議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第358回(令和4年6月)定例県議会
代表質問
越田浩矢県議
[質問項目]
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1. 県政推進の基本姿勢について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]4月の組織改正では本庁の5部体制を12部体制とし、調整機能の強化策として各部に総務課を設置し、各部の総務課同士の連携により縦割りの弊害を防ぐ手立てとし、部局横断の課題に積極的に取り組むことができる体制に改めることとしている。そして、イノベーション型行財政運営によって、職員一人ひとりから自律的・多発的に業務の総意工夫や変革の提案がなされる県政の実現を目指すとしている。
井戸県政においては、井戸知事が副知事時代からの様々な経験と知識をもとに、知事が県政のあらゆる面を把握し、バランスをとりながら意思決定を的確におこなう、ある種のトップダウン型の県政推進であった。齋藤知事は県庁内のボトムアップをうまく機能させ、民間力を取り入れながら、政策目的を明確化し、エビデンスに基づくEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)を原則にして、外部評価を積極的に活用しながら、PDCAサイクルを厳格にして県政推進をおこなっていくことを掲げられていることは理解できる。
今年度の予算編成を終え、新年度に組織掲載を行い、ある意味において本格的な体制を整えた現時点において、これまで示されてきた齋藤知事の県政推進の基本姿勢について、行革の見直しや条例案を進めていく上で、修正を迫られた経験をもとに、もう一段具体的な取組としてブレイクダウンして、新年度における県政推進をどのように展開していこうとされるのか、また組織改正による新体制によってどのような効果の発揮を期待するのか。[齋藤知事]今年度の県政推進にあたって大切にしていることは「現場主義の徹底」、そして「対話の重視」である。現場に直接行き、様々な課題を聞かせていただく、そしてそれを県政の施策・対策に繋げていく。また、様々な方との対話・コミュニケーションを通じた理解の促進、合意形成を図ると共に、結論を出した後も丁寧にフィードバックさせていただくなどプロセスを大切にするということが大事である。
こうした姿勢を、すべての職員と共有し県政を進めていきたい。この間、新年度が始まり、県内各地に足を運び、首長との意見交換で様々な現場の課題を見させていただいた。そういったことをこれからも積み重ねていきたい。
組織については、本庁を12部体制にした。これは、各部の責任を明確化し、部長を中心にその下で次長や総務課が部長をサポートしながら、迅速な意思決定により、各課題の解決を目指したいものである。この間、部局長マネジメントのもとで、ヤングケアラーの対策、スタートアップ支援、ウクライナの対応、今回の6月補正でも計上させていただいている原油高騰対策など、様々な課題にスピード感を持って的確に対応している。
そういった意味でも各部長がマネージメント力を発揮し、理念そして方向性を私と共有しながら、積極的に様々な施策を展開していきたい。[越田県議]井戸前知事の場合は、トップダウン的なところがあった。その良さは迅速な意志決定ができ、的確にリーダーが支持すればスムーズに県政が推進された。齋藤知事がオープンな県政、ボトムアップ型県政を進めるということであれば、県庁の職員を含めこれまでのトップダウン型に慣れている場合に、ボトムアップを急に進めていくのは難しいのではないか。
12部体制にし、部長のマネジメント力を向上させるということだが、職員が自発的にいろいろ提案していけるという風土を県庁内につくっていくことは非常に重要ではないか。そのためには、組織をどう増やすかだけではなく、下からの意見が言いやすい雰囲気をつくっていく、制度としてそれを確立していくことが重要ではないか。その点、部長のマネジメント力の発揮という部分以外に部下からの提案をいかに引き出していくのか、現在の取り組みがあれば教えていただきたいし、課題があるのであればどのように解決していくのか。[齋藤知事]トップダウンとボトムアップの両方が大事である。特に、危機管理対応や急を要する社会課題が出てきた場合に、これに対応するにはある種トップダウンで対応する必要がある。一方で、県政は裾野が広いので、様々な分野に対応するためにはボトムアップで対応していくことが大切である。
