議会質問(代表・一般)
Parliamentary questions
第353回(令和3年2月)定例県議会
補正予算案
越田浩矢県議
[質問項目]
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1. 医療体制の強化について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]新型コロナウイルスに感染しても適切な医療の提供を受けることができる状況にあることが、県民の不安感を払拭する上で重要なポイントになる。新型コロナウイルスの第3波の感染拡大は、昨年の第1波、第2波と比べて非常に急激かつ感染者数も大規模になったことにより、県内の入院病床が逼迫し、PCR検査で陽性となった感染者の自宅療養はゼロにする方針を打ち出していたにも関わらず、入院調整に伴う自宅待機者が最大で826名となる事態になった。この要因として、県の対処方針の想定フェーズでは、当初は感染拡大期2までで1日あたり55人の新規患者発生に対応した体制となっており、第3波での実際の感染者数に比べると少な過ぎる想定であり、十分な備えがないために対応しきれなかった甘さがあったのではないか。
補正予算では、空床確保予算の増額や、医療従事者の派遣補助単価の増額、宿泊療養施設については借り上げ費用の増額や健康管理体制の整備、病床を空ける出口対策として回復者の転院支援窓口設置や転院受入に対する支援金支給等とともに、自宅待機へのフォローアップ体制の強化等の事業メニューを整備しつつ、病床・宿泊療養施設の確保を推進しようとしている。
現在、入院病床は839床、宿泊療養施設も1,130室確保しており、緊急事態宣言の効果もあり感染者数が減少していることから、今回の第3波については何とか医療崩壊せずに乗り越えられるところで踏ん張れた状況だ。
しかし、感染症のパンデミックは何度も感染拡大の波がくるものであり、今回の第3波の経験を活かし、今後も医療崩壊を回避し医療資源の効率的な配分によって医療体制を維持していけるよう引き続き備えていく必要がある。そこで、本補正予算で実施する医療体制の強化、特に病床・宿泊療養施設の確保・活用に向けた各種事業による効果をどのように見込んでいるのか、また第3波への対応で課題認識をどのように持ち、今後も変異種のウイルス拡大も危惧される中、どう適切に医療体制を整備しながら対処しようとしているのか所見を伺う。[金澤副知事]10月末から第3波で徐々に感染者が増え、これを受けて11月と1月にそれぞれ病床及び宿泊療養施設の拡充に取り組んだ。現在では、入院病床は839床、宿泊療養施設は1,130室の体制を確保している。入院病床の確保に伴う空床確保料をはじめとした今回の補正予算も活用して、感染の状況に応じて適切に病床等を運用することで、医療提供体制の一層の強化を図っていく。
また、第3波での病床逼迫の一つの要因は、感染者が急増する中で症状が回復した入院者の転院が円滑に行われなかったことも一つの要因だと考えている。いわば出口が詰まる状態で、この出口対策を強化するため、中等症等に対応する医療機関には、症状が軽くなった患者について、重症対応医療機関からの転院を受け入れる、あるいは宿泊療養施設への転送を促進する。こういったことを要請した。また、退院基準を満たすまでに回復した方については、一般の病院や社会福祉施設等への受入を促進するために、今回の補正予算で回復者転院支援窓口の設置を行うと共に、県が退院基準を満了したことの証明を出す、さらに、受入機関に対して、1名受入にあたり10万円の支援を行うといった措置を講じることとしている。 -
2. クラスター化した病院や社会福祉施設への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]クラスターが発生した医療機関には空病床確保支援をコロナの重点医療機関と同じレベルで行う予算が計上され、その他感染症防止機材の支援や、職員等への感染防止対策の教育、社会福祉施設への医師、看護師派遣費用の支援などを行うことになってはいるが、これまで十分な準備もなく急きょの対応を行っている医療機関や社会福祉施設に対して、コロナ対応医療機関と同等レベルの支援メニューが提供されていない状況であった。
また、病床の出口対策としてコロナ患者の回復者を受け入れた場合であっても、医療機関や社会福祉施設に1名あたり10万円を支給する事業が補正予算で計上されているが、コロナ感染者が施設内で発生したことでそのまま対応している医療機関、社会福祉施設に対して十分な支援が講じられているのか。[藪本健康福祉部長]県では、陽性患者については原則、入院または宿泊療養で対応してきたが、このような状況の中、入院協力医療機関の病床の運用状況だとか基礎疾患の治療、介護の必要性など患者の特性等を踏まえて、ゾーニングの設定をするなど適切な感染防止対策のもと、その医療機関だとか社会福祉施設での療養を継続した場合もあった。
新型コロナウイルス患者を受け入れていない医療機関において、クラスターが発生した場合、陽性患者に対応していただいた場合には、受入医療機関と同様、運営経費を支援(12,000円/人・日)するとともに、専用病棟を確保していただき入院対応を行う場合には、重点医療機関並の空床確保料により支援を行うこととしている。
また、介護施設等での感染発生時には、県の看護協会と連携して感染管理認定看護師等による初動体制の構築であるとか、マスクや消毒液等の衛生資材の提供等の支援を行うほか、例えば特別養護老人ホームでは定員1人あたり3.8万円まで補助する仕組みも設けている。
これに加えて、今回の補正予算では施設が医師・看護師等を確保して感染者の健康管理を行う際、感染者1人あたり25万円の支援を行うなど、引き続き最前線で対応しておられる介護施設等の方に報えるよう支援していきたい。 -
3. コロナ禍を乗り越えポストコロナに飛躍するための経済支援策について
質問と答弁のダイジェスト
[越田県議]県においても2回目の緊急事態宣言が発出され、飲食店と等に対しては緊急事態措置として営業時間の短縮を要請することとなり、協力していただいた事業者には1店舗1日あたり6万円の協力金を支給することになっている。本支給事業については、申請に基づき迅速な支給が行われるよう、体制を整えスピーディな対応をお願いしたい。
しかし、この協力金については、店舗の事業規模に関わらず一律6万円の支給であるため、多くの従業員を雇用し、1日当たりの売上規模が大きくなる店舗にとっては休業による売上減少分を全く賄うことができないことから、支援として実態に即していないという指摘があり、さらなる支援が必要ではないかと考える。
また、コロナ禍の影響で、飲食店以外の業種でも大幅な売上減少により事業継続が困難な状況に陥っている事業者が多く存在している。国は飲食店と取引のある事業者を対象に、売上が50%以上減少した場合に中小法人には最大60万円、個人事業者には最大30万円の一時金を支給する方針を示しているが、対象とならない事業者には支援が行き渡らないことになる。
神戸市では、このような不公平感等を踏まえ、業種に関係なく市内の賃貸物件で事業を行う中小事業者を対象に、緊急事態宣言が出された1月、2月の売上が支援金等を含めても50%以上減少した事業者に家賃の半減補助(最大50万円)の支援策を補正予算で実施することを発表している。
県においても、県内事業者の実態を踏まえ、今回の補正予算において不公平感を解消しつつ、緊急事態宣言解除後の経済活動再開に向けた支援策を講じる必要があったと考える。また、ポストコロナ時代の経済を牽引していくキーワードは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「カーボンニュートラル」であり、県内産業においてもこうしたキーワードに基づく経営革新や業態転換を図るとともに、人材不足や成長性の高い業種への労働力移転の促進などによって、前向きな対応が図れるよう後押ししていく必要もある現在にコロナ禍の苦境を乗り越えるための支援とともに、ポストコロナに飛躍していくための経済支援の在り方について所見を伺う。[井戸知事]短期的な視点としての時短協力金は、何より迅速・公平に支給することが課題である。緊急事態宣言延長前の2月7日までの第1期とそれ以降の第2期に分け、第1期は今月の下旬から速やかに支給を始める予定だ。加えて、今回は事業規模を一定程度支給額に反映できる趣旨から、支給額算定は店舗単位としている。店舗数に応じた支給が行われる。
