議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第367回(令和6年6月)定例県議会
代表質問
麻田寿美県議
[質問項目]
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1. 人口減少社会における持続可能性を高める新たな地域創生戦略について
質問と答弁のダイジェスト
(1)新たな地域創生戦略における視点
[麻田県議]本年は、兵庫県地域創生条例に基づく新たな兵庫県地域創生戦略の策定時期にあたる。第二期の兵庫県地域創生戦略(2020~2024)においては、コロナ禍による様々な社会情勢の変化、とりわけテレワークの普及など、働き方や暮らしが大きく変化し、計画期間の中間年にあたる2022年に中間見直しが行われた。
県では、今年度、斎藤知事のリーダーシップのもと当初予算で「若者・Z世代応援パッケージ」として、県立大学無償化、県内中小企業の正社員を対象とした奨学金返済支援制度など、将来世代に向けの施策に対し多くの予算を投入し、若い世代が将来、魅力ある兵庫づくりに参画してもらえる施策としておおいに期待している。
一方で、出産・子育てを柱とした自然増対策を攻めの施策と捉えると、人口減少社会でも持続可能な地域であり続けるための守りの施策として、地域のDXへの支援や人手不足解消のための外国人労働者の活用推進などの視点も重要である。人口減少が避けられない中、今後の地域創生戦略の策定において、出産・子育て施策だけではない、これらの視点や施策が必要だと考えるが所見を伺う。[斎藤知事]一昨日、昨年の合計特殊出生率が発表された。兵庫は1.29、全国は過去最低の1.20となった。今般改正された「子ども・子育て支援法」など、国全体として対策に取り組む必要があると考えている。
一方で、少子化は成熟した国々に共通する構造的な変化であり、出生率の低下の急速な回復は見込みづらいことも認識しておかなければならない。人口が減っても活力が持続する地域づくりが大切であり、今年度より議員ご指摘の「若者・Z世代応援パッケージ」をスタートさせた。次の時代を担う若者が自らの可能性を広げ、存分に力を発揮できる環境をつくることが、兵庫県の持続的発展には欠かせない。次期地域創生戦略でも、若者の応援は柱の一つになる。
担い手不足が進む中、ご指摘のDXや外国人労働者の活用も一層重要になる。産業や暮らしのDX促進はもとより、それを支えるデジタル人材の育成、デジタルデバイドの解消も課題である。
外国人労働者の県内定着に向けては、企業とのマッチング、労働環境の改善にのみならず、外国人の暮らしの質の向上や、大事なのは地域との共生など、総合的な視点での検討が必要になる。次期戦略の策定にあたっては、これらの課題を含め、幅広い視点で検討を行っていく。戦略会議のもとにワーキングチームを設け、市町や県議会の皆様のご意見もしっかりと聞きながら、策定を進めていく。(2)持続可能性を高めるDX支援
[麻田県議]自治体DXが必要とされている背景として、自治体職員数の減少が挙げられる。総務省が発表した地方公共団体の職員数の推移によると、令和5年の職員数は平成6年から約15%減少しており、職員数減少に伴い1人当たりの業務負担が増えていると予想され、デジタル技術を活用したDXによる負担軽減が求められている。
県として、市町のデジタル人材不足に対して、人材の確保、育成など、今後どのように具体的に支援をしていくのか、当局のご所見を伺う。[斎藤知事]人口減少が進み、DXの重要性が高まる中、市町におけるデジタル人材の不足が課題となっている。県では、電子申請、電子入札など、各種システムの調達、運営を共同化して市町の負担を軽減するほか、研修機会の提供などを通じて人材育成を支援してきた。
今年度から新たに、DXに関する相談を受け付ける職員を県民局単位で設け、市町への巡回を始めたほか、県が採用した民間人材などの市町への講師派遣にも取り組む。また、市町職員向けの研修もさらに充実していく。 -
2. 持続可能性を高めるDX支援
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]自治体DXが必要とされている背景として、自治体職員数の減少が挙げられる。総務省が発表した地方公共団体の職員数の推移によると、令和5年の職員数は平成6年から約15%減少しており、職員数減少に伴い1人当たりの業務負担が増えていると予想され、デジタル技術を活用したDXによる負担軽減が求められている。
県として、市町のデジタル人材不足に対して、人材の確保、育成など、今後どのように具体的に支援をしていくのか、当局のご所見を伺う。[斎藤知事]人口減少が進み、DXの重要性が高まる中、市町におけるデジタル人材の不足が課題となっている。県では、電子申請、電子入札など、各種システムの調達、運営を共同化して市町の負担を軽減するほか、研修機会の提供などを通じて人材育成を支援してきた。
今年度から新たに、DXに関する相談を受け付ける職員を県民局単位で設け、市町への巡回を始めたほか、県が採用した民間人材などの市町への講師派遣にも取り組む。また、市町職員向けの研修もさらに充実していく。 -
