で、結果として類似団体よりも高い、過大な投資水準が続いたとなったものでした。
当時は、毎年度、当初予算を発射台に財政フレームを置き直し、収支や財政指標の見通しを管理してきました。平成30年度には収支均衡を達成するなどの対応ができたものと認識しています。
一方、当初予算時点における機械的な試算である財政フレームは、災害や今回のような金融政策の変更や円安、こういった急激な社会経済情勢の変化などには反映できないという面があります。
こういった不測の事態に対応するために財政基金というものを着実に積み立ててきまして、
今回200億円近くまで積み立てることができました。
それがあったからこそ、令和8年度当初予算においては、財政基金をこういった不測の事態などに活用する趣旨から、収支対策に活用することができました。
今後も厳しい財政状況が続くことになりますので、そういった財政リスクをどのように反映しながら財政運営をしていくのかということは、県議会とも議論を進めながら、検討してまいりたいと考えています。
また、収支不足悪化の要因は、公債費の増加が大きなウエイトを占めますが、金利、そして、人件費の上昇ですね、これは本庁部局だけではなくて病院部局の負担金というのも増えていることなど、人件費の上昇などに連動する経費や義務的経費の増加も要因となっています。
今後は、本格的な金利上昇局面に応じた財政運営への転換が求められますので、来年度、有識者で構成する検討会を設置しまして、本県のこれまでの財政運営、そして、財政構造の検証を進めていきたいと考えています。
その上で、検討会での議論をもとに、歳入・歳出にわたる行財政改革を進めていくということ、そして、地方財政制度ですね、様々な起債、資金手当債も含めてですね、活用しながら、毎年度の収支不足の解消に努めていきたいと考えております。
[越田県議]今回の提案において示された財政悪化の状況についてです。
過去の投資も含めて、社会経済情勢が変化してきた、というご説明がありましたが、金利の見通しも含めてですね、どういうふうに想定して、どう対処していくかが重要ではないかと感じています。
内閣府の過去投影ケースの金利を採用したと午前中の質疑の中でご説明がありましたが、とはいえ、いろんな想定の中で今年度収支不足の見込み額が370億円も悪化したと。
こうした状況に陥った要因として、いろんな想定として、危機管理上想定しておくべきではないかと思っています。
金利の想定も、内閣府は、成長移行ケース、高成長実現ケースということで過去投影ケース以外にもケースを示しておりますが、やはり、リスク管理の観点からは、最良のパターン、最悪のパターン、その中間のパターンということで、ある程度見通しを立てながら、財政運営、財政フレームの維持を図っていくのかということが重要ではないかと考えますが、そういった意味におきまして、過去の過大な投資もあったというご指摘もあるのですが、いろいろな想定の中で、この370億円も収支不足額が膨らんだ要因について、もう少し、これまでの想定も含めた、今後の見通しも踏まえて、なぜここまで悪化したのかというところをもう少し詳しくご説明いただきたい。[齋藤知事]やはり、先ほどの答弁でも触れましたが、公債費の負担が大きく増えていることが大きな要因です。過去から類似団体と比べて2割以上大きい投資的経費の水準というものが、兵庫県においては十数年以上続いてきたということになります。
これはもちろん、公共事業というものが、防災減災対策や地域の皆さんの利便性向上とかメリットがあるというのはもちろんあるのですが、そこは兵庫県の財政の体力との関係ではやはり、2割程度大きかったということがありまして、その傾向が平成20年度くらいからですね、リーマンショックの影響を受けた公共事業の増などが、今まさに利払いの返済が本格化してくる局面において、借換などの影響によって、金利がこの間、今回大きく上昇していく中で、いわゆる公債費、金利の負担が増えるというのは一番大きな要因になっています。
それから、もう一方が、人件費の影響で、賃上げで公務員についても給与の引上げが続いている中で、本庁の職員のみならず、病院局などそういったところへの人件費の負担も大きくなってきているところがあります。
今後の見通しですが、ご指摘いただいた点で、成長ケースをどのように見ていくかというところは、午前中の答弁でも触れましたが、兵庫県としては、これまで過去投影ケースというものでシミュレーションしてきました。今回、530億円ということで前回の試算からは大きく悪化したということになります。
今後は金利の上昇局面が続く中において、しっかりと財政運営していく、財政状況を見通していくことが重要と考えています。
成長移行ケースや高成長実現ケースでの試算というものも、逆に金利負担は増加しますけども、経済成長により税収が増えることを踏まえますと、令和8年から10年度の収支不足額というものは、過去投影ケースだと530億円になっていますけど、そこからいずれも70億円程度改善するということになりますので、財政収支をしっかり堅めに見ておくという意味では、これまでの継続性や今後のそういった観点を踏まえると、過去投影ケースによって見通しをだしていくと、それに沿って財政健全化と投資の両立をどう図っていくのかという議論をしっかりやっていきたいと考えています。
[越田県議]金利の見方というのはいろいろあるのかと思いますが、今回急激に悪化したというのも、過去投影ケースに基づき想定していたにも関わらず、こういう事態に陥っているということからすると、最悪のケースというところもある程度バッファーを見ながら備えておく必要があるのではないかと感じております。
あと、財政基金、先ほどの答弁の中で備えることができたので、今回も対応できているとの答弁をいただいたが、この財政基金の考え方について、少し伺います。
今回、財政基金から129億円を収入として繰り入れるという形で8年度予算が組まれています。129億円を収入として繰り入れるにも関わらず、2月補正予算ではですね、新たに財政基金に今年度の余剰金として60億円を財政基金に積む形をとろうとしてされておりまして、この考え方がどういうことなのか。
収支不足を補うために財政基金から繰り入れながら、本来は決算を閉めたあとに余ったお金を財政基金に半分以上積んでいくという条例で定められているルールに基づかず、あえて、今年度の余剰金をもって、財政基金に積むという考え方というのが、どういう考え方になっているの
かご説明いただきたい。
併せて、専門家による検討会をつくって、今後の財政運営のあり方を検討していくのだとご説明いただきましたけれども、本来、県財政は財務部が一番詳細について把握しているはずで、これまでも財務部が一貫して運営してきた中で、あえて専門家に検討を任すと。
また、これは時間をかけて検討するような形ですので、本来であれば、財務のプロである財務部が主導して、この状況をどう乗り越えるのかということを検討して、計画を立てて遂行していくのが本来ではないのかなと感じているところですが、スピーディーな対応という観点から、外部に検討を任すというやり方については、少し疑問に思うところがあるのですが、その辺の考え方についても併せてお聞きいたします。
[齋藤知事]金利設定については、国債の平均的な金利の中で、一定地方債分のスプレッドというか、バッファーを見込んで、今回金利設定しておりますので、その点では一定、バッファーを見ている点があることをご理解いただければと思います。
それから、基金については、今回補正予算そして条例改正対応をさせていただく形になりますけれども、令和7年度の収支について、税収の上振れなどを踏まえてですね、収支余剰が一定出ることになりますので、そこは、財政調整基金に一回積んで、それを令和8年度の財源対策として活用させていただきたいという意味で、本来はおっしゃるとおり、決算打ったあとの剰余金の2分の1が原則ですけれども、今回については、令和7年度に一定の余剰がでる中で、一定額を政策的に積立させていただいて、それを令和8年度の予算に、安定的な財源確保、財政運営のために、暫定的に活用させていただきたいというふうに考えております。
それから、検討会の設置については、議員のご指摘も受け止めさせていただきたいと思います。
本来、県の財務当局、私も含めてですね、これまで財政運営というものをやってきた立場として、責任をもって行財政改革をやっていくことが大事だと思っています。
一方で、やはり、この間の数十年にわたる財政構造の検証というものも大事だと思います。
これは、この問題のみならず、分収造林事業や地域整備事業、過去から続いてきた行財政運営に大きな影響を与えてしまうものについては、やはり、結果の検証というものも大事ですので、これは外部の方のご意見なども踏まえながら、検証して、それを未来の財政運営と投資につなげていく、そして、そういったことを、検討会を通じて、県民の皆さんにお示ししていくという意味で、検討会をつくりたいという趣旨でございます。
[越田県議]財政基金については、ある意味貯金ということになります。
この財政フレームで悪化している中で、県債管理基金に積むという選択肢もあったのではないかと思いますし、これだけいろいろ危機的な状況にある中で、財政基金に積んでおくのが本当にいいのかも含めましてしっかり検討いただきながら、健全化に向けて取り組んでいただきたいとコメントして次の質問に移ります。 -
2. 南海トラフ巨大地震へのソフト対策の強化について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]南海トラフ巨大地震へのソフト対策の強化について伺います。
南海トラフ巨大地震対策においては、地震や津波による直接死を防ぐことはもちろん、能登半島地震で直接死者数を上回った災害関連死への対策を同時に進めていくことが不可欠です。
国が掲げる事前防災・減災の考え方の下、避難生活の長期化や環境悪化による健康リスクを平時から低減する取組を強化する必要があります。
本県では、阪神・淡路大震災の教訓を礎に、ハード・ソフト両面の対策を積み重ねてきました。
特に国土強靱化予算等を活用した防潮堤や河川堤防の整備、嵩上げなどは着実に成果を上げており評価するものです。
一方で、大規模災害時には行政による公助には限界があり、自助・共助の充実が被害軽減の鍵を握ります。
住宅の耐震化のさらなる促進に加え、耐震改修が困難な場合の防災ベッドや耐震シェルターの導入、家具固定、感震ブレーカー設置など家庭内対策を進めるとともに、防災リーダーの知見を生かして地域防災力を高め、避難行動要支援者の個別避難計画の策定率向上を図るなど、
ソフト対策を体系的かつ継続的に推進することが重要です。
本県の住宅耐震化率は約92%と高水準にありますが、食料や水の備蓄、家具固定、感震ブレ
ーカー設置など具体的行動の面ではまだまだ課題があると思われます。
また、個別避難計画の策定率も県全体で8.8%にとどまっており、実効性の確保が課題です。南海トラフ巨大地震では、震源からの距離や沿岸・内陸の違いにより震度や津波リスクが異なり、道路寸断やインフラ被害の程度によってライフライン復旧までの期間にも大きな差が生じます。
こうした地域ごとの最悪の被害想定を具体的に示し、県民のリスク認知を高めることが行動変容を促す前提になると考えます。
現在、県では来年度末を目途に次期アクションプログラムの策定が進められていますが、国土強靱化の PDCA サイクルの考え方も踏まえ、従来の啓発中心の取組から一歩踏み込み、防災行動の変化を成果として捉え、KPIを設定し進捗を管理していく視点が重要です。
地域ごとの被害想定に応じ、県民が「明日から備えを始めよう」と具体的に行動に移せる施策をどのように設計し、実効性をもって推進していくのか、当局のご所見をお伺いします。[池田防災監]南海トラフ巨大地震・津波による甚大な被害を軽減するためには事前の備えとして、ハード・ソフトを適切に組み合わせ、実効性のある防災・減災の取組を推進することが重要であります。
このため、県では平成26年に被害想定のとりまとめにあわせて、巨大災害に備え、目指すべき減災社会像を示す「南海トラフ地震・津波対策アクションプログラム」を策定いたしました。
本プログラムにおける全 134項目の取組の指標について、毎年度その進捗状況を確認するとともに、取組が遅れている指標につきましては、その要因を分析し改善策をとりまとめ、次年度以降の取組に反映をさせるということで取組を進めてまいりました。
その結果令和6年度末で約 84%の項目について概ね達成している状況にございます。
今年度から2か年で行います被害想定の見直しに合わせ、新たなアクションプログラムを策定することとしております。
本プログラムにおきましては、災害関連死や通電火災など過去の災害で明らかになった課題や国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画で示されている具体目標を踏まえつつ、県・市町に加え県民の皆様方が自らも具体的に行動できる指標を有識者の意見も取入れながら設定をする予定としております。
また、県民自らの行動を促進するため、来年度は身近な場所で想定される浸水状況等や県民が各々取組む減災アクションの効果が確認できる動画についてもあわせて作成をいたします。
新たなアクションプログラムを県民の行動変容に繋がる実効性の高いものとするため、体系化した取組について進捗状況を継続的に把握して計画的に管理するとともに、県民と共有をし、防災・減災対策の着実な推進を図ってまいります。
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3. DX化と業務革新の推進について
質問と答弁のダイジェスト
(1)共通認証基盤を活用した県民サービスのDX化について
[越田県議]県民の共通認証基盤を活用した県民サービスのDX化について伺います。
昨年、物価高騰対策として実施された「はばタンPay+」において重大な個人情報漏洩事案が発生しました。
この事案の根本的な問題は、県民の個人情報を取り扱うシステムを含む事業全体を外部業者に一括委託した結果、発注者である県がシステム仕様やセキュリティ対策の検証に十分主体的に関与できなかった点にあると考えます。
また、各部局が個別にシステムを構築・運営している現状は、縦割りによる重複投資やセキュリティ水準のばらつきを招き、自治体 DX推進計画が求める標準化・共通化の方向性とも必ずしも整合していません。
県民にとっても、事業ごとにアプリの導入や個人情報登録が必要と
なるなど、利便性に課題があります。
こうした反省を踏まえ、県が主体となって強固なセキュリティと高い利便性を両立する「兵
庫県独自の共通デジタル基盤」を構築し、県民アプリを通じて行政サービスを提供できる環境
を整備すべきと考えます。
その中核として、マイナンバーカードの公的個人認証を活用した共通ID・認証機能を実装す
ることで、次の3点が実現できます。
第一に、セキュリティの強化です。認証基盤を県が統括管理することで、個人情報の分散管
理リスクを低減し、統一的なポリシーの下で運用できます。
第二に、県民の利便性向上です。一度の認証で、デジタル商品券や給付金申請、子育て支援
などをワンストップで利用でき、利用者視点の行政サービスにつながります。
第三に、機動的な政策執行です。災害時支援や新規施策でも迅速な対象者判定と給付が可能
となり、サービスの再利用性・拡張性が高まります。
もちろん、マイナンバーカードを持たない方やスマートフォンを利用しない方への代替手段
の確保は不可欠です。その上で、「はばタンPay+」の教訓を踏まえ、部局ごとの個別委託を見
直し、全庁横断で調達やセキュリティを統括するガバナンスを確立すべきです。
あわせて、マイナンバーカードを活用した県民共通の認証基盤を整備し、デジタル商品券や
給付金、各種申請に加え、ボランティアポイントや健康ポイントなど県民の主体的な活動を促
す仕組みにも活用できる「兵庫県版スーパーアプリ」の実現に向け、検討を加速すべきと考え
ますが、ご所見を伺います。
[齋藤知事]情報システムの調達に当たりましては、部局ごとの縦割りを排し、全庁的に同一水準のセキュリティを確保するとともに、重複投資を回避することが重要であります。
このため、デジタル部門が全庁的な観点から調達前に確認を行い、セキュリティやコスト面に優れた共通システムの活用を促しております。
議員ご指摘いただいた「はばタン Pay+」に関する事案は、事業全体を委託した事業者がシステムを導入した中で発生したものであり、県として十分な確認が及ばなかったということがありました。この反省を踏まえまして、全所属を対象に総点検を実施するとともに、このような委託形態も含めたチェック体制の強化を行ったところでございます。
これらの対策を前提に、県民サービスの向上等に向け、デジタル技術の一層の活用を図る必要がございます。「はばタン Pay+」の第6弾以降では、当該アプリの市や町との共同利用や、アプリ利用者に県施策情報を提供する仕組みを導入することを検討しております。
ご提案の共通認証基盤によるスーパーアプリの整備については、セキュリティ強化、県民負担の軽減などの利点がある一方で、先行導入自治体では、利用者数の伸び悩みや、整備・運営コストの負担が課題となっている事例も見受けられますので、県民にとって利用価値の高い施策メニューや費用対効果を総合的に勘案しながら、引き続き検討を進めていきたいと考えております。[越田県議]コメントさせていただきます。
