議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第365回(令和5年12月)定例県議会
代表質問
島山清史県議
[質問項目]
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1. 県政改革方針と「攻めの県政」について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]いよいよ、大阪・関西万博まで500日を切った。会場建設費の拡大やパビリオンの準備の遅れなど、心配の声も上がっているが、兵庫県としては誘客による経済効果を最大化し、フィールドパビリオンの土台を築きあげていく必要がある。来年度、地域創生基金を活用し、令和5年度の2.5倍となるソフト事業に5億円を予定しているが、一部事業内容によってハード事業への活用も検討する必要があるのではないか。
令和4年度決算は、実質収支約60億円の黒字を確保し、財政基金残高も100億円を積み上げ、令和5年度も県政収入は当初予算を確保できる見込みとのことだが、分収造林事業や企業庁の地域整備事業会計の見直しにより、新たな後年負担の不安材料が明らかになった。当該事業の抜本的な改革が必要である。
さらに、元町周辺再整備についても、出勤率4割とし既存庁舎で対応との方針を打ち立てているが、今当局が行っている「新しい働き方モデルオフィス」の結果次第では庁舎建設の必要性も出てくる。先日行われた神戸市選出の県議会議員に対する神戸市からの来年度の県に対する予算要望の場で、改めて、久元市長から元町再整備に向けた兵庫県のビジョンを早急に示してほしい旨の要望があった。
神戸市ではウォーターフロントや三宮の再開発に加え、神戸空港の国際化などにより、新しく生まれ変わろうと躍動している。兵庫県も足並みを揃えて元町再整備に取り組むべきではないか。
今回「攻めの県政」として打ち出された施策は県政改革方針で打ち出している3つの基本姿勢①オープンな県政の推進、②「誰も取り残さない」県政の推進、③県民ボトムアップ型県政の推進と照らし、どのように考えているのか伺うとともに、令和6年度に向けて「攻めの県政」をどのように展開しようとしているのか所見を伺う。[斎藤知事]「攻めの県政」の推進にあたっては、県政改革で掲げた3つの基本姿勢で臨んでいる。1つが、約400団体で協議会を組成し推進しているフィールドパビリオン、それからプロスポーツチームと連携したスポーツの振興は、民間との連携を広げる「オープンな県政」を具現化するものである。2つめとして、特殊詐欺被害、さらには不登校対策等の強化は「誰も取り残さない」県政の取組である。また、3つめとして、教育費の負担軽減、県立高校の環境充実、さらには、不妊治療の支援等は、現場を訪れて、県民の皆様と直接対話する中で寄せられた声を踏まえた取組で「県民ボトムアップ型県政」の象徴的なものである。
令和6年度に向けては、まずは若者Z世代支援を重点に置いてまいりたい。すでに県立大学の授業料等無償化を打ち出している。今後奨学金の返済支援、国際教育の充実、若い世代の住宅確保支援策なども、順次具体化していきたい。
あわせて、高齢者の安全安心な暮らしをまもるということも、大変大事だと思っている。特に特殊詐欺被害については、過去最悪のペースで今年度も増加しているので、高齢者の財産のみならず心を守るという観点から特殊詐欺被害対策もしっかりやっていきたい。また、自転車事故を防ぐ対策としてのヘルメットの購入支援も集中的に実施していきたい。先日、ユニバーサルなお宿も発表したが、高齢者や障がいをお持ちの方が、安全安心にリラックスして楽しめるユニバーサルツーリズムも推進していく。
フィールドパビリオンについては、引き続き磨き上げを加速すると共に、受入環境整備も促進していきたい。元町の再整備は神戸市等とすでに研究会を設けて議論を進めている。4割出勤のモデルオフィスの検証結果を踏まえて、今後庁舎のあり方については検討していく。分収造林事業や地域整備事業会計について課題解決を目指していきたい。 -
2. スポーツによる地域振興について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. 物価高騰から県民生活を守る取組について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]今般、政府が決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」には、各地域の実情に合わせて、きめ細かな支援策を進めることができる「重点支援地方交付金」の予算が我々公明党の強い主張で実現した。この交付金を効果的に活用し、物価高騰から県民生活を守り、経済の着実な回復を図る必要がある。
これまで我が会派では3月20日にエネルギー価格高騰・物価高騰対策に関する知事への緊急要望として、食料品等の物価高騰に苦しむ一般家庭や中小企事業者等を支援するための「はばタンPay」等を活用したプレミアム付き商品券の発行や国の激変緩和対策の対象外となっていたLPガスを利用している一般家庭に対する負担軽減策など、一貫して具体的な物価高騰対策を提案してきた。
この9月11日から「プレミアム付きデジタル券 はばタンPay+(+)」が利用できるようになり、今日までに延べ76万2千人の方が申込み、県内の約14、000の店で利用できるようになっている。また、最近、事務局が実施したアンケートでは「次回、当キャンペーンを企画した場合、また買いたいと思いますか」の問いに、ほとんどの利用者が「次回のキャンペーンでも買いたい」と回答していると聞いている。
こうした県民の声と現下の深刻な物価高騰の状況受け、我が会派は11月24日斎藤知事に対し「物価高騰対策と経済再生に向けた対策」を求める緊急要望を行い、第3弾となるプレミアム付きデジタル券「はばタンPay+」の実施やLPガスを利用している一般家庭に対する負担軽減策、物価高騰で苦しむ中小事業者や医療福祉事業所等への一時支援金を再度実施することなどを要望してきた。
今定例会で提案された補正予算案にはこうした我々の提案が盛り込まれており高く評価する。そこで第1弾・第2弾のプレミアム付きデジタル券「はばタンPay+」について、どのように総括し、今回の第3弾でどのように活かそうとしているのか、また、今回の補正予算案などを通じてどのようにして県民の暮らしを守り、地域経済の下支えをしていくのか。[斎藤知事]これまで物価高騰対策として、食料品等相次ぐ値上げを踏まえ、「はばタンPay+」による家計支援を二度にわたって実施した。一般枠は当初の枠を上回る申し込みがあった。子育て応援枠については50%のプレミアムだが、一般枠ほどではなかったが、18歳以下の子どものいる世帯の約半分の世帯からの申し込みをいただいた。利用者アンケートでも、約9割の方々が「知り合いにも紹介したい」とか、大変高い評価をいただいた。一方、県民への周知や特に高齢者へのサポート、ここは大変改善が大事だと思っている。