3. 困難な問題を抱える女性への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]生活困窮や性被害、DVなどに苦しむ女性を包括的に支えるための「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が本年4月1日に施行された。これまで、困難を抱える女性への支援については、1956年に制定された売春防止法を根拠にした「婦人保護事業」の対象を拡大し、運用してきたが、売春防止法には支援の概念がなく、複雑化・多様化・複合化する女性を取り巻く問題への対処が難しく、支援につながりにくい状況があった。さらにコロナ禍において、非正規雇用の女性の経済的な困窮や家庭内のDVの増加や女性の自殺の増加などが指摘されるようになった。
県は新法に基づき「ひょうご困難な問題を抱える女性への支援計画」を策定し、①相談支援の強化充実、②安全確保、③支援体制の確立、④関係機関・民間との連携・協働、⑤教育・啓発の推進等を5本の柱に掲げている。特に市町における相談支援体制の充実と民間支援団体との協働及びその支援についてどのように取り組むのか、当局のご所見を伺う。[斎藤知事]本年4月施行の「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づき、「ひょうご困難な問題を抱える女性への支援計画」を策定し、相談支援の強化充実、安全確保、支援体制の確立、関係機関・民間との連携・協働、教育・啓発の推進等を5つの柱として、支援対象となる女性に寄り添い自立に向けた施策を総合的に推進していく。
相談支援体制の充実では、全ての市町で女性相談支援員の設置を目指して、国の補助制度の活用や相談対応スキル向上研修の実施、県立女性家庭センターによる困難事例への指導・助言を実施している。
また、今年度から、全県レベル及び全市町で民間支援団体、市町・警察・関係施設等で構成する支援調整会議の設置を目指すとともに、民間支援団体と連携し、相談から自立に向けたきめ細やかな支援や、外国人などの要支援者への通訳の派遣等を引き続き実施する。さらに、団体の立ち上げ経費の補助、ICTを活用したオンライン相談の必要経費の補助を新たに創設するなど、民間支援団体を支援していく。 -
4. 働く人を守るカスタマーハラスメント防止対策について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]厚生労働省は、顧客が従業員へ理不尽な要求をするカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラを巡り、従業員を保護する対策を企業に義務付ける検討に入った。
こうした中、東京都は本年2月の定例会で、カスハラを防ぐための条例の制定に向けた検討を進めることを明らかにしている。全国初の条例の制定に向けて、条例案の提出を目指し、企業支援に立ち上がるとともに、企業が相手とする一般客のほかに、役所の窓口を利用する人などもカスハラを行う対象とし、官民を問わず対策を求めるとする素案を取りまとめた。さらに、条例やガイドラインの中で、カスハラ防止の基本理念とともに、都、消費者、事業者などの責務も示し、実効性の確保を担保することで消費者を含め、社会全体の共通理解の促進をすると報道があったところだ。
そこで、本県においても、カスハラについて社会への共通理解のため、カスハラを防ぐ対策を積極的に進めるべきと考えるが、当局のご所見を伺う。[斎藤知事]カスタマーハラスメントは、従業員の離職・休職やサービス低下につながり、企業の経営リスクにも直結しかねないことから、その対策は非常に重要と認識している。
しかしながら、対応が義務化されているパワハラ、セクハラに比べ、社会的認知及び企業の対応が進んでいないことが課題だということで、県としてはチラシによる普及啓発を行っているほか、現場の従業員に抱え込ませない組織的な対応が重要として、中小企業向け研修会の支援など、企業におけるカスハラの未然防止、発生時の対応などの対応等を後押ししている。
また、国はカスハラに対する従業員保護の義務化に向け、「骨太の方針」への反映を検討するなど対応の議論を進めており、他自治体の条例の制定の動きも合わせて、その動向を注視しているところである。
引き続き、労働局や関係団体と連携しながら、一層の周知や研修の充実等を図っていく。 -
5. 水素社会実現に向けた取組と今後の展望について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]現在、地球温暖化の進行を阻止し、持続可能な未来を築くため、国際社会はカーボンニュートラルの実現を目指している。各国は競って二酸化炭素排出量を削減し、再生可能エネルギーの導入を加速させ、水素はエネルギーとして利用する際に二酸化炭素を排出しないクリーンな特性から、次世代エネルギーソリューションとして期待されている。また、グリーントランスフォーメーション、GXは、経済活動を持続可能なものへと転換させる重要な政策である。
