議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第361回(令和5年2月)定例県議会
代表質問
伊藤勝正県議
[質問項目]
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1. 躍動する兵庫実現に向けた令和5年度当初予算編成について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]躍動する兵庫実現のための施策に関連して知事が発信しているキーワードに注目してみた。一つは、「大阪・関西万博」。大阪・関西万博は2025年に大阪市の夢洲で開催され、150の国、25の国際機関の参加を目標とし、約2、820万人の来場者と約2兆円の経済波及効果が見込まれ、この機会を活かさない手はない。
1月に説明を受けた各部の令和5年度重要施策の説明では、ほとんどの部で目立った施策が聞かれなかった。既存の事業を各部や各地域でバラバラに取り組んだとしても、主役である開催地・大阪のインパクトにはかなわない。人や投資をもっとひきつけられる施策を検討し、展開するための大胆な予算編成をするべきではないか。
また知事は「水素」や「カーボンニュートラル」といった言葉も頻繁に発信されており、その関連施策も多く予算編成されているが、これらの施策展開は国のエネルギー政策の動向や民間投資に負うところが大きく、県が主体性を発揮できる領域は少ない。たとえば、播磨臨海地域で進められているカーボンニュートラルポート形成には長期間の取組となるうえ、民間企業の参入と投資が事業の成否のカギを握っているので、県として、まさに民間企業が参画意欲をかきたてる仕掛けを作っていくべきではないか。
今回は「大阪・関西万博」や「水素」「カーボンニュートラル」だけを取り上げたが、他の施策においてもスクラップ施策は目立つものの、ビルド施策はあまり目立たず、従来の延長線上の施策が多い印象をぬぐえない。厳しい財政規律を重視する中においても「躍動する兵庫」実現に向けて、県の主体性や独自性を発揮できる施策がどこに盛り込まれたのか所見を伺う。[斎藤知事]大阪・関西万博に向けては、総額9.2億円の関連事業で構成するアクションプログラムとして一体的に施策を展開・発信する。ポイントとなるのは120近く応募のあったフィールドパビリオンへの取り組みであり、県内全体をパビリオンに見たてて、多様なプレイヤーと連携するなど全県をあげて推進する。こういった取組は全国でも行われていないが、失敗を恐れず挑戦していく。その際、地場産業など地域の力を突破口に兵庫の活性化に取り組んでいく。県立美術館など様々な場所で魅力を発信し、オール兵庫で大阪・関西に向けて取り組んでいくための機運をつくるスタートの予算であると捉えている。
水素をはじめとする次世代成長産業の育成では、姫路を中心とする播磨地域におけるカーボンニュートラルポートの形成計画の今年度中の策定に向け、県主体で設置した推進協議会での官民連携に取り組むほか、成長産業への重点支援により、産業立地を加速させ、関連産業への中小企業の参入支援など全国トップレベルで財政支援を強化する。人材確保の面では、中小企業と連携し、若手従業員の本人負担を実質ゼロとする本県独自の新たな奨学金返済制度を創設し、中小企業の人材確保と若者の県内定着を促進するなど、人や投資を強力に呼び込む。
加えて、特別支援学校など教育への投資や不妊治療・不育治療支援の所得制限の撤廃など誰も取り残さない県政を推進する。[伊藤県議コメント]フィールドパビリオンの取組については、これまで行ってきた地域創生戦略の取り組みとは違うということを示さなければならない。地域の力が必要であることから、県民局に思い切った予算配分をお願いしたい。 -
2. 大阪・関西万博に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]県では来年度、大阪・関西万博に向けた取組の展開として「ひょうごフィールドパビリオン」の展開や万博会場等における県内魅力の発信、兵庫県域の大阪湾ベイエリア活性化の推進などに約1億8500万円を計上している。また、先日知事は、万博を見据えた誘客促進等のためにシンガポールでトッププロモーションを実施された。インバウンドにつながる取組として大変重要である。今後も海外からのお客様が兵庫に立ち寄ってもらえるよう、どのような国に、どのようなプロモーションを行っていくのか。
また、兵庫県内の各地にも国内外のお客様に来てもらえるよう今から取組をしておく必要がある。来年度の予算編成に向けて、各県民局にも万博関連事業の割り当てをしているが、少し規模が小さいように思われる。各県民局と管内の市町が協力をして、それぞれの地域で目玉になる施策もしくは事業を策定してもらい、優秀なものには思い切った予算を配分するなどの大胆さが必要である。
国際博覧会推進本部が策定した大阪・関西万博アクションプランでは、想定来場者総数が約2、820万人(うち海外来場者約350万人)となっている。大阪府が平成28年にまとめた基本構想では、ピーク時の1日当たり宿泊予定数は、愛知万博の例を参考に約9万8000人と予想しており、大阪府及び近隣府県の宿泊施設の空室定員数が約11万7000人分のため、十分対応できると考えているようだが、万博目的以外の宿泊客も今後、増加すると見込まれることから、大阪市内の宿泊供給能力を超えた宿泊客を兵庫県内に呼び込む具体策が必要となる。加えて、万博目的の修学旅行生に兵庫に多数来てもらえることも考えなければならない。
このように万博の機会を逃さず、兵庫県県内に人を呼び込む効果的で総合的な戦略が必要ではないか。[斎藤知事]誘客のターゲットとしてはインバウンドである。コロナ後のカ回復基調にあるが、兵庫県はインバウンドがまだ少し大阪や京都と比べると、遅れているのでそこをしっかりカバーしていくこと。それと平日で継続的な需要が見込まれるのが教育旅行で、修学旅行を中心とするものである。
インバウンドについては旅程をつくる段階から組み入れていただく必要がある。例えば、欧米については1年半前から、東南アジアについては、半年前からということで、プロモーションを仕掛けていきたい。専用ウェブサイトの構築や、SNSの活用による魅力発信や国内外での旅行博がこれからあるので、そこに出店してツアー造成を促していきたい。また、欧米、アジア諸国など重点地域もこれから設定していくので、知事トップセールスや要人メディアとの交流など、そのような繋がる形にしていきたい。
教育旅行については、主体的・対話的な学びや体験が一層重視される中で、SDGsに関する学びの要素を提供するフィールドパビリオンが大きなポイントになると考えている。あとは、防災も含めて今後の教育旅行のプログラム造成などで旅行会社と連携しながら行程をつくっていきたい。[伊藤県議コメント]フィールドパビリオンが大事になってくる。今まで取り組んできた地域創生戦略の地域での取り組みとどう違いを見せていくかということ。地場産品を使ったものかということもあると思うが、千載一遇のチャンスなので今までとは違うということを示すチャンスである。例えば、4月からスポーツ行政が知事部局に移る。そこでスポーツを軸にした、デスティネーションキャンペーンもスポーツにからめて、ワールドマスターズゲームズでもあるし、2030年には神戸空港の国際化や万博もある。来られた方がスポーツだったら兵庫だなというような発信もできると思う。また、県民局に思い切った予算をお願い申し上げる。 -
3. 不妊治療対策について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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4. 豊かな海づくりによるブルーカーボン促進について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]明石市から望む瀬戸内海では、高度経済成長期に進行した富栄養化の対策として水質規制等を厳しく推進してきた結果、水質は改善されたものの窒素やリンなどの栄養塩類の不足による養殖ノリの色落被害やイカナゴの歴史的な不良などが頻発し、水産資源への影響も深刻な状況となっている。