より幅広く中小企業の再起や現状打開を支える上で基盤となるのはやはり融資制度ではないかと考えている。3年間無利子・無保証料資金は実行期限を5月まで延長する。限度額も4千万円から6千万円に引き上げる。この制度にあわせて、県独自の保証料応援貸付の実効期限も同期間に延長するなど充実を図っている。新年度は保証料補助を行う新たな融資も開始する予定で、当面の経営下支えに注力することになる。
中長期的には時代の潮流であるデジタルトランスフォーメーションや脱炭素等にも意を用いていかなければならない。国の地域活性化雇用創造プロジェクトを活用して、まず、ものづくり産業を中心にデジタルトランスフォーメーション導入を促進するためのアドバイザー派遣や相談体制の充実を図る。
2つにスマートものづくりセンターによる製造ラインへのセンサーや分析機器の実装支援を行っていく。3つに、デジタル化に対応できる人材の育成・確保支援等に取り組んでいく。昨年9月、国に先立ち表明した「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」に取り組むが、このため持続的な産業発展を行い、産業界でのCO2改修利用技術の実現等、脱炭素の取組も促していく。これらの取組との相乗効果を期するのがやはりサプライチェーンの県内回帰でもあるので、この県内回帰の受け止め・受け皿づくりに引き続き重点的に取り組んでいく。[越田県議コメント]医療体制の強化については、なかなか報道でも民間病院が協力してくれないという話もかなりたくさん出ていた。空床補償を受けている病院が、経営的には何とか黒字になっているのではないかという結果が出ているので、今回の第3波への対応の教訓を十分生かして、次の波にしっかり備えるというところでは、そういった実情も情報提供していただき、次に向けての体制整備を行っていただきたい。
クラスター化した病院、社会福祉施設への支援については、クラスターが発生した後にさらに拡大していくということも実態としてたくさんあったかと思う。準備ができていない中でクラスター化したというところでまた発生するということもあったかと思うので、これも次の波に向けては、どういう対処ができるのかを事前準備としてもしっかりやっていただきたいということを要望して質問を終わらせていただく。
代表質問
谷井いさお県議
[質問項目]
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1. 令和3年度当初予算の編成方針について
質問と答弁のダイジェスト
[谷井県議]来年度当初予算編成の基本方針では、引き続き選択と集中を徹底するとともに、新型コロナの感染拡大に伴い来年度の県税等収入が前年度から大幅に減収する見込みであることから、緊急・臨時的な対応策として事業の抜本的な見直しやシーリングの強化を行い、事業のスクラップ・アンド・ビルドを徹底するとしている。
一方で、ポストコロナ社会を見据え①デジタル化の加速②変化に強い産業構造への転換③地方回帰の3つの社会の変化に対応されようとしているが、これらの新規事業を大胆に推進するためには、それなりの予算を確保する必要がある。
また、国では15カ月予算として一体で編成された2020年度第3次補正予算を活用して、防災・減災対策、子育て支援、中小企業支援、デジタル行政の推進、脱炭素社会の実現などに努めることとしており、国や各市町との連携を緊密に図りながら的確に各事業を推進することも大変重要である。
こうした中、我が会派としては少子高齢化が進む現状において、県民生活に密着している福祉・医療・介護をはじめとする社会福祉関係費や地域の生活道路整備などの県単独土木事業費は断じて削減するべきではない、むしろ、がん対策や不妊治療検査への助成制度の新設など、各論は後に質問しますが拡充すべきであると考える。
知事は先日の提案説明で「未来に向けた投資はためらってはいけない。厳しい財政環境にあっても創意工夫しなければならない。当初予算編成にあたっては当面のコロナ対策はもちろんのこと、兵庫のポテンシャルを更に伸ばし活かせるよう想いを込めた施策を掲げた」と発言されているが、このような厳しい財政状況の中でポストコロナ社会に向け、県民に希望を抱いてもらえるよう、どのように当初予算を編成したのか。[井戸知事]予算編成にあたっては緊急、臨時的な対応として、シーリングの強化や事業数の10%削減など施策の選択と集中に取り組み、あわせて特別職の給料と管理職手当の抑制措置も強化した。また、新たに緊急的対策として制度化された特別減収対策債等を活用し、収支均衡の予算を編成することができた。
しかし、厳しい財政状況下でも県民サービスを後退させることのないよう創意工夫をこらさなければならない。とりわけ、医療・介護の確保、妊娠・出産・子育て環境の充実、雇用の維持など県民生活への影響が大きい施策については、限られた財源を重点的に投入し、さらなる充実を図った。
医療体制の強化などコロナ関連事業の充実、二つに、重度障害者等が利用する訪問看護療養費に対する福祉医療制度の拡充、三つに、がん患者のウイッグ等補正具の購入費支援事業の創設、四つに、国と歩調を合わせて特定不妊治療費助成の拡充と県単独での不妊治療ペア検査女性の創設、五つにアウトリーチ型の育児相談の実施、六つに離職された方々1200人分の緊急的な雇用・就業機会の創出など、直面する喫緊の課題にも取り組んだ。
投資規模は14カ月予算としては国庫補助の公共事業の活用を図り、公共事業・単独事業を合わせて、前年度と同額を確保した。県単土木事業についても地域に密着した必要な事業を確保している。加えて、デジタル化の本格的推進、産業構造の転換の促進、地方回帰を促す環境整備なdふぉ、ポストコロナ社会を見据えた施策も展開していく。 -
2. 新型コロナウイルス感染症対策について
質問と答弁のダイジェスト
(1)在宅オンライン診療の活用支援について
(2)ワクチン接種における体制整備について
[谷井県議]本県では、我が会派も要請したが1月25日にいち早くワクチン対策課を設置するなど迅速な対応を評価する。しかし、課題はワクチン接種をいかにスムーズに進めるか、そのシステム構築が大変重要だ。
医療従事者等の優先接種は県が担当し、高齢者や基礎疾患のある方、高齢者施設等の従事者、一般の方々への摂取は市町が担当することとなっているが、接種場所の確保、接種する人員の確保、ワクチンの輸送、接種クーポン券の配布、住民への接種勧奨など多くの課題が山積している。神戸市では、かかりつけ医と集団接種によるハイブリット方式の接種を進めていると報道されている。市町によっては医療機関や医療従事者の確保が十分でないことへの対応や広大なエリアに対応する接種用バスの巡回などを検討されていると伺っているが、単独で摂取するより県が支援し広域調整を行うことで、より安全性・効率性を高めることができるのではないか。
また、ワクチンに対して不安を持たれている方も少なくないことから、ワクチンの有効性、安全性、副反応への対処など可能な限り正しい情報を分かりやすく丁寧に発信するとともに、接種場所や方法などの手順についても可能な限り早く情報提供を行う必要がある。また、接種に関する質問や不安などの相談を受け付ける専用コールセンターの配置なども県の役割であり、重要である。
そこで県が実施する医療従事者等の接種と市町の実施する接種も含めて、混乱なく安心して摂取できる環境をどのように構築していくのか。[井戸知事]県が調整主体となる医療従事者への優先接種については①まず接種施設の確保が大事だ②次いで中核医療機関におけるワクチン等の管理や配送作業についての体制整備を行う必要がある③接種が集中しないような予約の仕組み、できれば統一的なオンライン予約システムの構築などに取り組んでいく。
