認定NPO法人の脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(中井宏代表理事)はこのほど、神戸市中央区内で「脳脊髄液減少症シンポジウム」を開催した。これには公明党の芦田賀津美、竹尾智枝、小泉弘喜、柴田佳伸の各兵庫県議、徳山敏子、軒原順子の両神戸市議が参加した。
シンポジウムではまず、国際医療福祉大学熱海病院脳神経外科の篠永正道教授が、脳脊髄液減少症治療の第一人者として講演した。
同教授は2000年頃、外来で交通事故の後遺症で悩む患者を数多く診察する中で、「従来の病名の診断ではどうも納得がいかなかった」と述懐。「これは脳脊髄液が漏れているのではない か。最初は自分も否定したが、患者の検査・治療を重ねる中で、それが一番納得できる結論だと思った」と述べた。
さらに脳脊髄液の減少に伴う症状について、「めまいやしびれ、だるさなどの症状が出る。起きていると痛み、横になると楽になる起立性頭痛は代表的だ」と指摘。MRI(磁気共鳴画像装 置)など脳の画像による診断やブラッドパッチ療法の有効性に触れた上で、減少した髄液を増やし症状を改善させる方法として、
(1) よく眠ること
(2) 十分な水分を取ること
(3) ラジオ体操などの適度な運動
――を挙げた。
その後、ブラッドパッチ療法の診療報酬制度で改善すべき点などの講演が行われた。
◇ 中井代表理事、赤羽氏の尽力を評価
主催者の中井代表理事は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)で「誰も置き去りにしない社会」をめざしていることに言及。脳脊髄液減少症がまだまだ社会に認識・理解されていない現状 を指摘した。
その上で、同症の認知度を上げるため、今年2月、患者・家族支援協会として赤羽一嘉国土交通相(公明党)に直接要望したことを紹介。その際、赤羽国交相がリーフレットやホームページ上 での周知・啓発を図ることを表明し、3月から一般配布の『交通事故にあったときには』という国交省発行の冊子に脳脊髄液減少症の記述が大きく掲載されることになったエピソードを紹介し た。
最後に、明舞中央病院(明石市)の中川紀充副院長(脳神経外科専門医)らを含め講演登壇者による討論が行われた。
芦田県議らは、「脳脊髄液減少症の患者、家族の皆さんの苦悩と努力が報われるようにこれからも全力で支えたい」と語っていた。