このような環境の変化を受け、本県では長年にわたり海へ豊かな栄養分を供給するための漁業者の森づくり、農業者等と連携したため池のかいぼり、さらには、県内の下水処理場において冬期に基準の範囲内で下水処理放流水中の窒素濃度を引き上げる季節別運転を全国に先駆けて実施するなど、栄養塩類の適切な管理の実現に向けた取組を積極的に進めてきた。
これら「豊かで美しいひょうごの海」の創出と継承に取り組む姿を全国に発信し、兵庫大会は無事成功のうちに開催できたが、その取組の輪をさらに広げ、県民総参加の持続的な活動としていくためには、豊かな海づくりの活動を水産資源の保全という領域にとどまらず、自然環境の中における海の役割が最大限発揮できる環境整備などにも配慮した新たな取組も必要となってきている。
去る1月10日、JFグループ兵庫水産政策協議会から知事へ「全国豊かな海づくり大会のレガシーを県民総参加の活動にするために」と題した要望書が出され、豊かな海へのオール兵庫での取り組みや水産食料の地産地消の促進、森・川・海の物質循環の促進、廃棄物ゼロ社会実現とともに要望事項に挙げられ目を引いたのが「豊かな海づくりによるCO2吸収促進」である。
これはブルーカーボンを意味するが、ブルーカーボンは海藻などの海洋植物が大気から海水に溶けた二酸化炭素を吸収して、光合成反応によりつくり出された有機炭素化合物が海底の泥に貯留されたものとされている。ブルーカーボンの促進には、藻場・浅場の再生や環境配慮型護岸の採用などを積極的に推進することが重要とされ、カーボンニュートラルを目指す本県としても積極的に推進していくべきである。
福岡市ではその取組として、アマモ場づくりを中心とした博多湾の環境保全活動や博多湾ブルーカーボン・オフセット制度を創設して、海藻藻場の創出で実現されたCO2の吸収量をブルーカーボンクレジットとして販売し、企業などがこのクレジットを購入してブルーカーボン促進運動に資金援助する仕組みができている。
昨年の12月定例会で知事は「ブルーカーボンの取組はしっかりやっていきたい」との言及があったが、その実現には部局間の連携や財源問題など課題は少なくない。そこで、豊かな海づくりに通じたブルーカーボン促進に向けた課題認識と、いかに取り組んでいくのかを伺う。[斎藤知事]福岡市や神戸市が先進的な取り組みを進めつつあるが、ブルーカーボン促進のポイントは、①藻場の拡大②CO2吸収量のエビデンスの把握③企業等から資金を受ける仕組み、つまりクレジット取引の仕組みづくりを行っていくことである。
藻場の拡大については、平成28年度から藻場再生に取り組むNPOを支援しているが、来年度からは産学官民による連絡会議を設置し、専門家から指導・助言を受けながら様々な方との連携を深めていきたい。CO2吸収量の把握やクレジット取引は、ブルーカーボンクレジットの認証・発行をしているJapanブルーエコノミー技術研究組合(JBE)の仕組みを活用しつつ、兵庫運河などでクレジット取引の実績がある神戸市と連携していきたい。
また、兵庫県が全国トップレベルの生産量を誇るノリ養殖に注目していきたい。先般、企業版ふるさと納税として、金融機関から3,5億円をいただいたが、それをもとに創設する基金を活用して県の研究機関をはじめ部局横断でブルーカーボンの可能性を調査・研究していきたい。
それとともに、脱炭素に資するノリの生産というのが、ブランディングの観点からも大事だと思うので、CO2排出量をわかりやすく表示するカーボンフットプリントの手法をノリの生産に活用し、脱炭素型の「兵庫のり」のブランディングを目指して、ノリ養殖・製造過程でのCO2排出量の見える化を行い、省エネや事業者のCO2削減の取り組みを支援していきたいと考えている。 -
5. 県内大学生の県内就職率向上について
質問と答弁のダイジェスト
[伊藤県議]文部科学省の令和4年度学校基本調査によると、県内大学数は全国5位の35校、学生数は全国6位の12万5千人であり、前途ある多くの若者が県内で学生生活を送っている。また、令和4年度の県内大学の入学者数は2万7千人で、うち県内出身者は49%だが、県外出身者は51%となっており、県外出身者が若干上回っている。大学進学をきっかけに兵庫県に縁する学生が多いというアドバンテージを活かしていくべきである。
また、大学所在地別の出身地と就職先を調べた調査によると、過去5年間、県外出身で県内への就職者率は、大阪府の平均19%に比べ兵庫県は平均4%と県外出身者の県内企業への就職率が著しく低くなっている。単純計算で、県内大学の卒業生2万人のうち県外出身者が半数と仮定した場合、大阪府波に県内就職で県内に留まっていれば、これだけで約2千人の人口の社会増となる。縁あって県内大学に進学した他府県出身の学生が県内に留まる選択ができるよう後押しする支援策が必要である。
たとえば、大多数の学生が利用している奨学金の返済支援は有効ではないかと考える。奨学金利用者の状況を見ると、借入金額は中央値285万6千円、毎月の返済額は中央値14、976円、返済期間は中央値15.5年となっている。また、奨学金利用者の56.2%は将来の返済に不安を感じており、特に自宅通学ではない県外出身者は、奨学金利用金額が大きいため、既存の奨学金返済支援事業を充実強化する必要がある。
県では、来年度に新たな奨学金返済支援事業を創設し、奨学金の返済支援制度を設ける県内中小企業に対して、新卒者一人あたり60万円、つまり年間12万円を上限に最大5年間の補助をすることとしており、県内大学生の県内就職率に向上につながる今回の拡充は大いに評価するが、当該事業により県内中小企業へどれだけの新規採用者に繋がる見込みなのか。
また、充実した奨学金返済支援制度があることを進学する受験生や学生に周知することや県内大学に進学した他府県出身の学生に兵庫県の魅力を実感してもらう取り組みも必要である。さらに、合同企業説明会や合同就職面接会のほか、県内企業の学生向けPRなど様々な県内大学生の県内就職率向上のための取組には、定期的な大学生の就職に関する意識調査や分析も重要だ。分析結果は県の取り組みだけでなく、学生にとって魅力的な県内企業の職場環境や福利厚生のヒントにもなるのではないか。
大学進学をきっかけに兵庫県に縁する学生が多いというアドバンテージを活かすために、他府県出身の学生の県内就職率向上に向けた強力な取組が必要だと考えるが所見を伺う。[片山副知事]他府県にはない魅力的なセールスポイントが必要と考えて、今回、新しい奨学金返済支援制度をはじめることとした。平均的に見て、奨学金の返済は年間18万円であるのに対し、地元企業が6万円負担する場合、県は倍の12万円補助することとし、就職から5年間で18万×5年間、約100万円の支援をおこなう仕組みで本人負担なしということにしたいと思っている。これを活用する企業には「ウチに就職したら奨学金の返済は5年間面倒みますよ」とPRしてもらい、人材確保につなげたい。県も積極的にPRしていく。
また、Z世代を対象にした施策の展開にあたっては、県の若手職員の意見を取り入れたり、各種意識調査結果を踏まえ対応していきたい。[伊藤県議コメント]しっかり兵庫に魅力を感じて定着してもらえるような取組をZ世代の学生さんに向けて若手職員の意見を吸い上げて展開していただきたい。
あと、例えば明舞団地で昔から取り組んでいる学生シェアハウスという取り組みがある。すごく兵庫県が先進的に取り組んだ内容で、低額の家賃でシェアハウスしていただくかわりに、その団地の自治会の活動に積極的に参画していただく、こうした学生シェアハウスの取り組み、これはまちづくり部が所管しているので、若手職員の中でも特に他部局の方の意見を取り入れていただきたいと思う。 -
6. 県立病院におけるDX・情報セキュリティ対策について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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7. 特殊詐欺対策の強化について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
天野文夫県議
[質問項目]