一方、市町が主体となる住民接種については、接種医療機関や医療従事者の確保が困難な場合も想定されている。県としては、①まず接種医療機関や意思・看護師等確保のための医師会等関係団体への協力をいただくべくはたらきかけなどの努力②次いで広域接種に係る市町間の調整などを積極的に行い、市町を支援していく。
ワクチンの有効性や安全性に対する県民の不安については、副反応を疑う症状等へ対応するため、3月中頃には看護師等の専門職を配置した相談窓口を設置した。また、ワクチンが「いつごろ」「どの種類が」「どれくらい」「どのような間隔で」供給されるのか、国に対して迅速かつ正確に示すよう強く要望している。昨日もニュースで承知したが、河野担当大臣が総理とも相談し、スケジュールを地方団体に対して近いうちに示されるということなので、期待している。加えて、県自らも情報収集に努め、正確な情報をホームページ等を通じて県民に提供して、不安払拭に努める。(3)県独自の中小企業への支援について
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3. がん患者に対するアピアランス支援について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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4. 不妊治療における検査費補助制度の創設について
質問と答弁のダイジェスト
[谷井県議]公明党では、一貫して不妊治療への支援拡大を後押ししてきた。1998年党の基本政策大綱に不妊治療の保険適用を盛り込み、2000年には党女性委員会が署名運動を行い、約55万人の署名を政府に提出。その結果、2004年に坂口厚生労働大臣の下で、国において助成制度がスタートした。
その後、本年1月より特定不妊治療支援の所得制限が撤廃されるなど大幅な拡充が行われ、令和4年度の保険適用化に向けて審議が進んでいる。
昨年12月には、公明党の兵庫県女性局で神戸市のクリニックを視察したが、その際も夫婦同時での早期の検査・治療が不妊治療においては重要だとの説明を受けた。
男性が医療機関で検査を受けることは時間的・心理的・経済的なハードルが高く、なかなか実行できていない人がほとんどで、初期段階では女性だけが検査や治療を受けているケースが多いのが現状。また、不妊治療を受ける前に行う検査については保険適用されていない検査もあり、患者の負担になっている。不妊に悩むご夫婦がまずは検査に行くハードルを下げることが必要である。
昨年12月定例会代表質問では、あしだ議員から不妊・不育に対する支援について質問したが、金澤副知事から「夫の受診や早期検査のインセンティブとなるような、新たな支援の仕組みも検討している」との答弁があり、来年度予算案に盛り込んでいただいているが、効果ある施策とするためにも、十分な制度設計を行い必要としている方々へつなげていかなければならない。また、事業主体は市町であり、丁寧な説明をおこなうなど円滑な実施に向けた後押しをお願いしたい。そこで、来年度予算でどのような支援制度が創設され、今後どのように進めていくのか。[井戸知事]国では、令和4年度からの保険適用を視野に入れて、特定不妊治療についてこの1月から所得制限の撤廃、助成額や助成回数の増加等、支援制度が拡充された。例えば所得制限は730万円であったのが撤廃され、助成額も初回30万円、2回目以降が15万円であったのを、1回30万円の助成。そして助成回数を生涯を通じて6回までであったが、1子ごとに6回までという風に拡充された。
一方、不妊治療による妊娠率は加齢とともに低下することになる。早期の治療開始が望まれるが、夫の理解不足や晩婚化などで治療開始が遅れることが課題になっている。このため、県では夫の受診を促進し早期検査のインセンティブとなるように新たに「不妊治療ペア検査助成事業」を創設した。当事業では、夫婦そろって受診した場合に一定の所得制限のもと、男性の精液検査や女性の甲状腺機能検査、抗精子抗体検査等、保険適用外の検査料の7割を市町と協働して助成することにした。保険適用と同じ自己負担にしたということ。
当事業を円滑に推進するためには、市町の参画が不可欠。そのため1月21日の「県・市町懇話会」で、各市町長に対して事業説明を行うとともに担当課には情報提供を行った。その結果、現時点では、検討中を含め26市町が取り組む方向であると承知している。県としては全市町での実施を目指し母子担当者会議等あらゆる機会を通じて市町での実施を働きかけていく。 -
5. 重度障がい児者に対する訪問看護療養費の助成拡充について
質問と答弁のダイジェスト
[谷井県議]本県で実施している重度障害者医療費助成事業は重度の障がいがある方に対して、必要とする医療を受ける際の経済的負担を軽減するため、医療費の自己負担額の一部を助成する制度である。
本制度は重度心身障がい児の保険の向上と福祉の増進に大いに役立っているものだが、訪問看護ステーションが提供する訪問看護は在宅における療養上の生活支援の意味合いが強いとして、訪問看護療養費は医療費助成の対象となっていない。この助成拡充については、昨年2月定例会及び9月定例会代表質問で我が会派から強く訴えてきた。
先の9月定例会では知事から次のとおり答弁があった。「訪問看護の利用者のうち、既存の公費負担の制度が適用されていない方について、事業規模の把握に向けた調査を実施するとともに、その結果や関係者の意見等も踏まえ、来年度の当初予算編成作業のなかでニーズに沿った制度のあり方の検討を進める」との答弁であった。
県下の自治体からも、障害者計画の来年度改訂にあたり関係団体から「障がい児者本人や家族の高齢化に伴い、訪問看護によるリハビリが必要になってきている。褥瘡(じょくそう)予防にも不可欠なため、助成による負担軽減を要望する」との意見があったと聞いている。
重度障がい児者が利用する訪問看護療養費を福祉医療の助成対象に追加し、経済的負担を軽減すると知事からも提案説明があったが、利用者の負担を軽減し、訪問看護の利用を促進するため訪問看護療養費の助成の拡充について所見を。[井戸知事]訪問看護ステーションの訪問看護については、平成6年の訪問看護療養費の制度創設当時には主として療養上のお世話が対象とされていたので、県ではこれまで福祉医療制度の対象外としてきた。
一方で、在宅医療の進展等により訪問看護ステーションの役割は少しずつ変化し、重度の患者の利用も増加してきている。このため、訪問看護の利用者のうち既存の公費負担制度が適用されていない方について、訪問看護ステーション連絡協議会を通じて調査したところ、現在では重度障害者以外にも、ほとんどの方が療養上の世話だけでなく例えばじょく瘡予防や処置、膀胱留置カテーテルの交換や管理、在宅酸素療法の指導などの医療処置を受けていることが判明した。
このようなことから、訪問看護ステーションの利用について経済的負担を軽減し、在宅医療を受けやすくするよう、全ての福祉医療制度において訪問看護療養費を新たに助成対象に含めることとするものである。予算成立後には全市町の協力を得て福祉医療制度の受給者証の更新にあわせて本年7月から助成を拡充する。 -
6. 性被害対策の強化について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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7. 地域の安全・安心のための通学路の整備推進について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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8. ICTを活用した教育の更なる充実について
質問と答弁のダイジェストはありません。
一般質問
天野文夫県議
[質問項目]