私自身は就任前は部長や副知事として兵庫県庁で働いた経験がないので、そこは私ひとりの力ではなく、職員全体の知恵やアイデアなどをベースに進めていくという意味でもボトムアップも大切である。
政策会議を月に2回行っているが、そこでも挨拶や発言等を短めにして担当部長の意見を聞くようにし、全員で共有し進んでいこうと考えている。[越田県議]知事がEBPMで政策目的を明確にしてエビデンスに基づいて、外部評価も使いながらPDCAを回していくと打ち出している。今年度の予算案で見ていると、ちゃんと評価をしようと思うと、数値目標で具体的に決まっていないと、評価があいまいになり定性的になってしまう。その点はどう考えているのか。[齋藤知事]エビデンスベースの政策決定、そして進捗管理が大事である。もちろん、政策によってはそういったエビデンスでは具体的な効果が見えない分野ももちろんあるが、多くの分野はそういったところを取り入れていきたい。令和4年度の予算編成のなかでも、一部はそういった視点も取り込んだが、まだまだ十分でないという点も、ご指摘の通りだと思うので、今年度実施する事業レビューなどでも、そういったEBPMの視点をしっかり取り入れて、新しい政策についてもそういった視点を取り入れて3年間で評価して、考えて、取り組んでいきたい。 -
2. 兵庫県政におけるSDGsについて
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. 大阪・関西万博関連施策の実施について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]今回の万博が生み出す経済波及効果は約2兆円と大きく、関西における新たな共創やイノベーションの創出が期待されている。また、約2,800万人の来場者を見込んでおり、兵庫の魅力を世界に発信する絶好の機会となる。知事はこの好機を前向きに捉え、万博をどう兵庫県のために活かし、その効果を極大化するかをご自身の使命と考えていると拝察する。その意気込みは技術職の副知事の選任や万博推進室の設置からも伺える。
万博推進室では、大阪湾ベイエリアの活性化とひょうごフィールドパビリオンの展開という2大施策を強力に推進されようとしているが、特に大阪湾ベイエリアの活性化については、正直なところこれまでの知事の議会等での説明を聞いても、そのポテンシャルと活性化事業の展開イメージがなかなか湧かないという感想を持っていた。
そうした中で、5月23日に知事と神戸、尼崎、西宮、洲本、芦屋、南あわじ、淡路の沿岸7市長出席のもと「兵庫県域の大阪湾ベイエリア活性化推進協議会」が開催され、今年度中にベイエリアの将来像や事業展開の方向性を示す基本姿勢を策定し、企業誘致や交流人口の拡大、海上交通、臨海部の土地利用のあり方等について具体的なプロジェクトを立案し、万博に向けた取組とともに中長期的な活性化戦略を描くという方向性が示された。
基本方針の原案は学識経験者や民間企業でつくる企画委員会で作成するとのことだが、大阪湾ベイエリア活性化の発案者である知事が思い描いている構想の種や、展開のイメージについて投資を伴う開発事業の展開がメインとなるのか、既存試算のアレンジや活用によるソフト事業的な展開がメインになるのか、大阪側との連携については「兵庫・大阪連携会議」を活用するとのことだが、連携して実施する事業案としてどのような項目が想定できるのか等、もう少し具体的に語っていただき、思いを共有し議会からも知恵やアイディアを出すなど協力していきたいと考える。