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1. 公共交通のバリアフリー化の促進について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]地元の姫路市では、鉄道やバス等の公共交通ネットワークにより、地域間の交流・連携を図るまちづくりを目指しており、今後、鉄道駅の役割がますます重要となってくる。しかし、姫路市内にある31の鉄道駅の中には、バリアフリー化されていない駅、アクセス道路が狭い駅、違法駐車がある駅など、まだまだ課題の多い駅がたくさんある。その中でJR京口駅の駅舎やその周辺道路、JR東姫路駅より新県立病院(県立はりま姫路総合医療センター)への経路、アクリエひめじ周辺通路等について、階段やエレベーター、歩道等のバリアフリーの整備状況について市民から多くの要望を聞いている。
京口駅周辺には県立姫路東高等学校をはじめ、淳心学院・賢明女子学院・県立歴史博物館・市立美術館・城内図書館・姫路医療センターなどがあり、近年建設された県立はりま姫路総合医療センターや姫路市文化コンベンションセンターアクリエひめじも徒歩圏内にある。
そして何よりも住民が要望されている理由は、駅周辺には多くの団地があり、住民が高齢化してJR京口駅を利用したいが、バリアフリー化されていないため、利用しづらいためである。以前から要望してきたがその声は大きくなっている。
国土交通省では、新たなバリアフリー化の整備目標の達成に向けて、令和3年5月閣議決定された、第2次交通政策基本計画において示された方向性を踏まえ、令和3年12月に、鉄道駅のバリアフリー化により受益するすべての利用者に薄く広く負担していただく制度である、鉄道駅バリアフリー料金制度が創設されている。本料金制度では、鉄道事業者が路線ごとに活用の有無を判断し、活用する場合は利用者から収受した料金をホームドアやエレべーターなどのバリアフリー設備の整備(設置、改良、更新、維持管理等)に充てられることとなっている。
鉄道駅バリアフリー料金制度が創設されるとともに、1日平均乗降客数3千人以上の駅のバリアフリー化は令和4年度で完了するが、3千人未満の駅でも周辺に病院や社会福祉施設などがある駅等は早急に着手する必要がある。そこで、JR播但線京口駅や、その他の料金制度を活用しない3千人未満駅のバリアフリー化の促進について制度の拡充など当局の考えを伺う。[斎藤知事]JR京口駅は、3千人未満の駅であるものの高齢者や子育て世帯の利用が3千人以上駅と同程度である。現行の支援対象であるため、鉄道事業者にエレベーター設置を要望してきたが、まだ事業実施には至っていない。しかし、市がバリアフリー基本構想を令和4年3月に改訂し、当駅を重点的に整備すべき施設としたことを受けて、現在は鉄道事業者も優先して整備が必要な駅と位置付けている。
県では、来年度から料金制度を活用しない路線の未整備駅については、現行の支援を継続するとともに、支援対象に病院や社会福祉施設等の最寄り駅も追加していく。さらにJR京口駅のようなバリアフリー基本構想に位置付けられた駅は、鉄道事業者の費用負担が0となるよう補助率を拡充することから、早期着手に向けて鉄道事業者と協議を行うと共に、国に対して予算確保を働きかけていく。 -
2. はりま姫路総合医療センターのフルオープンについて
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]はりま姫路総合医療センターは昨年5月、34科640床で開院し、現在4月に向けて736床でのフルオープンの準備が進められている。計画が発表された当時、私は公明党姫路市議団として市内の中核病院を廻って勉強会を開催した。その際にいただいた、新しい病院を設置するにあたっての要望で印象深かったのは「医師確保も含め人材の確保のためには、交通の便の良い場所で建設すること」と「子育てしやすい職場環境を整えてもらいたい」というものだった。
また、昨年11月には、はりま姫路総合医療センターのフルオープンに向け、公明党姫路総支部として中播磨・西播磨の公明党のネットワークの中で、同センターのリーディングホスピタルとしての機能をフルに生かし、播磨地域の医療連携体制を考えるための勉強会と院内視察を実施した。
木下院長は快く受けてくださり、有意義な視察となった。その中で院長から開院後の状況で課題となっているのは、フル稼働しているMRIの増設、患者さんが使用できるWi―Fi通信の完備、医師養成のための研修医の増員であることを伺った。早速、斎藤知事にも視察・研修したことと要望を伝え、知事からは「できることから検討していきたい」と言って頂いた。
今後、しっかり機能させるためには、医師・看護師等の確保や具体の運用方法などハード・ソフト面の充実が最も重要である。4月に向けた準備の進捗状況を伺う。[杉村病院事業管理者]現在、院内でワーキングを立ち上げ、新たな人員の確保や医療機器の整備、診療科ごとの病床配分など多岐にわたる課題整理を行ったうえで、順次対応を図っている。人員確保については、臨床研修医の増員など医師確保を進めていくほか、業務量の増加に対応できるよう看護師や医療技術職の確保にも努めている。医療機器については、МRIの増設や新たに病棟に超音波診断装置を設置するなど医療機器の充実も図る。また、患者の療養環境の向上につなげるため、Wi―Fi整備も進めている。
フルオープンを機に「はり姫」の使命である、播磨姫路圏域での中核的な役割を果たす病院としてスタートラインに立つことができる。県域の医療機関とも綿密に対話を重ね、役割分担と連携強化の方策を検討していく。 -
3. 県立病院での看護師の安定的な確保に向けた処遇改善について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]病院局では、医師や看護師の安定的な確保に向けて取り組みを進められている。私は入院した時も、医師や看護師の方々は精神的に負担のかかる中で、昼夜を問わず患者の治療やケアを担っておられたので、働きやすい環境づくりを更に進めていただきたい。
そのような中、看護師の方からお手紙をいただいた。内容は「現在、育児休業中で今後、子どもが1歳になるため、復帰したいと思っているが、夜勤をしないといけないことが大きな妨げとなっている。院内に保育園があり、夜間も見てくれているが、子どもの精神面を考えると、知らない方と寝るよりも自宅の慣れた環境で私又は夫と一緒に寝てあげたいという想いがある。実際のところ、子どもの育児のことや夫が仕事終わりに保育園に行き、夜間の育児をして次の日に保育園へ送り仕事にいくことなどを考えると、仕事復帰が難しく転職も考えている。
夫の仕事の状況に関係なく、小学3年生くらいまでは夜勤の免除を選択できるようにしてもらえることで、早い段階から仕事復帰ができ職場に貢献できる。そうしてもらえると、私だけでなく、多くの育児休業スタッフも仕事復帰しやすくなり、働きやすい環境になると思う。県としても子育てをしながら働ける環境づくりに取り組んでいただけると助かる」といった内容であった
このかたに限らず、同じような悩みを抱える看護師も多くおられると思うので、人員を十分配置するとともに、多様な勤務形態の整備や育児支援制度の充実・利用促進など、魅力ある職場環境づくりをさらに推進する必要がある。
そこで、看護師にとって働きやすい環境づくりなど、看護師の安定的な確保に向けたさらなる処遇改善にどのように取り組むのか所見を。[杉村病院事業管理者]これまで働きやすい環境づくりに意を用いてきた。具体的には、勤務形態において夜間の出勤回数の減少や休暇の取得促進につながる2交代制勤務の導入に続き、昨年度からは、希望する職員が一定夜間勤務だけを行うことで、他の職員の負担軽減につながる夜勤専従勤務をとりいれた。配偶者が深夜に小学校就学前の子を養育することができない場合には、育休法に基づく夜勤免除制度も設けている。
また、給与面では、夜間の看護業務に対する特殊勤務手当を段階的に拡充するなど処遇改善に努めている。一方で、病棟看護師の配置数は、診療報酬上の基準を踏まえ、夜勤体制を基本として、患者の重症度や業務量を勘案して決定しており、それを超える配置は大きな経営上の負担となることはご理解いただきたい。これまでに導入した制度の効果検証を行い、必要な見直しを行うと共に、個々の職員の状況や職場実態を踏まえたきめ細かな制度運用に努めていく。 -
