議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第366回(令和6年2月)定例県議会
代表質問
伊藤勝正県議
[質問項目]
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1. 各世代を意識した令和6年度当初予算について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]この令和6年度当初予算について、12月定例会のわが会派の代表質問に対し知事は「まずは若者・Z世代支援を重点に置いてまいりたい」と表明され、県立大学の授業料等無償化、奨学金の返済支援、不妊治療の充実などを掲げられた。これらの若者・Z世代への重点支援は、各々の施策について様々な意見はあるものの、概ねインパクトと好感を持って受け止められており、わが会派としても評価するとともに、事業効果が最大限発揮されることを切に願う。ただ、こうした重点化施策、差別化戦略は、国の制度化や後発組の出現が想定されるため、事業のブラッシュアップや新たな目玉施策を不断に打ち出していく必要がある。
一方で、厳しい行財政運営について知事は「過去から引き継がれた財政的な問題を将来に積み残さないということも、攻めの県政の一つだと思っているので、分収造林業、地域整備事業会計について、課題解決を目指していきたい」と決意を述べられている。厳しい財政状況下ではさらなるスクラップアンドビルドが不可欠となり、若者・Z世代への重点施策を推進すれば、他の世代への支援策に影響を及ぼすはずである。また、若者世代への重点化は、言い換えれば、若者が多く居住する都市部地域への予算の重点化という見方もできる。このように世代間や地域間の分断、格差を生んでしまわないかと懸念する。
知事は先の定例会で「高齢者の安全・安心な暮らしをお守りするということも大変大事な点」と述べられた。若者・Z世代への重点支援は、人口の転出超過に歯止めがかからない本県としては、大変重要な施策だが、厳しい財政状況を理由に若者・Z世代以外の世代の予算が過度に削減されることがあってはならない。若者世代に絞った施策であったとしても、結果的に全世代の「躍動」に結び付くよう、全ての世代を意識した、誰も取り残さない予算編成が求められる。いかに各世代をも意識した令和6年度当初予算をされたのか所見を伺う。[斎藤知事]歳入歳出両面で見直しする一方で、未来への投資は躊躇せず、個の可能性を拡げ、これからの兵庫を支える若い世代を重点的に応援するとの思いを込めて編成した。具体的には、高等教育の負担軽減や留学支援、不妊治療支援、子育て世帯への住宅政策など、幅広い分野で若い世代を直接応援する施策を展開し、若者の県内定着を進め、兵庫の成長・発展に繋げていく。
議員ご指摘の通り、高齢者を含めてあらゆる世代の方々、あらゆる立場の方々への施策もしっかりとやっていくことが大事だ。高齢者の安全安心対策としては、近年深刻な特殊詐欺被害や自転車事故、ヘルメットへの対応はもとより、50歳以上にはなるが、帯状疱疹など感染症等対策や介護サービスなどの充実を図る。また、防犯カメラ設置補助事業の継続や横断歩道の線引き直しなど、地域の安全安心の確保にも取り組んでいく。
誰も取り残されない社会の実現に向け、不登校対策やヤングケアラーや児童養護施設を卒業されるケアリーバーへの支援、ユニバーサルツーリズムの推進、パートナーシップ制度の運用など、年齢、性別、障がいの有無などに関わらず、一人ひとりの個性を大事にし、自分らしく生きられる社会づくりを進める。活躍の場が広がる兵庫づくりにも力を入れる。ひょうごフィールドパビリオンの磨き上げや中小企業のSDGsの取組支援の強化、有機農業の拡大、社会基盤道路インフラ設備の強化など、地域の魅力を高める施策を展開する。改革実行の中で県民一人ひとりが輝く希望と安心に満ちた躍動する兵庫の実現を目指す。[伊藤県議コメント]若者Z世代重点といいつつ、各世代を意識したいろいろな施策、予算に反映していただけると思うが、限られた財源のなかで一つの施策が一つの効果だけでなく、多くの世代、多くの地域に波及するような効果が出る事業を取捨選択していただかなくてはならない。 -
2. 阪神・淡路大震災30年に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]今回の能登半島地震をはじめ、全国各地で大規模災害が続いているが、明年は、大阪・関西万博の開催年であり、阪神・淡路大震災から30年となる大きな節目を迎える。単に震災前の状態に戻すのではなく、ハード、ソフト両面における強靭な地域づくりを行うという「創造的復興」を掲げ、復興に取り組み、壊滅的な被害を乗り越えた30年間であったと思う。一方で、東日本大震災を機に創設された復興特別税を基本にした国による全面的な財政支援は、阪神・淡路大震災当時にはなかったため、未だに約1、800億円の震災関連県債残高を抱えていることも事実である。
阪神・淡路大震災以降、各地で発生する大規模災害において「創造的復興」という言葉が継続的に復興政策の中で使われてきた。「創造的復興」とは、発生当時の貝原知事が打ち出した概念で「単に震災前の状態に戻すのではなく、より良い社会、21世紀の成熟社会にふさわしい復興を成し遂げる」というもの。2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で採択された国連文書である「災害リスク削減のための仙台枠組み」にも「ビルド・バック・ベター」と英語で記載されるなど、世界の防災計画、防災の世界での世界標準の言葉となっているが、復興事業には持続可能な地域とすることが欠かせない条件である。その意味で、阪神・淡路大震災からの創造的復興が、人口減少社会や超高齢化社会を迎える中で有効な手段であったか、持続可能なものであったかなど検証も必要ではないか。
我が県では、明年「創造的復興」をテーマに大規模災害に見舞われた東北など国内被災地の知事と、トルコ、ウクライナの海外の被災自治体・関係機関等を交え意見交換する「創造的復興サミット」が開催される予定である。阪神・淡路大震災からの30年間の復興過程において様々な苦難を乗り越え、経験し、関西広域連合でも防災行政をけん引してきた本県の知事として、どのような意見交換、提言の場になると考えているのか。また、国内外の多くの参加者に兵庫の魅力を感じてもらう貴重な場にもなると思うが、どのようなおもてなしを考えているのか。[斎藤知事]震災からの復旧・復興の過程においては、県民との協働のもと、本県では5年、10年のタイミングで復興の検証を行うと共に、東日本大震災や熊本地震の経験を活かした教訓を踏まえた検証を、震災20年、25年にも実施して、手引書や冊子にまとめてきた。絶えず震災の経験と教訓を次世代に検証し、持続可能な災害に強い地域社会づくりにつなげていく姿勢が、これからも大事であると思うので、継承していく。
30年の節目に神戸で、万博の機会に開催を予定している創造的復興サミット。国内外の被災地の知事や首長、海外の自治体や関係者、民間や子どもたち、多くの人が一堂に会し、創造的復興の理念、成果・課題を共有し、次なる災害への対応について議論する場としていきたい。
大事なのは、災害を知らない若い世代や地域に向けて、その経験と教訓をつなぐ、それを兵庫宣言として発信したい。そして創造的復興のコンセプトを、今石川県を中心に国内でも大きな被災地の復興があるが、石川県も創造的復興をコンセプトに取り入れるという動きが出てきている。世界各地で大規模災害などの直面する関係者と共有し、安全で安心な社会づくりに向けた貢献をするということが、本県の使命である。