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1. 障害者雇用の促進のための民間企業への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]障害者雇用の環境整備は障害者と相談し、お互い認識をすり合わせながら進めていくが、障害者にとって必要な配慮は場合によっては企業側に様々な準備が必要となり、必ずしもすべてについて対応できるわけではない。企業として、障害者雇用率を達成する義務を果たすため、積極的に採用に取り組んでも、配属先の部署からは受入が難しい即戦力になりづらいという理由で断られることもあるようだ。
また、障害者を雇用するにあたっては、本人の適性や希望を十分に考慮しなければならないが、障害特性を見極めた業務の割り振り方やかかわり方など、障害者雇用に関する知識が不十分なため、雇用に踏み切れない企業もあると聞いている。
この1月に、令和2年度の兵庫県内の民間企業の障害者雇用率が公表された。令和元年度の雇用率は2・16%で、法定雇用率未達成だったのに対し令和2年度は雇用障害者数が440人増加して雇用率は2・21%となり、法定雇用率を達成した。昨年9月に副知事が兵庫労働局、県教育委員会とともに県経営者協会に障害者雇用の拡大を申し入れ同協会を含む県内17団体に協力を要請されたところだが、障害者雇用を増やすための民間企業の努力に敬意を表す。
しかしながら、障害者の法定雇用率は本年3月より2・3%に引き上げられることになっている。民間企業のさらなる努力が必要となるが、同時に県には民間企業における障害者の働きやすい職場環境づくりなどへの支援の一層の充実が求められると考えるが、今後どのように取り組むのか。[谷口産業労働部長]本県では、10か所の障害者就業・生活支援センターで就職に向けた訓練や適正に応じた就職先の開拓、マッチング等を行っている。さらに今年度、県独自のジョブコーチ制度を創設し職場での仕事指導や企業への助言等、伴奏型で支援し、国のジョブコーチ制度と共に、実情に応じた就職・定着支援を推進していく。
障害者に配慮した職場環境づくりとして、特例子会社の雇用拡大や設立も支援している。企業にとっては、設備の集中化等のメリットもあり、会社数、雇用数とも増加している。
法定雇用率の未達成企業のなかには、一人も雇用していないケースも多くある。これら企業の障害者に対する理解を促進し、雇用企業数をさらに増やすことも重要である。このため、すでに障害者を雇用している中小企業から、採用のポイントや支援制度、指導方法等をアドバイスするワークフォーラムも開催する。障害者が個々の能力に応じて、生き生きと働ける社会を目指して、引き続き障害者雇用の拡大・定着に取り組む。[天野県議(再質問)]法定雇用率が3月から2.3%に引き上げられるが、達成すれば順次上がっていきそれが社会の中で障害者が弊害なくやとわれていくシステムになっていくと考える。このシステム化する取組について再質問する。[井戸知事]すでに行っている障害者就業・生活支援センターの機能を強化しながら、マッチング事業をさらに充実していきたい。紹介するだけでなく、どう雇用を継続させていくか、定着してもらいたいということに、これから意をもちいていきたい。それも兵庫県版ジョブコーチの役割であり、期待しているところでもある。
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2. 就労外国人及び家族との地域での共生に向けた支援について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. 森林環境譲与税を活用した市町の森林整備の促進について
質問と答弁のダイジェスト
(1)新たな森林管理システムの市町の取組への支援について
[天野県議]新たな森林管理システムでは、森林所有者に適切な森林管理を促すため、森林管理の責務を明確化すると共に、森林所有者自らが森林管理を実行できない場合に、市町が森林管理の委託をうけ意欲と能力のある林業経営者に再委託し、再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林においては、市町が管理を行うとされている。市町では森林環境譲与税を財源に条件不利地で行う森林整備や、所有者の意向調査・境界確定、人材育成・担い手の確保などを実施し、譲与税額は令和元年度の約6億円から令和6年度には約19億円になる見込みと聞いている。
このシステムがうまくいくためには、森林経営管理事業を担う市町の組織体制の強化が何よりも必要だが、県内の多くの市町には林業の専門部署が設置されておらず、専門知識や技術を持った職員が十分でないことから、事業の円滑な実施に向け不安を抱えている市町があるようだ。
県は市町支援として、ひょうご森づくりサポートセンターの設置や市町職員向け森林林業基礎研修などの支援は展開しているが、市町の実施体制の状況を勘案すると、より踏み込んだ支援を進めるべきではないか。[寺尾農政環境部長]多くの市町は林業の専門職員が不足している。このため、県では昨年度「ひょうご森づくりサポートセンター」を設置して、市町して、市町に対してアンケート調査を実施し、また、市町を訪問して指導助言を行うとともに市町職員向けの研修会を開催し、市町職員のスキルアップに努めてきた。この結果、養父市、朝来市など11市町で、奥地等の条件不利地の間伐が372ha実施された。
今後、森林環境譲与税の交付が増額予定で、市町における事業量の増大が見込まれる。このため、コロナ禍にも対応した研修のオンライン化により、受講機会を拡大するとともに、令和3年度から兵庫みどり公社が、市町から森林整備のための調査・設計・生産などの専門業務の受託を開始して市町の取組を一層促進していく。
さらに、市町が行う森林所有者への意向調査や境界確定に活用できるように、現在、帳簿や図面で整理している森林情報のデジタル化・クラウド化を進めていく。加えて、木の種類、大きさ、立木の密度など市町職員による森林情報の現地調査を省力化していくために、県が来年度から4年度にかけて実施を予定している航空レーザ測量のデータを市町に提供して、市町業務の効率化を支援していく。(2)県産木材の利用促進について
[天野県議]県では住宅分野の県産木材利用促進施策として「ひょうご木の家」設計支援事業により「ひょうご木の匠」登録工務店による住宅設計を支援している。この事業では、県産木材を50%以上利用し、かつ県産木材を構造材や内装材として見せる住宅設計に対し1件当たり30万円を助成しているが、もっと踏み込んだ助成も必要ではないか。
また、森林組合に話を伺うと、民家への木材利用の働きかけも必要だが、何よりも公共建築物での利用促進が重要との意見をいただいている。「ひょうご森づくりサポートセンター」では、木材利用について市町へアドバイザー派遣等を実施しているが、市町の新たな施設の木造木質化について、より強力な要請を行う必要があるのではないか。そこで、県産木材のさらなる利用促進が図られるようにどのような取組をしていくのか。[井戸知事]コロナ禍の影響が続いており、来年度は県産木造住宅ローンや設計支援の県産木材使用率、今まで50%だったが、これを30%に緩和して利用しやすくすることにした。加えて、利用拡大キャンペーンの助成額を30万円から50万円に引き上げ、リフォームも支援対象にして1件当たり10万円を支援することにしている。
一方、市町施設では昨年度から「ひょうご森づくりサポートセンター」が木造木質化の提案や設計・防火耐火等の相談を実施している。現在ではまだ92件程度ではあるが、神戸市舞多聞地域福祉センターの木造化や姫路市農業振興センターの木質化が進められている。
さらに、人目に触れる機会が多い市町庁舎や駅舎等の整備計画がある都市部の市町へ働きかけていくことが重要なので、市町長等へのトップセールスをしていく。また、来年度からサポートセンターの技術者を増員して県産木材利用に向けた市町施設への提案・相談を強化していく。 -