今回要望頂いたとおり、「はばタンPay+」第3弾は、1年のうちでも出費がかさむ春の新しい新生活準備期間にあわせて、ニーズの高い一般枠に絞って実施させていただく。すでに申し込んだ人も、いわゆるおかわりができる。実施にあたっては、これまでの結果を踏まえ、高齢者などのスマホ使用に不慣れな方に向けてのサポート体制に引き続き意を用いる。20代向けターゲット広告による認知度向上に努め、物価高騰対策をしっかりやっていく。
加えて、今回の補正予算では、特殊詐欺被害対策を強力に推進するため、自動録音機能付電話機の購入支援補助を大幅に拡充する。そのほか家庭用LPガス利用負担軽減対策などを通じて、県民生活の安定化を図ると共に、事業者に対しては、伴走支援や一時支援金など、経営支援を強化する。こうした取組を通して物価高騰対策をしっかりやりながら、事業効果が発現できるよう留意していく。[島山県議コメント]我々は「はばタンPay+」については、特に力を入れているので、第3弾を実施する上で、紙媒体はなかなか難しいが、デジタル社会への導入の一歩となるように、特に高齢者がアプリを使えるようなサポートをさらに第3弾ではしていただきたい。 -
4. 阪神高速道路の料金改定と阪神高速道路株式会社の経営改善について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. 脱炭素型ライフスタイルへの転換~地球温暖化1.5℃未満目標に向けて~
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]兵庫県では、昨年、2050年カーボンニュートラルを目指し、地球温暖化対策推進計画を改定し、2030年度の温室効果ガス削減目標について、国の目標を上回る48%削減としている。この目標達成に向け、県民、事業者、団体、行政等が一体となり取り組む必要があるが、政府や企業が主に担うエネルギーシステムの転換などの供給側の対策についての議論は行われている一方、県民や地域に具体的に何ができるのかについての情報は十分ではないか。
県民の暮らしを支えるために、ライフスタイルに関連して排出される二酸化炭素(CO₂)など温室効果ガスは、全体の約6割を占めていると言われている中で、脱炭素型ライフスタイル(気候変動への影響を小さくする持続可能なライフスタイル)への注目が高まっている。これまでの対策の中心であった再生可能エネルギーや移動手段だけでなく、食生活、衣類などの消費財の購入も含め、市民の暮らしを支えるあらゆる製品やサービスは、その製造、輸送、使用から廃棄までの間に生じる温室効果ガスを排出している。これらの消費のあり方を見直し、脱炭素型の製品やサービスを利用していくことが、温室効果ガスを削減する持続可能なライフスタイルに繋げ、社会全体に広がることで温室効果ガス削減へのインパクトになる。
そのためには、個人のカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)を可視化する必要がある。一般社団法人コード・フォー・Japanではカーボンフットプリントの可視化と削減を支援するWebアプリ「じぶんごとプラネット」を開発した。このWebアプリでは、移動・住居・食・モノとサービスに関するそれぞれ10個程度の簡単な質問に答えることで、誰でも無料で自分の生活スタイルから生じるカーボンフットプリントと自分に合った脱炭素アクションを知ることができる。
神戸市ではこのアプリを活用し、12月15日から「こうべ省エネチャレンジ2023」を実施し、参加者には協賛企業等から記念品等をプレゼントするなどし、脱炭素型ライフスタイルへの転換を広く進めようとされている。
兵庫県では、地球環境戦略研究開発(IGES)監修のもと、行動変容を促す県民参加型ワークショップ「1・5℃ライフスタイルプロジェクト」を行っており、令和5年度には神戸市婦人団体協議会、ひょうご大学生支援機構など計6回の開催を予定し、約70名の参加が見込まれているが、まだまだ限定的だ。社会全体で脱炭素型ライフスタイルの転換が見られるよう、これまでの県の取組や神戸市で始まった取組などを拡大・加速化する必要があるのではないか。国連の報告によると温室効果ガス削減の取組は待ったなしである。未来に責任ある政治を果たすためのも、さらなる取組が必要である。考えを伺う。[斎藤知事]県内のCO2排出量は、産業部門等が約7割を占め、家庭部門は約1割である。住居、自動車、食品等の消費に着目すれば、家庭の影響は大きい。そのため、議員ご指摘の通り、脱炭素型のライフスタイルへの転換が必要である。企業をはじめ社会全体でのCO2からの脱却の促進にもつながっていく。
住居に関しては「うちエコ診断」を年間約1、000世帯で実施し、太陽光発電等への買い替え補助等を実施してきた。内窓や複層ガラスの断熱工事への支援等を促進していく。また、バスやタクシーの水素自動車への転換を支援するなど、公共交通機関の脱炭素化も進めていく。食品に関しては、カーボンフットプリントの実証ということで、今年度から生産者等と連携し、消費者に身近なお米等の農産物等を対象に実証を始めている。
県民の意識醸成に加えて、脱炭素型製品が消費者に選択されるよう、普及啓発も実施していく。コウノトリ育むお米でのブランディングの先進事例も参考にして、分かりやすい情報発信や意識啓発を実施していく。[島山県議コメント]県民運動として、ライフスタイルプロジェクトという県がやっている取組を、もっとしっかりやっていただきたい。兵庫県も「SDGs未来都市宣言」ということで、SDGsというと、たくさんのターゲットがあって計画がある。その中でも、この気候変動というのは基盤となるターゲットというか、目標になる。ここの部分をもっと優先的に県としてもやるうえで、今聞くところ、ライフスタイルプロジェクトの予算というのは年間700万円くらいと聞いていますので、大幅に上げて、今、新聞でも本当に取り上げられている中で、もう少し県民運動として押し上げていくような取組を、知事のリーダーシップで期待している。
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6. 帯状疱疹予防ワクチン接種助成制度の創設について
質問と答弁のダイジェスト
[島山県議]帯状疱疹予防ワクチンについてだが、我が会派は、これまで4度にわたり質問し、要望してきた。初めて質問した令和4年度9月時点では、全国で助成制度を導入していたのは約30自治体。しかし、今年10月末時点では326の自治体が助成制度を導入している。帯状疱疹の症状のつらさや発症率の高さから、全国で帯状疱疹に関心が高まっており、接種費用の負担軽減を図ってほしいという地域住民のニーズにこたえた自治体が、この1年余りで10倍以上にまで増加している。