共通認証基盤ということでご提案させていただきました。兵庫県、昨年来、情報漏洩事案がたくさん発生しているということもありますので、やはり県民に対してしっかりセキュリティを確保してるんだということを示していく必要性は高いと思っております。
そういった意味におきまして、今後も「はばタン Pay+」、非常に好評ですし、課題もいろいろあるとは思うんですけれども、しっかりセキュリティ、個人情報が守られるシステムを強固なものを作って、基盤として運用していくことは必須だと思っておりますので、ぜひ前向きに、スーパーアプリまでいけるかどうかは別としましてですね、安心して県民の方々が利用できるセキュリティが確保されたシステム構築というのをお願いしたいと思っております。
(2)県庁DXの推進体制の抜本的強化について
[越田県議]次に、AIの劇的な進化を踏まえた県庁DXの推進体制の抜本的強化について伺います。
現在、生成AI をはじめとするテクノロジーの進展は、従来のホワイトカラー業務のあり方を根本から変えつつあります。「人が情報を整理し、書類を作成し、決裁を待つ」という従来の行政運営の前提は、大きく転換期を迎えています。
今こそ本県が業務の再設計を断行すべき時であると考えます。単に既存業務をデジタル化する「デジタイゼーション」にとどまらず、AIの活用を前提に、組織のあり方や業務プロセスそのものを抜本的に見直す「真のDX」を進める必要があります。
先ほど提案した、マイナンバーカードを鍵とする「県民共通デジタル基盤」も、AIとの連携によってその効果が最大化されます。例えば、AIが県民一人ひとりのライフステージや関心を踏まえ、ボランティア参加の機会や健康増進のアドバイス、受給可能な給付制度の案内などを
プッシュ型で提示することにより、「待たせない、探させない行政サービス」を実現し、県民の
ウェルビーイング向上につながると考えます。
しかしながら、このようなビジョンを実現するには、現在の企画部デジタル戦略課およびデ
ジタル改革課の体制は必ずしも十分とは言えません。
全庁的な業務改革を主導し、AI実装を加速させるためには、部局横断で強力に指揮を執る司令塔機能の強化が不可欠です。
そこで、知事に以下3点について伺います。
第一に、AIの急速な進化を、本県におけるホワイトカラー業務の変革、さらには県民サービ
スの質的向上にどのように結び付けていくのか、知事の時代認識と今後の展望を伺います。
第二に、各部局の業務フローをAI活用を前提に根本から見直すため、専門的知見を持つ外
部人材の登用を一層進めるとともに、全庁に対して実効的な指示を行える「DX推進局(仮称)」
のような体制を構築すべきと考えますが、見解を伺います。
第三に、県庁職員の役割を、AIに代替可能な事務作業中心の業務から、より創造的な政策立
案や県民に寄り添う伴走型支援へと転換していくため、具体的な人材育成と組織改革のロード
マップをどのように描くのか、伺います。
[齋藤知事]近年、AIは、議員ご指摘のとおり急速な進歩を遂げております。単なる業務効率化の手段にとどまらず、業務プロセスや県民サービスのあり方を変革し得るステージに入りつつあると認識しております。
兵庫県では、全職員が生成AIを利用できる環境を整備し、文章要約やアイデア出しなど、個々の職員レベルでの活用が定着してまいりました。
今後は、業務プロセス改革と一体となった形での AI 技術の導入についても検討を進めたいと考えており、来年度は有識者等の知見を取り入れるための検討会議を立ち上げたいと考えております。
庁内の推進体制については、民間登用の部長級職員である DX 推進監が中心となり、各部局長との意見交換を重ねながら、AIを含めたDXの全庁展開を図っております。
進月歩で進化する AI 技術動向や利用メリット等の共有を一層密にし、AI活用が有効な業務の掘り起こしを進めてまいります。
こういった取組の基盤となるのが人材育成でございます。デジタルリテラシーを高める各種研修を行ってまいりましたが、これに加え、各所属が自律的にスキルアップや実践に取り組み、組織力を高められるよう、昨年度から、デジタルナビゲーター制度を創設しました。
このナビゲーターが牽引役となって、DXの広がりが各業務において見せはじめております。
限られた人的資源を、政策立案や県民サービスの充実に重点的に振り向けていくためにも、引き続きAI活用等、全庁的なDXを進めてまいります。[越田県議]県庁内の体制の強化でありますけれども、やはり AI の進化が異常に速いので、本当に半年前とえらい違うぐらい機能が上がっているという状況も見受けられますので、常にアップデートしながら、単にAIを使うんだということではなくて業務の進め方そのものを根本的に見直しながら進めていくという取組が重要かなと思っております。
そういった意味におきまして、現状の体制だとなかなかそういう風にはならないのかなと思っていますので、体制強化も含めてぜひ前向きに検討して推進をいただきたいということをコメントさせていただきます。
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4. 地場産業・中小企業への「オーダーメイド型伴走支援」について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]本県の地場産業は、物価や人件費の高騰、金利上昇という「三重苦」に加え、消費行動の激変という構造変化に直面しており、従来の延長線上の取組では立ち行かない状況にあります。
長田区のケミカルシューズでは、カジュアル化で女性用パンプスの需要が減少する一方、円安による海外生産コストの上昇が販売価格に転嫁しきれず、厳しい経営を強いられています。
その中で、輸出に活路を見出そうとシンガポールでの展示会に挑戦するなど、事業者自らも果敢
なチャレンジを続けています。
播州織ではB2C向け販路開拓、姫路レザーではブランド力の弱さや環境規制対応コストなど、それぞれの産地ごとに異なる課題が顕在化しており、もはや個社の努力や一律の補助金だけで乗り越えられる局面ではありません。
国や県は多様な支援メニューを整えてきましたが、現場からは「自社に合う制度がわからない」「DX と言われても何から始めればよいかわからない」「AI の活用イメージが湧かない」といった声が上がっています。
特に AI・DX の導入には、現場のアナログな悩みをデジタルな解決策に翻訳できる専門人材が不可欠であり、制度を並べて「選んでください」と待つ従来型の手法は限界に来ています。
今必要なのは、支援内容そのものではなく、「支援の提供の仕方」を抜本的に変えることだと考えます。
福井県鯖江市や新潟県燕三条地域では、産地に入り込むプロデューサーが個社の課題を丁寧に整理し、ときには複数の補助金を組み合わせ、必要に応じて制度の運用も調整しながら、「伴走型・オーダーメイド型」の支援で成果を上げています。
そこで、本県においても特定の業界や産地に精通した「産地DX コーディネーター」を配置し、
既存の補助金の枠に縛られない、柔軟で実態に即した支援スキームを構築すべきではないでしょうか。
「予算があるから事業を当てる」のではなく、「現場の課題があるから支援の形をつくる」という、いわばマーケットイン型の行政運営へと更に転換することが不可欠と考えますが、ご所見を伺います。
また、地場産業の持続可能性を高める鍵として、「オープンファクトリー」のさらなる推進
が重要と考えます。
オープンファクトリーは、単なる工場見学ではなく、製造工程のこだわりを見せ、顧客をファンに変えていく「ブランド戦略」であり、職人が称賛を浴びることで、誇りとやりがいを高める「人材定着策」でもあります。
そこで、県として、オープンファクトリーのさらなる推進が必要と考えますが、所見を伺います。[齋藤知事]地域の歴史や風土に育まれた地場産業は、地域社会の活力を支える重要な基盤であると考えております。
昨年度、政策コーディネーターと共に産地ヒアリングを集中的に行い、産地が抱える課題は個別性が高いということが浮き彫りになりましたことから、従来の支援施策をブラッシュアップし補完する形で今年度からNEXT じばさん推進プロジェクトを推進して、展開しています。
産地による主体的な弱み強みの分析と課題解決に向けた継続的に取り組む中期計画の策定をオーダーメイド型で支援し、計画に基づく、重点取組の支援や課題解決に向けたフォローアップを通じて、産地の特性に応じた発展を後押していきたいと考えております。
こうした取組を進める中で、DXや生産性向上等に悩む産地企業に対しましては、ボトルネック箇所を特定し、生産性向上全般をチーム型伴走支援で行うものづくり支援センターの意欲的な活用も促していきたいと思っております。
また、海外バイヤーが直接産地の個別企業を訪れ、商談を行い、新たなビジネスマッチングの機会を創出する取組も進めていきます。
議員ご指摘いただいたオープンファクトリーの推進というものは、産地の価値向上と販売拡大、
そして消費者の皆さんにとっても生産現場の見える化という観点で大変重要な取組だと考えております。
すでに、播州織であったり、議員ご地元のケミカルシューズなどですね、各現場ではオープンファクトリーの取組をしていただいてますので、こういった取組が全県的に広がるようにしていくということが大事です。
商工会議所等が行う地域での職業体験イベントの参画、また、フィールドパビリオンの体験などとの連携を促していきたいと考えております。
来年度は地場産品のやはり、県内消費の一層拡大をする具体的な方策を検討していきたいと考えております。やはり公共調達における地場産品の活用、それから民間の事業者さんがさまざまなイベントにおいて、地元の産品を、引き出物とかいろいろなもので使っていただくということが、
足元の需要を支えるということになりますので、そういった方策をしっかり検討していくということを通じて、産地の課題に寄り添って、取組を後押していくことで、地場産業の持続的な発展につなげてまいります。 -
5. 「ひょうご新観光戦略 後期重点取組」を踏まえた県内周遊・滞在について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]ひょうご新観光戦略(2023〜2027年度)の後期重点取組として、今後2年間で重点的に進める施策および戦略体系の見直しについて伺います。
まず、「兵庫テロワール旅」や「ひょうごフィールドパビリオン」により、地域資源を掘り起こし、独自のストーリーを持つ魅力的な観光コンテンツへ磨き上げてこられたことを高く評価いたします。
さらに、ユニバーサルツーリズムやサステナブルツーリズムを先進的に推進されている点は、本県の観光ブランド価値の向上に大きく寄与するものであり、敬意を表します。
一方で、こうした個々の魅力が、県全体の経済効果の広がりに十分結びついていない現状も見受けられます。
資料によれば、本県のインバウンド観光消費単価は全国 43位、平均泊数も全国平均を下回っており、大阪・京都を拠点とした日帰りが中心で、県内を周遊・滞在するスタイルが十分に確立されていないことがうかがえます。
今後は、コンテンツを有機的に結びつけ、旅行者を県内各地へ回遊させる「点を線にする戦
略」が重要であると考えます。
戦略ではモデルツアー造成や高付加価値旅行者向け商品の創出が掲げられていますが、商品
は造成するだけでなく、海外の富裕層向け旅行会社やエージェントに商品として流通・販売さ
せることが不可欠です。
また、人材育成については「ガイドの育成」が示されていますが、富裕層や長期滞在者に対
応するには、通訳・解説にとどまらず、県全域の魅力を踏まえ、顧客の関心に応じて体験や食
を組み合わせ、旅程を提案できる高度・専門人材の育成が必要ではないでしょうか。
さらに、「兵庫を拠点としたツーリズム」を実現するには、移動の利便性向上が不可欠です。
特に南北移動の課題を踏まえ、MaaSなどの情報提供に加え、主要駅から宿泊施設への手荷物配
送サービスの拡充など、移動環境をどう充実させていくのかも重要です。こうした点を踏まえ、
「点を線」に変えていくため、ひょうご新観光戦略の中間見直しに基づき、今後どのように取
り組んでいくのか所見を伺います。[齋藤知事]神戸空港国際化の推進により、本県のインバウンド宿泊者数は、4 月から11月で対前年同期131.2%と全国平均105%を大きく上回りました。
こうした動きをさらなる宿泊につなげ、消費単価を拡大する必要があります。このため、戦略の見直しでは、
「①兵庫を滞在拠点とした広域観光圏の創出」と
「②大阪や京都、瀬戸内からのプラスワントリップの促進」を目指す方向性を打ち出しました。
その実現には、兵庫への滞在・周遊を目的とするツアーを造成し、販売につなげる必要があります。このため、兵庫の強みである食や酒、温泉、ゴルフなどをテーマとしたツアーや、主要観光地とフィールドパビリオンなど体験型コンテンツを結んだツアーを商品化していきたいと考えております。
最近、私も食べ歩きをしていますが、地域の美味しい地場産品を食べながら地域内を周遊することで団体だけでなく、個人の方にも来ていただきたいと考えています。
この際、企画段階から二次交通事業者と連携するほか、主要観光地が取り組む手ぶら観光等を支援してまいります。
プロモーションは、兵庫の知名度に応じて戦略的に進めます。アジア圏へは、神戸空港就航先を中心に直接現地旅行会社と商談を行い、早期集客を図ってまいります。欧米豪へは、海外エージェントにつながりを持つ海外観光レップ機能を活用し、視察型招待ツアー等の実施により知名度を高め、OTA とも合わせてセールスコール等で販路拡大を図ってまいります。
高付加価値旅行者については、ゴルフツーリズム全体をコーディネートできる専門人材を育成していきます。
ワールドマスターズゲームズ、神戸空港国際定期便の就航など、誘客の好機が続くため、国内外から兵庫への新たな人の流れを確かなものにし、観光を通じた地域経済の活性化につながる取組を進めていきたいと考えております。[越田県議]従来から大阪・京都が旅行先の中心となり、兵庫に滞在・回遊していただけないことは随分前から言われております。
万博やフィールドパビリオンなど、点の観光コンテンツの開発は先進的な取組ができている一方で、回遊・周遊に至らないのはパッケージ化された商品がないことが大きいと感じています。
例えば、大阪・京都に滞在し、本県には姫路城に来られる場合などが多いと思いますが、来訪される方に対して、周辺の観光や宿泊を商品化し、その商品がどの程度販売可能か検証するといったチャレンジが必要ではないかと考えます。
交通と宿泊、食などの観光コンテンツをパッケージ商品化することが一番重要ではないかと考えますが、今までの取組や取組の中で欠けていた部分の認識についてお伺いします。
[小林部長]ご指摘の通り、これまでの兵庫県の観光において、必ずしも周遊が十分だったとは認識しておりません。そのことをしっかり踏まえ、「ひょうご新観光戦略」の中間見直しを行いました。そして、答弁の中でも申し上げたとおり、
①兵庫を滞在拠点とする広域観光圏の創出、
②大阪や京都、瀬戸内からのプラスワントリップの促進、
これらを大きな柱として打ち出しました。
これに基づき、旅行商品を造成していくという方向性のもと、交通事業者や宿泊事業者、地域の地場産品を扱う事業者の方にも戦略策定会議に入っていただき、見直しを実施しました。
見直しも踏まえ、今年度の 9月、12 月補正では周遊性を意識したツーリズム商品の造成を呼びかけ、事業者に対しては一部補助という形で戦略的に推進しております。
また、それを更に加速していくというのが今回の見直しの内容となります。
まさに、ご指摘いただいた方向性で不断の見直しをしながら取組んでいきたいと考えておりますので、ご支援の方よろしくお願いいたします。 -
6. 地域公共交通のリ・デザインに向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]人口減少と少子高齢化が加速する本県において、地域公共交通の維持は、単なる移動手段の確保を超え、県民一人ひとりの尊厳ある生活を支えるための最優先課題であります。しかし現状は、深刻な運転手不足やコスト高騰により、既存の路線バス等の維持は限界に達しつつあります。
今こそ、従来の「交通分野」の枠組みを取り払い、あらゆるリソースを動員する「リ・デザイン」が不可欠となっています。
県として地域公共交通のリ・デザインとして、モデル地域に但馬地域を指定し、広域的な移動ニーズと、冬期の厳しい気象条件、そして高齢化という複合的な課題に対応するトライアルとなります。
県が但馬における医療・福祉・教育・物流といった各分野を総動員し、「先行的な取り組み」を行うことは、県内他地域への道標となるべきものです。
そこで、以下の4点について伺います。
第一に、「部局横断」という言葉が単なるスローガンに終わらないためには、予算の壁、縦割
り行政の弊害を打破する強力な調整機能が必要です。
今回のリ・デザインを推進するにあたり、土木部が推進の中心になるとはいえ、各部局の予算や人員に関わるような場合、どのように一元的に最適化し、実効性を担保していこうとするのでしょうか?