4. 日本玩具博物館等の民間博物館への支援について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]私は先日、玩具博物館を訪れ、井上重義館長のお話をお聞きする機会があった。玩具博物館は、会社員だった井上館長が、1963年一冊の本との出会いをきっかけに、子どもに関わる文化遺産が失われていく状況を知り、全国各地の郷土玩具の収集を始めたことから始まる。1974年、井上館長が自宅の一部を展示室として公開したのが大きく発展し、多くの方々のご協力によって、我が国を代表する玩具博物館へと成長した。
日本と世界の玩具や人形についての調査、収集、研究、活動に努め玩具に関わる文化への理解を深めるため、国内外から9万点を超す資料を収集し、常設展と季節ごとに学芸員が企画する特別展とを合わせ、常時5千点を超える展示を行っている。また玩具づくりの講座やイベントなどを開催されている。全国に30数館しかない「ミシュラン・グリーンガイド」二つ星の博物館施設に認定されており、海外からの観光客も訪れると聞いている。
このように、極めて魅力的な博物館だが、館長・職員の高齢化が進む中で、施設の維持や後継者育成といった大きな課題を抱えている。また、近年、日本玩具博物館の子どもや女性の文化遺産を守る真摯な活動が評価され、貴重な資料の寄贈が相次いでいる。最大の課題は膨大で貴重な資料の伝承である。
国や自治体からの公的な財政・人的支援が全くない中、博物館を懸命に支えてきた井上館長は次のように言われている。「当館が所蔵する資料は私有財産だとは思っておらず、本来社会が守るべき文化遺産であると考えている。当館の所蔵資料は社会が守るべき文化遺産だと認知され、後世に遺ることを切に願っている」。 地域の社会教育的観点及び地域の貴重な文化遺産を守るという観点から、日本玩具博物館のような有意義な民間博物館への支援に取り組むべきではないか。[西上教育長]民間博物館等の運営に対しては県も含め、公的な財政支援はおこなわれていない。県としては、県内の博物館全体としての集客を図る観点から、兵庫県博物館協会による「兵庫県博物館ガイド」の作成、また関西文化の日等への参加呼びかけなどを行っている。加えて、地域の魅力を発信する一環として「兵庫県民だよりHY0GO」の3月号を見ていただければ、民間博物館が紹介されているので、そういった取組をしているところだ。
質問のあった日本玩具博物館を例にとると、教育委員会としては類似のコレクションを所蔵している県立歴史博物館との共同展の実施等、交流・連携について検討することが可能である。また、所在地を所管している中播磨県民センターにおいても、地域振興策「銀馬車かぼちゃ『ひらがなラリー』」への参加も呼び掛けていると聞いている。 -
5. 小学校高学年への強化担任制導入を契機とした小中一貫教育の推進について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]私は小中一貫教育を現代の複雑な教育問題を解決する究極の連携教育と考えている。県教育委員会では、小中一貫教育について平成27~29年度に調査研究がすすめられ、私も平成29年の12月定例会の一般質問で、小中一貫教育の全県展開について質問させていただいた。しかしながら、その設置は令和3年度の予定も含めて、義務教育学校が7校、併設型小・中学校が25中学校区に留まっている。設置済みの小中一貫校についても、少子化に伴う学校統廃合を背景として実施されたという側面もあり、設置している自治体を見ますと、偏りがある。とても全県展開できているという状況ではない。
そのような中、小中一貫教育を一歩でも二歩でも前に進めるためには、小学校と中学校の教員の人的交流を深めて強化の連続性を高めることが重要だ。そうすれば、教員、児童、そして保護者に小中一貫教育の必要性が体感できることになる。小学校での主要教科への教科担任制導入はその良い契機だと考える。
中教審の答申でも、教科担任制を小学5・6年生から始めるとされているのは、中学校とのスムーズな接続を見通していることによる。教科担任制で先行している自治体では、小学校と中学校が連携しすでに中学教員が小学校で教えているところもあるが、答申では小中両方で教えられるよう教員免許の取得要件を弾力化し、養成課程を共通にすることも提案されており、それが実現すれば人的交流が一層進めやすくなる。そのことによって、小中一貫教育の理念の実体化と推進が進められるのではないかと、期待している。
県は、少人数学習と組み合わせてきめ細かく指導する「兵庫型教科担任制」を2012年度から全県で導入した先進県である。その経験を踏まえ、2022年度の小学校高学年への教科担任を契機として、小中一貫教育においても先進県となるべく全県展開すべきではないか、所見を。[西上教育長]小中一貫教育については、市町が特色ある教育を進める中での選択肢の一つである。本県としては、ご質問あったように平成27年度から3年間、調査研究を行った。その結果、中学生になることへの不安の軽減、また学力向上に効果があった。一方、課題としては1つは小学校の学級担任制と中学校の教科担任制という指導体制の違いを踏まえて、新たな教育課程の編成が大変難しいとういう点、2点目は一つの中学校と複数の小学校が併設する場合には、その小学校同士の連携も必要になるということ、そして3点目は合同行事等に伴う教職員の負担感、こういったことが挙げられる。
各市町においては、このような効果や課題と共に、1つとしては例えば伝統文化や英語など特定の教育課題に限定した場合は比較的小中一貫は取り組みやすいということ、またすでに小中接続を意識した兵庫型強化担任制の取組が進められている。こういったことを総合的に判断しながら進められていると承知している。結果として、併設型の小・中学校を含む小中一貫校の設置については、比較的小規模な学校で行われているという状況になっている。今後も特色ある教育として小中一貫教育を選択する場合は、これまでの知見をもとに助言すると共に、国に対しては小・中学校の教員がお互いの教員免許を取得しやすくなるような条件整備について引き続き求めていく。 -
6. Live110の成果と課題について
質問と答弁のダイジェスト
[天野県議]当て逃げの被害者の方から、相談をお聞きすることがあった。その方は、交差点で事故に遭い、加害者は一度止まったものの当て逃げをして去ってしまった。当て逃げの犯人が逮捕されるまでの間、被害者の方は犯人が逮捕されるのか大変不安な思いをされていた。警察の尽力で結局犯人は逮捕されたが、Live110のようなシステムがあれば加害者の車の情報を迅速かつ正確に届けることができ、警察の素早い初動捜査、そしてもっと早い犯人逮捕に繋がったのではないかと思った。
Live110は、1日1200件も寄せられる110番通報への対応に当たって、正確な情報の把握と、迅速な初動対応、限られた警察人員の効果的な投入を可能とするものであり、事件の解決を願う県民の期待に応えるものだ。全国に先駆けて導入に取組まれた兵庫県警の姿勢に敬意を表する。運用が始まってからどのような成果が見られたのか、また、、運用上の今後の課題について所見を伺う。[吉岡県警本部長]通報者からの映像等の提供件数は2月18日現在で26件。そのうち、喧嘩、ひき逃げ容疑、不審者徘徊等の事案において、通報者が撮影した映像により犯人の特徴や使用車両を特定し、早期検挙・早期解決に繋がった事例が11件ある。また、火災等の通報では事案の規模や周囲の状況を迅速かつ正確に把握することができ、必要な警察力の投入による的確な事案対応が可能となったなどの成果を挙げることができた。
一方で、県民に対する周知は未だ十分とはいえず、通報者からの110番受理時にLive110の説明に相当の時間を費やした事例もあったことから、緊急時、迅速に映像等を送信していただけるよう、引き続きキャンペーン等のあらゆる警察活動を通じて広報啓発に努める。
一般質問
しの木和良県議
[質問項目]
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1. 「21世紀兵庫長期ビジョン」の位置づけについて