全国都道府県のなかでも東京都は、先進的に今年度から補助事業を実施している。ほぼすべての市区町村が接種費用の半額程度を助成している。その中で、例えば港区では実施理由として「コロナ禍以降、心身ストレスにより免疫が低下し帯状疱疹を発症している人が増加していることから、発症の予防とともに区民の負担軽減を行うため」としている。
同様の理由で、10月12日には兵庫県町村会から「令和6年度兵庫県予算及び施策に関する要望」において「帯状疱疹ワクチン予防接種に対する県独自の補助制度の創設」が要望されている。
11月23日の朝日新聞によれば「急増する働き盛りの帯状疱疹 発症率約2倍に増加」との記事もある。国の制度創設を待つだけでなく、ぜひとも本県として、高齢化社会、ストレス社会における県民の健康増進とQOLの維持のため発症リスクの高い帯状疱疹を予防し、県民の負担軽減を図っていくためにも帯状疱疹予防ワクチン助成制度の早期導入を求めるが、考えを伺う。[片山副知事]国では、地方交付税措置のある定期接種化の検討はされているものの、11月に行われた国の審議会では、引き続き費用対効果等について議論をおこなうとされ、結論は出ていない。ワクチン接種は、基本的に市町が対応するべきものと判断している。このため、県独自での助成制度を行う場合は、県が先導的に行うのではなく、市町への財政支援として取り組むのが適切ではないか。
現在、県内で帯状疱疹ワクチンの助成を行っているのは、2町のみであるものの、県町村会から新たに帯状疱疹ワクチン助成についての要望をいただきたいこと、さらに、今回再度要望をいただいたことから、国の動向も注視しつつ、市町への財政支援の必要性について検討していきたい。 -
7. 不登校児童生徒の居場所確保について
質問と答弁のダイジェスト
(1)校内サポートルーム等の設置と充実に向けた支援について
(2)フリースクールに通う不登校児童生徒への支援について
一般質問
大塚公彦県議
[質問項目]
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1. 物価高を上回る賃上げに必要な県内中小企業への支援策について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]内閣府が11月15日に発表した2023年7~9月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、3四半期ぶりマイナス成長だった。この大きな要因が、個人消費の落ち込みと企業の設備投資の鈍化と分析されている。個人消費の落ち込みの大きな要因、それは、物価高が続く一方で、賃金の上昇が一向に追い付いていないことだ。先月15日には、政府、労働団体、経済界による「政労使会議」が開かれ、岸田首相が今年を上回る賃上げへの協力を要請。早速、大企業を中心に7%の地投げが次々と公表され、今後、大企業では賃上げの議論が加速すると伺える。
一方、国内の全労働者の7割を占める中小企業では、こうした賃上げの機運は、容易に高まるものでしょうか。日本商工会議所は、今年の春闘で賃上げした中小企業の6割が「業績回復がないなかでの賃上げを行った」との調査結果を報告。また、中小企業は、業績が苦しい状況でも、慢性的な人手不足の今、社員をつなぎとめたいがために、やむにやまれず賃上げ しているとの専門家の分析もある。こうした現状を根本的に打開するには、現在のような物価上昇の局面でも、中小企業が恒常的に利益をあげ、持続的な賃上げが可能となるような環境整備が急務である。
そのためには、製造費や人件費など上がっているコストが、適正に価格に転嫁されること。また、商品やサービスの質を挙げて、価格を挙げても競争力を保てるサービスを提供していくこと。加えて、省人化やDX化などにより、生産性が向上することなどが不可欠である。
中小企業の賃上げは、各企業の経営判断の一つである。しかし、中小企業が業績を伸ばし、賃上げをしやすい環境を整えるため、さまざまな施策を提示し、リードしていくのが政治・行政の役目である。
先日、国会でも2023年度補正予算案が可決され、本県でも今議会に緊急経済対策として補正予算が上程されている。政府の来年度予算案も、持続的な賃上げを目指すことが大きな柱となっている。また、昨年の「ひょうご経済・雇用戦略策定会議」でも、委員から「一番の課題は賃金を挙げていくこと。賃金を上げるためには、企業の業績を良くしなければならない。企業の業績をよくするためには、価格に転嫁することではないか」といった趣旨の意見も出ている。こうした現状を踏まえて、物価高を上回る賃上げに必要な県内中小企業への支援について、どのような施策の展開を示していくのか所見を伺う。[原田産業労働部長]物価高騰の長期化など厳しい経営環境において中小企業が持続的に賃上げをしていくためには、生産性向上などにより収益性を高め、企業の経営基盤を強化していくことが必要である。そのため、水素など成長分野での産学官連携支援、企業価値を高めるSDGs認証制度、投資額1億円から活用できるようにした産業立地条例の運用など成長のための環境づくりを進める。
さらに、デジタル化への対応等を進める新事業展開応援事業や、DX人材育成プログラムの提供などによる生産性向上支援、地場産業のブランド力強化、越境ECを含む海外展開の支援等により、企業の前向きな取組を下支えしていく。経営基盤の弱い事業者には、今回提案の補正予算により中小企業経営改善成長強化支援事業を継続し、販路拡大、事業承継等様々な課題に対し、金融機関と連携して収益向上を図る。
価格転嫁については、国が法令に基づく適正化や業界への働きかけ等を進め、県でも相談窓口を設けている。上昇コストの価格への適切な反映に向けた企業の取組を後押ししていく。こうした総合的な取組を商工会、商工会議所と伴走でき、きめ細かく実施することにより一層効果的に支援を進め、中小企業の収益性向上、経営基盤強化、そして賃上げに繋げていく。[大塚県議(再質問)]わが県も地方版政労使会議を開き、賃上げの議論や様々な施策を紹介することは今後考えているのか。[斎藤知事]兵庫県では9割以上の県内中小企業が頑張っていただいている。これから人手不足対策、さらには働いている方の賃上げなどこういったところを県もしっかりやっていく。ゼロゼロ融資からのリカバリーということで様々な施策をやらせていただいている。そういったところの共有を含め、兵庫県では、震災以降、政労使の枠組みで、さまざまな雇用施策を県、兵庫労働局、連合兵庫、そして経営者協会などと連携しながらやってきた。兵庫県経済の好循環の実現には、賃上げへの機運醸成が重要である。年明け、早々にでも兵庫版の政労使会議を開催したいと考えている。[大塚県議コメント]年明けの会議の開催、知事自らがこうした行動をとることは必ず県内中小企業の皆様の賃上げの機運醸成につながり、働いている労働者のかたにとっては大きな希望になる。また、先駆的なこうした行動は他の自治体の模範になると確信している。こうした場を設けてくださるとのことなので期待したい。 -