第二に、スクールバスや福祉送迎車両、さらには民間企業の送迎バスなどが、それぞれの目
的で「空き時間」を抱えたまま運行されています。
これら既存のリソースを、一般の県民も利用できるの仕組みとして、但馬モデルではどの程度のレベル感で踏み込んで実装する計画になるのでしょうか?
第三に、高齢者が多い地域での公共交通のリ・デザインのためには、デジタル技術を駆使して情報の一元管理や予約の簡素化や、キャッシュレス決済、リアルタイムの運行情報提供など、利用者の利便性を高めるためのデジタル基盤構築が必要と考えますが、県としてどのように取り組もうとしているのでしょうか?
そして最後に、但馬地域での成果を、いつまでに、どのような形で丹波、播磨、淡路といった他の地域へ横展開していこうとするのでしょうか?
日本の縮図と言われる兵庫県において、地域公共交通のリ・デザインが成功すれば、日本の地域交通の新しいスタンダードを示すことが可能になると考えますが、当局のご所見をお伺いします。
[服部副知事]地域公共交通のリ・デザインに向けた取組についてお答えいたします。
地域公共交通の維持は全国的な課題でありますが、県内でも人口減少・少子高齢化が進む多自然地域では、より深刻な影響が生じており、交通分野だけでなく教育・医療・福祉等の他の分野が持つ移動手段を総動員した新たなモデルの構築が必要となってきております。
そのための分野間連携につきましては、現在、庁内に教育・子育て、医療・福祉など4つのワーキングチームを設置し、各分野の課題分析、解決に向けた取組の方向性や必要な施策について多面的に検討を進めております。
来年度は、分野連携や広域連携の実証事業を行う市町に対する支援事業を実施いたします。
先行する但馬地域での既存リソース活用の検討状況についてでありますが、本年4月から豊岡市竹野地区におきまして、スクールバスに地域住民を混乗させる取組を開始いたします。但馬の他の地区でも同様の取組ができないか、引き続き、市町や交通事業者と議論を重ねてまいります。
デジタル技術の活用につきましては、令和2年度から、市町に対し、ICTを活用したデマンド交通の実証運行への支援を行っております。
また、来年度は、バスのキャッシュレス化を広範囲に広めるため、バス事業者等が共同で使用できる県内共通規格のサーバを導入し、1枚のICカードでスムーズに移動できる環境を整備します。今後も、交通DXを積極的に推進し、利用者の利便性、事業者の経営環境の改善に努めてまいります。
県内どこの地域でも不自由なく移動できる環境を確保することは、県民サービスの維持、地域活力の向上のためには欠かせません。国の「交通空白解消・集中対策期間」であります令和9年度を目途とし、但馬での成果や課題を見える化しながら、県内他地域への横展開を図り、地域公共交通のリ・デザインを推進してまいります。
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7. ICT利活用による学習効果向上について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]文部科学省のGIGAスクール構想第2ステージにおいて、焦点は「端末の整備」から「学習成果の向上」へと移っています。本県においても、これまでインフラ整備や教員研修に注力されてきましたが、活用の実態は依然として各学校や教師の裁量に大きく依存しており、それが「活用の質の格差」を生んでいるのが現状ではないでしょうか。
例えば、英語教育においては、先進的な自治体や私学では、AIドリルやオンライン英会話の授業内導入により海外の講師と1対1で話す時間を授業に組み込むことで、ALT1人の授業では不可能だった「圧倒的な発話量」を確保し、学力向上に寄与しているようです。
現場の裁量を尊重しつつも、県教育委員会が「効果的な活用モデル」を具体的に提示し、教師が迷わず、かつ効果的に指導できる環境を整えることこそが、求められている役割だと考えます。
現在、多くの教師が数あるアプリやデジタル教材の選定に苦慮しています。県教委として、学習効果が検証された「推奨教材リスト」や、それらを授業にどう組み込むかという「標準活用マニュアル」をパッケージ化して提示し、現場の負担軽減と質の平準化を同時に図るべく取り組む必要があるのではないでしょうか。
ICT 活用を「強制」ではなく「納得」に変えるためには、エビデンスが必要です。県内の先行実施校における学習ログや調査結果を分析し、「どの教材を、どの程度活用すれば、学力のスコアがどう変化したか」という具体的な相関関係を調査分析した上で現場に示し、コンサルティング支援を行うことが重要だと考えます。
さらに、教育成果全般の向上を図るためには、市町立中学校から県立高校への学びの連続性を確保することが欠かせません。ICTを活用して中学校での学習履歴や学びの状況を高校へ円滑に引き継ぐ仕組みや、県内共通のデジタル学習基盤を整備することで、教科横断的に学力や資質・能力を伸ばし、兵庫県全体の教育の質を底上げする仕組みを県が主導して構築すべきではないでしょうか。
ICT を「道具」から「学力向上への確かな手段」へと昇華させるための、教育委員会の ICTの利活用による学習効果向上に向けた取組について所見を伺います。
[藤原教育長]個別最適な学びと協働的な学びを実現するために、これまでの実践と ICT を最適に組み合わせた授業改善に取り組んでいる。
すでに全市町では、独自の裁量でいわゆる学習 e ポータルなどの多様な学習支援ツールが活用されているので、県としては、学校での指導方法の工夫等授業改善を支援するために、市町と連携をしながら、学力調査結果での課題等を踏まえた授業研究や教材の作成等に取り組んでいる。
具体的には、小・中学校では、指定校による学習支援アプリ等も活用した授業の研究や、各市町の中核となる教員対象の授業実践研修、また授業や家庭で活用できるデジタル教材の作成等に取り組んでいる。また県立高校でも、研究校を指定し、BYOD 端末に英語学習アプリを導入した授業実践研究等も行っている。
また、教員の ICT の効果的な活用に向け、200 の事例を超える授業の実践例や、個々の進度に合わせたデジタル教材の活用例等も紹介し、周知している。
加えて県立学校では、教育DXプラットフォームの構築を目指している。
学習状況や学校生活に関する教育データの共有、各教科の好事例や教材を電子データで共有できる環境づくりに向けて現在取り組んでいる。
また、ご指摘の校種を越えた学習履歴等教育データの引継ぎや共有については、国がその環境整備に向けた教育DXロードマップを示しているが、現在県内各市町で異なる校務支援システムが導入されており、まずはその統一が課題となっている。
そのため、全市町が参加をしている「兵庫県教育の情報化推進協議会」において、まずシステム統一への合意形成を図ったうえで共同調達・共同利用に向けた協議を進めていく。
併せて、ご指摘のような多様な学習アプリやデジタル教材の活用状況、また課題等についても情報共有を図っていきたいと考えている。
今後とも、市町や学校の効果的なICTの活用に向けた、授業改善研究、研修、そして好事例の発信等を通じて、学力向上を図っていきたい。

菅雄史県議
[質問項目]
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1. 兵庫県立兵庫津ミュージアムの学校、地域団体等による利用促進について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]「兵庫津」と呼ばれる現在の神戸市兵庫区にある当地は、長きにわたり海上交通の要衝として栄えた歴史がございます。
初代兵庫県庁が置かれた“兵庫始まりの地”に、令和4年、兵庫の歴史、兵庫五国の魅力や多様性を発信する拠点として「兵庫県立兵庫津ミュージアム」がグランドオープンしました。
復元施設「初代県庁館」と、展示施設「ひょうごはじまり館」からなる、学習・観光の場です。
運営状況資料によりますと、令和6年度の来館者数は、「初代県庁館」は45,260人、「ひょうごはじまり館」には、83,773人が来館し、施設内だけでなく地域に出向いて行う出前講座やイベント等のアウトリーチ活動を合わせると計170,024人の方が利用し、令和7年度は12月末までの実績は152,650人。年間目標である20万人には満たない状況であります。
そして校外学習、地域団体等の受入状況では、令和6年度の学校関係は、65校、3,413人。令和7年度は12月までに50校1,601人が利用。地域団体等は、令和6年度は128団体、2,608人、令和7年度は12月までで111団体、2,440人が利用されていますが、まだまだ利用者数が少ない状況であると思います。
以前「レゴ展」イベントが開催された折には会期中、開催前の同期間に比べ約2.4倍の70,000人以上の方が来館し、改めてミュージアムの魅力をさらに押し上げる企画や、コンテンツが大切であると認識されたところです。
一方で、県内の小学校・中学校などが実施する校外学習や、自治会などの地域団体等が実施する社会見学、地域交流が増加しない背景には、昨今のドライバー不足や燃料価格高騰により貸切バスの費用が非常に値上がりしているため、貸切バスを利用できない団体が多くなっていることもあります。そのような状況から、市町において貸切バス代への助成を行っている地域もあるようです。
「兵庫津ミュージアム」は兵庫五国の魅力を活かした展覧会やイベントの開催を通じて県内各地の地域資源を発信するとともに、各地域のひょうごフィールドパビリオンをはじめとした県内各地へ人々を誘う拠点としても重要であります。
「兵庫県立兵庫津ミュージアム」のさらなる歴史ツーリズムの促進と、県内の主に小学生、中学生の校外学習、社会見学、そして地域団体等による利用促進に向けた取組について、当局のご所見をお伺いします。
[守本企画部長]兵庫津ミュージアムの今年度の来館者数は、万博へのこども無料招待の影響もあって校外学習での利用が減少している一方で、企画展や地域団体の利用は増加しています。
その結果、全体としては前年同期を上回る水準を維持しているものの、目標来館者数には届いておらず、さらなる集客力の向上に向けた取組が必要だと認識しております。
今年の夏の企画展「妖怪水族館展」では、河童のガジロウが登場するイベントですとか、初代県庁館での夜間の肝試しなどを行い、大きな反響を得ました。
今後は、こうした知名度の高いキャラクター等とのタイアップですとか、施設の特徴を活かした体験イベントなど、通常の展示にとどまらない取組をより一層積極的に展開していきたいと考えています。
また、ご指摘いただきました学校や地域団体等の利用に際しましては、現在 滞在時間や参加人数に応じた観覧ルートを設定するなど、きめ細かな対応を行っておりまして、好評を得ております。
今後は、これに加えまして、例えば、学校・地域団体の地元の歴史に関する解説を行うなど、来館者の関心や学習目的に応えるオーダーメイド型の見学プログラムの提供にも取り組んで参ります。あわせて、観覧の様子ですとか利用者の感想をSNSやホームページで紹介するなど、情報発信の強化にも努めます。
県内外の交流拡大やふるさと意識の醸成をめざす兵庫津ミュージアムが、今後もその役割を十分に果たしていけるよう、創意工夫を重ねながらさらなる誘客拡大に取り組んでまいります。
[菅議員]オーダーメイド型のということで、それはそのようにやっていただいたら良いんですけれども、質問でも入れましたが、チャーターバス代が本当に高騰しておりまして、国交省が運転手の担い手不足(対策)のために賃金を去年からさらに上げており、影響が出ています。
私の地元の地域団体の方からは未だに令和4年に廃止した県民交流バスなんかの再開を望む声も聞いております。
現実的には、兵庫津ミュージアムに行くためだけにバス助成しろというのは無理だということは私も分かっているんですけれども、例えば県立美術館ですとか、学校・地域団体が2ヶ所、3ヶ所と県立施設に行くところに、例えば市町が助成した部分に関して県も協調してやるような、そういったことも検討していただけたらと思います。
年末の神戸市との調整会議でも知事から少し前向きなご答弁もあったかと記憶しておりますので、ぜひ検討していただけたらと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
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2. 外国人介護人材の受入れ、定着促進について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]厚生労働省が2024年に発表した「第9期介護保険事業計画」で介護サービス見込み量に基づき推計した介護職員の必要数は、2040年度には約272万人(+約57万人)とされており、兵庫県でも13,902人の介護職員が不足する予測がなされております。
介護需要は増加する一方で支え手が大きく減少する予測であり、我が県においても引き続き介護職員の確保が喫緊の課題であります。
また、国では、①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護職の魅力向上、⑤外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組むことが示されております。特に介護職員の不足を補う外国人介護人材の確保・育成においては、現在の技能実習制度を廃止し、新たに育成就労制度が2027年4月から施行され、介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」を取得し、日本で永続的に働けることとなります。
国の制度も大きく変わる中、外国人介護人材の受入れ、その後の定着促進は引き続き大きな課題です。
県内の介護施設現場からは、入国1年以内で首都圏や大阪府などへ転職する者も多いと聞きます。
そのような中、神戸市とJICA関西、大学、社会福祉法人との連携による「神戸モデル(介護)」が、2021年より開始され、神戸外国人高度専門人材プロジェクトとしての取組が全国的にも注目されております。即戦力となる外国人介護人材を確保する為、海外の協力先大学から、高等教育を受けた熱意のある外国人人材を受入れ、入国前から就職後のアフターフォローまでを産官学連携で一貫して行うことで、留学生等が安定して就業ができているというものです。
そして、就業後は、神戸国際高度人材サポートセンターにて、5年間の特定技能期間中に日本語教育や介護福祉士試験対策、日本文化や習慣、日本人気質を知る教育もプログラムに組み込まれ、メンタルサポートも行われております。
兵庫県においては、県社会福祉協議会が運営する「ひょうご外国人介護実習支援センター」が2018年4月に設置されましたが、約8年間の実績の中で、受入れ外国人人材は多いとはいえず、介護福祉士取得にもつながりにくい現状があり、今後、喫緊の課題である介護人材の確保に向けては、センターの取組を大きく改善する必要があると考えます。
神戸市などの先行事例を踏まえ、外国人介護人材の受入れや定着促進、ひょうご外国人介護実習支援センターの今後の運営について、当局のご所見を伺います。[岡田福祉部長]少子高齢化の進行に伴い、介護需要の増加と介護人材の不足が見込まれる中、外国人介護人材の受入れと定着促進の重要性が高まっております。