また、11名体制の万博推進室で、大阪湾ベイエリア活性化施策の推進フィールドパビリオンの展開に取り組むことについては、本来観光や開発等を担う主管部との役割分担等、組織的にスムーズな体制として機能するのかという心配もある。以上の点について大阪・関西万博関連施策の推進について所見を伺う。[齋藤知事]具体のプロジェクトとして、時間軸を意識して展開していきたい。まずは、万博までの3年間。この期間は基本的には交流の活性化に軸を置いて、周遊の滞在型観光、これはディスティネーションキャンペーンもこれから始まるが、それから海上交通、そういったところを中心にやっていく。その中ですでに実証実験を海上交通でやっているが、大阪と兵庫を結ぶという海上交通の実験などでは、大阪府との連携もこれからも出てくると考えている。それから、中長期的には投資を呼び込んでいくということが大事で、さまざまな名神湾岸連絡線も含めた道路インフラ、それから港湾のインフラ整備などもこれから続いていくので、そういった流れの中で企業誘致、民間投資の呼び込みを進めていきたい。
フィールドパビリオンについては、万博の期間中にSDGsを切り口にして、兵庫県内のさまざまな取り組み、地場産業、伝統文化、それから震災からの復旧復興の取り組みなど、「活動の場そのもの」を、兵庫の、世界に発信すべき人類共通の諸課題の解決モデルだということで、発信していきたい。万博の来場者をできるだけ多く、県内各地に呼び込んでいきたい。近日中にフィールドパビリオンの参加募集の発表をしたいと思っており、すでに意欲をもっておられる各地域の方々がおられるが、そういった方々を参集し、万博に向けたコンテンツの磨き上げ、それから観光という一つのプログラムにも見立てていかなければならないので、そういう形をどのようにしていくのかということを積極的に展開していく。[越田県議]大阪湾ベイエリアの活性化については、活性化推進協議会の第1回会議資料を拝見した。検討を進めていく上でも齋藤知事がメインはこうなんだという、メインのプロジェクトのような部分を打ち上げる必要がある。万博までの海上交通をつくるという話よりも、もう少し中長期的に、大阪でIRをやるといっているなかで、それが実現する前提で、大阪湾が非常に注目されるエリアになるということは、現実的な話であるが、メインとしてはどうしていきたいというところをもう少し出す必要があるのではないか。[齋藤知事]先日立ち上げたのは首長の協議会だが、あわせて有識者を含めた検討会も立ち上げているので、そこで具体的な内容を検討していく。できればシンボル的なプロジェクトを、各市ごとに1つか2つぐらいつくっていくということが望ましい。それを包含する形で大きな何か方向性ができると、共有するものができる。大事なのはやはり地元の市である。どのような地域に(していきたいのか)、ベイエリアを含めた街づくりをしていきたいのかという思いが大事なので、そこを汲み取りながらシンボルプロジェクトをつくっていきたい。[越田県議コメント]具体的な姿が分からないところもあるので、いろいろな議論、いろいろなアイデアが出てくると思うが、しっかり見守りつつ、県としても「しっかりこれをやっていこう」という提案もしていくべきではないか。 -
4. 元町周辺再整備について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. ひょうごウクライナ支援プロジェクトについて
質問と答弁のダイジェストはありません。
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6. コロナ後遺症対策について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]多くのコロナ後遺症患者を診察してきた東京都渋谷区のヒラハタクリニックの平畑光一医師は、公明党の厚生労働部会での講演で、コロナ後遺症で診察した患者について、週の半分以上は自宅で休息する「準寝たきり」以上に重症化した人が4割弱いると報告された。コロナ感染時の症状が軽症であっても重い後遺症になるケースがあり、その傾向はオミクロン株による感染でも同様であり、オミクロン(株)による感染者が急増したことで、後遺症患者も増えていることから、感染から後遺症までを考慮するとオミクロン株は「最悪の株」であるとしている。ヒラハラクリニックの後遺症患者で労働者2,110人のうち解雇など職を失った人が149人(7%)、休職した人が867人(41%)にのぼっているとのことで、状況の深刻さが数字に表れている。