2. 兵庫県の子どもに対する「大阪・関西万博」無料招待の実施へ
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]昨今の万博は、各国がテクノロジーなどで国力を誇示するような場ではなく、地球全体でみる「課題解決型」に移行したと聞く。今回も「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、SDGs達成に向けた先進的な取組や、空飛ぶクルマなどの最先端の技術に触れることができ、多様性あふれる世界を理解する好機である。
また、万博会場関西パビリオン内の兵庫独自ブースを訪れた子どもたちが、あらためて兵庫の魅力を体感し、兵庫各地のフィールドパビリオンへと機運が高まるものと確信する。
だからこそ、未来を担う子どもたちが、家庭の都合や経済的な事情で参加できないことは、何としても防ぐべきである。。ゆえに、我が県として子どもに対する無料招待を実施すべきであると私は考えている。
関西広域連合でも、無料招待の議論がされている。同連合の委員を務めるわが党の谷井県議が、兵庫県の子どもへの無料招待を実施すべきとの一般質問を行った。すでに、同連合会の連合長県である滋賀県と大阪府が正式に表明。特に、大阪府では府内の小学生、中学生、高校生の約88万人に対し、学校単位で1回ずつ無料招待すること。4~5歳の小学生未満のお子様、さらに、府外の学校に通う児童生徒には、各家庭の申請に応じて入場券を配布する事などが盛り込まれた予算案を、24年度当初予算に向けて調整中と示している。
わが県の令和6年度当初予算要求枠の重点政策枠でも、「大阪・関西万博に向けた取組推進枠」が示され、地域創生基金を活用した仕上げの1年の取組として、ソフト事業5億円の配分案が提示されている。
大阪府の学校行事化を参考に、わが県も、この基金を活用し子どもたちを無料招待すべきと考えるが所見を伺う。[斎藤知事]本県では、子ども達が主体的に関わる「子どもの夢プロジェクト」を展開する。まず「未来の兵庫」をテーマに募集した絵画作品をデジタル化し、プロジェクションマッピングで県立美術館に投影する事業や、そして、子ども達が製作したコウノトリの折り紙を万博会場「兵庫県ゾーン」に展示する取り組みなどを進める。
また、SDGsを体現するフィールドパビリオンをより多くの子ども達に体験してもらいたいと考えている。地域の人々の営みやその魅力を肌で感じることで、シビックブライドの醸成に繋がると考えており、教育委員会等と連携を深め校外学習等での参加促進を図っていきたい。
他方、ご指摘の万博会場では、先端技術の展示等が行われ、子ども達が近未来を体感できる場になると考えている。博覧会協会では教育旅行を対象にした団体割引券を設定しているところであり、県内市町の意向や近畿府県の動向等を踏まえながら引き続き対応を検討する。[大塚県議コメント]教育委員会様ともご検討いただくということだが、最近では共働きの家庭もふえている。また、両親が週末に仕事という家庭もかなり多く、家族で予定を合わせて休みの日に万博に行くということが、難しくなっている。平日の空いている時間帯に、学校行事として万博に行き、生徒が万博を余すことなく体験することは、先ほど知事がおっしゃったように、今度は家族で行こうとか、フィールドパビリオンに今度は、行ってみたいというようなことにもつながり、ひいてはわが県の経済効果にもつながると確信しているので、ぜひこういったことも推進をお願いしたい。 -
3. 住民主体の「通いの場」の活性化について~高齢者が元気な兵庫県~
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]兵庫県は「通いの場」が盛んな都道府県であると聞いている。令和4年3月時点で、参加者数は約14万3千人。個所数は約8、200箇所。運営を担ってくださっている県民の皆さんに敬意を表する。
昨今の研究では「通いの場」への参加は、運動機能や認知機能が衰えた状態、いわゆる「フレイル」の予防に繋がること。また、地域や社会とのつながりが多い人は、それが少ない人と比べて、疾病リスクが軽減されるといった研究報告も多い。
通いの場は、平成26年ごろから全国的に盛んになった。国が旗振り役となり、住民主体の「通いの場」を充実させ、継続的に拡大していくような地域づくりが推進されてきたようだ。しかし現在「通いの場」の運営は、さまざまな困難に直面している。特に、コロナ禍の行動抑制で状況が一変。外出や人が集まることに未だ健康面の不安を抱く人も多いと聞く。さらに、「通いの場」を再開したくても、さまざまな理由で再開できない。また、発足時の中心者らの高齢化に伴い、現在代表者となる人がいないなど課題が山積している。惜しまれながら消滅した地域もある。
超高齢社会と言われる昨今。こうした現状に、私は強い危機感を抱いている。取組が盛んと言われる兵庫県において、地域の運営者の力になり得る施策を、今こそ考えるべきである。私の地元でも、高齢化が進む団地では、住民の努力で、通いの場が存続され、地域に安心と安全が広がっている。自宅に閉じこもりがちな高齢者。独り暮らしの高齢者。そのような方々こそ、地域の方々と会話を弾ませることで、心身の健康を維持し、はつらつとした人生を過ごしていただきたい。
介護人材の不足が叫ばれる中、「通いの場」での軽い運動や会話は、介護予防になり、長い目で見ると、増え続ける社会保障費の抑制にも寄与すると考えられる。何より高齢者一人ひとりの幸福に直結する。
地域包括ケアシステムの目的にあるとおり、住み慣れた地域で、なじみの友人らと、自分らしく生き生きと安心して暮らしていける「高齢者が元気な兵庫県」「高齢者にやさしい兵庫県」を目指すべきである。住民の皆様が主体となった、さらなる「通いの場」の活性化が今こそ必要だが、その支援策を伺う。[斎藤知事]兵庫県内には通いの場が8、221箇所、これは令和4年3月時点であり、、これは全国1位である。私の地元であった須磨でも健康体操であったり、この間県内某所に行ったときに、トイレに行くついでに声が聞こえるなと思って食堂のようなところに入ったら、高齢者の方々朝ご飯を皆で食べていた。写真を撮る会になってしまったが、そういった通いの場が県内各地で展開されており、高齢者の方にとって大きな活動の場になっている。
県ではこれまでから通いの場を支援する、リハビリ専門職等の育成や派遣体制の構築、市町の研修などにより、介護予防事業の実施主体である市町とともにこの取組を後押ししてきた。