県では外国人介護人材の受入れに関しましては、平成30年度に「ひょうご外国人介護実習支援センター」を開設し、技能実習生や特定技能制度に基づく外国人介護人材の受入れを進めてまいりました。同センターでは、仕事や日常生活に関する相談窓口の設置のほか、日本語研修や介護技術研修、介護福祉士資格取得に向けた支援など、定着促進に向けた総合的な支援を行っております。
また、昨年度からは、一定の専門性や技能を有する特定技能外国人の受け入れに先駆的に取り組む社会福祉法人等と連携協定を締結し、県内介護施設等へ外国人介護人材を提供する体制を構築いたしました。
現在、100名を超える受入れ実績を上げているところでございます。来年度からは、即戦力となる外国人介護人材の確保に向け、海外現地で介護職員初任者研修を実施する事業者に対し、開講経費の支援なども行ってまいります。
お問い合わせの、ひょうご外国人介護実習支援センターにつきましては、令和8年度で技能実習制度が廃止され、令和9年度から育成就労制度が導入されることを踏まえ、今後、これまで受け入れてきた技能実習生を含む外国人介護人材への支援を継続しつつ、新たな制度に対応した効果的なセンター運営について検討をしてまいります。
[菅県議]外国人介護人材の受入れ、定着促進についてですが、先程、部長が答弁の中で、来年度行う海外現地の初任者研修開講支援事業のご説明がありました。現地に行って優秀な人材をしっかり確保しながら進めることは本当に大事な取り組みであると思います。
ただ、この事業で県のお金が入りますので、サポートした外国人人材がしっかり兵庫県に定着していくところまでもってこないと、何のためにやっているんだと。
例えば現地まで行って育ててきた方が、最後に大阪圏とかに取られるような形にならないようにフォローしていただきたいと思います。本当に大事な取り組みだと思います。
あと、先程、質問の中にも入れたのですが、最終的には長期で定着していただくというポイントが介護福祉士試験で、それを受けていただくことが大事だと思いますが、そういう面で学習支援が非常に大事だと思います。
先程ひょうご外国人介護実習支援センターのあり方を今後検討していくという事だったのですが、しっかり民間もですね、先駆的にやっている3法人と今連携してやっていると思いますが、そういうところに例えば、学習支援を委託するとか、民間の力も借りながら兵庫県内に、特に中山間地域に人材供給できるように、そういうスキームを、神戸モデルではないですが、兵庫県モデルのようなかたちで進めていただきたいと思いますので、しっかり今後も応援してまいりますのでよろしくお願いいたします。 -
3. 高齢者の社会参加を支える老人クラブ活動への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]これまで見えにくかった孤独・孤立の問題に対し、「社会参加」と「参加支援」がこれまで以上に注目されており、令和6年4月に施行された「孤独・孤立対策推進法」では、国、自治体、企業、NPOとの連携強化を通じて、社会参加を促す取組が推進されております。
そして地域共生社会の実現に向けては、住民一人ひとりが地域の中で役割を持ち、支えあいながら生活していくことが重要であり、特に、高齢者が、地域活動への参画を通じて、生きがいづくりや居場所づくりの場として高齢者自身が主体となり地域と関わる重要な役割を担っているのが「老人クラブ活動」であります。
老人クラブが行う活動は、「老人福祉法」において、「老人福祉の増進のための事業」として位置づけられ、地方公共団体は、老人クラブその他当該事業を行う者に対して、適当な援助をするように努めなければならないと法的にも規定されております。
高齢化が進む一方で、全国の老人クラブ数は減少傾向にあり、厚生労働省の発表では、令和6年度末の全国の老人クラブ数・会員数は73,881クラブ、350万4,816人で、5年前の令和元年度末〔92,836クラブ、4,988,999人〕に比べ、約1万9千クラブ減少し、会員数は約148万人減少しています。また、県の調査によると、兵庫県の令和6年度のクラブ数、会員数は、3,494クラブ、190,362人と前年から229クラブ、16,278人減少しております。
実際に、老人クラブの会長や役員の方々から現状の課題や取組方針について話を伺うと、会員数については、新規入会は増加しているものの、会員が高齢の為に施設入居となり行事に参加できなくなるなど自然減少する状況が続いているとのお話でした。
そして組織運営では、役員になることを避けたいと感じる方が多く、会長や役員、事務局担当の方々が代替わりの時期を迎えているが後継者がおらずクラブを存続することが難しい状況にあることなどをお聞きしました。その要因として行政への補助金申請など複雑な事務の負担、また「単位クラブ」では「自主性」を求められることから、会員の声、ニーズに合わせた満足度の高い活動の実施に苦労しているとのお声を伺っております。
今後、我が県においても超高齢化社会を迎える中で、高齢者の孤立を防ぎ、地域での、生きがいづくりや居場所づくりに不可欠な、老人クラブ活動への支援の拡大が必要であると考えます。
現在の県内の老人クラブの会員減少の状況など現状の認識と、今後どのように支援をしていくのか当局のご所見を伺います。
[岡田福祉部長]老人クラブ活動は、高齢者の生きがいや張り合いにつながり、社会参加を促進するなど、高齢者の介護予防や地域づくりに重要な役割を果たしております。
しかしながら、近年、高齢者人口の増加に反し、県内のクラブ数や会員数は年々減少をしております。全国老人クラブ連合会の調査におきましても、会員数の減少や会員の高齢化、役員の担い手不足などが指摘されており、地域の支え合い活動や、居場所づくりの縮小が課題となっております。
県では、これまでから老人クラブ活動を支援する国の補助事業に加えまして、県独自に子育て支援活動や高齢者の見守り活動、更には新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた地域の助け合い活動、会員の加入促進、地域活動再開につながる取組への支援を行ってまいりました。
現在は買い物やゴミ出し等の生活支援、また、オンラインによる会議や研修の実施など新たな取組も進めておりまして、新規加入者数の増加も認められるところでございます。
今後とも、担い手不足解消に向けた人材育成研修や、オンライン活動に必要なICT講習会、熱中症対策に関する備品購入支援など、支援対象を拡充しますとともに、会員数の増加に成果をあげております事例の横展開を図るなど、老人クラブ活動の更なる活性化に向けて取り組んでまいります。
[菅県議]老人クラブ活動助成ですが、地域で老人会の会長さんと話をしていますと、私の地元の老人会のある会が、去年、隣の町の老人会と合併したという話をありました。
メンバーは30人、40人おられるので「なんで合併されたんですか」と伺いますと、要するに長く会長をされた方が降りるとなった時に、次の会長がいないので、吸収合併されたというお話を聞いています。いろんな負担が会長さんや事務局の担当の方にかかっていますので、今の助成のあり方を再度検討していただきたいなと思います。
あと、いろいろな所で私は言っていますが、特に老人クラブの助成が本当に物価高に合っているものなのかどうなのか、方向的には下がっていると思っていますが、そうではなくて上げていただかないと。例えば私がよく行くふれあい喫茶がありまして、神戸市が絡んでいますが、高齢の孤食の方に、皆さんで一緒に食べましょうという、ふれあい給食ですけれども、それもすごい値段が上がってきていまして。本当に今の助成金が合っているのかどうかを再度検討していただきたいと。
いろんな財政状況あると思うんですけど、やはり必要なところにはしっかりと、特に地域コミュニティに対しての補助は本当に大事であると思いますので、引き続きどうかよろしくお願いいたします。 -
4. 「はばタンPay+」第5弾の利用率向上と取扱い店舗の拡大について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]12月に発表された緊急経済対策として国の重点支援交付金を活用し、全県民を対象に、プレミアム率を50%に引き上げたデジタル商品券「はばタンPay+」第5弾(約102.9億円)の実施が決定しています。物価高騰対策として大変期待するものであります。
一方で、12月に報道にもありましたように、物価高騰の経済対策にも関わらず、これまでの「はばタンPay+」利用者の年代や地域に大きな偏りが見られます。
昨年実施した「第4弾一般枠追加販売」では約83.9万人が申請され、2020年国勢調査の県内人口から算出した利用率は15.4%、これは県民の6人に1人しか使っていない計算となります。
そして年代別では70歳代は11%台、20歳代は10%に満たないなど他の年代層より低く、また、第1弾からの申込実績では、利用者、利用年代の固定化もみられます。
また、地域別の申込実績において高い傾向にあったのは神戸地域18%、東播磨地域は18.1%、阪神北地域15.1%であり、但馬、丹波地域では10%にも満たない結果となっており、この利用者の地域偏在には、利用可能な店舗数も影響していると思われます。
地元の商店街で伺いますと、「はばタンPay+」を『通常のキャッシュレス決済と同じであると思っていた。』『店舗側に手数料がかかるのではないか。』という声もあり、まだまだ周知の必要性を感じました。
利用者側においては、例えば中山間地域など、小売り店舗数が少なく、利用可能な店舗が少ないエリアでは、日常利用するタクシー会社への登録を促すなど地域に応じた取組も必要かと思います。高齢者にとってはいまだ利用にはハードルが高く、さらなるサポート体制の構築に向けた取組が必要であります。
プレミアム付デジタル券「はばタンPay+」は、国の重点支援地方創生臨時交付金において、「消費下支え等を通じた生活者支援」に分類される、全県民への物価高対策、経済対策であり、利用率の向上や地域偏在の解消に向けた取扱店舗の拡充など、県はこれまで以上に各市町や商店街連合会、商工会、県内の各種団体と連携した取組を行う必要があると考えますが当局の所見を伺います。
[齋藤知事]「はばタンPay+」は、第1弾・第2弾の約53万人から第4弾では約84万人と着実に利用者は拡大している。これまでに延べ約350万人もの県民の皆様にご利用いただいている。
アンケートでも「次回もデジタル券を買いたい」との回答が95%と満足度は高く、高いリピート率を維持している。
一方、議員ご指摘のとおり、更なる利用者の拡大が課題と考えている。これまで利用が低調だった年代や地域への働きかけ、更には参加店舗の拡大による利便性向上の両面での取組が重要と認識している。
利用者への働きかけとして、第4弾では、市町や商工会・商工会議所、商店街などとも連携し、高齢者や若者、郡部への広報を重点的に実施してきた。
第5弾では、老人クラブを通じた高齢者への広報、SNSを活用した若者へのショート動画配信、郵便局と連携した地方部への周知など、幅広い層の利用を促していく。
事業者には、ご指摘の県タクシー協会を含めた業界団体を通じて、参加店舗には費用負担が生じないこと、そして店頭にQRコードを置くだけで開始できるという簡易性を改めて周知する。
また、参加店舗が少ない地域には、個店訪問など、きめ細かく働きかけを行うことで、参加店舗の拡大を図る。
本事業は、物価高騰対策として大変有効な事業であるため、できるだけ多くの県民の皆様、そして事業者の皆様に参加いただけるよう、利用拡大に努めていく。
[菅県議]「はばタンPay+」は、すべての県民が対象なので、ひとりでも多くの県民に利用いただきたいと思う。また、デジタルデバイドについては使う側だけでなく、店舗においてもその側面がある。店舗側が制度内容を正確に理解されていないことに起因しているところもあるので、店舗側への広報・啓発もしっかり実施していただきたい。 -
5. 就職氷河期世代への就労支援について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]バブル景気の崩壊以降、平成5年(1993年)から平成16年(2004年)までに就職活動を行った世代は「就職氷河期世代」と呼ばれ、全国に約1,700万人いると言われており、別名「ロストジェネレーション世代」とも呼ばれます。バブル崩壊に伴った人件費削減の影響を受けて、正社員での就職ができず、不本意ながら無業の状態にあったり、あるいは派遣社員やフリーターといった非正規社員で社会に出るようになった人も少なくありません。現在においても就労やこれから迎える定年後の生活などの悩みなど、様々な課題に直面している方が多く含まれており、これは個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべき我が国の将来に係る重要な課題であります。
国では「骨太の方針」において令和2年度からの3年間を集中取組期間に、令和5年度からの2年間を「第2ステージ」と位置づけ、就職氷河期世代の就労や社会参加の支援施策を集中的に取り組んできました。県でもこの間、氷河期世代への就労支援として、県内企業への安定就労を目指す就職氷河期世代就労支援プログラム事業やこの世代向けの合同企業説明会など、就労支援に取り組まれ、国や県・市町を挙げて取り組まれた結果、正規雇用率は他の世代並みに回復してきたといわれています。
一方、第1,第2ステージの集中取組期間において、就職氷河期世代の不本意非正規雇用は日本全体で11 万人減少したものの、令和6年時点で 35 万人が存在するほか、この世代の無業者は3万人増加し44万人となっています。就職氷河期世代及びその親の加齢に伴い、働きながら家族の介護を行う者も増加しており、この世代への支援については我が県においても引き続き取り組んでいく必要があります。
こうした実態を踏まえ、国では昨年6月「就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議」において、就職氷河期世代に対して、その周辺の世代と合わせて引き続き、正規雇用化や継続就労、社会参加など、個々人のニーズに応じたきめ細かい支援を効果的に実施していく方針が示されました。地方自治体向けに「地域就職氷河期世代等支援推進交付金」を活用し、就職氷河期世代への支援に取り組むことも決定されています。県では国の動きに呼応して、来年度予算案で、就職氷河期世代への支援として、SNSアプリを活用した就業支援に取り組むとされていますが、これは現在、県内でも深刻化している人手不足問題にも寄与するものと思います。
そこで、これまでの集中取組期間の成果と課題をどのように捉え、今後の事業展開に結びつけ、取り組んでいこうと考えているのか当局のご所見を伺います。
[齋藤知事]就職氷河期世代への就労支援でございます。現在は人手不足となっておりますけれども、私も就職したのは平成14年でございますが、あの頃は大変就職状況は厳しい状況ではございました。
いわゆる就職氷河期世代への就労支援については、社会全体での対応が必要という認識のもと、令和2年度から5年間、国や県・市町、経済・労働団体、NPOが連携し、集中的に取り組んでまいりました。