そのようなサミットなどの時に、来県される方が多くいるので、人と防災未来センターの視察はもとより、防災関連も含めたひょうごフィールドパビリオンに来ていただき、県全体でおもてなしをする、兵庫県と神戸市、経済界をはじめ、県内全体でオール兵庫で、おもてなしをしていくという場づくりを来年度からスタートしていきたい。[伊藤県議コメント]最近発災直後の職員の方の行動を書物で読んだり、職員のOBの方から聞いたりする機会があった。すさまじい毎日を送っておられたと思う。これを伝えていかないといけない。まさに能登半島で起きていることに活かせることばかりであると思ってお聞きしていた。そういう意味で全国、全世界に発信すると同時に、県庁内でも30年前の職員は頑張っておられたということも情報共有してほしい。 -
3. 高等教育の支援のあり方について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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4. 奨学金返済支援事業の拡充について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]本県が行ったアンケート調査では、奨学金の「平均借入総額」は、約310万円。「平均返済期間」は約14年。また、「奨学金の返済が卒業後の就職先の選択に影響する」と答えた学生は、約82%だった。また、奨学金の返済は「結婚」、「持ち家の購入」、「子どもを持つこと」、「子育て」について約94%が影響すると答えている。つまり、300万円を超える奨学金返済の負担は極めて大きく、就職、結婚、子育てに影響が出ると考える学生が圧倒的多数を占めているが、同制度を利用する企業に就職した従業員からは、「企業選択の要因になった」あるいは「福利厚生を重視した会社は社員を大切に思っている」といった声があり、兵庫県での人生設計を描く若者に好影響を与えていると思われる。
また、企業からは「求人応募が増えた」「早期離職が減少するなど、若手人材の定着に効果があった」との喜びの声が寄せられ、企業側の満足度も非常に高い制度であることがうかがえる。
新制度案は「最大補助期間」を現行の最大5年から、最大17年に大幅拡充、補助総額の拡大、対象年齢の引き上げ、ワーク・ライフ・バランスや女性活躍に取り組む企業への推進など、他都道府県の奨学金返済支援制度を超え、中小企業の人手不足解消が大いに期待される。
他方、先の対策会議では期待と評価の声が多数である一方、「県民の立場から言うと、実はあまり知られていないのが実情」、「制度の周知徹底がより一層望まれる」との意見もあった。現在、本制度を利用する企業は、製造業などが中心で、観光業や深刻な人手不足といわれる運輸・物流関係などの企業が少ない印象である。ゆえに、本制度の周知のあり方には改善と工夫の余地が多分にある。
知事は、今後5年間でこの制度の導入企業1、000社、利用者3、000人を目指したいと発表され、企業負担分を各市町が負担することも期待していると言及されている。こうした目標や展望も踏まえ、あらためて本制度の拡充についての意義や具体的な取組、また、参加企業数や人手不足が顕著な業種への拡大などを含めた周知のあり方について所見を伺う。[斎藤知事]今回、人材検討の会議の中で議論した結果、まずは今年度から負担割合を県3分の2、企業3分の1のなかで制度の拡充を従業員負担をゼロとするよう、今年度実施した。前年度同期比で30%プラスの申請が今増えているところだ。一方で県が実施した調査では、実際の借入額、返済期間が15年程度300万ということで、現行の支援制度は5年90万なので、そこの乖離があるということで、やはり拡充してほしいという意見が企業などからもあった。そこで、予算案のなかでは、まずは対象年齢を30歳未満から40歳未満に緩和すると、これは新卒だけじゃなくて、Uターン人材、転職人材を確保するためにも、40歳未満までふやして拡充するということが大事だという意見があった。それから、5年間最大の補助期間を最大17年まで延長するという拡充を行うと、そして最大300数万円の支援をするということを考えている。これによって、大事なのが、若者の経済的負担の軽減をしていくということが一点。そして企業にとっては人材確保のみならず、定着に繋がっていくということが期待される。それで三つ目は、ミモザ企業とかSDGsの認定を受けていただくことで、若い世代に選ばれる企業の裾野を広げていくという議員ご指摘の一つの政策で、三つの効果を生み出していくようなことを狙っている。問題はご指摘の周知である。まだまだ周知が不足しているので、経済団体などを通じて企業への案内、PRをやっていく。さらに大学生、これは県内の大学のみならず首都圏をはじめとする他府県、とりわけ首都圏と大阪が中心となる。そういったところへの周知、PRが大事であるため、来年度以降行っていく。[伊藤県議コメント]自身の頃に比べると額的にも倍以上になっているので、まず周知徹底していただき、つかっていただく学生や企業をふやしていくことである。なにより、社員が定着してくれるのが大きいと思う。UIターンにもつながる取組の一つではないかと思う。知事も言われていたが、一つの施策で、たくさんの効果を生むと思うので、周知徹底をお願いしたい。 -
5. 大阪湾流域別下水道整備総合計画の改定について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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6. 帯状疱疹ワクチン接種補助について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]帯状疱疹の原因は、多くの人が幼少期に感染する水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」であり、水ぼうそうが治った後も生涯にわたって神経に潜伏感染しているウイルスが、加齢や疲労、ストレスなどによって免疫機能が低下することでウイルスが再び目覚め、帯状疱疹として発症する。加齢などによる免疫低下やストレスなどから、50歳代の働き盛りの年齢から発症頻度が増加し、70歳代がピークの疾病で80歳までに3人に1人が発症するといわれている。
帯状疱疹になると痛みにより、家事ができない、仕事に集中できない、眠れないなど、日常生活に支障をきたすと共に、患者の約10%から20%が後遺症ともいえる帯状疱疹後神経痛に移行するといわれ、その割合も高齢化とともに増加し、50歳以上で2割、80歳以上では3割の方が移行すると報告されている。
帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹が治癒した後も続くひりひり、チカチカ、ズキズキ、締め付けられる、電気が走る、と表現されるような痛みが生じる。また、合併症としては発熱や頭痛、神経の流れに沿って障害を及ぼすことから、目や耳など感覚器官の神経を傷つけると、視力の低下や難聴などを引き起こす。運動神経を傷つけると、腕が上がらなくなるなどの麻痺や、排尿障害など社会生活に大きな支障をきたす疾患であることから、発症予防のため2016年より使用可能となったのが帯状疱疹ワクチンである。