本県では、神戸市が積極的に取組を展開しており、HyTouch神戸プロジェクトは、液化水素の取扱技術の開発において世界をリードしている。また、水素スマートシティ神戸構想を推進し、民間企業の技術開発支援、利活用拡大を目指している。これらの活動は、カーボンニュートラルポートの形成と連動しており、臨海部を中心とした水素利用の推進が期待されている。 こうした状況を踏まえ、水素社会の実現に向けた県の取組の現状と今後の展望について、どのような戦略を描き、どのような支援策を用意しているのか、当局のご所見を伺う。[斎藤知事]本県は、水素関連のトップランナー企業の集積、神戸港での水素実証事業など先進的知見の蓄積、そして、播磨臨海地域の大量の水素潜在需要など、水素社会を先導する大きなポテンシャルを有している。令和4年7月には播磨臨海地域での水素サプライチェーンの拠点形成をめざし、産学官の播磨臨海地域CNP推進協議会を立ち上げた。関西電力と川崎重工業による液化水素サプライチェーン構築に向けた海上輸送の覚書締結、関西電力・JR西日本・NTT等による水素輸送・利活用に関する取組など、民間の皆様の意欲的な取組に繋がってきていると考えている。 -
6. 鳥獣被害対策について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]鹿、イノシシ、ニホンザル、熊などの野生動物は、これまで人間とすみ分けをして共生してきた。一方、本県の獣害による農林業被害額は、令和4年度に約4億7,000万円に上る。気候変動、環境破壊、山間地域の高齢化、過疎化など様々な要因により、野生動物は、人の気配を感じないまま安全な環境と食べ物のある場所を求めて、人里近くまで出没するようになってきた。
農業従事者にとって、獣害は非常に深刻な課題である。時間をかけて大切に育ててきた農作物を野生動物に食べられることは、精神的にもダメージをうけ、営農意欲も減退する。地域を廻っていると、自助、共助で鳥獣害対策に取り組んでおられる。鳥獣管理改革の実効性を高めるために、新たな技術をとりいれるなどの総合的な対策が必要だと考える。所見を伺う。[服部副知事]県では、野生鳥獣による農林漁業被害等の軽減のため、鳥獣別の管理計画の下、総合的な被害防止対策に取り組んでいる。被害対策の効率化のため、行動把握、出没対策、捕獲の各段階に応じ、多様な新技術を市町と連携して導入を進めているところである。
行動把握では、森林動物研究センターがイノシシやクマなどにGPSや小型カメラを取り付けて追跡調査を行い、集落への出没防止につなげてきた。六甲山では、神戸市がセンサーカメラの画像をAIが自動解析し、シカの場合のみ通知するシステムの導入を今年度から開始したところである。
出没対策では、新温泉町が超音波によるシカ侵入防止装置の実証を行い、一定の忌避効果が確認された。
今後とも、カキ等の不要果樹の伐採、生ゴミ等エサとなる物の除去、防護柵の維持管理などの基本的な対策と併せて、AIやICT等を活用した新技術を積極的に導入することで、地域とともにより効果的な対策に取り組んでいく。あわせて、先日オープンした県立総合射撃場を活用し、狩猟者の確保・育成にも努め、総合的な被害防止対策を進める。 -
7. 教員の働き方改革について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]文部科学省は、教員の働き方改革や処遇改善を議論してきた中央教育審議会の特別部会から、公立学校の教員の給与について給特法という法律で残業代を支払わずに、一律で月給の4%を上乗せしている分を少なくとも10%以上に引き上げることや、11時間の勤務間インターバルの導入、教科担任制の小学校3、4年生への拡大など、働き方改革に向けた方策に係る審議のまとめを受けた。
2022年度に文部科学省の実施した教員勤務実態調査の結果によると、教員の月の残業時間の平均は小学校でおよそ41時間、中学校でおよそ58時間、過労死ラインと言われる月80時間超に相当する可能性がある教員は、中学校で36.6%と3人に1人となっている。文部科学省は、教員の働き方改革を推進する中、教員が授業の質や人間性、創造性を高めることで、こどもたちに対して効果的な教育活動を行えることを目指し、令和6年度予算では、質の高い公教育の再生の実現に向け、教師等の働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導・運営体制の充実が一定図られましたが、まだまだ道半ばである。
本県でも、小学校における教科担任制や35人学級の計画的な推進、校内サポートルームの支援員の配置等を支援しているが、教育現場では課題の複雑化が進んでおり、学校や教員の負担増加、長時間労働の慢性化や教育の質の確保、教員不足に対する対応の強化が求められている。教員の長時間労働の中でも、特に校務に係る負担軽減は重要かと思う。