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]知事は、時代が大きく転換し、難局を迎えようとするときこそ、その壁を未来への扉に変えていかなければならない。その第一歩が将来のビジョンを描き、進むべき道を人々が共有することではないでしょうか、と冒頭で述べられている。その上で、目標なくして実現なし。新たな価値を生み出し、人の絆と豊かな自然の中でほこりをもって暮らせる兵庫を築いていくため、県議会の議決を経て改訂されたものが現行の長期ビジョンである。
このビジョンは、、行政の事業量を示す「計画」ではなく、多様な主体が共有する「ビジョン」「望ましい社会の姿」だということである。そうだとしても、私はその姿に向けて行政が戦略・手段を講じていく施策体系の頂点にあるべきものと理解している。
このビジョンが改訂された4年後の2015年(平成27年)、わが国の社会は出生率が低下、存続できなくなる恐れがある消滅可能都市も全国自治体の半数近く発生し、東京も自滅することが想定されるなど、わが国を持続する上での様々な課題が顕著となった。ビジョン改訂時よりも更なる転換期を迎えた。
そこで兵庫県でも、同年に全国に先駆けて地域創生条例を制定し、地域創生戦略も策定したところである。社会及び行政施策が大きく変わる時に、長期ビジョンの見直しではなく、地域創生戦略の中で2060年における兵庫県の目指すべき姿を展望しつつ、自然増・社会増の人口増対策、地域の元気づくり対策を戦略目標とし、5年間で取り組むべき対策が定められた。また、2018年(平成30年)には、県政150周年の節目に合わせて「兵庫2030年の展望」が策定され、「すこやか兵庫」の実現を目指すことをその姿とし、そのための先駆的な取り組みを「リーディングプロジェクト」に設定し、市町・企業・大学・団体等と連携してその具体化に着手することとされた。
そして、地域創生戦略が2019年度に期間終了となることから、第2期地域創生戦略が策定されたが、その戦略の推進にあたっては「兵庫2030年の展望」の「すこやか兵庫」を実現するための、前半5か年の実施計画としての性格を有するものとされている。
すなわち、第2期地域創生戦略は「兵庫2030年の展望」で目指される姿が目標となっているもので「目標なくして実現なし」とされた「21世紀兵庫長期ビジョン」が、その目標となっていないのではないかと疑問に感じるところだ。新年度、「21世紀兵庫長期ビジョン」が改訂される予定となっているが、なぜ2015年の地域創生が具体化となるときに前後して改訂されなかったのか、、地域創生戦略や2030年の展望では、同ビジョンとの緊密性がないように思われるが、そのような重要な県政の実施計画にあたる計画に関与していない「21世紀兵庫長期ビジョン」を見直す必要性について所見を伺う。[井戸知事]地域創生戦略は、ビジョンの実現に向けた具体的な取組を示す計画であるが、急速に進む人口減少と東京一極集中への危機感から地域の元気づくりと人口の自然増・社会増対策を戦略的に展開するために策定したものであり、県の計画の中ではターゲットを明確にした計画ということになっている。
ビジョンでいうと、ビジョンの策定からご指摘もあったように20年経った。改訂してから10年経っている。世界も日本も激変してきているので、今のビジョンが2040年頃を一つの目標としたので、今回改訂から10年経ったこともあり、2050年頃までの長期の視点を持って県民とともに兵庫の未来を考えてみる、そういう時期に来ているのではないかと思っている。こうした認識から新ビジョンの検討に着手した。その矢先にコロナの襲来に見舞われた。私たちの社会はさらに変革が迫られている。今こそそこの大きな変化の行方を見定めて、長期的な兵庫づくりの方向性を県民とともに改めて確定していかなければならない時期ではないかと考えている。
すでに若手有識者の研究会を開催しているが、そこで社会潮流の大きな流れを調査研究し、個性の追求、開放性の徹底、集中からの分散へといった方向性を示す将来構想試案を取りまとめていただいている。この試案をたたき台に今後新ビジョンをさらにブラッシュアップしていく、検討していくことになる。[しの木県議(再質問)]私がお聞きしたいのは、そういう本来の位置づけにもかかわらず、地域創生戦略という東京一極集中をなんとか多極化するような方向で次代を変革しなければならない、社会を変えなければならないというような要請があって地域創生戦略ができたときに、本来であればその結果できる兵庫の姿というのは変わるべきはずであって、その変わるべき姿も当然見直しをしなければ、県民も含めてそれを共有する形で施策を進めていくということができないのではなかったのかなということをお聞きしたわけである。[井戸知事]地域創生戦略は、東京一極集中の是正を目標とした人口対策と地域対策を具体的に示した、ターゲットを絞った、目標をより具体的に絞った計画であるので、そのような意味では地域創生戦略の実現方向の究極にあるのは、2040年頃のビジョンで想定した兵庫の姿の実現の一つの過程である、このように位置づけられる。
ただ、ビジョンとの関連性を地域創生戦略の策定の段階において明示していなかったので、議員のおっしゃっておられるような分かりにくさが生じたということなのではないかと現時点では反省をさせて戴く。地域創生戦略は短期の目標をターゲットを絞った実施戦略だとご理解いただければと思う。[しの木県議 (コメント)]頭の整理として、やはりこういう重要な構想・ビジョンというものと具体的な施策というものが一致していなければならないのではないかなということを認識した上で、これから作成されるビジョン・基本構想を県民行政の共通認識として、それが一番施策等を進めていくべき基本となるものだということを共通の認識としていただきますよう。 -
2. 分散型社会の構築について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. 市街化調整区域を事実上廃止することについて
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]市街化調整区域制度が地域の発展を阻害している旨の質問をこれまで行い、平成26年2月本会議以来の質問となる。当時のまちづくり部長から、厳しい土地利用規制が地域の活力低下を引き起こしているという認識のもと、地区計画制度の活用により、市街化調整区域の計画的なまちづくりを行っていく旨の答弁があった。
この制度運用により、地元猪名川町では大規模流通団地をはじめ活力あるまちづくりを推進されているところであり、また、同様の運用をする自治体も増えている。
しかしながら、これはあくまでも、市街化調整区域内でのまちづくりの工夫である。自治体が都市計画決定で一定のまとまりのある地域を建築等規制緩和できるようになるが、個々の行為は従前のままである。個人の方が倉庫一つ建てることも基本的にできないし、事務所で使っている建物の一部を住民のために診療所にすることもできず、また、倉庫を違法改築し長年子供たちも巣立ち、近所づきあいもしていたお家を建て替えようとしたら、そこを立ち退かなければならなくなってしまう。
もちろん都市計画法に基づく制度だからそのようになるのだが、地域創生によって地域分散型社会の構築を目指すことを考えた場合、やろうとしていることと、制度が全く反対の方向になっているのではないか。市街化調整区域の廃止を訴えた場合に、よく返ってくることが都市基盤整備が整わない状態で規制緩和すれば、また無秩序な開発が行われることになるからできないということだ。しかし、今、分散型社会を構築しようとすることは、まさにそのような民間の力を活用して以前に大都市周辺で開発されたエネルギーを今度は多極化するための地域で使おうとすることであり、反対に開発しやすくすることではないか。
地域創生や分散型社会の構築といえども、行政がすべてを成しえるものではなく、これまでの経験からして行政が行うのはインセンティブであり、結果、社会を作るのは民間であり、住民の力を頼りとする以外ないのではないか。