全国で助成制度の実施が進み、来年度実施予定自治体数は400を超えると見込まれている中、1月26日に開催の県・市町懇談会において、新規事業として帯状疱疹ワクチン接種への支援が示されたことに対して、大変高く評価している。各市町議会でも評価の声が上がっている。
長年にわたり訴えてきた補助制度なので、国の定期接種化が実現するまでは、ぜひ継続させてほしいと思うが、令和6年度限りとされていることに対して、随伴事業として帯状疱疹ワクチン接種補助制度を前向きに検討していた市町にどのように説明されたのか、また令和7年度以降は令和6年度の市町の実施状況をふまえ対応を検討、とされている点についても所見を伺う。[片山副知事]現在の物価高騰の状況をふまえて、市町がワクチン接種費用の助成を行う場合、令和6年度の単年度事業として、市町への支援制度を創設することとしたところである。市町との調整にあたっては、6年度補正予算で接種者への助成事業を創設する際に、年度当初の4月12日にさかのぼって対象とする場合の取り扱い。次に令和7年度以降の県の対応方針、さらにワクチンの安定供給などについての問い合わせをいただいた。
れに対しては、市町が6年度途中に制度を創設し年度当初にさかのぼって対象とする場合については、県は市町への支援を行うとの趣旨から年度当初から対象とする。ワクチンについては、メーカーや医薬品卸業協会等と連携し安定供給に努める。さらに、令和7年度以降の対応については、国に定期接種化の要望を行うと共に、市町の助成制度の導入状況やワクチン接種率を踏まえて引き続き検討していく。[伊藤県議(再質問)]令和7年度以降は6年度の市町の実施状況、ということで導入状況で検討するということであった。制度を作っても、周知に時間がかかったり、令和7年度当初予算でやっていこうと決めれば、令和6年度、年内にいろいろと決める必要があるので、導入状況をふまえたというところを、どのような条件で判断するのか、どのような時期に判断するのか。[斎藤知事]国にしっかりと要望を進めていく。その中で令和6年度予算でさせていただくという形にするので、まずは国の動向をみながらとなる。市町がこれから実施していくので、周知しながら県民・市民・町民が受診していただける状況になっているかを上半期に確認し、年内には市町の予算編成があるので、年内には今後の見通しができるように進めるというのが今年、来年度の大きな方針である。状況を踏まえながら、令和7年度の実施についてはそのように検討していきたい[伊藤県議コメント]要は上半期の状況を踏まえて年内にということだが、これで的確に判断していただきたい。 -
7. 不登校対策について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
松尾智美県議
[質問項目]
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1. 「救急安心センター事業♯7119」の全県展開について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]消防白書の資料によると、兵庫県内の2022年の救急出動件数は32万3,440件で前年より4万8,620件増加している。出動したうち、病院への搬送が不要だった方と病院へ搬送したうち軽症だった方を合わせると約半数を占めるという。
総務省消防庁は、ケガや病気で救急車を呼んだ方がいいか迷った際の、電話相談「救急安心センター事業♯7119」を全国展開するため、各都道府県に導入を促しており、1月現在で全国24地域、都道府県単位では東京、大阪、奈良、京都等、18都市が実施している。
一方、本県では「子ども医療電話相談♯8000」は、2005年6月に県内全域で導入し「子どものケガや病気で心配なとき、何度も相談した。本当に助かった」との、声をよくお聞きする。しかし、大人の「救急安心センター♯7119」については、全県ではなく、2017年に増え続ける救急車の出動要請を抑えるため、神戸市にはじめて導入され、2019年から芦屋市も参入、24時間365日、看護師等が対応し緊急性が高い場合は、そのまま119番につなぐ。本年1月には、姫路市も導入を開始したところである。
神戸市地域医療課によると、2018~21年は、年9万~10万件対応し、22年には約13万と、相談件数はさらに多くなっている。一方で、同市が市民を対象にインターネットで実施した♯7119の認知度アンケートでは、開設から5カ月後67.8%、5年後68.3%と、認知度はほぼ変わらず、対応件数は増えているのに認知度が上がっていないとの課題もある。番号だけでなく、なぜ必要か、どんな時に利用するかを伝える動画配信など、周知を強化しているが、対象が神戸市・芦屋市・姫路市の3市に限られ、利用できない隣接自治体の住民らに配慮して広く宣伝しにくい事情もある。
緊急性を感じたときは、迷わず119だが、迷ったとき、不安な時、落ち着いて相談することができる♯7119があることで、県民は安心し、不要な出動、それに掛かる出費も減らすことができる。また、兵庫を訪れた国内外の方でも、わかりやすく利用していただくためにも、県内全域で展開し、迷ったときは♯7119との、認識を広く周知することが、救急車の適正利用、持続可能な救急医療の構築につながるのではないか。
さらに、今後は本県でも高齢化の進展等により救急需要は増大すると予想される。県内の「救急安心センター事業♯7119」に係る検討状況と今後の方向性について所見を伺う。[遠藤防災監]県では、県下消防長会からの要望を受けて、昨年6月、危機管理部や保健医療部、県下の消防長会の職員等で構成する研究会を設置し、♯7119の全県展開のあり方について、都府県の実施状況等も参考にしつつ調査研究を行っている。これまでのところ、全市町と県が実施主体となり、既存の神戸市等3市の事業を拡大する方向で議論している。
来年度、県内市町に対して♯7119事業への参加意向を確認した上で、県・市町で構成する協議会の設置など適切な実施体制をどうしていくのか、あるいは費用負担のあり方をどう整理するのかといった課題について、PR方法も含めて検討し、全市町の一斉導入をめざしていく。 -
2. 自転車用ヘルメット購入応援事業について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. プレコンセプションケアの推進について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]働く女性が増える一方で、晩婚化などで不妊に悩む方が多くなっている。その対策の一つが「妊娠前からのケア」であるプレコンである。「プレ」は前もって、「コンセプション」は妊娠を意味しており、思春期以降の若い男女が身体について、適正な時期に適切な知識・情報を得て、自分たちの生活や健康に向き合うことである。それによって、女性やカップルがより健康になること、健やかな赤ちゃんを授かるチャンスを増やすことを目的にしている。
また、将来における妊娠希望の有無にかかわらず、仕事や結婚など、ライフプランを立てる上でも、プレコンの取組は大切である。そして、健康を支えるご家族、行政や教育機関、あるいは男女ともに仕事と育児を両立できるよう事業者の方などにも、ぜひ知っていただきたい。また、プレコンが必要な時期は、小学校高学年から40歳半ばまでといわれている。