例えば、学校現場で多い伝達事項を全教員が使えるTeamsに学校のチャンネルを一つ作って、様々な活動の見える化により就労時間の20%削減につなげたICT化を使った校務の負担軽減の事例などもある。こうした校務の負担軽減には、学校現場でのICTの活用やスクールサポートスタッフ等外部人材配置の拡充に重点的に取り組むべきと考えるが、当局のご所見を伺う。[藤原教育長]学校が対応する課題が複雑化・困難化する中で、質の高い教育を実現していくためにも、学校・教職員が担う業務の適正化を更に推進することが重要と考えており、特に、ご指摘のICTの活用や外部人材の活用を積極的に進め、総業務量の削減に取り組んでいる。
本年3月、ICTや外部人材の活用も含めた「学校業務改善ガイドライン」を策定した。今年度、各モデル校代表と県教委による業務改善PTを設置し、各モデル校での実践も踏まえながら、取組の効果検証を行うとともに、勤務時間適正化先進事例集である「GPH100+」の普及も含めた他の学校への横展開と更なる取組の充実に繋げる。
この度、国の中教審特別部会において、働き方改革の加速化も含めた教員確保のための総合的な方策が取りまとめられた。今後とも、国の確実な実施を求めるとともに、県としても市町と連携しながら、取組状況の「見える化」とPDCAサイクルの構築等により、学校における働き方改革の実効性の向上を図っていく。 -
8. 自転車の交通違反を交通反則通告制度の対象とすることへの対応について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]今国会で、16歳以上の自転車利用者が軽微な交通違反をした場合に反則金納付を通告できる交通反則通告制度、いわゆる青切符の導入を柱とした道路交通法改正案が参議院本会議で可決、成立した。
自転車運転中の携帯電話使用、ながら運転を禁止するとともに、酒気帯び運転に罰則を新設し、青切符制度は公布から2年以内、2026年までに、ながら運転、酒気帯び運転への罰則は6ヵ月以内に施行される。
今回の改正は、近年の自転車に関わる事故や違反が後を絶たない状況を受けたもので、2022年の警察庁の調査では、自転車に関わる事故件数が約7万件あり、そのうち信号無視や一時停止など自転車側の違反は7割に上り、事故も目立っている。
本県の、令和4年中の自転車関係事故は前年比マイナス182件の4,162件で減少しているものの、全ての人身事故の25.4%を占めている。県内の交通事故件数は年々減少しているが、自転車関係事故件数は各年とも全ての人身事故の25%前後で推移している状況である。
青切符は、起訴を見据えた捜査が必要な現状の交通切符、いわゆる赤切符による手続に比べ処理時間が短縮でき、効率的な取締りと違反者への安全運転の指導が可能となる。また、青切符は車やバイクでは導入済みだが、運転免許を必要としない乗り物として、こどもから高齢者まで幅広い世代に普及している自転車の取締りが大きく変わることになる。どこからが違反で何に注意して乗車しなくてはならないのか。私たちがよく見かける違反行為として、傘差し運転、イヤホンの使用、右側通行、信号無視、スマホなどの使用、一時停止を守らないなどがある。これらはこのたびの青切符違反の対象となり、5,000円から1万2,000円の反則金が課せられる見込みである。
このたびの改正道路交通法により、2年以内に高校生を含む16歳以上の自転車運転者の交通違反について青切符が適用されることとなるため、より一層自転車での交通ルールを守る意識の定着を図っていく必要があると考える。例えば、分かりやすいガイドブックや動画を作成すること、それを交通安全教育などで活用するほか、県民の生活に結び付いている教育機関・福祉関係団体や自転車利用者の来店が見込まれる自転車販売店や携帯電話会社などへの情報提供の協力も必要になってくると思う。
そこで、県警察として、自転車の交通違反を交通反則通告制度の対象とする周知について、どのように行っていくのか、ご所見を伺う。[村井警察本部長]県警察では、自転車の交通違反について、街頭での指導警告などに取り組んでいるが、昨年は4,981件の悪質・危険な交通違反をいわゆる赤切符で処理するなど、全国的にみても積極的な取り締まりを行っている現状にある。
自転車についての交通ルールの周知は大変重要であり、早いうちにしっかりと身につけていただくために、小中学校あるいは高校に出向いて開催しております。加えて、令和2年度からは県内の高校と連携し、「兵庫県警察自転車セーフティープロジェクト」として、高校生を対象に自転車の交通ルールの周知を図る取組を行っている。
分かりやすい教材の作成・活用といったことも含めて、関係方面との連携の強化を図りつつ、自転車の交通ルールの更なる周知に努めていくとともに、街頭におけます指導警告等も積極的に行い、自転車安全利用意識の高揚を図っていく。
一般質問
天野文夫県議
[質問項目]
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1. 少子高齢・人口減少への対応
質問と答弁のダイジェスト
(1)雇用創出による地域の活力向上への取組について
[天野県議]公明党が本年2月から3月に実施した「少子高齢化、人口減少への対応に関する自治体アンケート」の結果概要を紹介し、兵庫県の取組について伺いたい。
