県議会公明党・県民会議は、11月11日、県庁内で齋藤知事に令和4年度当初予算編成に対する申し入れを行いました。これは、9月に提出した重要政策提言の内容を一層具体化したもので、知事や県幹部らに各項目について詳しく説明しました。
申し入れ書では、新型コロナウイルス感染症による様々な社会や生活の変化等を指摘しながら「今後はデジタル・トランスフォーメーションなどの技術を活用し新しい働き方や生活様式を創造することにより、本社機能の移転などで東京一極集中を是正し、地方分権を推進する機会と捉え大阪万博といったビッグイベントなどを地方創生の実現を加速させる機会と捉え、ポストコロナ時代をリードする新たな社会のあり方を広く世界に示していかなければならない」と今後の方向性を示しました。
その上で「希望と活力あふれる兵庫県を目指し、予算編成にあたっては、本政策提言で我々議員団の意図するところを十分斟酌いただき、各種事業に反映を」と各要望事項の実現を強く望んでいます。
申し入れ書では、「疾病予防管理センター(CDC)の創設」をはじめとする9項目にわたる新型コロナウイルス感染症に関する最重要点要望事項と、3項目の最重点要望事項、部局別の重点要望事項を申し入れました。
≪新型コロナウイルス感染症に関する最重点要望事項≫
1,疾病予防管理センター(CDC)の創設
新たなウイルスに備え、災害と同様に事前の準備で被害を軽減し、政令市・中核市の保健所も含めて県内保健所の一体的な連携体制を構築するため、疾病予防管理センター(CDC)を創設すること。
2,新型コロナの影響をふまえた財政運営と事業の見直し
来年度予算編成にあたり事業の見直しを進める際には、新型コロナウイルス感染症対策に係る予算は十分確保するとともに、県民生活に直結する事業についてはその水準を低下させないように県単独事業の削減等は行わないこと。また、その見直しの内容については県民の充分な理解を得るとともに県議会との合意形成を丁寧に行うこと。
3,緊急時に対応できる医療体制の構築
新型コロナ等、新たな感染症の急激な感染拡大に機動的に対応できるよう、病床や看護師などの医療人材を恒常的に確保すること。
4,新型コロナで影響を受けた農水畜産物の需要拡大
新型コロナで業務用需要が著しく影響を受けた県内の水産品、ブランド和牛、酒米の山田錦などの需要喚起策や学校給食への提供拡大、新商品開発などを推進し、県産農水畜産物の消費拡大に努めること。
5,ポストコロナ時代の自立分散型社会を目指す地域創生戦略の見直し
コロナ禍により、リモートワークやワーケーション等の経験を経て、地方移譲、副業・兼業、ワークライフバランスの充実等への関心が高まるなど国民の意識・行動に大きな変化が生じている。東京一極集中を是正し地方分権型社会の実現に向け、この変化を的確に捉え、デジタル環境整備を早急に進めるとともに、教育・医療・商業等がつながり合うスマートシティ構築を推進する等、ポストコロナ時代の自立分散型の多面的な社会を目指し、従来の地域創生戦略について適切かつ大胆に見直しを図ること。
6,離職者の再就職の促進
コロナ禍により影響を受けた離職者の再就職を促進するため、職業訓練や資格取得に向けた様々な支援を講じること。
7,コロナ禍で増大した生活困窮者への相談支援体制の強化
長引くコロナ禍で深刻な生活困窮に陥る人が増大しているため、福祉事務所や社会福祉協議会などでの貸付や相談支援業務を行う窓口の体制を強化すること。
8,観光振興の推進
コロナ禍の収束状況を見定め、深刻な打撃を受けた観光関連産業への大胆な支援策により観光需要喚起に努めること。さらに、長期滞在型観光やリピーター観光客確保、県特産品消費など地域交流と観光がマッチングする質重視の観光への展開を推進すること。
9,県民の兵庫県内の旅行を促進する取組
コロナ禍の収束までは、マイクロツーリズムといった県民の県内旅行を促進する取組を更に強化すること。
≪最重点要望事項≫
1,高齢者への補聴器購入費用の助成について
全国で難聴を自覚する人は2,000万人以上で70歳以上の約半数が難聴になり、難聴と認知症は関連性があるといわれている。高齢者の補聴器の積極的な装用により、コミュニケーションでの問題を軽減し、社会との関わりを促進することにより、高齢者の生活の質が向上し、認知機能の低下を遅らせる可能性があることから、認知症予防の観点からも高齢者への補聴器購入費用の助成を検討すること。
2,地域包括型の産後ケア事業所の立ち上げ支援
核家族化が進展し、近年ますます家族や社会のつながりが希薄化してきているなかで、産後の母子を支える産後ケアの重要性は高まっている。また、働く女性も増えており、そうした女性を支えるためにも、ライフスタイルに寄り添ったサービスを提供する訪問型やショートステイなどの産後ケアサービスを求める声は大きい。しかし、現在、こうしたサービスを提供する事業所は少ない。高齢者で展開されている小規模多機能型居宅介護のような「訪問」「デイサービス」「ショートステイ」などのサービスを助産師等が一体で提供する事業所が、身近な地域に増えることは子育て支援や女性の社会進出にもつながると考える。そのために、事業所の立ち上げ支援のための補助制度を整備すること。
3,子宮頸がんワクチン(HPV)の勧奨再開に向けた対応
「マザーキラー」の異名を持つ、子宮頸がんは毎年1万人以上が罹患し、年間約2、800人の命を奪う死亡率の高いがんであり、20年前から増加に転じているが、ワクチン接種により防げるがんであるため、今後、国のHPVワクチン勧奨再開に合わせ、接種再開がスムーズに行えるよう、普及啓発等を行うこと。また、副反応をめぐる報道でワクチンの接種機会を逃してしまった世代への救済方法を検討すること。