先日、淡路のある中学校で「プレコンセプションケア命の教育」の授業を見させていただいた。こころとからだの変化や性についての知識だけではなく、科学や法律に基づいて「命はどこから始まるのか」「3億分の1の確率で生まれてきたキセキ、みんな愛されて生まれてきた」「妊娠したいと思った時のために、自分の体を大切にしてほしい。同じように相手のことも知って、お互い尊重することが大事だよ」と命に寄り添い、命の誕生に携わる助産師が、専門職の視点を踏まえ、温かい授業を行われていた。
講義を受けた生徒からは「一つしかない命を大切に。自分も相手も大切にして生きていけるようにしたい」等々、感想があがっていたと聞いている。生徒たちが命の重さや大切さを心に留められていることに、意義の深さを感じた。また、姫路・西播磨中心に活動している助産師の方からは、「学校の先生も伝え方に苦労しているところ、いつもの先生とは違う講師がすることで、児童生徒の受け止め方も変わる」といわれていた。
県内の子どもたち一人ひとりが将来望む人生に必要な知識を得て、備えられるように学校教育と連携して、段階的にプレコンの教育を取り入れていくことは非常に重要だと考える。
斎藤知事が若者・Z世代支援パッケージの1つの柱として、不妊治療支援の中にプレコンセプションケアを推進するとされたことは、素晴らしいと思う。そこでこれからどのように進めていくのかを伺う。[斎藤知事]不妊治療支援検討会の中間報告においても、医療機関や不妊治療当事者への実態調査を踏まえ、プレコンセプションケアの推進が必要であると提言された。
令和6年度から高校生、大学生を対象に助産師等を講師として派遣する出前講座を高校、大学でそれぞれ実施していきたい。妊娠・出産、身体の知識、それらを含め自身が望む将来設計などについて考えていく機会を広げていきたい。
また、周知について、啓発動画を作成すると共に、2月1日から不妊治療応援サイトを県で開設した。またSNSなどを活用し、若い世代への情報発信を強化する。啓発リーフレットやポスターも作成し、幅広く周知していく。
さらに、仕事と治療との両立が大事であるため、県内の中小企業を含めた企業の経営者や管理職にとっても理解を促すことが大事である。こういったセミナーを開催していくため、官民連携が重要で、特に民間の保険会社において、医療関係の特約で不妊治療の対外受精などに給付されるサービスが増えてきている。しかし、それを知らない若いお母さん世代も多いため、知る機会を設けることも大事である。長く続けていくために不妊治療に特化した全国初の条例制定に向けた検討に着手していく。[松尾県議コメント]出産するのは女性だが、男性が正しい知識を持っておくことは大事である。結婚するしない、また妊娠を希望するしないも含めて、いろいろな選択肢があるが、その選択をする前に知ることで、選択できることが増えてくる。プレコンセプションケアが当たり前になるように推進していきたい。また、高校生や大学生への出前講座実施にあたり、助産師等専門職の方に担って頂けるということで命の誕生に係る方のことばの重みもあるかと思う。県内すべての高校や大学で実施できるような仕組みづくりをしていただきたい。 -
4. 姫路の宿泊需要拡大に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]官公庁は、昨年の訪日外国人観光客による支出が5兆2,923億円となり、過去最高を記録したと発表した。訪日客数はコロナ禍前2019年の約8割まで回復し、円安の影響もあり、より多くのお金が使われるようになっている。訪日客の消費拡大を加速させるうえで重要な指標となる1人当たりの平均宿泊日数が、2019年の8.8泊から10.2泊に増加した。宿泊数の増加の背景には、長期滞在を促す「体験型」観光が広がっていることがある。
一方でインバウンドとして関西国際空港を利用された観光客の9割が、京都と大阪に流れており、「兵庫を選んでもらうこと」と「訪日客の延べ宿泊者数を増やす」ことが、本県の観光課題である。延べ宿泊数を増やすことは、姫路にとっても大きな課題だが、特に平日の宿泊客を増やすことが重要なカギを握っている。
そうした中、姫路市では2022年12月11日から本年3月にかけて、姫路城世界遺産登録30周年記念事業を展開し、文化振興・地域活性化を図るイベントや市内周遊型ナイトツアー、SDGs体験型プログラムを様々開催し、国内外の観光客の誘客に取り組んでいる。
その効果もあり、今年度の姫路城の外国人入場者数が、過去最多の40万人台にのるペースで進んでいる。姫路城外国語ガイド協会によると、以前はアジア圏の観光客が多かったが、昨年上半期では欧米からの観光客が約6割を占めているようだ。さらに、高い経済効果が期待できるMICEについても、2021年9月に完成した姫路市文化コンベンションセンター「アクリエひめじ」を活かした誘致活動を展開し、昨年は国際会議が7件、本年6月には日本初となる「世界銀行の防災国際会議」の開催が予定されるなどポテンシャルを発揮している。
また、国内客の平日宿泊に繋がるワーケーションにも取り組み始めている。具体的には、姫路北部でハーブの香りに由来する癒し効果を通じて、心身の健康を感じながら充実して過ごしていただく、ハーバルヘルスツーリズムを発展させた姫路独自の「ハーバルワーケーション」等を推進している。2025年に開催される大阪・関西万博や瀬戸内海国際芸術祭など、国内外の観光客を取り込める絶好の機会が控えているが、宿泊客を増やすためにインバウンドの獲得やMICEの誘致、ワーケーションなどにどのように取り組むのか。[原田産業労働部長]中播磨地域については、平成30年度に5つのホテルが姫路市内に開業し、令和4年度の宿泊客数はコロナ前の令和元年度と比較すると、約4割増加している。今後、さらに姫路の宿泊者数を増やすためには、一つには国内外の観光客の関心を引く情報発信、そしてもう一つはビジネス層の取込が重要となる。
まず、情報発信としては、ファムトリップによる旅行会社等への宿泊施設やフィールドパビリオンなど体験プログラムの魅力紹介、訪日外国人、WEBマガジン等での姫路城のライトアップなど特別なイベントの情報発信に努める。さらに、姫路ユニバーサルツーリズムセンターとも連携し、高齢者や障害者等、だれもが生きやすいユニバーサルツーリズムの環境づくりを進めていく。
ビジネス層の取込については、アクリエひめじなどでのMICE誘致とともに、МICE前後のエクスカーションなどに観光コンテンツを組み込むことにより、県内周遊に繋げていきたい。また、平日の需要喚起、長期滞在に繋げるために働きながら旅行先に長期滞在できるワーケーション対応施設を県公式観光サイトで紹介し広く発信している。 -
5. 豊かな海に向けたカキ殻の有効活用について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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6. 国道250号広畑地区の4車線化の整備促進について
質問と答弁のダイジェスト
[松尾県議]私の地元、姫路広畑地区の主要幹線である国道250号は、通称「浜国」と呼ばれ、播磨臨海地域から京阪神方面へ往来する車両が、国道250号を経由して姫路バイパスを利用することで、慢性的な渋滞が発生し、渋滞を避ける車両が周辺地域の脇道や生活道路へ迂回し、地域住民の安全を脅かしている。
この播磨臨海地域の一角を成す姫路市南西部の臨海部は、鉄鋼や化学産業の製造業等が立地し、我が国の経済の発展に重要な役割りを果たしている。さらに、姫路港国際物流ターミナル整備事業として、広畑地区で令和12年度までの間に、臨海道路広畑線の4車線化や公共岸壁、臨海道路網干沖線の整備などの基盤整備が進んでいる。これにより、本地域におけるものづくり産業の集積と経済発展がさらに促進される見通しだ。