4. 学校問題サポートチームの活用について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. 不登校児童生徒への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]兵庫県における2021年度の不登校児童生徒数も、公立小学校で3、643人、公立中学校で7、679人と増加しており。深刻な状況となっている。21年度は新型コロナ感染が急拡大し、小中学校生の感染者数は20年度に比べ急増した。これらによる学校生活の変化も大きく影響したと考えられる。
これまでも県では、欠席が継続している児童生徒への支援、スクールカウンセラー等と連携した校内相談体制の充実などで不登校の未然防止に向けた取組をしているが、不登校児童生徒の個々の状況に応じた支援を充実させるため、学びの多様化の観点から、フリースクール等の民間施設との連携を図ることも大切だと考えており、県では民間施設との意見交換会の開催、「民間施設に関するガイドライン」の活用、研修会等で市町組合教育委員会や学校に活用の周知を図るなどに取り組まれている。
以前、優秀で人格者で生徒に慕われていた先生が「40年ほど勤めた教師生活の中で反省すること」として語られたのは「不登校になった生徒を一人も学校に復帰させることができなかったこと」との自戒の言葉だった。それほど不登校の問題は本人だけでなく、教員・保護者にとっても深刻な問題である。そこで、県では不登校児童生徒を支援するため「ひょうご不登校対策プロジェクト」を新たに構築されているが、不登校児童生徒への支援についてどのように取り組んでいくのかを伺う。[藤原教育長]まず、不登校に関する県下約50の関係機関が一堂に会した「ひょうご不登校対策推進協議会」を立ち上げる。不登校児童生徒の現状の共有や支援のあり方などを協議し、県全体の取り組みにつなげていく。また、学識経験者や専門機関で構成する「不登校対策推進委員会」を設置し、取り組みの検証と効果的な支援の方向性を検討していく。
次に、地域での連携した取り組みを推進していく。教育事務所単位に「ひょうご不登校対策地域会議」を設置して、学校問題サポートチームを中心とした地域の連携体制の構築、地域の状況に応じた不登校対策を推進していく。 また、不登校担任教員などを対象とした実践研修会も地域ごとで開催していく。各学校においては「不登校対策支援プラン」を作成し、組織的な取り組みを進めると共に、各市町で設置する「不登校対策連絡協議会」において、管内の取り組み状況を共有し、課題や支援のあり方をそれぞれの地域会議、さらには県全体の推進協議会につなげていきたい。
現在「学校の組織的な対応」や「教員向けのQ&A」「実践事例」等を掲載したリーフレットを作成しているところであり、今後、すべての小中学校に配布し、対応策への共通理解を図っていきたい。今後とも、行政、関係機関、学校、そして地域が一体となって不登校対策を総合的に推進していく。[天野県議(再質問)]プロジェクトチームの表を見せていただき、県全体で取り組むこと、市町の教育委員会が中心として取り組むこと、最先端である学校内で取り組むこととなっているが、これまで、先程も言って頂いた民間の力も借りるという意味での、フリースクールなどのガイドラインもつくって、行っていただいたが、中に入ってしまって、公立だけ、または教育委員会だけになってしまう可能性というものが、だんだん進めていく中で、ないようにフリースクール等の民間施設等にも関わって、広く進めていくんだということの認識もプロジェクトの表の中に書き込むなり、しっかりと表示しておかないとまた固まってしまうのではないか。[藤原教育長(再答弁)]県推進会議には関係機関50ほどの機関に参画していただこうと思っている。まさにそこには、県下のフリースクールとの意見交換をしているので、フリースクールの代表の方にももちろん入っていただくし、保護者の方々をはじめ、これまで携わっていただいた方にはすべて入っていただくということで、一丸となった意見交換の場として、課題を共有し、またいろいろな提案がでてくると思うので、それらを次の施策に反映していきたいと思っている。それは、全体の県の会議だけではなく、地域の会議でももちろんフリースクールの方々に入っていただき、共有しながら次なる対策に繋げていきたい。今後もそのことを明記していきたい。[天野県議コメント]やはり不登校で悩まれている、そして自分の身内や家族で学校に行かなくなったというだけで、仕事が手につかないというようなこともあるので、しっかりと全体で取り組んで、このプロジェクトチームが成功するように願っている。 -
6. 今後の信号機の整備等について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
しの木和良県議
[質問項目]
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1. 地域創生戦略の見直しについて
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]この度、第二期「兵庫県地域創生戦略」の残る計画期間2か年の見直しが行われた。その見直しの中で、総括がされている。地域の元気づくりでは、一人当たりGDPの伸びは国を上回り、住み続けたいと思う人が高い割合を維持するなど、戦略目標を概ね達成し、社会増対策では、30、40歳代の子育て世帯が転入超過に転じた一方で、20代の就職世代を中心に全体としては転出超過の傾向が続き、自然増対策ではコロナ禍に伴う出会いの機会の減少や妊娠を控える動きなどから戦略目標の達成には至っていないとされている。
その成果と課題、そして現在の社会潮流を踏まえた施策展開により、残り2年間の取り組み効果を高めていく必要があると結ばれている。これを受け、共通基盤にSDGs、公民連携、DXの3項目を設定し、時代を背景にFrontier、Return、Futureという3本柱で、人・モノ・投資・情報の流れを兵庫に呼び込む戦略目標となっている。これまでの戦略で対応不足なものや新しく対応しなければならないものとして十分検討されたものと思われる。
しかしながら、それらの戦略は現状の東京一極集中・大都市集中の社会構造の上で立てられているもので、経済や人口などで持続させなければならない地方社会の視点から見れば、不十分な戦略ではないかと疑問に思われる 地方創生は、本来は、人の承継や経済の循環する自立した地方社会を創設することではないか。また、現在の社会潮流を見ての見直しということだが、コロナ禍の中で都市集中型の社会のもろさが浮き彫りになり、全国の都市や町村で地域経済がしっかり循環し、ほどよい密度のまちの賑わいがある地方分散型社会が必要とされているが、このことはコロナ禍前の地方創生施策でも言われているところである。
今回の見直しの中ではその姿は全く見えていない。これまで約8年間の戦略では、ほとんど地域創生としての成果が見えておらず、しかもコロナの経験を経ての見直しでもあったわけだから、当然、地方分散型社会構築の項目でも検討すべきではなかったのか。地方創生の目標と地方分散型社会への取り組み方針、並びにそれらの考え方と将来の兵庫のあるべき姿をどのように考えているのか。[斎藤知事]今回の中間見直しにあたり、地域の未来を担う将来世代に焦点をあてて、都市から地方まで県内の多様な地域に若い方々が定着し、活躍することを目指す取り組みに重点を置いた。
具体的には、第一に「若者をひきつける仕事をつくる」ということ。成長を牽引する次世代産業の立地の促進、県内学生に対するスタートアップ支援の強化、しごと支援拠点の多自然地域への設置、Z世代の関心が高いSDGsに取り組む推進企業の育成など、若い世代が兵庫を舞台に自分の力を発揮したいと思える環境を創っていく。