県ではこの間、ひょうご・しごと情報広場における相談支援や、県内企業での就業体験、スキルアップ研修と就職サポートを連続して行うプログラム、合同企業説明会などを実施してまいりました。その結果、国・市町を合わせまして、延べ約4万人の正規雇用につながりました。
一方、県内には依然として、約2.1万人の不本意非正規雇用、約2.7万人の無業者の方がおられ、氷河期世代を取り巻く環境は厳しいという状況ではあります。他世代に比べ生涯賃金や貯蓄が少なく、低年金も懸念される等、正社員化に向けた就労支援は、重要な課題と認識しております。
これらの方の傾向として、国の機関の調べでは、目の前の生活で手一杯、対人関係が苦手などが挙げられることから、来年度、簡易に始められ、時間・場所に捉われず利用できるSNSアプリを活用した支援を実施してまいります。求人情報や職場体験情報などをプッシュ型で提供し、チャット等を通じた相談マッチングを行うほか、個々の事情に応じて職業訓練機関などを紹介いたします。対面での就労相談やレベルアップ研修などとも連携することで、人手不足に悩む県内企業に就職できるよう、努めてまいります。
[菅県議]就職氷河期世代への就労支援なんですけど、これも逆側で企業側何かは地元の中小企業なんか本当に言ってましたけども、従来の求人媒体では全く人が来ない、求人サイト何かもお金を取られるだけで、採用出来ても出来なくてもお金を取られますんで本当に50万、100万、200万てお金かけても全く来ない、やっと来たと思ったら70代の方が来るみたいな話なので、そこのミスマッチをどう解消していくかという意味では今回のSNS活用した産業労働部の取り組むというのは非常に大事な取り組みであると思います。
就職氷河期世代、先ほど知事もご自分も私もそうなんですけど、例えば45歳の方がおられて今何とかギリギリ例えば就職できましたら、中小企業の社長が言ってましたけども60歳まで来てもらって、65歳まで再雇用であと20年ぐらい働けるから充分戦力になるんやと、そっから70ぐらいまでみんな最近働いているからあと25年ぐらい働けるんだろうということで、もう就職氷河期世代の方は本当に中小企業からすると良い人材の方がおられて本当にたまたま色んな人生の不遇の中でそういう状況にあったというだけでありますんで、引き続き、国としても大きな課題として取り組んでいる中での、県の取り組みでございますんで具体的な就業に繋がるように、ぜひお願い申し上げます。
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6. 視認性を含めた道路案内標識の維持管理について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]「道路標示・区画線」は、「自動運転」や「特定自動運行」の普及において重要な役割を果たすことは周知のところですが、県では、道路上の消えたり薄れたりしている道路区画線を令和4年度より、5年で3,000㎞を引き直す事業に取り組んでおり、安全・安心な県民生活を支える社会基盤の充実において大変重要な取組であると評価できます。今年度からは、効率的な区画線引き直しに向けAI判定を活用した現状把握も試行されていると承知しております。
「道路標示・区画線」とともに道路交通の安全と円滑な流れを確保するために重要なのが「道路案内標識」であり、目的地の方向や交通ルール等を運転者や歩行者に伝える大切な役割を果たしております。令和6年2月の県議会定例会で我が会派の松尾議員が「交差点名標識の点検と更新」について質問し、法令で義務付けられていない交差点名標識の安全点検を行い、また、点検に併せ、文字が見えにくくなっているといった状況の点検も行っていくという方針を示して頂きました。
一方、国土交通省では、昨年6月、道路利用者の安全・安心と目的地までの円滑な移動に向けた取り組みとして、全国の地方整備局等の直轄国道において、道路標識の視認性点検の試行を開始すると発表しました。
今回の試行においては、視認性の判定を行う際に、目視点検で問題となる点検者の主観的な判断に依存せず、点検結果のバラツキが生じないような工夫が必要ですが、その判断基準が初めて示されています。
具体的には、標識の文字やマークの視認性不良の原因を、①汚損により判別困難な標識、②劣化等により文字が読み取りにくくなった標識、③植生により部分的に隠れた標識、の3つの分類に分け、その分類毎に実際の見え方を4段階で判定、対策の必要性の目安となる健全性を評価することが定められており、今年度の試行結果を踏まえ、点検要領案の見直しを行うとされています。
さらには、標識板反射シートの反射性能を測定し、劣化を数値で定量的に把握する手法など、新技術の導入可能性を含め、効率的で効果的な点検の実施に向けて、検討を進めていくとも聞いております。
そこで、このような、国による、道路案内標識の視認性点検の様々な動きを踏まえ、県においても、視認性を含めた、より効率的・効果的な道路案内標識の維持管理を行う必要があると考えますが、現行の対応状況とあわせ、当局の所見を伺います。
[宇野土木部長]道路案内標識は、道路利用者が現在地や目的地を把握し、円滑に移動するために必要な施設で、適切な維持管理が重要でございます。
道路案内標識のうち、大型の案内標識は固定ボルトの緩み等の安全点検と必要な修繕を概ね5年毎に行っており、交差点名標識は昨年度から観光客の多い地区で安全点検を進めております。なお、視認性に関しましては、文字等が読めなくなった標識を道路巡視等で把握し、限られた予算の中で順次修繕をしております。
今年度からは国が取り組んでいる視認性点検の試行を踏まえ、視認性の判定区分を盛り込んだ点検要領が示される予定であり、今後、県でも国の要領に従い点検を行っていく予定でございます。
県では、視認性確保を含めた効率的・効果的な標識の維持管理に向けて、標識配置の適正化と、点検・修繕予算の確保が必要と考えてございます。現在、配置の適正化に向けた取組を試行しておりまして、明石市内の県管理道路において交差点名標識の約3割が削減可能と判断いたしまして、既に34枚を撤去したところでございます。この結果を踏まえ、県下全域で適正な配置に努めてまいります。また、予算確保では、視認性点検及び修繕・更新の補助対象化を今年度から国に要望しており、引き続き強く働きかけてまいります。
今後も、国の取組や民間の技術開発の動向を注視しつつ、様々な工夫を重ねながら、適切な維持管理に取り組んでまいります。

天野文夫県議
[質問項目]
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1. 高次脳機能障害の支援体制の強化について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]交通事故や脳梗塞等で脳の一部を損傷したことにより、脳がダメージを受けることで生じる後遺症です。言葉の処理がうまくいかなくなる失語症、物事の計画が立てられない遂行機能障害、集中力が続かない注意障害、感情の抑制が効かなくなる社会的行動障害、新しいことを覚えられない記憶障害等の症状が現れる障害です。障害がわかりにくいため「隠れた障害」と言われ、周囲の理解が得られず誤解されてしまうこともあります。患者数は全国で約23万人、県内では1万人弱と推計されています。
先日、「宝塚高次脳機能障害者共生の会 地域活動支援センターWakaba」を訪問し、当事者の方からの困りごとをお聞きしました。日常生活では①失語症によりデジタル時計が読めない、②住所や名前をスムーズに書けない、③注意機能が低下し落とし物や忘れ物が増えた、④空間認知機能が低下し、人や街路樹とぶつかりトラブルになることがあるなどの声がありました。さらには、「行政窓口でも高次脳機能障害を知らない方が多く、相談に行くのも負担に感じている」とのご意見もありました。また、就労場面ではより多くの課題があります。例えば、①注意機能が低下し、聞いたはずのことを忘れてしまう、②遂行機能の低下では、自分のルーティーン以外の予定が入ると対処できないなど復職や就職などの社会生活を開始後に症状が顕著になることが多くあるとのことでした。
兵庫県では平成21 年8 月に総合リハビリテーションセンター内に高次脳機能障害相談支援窓口を開設以降、年間3,000 件を超える相談が寄せられています。近年は相談内容も複雑化する傾向にあります。総合リハビリテーションセンターでは、診断及び生活・就労訓練等を行っていますが、県内に診断医療機関・受入可能な福祉施設が十分でないのが現状です。
令和7年12月16日には、議員立法により「高次脳機能障害者支援法」が成立し、令和8年4月1日に施行予定です。この法律により、高次脳機能障害への理解を促進するとともに、どの地域でも、高次脳機能障害者の自立及び社会参加のため、あらゆる段階で医療・リハビリから生活支援そして社会参加支援まで、切れ目なく支援を受けられる体制づくりが進むことが期待されます。
兵庫県においても、地域による支援格差の解消、医療・福祉の基盤整備、地域における専門人材の育成、当事者・家族への継続的な支援、就労支援と社会参加の推進などを着実に推進する必要があると考えます。これらの取組について当局のお考えをお伺います。
[齋藤知事]高次脳機能障害についてお答えいたします。
当障害は、外見から見えにくく、周囲の理解が得られにくいことから、当事者一人ひとりの生活段階に応じた適切な支援体制を整備することが重要であります。
このため県では、平成21年に県立総合リハビリテーションセンター内に高次脳機能障害の全県支援拠点としての相談窓口を設置し、①当事者などへの相談支援、②福祉施設等へのコーディネーター派遣、③事業所・自治体職員向けの研修、④支援者の養成研修、⑤家族などの交流会の開催など支援体制の充実に取り組んでおります。
今後は、来年度施行される支援法を踏まえまして、支援センターの指定に向けた準備を進めるとともに、今年度開始開設した支援者養成研修の定員の拡大、60名だったのを120名に増やすことなど、福祉・医療分野の支援人材の育成を進めまして、障害特性に応じた支援や就労、社会参加につながる取組を推進してまいります。
また、支援に関する課題の共有や体制の強化に向けて当事者、家族、学識経験者、関係機関や支援団体など多様な主体で構成する協議会の設置に向けて検討を進めてまいります。
今後とも、高次脳機能障害のある方々が住み慣れた地域で安心して生活し、自分らしく社会参加できるよう関係機関と連携しながら、支援を充実していきます。[天野県議]誰もがこの障害になる可能性があります。健康でも、入院し、手術をして、そのあと日頃の生活ができなくなってしまうという障害です。それに対応できるような体制を作っていくことが大切だと思っております。
そして、こういう障害があるということがまだまだ知られていませんので、世間での認知度を高めていくということ、そのために広報をしっかりすることが大切だと考えます。
この間訪問させていただいたところで、高次脳機能障害者の方と話をしましが、外から見ても分かににくい障害なので、障害を認知してもらうためにヘルプマークを活用している事例もありました。
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2. 配偶者等から暴力のない社会と被害者の立場に立った支援について
質問と答弁のダイジェスト
(1)兵庫県DV防止・被害者保護計画の推進について
[天野県議]配偶者からの暴力のない社会と被害者の立場に立った支援の実現に向けては、配偶者等からの暴力は、DV被害者の生命や身体ばかりかその精神に重大な危害を与える犯罪行為で重大な人権侵害であります。同時に、DVの目撃は子どもの心身の成長と人格の形成に重大な影響を与える児童虐待となる行為であります。
また、被害者は多くの場合女性であります。その背景には性別による固定的な役割分担意識や経済力の格差等があるといわれており、女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっています。
DV防止法の改正法が令和6年4月1日に施行され、重篤な精神的被害の場合も保護命令の対象となるとともに、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する協議会」が法定化されました。
これらを踏まえ、県は兵庫県DV防止・被害者保護計画第5期計画へ改定するとともに、各分野の専門機関、民間団体等との広域的な連携の強化を図り、市町の取組に対する支援を行うことにしました。また、被害者の安全確保対策や人材育成など、県全体のDV対策の推進体制の強化を図り、県女性家庭センターは、配偶者暴力相談支援センターとしての機能も果たしています。
市町は被害者にとって身近な行政機関としての役割を担い、被害者の状況、緊急度などを的確に把握し、助言やサービスの提供を行い、県をはじめとする関係機関の支援が必要な被害者については、速やかに連携を図り、被害者の個々の事情に応じた適切な支援を行っていく必要があります。
令和7年12月12日現在、配偶者暴力相談支援センターは全国47都道府県及び150市において、325か所設置されており、本県では19か所設置されています。相談件数はDV防止法が施行された平成14年度当初と比べ全国的にも増加傾向にあります。本県においても、平成14年度は850件でありましたが、令和6年度には9,200件と20年余りで10倍以上に増えています。また、本県で警察が対応した配偶者からの暴力相談等の件数も、平成14年の624件から、令和6年には3,904件と約6倍に増加しています。本県では、このほか県立男女共同参画センター、県健康福祉事務所、県こども家庭センターでも相談を実施しています。
そこで、兵庫県DV防止・被害者保護計画に定められた取組の推進状況や、DV被害者へのきめ細やかな支援を行うための取組について伺います。
[齋藤知事]令和6年4月施行の改正DV防止法では、重篤な精神的被害が保護命令の対象に追加されるとともに、関係機関が連携して支援を協議する場の設置が法定化されました。これを踏まえ、県では「兵庫県DV防止・被害者保護計画」(第5期)を改定しまして、「ひょうごDV防止ネットワーク協議会」を法定協議会として位置づけ、医療、司法、福祉、民間団体等と連携を強化しながら、被害の防止、早期発見、相談、保護、自立支援に総合的に取り組んでおります。
具体的には県女性家庭センターを中心に、電話相談や緊急時の一時保護及び退所支援を実施するとともに、市町の女性相談支援員に対する研修も行っております。また、一時保護所の環境改善や、スマホ・ネット利用に関する安全研修、事例検討会の新設など、きめ細やかな支援の充実を図っております。民間団体との連携により、デートDV防止講座やSNS相談を実施し、若い世代への啓発や相談体制の強化を進め、支援基盤の一層の充実に努めている。
市町においても状況把握や初期支援を行い、県、警察、民間団体等との連携のもと、必要な支援につなげておりまして、議員ご指摘のとおり、相談件数は高い水準で推移しているなか、県全体としても切れ目ない支援の提供に努めております。
今後とも、計画に基づく取組を着実に進めるとともに、被害者からの相談に的確に対応できる体制整備を進め、DV被害者一人ひとりの安全確保と自立支援に取り組んでまいります。
(2)配偶者暴力加害者プログラムの普及について
[天野県議]DV被害者からの相談件数は年々増加しており、被害者への対策だけでは十分ではなく、暴力を未然に防ぐための働きかけが不可欠であります。