そのような意味でも、現行の都市計画法のもとで、事実上市街化調整区域を廃止するような動きを推進する必要があると考えるが所見を伺う。[出野上まちづくり部長]具体的には県が開発許可権を有する16市町の市街化調整区域おいて、市街化区域と同様に計画的なまちづくりができる地区計画区域を31地区、465haで決定している。また、市町が策定する土地利用計画をもとに建物の立地が可能な区域と用途を事前に明示する特別指定区域を都道府県レベルでは全国第1位の630地区、6243haで指定している。ちなみに第2位が群馬県で999haということで大きく上回っている。この結果、森林や優良農地等を除いた市街化調整区域の約8割において、住宅や事務所、特産品の加工・販売施設等、地域の元気づくりに資する施設の開発が可能となっている。
また、農地等で行う開発では、まちづくり部の計画調整参事と農政環境部の農林調整参事が協調して相談対応等を行い、複雑な事案等の早期解決を図っているところだ。このような面的な規制緩和に加えて、個人や事業者による個別的な開発ニーズに対応する許可基準の整備も進めている。今年度は1つにはUJIターン者による既存住宅の取得、それから既存建物の福祉施設や診療所等への用途変更、既存事業所の敷地を拡張した作業場や倉庫等の増築ができるよう制度を拡充している。さらに、今般のコロナ禍を踏まえた地域分散型社会の構築のため、地区計画区域や特別指定区域の拡大を一層図るとともに、空き家を含めた既存建物の除却、そしてその跡地を活用する場合には、建物の用途や利用者の条件を緩和するなど民間ニーズに幅広く対応し、活力を引き出せるよう取り組んでいく。[しの木(再質問)]いろいろ工夫しているということは、市街化調整区域が不都合になっている部分があるからだと思う。そういう意味で市街化調整区域を制度として廃止することは国の仕事なので、県ではできないが、県の方が実態としてなんとかその市街化調整区域がないものとできるような事実関係を作るということができないのか、ということが今回の質問である。市街化調整区域は市町と県とで指定していくわけで、その指定をはずす方向に県がリードしていけば、そういうことが可能なのではないか。[出野上まちづくり部長]線引きを廃止した他県の事例を見ると、人口が増加したというところもあるが、一方、逆に都市部の市街化区域内の人口が減少するというような都市計画区域も発生している。そういったところでは、一旦線引きを廃止したものの、用途制限を新たにその区域にかける、これを特別用途制限地域と申しますけれども、そういう区域を新たに指定して、用途制限を図っている。その用途制限を例えば、1回ではなく、2回、3回とやっている事例もある。そういった事例も見ながら土地利用コントロールというのがどうあるべきかを考えていきたい。線引き制度を維持しつつ、より具体的、現実的な対応を図っていきたい。[しの木(コメント)]公務を司る者としては、しかたないとは思うが、何とか工夫をして分散型社会をつくっていく。多極化していくという、多極化した地域それぞれに栄える地域をつくっていくということから、考えたら、いろいろおっしゃっていただいたように、調整区域が非常に障害になっていることは明らかなので、駄目だということをカバーするような理屈を考えていただいているのかなと思うが、その中で少しでも挑戦をしていこうというふうな思いを持っていただきたいことを要望する。 -
4. 新型コロナウイルス感染症疑いの患者の受け入れに関する大阪府との連携について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. 人工がけに対する県の取組について
質問と答弁のダイジェスト
[しの木県議]私は以前から人の手が加わった急傾斜地も第一義的には、その所有者やその手を加えた人にその責任があるとしても、危険が放置されている場合、危険にさらされている住民にかわって県が対策工事を実施し、県が求償権を行使する方法がとれないかと提案してきた。当局からは、いまの法律上県が代行措置や代行後の求償権を行使することは難しいということだった。
しかしながら、私はその人工がけ下に居住する人たちの危険度は、自然のがけ下に住む人達と何らかわることはないにもかかわらず、片や県は対策を行えず、他方では公共事業で備えを万全にするということは、やはり不合理だと感じていた。
昨年度の政調会でも、このことに関して、再度議論をした結果、県土整備部長からの報告で「急傾斜地の崩壊による災害防止に関する法律」または「宅地造成等規制法」の規定による改善命令がだされた箇所で、その履行がされないときは、行政代執行法による代執行を行い、その費用を義務者から徴収できることがわかった。そこで、自然斜面などの土砂災害対策箇所が県全体で6500か所以上残っており、長年にわたる事業となっている一方で、人工斜面であっても崩壊の危険性が高まっている場合には、県による代執行の手段も活用し人家・人命を守ることが必要と考えるが、具体的にどのような要件が整えば代執行を実施するのか今後の取組について伺う。[服部県土整備部長]人工がけについては、急傾斜地法の規定により県による崩壊防止工事は施行できないが、「崩壊のおそれが著しい」等と認められる場合には対象がけの場所に応じて、急傾斜地法または宅地造成等規制法に基づき、県または市から土地所有者に崩壊防止工事を行うよう改善命令を発することができる。
それでも義務者が命令を履行しない場合、県または市は最終手段として行政代執行法に基づき崩壊防止工事の代執行を行い、その費用を義務者から徴収することができる。代執行の要件は「不履行を放置することが著しく公益に反する」場合となっており、実際に崩落が生じ、二次災害の危険が著しいなど切迫している状況で代執行以外の方法では危険が回避できないことが条件となる。
代執行の実施にあたっては恣意的な運用とならないよう、技術的・法的な具体の運用基準が必要になると考えている。急傾斜地法による代執行の事例は未だ全国的にもないが、いざ災害が切迫したときに迅速な対応ができるよう今後、国や土砂災害・行政法に精通した学識経験者などから意見を聞き、運用基準作りに取り組む。あわせて本県だけの問題ではないことから、国へも全国統一の指針作成を要望していく。また、所有者等に土地の保全にかかわる注意喚起をおこなうため、5月の「宅地防災月間」における宅地防災パトロールを実施するとともに、現地の変状をタイムリーに把握するために平時から地元市町との密な連携で危険情報の収集にも努めていく。
一般質問
松田一成県議
[質問項目]
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1. 兵庫県版CDCの創設について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]今回の新型コロナウイルス感染症は、世界経済や社会に深刻なダメージを与えている。県内でも異変種が確認されており、今後、未知の病原体の発生も危惧されるところである。新たな感染症は人類が免疫を持たないことから直ぐにパンデミックとなり、世界中がパニックになることは今回の新型コロナで我々が経験したことである。
昨年2月には横浜港に寄港したクルーズ船内で新型コロナウイルス感染症が確認されたが、本県は神戸港を有しており平時から感染症に対する危機管理が必要である。さて、先日神戸大学に視察に行ったが、同大学には基礎研究を行う「感染症センター」と患者対応にあたる「医学部付属病院感染症内科」がある。また、今回のコロナ禍では抗体検査の実施実績もあり、県と緊密な協力体制を構築することで最大限の効果が期待される。