後遺症症状で特に注意が必要なのは、入浴や散歩といった軽い運動などの5~48時間後に急激に強い倦怠感が出る「PEM」や数日間寝込んで動けなくなる「クラッシュ」という状態で、適切なケアをせず放置したり、無理に動いたりすると原因不明で治りにくい慢性疾患「筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群」に移行する恐れがあり、発症すると日常生活を送ることが困難になることから、倦怠感等の後遺症発症後は無理に体を動かさないことが重要と言われている。
こうしたコロナ後遺症について、喫緊の課題として平畑医師は患者及び医師へのコロナ後遺症に関する正しい情報の提供が必要だとしている。後遺症に苦しむ患者は「もう治らない」と絶望しているケース、後遺症がもとでうつ病を発症するケースがある。また医師側も後遺症に当る症状については、労災保険の給付や健康保険の傷病手当金の対象になり得るにもかかわらず、診断書を書けないと判断するケースや労災にならないという対応によって、後遺症患者が公的支援を受けられず、生活に困窮し自死に至る等のケースも報告している。
後遺症対策について、厚労省の対策も踏まえつつ県として急増している患者の方の不安を適切に取り除くことができる相談体制の強化や、医師への正しい知識や適切な治療法の周知とともに、後遺症の症例や治療情報の集約・共有を行い後遺症に対する知見を高める取組や専門的な診察治療が行える医療の充実、紹介等により、苦しんでいる後遺症患者を救っていく必要がある。本県のコロナ後遺症対策について現状把握状況と課題認識、今後の対策の推進について伺う。[齋藤知事]県では、医師研修会の実施や「罹患後症状」の基本的知見や職場復帰支援などの情報発信を行うほか、心のケアについては精神保健福祉センターに心のケアの相談窓口を今開設している。「罹患後症状」が一定数で長引くことなどを考慮して、医師研修会や情報発信については引き続き取り組んでいくとともに、県としてもしっかり取り組んでいくことが必要であるので、今回新たに「罹患後症状」の専用相談窓口を設置していきたい。
第6波が少し落ち着いてきて少し社会が新しく経済活動を回していこうというステージになった時だからこそ、このような相談窓口を設置するということは一つの意義があることだ。今後は国レベルの研究による新たな知見や専門家等の意見も踏まえて、医師会等と連携しこのような取り組みを通じながら後遺症対策の推進に努めていく。[越田県議コメント]専門の相談窓口をつくっていただけるということで、よろしくお願いしたい。海外は感染者5割を超している国が多く、欧米各国も5割を超しており、後遺症のある方も身近に多くいるため、理解があるといわれている。日本は今900万人弱の感染者で1割に達していない。そのため、後遺症に対して周りの理解がなく、なかなか言い出しにくい空気がある。だからこそしっかりとフォローする体制を整えることは大変重要である。そして、治療面だけでなく、労災や傷病手当のことも含めてトータルのアドバイスをしっかり対応できる相談窓口にしていただきたい。 -
7. ヤングケアラーへの支援について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]ヤングケアラー問題は、昨年3月の参議院予算委員会で伊藤たかえ参議院議員が省庁縦割りを超えた支援の「受け皿」構築について訴え、国はヤングケアラー支援強化に乗り出した。2022年度から3年間を「集中取組期間」と定め、22年度予算や昨年12月成立の21年度補正予算でも関連費用が盛り込まれた。対策の柱の一つは「ヤングケアラーに関する認知度」の向上である。集中期間に積極的な広報を行い、中高生のヤングケアラーに関する認知度を5割に上げる事を目指すとし、早期に発見して適切な支援につなげるための方策を進める自治体に対する支援も行われる。
県では、ケアラー・ヤングケアラーの現状とケアラー支援に関する検討委員会が、昨年9月に設置され、早期発見、悩みの相談支援、福祉サービスへの円滑なつなぎ、市町や関係機関との連携強化などが推進方策に求められ、今年度予算化されることは評価する。