そのほか、臨海部と国道2号姫路バイパスを南北に直結する県道広畑青山線(夢前川右岸線)は令和7年度の暫定供給開始、姫路市施行の広畑幹線は令和9年度の4車線化完成に向けた整備が進められている。今後は、姫路市南西部から国道2号姫路バイパスへのアクセスは、中地ランプ経由から、姫路西ランプ経由へと交通転換が進むことが予想される。
これら事業完了後は、益々播磨臨海地域への物流が活発化し、同区間を利用する車両が増え、今以上に地域の日常の安全・安心を脅かす事態が生じるものと思われる。
これらの状況を未然に防ぐため、姫路市は臨海道路広畑線と接続する市道広畑60号線の4車線化の検討を進めているが、国道250号は2車線しかないため、それだけでは渋滞緩和の根本的な解決には至らない。そこで、県管理の国道250号、吾妻二丁目から正門四丁目の約500m区間の4車線拡幅整備について、昨年、県に対し要望書が私の地元自治会から提出され、また、先日開催された中播磨地域づくり懇話会でも、清元姫路市長から斎藤知事に要望がなされたところである。
地域住民の生活環境の改善と安全安心を守るため、本事業の積極的な取組を期待するが、当局の認識や検討状況、今後の見通しについて伺う。[杉浦土木部長]国道250号が通る播磨臨海地域は、全国屈指のモノづくり拠点で、工場等への材料搬入や製品出荷等の物流は、東西幹線である国道250号が担っている。また、市街地も東西方向に形成されていることから、日常交通も集中している。
このため、広畑地区付近の国道250号の交通量は、一日当たり約2万台と非常に多く、また車線数も2車線と少なく、さらには交差点も多いことから渋滞が発生している。加えて、周辺で臨港道路広畑線、県道広畑青山線、播磨臨海地域道路等が将来的に整備されるという予定になっている。現時点で、ご指摘の国道250号の吾妻二丁目から正門四丁目の区間について、具体的な事業計画はないが、周辺の渋滞状況を正確に把握する必要があるので、現在、平日・休日の交通量や交差点の渋滞の長さなど、交通実態調査を行っている。
渋滞解消には、道路の4車線化や交差点への左折・右折レーンの設置等の対策が考えられる。現地の渋滞状況や、姫路市の都市計画道路ネットワークの状況も踏まえて、どのような対応が必要か検討していく。 -
7. 交差点名標識の点検と更新について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
麻田寿美県議
[質問項目]
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1. 防災対策について
質問と答弁のダイジェスト
(1)女性の視点を防災対策に取り入れることについて
[麻田県議]2022年末時点の内閣府の備蓄品に関する調査を紹介する。乳幼児品では粉ミルクまたは液体ミルクの備蓄が72.5%であるのに対し、生後半年頃から必要となる離乳食は全国の自治体の14.3%、乳幼児の湯沸かし器具や煮沸鍋などは11.6%と乳幼児等の備蓄品の確保が進んでいない状況である。
また、過去の震災では避難所での女性特有の様々な課題に直面した。例えば、男性の目が気になり、下着を干すことができなくて困った。着替える場所がなく、布団の中で着替えた。レイプや児童虐待などの事件が発生していたので、怖くて夜はトイレに行けなかったなどである。
その背景と要因の一つに、防災対策において、女性のニーズや視点が反映されにくい体制であることが考えられる。政府は、地方防災会議の女性委員登用率を2020年30%を目標にしていたが、2025年まで延長した。なお、本県の女性委員登用率は、令和4年度に4名増加し20.7%と全国平均の19.2%より上回っているが、政府の目標には到達していない。また、令和5年度における防災・危機管理部門の女性県職員の配置状況は、18.1%、女性管理職は0である。さらに、県内の自治体に目を向けると、災害に対応する防災・危機管理部門に所属する女性職員が1人もいない市町は全体の58.5%となっている。
言うまでもなく、地震はいつ起こるかわからない。何度も災害を経験し、その都度対策を講じているが、女性の視点を取り入れられる防災体制づくりと、女性や乳幼児等に配慮した災害支援を直ちに進めることが必要だと考える。例えば、県が率先して女性の視点を取り入れた避難所管理運営指針等の策定や備蓄品選定を進めることで、市町の対策にも一定の反映ができるのではないか。
県はこのたびの能登半島地震に伴い支援本部を設置している。被災地からのニーズ把握・情報収集を踏まえ、女性の視点を防災対策に取り入れることについて、どのようにとらえ、対策を講じていくのか。[斎藤知事]県及び市町の防災関係職員、そして地域防災会議への女性の参画を現在以上に高めていく。今回の能登半島地震に伴い、被災地支援においても、県内から女性職員を派遣し、避難所運営支援等で女性の避難者からきめ細かなニーズを聞き取ることができた。
災害対策として、県では女性や乳幼児向けの備蓄物資、例えば生理用品や液体ミルク。そういったものが重要なので、引き続き物資の確保と共に、昨年9月には離乳食等乳幼児用品を専門的に扱う事業者と初めて災害時における物資提供の協定を締結し、今後防災訓練等にも参加していただく。
県の避難所運営指針に女性等への配慮として、ご指摘いただいた更衣室・授乳室の確保や女性職員による女性用品の配布等を定めている。さらに、地域防災と女性に関する防災リーダー講座での学習や男女共同参画センターでのセミナー等、これからも人材育成に努める。[麻田県議コメント]県も女性委員の登用を4名増加ということで名簿を拝見したが、当て職が多い中、女性の意見を取り入れることに配慮いただいていると思うが、引き続きお願いしたい。能登半島地震を踏まえて、公明党女性局の方に声があがっている中で1つ紹介したい。断水になり、哺乳瓶を洗うことができないという事例がある。インナーバックというビニール袋のようなものを哺乳瓶に入れることで哺乳瓶を洗う必要がなくなる。ほかの自治体では哺乳瓶用インナーバックをすでに防災備蓄品として揃えている自治体がある。このような具体例も含めて公明党女性局の声が上がってきており、女性が入ることで視点が広がる。(2)ひょうご防災リーダー養成講座について
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2. パートナーシップ制度の創設について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]県は、令和6年4月よりパートナーシップ制度の創設を予定している。県内市町へ実施したアンケートの回答結果では、本制度の導入により期待される効果として、性的マイノリティへの社会的な理解が進む、当事者の精神的苦痛や不安が軽減され安心感につながる等があげられている。
当事者の日常生活の困りごととして、パートナーが入院の際の手続きや付き添いを拒否される。公営住宅の入居申込みでは、同居者は親族に限られる。パートナーの子どもとの関係を理解してもらえないなど様々な場面で拒絶され、社会から認められていないと感じている。生きづらさを抱え、不安が顕在化している。