また、男女の人権を尊重し、個人の尊厳を傷つける暴力は許さないという意識を県民一人ひとりが共有し、配偶者等からの暴力を容認しない社会の実現を目指していくことと、配偶者暴力加害者プログラムの実施の推進等が必要であると考えます。
昨年、県民相談を受ける中で、相談者の男性は「夫婦間で意見が合わず手をあげてしまった。はじめは抑えて我慢していたが、スイッチが入ってしまったように止められなかった。」「そばにいた幼児も怯えてしまって泣いて数日間近寄ってこなかった。」などと状況を明かしてくれました。
DVには、身体的暴行に加え人格を否定する暴言や精神的嫌がらせ、脅迫など、心と体を傷つける様々な行為が含まれ、犯罪であることを相談者に指摘しました。二度と再発しないように相談する機関を探しましたが、被害者に対する相談機関はさまざまありますが、加害者が更生するための相談機関がなかなか見つかりませんでした。
そのような中、令和6年6月に内閣府男女共同参画局から報告された『「配偶者暴力加害者プログラムの普及に係る調査研究事業」報告書』が目にとまりました。加害者プログラムは、被害者支援の一環として、被害者の安全を確実なものにし、加害者に自身の加害の責任を自覚させ、加害者の認知・行動変容を起こすことを目的として行われるもので、加害者プログラムの実施の推進は、DV防止法に基づく基本方針に定められています。国は、内閣府において、令和2年度から令和4年度の調査研究事業において加害者プログラムを試行的に実施し、令和5年5月、地方公共団体が実施する際の留意事項について「配偶者暴力加害者プログラム実施のための留意事項」として整理し、地方公共団体に周知したとあります。
そこで我が兵庫県でも被害者支援の観点から、当該「実施のための留意事項」も活用し、民間団体等と連携するなどして、加害者プログラム実施の推進が必要だと考えますが、現状とこれからの取組について伺います。
[岡田福祉部長]配偶者暴力の根絶に向けましては、被害者の安全確保と支援体制の充実に加え、加害者自身の行動や思考の変容を促す取組が重要でございます。暴力に至る事案の中には、一時的な感情の高ぶりが原因となるものも多く、再発防止の観点からも加害者プログラムは意義のある取組でございます。
本県ではこれまで、配偶者暴力相談支援センターを中心に被害者の安全確保に取り組んでまいりましたが、全国的にみても加害者支援を担う相談機関やプログラム実施団体は限られておりまして、相談対応やプログラム提供が十分とは言えない状況にあります。一方で、国が令和5年に取りまとめました「配偶者暴力加害者プログラム実施のための留意事項」につきましては、地方自治体が加害者支援を進める上での具体的な手引きでございまして、本県としましても、その内容を踏まえた検討が必要であると考えております。
今後、先行的に取り組んでおります民間団体との連携の可能性を検討するなど、県内におけるプログラム実施につきまして、調査・研究を進めていきたいと考えております。あわせまして、引き続き、若年層へのデートDV防止講座の開催などの予防教育、相談支援員や市町担当者への研修の充実など、DVの未然防止にも取り組んでまいります。
今後とも、警察、児童相談所、医療機関等の関係機関と連携・情報共有しながら、被害者に寄り添った支援を行ってまいります。[天野県議]加害者プログラムの普及の難しさというのをどのように考えられているのかというのをお聞かせください。[岡田福祉部長]加害者プログラムについて、加害者に対する支援というのは非常に難しいものがございます。このプログラムを受けたことで復縁を迫る、あるいは、このことを受けたことで裁判所への心証を良くするなどがあり、こういったプログラムは非常に難しいことでございます。国でも平成18年頃から議論が行われ、加害者プログラムを作りかけたけれどもなくなりました。それは、やはり、被害者の支援にとって、加害者の行動変容も必要だということで、広島県におきまして試行的に実施しました。
その後、再度広島県、あるいは熊本県、長崎県、最終的には令和4年に一旦プログラムは仮にできあがったのですが、さらに、東京・大阪での試行を踏まえてできあがったものでございます。こういった積み重ねによってできたものでございますので、内容的には非常に充実したものとなっております。そういったことも踏まえて、加害者支援プログラムについて、しっかりと周知・普及に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
[天野県議]加害者プログラムの進め方は大変難しいところがございますが、必ず必要なものだと思いますので、推進をよろしくお願いいたします。 -
3. 引原ダム再生工事と揖保川の河川環境保全について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]引原ダムは、昭和33年に完成した多目的ダムです。引原川や揖保川流域の洪水を防ぎ、水力発電や工業用水、農業用水の確保など地域の暮らしと産業を支えてきました。しかし、近年は異常気象の影響もあり、想像を超える大雨による浸水被害の危険が高まっています。引原ダムでは、令和2年度から揖保川流域における浸水被害を軽減するために「引原ダム再生事業」を行っており、いよいよ本格的な工事に入ります。
この地域においては、記憶に新しいところでは、平成16年9月台風第21号による浸水被害や、平成21年8月9日から10日未明にかけての兵庫県西・北部を襲った集中豪雨により、各所で河川の増水による堤防・護岸が損壊し、流れ出た濁流により多くの家屋が浸水しました。また、平成30年7月豪雨では、宍粟市内の雨量計が累加雨量533ミリを記録し、当時、大雨特別警報が発令され、川の水位がほぼ堤防の高さまで上がるなど幾度となく被害を受けています。
平成30年7月豪雨では、宍粟市内で死者1名、家屋の全半壊4件、床上浸水7件、床下浸水74件の大きな被害がありました。私もこの翌日に公明党の国会議員、県議会・市議会議員、県市担当部局の皆さんと現地調査を行いましたが、土石流に巨大な岩石や流木が混ざり、樹皮がはがされた杉の大木が家屋に突き刺さっていました。橋の欄干に樹木がたまり川の流れを変え、道路や田畑に越水し、さらに人家に被害を広げていた光景が衝撃的で忘れることはできません。しかし、この時にも、引原ダムでは約783万㎥をダムで貯留し、さらに、事前放流を行うことにより異常洪水時防災操作による緊急放流の開始を遅らせ、下流河川の溢水を防いでいます。
近年、大雨が増え、浸水被害の危険性は益々高まっています。揖保川流域では度重なる豪雨災害、浸水被害等により住民の災害に対する関心も高いです。引原ダムの再生工事に合わせ、ダムがもたらす効果について、住民のみなさんにしっかり説明する必要があると考えます。また、引原ダムは自然豊かな多目的ダムであるとともに、下流域においても自然や動物、植物など豊富な地域です。本格的なダム再生工事の実施にあたっては、河川環境に考慮した対策が求められます。
そこで、ダム再生工事の効果と進捗状況を伺うとともに、地域住民への周知や河川環境保全に対する影響を考慮した対策などの取組について伺います。[宇野土木部長]引原ダム再生事業では、平成30年7月豪雨の際、緊急放流を実施せざるを得ない事態となったことを踏まえ、更なる治水安全度の向上を図るため、堤体の2m嵩上げなど、貯留する容量を約190万㎥拡大させるとともに、大雨前の事前放流を確実に実施するため放流設備を増設する。
これにより、ダムの洪水調節機能を一層強化し、平成30年7月豪雨と同等の降雨でも緊急放流を回避することで、下流域の河川水位の低下が図られ、治水安全度が向上する。
進捗状況については、本体工事と放流設備工事を令和7年10月に契約した。現在、ダム下流面の作業ステージとコンクリート製造設備の基盤整備に着手しており、令和9年の本体コンクリート打設開始を目指す。
地域住民に対しては、地元説明会の開催やダム再生事業の概要と効果、工事の進捗状況を「引原ダム通信」としてSNSや広報誌等で定期的に発信し、ダム再生事業への理解と関心を高めていく。
環境保全対策としては、事前の環境影響調査で確認された貴重種の保全やモニタリング調査を継続的に実施いたします。また、工事で発生した濁水等は適切な浄化処理を行い環境への負荷軽減を図るとともに、ダム下流で水質調査も行い生態系への影響把握に努める。
今後とも、地域の安全・安心を確保するため、関係機関と連携しながら、引原ダム再生事業を推進する。 -
4. 学校問題サポートチームの活用について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]本県では、いじめや不登校、教職員のメンタルヘルスなど複雑化、深刻化する学校をとりまく問題に対応するため、県内6つの教育事務所に「学校問題サポートチーム」を設置しています。教育事務所長のリーダーシップのもと、教職員OBと警察OBから成る学校支援専門員とスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーで構成され、事案に応じて弁護士、精神科医、メンタルヘルスアドバイザーが連携し、情報共有や具体的対応による教員への多面的な支援など、学校現場において機動的に対応されています。
学校では、学校や教師への不満、いじめや不登校など生徒指導上の課題や様々な問題に関して多くの意見も寄せられます。こうした意見は、寄せる方にとっては切実な思いから出ているもので、その対応に追われる学校現場では、本来の教育活動に十分取り組めず、悩んでしまう教師も少なくありません。
県内6か所の学校問題サポートチームに寄せられた相談総数は、令和6年度実績で、約1万8,000件にも上りました。その内訳は、暴力行為やいじめ、不登校に関することが26.4%と一番多く、次いで、教員のメンタルヘルス15.7%、授業改善や学級経営など教員の指導力向上10.0%、発達障害など特別支援教育に関する問題9.3%、家庭環境8.1%などでした。校種毎の相談件数割合では、小学校39.5%、中学校38.7%、高等学校2.9%、特別支援学校1.4%、義務教育学校0.7%となっており、小中学校からの相談が多くなっています。
サポートチームでは、各学校での事案の共有や対応策の検討を行い、ケース会議を定期的に開催し、チームでの学校訪問、研修会や連絡会への参画など、多面的な支援につなげており、学校からは教員の指導力向上やメンタルヘルス、生徒指導上の課題などを、一度の相談で様々な助言を得られたと評価されているとお聞きしています。加えて年2回の全県連絡会では職種ごとにグループ協議を行い、対応した事例を共有し様々な事案への対応力を高めていることもお聞きしました。
また、スクールカウンセラー・スーパーバイザーについて、各教育事務所裁量での緊急派遣が可能な体制づくりを行うなど、市町への効果的、機動的な支援を一層進めていただいております。
そこでサポートチームの更なる取組として、これまでも提案してまいりましたが、活動実績や事例記録を教職員の資質向上や学校運営の向上に向けた研修資料として活用することで、学校の対応力の強化にもつながると考えます。サポートチームのこれまでの活動内容や成果とこれからの取組について伺います。
[藤原教育長]学校問題サポートチームは、チームリーダーによる支援内容のコーディネートのもと、ご案内のように、教職員OBや警察OB、福祉、心理の専門家に加え、必要に応じて精神科医や弁護士等を構成員とし、学校からの相談に対応して、横の連携を図り、多角的な支援に繋げている。相談件数は令和6年度約1万8千件、令和7年12月末時点で1万5千件を超えており、ご指摘のように、学校や市町教育委員会の様々な事案に相談対応しており、評価を頂いている。
また、各教育事務所では、事務所通信の発行や定期的な学校訪問、校長会等でサポートチームの取組を紹介するなど、周知を図っているほか、議員ご指摘の全県連絡会や事務所単位での連絡協議会では、専門性等の向上のため、実践発表や分野別の事例研究、専門家を招聘した講義などを実施し、支援の充実に努めている。
サポートチームの更なる活用に向けては、天野議員のご提案を踏まえ、新たに「学校問題サポートチーム対応事例集」の作成に入っている。この事例集では、事案毎に「サポートチームによる支援」、サポートチームと連携した「市町教育委員会による支援」や「学校での取組」など、課題に対してサポートチームの各構成員がどのように関わり、そして、市町や学校とどのように連携したか、また、課題対応への「ポイント」や「成果と課題」、これらを整理したものにしたいと考えている。この事例集の配布により、学校や市町教育委員会での同種の事案への対応や校内研修の資料として活用できるよう、積極的に発信していく。
今後とも、サポートチームの構成員の専門性の向上を図っていくとともに、学校が課題を抱え込むことなく、関係機関と適切に連携して解決を図ることができるよう、市町とも連携して取り組んでいく。[天野県議]あくまで主役は児童生徒であることを中心として、職員、親御さん、地域も一丸となって取り組めるように進んでいく。その中でも、揉めることなんかもある。子どもとやり取りする中で、正直なやりとりがしっかりできて、同じ方向を向いて子どもたちのため、ということがあれば、解決することは多々あると思う。この事例集も含めて、活用していただいてよい教育環境ができるようにお願いしたい。 -
5. 優秀・有用な警察人材の確保について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]優秀・有用な警察人材の確保についてです。警察官という職業のブランド価値を高め、優秀な志望者を増やすためには、単に試験を難しくするのではなく、「なり手不足」の根本的な原因を解消し、魅力的な職場環境をアピールする包括的なアプローチが必要です。阪神・淡路大震災の直後には警察官・消防士・自衛官への人気が高く、多くの就職希望者がありました。近年、警察官の受験者数は10年で半数以下と減少傾向にあり、高い合格辞退率が課題となっています。また2026年に卒業予定の大学生の就職内定率は2025年4月時点で60%を超えるなど、民間企業における採用活動の早期化が鮮明になっています。これらを打開し、質の高い人材を確保するための具体的な方策を考えてみました。
1点目は 職場環境の劇的な改善で「働きたい」と思わせることです。ワーク・ライフ・バランスの推進により、週休2日制、有給休暇、育休の取得を実質化し、警察は激務だというイメージを払拭する。「日本一厳しい警察学校」から転換し、 厳しさは必要だが、それがネガティブな要因にならないよう、精神的・身体的ケア体制を強化する。柔軟な働き方でシフトの予測可能性を高め、夜間対応の効率化や、子育て支援、官舎整備などで若手や女性警察官が働きやすい環境を充実させる。
2点目は 魅力の最大化と広報活動で「かっこいい」と思わせることです。ブランドイメージの刷新で「怖い」「厳しい」から、地域を守る「親しみやすい」「やりがい」を重視した動画やSNS、イラスト主体のパンフレットの活用です。若手職員によるリアルな発信や現場で働く若い世代で特に女性やサイバー専門職などが、社会貢献に寄与し災害救助、サイバー犯罪対策、特殊詐欺防止など、時代のニーズに合った業務内容を具体的にアピールする。