一方で、コロナの影響で経済状況の悪化から、家庭の貧困や自粛生活が続くなど、子どもたちを取り巻く環境の厳しさが見えに繰ところがある中、支援が必要なヤングケアラーの子どもの早期発見や関係機関につなぐという重要な役割りは学校現場、教育委員会にあると感じている。まずは教育委員会がヤングケアラーの発見能力の向上や相談体制を強化するとともに、福祉などの関係機関へ迅速につなぐことが大切である。ヤングケアラーは制度のはざまにある複合的な問題であり、行政や地域の支援が欠かせないが、行政では福祉や医療、教育などに関係する部署が多岐にわたり、施策を推進する主体が明確でない状況が問題として指摘されてきたが、教育委員会として具体的な取組をどのように進めようとしているのか。[藤原教育長]早期発見に向けては、県下各地区の校長会や全県生徒指導部長会、また教職員へのカウンセリングマインド研修などあらゆる機会を通じて、ヤングケアラーの概念や現状、そして発見につながる気づきのポイント、これらについて全ての教職員への周知徹底と意識の向上を図る。次に相談対応については、ヤングケラーがいることを常に意識しながら各学校において担任による個人面談、保護者を交えた三者面談、そして生活アンケートを実施するとともに、ひょうごっ子SNS悩み相談や24時間ホットラインなど夏休み等も含めた相談窓口の周知を図る。加えてスクールソーシャルワーカーも活用し積極的な把握に努める。
その上で、ヤングケアラーと見込まれる児童生徒を把握した場合には、速やかにこの度開設されたヤングケアラー・若者ケアラー相談窓口や要保護児童対策地域協議会等の関係機関と情報共有し、適切な支援につなげる。そして、スクールカウンセラー等を活用した児童生徒の心のケアにも取り組んでいく。[越田県議コメント]教員がいろいろな子どもたちの変化に気づく能力は、いじめも含めて大事な能力である。教員の多忙化もあると思うが、様々な子どもの変化に気づき、どのようにつないでいくのかは部局をまたいだ連携が必要であり、しっかりやっていただきたい。
一般質問
小泉弘喜県議
[質問項目]
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1. 移住や就職等による県内転入を促進する施策について
質問と答弁のダイジェスト
(1)カムバックセンター等における移住促進の取組について
[小泉県議]2021年の兵庫県の転出超過数の状況は、20歳代の新卒時の就職に伴う東京圏や大阪府への転出が目立つ。そのかわりに30歳代、40歳代の子育て世代は転入超過しており、その世代の子どもの10歳代も増加している。また、全国的にも東京都の転入超過数がコロナ禍前から比べて、約9割減となり東京への一極集中にも変化が出て来ている。
就職などで夢や希望を持って、兵庫県を離れる20歳代の方に関しては最大限の応援をし、なおかつここ兵庫県にも夢や希望を持って、定着してもらえる、また来てもらえるような政策が必要である。
そこで県が兵庫への移住を促進するため、神戸市にある「カムバックひょうごセンター」をはじめ、東京の「ひょうご移住プラザ」、また新しく大阪府で「大阪サテライト」を開設し、ひょうごで暮らす!体験キャンペーンとして県が所有する4施設で、2泊以上最長1カ月のお試し移住を実施し、多自然地域で魅力的なワーケーションスポットとしての紹介をはじめ、移住や就職に関する相談をワンストップで実施している。
一方で、20歳代の転出超過を鑑みても、もっと手軽に兵庫の魅力をわかっていただくため、例えば「カムバックセンター」の情報をはじめ、兵庫県が運営する移住ポータルサイトの「夢かなうひょうご」や関係人口増を目指しながら、移住・就職を考えていただけるように「ひょうごe―県民制度」を活用し、またSNS等で大々的に発信し、周知できるように広報力を上げるべきである。そのためにはアドバイザーを含め、専門家とも連携し、またご協力いただき、兵庫の魅力を発信していくべきではないかと考える。
例えば地方移住への関心が9割がたある方は自ら「カムバックセンター」に来られるかもしれない。7割8割の方はネットで調べられるかもしれない。5割の方はネットやSNS等を見ているときにフッと出てきた兵庫県移住の見出しやシェアされた記事を見られるかもしれない。さまざま縁もあるかと思う。