県内ではすでに17の市町がパートナーシップ制度を導入しているが、運用開始時期を含め、内容にも差がある。例えば、記載できる家族のこと、あるいは事実婚を含めるかなど、制度内容も一律ではない。つまり、すでに導入している市町での行政サービスとの整合性、また重複申請への対応などの課題が生じてくる。一方で未導入の市町においては理解が得られているのか懸念される。
今回、県としてリーダーシップを発揮し、本制度を創設することは評価しているところではあるが、各自治体間の連携や相互利用など一つずつ対策を講じ、パブリックコメントでの意見などにも丁寧に対応していただきたいと考える。さらに、先行した17市町以上の施策として、例えば県がパートナーシップ制度で証明された職員に対し扶養手当の支給対象とするなどの運用の拡充が必要だと考える。
県として多様性を認める姿勢は、社会的にも影響が大きく、波及効果がある。LGBTQ等性的マイノリティへの理解の輪の広がりは、多様性を尊重する共生社会づくりである。
そこで県がパートナーシップ制度を導入することの意義について、県当局の見解を伺う。[斎藤知事]この制度は、性的マイノリティのカップルなどが抱える日常生活での困りごと、例えば病院での面会や公営住宅の入居、保育園の送り迎えなど、そういったことを解消するほか、当事者の不安の解消も目的にしているものである。県制度の導入により、当事者の居住市町に関わらず、制度が利用できるという公平性、安心感、ひいては県民だれもが安心して暮らせる環境づくりにつなげていく。 一方で、制度の有無、制度内容の違いにより利用できる行政サービスなどが市町により異なっている。これから大事なのは、4月に導入した後、県、そして市町が連携して、制度の相互利用を図ることで、利便性向上、そして利用できる行政サービスの充実をさらに図り、深めていく、高めていくことが大事である。近隣府県との広域連携も進めて、転居に伴う手続きの簡素化なども、利用者の負担軽減にとって大事である。その他にも、オンラインの申請をするなど、配慮しながら精度を進めていきたい。
ご指摘の県職員の制度利用者への対応について、県においても制度利用者に対して扶養手当の支給対象とする方向で検討を進めていく。現在県制度については、素案を本年1月に公表し、パブリックコメントで500件を超えるご意見をいただいた。賛成意見が7割を超える一方で、制度の内容に対する様々な反対も含めた意見もある。ご意見に対する県の考えを丁寧にホームページなどで公開、そして整理し4月1日からの運用開始に向けて準備していく。 -
3. 特別支援学校における地域交流について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]県内の特別支援学校に児童・生徒数は右肩上がりに増加している。伊丹市・宝塚市・川西市・猪名川町・西宮市の一部地域の知的障がいの児童・生徒を対象とする県立こやの里特別支援学校でも、平成25年度には315名であった在籍者数が令和5年度には455名と、直近10年間で140名増加している。
そのような中、令和6年4月に私の地元の川西市丸山台に県立川西カリヨンの丘特別支援学校が開校する。当該地域は、高齢者の多い住宅地である。県教育委員会は、新校舎の建設以前より地域住民に対して説明会を複数回実施し、地域との関係性を尊重してきた。地元住民からは、近隣に公立の小学校があることからも、建設車両の通行ルートや開校後に通学バスルート、また教職員の通勤による自動車往来の増加など諸問題について危惧する声もあったが、地元住民の不安な声や意見に耳を傾け、対策を講じていただいた。住民を代表し感謝申し上げる。その新校舎に、昨年12月15日、私は猪名川町議会議員と共に新校舎を訪れ見学させていただいた。学校長からは、11月に地域住民を対象に校舎の見学会と説明会を開催した際のお話を伺った。その学校見学会・説明会には、学校側の予想以上に多い、178名の住民の方が参加されたとのこと。それだけ地域で多くの方が関心を寄せられている。
そのような中、本県ではこれまでも特別支援学校に在籍する児童生徒等の自立や社会参加を支援するため、地域との交流活動や自然体験活動、社会体験活動の充実を図っている。来年度はさらに地元住民や小・中・高等学校の児童・生徒を招いて、絆を深める交流活動を実施することが予定されている。特に川西カリヨンの丘特別支援学校は、これから始めて地域との交流を進めていくことになるが、地域住民と一緒に取り組む姿勢が大切であると考える。
地域住民と特別支援学校の児童・生徒が交流する機会が増えれば、子どもたちの自立と社会参加の促進につながる。住民にとっても、特別支援学校を身近に感じられる機会となり、障がい者理解につながり、地域共生社会の実現に向けた一歩となる。
また、地域との交流が深まることで、日中に「もしも」の災害が発生した時の共助、助け合いがスムーズにできるのではないか。新設の川西カリヨンの丘特別支援学校はもとより、全ての県立特別支援学校において、地域との交流をさらに深める取組を進めてほしいと考えるが見解を伺う。[藤原教育長]県立川西カリヨンの丘と特別支援学校開校に向けては、川西市のご支援、議員ご指摘のあったとおり地域の方のご理解とご協力に感謝申し上げる。開校に備え、県立こやの里特別支援学校の分教室の子どもたちが当該地域の生活道路の落ち葉の清掃を行うなど、地域への参画も始めており地域との交流が今後とも推進されることを期待している。
特別支援学校では、副籍により地域とのつながりを維持・継続し深める居住地校交流を推進しており、今年度から県内全域で展開している。あわせて地域での販売学習、高齢者施設への訪問等、校外へ出かける交流活動も積極的に進めている。
来年度は、新たに制定する「ひょうご教育の日(仮称)」にあわせ、県立特別支援学校「絆」プロジェクトを実施する。高齢者も取り組みやすいパラスポーツ体験会や校内カフェの開催、秋祭り等の地域行事や地域合同防災訓練への参加等、各学校が地域の特色やニーズに応じた相互交流を行い、絆を深める取組をさらに推進していく。
県立川西カリヨンの丘特別支援学校の開校とともに、この4月から兵庫県特別支援教育第四次推進計画もスタートする。地域との交流・連携を一層推進し、特別支援教育への理解促進と共生社会の実現を図っていく。 -
4. 県民まちなみ緑化事業における継続的な緑化活動への支援について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. 孤独・孤立対策推進法の施行に向けた県の取組状況について
質問と答弁のダイジェスト
[麻田県議]公明党は、これまで党内に社会的孤立対策本部を立ち上げ孤独・孤立策について国の中でもリードしてきた。2021年2月には関係省庁連絡会議を設置し、実態把握と対策の検討を進めることを政府に緊急提言している。そして国会質疑においても「関係省庁が連携して、しっかり対応する体制を検討する」との政府答弁を引き出し、内閣官房で孤独・孤立対策担当室の新設が実現した経緯がある。その後も、党として実態調査や提言などを行い、政府の取組を推進している。
各自治体やNPO等の団体では、生活困窮者等支援、フードバンク支援、住まいの支援、ひきこもり支援、自殺防止対策等の様々な支援、多様なニーズに応じた対応を行っている。しかし、孤独・孤立の状態にある人らは、生活困窮などの困り事や悩みがあっても、自ら助けを求めることができずに、追い詰められてしまうケースも少なくない。その悩みも様々な要素が複合的にからみ合っていることもある。まずは孤独・孤立にある人が、相談窓口や支援者につながるための体制づくりが必要だが、自治体間による差も見られる。また、NPO等の団体においては運営基盤が弱く、支援者への支援も必要である。