2040年の地域別、市区町村別の将来推計人口に対する受け止めを聞いたところ、市区町村では「自治体としての存続が非常に危うい水準」と「危うい水準」を合わせると32.5%に達し、「存続がぎりぎり可能」と答えた自治体も36.3%を占め、先行きを楽観できない状況が窺える。都道府県でも存続が危ういと感じているのが23.9%。「ぎりぎり可能な水準」との回答が28.3%と存続に危機感を抱いている。
兵庫県では、地域活性化雇用創造プロジェクトを令和3年度から令和5年度に推進し、次世代産業分野であるAI・loT、健康・医療等を対象にデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進を図る「ひょうご次世代産業DX・人材育成プロジェクト(6事業)」を実施し、また、新型コロナウイルス感染症の影響により需要の減少など大きな影響を受けている製造業等を対象とした「ひょうごものづくり企業多角化促進・人材育成プロジェクト(6事業)」として実施してきた。このプロジェクトの実績と評価を踏まえ、今後、兵庫全体の活力を引き出すためにどのように取り組むのか伺う。[斎藤知事]生産年齢人口の減少、コロナ回復を背景に人手不足が深刻化している。DX化等もまだ十分ではない。そこで、本年度から新たに3年間、第2期プロジェクトを推進していく。経営効率化と成長分野への進出、働く環境の改善、多様な人材確保のため、経営戦略策定やDX人材の育成、スキルアップによる就職支援等も実施していく。
本年度、大小多様なDX化に対応すべく、ものづくり支援センターの機能・体制を強化する。相談内容に応じ、複数専門家による最適な派遣チームが伴走支援していく。これらの施策を組み合わせながら効果を高め、企業の収益性確保、人手不足で需要をとりこめないといった機会損失を防ぐことで、関係団体や関係機関と連携しながら、本県産業の振興を図っていく。(2)子育て・教育対策(不登校対策)について
[天野県議]国に求める政策課題として、「若者の働き方や雇用環境の改善」が市区町村では、60.4%、都道府県でも60.9%と、いずれもトップに挙がった。これに続いて市区町村では「小中学校の給食費を全国で無償化」が52.1%、「子ども医療費助成を18 歳まで拡大」が43.3%、「児童手当などの経済的支援の一層の拡充」が41.6%の順となっている。都道府県では、「子ども医療費助成を18 歳まで拡大」が2番目で39.1%、その後に「大学など高等教育の実質無償化」が26.1%で続いている。
アンケート結果では、子育て・教育分野においては子育てにかかる経済面の助成が求められているが、次世代を育む仕組みを作れない社会は持続することはできないと考えている。教育は大変だとの認識が広まってしまうと、少子化に拍車をかけることにもなる。更に令和4年度の不登校児童生徒数は 29 万人を超えて過去最多となるなど、子どもたちを取り巻く教育環境の改善がまずは必要であると考える。
そこで、教育問題でも重要な課題である不登校対策として、本県で本年度より取り組んでいる「ハートフレンド人材バンク」の現状について伺う。昨年の決算委員会では、「NPO 法人きょういく環境プロデュース」による兵庫県内の不登校の小中学生と東京の大学生がオンラインでつながって学ぶ事例を紹介し、「いじめ問題への対応」「不登校対策の推進」「心の教育に関する今日的な課題への対応」にどう取り組んでいくのか質疑させて頂いた。それに応えて頂き、令和6年度から不登校児童生徒を支援する「ハートフレンド人材バンク」を創設し、個々の不登校児童生徒の状況に応じた支援の充実を図ることとしていただいた。
先日、会派で訪れた佐賀県では、「NPO 法人スチューデント・サポート・フェイス」が国・県・市からの委託を受け、「不登校・ニート等の状態にある子ども・若者」に対する家庭訪問(アウトリーチ)など相談支援に取り組んでいる現状を調査しました。大学生ボランティアを含めた20 歳代、30 歳代の若者が数多く参加し、こどもたちの心の悩みサポートなどに成果を上げている様子を代表理事の谷口仁史氏から伺った。
具体的には、令和4年度には不登校児童生徒のうち264 人を対象に、大学生や若者を派遣し、子ども達への相談支援を行った結果、小学生では88%、中学生では56%、全体で67%の児童・生徒の状況が改善された。行政と先進的に取り組んでこられた民間団体等が大学生や若者の協力を得て実施している、このような取組は本県の不登校対策にも有効ではないかと思う。
まさに今年度より創設した「ハートフレンド人材バンク」は今後不登校児童生徒への支援の1 つとして大いに期待しているが、現状の支援内容と進捗状況を伺う。[藤原教育長]全県一丸となって「ひょうご不登校対策プロジェクト」を推進している中で、より多くの支援の輪を広げることが重要である。このため、児童生徒と年齢が近く、教育に関心の高い大学生を募集して市町のニーズとマッチングを行う「ハートフレンド人材バンク」を創設し、不登校児童生徒への多様な支援を行う取組を進めている。