ただ全国的に地方移住への関心が高い、このタイミングで「カムバックセンター」等をフル活用し、産業労働部との連携も含め、移住・就職での転入超過を目指し、兵庫の魅力をさらに発信できるような取組で県内転入を促進するべきではないか、所見を伺う。[梶本企画部長]まず、ターゲット層の関心を高めるため、兵庫の魅力を伝える情報発信を強化する。具体には、若い世代の登録が増えた「兵庫e―県民制度」の配信コンテンツを見直し、若年の女性や子育て世代のブロガー等の参画を得て、同世代の視点から兵庫の暮らし、あるいは働き方の魅力を発信していく。また、県移住ポータルサイトの「夢かなうひょうご」に掲載の移住情報を、Facebook等のSNSを活用して拡散を図る他、移住者の暮らしや仕事のリアルを紹介する動画を作成し、YouTubeのターゲティング広告等を展開している。
次に移住に関心のある層には、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな移住支援を実施する。カムバック東京センターでは、従来から行ってきた移住・就労のワンストップ相談に加えて、今年度は新たに関係部局との連携のもとに若者・ファミリー層を対象とした移住イベントを開催。住まいや暮らし、企業、就労など幅広い情報提供と相談に応じていく。
さらに、兵庫への移住を具体的に検討されている方には、お試し移住やワーケーション滞在を促して、兵庫での暮らしの具体的なイメージづくりや細かな心配事の解消へとつないでいきたい。(2)兵庫で働く人材の確保に向けた取組について
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2. 男性の家事・育児等に対する意識改革の推進について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]令和2年の12月定例会で県職員における男性の育児休業等の促進について、私から質問をしたが、令和7年度末には県男性職員の「育児休業」取得率を希望者の100%、対象者全体の30%とする目標が掲げられており、令和3年度は希望者の100%が取得し、対象者全体の取得率が24.6%という状況だ。
また「配偶者の出産補助休暇」は、対象者100%の取得目標に対して、令和3年度では99.2%が取得、「男性の育児参加のための休暇」は対象者100%の取得目標に対して令和3年度では95.8%が取得している。現在、県では男性が家事・育児にしっかりと参加する社会づくりに向けた、企業や事業所等による子育て支援の取り組みを推進するため、子育てと仕事の両立を支援や子育て家庭を応援する企業・職域団体等と県が協定を締結し、協働して少子化対策に取り組み、令和4年3月末には1,448社38団体と締結している。
また、「男性の子育て応援カフェ」や「お父さん応援フォーラム」の開催、家事への参画促進として、家族が家庭運営について話し合う機会を提供するための、家事の役割分担の見直しを考えるツールの作成とキャンペーンを実施する、共家事(トモカジ)促進事業が展開される。
昨年度は「ゆる家事大作戦」として、子育て中の共働き世帯や高齢者世帯、単身赴任世帯等、各家庭で家事を負担と感じる人が増加しているため、家事負担を軽減するための工夫やヒントを発信している。この「ゆる家事大作戦」を男性が家事を担うきっかけとするとともに、現在ホームページの内容にある家事支援サービス等の内容に加え、育児支援では県の福祉等の行政サービスや民間とも連携し、ホームヘルパーやベビーシッター、産後ドゥーラ等の幅広い情報を多くの方に知っていただくべきだと考える。
そこで、育児・介護休業法が改正される中で、男性が育休等取得中、また普段から家事・育児にしっかり取り組めるための家事・育児等に対する意識改革の推進を今後、どのように進めていくのか。[齋藤知事]県では、昨年策定した、ひょうご男女いきいきプランの中でも、男性の家事育児の増加を一つの項目として取り上げている。数字上はやはり少ないが、通勤など日常生活をしていると、朝の場面ではお父さんが自転車で前と後ろにお子さんを乗せて、保育園に一生懸命走って送り届けたり、ゴミ出しなどもするということで、すごくスタンダードとして広がっているということは実際にある。