孤独・孤立対策推進法の施行にあたり、地方自治体は国とともに当事者支援団体等との連携・協働体制を構築することが求められている・そこで、県においては市町やNPO等の関係者による地域に根差した支援活動が広がるとともに、相乗効果が発揮できるよう、孤独・孤立対策の取組をどのように進めようとしているのか。[生安福祉部長]県では市町や当事者支援団体等と連携して、生活困窮世帯への食品配布等に取り組むフードサポートネットの推進、オンラインでの居場所の設置等によるひきこもり支援対策、ゲートキーパーや24時間電話相談体制による自殺防止対策など、課題ごとに孤独・孤立状態にある方への支援を進めていく。
これらに加えて、孤独・孤立対策の推進には福祉に限らず、分野横断的な取組が必要なことから、来年度新たに、庁内関係部局に有識者を加えた連携推進会議を立ち上げ、各分野の孤独・孤立に関する現状や課題を共有し、取組方策を検討していく。また、市町、社会福祉協議会、専門職団体、NPO等の支援団体が参画する公民連携のプラットフォームの立ち上げに向けた調整なども進めていく。 あわせて、市町の孤独・孤立対策や支援団体の活動実態等を調査するとともに、市町との会議において調査で把握した課題や支援ニーズ等を共有し、支援体制の整備を働きかける。[麻田県議(再質問)]孤独・孤立対策については、答弁からはこれからというように受けとれたが。[生安福祉部長]地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームのことを指摘されていると思うが、この事業は継続的なものではないということもあり、本県として広域的自治体として、市町との連携や広域調整も視野においたプラットフォームを形成していかなければならないということもあり、来年度しっかり議論し、実効性のあるプラットフォームを策定したいと考えている。
一般質問
岸本かずなお県議
[質問項目]
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1. 県職員の働き方改革について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]私が入庁した時の知事は坂井知事であった。それから貝原知事、井戸知事のもとで仕事をさせていただいた。いわば私も古いタイプの公務員である。そんな中、これまでの流れをくまない新しいタイプの斎藤知事が誕生した。前例によらない手法で次々と新たな施策を展開していくことは、わたしのように古いタイプの公務員にとっては、なかなか理解できないものである。
特に4割出勤に対しては、かなりの抵抗がある。私たちの時代は、県議会の質問待機で夜中まで残されたり、上司が返らないので帰れなかったりといったことがあった。家庭や地域を顧みず「県庁は不夜城」といって休日返上で仕事をしてきた。
しかし今、斎藤知事が打ち出された働き方こそ、時代の要請であり、新しい未来を形作る方向なのかもしれない。とはいえ、災害に対する対応だとか、増大する県民ニーズへの速やかな対応など、4割出勤に対する不安要素は多々あるので、進める上においてそれらの意見に真摯に耳を傾けていただき、万全の対応策は練っていただきたい。
そこで、知事の改革方針を共に進めるうえにおいて、一つ提案がある。それは職員の社会貢献である。知事は以前から「テレワークを進め、通勤時間を短縮することにより、その空いた時間を使って、県職員が地域コミュニティ活動へ積極的に参画することを促進したい」といわれていた。今、地域では高齢化によって担い手不足が顕著になっている。民生児童委員だとか町内会役員、保護司など社会にとって大事な役割を担う人々のなり手が不足している。これから高齢化の進展にともなってますますきびしくなる。
県職員が地域活動などに積極的に取り組むことは、社会貢献となることはもとより、職員の知見を拡げ、地域課題の把握と理解へとつながり、公務の遂行にも有効に作用する。そのためにも県が、在宅勤務制度の活用などにより、地域活動へ積極的に取り組み、県民本位を体現する職員の活動を認め、人事評価への反映や職務以外の表彰などを積極的に行うことで、職員の働き方に対する考え方も広がっていく。在宅勤務制度活用による職員の社会貢献について、所見を伺う。[斎藤知事]職員が、地域コミュニティ活動へ積極的に参画するということは、地域団体等とのネットワークを形成していくということ、そしてご指摘のとおり、それぞれの地域コミュニティを支える団体が、高齢化と人手不足に悩まされているので、そこを県職員が支えるといことになれば、その方々にとっても大きな力になる。なによりも職員自らもそうした経験をさせていただくことで、幅広い経験と多角的な視野を養え、県の行政サービスの質の向上につながっていくと期待する。
地域での活動経験を活かして新たな施策展開に貢献するなど、功績をあげた職員に対しては、適切に評価し、さらに社会貢献を促していくしくみも考えていきたい。
また、今年度からは報酬を得て行う活動を含め、職員が公務外で活躍することを後押しするため、「社会参画サポート制度」を創設した。 -
2. 土地開発公社の更なる活用について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. 加古川の未来に向けたインフラ整備について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]現在、播磨臨海地域の各工場への搬出入に使われている大型車両は、一般道を走行しているため、騒音や振動がひどく、沿道住民の皆様が大変悩まされている。私も議員になった当初より、数多くの相談を受けたが、根本的な解決策は、この道路が完成し、大型車両の一般道を走らず高速へと抜けることしかない。また、大型車両の交通利便性も図られ、経済効率が格段に良くなることは間違いない。その意味からも、早期整備のためには、住民の皆様のご理解が必要となるので、引き続き丁寧な説明を行って頂きたい。
そもそもこの道路の必要性の一つに、加古川バイパスの慢性的な渋滞がある。加古川バイパスは、大阪万博の関連で事業化され、1970年3月に開通した。すでに開通から53年が経過している。加古川バイパスが開通した当初の計画交通量は、一日当たり44,000台であったのに対し、現在では一日当たり約88,000台の交通量となっており、計画時よりも約44,000台もの交通量が超過となっている。
また、この加古川バイパスは擁壁を伴う盛り土方式で建設されているため、加古川市の南北が分断され、時間帯によっては、加古川バイパスの横断ボックスカルバートをくぐるのに大変時間がかかり、加古川市内の大きな交通阻害要因となっている。さらに、盛り土方式の横断ボックスカルバートの箇所などはバイパスの道路面が高くなることから、全線にわたってアップダウンが多く、追突などの事故が多く発生している。
以上のことから、これらの課題を解決するためには、加古川バイパスを盛り土方式から高架方式へと変える必要がある。ただ現在、この加古川バイパスは、東西交通の要であるから、止めてしまうわけにはいかない。
そこで今後、播磨臨海地域道路の整備のみならず、加古川バイパスの効果も必要であると考えるが所見を伺う。[杉浦土木部長]加古川バイパスは、アップダウンを繰り返す道路構造による追突事故の発生、また、近接する沿線住宅地への騒音、さらには盛土構造になっているので、交差道路が限られており、そのことに伴う南北道路の渋滞などの課題がある。このため、道路管理者の国により平成12年から「加古川バイパスリニューアル事業」が行われている。