本年3月以降、県内の大学を精力的に訪問しており、学生の募集に努めている。5月末時点で登録者数は56名に上っている。登録された学生は、市町のニーズを踏まえ、学校の教室やサポートルーム、教育支援センターでの学習や活動補助、またオンラインを活用した家庭での話し相手などに支援をいただくこととしており、県立総合教育センター内にある、心の教育推進センターにおいて、順次活用を希望する市町とマッチングを行い、現在、33名の学生と14の市町との間で交渉が行われているところである。既に、市の教育支援センターで活動を開始した学生は、週1回6時間、不登校児童生徒の自主学習などの支援に取り組んでいる。
併せて、新たに「アウトリーチ支援研究委員会」を立ち上げ、この委員会にはご指摘のNPO法人「きょういく環境プロデュース」代表にもアドバイザーとしてご参画をいただき、大学やNPO法人、市町等とも連携し、家庭で過ごす不登校児童生徒への学生によるオンラインでの支援やAIチャットなどの対話機能による支援など、効果的なアウトリーチ支援についても検証をしていく。
先日開催をいたしました不登校対策推進委員会では、「年齢の近い学生が側にいることで、子どもが安心する」、また「学生にとっても良い経験になる」、この様な意見に加えて「参加する学生へのサポートも必要」との意見もあったところである。これらも踏まえて、今後とも、学生の活動状況の把握や相談などのサポートを行うとともに、市町や関係機関、保護者等にこの取組の周知を図り、支援の充実に努めていく。[天野県議]教育委員会の色々な取組は本当にありがたい。教師を目指す学生が大学時代に貴重な経験をすることになるが、その経験をキャリアとして残していくことはできないか。[藤原教育長]今回、各主要大学を回った際に、各学長に、悩んでいる子どもに接することは、大学の教育課程の中ではなかなかできない経験であり、教員になった後は即戦力として活用できるとお伝えした結果、60名近い登録に結びついているのではないかと思う。ご指摘の主旨も踏まえ、今後も登録者数を増やし、人材育成に取り組んでいく。(3)県営住宅おける独り暮らしの高齢者対策について
[天野県議]自治体の現場ではどのような支援策が求められているかを尋ねたところ、市区町村では「日常の見守り・安否確認」が73.3%と最も多く、「『通いの場』や『交流の場』づくり」が70.6%、都道府県でも同様の結果となりました。市区町村ではこれらに続いて、「移動手段の確保」が64.0%となった。
一人暮らしの高齢者の増加に伴い、日常的な安否確認や交流の場づくりといった基本的な対策が、追い付いていない状況があるのではないかと考えられる。加えて、「移動手段の確保」については、通院する高齢者の増加や運転免許証返納などで、今後ますます重要な課題になってくると考えられる。アンケート結果では、今後、この3項目を軸に一人暮らし高齢者への支援策の充実に取り組んでいかなければならないことを示唆している。
一方でこれらの支援は、一人暮らしの高齢者の住居と深い関わりがあると思う。郡部では、都市部への人口流出が進み、家族構成の変化や収入減少など経済状況の変化により、高齢者が一人で生活しなければならない状況が増加しており、今後も増加が見込まれている。高齢化が進む中で、公営住宅が果たす役割は今後更に大きくなっていくと考えている。
県営住宅においては、耐震化やバリアフリー化などの整備は、「ひょうご県営住宅整備・管理計画」に基づき、適切に行われていることと思うが、それらに加え、市町、民生委員等と連携し、高齢者見守り等の共同管理や、個別支援・サービスに結びつけるなど居住の安定に向けた体制の構築も必要である。それによって、「日常の見守り・安否確認」ができる体制整備や入居者同士による「交流の場」づくりなど、暮らしのサポートが期待できるのではないだろうか。
そこで、県営住宅における一人暮らし高齢者が安全で安心して暮らせる体制づくりに向けてどのように進めていこうとするのか、当局のお考えを伺う。[松浦まちづくり部長]県営住宅では、65 歳以上の高齢単身世帯率が高いことから「安全で安心して暮らせる住まいの提供」、そして「福祉施策と連携した安定した暮らしの支援」等を計画に位置づけ、整備管理に取り組んでいる。
具体的には、住宅のバリアフリー化の推進に加えまして、「日常の見守り・安否確認」におきましては、指定管理者によります単身高齢者への月2回の声掛け等の見守りを全団地で行うとともに、市町福祉部局やケアマネジャーで構成する連携会議を設置して、入居者情報の共有や福祉サービスの提供を行っている。また、「交流の場づくり」におきまして、県看護協会による健康相談会、自治会によるフレイル予防に向けた健康体操、さらには喫茶等の「集いの場」を展開している。
しかしながら、今後、入居者において、要介護度の悪化等で生活が困難な高齢者の増加も見込まれることから、見守り訪問の回数を増やすことで個々の状況を的確に把握して、早期に福祉サービスへ繋いでいく。併せて、「集いの場」での好事例を全団地で情報共有し、効果的な取組が多くの団地で実施されるよう指定管理者と連携して働きかけていく。