3点目に受験層の拡大と柔軟な採用基準について、サイバー・国際・語学専門枠の拡大で一般職とは異なる特化区分を設け、警察に関心がなかった層を呼び込むことです。また採用試験の前倒しや複数化や 併願者を取りこぼさないよう、試験日程を早期化することです。身体・年齢基準の緩和では身長・体重基準は既に撤廃されているが、適性検査や体力試験の内容を現代の警察業務に合ったものへ最適化する。
4点目は、地域連携と早期育成について、警察官職業体験の強化で学生が現場の仕事や雰囲気、充実した教育制度を体験できる機会を増やすことです。大学との連携で地域包括ケアや治安維持の観点から、大学と連携して警察官という職業を教育課程に取り入れる。
5点目は、合格後のフォローとして辞退率の低下対策です合格してから実際に働くまでの期間、若手職員と懇親会などを通じて繋がりを持ち、不安を解消し「この組織で働きたい」という気持ちを高めることです。
これらの対策により「この魅力的な組織で働きたい」という応募者が増え、応募倍率が上がる仕組みを作ることが重要であると思います。そこで兵庫県警察本部として現役大学生に目を向けた優秀・有用な人材を確保するための採用募集活動についてお考えを伺います。
[警察本部長]議員御指摘のとおり、県警察における警察官採用募集については、近年受験者数の減少傾向及び採用辞退率の高止まりが顕著であり、優秀な人材を確保するための各種取組が必要と認識しています。
このため、県警察では、各種休暇の取得奨励や子育て支援制度の活用などワークライフバランスを推進し、その状況の積極的な情報発信に努めているほか、警察学校での指導方法の見直しや計画的な施設整備を行い、若者にとって魅力ある職場環境作りに努めております。
採用募集活動では、県警察の魅力を発信するため、若者になじみのあるSNS等を活用して多岐にわたる業務を紹介し、個性や能力を活かせる場があること等を伝えているほか、大学生は年3回、それぞれ3日間の職業体験を行っています。
採用試験では、令和8年度から受験者の負担軽減の観点から、全ての受験区分で論文試験を廃止することとしたほか、民間企業等による採用活動の早期化を踏まえ、大学3年生を対象とした試験区分を新たに設け、現役大学生の早期確保を図ることとしております。
また、採用辞退防止策としては、合格者の悩みや疑問等を聞くオンラインや対面での説明会、相互の仲間意識を深めるための懇親会等を実施しています。
今後も厳しい採用情勢が予想されることから、議員のご指摘も踏まえつつ、時代に応じた様々な取組や必要な見直しを継続的に行い、大学生を始めとした優秀な人材の確保に努めてまいる所存です。

岸本かずなお県議
[質問項目]
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1. ワールドマスターズゲームズ2027関西について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]最初の質問は、ワールドマスターズゲームズ2027関西についてであります。
いよいよワールドマスターズゲームズが明年5月14日から始まります。
ワールドマスターズゲームズは、国際マスターズゲームズ協会が4年ごとに主宰する、概ね30歳以上のスポーツ愛好者であれば誰もが参加できる生涯スポーツの国際競技大会です。
ワールドマスターズゲームズ2027関西では、35競技59種目が関西一円で開催されます。
現在、本年1月14日からアーリーエントリーが行われ、来週3月2日から一般エントリーが開始されます。多くの方にエントリーしていただき、スポーツを見るだけでなく、競技として楽しんでいただきたいと思います。
スポーツには人々を勇気づける力があります。2月6日から22日まで行われた「ミラノ・コルティナ冬季オリンピック」でも選手たちの超人的なパフォーマンスに、国内のみならず世界中の人々が魅了されたことでしょう。
また、3月5日から17日に行われるワールドベースボールクラッシック2026でも大谷翔平選手をはじめ、日本人選手の活躍に期待が膨らむばかりです。
このようにスポーツの国際大会が目白押しの中、ワールドマスターズゲームズ2027関西が開催に向けてスタートします。国内のみならず世界中の人々のスポーツ熱が高まっている中での開催であり、多くの国から数多くの参加者が兵庫県にも来ていただけると期待しているところです。
そして、せっかく兵庫に来ていただいた方に、このすばらしい兵庫の魅力を存分に知っていただく
ことが大事であります。そのためには、例えば、競技会場と各地域のフィールドパビリオンを周遊できるような“しかけ”が必要なのではないでしょうか。
令和8年度当初予算関係の資料の中では、ワールドマスターズゲームズ2027関西の開催準備として、地域への波及効果の最大化を推進とありますが、具体的にどのような取り組みをして、波及効果の最大化を推進されようとしているのか、当局のご所見をお伺いします。
是非このビッグチャンスを最大限生かしていただきたいと願います。[齋藤知事]スポーツツーリズムの推進は、ワールドマスターズゲームズの重要な目的の1つであり、特に海外から比較的年収の高いアクティブシニア層が来訪し、家族とともに長期滞在されることから、高い経済効果が見込まれる点が大会の特徴だと考えております。
そのため、大会組織委員会においては参加者への交通パスの発行、関西広域連合においては広域観光モデルルートの作成など、関西広域での周遊を促す取組が検討されております。
県としても、こうした取組とも連携しつつ、参加者に直接情報を届けることが可能な大会エントリーシステムも活用し、ひょうごフィールドパビリオンをはじめとする県内各地の観光情報や周遊プランを発信したいと考えております。
また大会期間中には、競技会場等で地域の魅力発信ブース出展等を企画しております。
会場となる市町においても花火大会やクーポン付周遊マップ等を計画する動きもありますので、県としてもこうした取組と連携し、相乗効果を高めていきたいと考えております。
まもなく開催1年前を迎えまして、週明けにはエントリーが本格的に開始されることになります。大会参加者の県内周遊促進の取組を本格化させ、大会開催により波及効果の最大化を目指して参りたいと考えております。 -
2. 社会情勢の変化に合わせた指定管理者制度の適正な運用について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]次の質問は、社会情勢の変化に合わせた指定管理者制度の適正な運用についてであります。指定管理者制度が2003年に導入されて20年が経過しましたが、本県では、制度導入当初から、施設の特性に合わせ公募・非公募を区分するなど、制度の趣旨を踏まえた適正な運用がされていると評価しています。
一方で、この20年間で社会情勢は大きく変化しており、昨今の社会情勢の変化に合わせた運用について検討する必要があります。
まず、人材の確保・育成面からの視点です。わが国では2008年に人口のピークを迎えて以降、人口減少局面に入っており、特に労働人口の減少傾向は今後も続くとともに、個人のライフプランや価値観の多様化、働き方改革も確実に進んでいます。このため、使用者側では、個々人が職業人生を通じて自律的にキャリアプランを描き、スキル向上に取り組むことで、自己実現の向上につなげていく視点が求められています。
しかしながら、現状では、指定管理施設は3年または5年先の契約が確約されておらず、そこで働く人材は、先行き不透明な中で長期的なキャリアプランが描きづらい事態となっています。
また、使用者側も、計画的な人材確保や育成ができない状況に陥っており、専門的・長期的な視点での運営が困難になっています。そこで、公募・非公募に関わらず、指定管理期間を長期化することにより、安心して働ける職場とすることが必要ではないでしょうか。
次に、物価・人件費の高騰からの視点です。指定管理者制度がスタートした23年前はデフレ経済を前提としていたため、指定管理協定の責任分担のうち、物価・金利変動に伴う経費の増は指定管理者の責任となっています。
もちろん、基本協定の全体に対して甲乙協議事項は含まれていますが、昨今の急激な物価高騰や
人件費増に対応するための充分な措置はされていないのではないでしょうか。
公の施設とは、住民の福祉を増進する目的で設置された施設であり、その管理を適正に行うために導入された制度が指定管理者制度であります。その制度の利点を生かしつつ、社会情勢の変化に合わせた柔軟な運用を図らなければ、そこで働く人は不安定な状況が続きます。
また、財源が適正に措置されなければ指定管理者辞退の影響が生じるなど、公の施設としての設置目的が果たせなくなるのではないかと危惧するところです。
そこで、公の施設の設置者である県と指定管理者がパートナーとして、共通の目的の達成を目指せるよう、持続可能な制度の運用をどのように考えているのか、当局のご所見をお伺いします。[中之薗財務部長]指定管理者制度では、設置目的に沿った安定的な運営を実現するため、社会情勢の変化に適切に対応することが必要と考えております。
まず、県が支出する指定管理料でございますが、物価・人件費の変動は、指定管理者によるリスク分担を基本としておりますけれども、昨今の高騰を踏まえ、まずは、光熱費の上昇影響額の一部を、R4 年度以降、毎年度別途措置をいたしますとともに、指定管理期間中に賃金水準が大幅に変動した場合に、公平性にも配慮しつつ、指定管理料の見直しを行っておるところです。
また、指定管理者が運営費に充てることのできる料金収入の確保策も重要でございます。
物価水準に応じて、R7 年度に施設の使用料を 10%引き上げた他、利用料金を条例基準額の 1.5 倍を上限に設定できる制度がありますが、この利用を促し、利用料金収入の確保を図っております。
指定管理期間についてもご指摘がございましたけれども、県政改革方針に基づき、公募施設は5年、非公募施設は3年を原則としております。これは、競争原理を働かせ、民間ノウハウにより運営の合理化やサービスの向上を推進するためでございますが、安心して働き続けられる労働環境の確保の観点から、指定管理者の変更が生じた場合に備えて、募集要項において希望者の継続雇用に配慮を求め、一定の成果をあげていると認識をしております。
引き続き、社会情勢の変化に応じて、適切に制度の見直しや財源措置を図り、指定管理者が適正な人材・財務基盤のもと、安定して良質なサービスを提供できるよう意を用いてまいります。
[岸本県議]財務部長から、物価高騰に対して、指定管理料の見直しなど、いろんな形で対応されているという風に言われましたけれども、だいたい想定していた答弁でした。
その内容が現実であれば、私は、この質問はしないんです。
私は、実際にいくつかの指定管理者の方から、「なかなか県に聞いていただけない」、「立ち行かなくなっている」など、非常に苦しいお話を聞いているので、この質問をさせていただいた。
県としては出来る限りのことはしているのかもしれないが、そこに、乖離があるんですよ。
この乖離、認識の違いは、どうして生まれているのか。部長どう思われますか。[中之薗財務部長]指定管理施設への賃金や光熱費の高騰対策は、継続してはやっているんですが、光熱費は令和4年から、また人件費は特に最近の伸びが大きいということで、昨年辺りから拡充をかなりしてきております。
そういった意味では、ちょっと後追いぎみになっている可能性はあります
ので、もう少し私どもも各指定管理者のお声を、各部局を通じてお聞きして、もう少し迅速な対応ができないかということも、今後考えていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。[岸本県議]非常に厳しい実態があるので、今おっしゃった通り、きちんと聞いていただきたいなと思います。何年も前から指定管理について申し上げてきたのは、安かったらいい、という発想だけはやめてほしいということです。
公の施設は、地方自治法上で、住民の福祉を増進する目的で作られた施設と定められています。総務省は、指定管理についてこう言われています。「指定管理者制度は、公の施設の管理に、民間事業者の有するノウハウを活用することにより、多様化する住民ニーズに効果的・効率的に対応していくことを目的としている」と。効率的だけじゃないんですよ。このニーズに的確に応えていくために、民間のノウハウを活用しようじゃないか。目的を達成するためにやっているんだ、ということです。
目的感が、経費削減の方にいっているのではないかという風に私はみています。
県の財政状況が大変であることは分かっていますが、改めて、県と指定管理者がパートナーとして力を合わせて設置目的を果たせるように、努力いただきたいと思います。
そのためには、しっかりと聞いてあげてください。よろしくお願いします。
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3. 高齢者にも優しい兵庫について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]次の質問は、高齢者にも優しい兵庫についてであります。県のホームページで若者支援を検索すると、For the Next Generation To JUMP ~若者・Z 世代応援パッケージ~という大変華やかな画面に到達します。その中身は、「学びやすい兵庫」「子どもを産み育てやすい兵庫」「住みやすい兵庫」「働きやすい兵庫」の4つの柱からなっており、その柱ごとに展開される具体的な事業が紹介されています。
県として兵庫の未来を担う若者を最大限に応援し支援していく姿勢を示した内容であり、私も賛同するものであります。
ただかたや、同じ検索画面で高齢者支援を検索すると旧来の施策の羅列で、高齢者の生活を守ろうという姿勢があまり見受けられないのが残念です。戦後日本では、1955年頃から1973年頃まで、実質経済成長率が年平均で10%前後を記録するなどの高度経済成長期をむかえました。
この間、「神武景気」や「岩戸景気」「オリンピック景気」「いざなぎ景気」「列島改造」などの好景気要因があったことはいうまでもありませんが、何よりも現在の高齢者の皆様が必死になって働き、日本を世界に冠たる経済大国へと押し上げていただいたことを忘れてはいけません。
いわば、現在の豊かな日本をつくってくれた恩人であります。
ところが、現在の物価高騰の中で、大変苦しい生活を強いられている方が数多くおられます。
例えば、「大人用のおむつが高くて買えない。節約のため、同じものを数日間履いている」といったこともお聞きしました。とても辛い思いがしました。
介護保険事業であれば介護用品支給事業などのように物品の支給がありますが、要介護認定者に該当せず、限られた年金の中で、切り詰めた生活を送られている高齢者の皆様にとって、急激な物価高騰は死活問題であります。
本来は国全体で考えていかなければならない問題であることは、重々承知していますが、機動的に動けるのは各自治体であります。
そこで、若者だけでなく、高齢者にも優しい兵庫であっていただきたいと思いますが、当局のご所見をお伺いします[岡田福祉部長]急激な物価高騰は、限られた年金で生活をされている高齢者の皆様にとりまして大きな負担となっております。また介護が必要な方に対しては、介護サービスや介護用品の支給などが行われる一方で、要介護認定には至らない中で、生活に不安を抱える高齢者の方も県内には大勢おられるところでございます。