コロナ禍での外出自粛や活動自粛の影響がみられる中で、地域とのつながりが希薄な方やフレイル状態の方を含めて、多くの高齢者がこの場に参加し、介護予防に効果的で持続的な場所とする必要がある。元気な高齢者だけではなく、要支援者も参加できるということ、そして、週1回以上継続して集える、活動メニューを充実させるなどの視点のもと、これからの地域の実情に応じた取組が重要である。
新たにこれから、通いたくなる場づくりとして、企業と連携させていただき、通いの場において食料品や買い物の協同購入というものができるような仕組みを構築したい。食料品や生活雑貨などを購入できる場を作ることで、高齢者の生活そのものも支援するという取り組みを、これから市町とともに一歩ずつ進めていきたい。
参加し続けるための仕組みづくりとしては、全国的に先駆けた取組を行っている自治体の理学療法士を、市や町に派遣するなど、これからも市町の状況に応じた伴奏型の取組を進めていきたい。[大塚県議コメント]企業と連携した買い物の協同購入ですね。これを聞き嬉しく思う。私も産業労働委員会に所属しているが、高齢者が買い物に行けない、そして、スーパーがどんどん閉まっている。大きな社会問題である。こういう場に参加していない方が参加するようになる、そういった気軽に参加できる環境づくり、後押しも大切だと思う。この買い物の協同購入もうまくいくように念願している。 -
4. 地域社会の課題解決に向けた兵庫県内の「スマートシティ」の取組支援と今後の展望について
質問と答弁のダイジェスト
[大塚県議]本県は、人口減少、高齢化に伴う地域の担い手不足や交通弱者の問題など課題が山積している。こうした課題解決に向け、近年、全国の自治体や企業が注目しているのがスマートシティの実現である。スマートシティとはICT等の新技術を活用し、諸課題を解決し植える持続可能な都市や地域を指す。我が県でも、2022年10月に「スマート兵庫戦略」を策定。推進期間を2022年から24年度の3年間とし、県全域でデジタル実装を加速化。県民誰もがデジタルの恩恵を享受できる社会の実現に向けて、県と市町、民間が連携し躍動する兵庫を目指している。わが県の特徴、それは先行する市町の支援・創出に加えて、それ以外の他の市町への水平展開を強く視野に入れている点である。
昨年度、公募によりモデル地区に選定した加古川市や三田市などの6市で実施する「ひょうごスマートシティ・チャレンジ」では、例えば健診データを用いて市民の疾病リスクを見える化する取組、あるいは認知症高齢者の見守りシステムの構築など、モデル地区ごとに課題を設定。事業者との事業課検証も進んでおり、大変期待をしている。また、本年8月からは県内の全41市町に参加を呼びかけ、先のモデル事業を含めた先進事例の情報共有や協議の場として「スマートシティ推進検討会」も設置。水平展開への具体的な動きも着実に進んでいる。
こうした取組を推進する一方、課題も顕在化した。地域と事業者などで徐続可能なモデルが構築されているのか?また、蓄積したデータを共有できる基盤づくりがなされているのか?そして、本当に市民のためになるサービスになっているのか?などである。
最も重大な課題は人材である。スマートシティ化に不可欠な内閣府の「デジタル田園都市国家構想交付金」だが、県内の41市町の中で11の市町が未だ活用していない。中山間部地域ほど、地域社会のDX化などが急務な一方で、そうした地域は、役所職員数や担当者も少なく、大切だとは認識していても日常業務以外とても手が回らないという現実がある。
こうした課題を乗り越え、次のフェーズへと飛躍するためには、広域行政を担う、わが県のかじ取りが重要である。そこで、これまでの取組を踏まえて、今後、スマートシティを県全域に広げ、進化させていくために、どのような課題認識のもと、どのような取組を進めるのか所見を伺う。[守本企画部長]スマートシティの推進にあたっては、昨年度より県内6市とモデル事例の送出に取り組むと共に、今年8月には全市町が参画する検討会を立ち上げて、全県に広げていくための取組の検討を重ねている。この中で上がっている課題の一つは、実証から実装への意向。現在の実証段階から今後実装段階に移行していくには、やはりコストを抑えた持続性ある事業モデルの構築が必要で、スケールメリットを生み出す広域での取組等が、今後求められる。このため、例えば複数の自治体で協議会を設置している他県の事例等も参考にしながら、現在市町とともに体制のあり方を検討している。
また、自治体間で連携して事業を進めていくには、各々が保有しているデータを共有するための基礎作りが欠かせない。このため、データ形式の統一やセキュリティ対策など、その際に求められる取組について、専門家も交えて検討していく。
さらに、ご指摘のとおり市町における人材あるいは、専門知識の不足も大きな課題だ。現在、本県が民間から登用している専門人材等が、市町の業務支援にあたるとともに、市町職員を対象にした研修も行っている。デジタル化の業務が今後さらに増える中、こうした取組を強化していきたい。[大塚県議コメント]スマートシティモデル事業アドバイザーの南雲岳彦アドバイザーはこの世界の第一人者であると聞いている。先月の検討会では、日本や海外を見ても成功事例はまだないと言っておられた。逆に兵庫県が先進的な事例、まだまだリードする存在になりえる可能性を秘めていると理解した。ぜひともこれまで以上に力を入れていただき、あらゆる地域の課題解決に率先して推進していただきたい。
さらに、こういった取組においてデジタルデバイドの問題解決、これもあわせて大切だと思っている。9月の定例会で、わが党の竹尾議員も訴えた。ぜひこちらの推進もセットでお願いします。人材の確保についても、大切である。県としては民間人材の登用を積極的に進めており、すばらしい。県がリーダーシップを発揮しながら、市町への人材配置なども部長の答弁でもあったが、サポートしていきながら推進していただきたい。 -
5. 神戸市中心部と北播磨を結ぶ高速道路構想について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
菅雄史県議
[質問項目]
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1. 道路の区画線引き直し事業へのAI技術による点検の導入について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]県が維持管理する道路は、神戸市内を除く県道と一部の国道で、総延長は約4、800kmにも及び、県土木事務所の道路パトロールや担当職員が目視で点検。特に安全対策が必要な通学路や地域住民の皆様より指摘のあった箇所から優先的に引き直し作業を行って頂いている。