第二に「働き方改革の推進」。デジタル技術の浸透は淡路や丹波など地方への人の流れを生みだした。場所にとらわれずに働けるテレワークの拡大、女性の活躍を推進するミモザ企業の本格的な展開など、新しい時代の働き方がかなう社会をつくっていく。第三は「教育への投資強化」。青春時代の多くを過ごす学校の環境を改善し、学業やスポーツ・文化活動の充実を支えていく。それによって、地域への愛着を育み、地元への定着、そして一度県外に出た若者のUターンにもつなげていきたい。[しの木県議(再質問)]東京一極集中という流れができており、今でも猪名川町では、中学や高校時代から自分たちは東京や大都市にでていくものだという意識のもとで育っている。東京や大都市への流れが変わっていない。それを変えられるとするなら、当初東京へ人が集中し、モノが集中し、そして大都市へと集中していった行政の誘導と民間の活力・エネルギーが反対に地方に起こるような、地方分散型社会をつくるというような、誘導するような文言の中で、創生戦略の施策を入れるべきではなかったかと提案する。それについてどう考えるのか。[斎藤知事(再答弁)]ますます東京一極集中の可能性が高まっていくのではという危惧をいだいている。そのような中で、一部の方々は東京へ行って挑戦してみたいという思いもあるかもしれないし、それを否定するつもりはない。一方、住み慣れた地元でこのまま働きたいという若者であったり、大学生活をこちらで過ごした人の7割くらいは、ここにいたいと思うようですが、共通するのは働くところがなかったり、挑戦する場所がないということなので、こういったことは行政がつくっていくという意味で先程申し上げた取組が大事であると思う。今回の戦略の策定にそこの文言が少し不十分であった点はあるかもしれないが、まさにそこを進めていきたいと思っている。[しの木県議コメント]やはりそこで育ったものが自分たちで地域を守っていくんだという意識ができるような、環境づくりができたらいいと思う。次の見直しの段階では、地方分散型社会という言葉が入ることを期待している。 -
2. 都市計画区域の線引き(区域区分)の廃止について
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]市街化調査区域は、1970年前後の川西市や横浜市の大規模住宅団地開発を受けて、人口急増問題を抱え、都市基盤整備も追いつかなくなった都市や無秩序開発によるスプロール化の問題を解決する一つとして制度化されたもの。その当時は、現時点のような東京一極集中が一層進み、地方では若者の流出が止まらず、人口が減少し続け、超高齢化社会となってその消失が目前となっている社会とは異なり、人口が増え続け、社会が成長し続けるという、現状とは真逆の社会現象のときだった。
その意味で、区域区分の廃止による影響等も、どういう視点でみるかによって、結論が左右されるのではないかと危惧する。以前のように開発によってスプロール減少がおきるのではないか、都市基盤整備が必要になるのではないか、また、その地域外の中心市街地にも影響が及ぶのではないか、ということを区域区分ができたときの背景のまま調査結果を見るか、それとも、なんとかして現状の社会構造を変えなければ地方が存続できなくなるという危機感から地域創生施策推進の視点で見るかによって、区域区分見直しの考え方はかわるのではないか。
私は区域区分の調査・検討は廃止による影響にどう対応し、地域創生を進めるために、民間活力を引き出す方向で必要な制度は何かを見極めるために行うべきだと考えるが所見を伺う。[斎藤知事]今年度実施した市町へのヒヤリング等では、区域区分維持の意向を示している市町がある一方で、市街化調整区域の面積・人口の比率が高い市町、特に北播磨地域からは、市街化調整区域での厳しい建築制限が、ご指摘の産業の誘致や移住の促進の障壁となって、地域の衰退の原因となっている、それをチャンスととらえられるようにしていきたいという声が強いととらえている。
この解決が民間活力・投資、それから移住を促す、多極分散型の兵庫県づくりにとってキーだと思うので、就任後その計画の改正・改革について着手してきた。市や町がまず主体となって、地域の特性やニーズに応じた土地利用ができる新たな仕組みが必要である。昨年度、検討会を立ち上げて、そこで議論を重ねながら、今回都市計画審議会の専門委員会で検討しているところである。
具体的には、区域区分を廃止したうえで、市町が活用するエリアや保存するエリアをゾーニングしていく、そして的確に土地利用コントロールをする方法を導入していきたいと考えている。そうすることで、これまで原則建築が禁止であった、市街化調整区域でもゾーニングに適合すれば建築が可能になり、許可手続きも不要になるということで、産業立地や移住のニーズにもスピーディーに対応できるなど、民間活力を最大限活用して地域活性化に資する制度にしていきたい。
一方、農地の保全であったり、あと阪神間は特に法律の規制が厳しく、市街化調整区域の議論がしにくいということで、国にも要望する必要があるので、ぜひそこをご理解いただき、一緒に要望していくことが大事だと思っている。[しの木県議(再質問)]地方創生を進めるために障害になる、そして以前とはまったく違う環境の状況が生じているところで、以前の環境の中でできた法律・制度がいまだに、すべてを拘束しているということを打破するためには、その障害を乗り越えるという、そういう意欲を持って進まなければならないと思う。そういう意味で国に具体的にどういうように、本当はすべて区域区分を廃止してほしいのだが、どのように知事は考えておられるのか。[斎藤知事(再答弁)]近々でいうと、国会議員への予算の説明会もあり、そこで伝えていくということと、すでに市街化調整区域の議論については、逐次、県選出の国会議員にも報告し、問題を共有している。その取り組みの輪を拡げながら、一緒にやっていきたい。[斎しの木県議コメント]私たちも国会議員に要望して、強調して進めていきたい。 -
3. 都市農業、都市近郊農業に係る担い手不足について
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]本県では農業に対する様々な施策を講じているが、このままでは農業が続けられないという声をよくお聞きする。私の地元、川西市の南部地域では大都市近接という好条件のもと、これまで桃などの果樹や野菜の栽培がされてきて、近年では特徴ある朝取り完熟イチジクで収益性を確保している。それにもかかわらず、承継するべき若い担い手の多くは、作業の厳しい農業を敬遠し、地の利が良いことからビジネスマンとして勤務され、高齢の就農者は自分たちが終わればほとんどの農地がなくなると懸念している。
猪名川町では、中北部の農業地域では小学校も1校廃校となり、中学校も統廃合され、残る小学校2校も風前の灯火となっているほど、若い方が流出する地域となっている。農業を承継する担い手も当然都市部に転出し、高齢の就農者からは、以前と違って定年になっても帰ってこない、その実情を何とかしてほしいと悲痛な訴えを聞いている。
事情は異なるが、両市町とも担い手後継者がおらず、このまま推移すれば、近いうちに農地が消滅してしまう危機にある。このような現状に対して、当局としてどのような認識を持ち、また、新年度多様な人材の参画を推進するため、移住者等を新たな自給的農家などとして確保するための必要経費を計上されているが、その取組の目論見と、今申し上げた地域の農業についてどのような方向性で考えているのか伺う。[萬谷農林水産部長]市街地やその周辺で農業を安定的に継続するには、農産物の供給という役割に加えて良好な防災機能など農地が有する多様な機能への地域住民の理解を醸成することや、生産緑地制度の導入、「都市農業振興基本計画」の策定を通じた市町による都市農地を活かしたまちづくりの促進が必要になる。
加えて、消費者の顔の見える都市、あるいは都市近郊農業の特性を最大限活かして安定的な収益や次代の担い手の確保を図る取組が必要である。このため県では①農産物直売所での交流や食育などを通じた住民との協働関係の構築への支援や②都市農地貸借法を活用した借受者による市民農園の開設など、柔軟で有効な農地の活用への提案などに取り組んでいく。
また、担い手の視野を広げることも進めていきたい。具体的には①JAが窓口となった都市農地所有者と就農希望者とのマッチングへの支援のほか②都市地域でニーズが高いと思われる農福連携において、コーディネーターによる地域の福祉事業所との連携への支援、加えて令和5年度から新たに③援農など様々な形で農に関心を持つ企業の参画の促進や④NPOなどによる、農業へのあこがれを持つ移住者、あるいは半農半X希望者の定着を促進していく。[しの木県議コメント]今おっしゃていただいた政策に期待している。 -
4. 親亡き後を見据えた障害者支援の取組について
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]私は令和元年に、障害者に対する親亡き後の取組について質問したが、引き続き保護者から同じ不安をお聞きするところだ。その際、答弁いただいたように、県では積極的にその課題への取り組みをしていただいている。その一つは、住まいの確保について県単で上乗せをした家賃補助や県営住宅を活用したマッチングなどの親亡き後のすまいの一つとしてのグループホームの整備を積極的に促進されている。