このため、県内に約300か所設置をされております地域包括支援センターにおきまして、介護や生活支援等の様々な相談に対応し、必要な支援につなげているところでございます。
併せて地域で支え合う仕組みづくりのため民生委員・児童委員や地域団体との連携を深めますとともに、企業・団体との間で「地域見守りネットワーク応援協定」を締結をし、高齢者の孤立防止や緊急時に対応できる体制の整備を進めております。
また、実際に生活に困窮された場合には、市や県が家計の改善支援や一時的な衣食の提供など、自立に向けた支援を行っておりますほか、県社会福祉協議会におきまして、生活福祉資金の貸付を実施しているなど、高齢者を含む低所得の方々が安定した生活を送ることができるよう支援をしております。
今後とも市町や関係団体と連携をしながら、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる地域づくりを推進してまいります。 -
4. 東播磨道の4車線化の見通しについて
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]次の質問は、東播磨道の4車線化の見通しについてであります。昨年 11 月、東播磨道が全線開通しました。
八幡稲美ランプ以北の北工区については事業着手から驚異的なスピードで整備が進んだとのことです。県当局の皆様のご努力に心から感謝を申し上げる次第であります。
そもそも東播磨道は、東播磨地域と北播磨地域を連携し、周辺市町の活性化を図るとともに、東播磨地域の南北交通を効率的に処理し、交通渋滞の緩和や円滑な交通を確保すること等を目的として設置された道路です。
実際、今まで、加古川市内から北播磨に行くにしても、加古川堤防の上に設置された県道加古川小野線を通行するのですが、時間帯によっては、大変渋滞するため、所要時間が読めないことも多々ありました。
また、東播磨道の沿線上には、加古川医療センターや北播磨総合医療センターがあり、救命救急の要としての役割も大変大きなものがあります。
この道路の周辺住民の方々からも「本当に便利になって良かった」との喜びの声も私のもとに多数寄せられています。
ただ、供用開始以降、もう既に朝夕の時間帯によっては、渋滞が発生するようになりました。それだけ、周辺住民にとって、生活に欠かせない貴重なインフラであるともいえるのですが、今後ますます、この道路の交通量が増えることは必然であると思います。
そもそもこの東播磨道の都市計画は加古川中央ジャンクションから八幡三木ランプの7.7㎞区間においては、片側2車線の4車線道路とされています。
しかし、早期の全線開通を優先して、当面、片側1車線の2車線道路として整備し、供用開始されたものであります。この判断は、大変すばらしいものであったと評価しております。
しかしながら、道路などのインフラ整備は、計画から開通まで、数十年にも及ぶ長い年月が必要となります。次の時代を見据えた取り組みが大事であると考えます。
そこで、全線開通した直後にこのような質問をするのは、誠に心苦しいところではありますが、
東播磨道の加古川中央ジャンクションから八幡三木ランプまでの4車線化の見通しについて、当局のご所見をお伺いします。
[宇野土木部長]東播磨道は、国道2号バイパスの加古川中央ジャンクションから小野市の国道175号を結ぶ自動車専用道路であります。
昨年11月30日の全線開通により、移動時間の大幅な短縮や、周辺道路の渋滞解消など大きな整備効果が表れております。
八幡三木ランプより南側の7.7km区間は、1日当りの交通量を2万台以上と見込みまして、道路構造令に基づいて4車線で都市計画決定をいたしました。
県は早期に事業効果を発揮させるため、路線を繋ぐことを優先し、暫定2車線での整備を進めてきました。
本年1月14日の交通量調査でも、2万台を超えており、将来的な4車線化は必要と認識しております。
一方で、朝夕の交通混雑はあるものの、日中は概ね円滑な交通が確保できております。
また、4車線化の延長は7.7kmにも及びその半分が既設の橋梁の拡幅で、多額の費用を要する大規模な事業となることから、直ちに事業化することは困難であり、中長期的な課題と考えております。
今後も、交通状況を注視し、日中の混雑の慢性化、救急搬送等への悪影響などが見られる場合には、県の財政状況等も踏まえまして、4車線化の時期や優先的に整備する区間を検討してまいります。 -
5. 一般会計からの繰り入れに対する知事の考えについて
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]次の質問は、一般会計からの繰り入れに対する知事の考えについてであります。近年の急激な物価や人件費の上昇により、病院の経営状況は厳しさを増しており、令和6年度決算では、全国の公立病院のうち8割以上の病院が赤字となるなど、極めて厳しい状況になっています。
県立病院も例外ではなく、令和6 年度決算では、128億円という過去最大の経営赤字を計上し、内部留保資金も枯渇することとなりました。
令和 7 年度決算見込みでも120億円の赤字が見込まれ、県民の皆様の命と健康を守る最後の砦である県立病院が存亡の瀬戸際に立たされているのではないかと、大変危惧しています。
このような状況下において、県立病院では、令和 6 年度に「経営対策委員会」を立ち上げ、外部有識者と議論のうえ、収支改善策がまとめられました。内容は、新規患者の獲得や診療単価の向上といった収益増加対策だけでなく、病棟の一時休止や職員配置の適正化といった費用削減対策も含まれた多岐にわたるものであり、今年度からは各病院で実際に収支改善の取り組みが進められてい
ます。
また今年度、実際に県立病院を訪問させていただき、現場の声を聴かせていただきました。
ある病院では、収益性を高めるため、一つ一つの疾患ごとに他の病院と自院の検査・処置を比較し、薬剤や材料一つといったレベルまで精緻に分析し、見直しに取り組まれています。
また、職員のモチベーション向上や目標達成に向け、院長自ら職員への情報発信や意識改革を行うなど、各病院長は全力で取り組まれています。
このような取り組みの結果、ほぼ全ての病院の病床稼働率は80%~90%という高い水準を維持され、日によっては、100%フル稼働している病院もありながら、経営状況はなお、厳しさを増しています。
それは、県立病院が、救急医療・周産期医療など効率性や経済合理性だけでは対応できない医療を担っているからに他なりません。実際に 24 時間、一定の人員や空きベットを確保せざるを得ず、また、患者を救うためには他の民間病院では実施していない収益性の低い医療も担わなければなりません。
各病院がいかに効率性を追求しても、県立病院としての使命を果たしていくうえで、構造的に一定の赤字が発生することが避けられないのが、今の医療制度です。
来年度の診療報酬改定は 12 年ぶりのプラス改定でありますが、県立病院の経営状況を改善させるだけのインパクトはありません。各病院の自助努力にも限界があり、来年度には、高額医療機器の購入や更新、医療 DX といった投資事業にも制限をかけざるを得ないと聞いております。
県立病院が苦境に立たされている今こそ、県民の皆様の命と健康を守り続けるため、診療に支障が生じないよう、繰出金の拡充など、必要な財政支援を行うべきと考えますが、知事のご所見をお伺いします。
[齋藤知事]日夜、県民の命と健康を守る最後の砦として、その役割を担って頂いている病院事業関係者の皆様に改めて感謝申し上げる。
一方で、賃金や物価の急激な上昇により、病院事業を取り巻く環境がかつてないほど厳しいことは、私も強く認識している。
こうした状況の中、先般、医療・介護等支援パッケージとして、国の支援が実施されたところであるが、高度医療に特化した県立病院への支援としては、
必ずしも十分ではなかった面もある。
病院事業では、現在、管理者の強いリーダーシップのもと、経営改革が進められていることに加え、診療報酬改定により、賃金や物価上昇に対して一定措置がなされたこともあり、昨年公表された令和13年度の経常損益黒字化見通しは堅持されているものの、診療報酬改定前に生じた物価高騰影響を緩和する必要がある。
このため、今年度2月補正予算案において、重点支援交付金を
活用し、本県独自の支援を行うこととした。
ご指摘の一般会計繰出については、操出基準の充実には地方財政措置が拡充されることが大事と思うので、今後も国に対し積極的に働きかけていく。
また、病院事業による経営改革の取組状況を見守りつつ、必要に応じて支援策を検討するなど設置者としての責任を果たしていく。 -
6. 公立病院のあり方について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]次の質問は、公立病院のあり方についてであります。高騰する物価や賃金の引き上げによって、経営状況が悪化しているのは県立病院だけではなく、他の公立病院も同様であります。
例えば、令和6年度決算の経常損益では、神戸中央市民病院で約31億円、公立豊岡病院は約10億円、北播磨総合医療センターは約9億円の赤字となっており、大変厳しい状況であります。県内各地域の公立病院は、それぞれの地域で民間医療機関では採算性の面から担うことが難しい医療を担うとともに、各医療圏域で地域の最後の砦として急性期を中心とした拠点医療機能を担っています。
公立病院は、県民の皆様が安心して暮らしを営んでいくうえで、欠かせない重要なインフラであります。これらの公立病院の経営基盤が揺らぎ、存立が危ぶまれるようなことになれば、地域医療の維持が困難になるのではないかと危惧しています。
県では、住民が住み慣れた地域で生活しながら、それぞれの状態に応じた適切な医療が受けられる「地域完結型医療」の実現を目的に地域医療構想を策定し、病床機能の分化と連携を図ってきました。しかし、各医療圏域で重要な医療を担っている公立病院が、経営の悪化により失われることになれば、地域医療構想で描いてきた姿が達成できなくなるのではないでしょうか。
国では現在、人口減少が更に進む2040年とその先を見据え、全ての地域・世代の患者が、適切に医療・介護を受けながら生活できる医療提供体制の構築を目指し、新たな地域医療構想の策定に向けた議論が進められていますが、人口減少や人材不足、物価高騰など、公立病院を取り巻く環境は日を追うごとに深刻さを増しており、国の議論を待って今後の方向性を検討していくような時間的余裕はありません。
公立病院が県民の皆様に求められる医療を提供し続けるためには、県内の限られた医療資源や専門人材、経営ノウハウ等を共有し、効率的に活用することなどの抜本的な取り組みが必要ではないかと考えます。
そこで、いち早く県が中心となって、県内の各市町が垣根を越えて、全県的に今後の公立病院のあり方を今こそ議論すべき時期ではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。[山下保健医療部長]県では、地域完結型医療の実現を目指し、団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年を見据えて策定いたしました地域医療構想に従い、二次医療圏毎に開催されます地域医療構想調整会議へのアドバイザー派遣や医療需給データの提供等を通じて、医療機関の自主的取組や病院間調整等を支援し、病床機能転換や病院の再編統合を補助するなど、それぞれの圏域の実情に応じた取り組みを進めてまいりました。
現在、国で検討が進められております2040年を見据えた新たな地域医療構想においても、増大する高齢者救急や在宅医療に対しましては、二次医療圏を基本とした医療提供体制を構築することとされており、地域によって公立病院が果たすべき役割も異なることから、引き続き各圏域の地域医療構想調整会議で役割の分担や連携強化などの検討を進めていく必要があるものと考えております。
また、専門人材等の共有にあたりましては、医療従事者の人事交流や医療機器の共同購入等が可能となります地域医療連携推進法人の活用も一つの手段となることから、相談に応じることによって支援してまいりたいと考えております。
今後も、地域の中核的役割を担う公立病院が、期待される役割を果たし、安定して運営できますよう、医療機能の分化・連携等を支援し、持続可能な地域医療体制の構築に取り組んでまいります。
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7. ファシリティドッグについて
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]最後の質問は、ファシリティドッグについてであります。ファシリティドッ
グとは、病院や裁判所などで、心の支えを必要とする人に寄り添うために、専
門的に育成、訓練された犬のことをいいます。県立こども病院では、ただそば
にいてくれるだけで、緊張がほどけて、笑顔が生まれる、そんな安心できる時
間が、こどもたちの力になることを願い、また、こどもたちが少しでも前向き
な気持ちで治療に向かうことができ、安心して長期入院を過ごすことができる
よう、西日本の小児専門病院では初めてのファシリティドッグの導入を目指す
こととしました。導入にあたっては、令和 7 年5月12日からクラウドファン
ディングをスタートさせ、約2か月間で目標の2千万円をはるかに超える約4
千5百万円もの真心のご支援をいただくことができました。改めてご支援いた
だいた皆様に感謝を申し上げます。
いうまでもなく医療機関は高度で良質な医療の提供を行うことが最大の目的
であります。そのうえで、患者の心に寄り添い医療行為の効果を最大限に高め
ることも重要であります。そのようなことから、このファシリティドッグの取
り組みに対する期待は、大変大きなものがあり、この取り組みが広く普及して
いくことを願うものです。
そこで、こども病院におけるファシリティドッグ導入に向けた現在の状況を
お聞きするとともに、今回クラウドファンディングで得られた真心からのご支
援のみならず、こども病院において永続的にこの取り組みを続けていく必要が
あると考えますが、当局のご所見をお伺いします。[杉村病院事業管理者]こども病院では、子どもたちの治療に対する不安を軽減し、治療を前向きに
捉えられるよう、クラウドファンディングの手法を活用して新たにファシリティドッグを導入
することとしている。
導入にあたっては、ファシリティドッグを育成するNPO法人にこども病院での活動
に適した犬とハンドラーと呼ばれる専門人材の確保を依頼していたところ、計画
を大幅に前倒しできる見込みが立ち、この4月には一部の病棟で活動が開始
できることとなった。
現在は、ファシリティドッグの活動計画の策定や、動物アレルギー患者への対応マ
ニュアルの整備など、必要な準備を進めている。
4月の活動開始以降、段階的に活動場所・時間等を拡大し、秋頃の本格導入
に繋げたいと考えている。
ファシリティドッグの活動には、ハンドラーの雇用や犬の飼育のために年間1千万円を
超える費用が必要となるが、診療報酬の対象とはなっていない。そのため、活
動経費は外部からの資金に頼らざるを得ず、その確保が課題である。
クラウドファンディングを契機にこども病院への寄附は増加しているが、子どもた
ちに勇気と笑顔が届けられるよう、院内外に情報発信することで、さらに支援
の輪を広げ、ファシリティドッグが医療チームの一員として院内で活動し続けられる環
境の確保に努めていく。