また、今後区画線は自動車を運転するドライバーや歩行者の安全確保や事故防止という本来の役割だけでなく、将来の自動運転システム車の普及促進という観点からも、これまで以上に重要になる。つまり、自動運転の技術の一つである車線維持システムは車載カメラで区画線を検知する必要があるため、区画線を一定水準以上の管理レベルで維持されることが求められるということである。
わが国では、令和7年(2025年)を目途に高速道路など特定条件下における「完全無人運転」が可能になる自動運転レベル4の実用化という政府目標に向け、官民を挙げて自動運転に必要な様々な先端技術の開発が進められている。また、国土交通省と国土技術政策総合研修所は、自動運転の車線維持に必要な区画線の管理水準に関する共同研究を進めており、車両側の技術開発に期待するだけでなく、道路インフラ側の管理についても重要視している。
現在、AIを区画線の点検に活用している自治体も出て来ている状況であり、ここで神奈川県の事例を紹介する。平成30年(2018年)に川崎市の横断歩道を渡っていた男性が、タンクローリーにはねられた交通事故について、神奈川県はその一因が横断歩道の白線が消えていたことにあると、道路標識を管理する責任を負う公安委員会の一部過失を認め被害者と和解した。知事のリーダーシップのもと、今年度より、神奈川県公安委員会はAIなどのデジタル技術を活用し、効率的に摩耗した道路標示の点検に取り組んでいる。これまで警察官の目視で点検していたが、スマートフォンカメラを搭載して撮影した画像からAIが摩耗状態を自動的に判定するシステムを導入したことで、公安委員会が所管する「道路標示」のみならず、県や市町村など道路管理者が所管する、「区画線」の摩耗状態も同時に判定することができるようになった。今後、公安委員会が県道路管理者にこのデータを提供することで、県が管理する道路の区画線について、摩耗度合いの高い箇所から、効率的に補修することが期待される。また、市町村が管理する道路の区画線についても、このデータを共有することで各市町村が区画線の補修を促進するということである。
そこで、現在、県が取り組んでいるスマート兵庫戦略の「行政のデジタル化」の一環として、区画線引き直し事業にAI技術を活用した点検を導入すれば、将来の自動運転にも必要な区画線の点検業務の効率が向上するとともに、計画的な補修につながる。所見を伺う。[斎藤知事]県は、昨年度から県単独費を増額して、見えにくくなっている区画線約3、000kmを5箇年で集中的に引き直しをしている。歩道がない通学路を優先的に行っており、「子ども達が安全に通学できるようになった」という評価もいただいている。
一方で、橋梁や区画線など道路施設の点検は、損傷が施設に及ぼす影響を総合的に判定する必要があるため、人による目視点検が主体となっている。ここは多くの手間・時間を要しており、デジタル技術の活用が必要である。
このため来年度AIを活用して、車載カメラで撮影した道路画像から区画線の損傷レベルを自動解析できる「AIによる区画線点検」を試行する予定である。この点検方法は、全国的に事例が少ないため、試行を踏まえて精度や効率性・経済性を検証していきたい。[菅県議コメント]区画線引き直し事業だが、来年から施行していただけるということで、これを他府県を調べると、他府県自治体管理者が行っており、神奈川県以外にも、東京都、静岡、広島、大阪、鹿児島と、また県ではなく市で福山市でおこなっているところだ。また、民間で今取り組んでいるところもあると聞いている。なぜ今回取り上げたかというと、行政のデジタル化に関して、なかなか庁内で進んではいないかなと、出勤率4割とか、そういう議論はあると思う。デジタル化ということで、庁内はなかなか難しいのではないかという観点から、まず土木事務所などで、現場でデジタル化を進めるという意味でも進めていただきたい。
また、神奈川県の事例は、県警、公安委員会が中心。やはり兵庫県は非常に広いので、各土木事務所で、またとりわけ降雪地帯であるとか、北部のエリアとか、そういうところから実験的に進めていくべきではないか。その結果を検証して、全県下でも区画線引き直し事業に導入を進めていただきたい。 -
2. UDタクシーの導入補助について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]国の方針を踏まえ県では「福祉のまちづくり基本方針」において同様の目標を掲げて取組んでいる。2012年から国のUDタクシー認定制度がスタートしたが、車内は縦、横ともにゆとりがあり、スロープを使用すれば車いすのまま乗車でき、ドアの開閉にあわせて乗り降りの際のステップも利用できるように設定されている。
他府県の事例だが、「日本一のボランティア先進県」を目指す鳥取県では、2016年からUDタクシーの導入を、日本財団、タクシー事業者とともに官民一体の共同プロジェクトとして開始した。その取組は、「第11回国土交通省バリアフリー化推進功労者」に選ばれているが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえて、誰もが移動しやすい新たな地域交通モデルの構築を目指し、県全体でUDタクシーの導入を県内タクシーの4分の1にあたる200台という目標を定めてプロジェクトを推進している。国交省に確認したところ、一昨年度の鳥取県のUDタクシーの導入状況は、県内601台の総車両に対し、207台と34.4%の導入率で、全国では50.2パーセントの東京に次ぐ、2位の導入率である。
兵庫県では、現在、全国に先駆けて「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例」を制定し、ユニバーサルツーリズムの推進を行っているが、いよいよ明年に迫っている神戸世界パラ陸上や大阪。関西万博など国内外からの誘客の機会を見据え、多様な来訪者、旅行者の受入に備えることが喫緊の課題である。ユニバーサルツーリズムの推進には、目的地(観光地、宿泊施設)などの受入体制の充実に加え、目的地にたどりつくまでの移動手段、とりわけドアツードア輸送が可能な福祉タクシーやUDタクシーが重要である。
UDタクシー導入が求められている中、タクシー事業者においては、キャッシュレス決済への対応、ドライブレコーダーの設置やアルコール検知器を用いた検査の義務化などへの対応に加え、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた原油価格高騰及び円安の影響によるLPガス高騰の影響など厳しい経営環境にある。さらに、事業継続に係る運転手不足という課題解決も求められている。