さらに、今年度から入居要件の緩和等で子育て世帯の入居を促進していることから、多様な世代の交流によるコミュニティの活性化を図っていきたいとも考えている。
今後とも、福祉部局や指定管理者等と連携を図りながら、高齢者を含めた全ての入居者が安全で安心して暮らせる体制を構築していく。 -
2. 中山間地域農業の持続的発展に向けた普及活動の成果について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]本年3月18日に神崎郡市川町東小畑営農組合での、地域農業の課題等に対する意見交換会と現地視察に参加した。「中山間地域における農業は農地が小さく利益はあがらない」「高齢化が進み担い手不足の問題が深刻である」という悲痛な現状をお聞きした。また「人手がかからず利益が上がるような作物などへの転換や、小規模農家や兼業農家でも儲かる農業への転換ができないか」などの要望があった。
以前には佐用町の農家の方から要望もあり、昨年2月に中山間地域農家への農業普及指導活動の充実について伺った際の答弁では、知事から「市町やJAなどの関係機関と連携して、特産品の生産拡大、さらには県育成新品種の栽培技術指導や産地化支援、加工品開発や直売活動支援に取り組むこと、地域の目指すべき農地利用の姿を明確化する地域計画の策定に向けた集落での話し合いの開催の支援など、担い手の確保を支援していきたいと考えている」との答弁をいただいた。
中山間地域において、農業は生産条件が不利なうえに、高齢化や担い手不足が深刻化しており、地域農業の継続が危ぶまれている。農業改良普及センターでは、地域ごとに農業者の所得向上や地域の活性化を進展させるため、ひょうごの「農」ブランド強化コーディネート事業などにとりくんでいるが、中山間地域においては、どのような効果がもたらされたのか、また、儲かる農業への転換に向け、県が推進する有機農業を今後どのように中山間地域で生かそうとしているのか。[斎藤知事]農業改良普及センターでは、農商工連携や6次産業化による付加価値の高い、地域特産品の生産流通拡大、担い手確保を支援している。具体的には、西播磨や但馬地域での朝倉山椒の収穫しやすい栽培方法の普及、冷凍加工品の開発、但馬地域でのユズの産地化と地元洋菓子業者と連携した商品開発、丹波地域におけるクリなどの地元飲食店での利活用や観光協会等と連携したフェア開催などにより生産と販売が拡大し、農業者の所得向上につながっている。
また、ご指摘の市川町では、有機農業を志向する移住希望者の受入体制づくりや、親方農家と連携した技術習得研修の実施、加えて体験イベントなどの開催を支援したところ、新規就農者の確保や交流人口の増加につながったと伺っている。
今後も、小規模でも所得確保につながるよう中山間地域の特徴を生かした産品の発掘・育成や、地域特産品の有機農業への転換による高付加価値化を進める。[天野県議]経営として成り立つ支援をどのようにしていくのか、利用する私たち県民が価値を正しく理解して買い支えるような理解を醸成していかなければならない。そのような取組について再質問する。[斎藤知事]生産については人材の育成が大事である。県が農業大学校にアカデミーを創設して人材育成をきちっと行っていく。その際には、全国で唯一になる専用のホ場とビニールハウスを用意して即戦力をつくることによって、経営能力を有する人材を育んでいくことが大事である。もう一点は、消費者の理解をどうしていくかということ。問題は生産者と消費者をどうやってマッチングさせるかということが大切だ。今回、ひょうごTECHイノベーションプロジェクトの中に有機農業における生産者と消費者のマッチングの仕組みづくりというものを実証実験にいれるので、そういったところを進めながら、新たな展開を図っていく。 -
3. 県内の内水面漁業の振興について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]先日地元の揖保川漁業協同組合の方々とお会いする機会があった。県南西部を流れる一級水系の清流揖保川が長い歴史のなかで与えてくれた恵みは、これからも永久に欠かせないものであることを伺った。一方で、近年では地球温暖化に伴う気候変動や森林の荒廃などにより、河川環境は変化している。揖保川上流部での作業道整備などによる土砂流出や汚濁水がアユの餌となる苔への悪影響を及ぼす一因ではないかとも考えられており、防止対策が必要であるといわれていた。また、組合員の減少及び高齢化も顕著で、遊漁者の減少も続いているとのことであった。
本県の内水面漁業は水産物の供給を行う他、アユなどの魚釣りを中心とした遊漁などのレクリエーションの場の提供を通じて自然と親しむ機会を創出するとともに、自然環境の保全や文化の伝承といった河川の多面的機能において重要な役割を担っている。将来を担う子どもたちが自然豊かな川遊びをした体験を故郷の記憶として思い出し、成長してアユのように再び故郷に戻ってくるような象徴的な政策を期待する。