けれども、それでも女性と比べると育児や家事に携わる時間はすくなくなっているということで、こういったことを更に理解を深めていくことは大事である。そういった意味で、男性向けのセミナーや企業への出前講座のほか、ご指摘いただいた「ゆる家事大作戦」ということで、男性の方々のさらなる一歩を引き出すということが大事だと思っている。今年度さらに内容を充実させて、各家庭で家事分担について話し合えるようなチェックシートなどの仕掛けづくりも提供していきたい。
男性の育児休業取得に向けた法改正については、男性のそういった取組を加速化させるという一つの好機。県としても男女共同参画センターなどを通じて支援を行っていく。また、女性活躍推進に向けた認定制度というものも今年創設するが、男性の育休取得率などを見える化して、企業の前向きな取り組みを促していきたい。
また、トップ自らがリーダーシップを発揮して、超勤時間の削減や在宅勤務の促進など、働き方改革をしていくことも大事である。県庁の方でもいろいろ改善し、令和3年の超勤時間について大幅に削減させていただいた。こういった形で経済界、それ以外の団体がしっかり連携してやっていくことが大事で県職員に対してもしっかり進めていくことが大事である。 -
3. ヤングケアラーへの支援強化について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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4. 低出生体重児と保護者に対する支援について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]全国的に出生数は低下傾向にあり、兵庫県でも令和2年に36,953人と約50年前の約9万人の出生数に対し、減少を続けている。しかし、出生数に占める低出生体重児の割合は令和2年では3,407人で9.2%、平成15年以降、9.1%以上で約1割となっている。
1,500g未満で生まれた赤ちゃんとその保護者のため、母子手帳に書く場所がない新生児期や乳幼児期の医療情報の書き込み、産後ケアや保健師の家庭訪問・乳児健診等にも活用できるなどの手帳「リトルベビーハンドブック」を作成し、運用している自治体が2022年4月現在で、8県6市ある。ちなみに関西で運用しているのは尼崎市のみである。ただし、今年度作成予定の自治体のなかに京都府、今年度検討予定に滋賀県が入っており、関西でも運用される傾向にある。さらに先日、6月1日の大阪府議会定例会において、公明党議員からのリトルベビーハンドブックについての質問に対して、吉村大阪府知事は今年度中に作成・運用ができるようにする旨の答弁があった。
現在、兵庫県では「養育支援ネット」という、養育上支援を必要とする家庭を早期に把握しフォローしていくために、医療機関等と地域保健が連携し、早期から子育てを支援する母子保健医療情報提供システムを整備しており、対象者には未熟児も含まれる。教育支援ネットでは、医療機関等が保護者又は妊産婦の同意を得て、その情報を市町に提供し、市町や健康福祉事務所が家庭訪問指導を行う。医療的ケア等も必要とする未熟児もおり、様々な分野の専門家や関係機関と連携し、きめ細かな保護者への支援については評価する。
一方で、低出生体重児を持つ保護者の方の心に寄り添った、リトルベビーハンドブックのような支援も必要であり、現在、リトルベビーハンドブックを運用している自治体を調べてみると、ホームページでダウンロードができるようになっているところも多く、対象者の方に広くご利用いただけるようになっている。
そこで誰ひとり取り残さない県政を実現するためにも、リトルベビーハンドブックの作成・運用を含め、低出生体重児と保護者への支援がさらに必要であると考えるが所見を伺う。[齋藤知事]ご指摘のリトルベビーハンドブックについて、低出生体重児とその保護者を対象に作成されており、医療情報、発達・発育の特徴、発達曲線等を自身で記載して、母子健康手帳とあわせて使用するものである。現在、国においてそういったことに配慮した母子手帳の改定が検討されている。 母子手帳を見たが、ご指摘の通リ、グラフを見たら、1キログラム以上しか発達曲線がなく、体重が少ない方、小さく産まれた方は外れており、今の母子手帳の枠組みではそうなっている。我々も点を打ちながら月数、年数に従って、自分の子どもがどういうところにあるかを確認するが、それから外れた場合の心理的な影響はあると思うので、県としてもしっかりと対応していきたいと考えている。県立こども病院の医師や市町、さらに低出生体重児の保護者などの意見を踏まえながら、県独自のリトルベビーハンドブックの作成について対応していきたい。 -