現在、神戸市においては1台あたり、30万円の導入補助制度があるが、県全体としても福祉のまちづくり基本方針の目標達成に向け、UDタクシーの導入補助制度を考えるべきではないか、所見を伺う。[柴田まちづくり部長]県では令和3年に改訂した「福祉のまちづくり基本方針」で目標を定め、鉄道駅舎のエレベーター設置や、ノンステップの導入など公共交通のバリアフリー化を推進している。これまで県の役割である広域的な観点から、鉄道事業者を支援し一日の平均乗降客数3千人以上の216駅すべてでバリアフリー化が完成した。さらにノンステップバスの導入では延べ560台を支援してきた。
ご指摘のあったUDタクシーの導入に関しては、国の支援制度があることから県は事業者に対し国の支援制度の活用を促すとともに、国に対し補助上限額の拡充や予算の確保を働きかけていく。なお、さらなる上乗せ支援については、県との役割分担の観点から地域の実情に精通した市町が必要性も含め判断するものと考えている。このため、主管課長会議など機会を捉え、市町に対し上乗せ支援を実施している他の自治体の成果をPRし、支援制度の創設を働きかけていく。[菅県議コメント]大阪府もこれまで国の補助制度のみで普及率があがらないということだったが、いよいよ関西万博を見据え、府内のタクシーの25%をUDタクシーにする導入目標を掲げ、2022年から3年間の事業で1代30万円上限の補助を新設し、年約600台の導入を推進されている。一昨年は、大阪府も7.2%とほぼ一緒ぐらいだったが、この1,2年でかなり大阪の方では導入されるのではないかとういう状況と聞いている。ぜひとのわが県でも万博を見据えて、今後の福祉のまちづくりと共にユニバーサルツーリズムの推進という意味でも重要であり、UDタクシーの導入補助を検討していただきたい。 -
3. 若年層へ広がる大麻汚染を防ぐ対策について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]厚労省では、今回の大麻グミの事案を受け、大麻草の主な成分の一つで、有害な「THC」に類似した合成化合物「HHCH」を医薬品医療機器法で規制される指定薬物とする省令を公表し、12月2日に施行された。今回の規制で「HHCH」を含有する製品の製造、輸入、販売、所持、使用などが原則禁止されるが、これまでは規制するたびに、新しい合成化合物が登場する、いたちごっこに歯止めをかけるため、厚労省では「THC」と化学構造が類似する合成化合物を全て規制対象にする包括指定の導入も検討されている。
全国で、薬物事犯は長らく覚せい剤が中心だったが、近年「大麻事犯」が急増している。2021年には大麻による検挙人数は過去最多に達し、昨年も過去最多の水準に迫り、日本は「大麻乱用期」であると言われている。特に、検挙された人のうち20歳代が過半数を占める状況で、若年層へ広がる大麻汚染を防ぐ対策が急務である。
県下においても「大麻事犯」は過去5年間増え続けており、本年の「大麻事犯」検挙人数でも20歳代が年代別では最多である。「大麻」は、脳に直接作用し、まひさせ、幻覚を見せるため、脳に危険なダメージを負わせたうえ、依存性があり、覚せい剤や「LSD(合成麻薬)」などの田の強い副作用や依存性のある薬物使用の入り口となる「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれ、深刻な薬物乱用につながるものであると懸念される。
若年層の「大麻乱用」の要因には、「罪の意識の低さ」や「危険性、有害性の認識の欠如」があり、20歳未満の場合には、大麻を使用したきっかけは「誘われて」が8割で、動機は「好奇心・興味本位」が6割に達している。また、カナダなど海外のごく一部の国の合法化が「大麻は安全」という間違った認識を与えており、SNSなどのインターネット上で誤った情報が拡散され、「大麻は安全」という誤ったイメージを与えている。
ネット上で流れている薬物の情報の遮断は困難であり、若年層対策として、学校や家庭で正しい情報、知識を徹底して啓発し、特に急増している「大麻」についての正しい情報を発信していくことが重要である。そして、誰しもがインターネットやSNSを介して薬物を容易に入手できる状況を鑑み、さらにサーバーパトロールなどを積極的に進め、取締りを一層強化すべきである。県下においても若年層へ広がる薬物、大麻汚染を防ぐ対策について所見を伺う。[村井県警本部長]現状を踏まえて、県警察では大麻事犯総合対策推進本部を設置している。組織一丸となって、各種対策を講じている。大麻事犯については、若年層対策が特に重要であることから、学校等の関係機関と連携し、小・中学生といった早い段階から大麻の危険性等に関する正しい知識を習得させるための薬物乱用防止教室を積極的に開催しているほか、若年層の目に触れやすい場所等を考慮した薬物乱用防止キャンペーンやSNS等を通じた広報啓発を推進している。
また、新たな取組として、本年10月からAIを活用してSNS上の薬物密売情報を収集するシステムを運用している。操作や密売広告の削除要請に活用している。[菅県議(再質問)]違法薬物だけではなく、10代で市販薬の乱用、いわゆるオーバードーズ、過剰摂取も問題になっている。これもネット上で助長するような情報が流れている。やはりいわゆるサイバー操作の徹底が本当に大事で、また購入において、メッセージアプリという非常に機密性の高いところを介して容易に入手している。それは、やり取りを消してしまうとなかなか追っていけないという、そのあたりを先程AIの技術を導入されてということでそういう対策をされているとは思うが、一番大事なのは警察と学校、教育委員会を含めて、連携が大事である、決意を伺う。[村井県警本部長]薬物関係についても関係機関はいろいろあるので、合同キャンペーンであるとか、そのようなことも行っているが、学校との連携が一番の力の入れどころである。闇バイトの関係なども含めて、はやいうちに若い人の意識に入れておかないと、大学生からでは遅い。今度、来週に警察庁会議があるが警察首長に管内の学校を通じた広報啓発的なものに力を入れるように指示をしたい。[藤原教育長]10月の全国薬剤師大会で養護教諭も集まっていただき、薬物乱用は喫緊の課題という意見もいただいている。毎年、全県研修会でも養護教諭にも参加いただき啓発をしている。まずは現場で取り組み、薬剤師会と連携しながら、警察の出前講座も有効に活用しながら、学校現場でも取り組んでいく。 -
4. 就職氷河期世代の就労支援について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]現在、我が県では就職氷河期世代への就労支援として県内企業への安定就労を目指す「就職氷河期世代就労支援プログラム事業」を実施しており、就職を目指す52歳までの未就職者等を対象に、賃金15万円相当を支給する1か月の研修期間と、最長3カ月の就職支援を行っている。
プログラム参加者は、正規雇用を目指して社会人基礎研修や、職場体験を組み合わせた実践的な研修とサポートを受け、「就職氷河期世代向け合同説明会」も活用しながら、これまで参加者の県内企業への就職に繋がっている。