県内の多くの河川の環境を良好に維持し、主力魚種の鮎資源の増大を図りながら、県下各地で観光分野での魅力発信、体験学習や環境保全活動などを推進するには、漁協等の取組は不可欠である。そのためには、漁協等の取組を将来にわたり持続的に継続できるような支援が必要ではないか。考えを伺う。[守本農林水産部長]県や国の様々な取り組みが今後とも継続できるよう、アユ種苗の安定生産や河川環境の保全を図るため、種苗生産施設を運寧している揖保川漁協には、需要に応じた種苗生産を支援していく。また、川上の林業事業体に対しては、作業道を開設するおりなどに河川に土砂を流出させないよう指導の徹底を図っていく。
今後、県ではアユの天然遡上量などを調査研究し、効果的な放流方法によるアユ資源の増大を目指すとともに、漁協などが取り組まれる遊漁者などの確保支援、さらには関係部局と連携した県内河川の魅力を伝える観光情報の発信などにより、河川への来訪者の増大とともにふるさと意識の醸成を図り、内水面漁業の持続的な発展を目指す。[天野県議]県の地図を見ても、全県に内水面の河川が網羅されており、各地に漁協もあり、それが兵庫県の強みだと感じている。各地域で観光やインバウンドの方が来られても、この地域の良さ、兵庫の美しさを知るためにも、この漁協等で地域の方と取り組まれている運動を継続的に行えるように、支援しなければならないときは支援していただき、永続的に続けられるようにお願いしたい。 -
4. 地震による液状化の対策について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]本年1月に発生した能登半島地震では、地震による液状化により宅地などの被害が相次ぎ、宅地被害は石川、富山、新潟3県で1 万5000 件に上ると国土交通省は推計している。
中でも、震度5弱を観測した石川県内灘町西荒屋地区では、甚大な液状化被害により道路が波打ち、住宅や電柱が沈み傾いたままの状態が続いている。また地盤が横方向に大きくずれ動く「側方流動」が発生し、住宅が水平距離で12m 横滑りした地区もあったと報道されていた。
各自治体は、用地の境界がずれて元の境界がわからなくなったり、道路・宅地ともに高さが大きく変化し、どの高さを基準として復旧するのかといった問題に直面している。また、大規模な地盤改良など広域的な対策が必要との指摘もあり、課題は多く復旧に大変時間を要しているところである。
液状化による被害は、本県でも阪神・淡路大震災の際には、神戸市、芦屋市、西宮市の埋立地で被害が多く発生し、神戸港などでも壊滅的な被害をもたらした。これまでにも東日本大震災では震源から離れた関東地方で発生。熊本地震では、熊本市南部を中心に発生し、地盤改良工事には時間を要し発災から3年後に工事が始まるなど、液状化は震源から離れた場所でも起こる可能性があることや、復旧や復興に大変時間がかかり、発災後の生活に与える影響が長期間に及ぶことが懸念される。
県民からは「能登半島地震の家屋の倒壊や液状化の被災状況をテレビ新聞等で見たが、自分たちが住んでいるところは液状化被害の可能性があるのか。」「南海トラフ地震の心配もあり、大丈夫なのか不安に感じる。」「避難訓練や物資の備蓄はできるが液状化の予防策はあるのか。」などの声が寄せられている。
国が公表している液状化ハザードマップによれば、南海トラフ巨大地震に伴い本県においても広範囲で液状化のリスクが予測される。液状化が発生すれば、家屋やライフライン被害はもちろん道路の変形やマンホールの浮き上がり等により、迅速かつ安全な避難に支障をきたすことは、能登半島地震を見ても明らかである。
県では、今年度から南海トラフ地震の被害想定の見直しを行っているが、関心が高まっている今こそ、地域で見込まれる液状化リスクについてもその中で明らかにし、しっかりと県民に伝えていくことが重要である。そして、不安に感じている県民の命を守るため、能登半島地震を踏まえた対策等について市町と連携しながら取り組んでいく必要があるかと思う。当局のご所見を伺う。[唐津危機管理部長]今回の能登半島地震におきましても液状化によります、建物の倒壊や損壊、インフラの機能不全など広域かつ長期にわたり、甚大な影響が発生している。改めて、県民へのリスクの事前周知と液状化を考慮した対策の重要性を認識している。
県では、平成26 年度に公表いたしました南海トラフ巨大地震被害想定で、液状化の危険度及び建物被害の結果を公表いたしまして、県民へ液状化リスクの周知に取り組んできた。また、津波浸水被害の軽減のため、液状化を考慮した防潮堤等の沈下対策も実施してきた。
今年度、国では南海トラフ地震の被害想定の見直しを予定している。県も被害想定の見直しに着手する。その中で明らかになった液状化のリスクにつきましては、県・市町の地域防災計画に反映するとともに、県のホームページ等を通じて、県民に分かりやすく、そして、丁寧に周知することで、防災意識の向上に繋げていく。
更に、「能登半島地震を踏まえたひょうご災害対策検討会」において、顕在化した様々な課題の洗い出しと、具体的な対応策の検討に着手している。その中で、ライフラインの液状化対策についても検討していく。
今後とも市町及び関係機関と十分に連携し、液状化リスクを踏まえた災害対応力の充実・強化に努めていく。