5. 3回目のワクチン接種率向上に向けた取組について
質問と答弁のダイジェスト
[小泉県議]県では5月がワクチン接種推進月間ということもあり、様々な取り組みを行ったが、新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種率が5月29日時点で、12歳~19歳が16.6%で全国45位、20歳代が36.3%で45位、30歳代が40.0%で44位、40歳代が49.9%で44位、50歳代が69.0%で41位、全体では55.9%で43位と全国的に比べても低い状況にある。
県では大学生等へのワクチン接種加速に向けた取り組みとして、県内大学等から大規模接種会場への送迎支援等に要する経費支援、巡回送迎バスの運行を検討し、県立大学における接種促進策として、学生の県大規模接種会場等における団体接種や学生への啓発活動を行っている。
併せて、企業や私立大学にもお願いをし、職域接種も含めてワクチン接種の加速に取り組んでいる。しかし、先日、モデルナ社ワクチンによる3回目の追加接種を希望する方が当初の予測より下回り、有効期限を迎え、ワクチン廃棄が各地で進んでいるとの報道があり、兵庫県では約18.780回分と多くのワクチンが廃棄された。
ファイザー製ワクチンと比べて副反応が出やすいとの情報もあり、3回目接種が進まなかったことが一つの要因ではあるかと思うが、若者をはじめとした県民の皆様に改めてワクチンの有効性を訴え、3回目接種を推進していく必要がある。神戸大学大学院医学研究科教授・感染センター長の森康子教授は、医療従事者65名を対象にウイルス粒子に結合して感染を防ぐ作用を示す「中和抗体」を調べ「武漢・デルタ株はコロナワクチンの2回目接種から6か月後に中和抗体が減少し、3回目の接種で高い中和抗体が誘導された。オミクロン株では、2回目接種後でさえもほとんど中和抗体が誘導されなかったが、3回目の接種で高い中和抗体の誘導に成功した。武漢株から遺伝子が離れているが、共通して変異することができない遺伝子が存在するということであり、オミクロン株の流行を抑えるためには、3回目接種は重要。ワクチンを接種したから全く感染しないわけではない。【ワクチン=完全な予防】ではなく、感染しても軽症ですむということにつながる」と3回目ワクチン接種の意義を述べている。
またmRNAワクチンに対するアレルギーがある方等を対象としたノバックスの接種も6月1日から開始され、接種率が向上するかもしれない。また、新型コロナコロナウイルスやそのワクチンに対しての様々な情報が流れている中で、齋藤知事も森教授と共に記者会見され、また動画を活用し、3回目接種の促進に尽力されているが、医学的見地に基づいて情報をわかりやすく県民に伝え、3回目のワクチン接種率向上に取り組むべきだと考えるが所見を伺う。[山下保健医療部長]県では、3回目接種の効果や重要性について県HP等で周知するとともに対策本部会議では、最新の知見による変異株への効果等の情報を報告するなど、医学的知見に基づいた正しい情報発信を行ってきた。国でも自治体向け説明会で効果等の情報を提供しているほか、首相メッセージにおいて若い方々に接種を呼び掛けている。しかしながら、こうした取組を通じてでも今なお若者の接種率は伸び悩んでおり、国に対しては効果等わかりやすく情報発信するよう要請しており、厚生労働大臣からも、国と自治体が連携した情報発信が重要との回答を得ている。
最近、ワクチン接種がコロナ後遺症に一定の効果が認められたという海外の研究等もある。本県としても今後も最新の知見に基づくワクチン接種の効果等について、神戸大学等との連携をさらに強化し、最新の研究成果や情報の発信を行うと共に、若年層をはじめとした県民に対し接種率の向上に向けた働きかけを強化していく。 -
6. 多部制高校のニーズに合わせた募集定員割合の見直しについて
質問と答弁のダイジェストはありません。