しかしながら、就労支援プログラムの研修生の就職先と就職者は、令和3年度は12業種20名、令和4年度は14業種17名、令和5年度は9月末現在、4業種5名と、まだまだ増やしていかなければならない。
厚生労働省は、就職氷河期世代の正社員雇用を推進しており、労働者の募集・採用時の年齢制限は、原則禁止しているが、就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった方を募集対象とする場合は、自社ホームページでの直接募集や求人広告等の活用も可能としており、特例の延長を発表している。
現在、県内でも、いわゆる2024年問題をまじかに控えた物流業界や建設業界においては、来年4月から「働き方改革関連法」によって、新たに同労時間規制が適用され、時間外労働に上限、拘束時間の上限も規制される業界であり、とりわけ人手不足、担い手不足が懸念されている。
県として、に担い手不足、人で不足に悩む業界団体と連携強化し、「就職氷河期世代就労支援プログラム事業」など、就職氷河期世代の就職に向けた、各事業の展開により人材確保が進む包括的な支援拡大が重要ではないか。所見を伺う。[原田産業労働部長]県も行政、経済、労働団体、NPO法人でプラットフォームを令和2年に立ち上げ、公民連携で取り組んでいる。今月12日にも県と国で氷河期世代向け事業説明会を初めて共済し、県内各地、各業界からの企業参加を通じてマッチングを支援していく。
また、議員からもご紹介いただいた、就労支援プログラムではこれまで合計59名が参加いただき、うち42名が就職し、高い就職率を実現している。中には物流、建設業界にも就職をしている方もいる。
さらに、ひょうご・仕事情報広場で氷河期世代を含め、個別事情に応じた相談支援を実施しているほか、昨年度からは各業界から登録いただいた県内企業に短期間で、おためし就業体験ができる機会と対象世代を正規採用した企業に支援金を支給する事業にも取り組み、その中からも物流や建設業界にも受け入れていただいた。[菅県議コメント]私も就職氷河期世代の一人で、周囲に未だに非正規雇用であったり、40代、50代になっても正社員になれていない方がいる。厚労省も様々な形で推進している。県としても、それぞれの状況に合わせたきめ細やかな支援をお願いしたい。 -
5. 兵庫県立兵庫津ミュージアムの利用促進について
質問と答弁のダイジェスト
[菅県議]中世以降、「兵庫津」と呼ばれる現在の神戸市兵庫区にある当地は、長きにわたり海上交通の要衝として栄えた歴史がある。慶応4年(1868年)に旧大阪町奉行所兵庫勤番所が初代兵庫県庁となり、初代知事に伊藤博文が任じられ、兵庫県がはじまった。
このような兵庫始まり後に、兵庫の歴史、兵庫五国の魅力や多様性を発信する拠点として昨年11月にグランドオープンしたのが「兵庫県立兵庫津ミュージアム」である。2021年に開館の復元施設「初代県庁館」と、展示施設「ひょうごはじまり館」からなり、「初代県庁館の復元整備」については、松田一成前県議が長年にわたり整備促進を訴えて尽力されてきた事業であり、県政150周年の節目に県と神戸市が連携し、県庁舎を復元、県所有の資料などを展示している。
本事業の整備事業目的は、「兵庫津」の魅力発見をきっかけにしながら、ひょうご五国の歴史、産業、文化を学び、体感・体験する場を抄出し、歴史をしることから生まれる地域への誇りや愛着、県民のふるさと意識のさらなる情勢を図ると共に、将来の兵庫づくりを担う小中学生を中心とした人材育成や、ツーリズムの侵攻、県内への観光客誘致、交流人口増加を図ることである。
当局に伺った2023年度の運寧状況資料によると、本年4月~10月までの来館者数は「初代県庁館」は42、910人、「ひょうごはじまり館」には、85、314人が来館し、「兵庫津ミュージアム」には、計128、224人の方が訪れ、年間目標である20万人の達成も視野に入っている。一方で、校外学習の受入状況については、令和4年度は小学校から大学までの児童・学生の受入は、39校、1、979人であり、令和5年度も10月までで43校1、719人とまだまだ少ない。
直近では、7月15日から10月15日までの3か月間、「みんなで遊ぼう!ひょうごレゴ展」が開催され、会期中に世界で21人しかいない日本人唯一のレゴ認定プロビルダー三井淳平氏によるワークショップが開催された。レゴ開催期間中は、72、662人が来館し、開催前の同期間に比べ約2.4倍の来館者数があり、改めてミュージアムの魅力をさらに押し上げる企画や、コンテンツが大切であると認識された。現在、企画展「ひょうごの匠展」において、「ひょうご五国」の各地域で根付いた地場産品や工芸品を展示と共に、各地域のひょうごフィールドパビリオンの様子も紹介している。
「兵庫県立兵庫津ミュージアム」のさらなるツーリズムの促進と、県内の主に小学生の校外学習、社会館見学を想定したさらなる利用促進の今後の具体策について所見を伺う。[守本企画部長]今年7月から3カ月にわたって開催した「レゴ展」では、県内の名所旧跡や特産品などをレゴブロックで再現し、来場した多くの子ども達に県内各地への興味を持ってもらう機会となった。現在開催中の「ひょうごの匠展」でも、各地で先人から引き継がれてきた匠の技を紹介し、現地を訪れる契機となるよう意を用いてきている。万博の前年となる来年度もフィールドパビリオンをテーマとした企画展を検討するなど、一層の交流拡大に努める。
小学生等の校外学習での利用促進については、今年度から教育委員会等と連携し、学校の要望に応じたオーダーメイド型の見学プログラムを提供している。また、小学生の県庁見学、あるいは中学生のわくわくオーケストラ鑑賞、これらとセットで見学先に組み込んでいただきたいということを各学校に働きかけている。この結果、昨年に比べて利用実績は増えているがまだ十分とはいえず、今後さらに学校へのアプローチを強化していく。[菅県議(再質問)]ミュージアムだけではなく、兵庫津全体にいろいろな歴史的なものがあるので、その歴史的資源との連携、具体的にいうと「兵庫津日本遺産の会」や「よみがえる兵庫津連絡協議会」、さらにはミュージアムの近隣に中央卸売市場があり、魚河岸デー等をはじめ先日もイベントをされていたが、兵庫津全体、さらには中央卸売市場を巻き込んだ利用促進・連携が大事だと考える。所見を。[守本企画部長]兵庫運河や中央卸売市場、11月にはイベントが行われていたが、これら地元のイベントにも積極的に参加しており、あるいは兵庫津ミュージアムが企画展を行う際には「兵庫津日本遺産の会」の皆様とも連携し、例えば子ども向けイベント等を開催している。更には地元のボランティアの方とともに、兵庫津周辺をめぐる街歩きツアーを開催している。[菅県議コメント]私も地元選出の県会議員として、しっかりと利用促進に尽力していく。