県議会公明党・県民会議は、7月16日、県庁内で定例の研修会を開きました。藤田愛・医療法人社団慈恵会北須磨訪問看護・リハビリセンター所長が「神戸市における新型コロナウイルス感染症の自宅療養・入院待機者への訪問看護の経験から」と題して講演しました。
同センターは、神戸市須磨区にあり看護師や理学療法士らが勤務し、地域の在宅療養を支えています。
中で、藤田氏は主要都道府県での新型コロナウイルス感染症陽性者数の推移や神戸市の入院待機者数・自宅療養者数の推移などのデータを示しながら、感染症拡大の実態を分析するとともに県内の病床逼迫の状況などを説明しました。
また、診療所、訪問看護事業者訪問介護事業者等の自宅療養者(入院待機者)への対応の準備への意識として、▼神戸市は2月8日時点で訪問看護の仕組みができていた。3~5月に250名の自宅療養者・待機者に対し、2千回以上の訪問を行い、在宅医療が未整備の中で人命を守り、生活を守ることができた▼診療所は一人医師で、訪問するマンパワーがいない、自宅対応が必要な自宅対応が必要な医療提供方法が分からないなどに加え感染管理が難しい等という点で訪問医師が不在だった▼病院医師が訪問する場合は、訪問看護指示書を出せないため訪問看護師が医療介入が必要なときにできないというミスマッチが生じた▼委託契約による訪問看護と医師の指示書による訪問看護の使い分けの混乱が生じた、といった現場で感じたことや今後の訪問看護の仕組みづくりに際し考えていくべき点などを指摘しました。
神戸市では保健所の業務逼迫を受け、2月に自宅待機中の患者への訪問看護が始まり、藤田氏は市内全域の訪問に当ってきました。第4波は今年の4月上旬から再び急拡大の傾向に入った期間のことを指し、その間は主治医に相談したうえで医療ケアも施すようになりました。それ以降の経験や事例などを紹介し、手遅れになる前に在宅医療の手がはいれば回復できる人も多いことなどを示し、これからの訪問看護のあり方の方向性について示唆に富んだ研修会となりました。