このリニューアル事業においては、国がアップダウンを緩和するような工事、また騒音を軽減するための遮音壁の設置等を進めている。また、交差する道路については、県と市が交差部の住宅を解消する事業であるとか、歩行者用の新しい横断ボックスカルバートの設置などを行っている。国・県・市が連携して取り組んでいる。平成17年3月には、交差する県道加古川小野線河原交差点において車線数を増やす各幅工事が完了している。交差点の通貨時間が8分から、3分に短縮できたという事例もある。
ご提案いただいたバイパスの高架化については、これら多くの課題を抜本的に解消することができる。ただ一方で、延長が約12kmと長く、その整備には大きな費用と時間を要することとなる。したがって、まずは加古川バイパスリニューアル事業をしっかり進めることで早期完成を目指し、高架化については今後事業を行う播磨臨海地域道路の整備による交通状況の変化や、沿線地域の今後の開発動向も見極めて、長期的課題として対応していきたい。播磨臨海地域道路の早期実現と加古川バイパスのリニューアル工事等のインフラ整備を進めていく。 -
4. 放課後児童クラブの更なる拡充について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. パラスポーツの振興について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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6. 抜け道対策について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]通常、住宅街などの生活道路は歩行者の往来が多いので、歩行者の側方を通過する際に、十分な間隔を確保できないときは、本来ならば車は最徐行で通行しなければならない。地元住民であれば、そのことをよく理解しているので、細心の注意を払って通行しているが、地元以外の方が抜け道として通行した場合、考えられないスピードを出している場面をよく目にする。実際、加古川市内でも渋滞する路線が多くあるので、抜け道として使われている箇所が数多くある。
例えば、別府町にある私の家の前の道がそうである。南北に走る県道八幡別府線と東西に走る県道別府湊加古川停車場線が時間帯によっては大変渋滞するため、別府湊加古川停車場線と並行して走る私の家の前の道が抜け道となっている。
この道は車1台がやっとすれ違える程度の狭い道であるにもかかわらず、過去には死亡事故や車が横転する事故があった。いったいこの道を何キロで走っていたのかと恐怖に思う。また、明姫幹線坂井交差点から北に少し上がり、島文社宅を左折したところから古大内に抜けていく道も抜け道として多くの車が行き交っている。この道も大変狭く、車1台がやっとすれ違える程度である。ここでも過去に子どもが車と衝突し、数メートル飛ばされたと聞いた。
今、紹介した事例はごく一部だが、生活道路の抜け道利用が問題になっている地域が数多くある。このことから、町内会では、抜け道としての通行を禁止する看板を設置するなどの対策をとっているところもあるが、抜け道でスピードを出す車の走行を完全に止めることはできない。抜け道問題は加古川市内だけでなく、県内いたるところで発生している。どうか、県民が安全に安心して暮らせる生活環境をつくっていきましょう。
そこで、特に危険な抜け道については、県警において交通取り締まりの強化など、様々な対策をしていくべきだと考えるが所見を伺う。[村井県警本部長]幹線道路の渋滞対策としては、交通状況に即応した信号制御を行うことで渋滞の解消や緩和を図っており、生活道路への流入抑制に努めている。しかしながら、交通量が著しく多いといったケースは道路改良なども必要となることから、国、県等の関係機関から構成される「兵庫地区渋滞対策会議」に参画し、道路管理者や自治体等と連携してハード・ソフト両目からの対策を講じている。
また、生活道路対策としては、歩行者等の安全な通行を確保するため、県内の174箇所における「ゾーン30」の設定、通学時間帯における歩行者用道路規制等の交通規制を実施すると共に、幹線道路が渋滞する朝・夕の時間帯を中止として「可搬式オービス」による速度取締り、通行禁止違反等の取締りを強化している。 -
7. 投票率向上に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[岸本県議]昨年の統一地方選挙の内、兵庫県議会議員選挙の投票率は、39.01%であった。前回より若干増えたとはいえ、まだまだ低い投票率である。ちなみに全国の道府県議会議員選挙の投票率は、最も高かったのが島根県の55.82%、最も低かったのが埼玉県の34.92%であった。
また、昨年4月9日に道府県議会議員選挙が執行されたのは41県道府県で、そのうち投票率が30%台だったのは11県。関西2府4件でみても、30%台は兵庫県のみである。もっとも高かったのは、奈良県の54.96%であり、改めて兵庫県の投票率の低さを認識しなければならない。
私は、昨年の統一地方選挙のおり、多くの高齢者の方から次のようなお声を頂戴した。それは、「投票所が遠くて、足の便もないので、もう投票には行かない」とか「前回、投票に行ったら、投票所がバリアフリー化されてなくて転んでしまった。もう二度と投票には行かない」といった内容であった。
以前より、世の中では若者の政治離れが投票率の低下を招いていると指摘されてきた。確かに、若者の政治離れは深刻な問題であり、民主主義の根幹をなす選挙制度の必要性を今後もしっかりと伝えていかなければならない。それに加え、高齢者の皆様が投票環境の問題で選挙に行かなくなることは、あってはならないことだ。今後、ますます高齢化が進展する中で、投票環境の改善が図られなければ、さらに、投票率が低下していくことは、火を見るよりも明らかである。
憲法15条には、参政権は国民固有の権利となる。選挙は国民から奪うことのできない権利である。しかし、行きたくてもいけないのであれば、実質的に権利を奪っていることになるのではないか。そこで、今後の投票率向上に向けた取組について、所見を伺う。[永田選挙管理委員長]高齢者や障害者をはじめ、誰もが投票しやすい環境を整備することが非常に重要であり、例えば投票所内に段差がある場合には、臨時にスロープを設置したり、常時、人的介助を行う体制をとるなどのきめ細やかな対応を、市町選挙管理委員会とともに進めている。
一方で、人口減少・高齢化が進展するなかで、投票立会人の確保、これが非常に難しいが、これを理由とした投票所の再編が進みつつあり、投票率のさらなる低下につながるということが、懸念される。このため、投票所はできるだけ維持・確保することや、仮に再編する場合であっても、代替措置を積極的に検討するよう、市町選挙管理委員会に助言している。
昨年の県議選では、7市6町において、巡回・送迎バスの運行やタクシー等の無料乗車券の発行など、投票所への移動支援の取組が実施されたほか、各地のイオンモールなど、県内20カ所のショッピングセンターに期日前投票所が設置された。
選挙は民主主義の根幹であることから、一人でも多くの有権者が貴重な一票を投じることができるよう、今後とも、市町選挙管理委員会と連携を取りながら、投票しやすい環境づくり、これが非常に大事だと思うので、この環境づくりにこれからも全力で取り組んでいく。