また、平成30年度から創設された障害者の重度化・高齢化に対応できる「日中サービス支援型グループホーム」に報酬体系や職員配置に課題があることから、医療的ケアが必要な重度の障害者でも安心して生活できるよう看護職員を常時配置した、全国で初めての「医療支援型グループホーム」の助成事業を創設された。
昨年12月に県内2カ所目の施設が相生市にオープンし、看護師24時間常駐の障害者区分5以上の重度身体障害者が生活できるグループホームとなっている。
このように兵庫県では、「親亡き後」を見据えた誰もが住み慣れた地域で安心して生活できる地域社会の実現をめざした施策を積極的に推進されているところだ。県では、「第2期ひょうご障害者福祉計画」で、親亡き後障害者の地域生活をなお一層積極的に推進しようとしている。そして、新年度に親亡き後を見据えて、在宅障害者と保護者に、地域での生活の具体的な姿の説明・提案を行う説明会を実施しようとされている。
しかしながら、リハビリ施設でもそうであったように、阪神の東部地域は重度障害者向けのグループホーム等の整備が遅れているのかとも思われるが、重度身体障害者を家族にもつ保護者は希望を持てずに悩んでおられるとの声も聴く。今後、親亡き後の障害者の地域での安心した生活を支える取組を推進するにあたって、全県下を対象としてどのように具体化していくのか。[生安福祉部長]地域の支援体制の充実では、相談支援の中核機関となる基幹相談支援センターや緊急時の相談・受入機能などを有する地域生活支援拠点を令和5年度末までに全市町での設置を進める。こうした支援につなぐため、新たに地域生活の具体的な姿を提案する説明会を全圏域単位で実施していく。
住まいの確保では、グループホームの役割が重要となる。現在、グループホームの利用者数は、計画目標を県下全域や阪神北圏域でも上回る状況にあるが、日中サービス支援型グループをはじめとして重度障害者の受入は1割程度である。
このため、全圏域では日中サービス支援型グループホームの整備、そして医療型の入所施設がない圏域では医療支援型グループホームの整備を進めるほか、強度行動障害者の受入拡大なども進めていく。来年度改訂の実施計画においては、その受け皿確保を県の率先取組指標に設定し、地域の実情に応じた取組を推進していきたい。さらには、施設の整備・運営には地域との連携が不可欠なので、県民意識の醸成も図っていく。[しの木県議コメント]地域の説明会だけだと思っていたが、受入れ体制もしっかり整えていただけるとのことなので、ぜひともお願いします。 -
5. 県立学校特別教室への空調整備について
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]学校においても、熱中症予防のため、空調整備がすすめられ兵庫県では、平成30年度に県立学校全普通教室への設置が完了している。それ以後は、特別教室への整備が進められており、夏場でも窓を閉め切って授業を行う必要がある教室など優先順位をつけて推進されている。令和元年度に特別支援学校の整備が完了し、令和2年度から、高等学校の整備が順次進められている。私の地元川西市では2高校、近接の宝塚市でも3高校が設置済みとなっている。
しかしながら、選択教室・理科室・社会科室などは未設置教室となっている。熱中症で命を落とすリスクを最小限にするために空調整備するのであれば、当然、全教室も一様に整備されなければならない。まさか、常時在室せず、利用時に締め切らずに使用する教室は、季節に対応できる強さや寒さ暑さも我慢できる体力を培ってほしいという前近代的な精神論ではないと信じるが、現在では室内でも熱中症のリスクが高まり、窓を開けても閉めてもリスクは同様だと思う。
財源的に優先順位をつけるのは理解できるが、なぜ未設置教室があるのかは理解できない。新年度に未設置教室の中で選択教室への空調整備がなされる予定で予算計上されているが、そのほかの理科室等の未設置教室はどういう計画となっているのか。同じく新年度、地域と協働した活動や地域の活性化にも寄与するため、モデル的に学校グラウンドの芝生化整備を学校環境の整備の一環としてするということだが、優先順位とういう意味では学びの場本来の環境整備が優先されるべきではないか。今後の特別教室への空調整備について所見を伺う。[藤原教育長]現在は、夏場も窓を閉め切り、授業を行う音楽室や調理室、被服室などの5教室を令和10年度の完了に向けて取り組んでいる。一方で、夏場の猛暑日の増加など気象状況が厳しくなる中、空調未設置教室への整備の必要性については、十分認識している。特に学校から多くの要望がある、少人数学習で使用する選択教室510室に加えて、避難所指定の学校体育館の空調整備に着手するなど、令和5年度から6年間で約52億円の投資を行なう。
理科室や社会科室等への空調整備をはじめ、県立学校の環境改善については様々なご要望がある。厳しい財政状況においては、一度にすべてを叶えることはなかなか難しい状況にあることはご理解いただきたい。まずは、選択教室等の空調整備を確実に推進する中で、特別教室の未設置の空調整備などさまざまな要望に応えるためにも、現在実施している長寿命化改修やその他の改修工事等を効率的に実施していく。
2つ目に国の補正予算など、有利な財源を積極的に活用するなどにより、特別教室の空調整備も含め、可能な限りさまざまな要望に応える整備の前倒しを図り、その中で対応できるか検討していく。併せて学校には今回整備する社会科室等の選択教室も有効的に活用できるか検討を促す。
なお、グランド芝生化整備は、運動場の課題である砂ぼこり、ぬかるみ、生徒のけが等への対応に加え、部活動で利用することへの効果を検証するために、生徒の要望も踏まえ、県立学校で始めての取組となる芝生化整備をモデル的に行うものである。[しの木県議コメント]未設置教室がなくなるということであれば、そう理解していきたい。
一般質問
松田一成県議
[質問項目]
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1. 知事が目指す躍動する兵庫の姿について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]世界中で猛威を振るう新型コロナの発祥から4年目を迎える。兵庫県では、現在約145万人が感染し、依然として流行の波を繰り返す中、社会活動を加速化している。
2025年には大阪・関西万博を契機に、観光需要の回復の起爆剤として期待されている。また、兵庫県域のベイエリアの将来像や念願であった神戸空港国際化、大阪湾道路西伸部の整備、三宮の再開発等2030年頃には新たな国際都市として生まれ変わろうとしている。
さらに、経済回復として期待される、次世代のクリーンエネルギーである水素サプライチェーンの拠点形成を目指すほか、行政、金融、教育、研究、情報発信の5者で脱炭素社会の推進に関する連携協定を結ぶなど、県独自のモデルの社会構築を進めようとしており、兵庫県の未来性を感じている。
一方、地域社会には高齢化に伴い、人口減少が進み、若者の流出に歯止めがかからず、財政悪化による行政サービスの低下、空き家の増加、コミュニティの維持など地域が抱える課題は複雑化、深刻化している。
今、様々な問題解決に向け、兵庫県としての基本方針「ひょうごビジョン2050」のもと、各種施策を推進し誰もが希望を持って生きられる、一人ひとりに可能性が広がる「躍動する兵庫」を目指し、「新時代への挑戦」と銘打って新年度度予算を編成されている。今こそ知事の手腕が問われている。県民生活が疲弊している中、コロナ禍や物価高騰といった危機をどう乗り越え、その後の知事が目指す兵庫県とはどういう姿なのか見解を伺う。[斎藤知事]コロナ禍で3年間制限されていた社会経済活動が正常化する。ポストコロナに向けて、兵庫の持つポテンシャルを解き放ち「躍動する兵庫」づくりを加速化していくことが必要である。それが今年度の予算の大きな目標である。その目指す姿の一つは、チャレンジが次々と湧き上がる兵庫である。人や企業などが失敗を恐れず、持てる力を存分に発揮できる環境づくりをしていく。それによって、人口減少等への対応など地域の諸課題に立ち向かうと共に、水素・脱炭素など国内外の社会課題解決にも貢献する、そのような兵庫を創っていきたい。