新たな感染症に対する備えとして、神戸大学と連携した兵庫区の県立健康科学研究所跡地を活用するなど、感染情報の一元管理、感染症対策の専門人材の育成を行い、分析・検査の司令塔となる、兵庫県版CDCのような組織を創設する必要があるのではないか。知事の提案説明の中でも「コロナ対策で明らかになった課題や教訓を今後に活かすため、感染症対策研究機関を検討する」との説明があったが、どのような研究機関を考えているのか。[井戸知事]新型コロナウイルス感染症の終息は見通せない状況にあるが、緊急事態宣言の解除後も引き続き県民の皆様の協力を得て、この年度末の行事の多さや人の行き来の多さなどに対する対応を行っていく。今後の新たな感染症に機動的かつ効果的に対応するには、明らかになった課題や教訓等を踏まえ、感染症への対策を強化し準備しておくことが必要になる。
そのため、新年度は今後の議論や検討に向け、まず有識者から感染症対策の現状・課題等について意見を伺う。そして、国や他府県の取組等も踏まえ、県内大学をはじめ関係機関との連携も考慮しつつ検討会を設置していく。その中で、神戸大学、(株)イーベックと県の産官学で取り組んでいる抗体医薬の開発の状況や県立健康科学研究所との役割分担、機関設置場所なども視野に入れて、今後の感染症対策期間のあり方について検討していく。
このような将来の方向性も見据え、当面は円滑なワクチン接種、一般医療とのバランスを考慮した病床運用など、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでいくが、将来に対する準備対応としての検討も始めさせて頂こうと考えている。 -
2. 新型コロナ患者受入病院における看護師業務の負担軽減について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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3. カーボンニュートラルの実現に向けた産業構造の転換について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]新型コロナウイルス感染症の影響により、これからの社会はコロナ禍からの経済復興と人類共通の危機である地球温暖化対策という2つの大きな課題に同時に取り組んでいく必要がある。そのカギとなるのが「グリーンリカバリー」という考え方である。これはコロナによる大規模な経済対策を活用し、経済再生と温暖化防止を同時に進めようというもの。
昨年10月、菅政権は「2050年までに、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」との方向性を打ち出した。その考え方は「デジタル」と「グリーン」をキーワードとし、特にグリーンエネルギー技術の研究開発に2兆円規模の基金を創設し革新的技術開発に焦点をあてている。2050年のカーボンニュートラルは既存技術だけでは実現不可能であり、自動車産業や蓄電池産業、水素産業、土木インフラ産業、ライフスタイル関連産業等の進展に加え、排出された二酸化炭素を回収し地中深く貯留するCCS技術等の革新的な技術開発とそれに伴うコスト低下が不可欠である。カーボンニュートラルの実現に向け、国でも関連産業など重要分野ごとに目標を設定し、予算、税、金融、規制改革といったあらゆる政策を実行計画に盛り込んでいる。県でもこの一年のスタートが大事である。企業・関係団体等とも連携しながら既存の産業構造を見直し、デジタル・グリーン社会にシフトした新たな経済と雇用の安定を築いていく必要があると考えるが所見を。[井戸知事]成長分野への進出を促し、雇用創出につなげる国のプロジェクトを活用したいと考えている。地域活性化雇用創造プロジェクトである。NIROを軸に成長産業育成のためのコンソーシアムを設けて、中小企業の参画を促すと共に、製品・技術開発等を担う人材の育成を支援していく。兵庫県版のCOEプログラムには、このコンソーシアム向けの採択枠を新たに創り、産官学連携による研究開発を促していく。制度融資により事業継続を下支えしつつ、技術開発を新技術・新事業創造貸付等により支援していく。国が世界に向けて発信するエコシステム・グローバル拠点都市に京都・大阪・神戸の地域が選定されている。起業プラザに地球規模のSDGsに取り組むUNOPSのグローバル・イノベーション・センターが併設された。こうした拠点を中心に今回新設する、ひょうご神戸スタートアップファンドも活用しつつ、スタートアップを育成していく。脱炭素に向けてはデジタル化の視点も必要であるから、技術実装を支援してDX導入を促進していく。
また、バイオマス燃料の活用、これも進めなくてはならないが、更なるエネルギー転換、グリーンイノベーションをテーマとした研究会を開催して、CO2の分離とか回収技術の実証を進めていく。また、「ひょうご版再エネ100」により、使用電力を100%再エネルギーで賄おうとするものだが、発電事業者の意欲を引き出す。脱炭素の貢献度が高い水素の活用についても、国際水素サプライチェーンの拠点となる受け入れ基地の県内立地や水素発電の導入に向けた取り組み、燃料電池自動車などの水素モビリティの導入も進める[松田県議コメント]昨年1年間で、世界で大きく人の生き方も産業構造も変わろうとしている。また、大きな国難があった時に2つの「デジタル」「グリーン」。こういう社会を築いていかなければ、たぶんもとに戻ったり。次の社会を迎えるというのは難しいと思う。
先ほど、知事から答弁されたが県としてもそれに伴う雇用の将来見込みだとか、こういうことをしっかり示していくことが一番大事だと思う。いきなり人材というものは育つものではないので、例えば高校にしても大学にしても将来こういう方向に、という社会の方向性をしっかり示していかないと進むべき道も違ってくると思うので、そういった観点も踏まえてよろしくお願いしたいと思う。 -
4. 空き家の適正管理に関する条例制定について
質問と答弁のダイジェストはありません。
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5. 兵庫津ミュージアム(仮称)の整備について
質問と答弁のダイジェスト
[松田県議]兵庫津は千年以上の歴史を経て、この地の発展に重要な役割を果たしてきた。そして、この地域の歴史的ポテンシャルを生かし、独自の過程を辿った兵庫県の成り立ちや、日本の近代産業の胎動期に重要な役割を果たした歴史を県内外に広く発信する施設として、また、県民の故郷への愛着、誇りの醸成に寄与する施設として「ふるさとひょうご寄附金」も活用し「県立兵庫津ミュージアム(仮称)」を整備することとなった。
同ミュージアムは、復元施設である「初代県庁館(仮称)」と展示施設である「ひょうごはじまり館(仮称)」で構成され、初代県庁の復元はすでに着工し、この秋頃には開館の見込みである。今年度、「ひょうごはじまり館(仮称)」の建設も始まる。令和4年度にはグランドオープンの予定だが、本県の歴史などを広く県民が学び後世につなぐとともに、地域の交流の場としての活用が求められる。そこで、集客目標や展示方針、神戸市と連携した周辺整備をどのよう進めようとしているのか。[水埜政策創生部長]令和4年度の開館を目指す「ひょうごはじまり館」、こちらはミュージアム施設のほうだが、その展示では小さな天領から神戸港を支える五国に広がった兵庫県の成立のプロセスや五穀の多彩な魅力を伝える展示コンセプトと、それを体感できる展示構成等を行っていく。デジタル技術も活用し、平清盛や高田屋嘉兵衛、伊藤俊介たちの活躍や各時代の転換期のドラマチックなストーリーを見て体感できる展示を製作中。
兵庫津への集客はミュージアム単体ではなく、奈良・平安時代から明治・昭和の成長期まで、数々の史跡が残るまち全体で考えていきたい。地元では多くの人々を兵庫津のまちに誘いたいということで、街歩きのガイドの皆さんが今も活動をされている。また、市役所の協力により運河沿いプロムナードなどの環境整備も進んでいる。周辺道路の無電柱化も検討していただいているところだ。これから、地元団体や市役所、区役所、企業、周辺施設などを巻き込み、イベントのタイアップや性が撮影誘致、県全域からの小中学校の社会見学等、集客の工夫を凝らしていきたい。
多くの県民が県の成り立ちと発展を学び、未来の兵庫づくりを考える象徴となる施設を目指し、令和4年のグランドオープンに向け、準備を進めていく。