また、国内外との交流がダイナミックに広がる兵庫県をつくっていくことも大事である。五国の多彩な地域資源に恵まれ、また、関西と瀬戸内海の結節点という兵庫県の優位性がある。2025年の万博、神戸空港の国際化といった大きなチャンスを生かして、若い方々を含めたあらゆる世代の方々が交流し活力を生み出す、そんな兵庫づくりをしていく。
そして、最も大事な土台となるのが安全安心な社会づくりであり、誰一人取り残されることのない兵庫を目指していくということが大事だ。孤立化・孤独化している方々への支援、社会的にも困っている方など、すべての県民が安心して、育ち、学び、働き、暮らせる兵庫を創っていくことが何よりも大事だと思っている。 -
2. 食料安全保障について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]食料の安定供給については不測の事態にどう対応するか日頃から具体的な取り組みが必要である。特に海外からの依存度が高い小麦や大豆、飼料作物においては、国内生産の拡大や安全供給のため、施設整備の支援や水田の畑地化などを強力に推進する必要がある。
国の食糧・農業・農村基本計画の2030年度における食料消費見通し及び生産努力目標では、大豆34万トン、飼料用米70万トン、米粉用米13万トン等を生産努力目標として、それぞれ21年比で拡大させる目標を掲げているが、さらに政府は農政の基本理念や政策の方向性を示す食料・農業・農村基本法の改正案を来年度国会に提出する予定である。
県は2030年までのビジョンを策定し、自給率は生産額ベースで国の75%に対し、県は42%を目標にしている。今後、輸入依存から食料安定供給を考えるとき、産地に適した農産物の生産振興からその販路開拓までの伴奏型の支援が必要である。そこで国の基本法の改正に合わせて、県でもしっかりと対応することが今こそ求められる。食料の安全保障・危機管理という観点から県の取り組みについて伺う。[萬谷農林水産部長]令和5年度からは、構造改革のうち生産面の対策として、広域的な低コスト化に向けたスマート農業機械のシェアリングや有機農業を始めとする環境創造型農業の新たな展開を目指す検討会の設置、また、担い手面の対策として、地域農業に参画する企業や半農半Xなど農に携わる多様な人材が行う取り組みへの支援、そして出口対策では輸出拡大に向け、知事のトップセールスプロモーションを実施して、万博への誘客も含め国内外の販路開拓の一層強化を図っていく。
さらに、それらの基盤となる地域の将来の担い手と農地利用を具体化できるよう、地域に寄り添いながら地域計画の策定を支援していく。現場の状況に応じてやるべきことをしっかり進めていきたい。
現在、農林水産政策審議会では、ひょうご農林水産ビジョン2030策定後に顕在化した課題の一つとして「食料安全保障」を捉えて、今後の対応策について議論いただいている。今まさに答申のとりまとめを行っている。
今後は、国の食糧・農業・農村基本法の改正に向けた動きを注視するとともに、農林水産政策審議会からの答申を踏まえ、食料安全保障の強化に向け、将来に向けた本県農林水産業へ強固な生産基盤づくりを進めていく。[松田県議(再質問)]我々都市部の消費者はお金を出せば自由に食材が買えると思っていたが、昨今のロシアからウクライナへの侵攻を考えてみると、本当に当たり前と思っていたことがそうではない、そういう時期に来ている。一つの提案だが、生産者に対して食料が安定的に供給できる仕組みを考える時期が来ていると考えるが。[萬谷農林水産部長(再答弁)]都道府県の食糧自給率を考えると生産は県内、ただし、消費の方は県内に限らず計算されてしまうので、人口が多いとそれだけ自給率は下がるということになる。
私共としては、食料自給率を視野に置きつつも、生産力の向上を考え進めていきたい。例えば米の生産を考えてみると、兵庫県産のお米で兵庫県民に供給できている量は約半分ぐらい、、つまり県民のニーズに対して生産する農地が少ないということになる。安定的に供給できる役割りとなると、少しでも生産力を強化するというようなことを考えていきたい。 -
3. エネルギー安全保障について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]日本では、コロナ禍、原油高円安などが日本経済にとって大きな影響を及ぼしている。特にエネルギー分野においては、一次エネルギーの自給率が現在12%と主要国の中では35位と低い水準となっており、海外からの輸入、化石燃料の比率も84%と大きく依存している。経済安全保障の観点からも、一次エネルギー供給の国産化をいまこそ協力に推進し、年間20兆円に及ぶ資源エネルギーの海外依存からの脱却が求められている。
そのためには、徹底した省エネや再エネの主力電源化、脱炭素の取組等を通して、将来的に原子力発電に依存しない社会、そして国際紛争や大規模災害にも左右されない安定的な供給が望まれる。国は、エネルギー基本計画において、2030年度におけるエネルギーの需要見通しを示しており、再生可能エネルギーについては、研究開発の成果を踏まえ電源構成で36~38%程度を目指し、2013年度比で46%の温室効果ガス削減を目指そうとしている。
県は2030年度までの温室効果ガス排出量削減を2013年度比-48%、再生可能エネルギー導入による発電量100億Kwhと目標を強化したところは評価するものであり、水素社会の実現に向けてもしっかりとしたビジョンを持ち進めるべきである。
次世代のエネルギーである、水素社会の実現に向け、播磨臨海部におけるカーボンニュートラルポート形成計画の策定に取り組むなど大きく動き出している。そうした温室効果ガス削減を実現する水素社会の構築に向け、今後どのように全県に広げようとしているのか所見を。[斎藤知事]水素が安全保障に寄与する理由の一つとしては、エネルギー調達を多角化できるという点にある。石炭、それから天然ガスなどの化石燃料は産出国にかたよりがあるということ、これは国際情勢や地政学的なリスクが大きいという形になる。一方、これに対して水素は再生可能エネルギーや褐炭などのこれまであまり利用されていない、未利用資源から製造や輸送ができるため、広く世界中から調達が可能になる。
このため、水素の受入、それから供給拠点の形成などを含む、播磨臨海地域におけるカーボンニュートラルポートの形成計画の策定といういうものを現在進めており、今年の夏ごろをめどに取りまとめたいと考えている。そして、水素サプライチェーンの構築をめざしている関西電力、川崎重工は姫路エリアでやりたいとしている。あと神戸市も。神戸港を中心とする取組、この連携がすごく大事だと思っているので、そういった官民連携の取り組みも進めていく。また、水素製造に今力を入れているのはオーストラリア。先日、西オーストラリアのマガウワン首相も来られたが、そういった海外とのパートナーシップも県がやれることはやっていきたい。
そして、安全保障に寄与するもう一つの理由は、今後増える再生可能エネルギーの能力を最大限生かすということで、水素が有用なためであるが、電力は需要と供給を絶えず一致させる必要がある。今後再生エネルギーが増えると出力の制御の頻度が上がる。そこで大量に長期に保存することが可能な水素の特性を生かして、余剰する電力を活かして、そこから水素を製造・貯蔵し、必要なときに利用できるので、余剰電力を活用して、かつエネルギー自給率を高めるということが重要になる。
このため、現在、県内で再エネの比率が高いのが淡路島なので、淡路をフィールドにして、余剰電力を活用して水素の地産地消を行うための調査を行っている。来年度、実証に向けて取り組む予定で、そこで得られた知見を他の地域にも展開していきたい。[松田県議コメント]ほとんどが化石燃料に頼っているという状況の中で、石炭が25%、石油が37%、天然ガスが23%、計84,85パーセントになる。原子力が2.8、水力は3.5、再エネがまだ10%いくかいかないかという状況である。知事が答弁されたように、次世代エネルギーの水素の活用というのは、私は兵庫県の将来を変えてもいいぐらいの大きな転換であると思うので、ここはしっかり行っていってほしい。 -
4. 感染症安全保障について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]県では新型コロナウイルスの流行抑制のため先進的な未知のウイルスの研究が扱える神戸大学の研究室の調査を支援した。重症化コロナ病棟を開設していた、県立加古川医療センターの協力を得て、コロナ感染歴がありワクチンを2回接種した患者の血液を採取し、中和抗体をつくる膨大な細胞を分析するなど、中和抗体に適する研究を継続した結果、これらで得られた知見をもとに、他府県にはない最先端の情報を得ることができた。
オミクロン株に変異してから肺炎による死亡や重症化は減少したものの、発生数が多いため死亡総数は高くなっている。インフルエンザの死亡数は年間3千人程度ですんでいるのは、ワクチン接種やタミフルのような特効薬があるためである。新型コロナ死亡者数は、発生依頼すでに7万人を超えている。一方、新型コロナは抗体で重症化は防ぐことができるものの、変異が早いため抗体の効果が減少し、どんな変異株でも対応できる抗体をつくる必要があった。
研究の結果、昨年10月に神戸大学研究室がBA・5を含め全変異株に効果があるユニバーサル中和抗体の開発に成功したと発表した。そのことで発症や重症化を防ぐ治療薬につながることが大いに期待されている。しかし、画期的な中和抗体が発見されても、製薬として実用化されなければなんの意味もない。そこで、今までの研究成果をどう評価しているのか、また、産官学連携による研究開発の支援などをどのように取り組んでいくのか。[山下保健医療部長]新たな治療薬の開発については、国が戦略的に推進し、有望な治療薬開発を重点的に支援することとしているが、県としても、十分な研究費の安定的かつ長期的な確保、薬事承認プロセスの迅速化等を引き続き国に働き掛けていく。また、産官学による研究開発を支援する県独自の枠組みである、成長産業育成コンソーシアムや研究開発支援事業の活用などを開発状況に応じて提案しながら神戸大学の取り組みを後押ししていく。
新型コロナは、5月8日以降5類の位置づけとなる予定だが、県としては、これまでの経験や教訓を踏まえつつ、必要な対策や知見の科学的根拠に基づいた、正しい情報の発信を実施するなど、今後とも感染症対策の推進に努めていく。[松田県議(再質問)]産官学連携による支援を後押しするとのことだが、何らかの立ち上げを予定しているのか。また、これまでの研究への評価は、ユニバーサル中和抗体の発見は、素晴らしいことだと評価されていることはありがたいが、これまで神戸大学に対していくらぐらいの支援を行ったのか、費用対効果はどう考えているのか。[山下保健医療部長(再答弁)]研究スタートの支援として3年間の支援を行うこととし、総額185百万円の支援を行った。国は、いろいろな結果に基づいて、非常に重要と判断したものに対しては、国家戦略として重点的に支援するとしているため、県から国への働きかけを行っていく。神戸大学に対してはしっかりとアピールしていただきたいと考えている。
県から神戸大学に直接的に膨大な資金を継続的に支援していくことは難しいが、創薬は長い道のりとなるため、様々なベンチャー企業や製薬会社とつないでいくというところで県の役割を果たしていきたい。[松田県議コメント]5月8日以降、感染症法上の位置づけが変わるが、今後も感染の規模や時期も予想できない。今から20年以上前にインフルエンザが流行した際にも、治療薬や検査キットがなく、多くの高齢者の命が奪われることとなった。そういった経験があるため、医薬品の開発は極めて大事だ。
そういった中で、感染症から県民の命を守るということは、知事が言われている「誰一人取り残さない」ことになるが、多くの患者が亡くなっている状況にあることから、県はもう少し強く後押しするべきである。資金を出す、出さないではなく、県にはほかにもいろいろなお手伝いができると思っている。それが県民に応えることであり、新時代への知事の挑戦がそこにある。 -
5. 空家活用特区条例の実効性について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]県では、「空家発生予防の手引」を作成・配布するなど、これまで様々な取り組みを行っており、この手引きにも記載のある空家の適正管理についてのチラシを固定資産税の納税通知書等に同封するなどの啓発が28市町で進められている。さらに、昨年4月には全国初となる規制緩和規定を含む「空家活用特区条例」が施行され、その活用が大いに期待されるところだ。
しかし、この条例は市町がある一定の区域を決め、県が特区指定すれば、住宅の建替や商業施設等への用途変更の規制緩和等を可能とするものである。国も居住目的のない空家がこの20年で約1.9倍に増加し、今後2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、居住目的のない空家が420万戸程度となると推計されている。
認知症等の増加等により空家の所有者の特定が困難になり、地域社会に悪影響を与え、活力を阻害する空家を未然に防止するため、国では空家等対策の推進に関する特別措置法の改正を検討している。この法改正は、空家の活用の促進区域を市町が決め、他の施設に転用しやすくするもので、施行後5年間で100区域を目指すとしている。
しかし、県の条例、国の特別措置法の改正も空き家活用に重点が置かれているため、いったん空家になると管理不全に陥ることになり、流通や活用がさらに困難になるため、空家がいっこうに減らない原因となっている。この法改正では主勇者責任の強化として、国・自治体の施策に協力する努力義務が追加され、また、特定空家となる恐れのある空家に対し、市町が指導・勧告でき、勧告された空家は固定資産税の住宅用地特例を解除できることとなっている。
私は以前から質問しているように、管理責任が明確になっている以上、空家になる前の予防策として市町に対する届け出を義務化することの条例改正を検討するべきであると考えるが所見を伺う。[西谷まちづくり部長]県では議員からご指導もいただき、空家活用特区条例を制定した。条例の中では、特区内の空家所有者からの届出も義務化しており、4月から施行している。県でも市町に特区指定の働きかけを行った結果、現在2市から特区指定の申出を受けており、今年度中に指定する予定で手続きを進めている。更に複数の市町でも指定に向けた検討が進められている。
ご提案の空家になる前の予防策としての届出義務化については、所有者からの届出の処理、未届けへの対応等、市町の負担が大きい点が課題である。空家の所有者に対する届出の義務化について、市町にアンケートした結果では、届出が期待できない、空家の特定が難しい、業務量に見合った効果が見込めない等、消極的な意見が多数であったので、空家になる前の届出義務化では、さらに業務量が増えることから市町の理解を得ながら検討する必要がある。
このため、まずは特区内での届出義務化制度の運用実績を積み重ねて、特区指定による効果の検証を行うと共に、その成果を広く県民や市町に発信することで、特区指定の拡大に努める。[松田県議(再質問)]私は空家を減らすというよりは空家をつくらない、こういう方向に政策を展開していく必要がある。今、2市が手を挙げておられ、これから特区に向けて県が指定することになるが、手をあげている地区がどういう状況かというと、そこに区域を決めるだけの要素があるわけである。そこに観光地があるとかというところに対して一定の区域を決めて、そこに旅館を持ってくるとか商業施設を持ってくることに意義がある。
けれども、空家を減らそうと思うと、そういうところばかりではない。それを待っていたら、いくらでも空家が増えていく。所有者の責任のもとで空家になる前に届出をするということを、市町の負担を県が行うなどして、本気でやらなければならない。[斎藤知事]予防策として、観光地以外のところでも空家がなるべく出てこないようにしていくことが、本当に大事である。これは観光のみならず、地域コミュニティの安全・安心のためにも大事なことだ。移住がだんだんと増えてきている中で、住むところとなる空き家がなかなか見つからないという声もある。その一方で、空家が増えてきているという状況もあり、そのミスマッチをしっかりと解消していくことがこの条例の一つの目的でもある。まずは各市町に首長さんを含めて条例について今一度、プロモーションして、そして活用していただくということをやっていきたい。